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香取慎吾、白石組常連を熱望!「なんでもやります」『凪待ち』完成披露大阪舞台挨拶@TOHOシネマズ梅田


nagimachi-bu-550.jpg(2019.6.19 TOHOシネマズ梅田)
登壇者:香取慎吾、白石和彌監督



『孤狼の血』の白石和彌監督と『クソ野郎と美しき世界』『人類資金』をはじめ、今やアート界でも活躍している香取慎吾がタッグを組んだ最新作『凪待ち』が、6月28日(金)よりTOHOシネマズ梅田他全国ロードショーされる


nagimachi-katori-500-1.jpg加藤正人(『クライマーズ・ハイ』『彼女の人生は間違いじゃない』)のオリジナル脚本による本作は、愛する人を奪われた上、不条理な目に遭わされ、ギャンブルにのめり込む男の狂気と再生を力強く描いたヒューマンドラマだ。香取慎吾が演じる郁男は、ギャンブルから足を洗い、恋人の亜弓(西田尚美)の故郷、石巻で再起を図ろうとする男。激しく暴れるアクションシーンも交えながら、競輪に逃げ、全てのお金をつぎ込んでしまう愚男の苦悩をリアルに演じている。まさにアイドルのイメージを払拭する渾身の演技だ。


nagimachi-bu-500-1.jpg6月19日、TOHOシネマズ梅田で開催された『凪待ち』全国縦断完成披露舞台挨拶付き先行上映会では、主演の香取慎吾と白石和彌監督が登壇し、「慎吾ちゃーん!」という大歓声に笑顔で応えた。稲垣吾郎、草彅剛とファンミーティングで来阪した時は粉ものが食べられなかったという香取。この日は「映画館の楽屋にたこ焼きが置いてあって!8個を2秒でいただきました!」とまだまだいけるという口ぶり。白石監督も「大阪で映画を撮ったこともありますし、大阪の人の懐の深さを感じながら、いつも楽しみに来ています」と大阪のファンの声援に応えた。大勢のファンを前に、感無量の面持ちで撮影を振り返る香取と白石監督の舞台挨拶の模様を、一部囲み取材の内容を交えながらご紹介したい。



nagimachi-bu-ka-240-4.jpgこれまでと違う、笑顔を封印した苦悩する郁男役。

香取:本当にダメな男なので、僕の良心、正義感を封じてやりました。下を向いて苦悩する部分は僕の中にもありますし、自分でもなんとかしようとするのだけれど、それでも歯車がうまくいかない時の郁男の悲しさは共感できる部分がありました。映画の郁男を見終わって、自分がどれぐらいの場所にいるのか、郁男と同じ場所をさまよっているのかと、郁男を通じて自分を見つめ直させる役ではないかと思っています。<囲み取材より>

苦悩で下を向く瞬間が多い役だったので、撮影中はその気持ちに引っ張られることはありました。作品によっては重いシーンもあれば、明るく楽しいシーンのあるものもありますが、(『凪待ち』は)撮影中ずっと同じ思いをひっぱって演じられたのは楽しかったですね。

笑顔はないんですけど、最初の方に少しあるんですよね。(ハイタッチしながらニヤリと。)(笑)この役でハイタッチがあるという時点でちょっと合わないんですよ。

白石:そういえば最初にハイタッチのこと聞かれましたよね。どういうテンションでやるのかが難しいと。とにかくやってくださいと言いましたが。

香取:今からみなさんご覧になるんですよね。ハイタッチ、ありますから!

白石:辛い気持ちが沈殿して行く役なので、お願いしていてなんですが、申し訳なかったですね。

香取:撮影が終わったら白石監督に飲みに連れて行ってもらうとか、そういうご褒美は一切なかったですよね。終わって、ホテルに帰って、シャワーをしてすぐに出発!みたいな、素晴らしい働き方改革ですよね(笑)


nagimachi-bu-di-240-1.jpg■香取と白石監督、人生の大勝負はいつ?

白石:僕は20歳でカチンコを叩いていた(映画を撮っていた)のですが、もうやめようかなと思ったとき、小さな自主映画を撮ろうとして貯金をはたき、博打を打ちましたね。将来、香取さんと仕事をすると、あの頃の自分に教えてやりたいですね。

香取:人生で大きな勝負は・・・まだしていないですね。こんなに色々なことがあったのに(笑)。30年以上の芸能生活で、まだ勝負していません!これから、人生の大勝負に出たいと思います。


初タッグの香取と白石監督の撮影秘話

香取:自分ではそう思っていないけれど、周りから聞くと(撮影中は)案外、役の中に入ってるんですよね。こち亀(『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 〜勝鬨橋を封鎖せよ!〜』)の両さんのときは普段からそんな感じだったし、サルの孫悟空(『最遊記』)の時は、普段からサルの感じとか。それぞれの監督が(撮影現場で)違う僕を見てくれているんですね。「おい何待ちだよ〜」って言っていましたね。

白石:(『凪待ち』の香取は)ちょっと休憩に入ったら、ベンチに座って競輪新聞を読んでましたね。
香取さんは、シンプルな映画のことを分かっているんです。カメラと被写体の関係性と言うと難しいのですが、僕の指示を瞬時に分かって、バチっと決めてくれる俳優的な技術力がものすごく高い方でした。

香取:すごく褒めていただいて喜んでいるんですけど、「褒めてもらって喜んでもらっている顔になっちゃってるよ〜」みたいな感じでお客さんクスクス笑ってますよ(笑)。

白石:最初に「暴力をできる限り封印して、ヒューマンドラマを撮りたい」と宣言して撮り始めたのですが、香取さんがお芝居をしながら僕を誘ってきて、ついつい脚本には1行しかないところを5行ぐらいにして乱闘シーンをしたり。そういう意味ではいじり倒させていただきました。<囲み取材より>


nagimachi-bu-ka-240-2.jpg■次に白石組で撮るならどんな役をしたい?

香取:本当に素敵な監督で、この作品に参加できて僕は幸せ者だなと思っていますから、白石組を見たら「また香取慎吾がいる」と言われるようになりたいです。先ほど監督に最近の仕事を聞くと、「今、これやってまーす」と言われ、俺入ってないんだなと思って・・・(笑)

白石:いやいや、もう、ぜひ!なんでもやるということなので。確かに今までもサルとか、忍者とか、なんでもやるというのは間違いないですよね。

香取:なんでもやりますよ!(笑)


■『凪待ち』の注目ポイントは?

白石:途中で郁男が「そこにきてビールをプシュッと開けちゃうの?」というシーンがあるのですが、そのシーンの郁男の表情に撮影中、ゾクゾクしながら一人でほくそ笑んでいたので、それをぜひ感じてほしいですね。

香取:映画全体で僕の演じた郁男は色々な感情や周りの人間から逃げる男ですが、無意識の中で勝手にそうなっていると思うのです。何かそういうことが起きそうな話の時の僕が自然にちょっと後ろに下がったり、その瞬間に下を向いたり。自分で決めてやっているのではなく、言葉だけではなく感情が勝手に体を動かしているんです。そんな(感情で)動いている細かい郁男の描写を見てもらえたらうれしいですね。


■観客のみなさんへのメッセージ

白石:一年前、撮影真っ最中だったのですが、ようやくみなさまにお届けできる日がきました。心の中に波が立つ社会や出来事がたくさんありますが、多くの人に凪が訪れますようにという気持ちを込めて作りました。

香取:本当にこの作品に参加できて幸せに思っています。撮影は一年前で、昨年10月完成したものを見た時から6月28日の公開を心待ちにしていました。みなさんの心にどこかひっかかるものがあれば、ぜひ広めてください。
 


<作品情報>

nagimachi-550.jpgのサムネイル画像

『凪待ち』

(2019年 日本 124分)
監督:白石和彌
出演:香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー他
公式サイト → http://nagimachi.com/


(写真:河田真喜子、文:江口由美)

 

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