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関西弁にチャレンジの井浦新、聖地・大阪の観客を前に感動と緊張!『ニワトリ★スター』大阪完成披露舞台挨拶

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関西弁にチャレンジの井浦新、聖地・大阪の観客を前に感動と緊張!『ニワトリ★スター』大阪完成披露舞台挨拶
(18.2.11@大阪カンファレンスセンター)
登壇者:かなた狼監督、井浦新、成田凌、紗羅マリー、シャック、マグナム弾吉
 
バイオレンスもエロもあるけれど、実はとてもロマンチック。役者が全てをさらけ出し、混沌の世界に一筋の希望を見出す物語を体現したバイオレンス・ラブ・ファンタジー『ニワトリ★スター』が、3月18日からヒューマントラストシネマ渋谷、3月24日からシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、今春元町映画館、他全国順次公開される。
 
<ストーリー>
深夜のバーでアルバイトをしながら大麻を売買する草太(井浦新)と、自由奔放で破天荒な楽人(成田凌)は東京の片隅にあるギザギザアパートで同居しながら、きままに暮らしていた。楽人は覚せい剤中毒で6歳の息子を抱え、DVの恐怖におびえるかつてのバンド仲間、月海(紗羅マリー)と再会し、月海と彼女の息子を支えたいと願うようになる。街の不良たちを陰で操るヤクザの八田清(津田寛治)の陰謀を感じ、大麻売買から足を洗って実家の大阪に戻ることを決意した草太は、楽人と喧嘩別れをしてしまうが、東京に残った楽人は仕事欲しさに八田の元を訪れてしまい…。
 
前日の東京完成披露試写会に引き続き、撮影地でもある大阪で行われた完成披露試写会では、かなた狼監督、草太役の井浦新さん、楽人役の成田凌さん、楽人と深い縁を持つ月海役の紗羅マリーさん、バーのママ、中年ゲイカップル、菊役のシャックさん、熊役のマグナム弾吉さんが登壇。かなた監督の地元である大阪での初披露とあって、全編関西弁で挑んだ井浦は緊張の面持ち。かなた監督からキャストへの言葉には笑いあり、感動あり、そして涙あり。ここから羽ばたくという決意を込めた舞台挨拶となった。その内容をご紹介したい。
 

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■かなた監督が吹き込んだ台詞を2ヶ月かけて完コピした関西弁。(井浦)

井浦:この作品の生まれた場所で、皆さんに見ていただくのはうれしい気持ちと、少し緊張している気持ちもあります。普通の作品では言語指導が必ずありますが、狼組だから指導してほしいと言う訳にはいかない。その代わりに、「草太の台詞を全部監督の声で録音したデータを僕にください」とお願いし、2か月間24時間、ヘッドフォンで監督の声と共に過ごしました。睡眠学習のように、寝る前にイヤホンをして、監督の声を聴きながら寝たりするものだから、家族とも離れて寝ていましたね。現場でもちょっと音程がずれるとかなた監督からチェックが入ったのですが、撮影がはじまると自分では全く気にならなかったです。監督のほぼ完コピできたつもりなので、映画の関西弁がマズいのなら、それは監督の関西弁がオリジナルすぎるということです(笑)
 
かなた監督:僕が物語を書き始め、これを映画にすると伝えた時から、新は「わかりました」と言ったきり、ずっと待ち続けてくれました。関西弁を話すこと、世間が持つ井浦新の少しクールなイメージを一切封印するという大きな十字架を背負わせましたが、彼はやり遂げてくれた。新は決着をつけたいような関係、結局(この作品を一緒にやっても)決着はまだだけれど、遠い先にまたやるかもしれない。とにかく、この作品でまた(二人の新しい関係が)始まりました。

 

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■楽人を演じたというより、「2016年の夏をただ草太と一緒に生きた“良い思い出”」。(成田)

成田:2016年の夏をただ一緒に生きていただけなので、代表作と思える作品になっていると思うだけでなく、他の作品とは少し距離がある気がします。「ただ過ごした」ということにしたい。草太と楽人として過ごした、スタッフさんたちと一緒に過ごしたあの日々を「すごく良い思い出」という気分に収めておきたい。まだ作品を観ても、一切客観的に観ることができないし、初号を観た時にも、僕と新さんは一切目を合わさず一番遠い距離にいました。まだ誰とも感想を言い合えてないですね。
 
かなた監督:映画を作る時、最初は真っ裸の状態からはじまるので、逆に今は精神的に服を着てしまって、お互いにぎこちなさがある。凌は「楽人をやるのは俺しかいません!」と言い切り、この作品に全てを捧げ、僕らも現実かどうか分からない瞬間が多々ありました。この世ではないことを延々と話し、草太、楽人としてその期間を生きた。今、井浦新と成田凌が一緒にいるけれど、あの時の草太と楽人には二度と会えない。映画の中にはいたけれど、もうここにはいない。「あの夏」という言葉が僕達には相応しいのでしょう。

 

■撮影前、人生をさらけ出したワークショップがあったから、本当に辛いことを乗り越えられた。(紗羅)

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紗羅:何年も前に東京の代々木公園で5分会っただけの私に、いきなりかなた監督からインスタのメッセージで出演依頼をされました。すごく大きな気持ちを受け、とても難しい役でしたが、やってみようと決意。撮影前に凌君と私と監督の3人のワークショップでは、「凌と手を繋いで、見つめ合って、人生全てを語れ」と2時間密室で見つめ合いながら、親にも言えない悩みや人生で辛かったこと、嬉しかったこと全てをさらけ出しました。その上でこの作品に臨んだおかげで、「できないかも」と思う瞬間や、本当に辛いこともなぜか乗り越えられました。120%の力を出し切ることができたと思います。
 
かなた監督:役者とはすごく危険な仕事。違う人格になるし、全てがポジティブな人格ではないので、不安定な状態を保たなくてはならない。役者に「精神の世界の深いところに飛び込め」と言うのと同時に、何かあった時に救出に行くのも監督の仕事。ワークショップで心の深い悩みを一緒に聞いたので、本番で行き詰った時にも見えない関係性で声をかけることができる。だから、あの時聞いた話は、3人の秘密。この作品をやれば、絶対何かが変わったと思う。

 

■20年来の友人シャックと、30年来の友人マグナム弾吉の出演秘話

シャック:東京で10年以上役者活動をしていて、かなた監督の短編にも出演していました。10年前に映画を作る時は声をかけると言われていたけれど、音沙汰がなくて。でも「お前の役を作ったから」とオカマの菊という素晴らしい役をやらせていただいて、本当に感謝しています。
かなた監督:20年来の友達で、いろいろありました。愛してるよ!
マグナム:かなた監督とは30年来の友達。人生で大分弱っている時に監督へ電話すると、「映画を撮るけど、役があるから出てくれへんか」と。自信を取り戻すことができたので、これからもがんばっていきたいと思います。
 

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■色々なことをやり、彷徨い、やっと居場所を見つけた。(かなた監督)

かなた監督:46歳で初監督ですよ。色々なことをしてきたけれど、今振り返れば彷徨っていた。魂の置き場、居場所がやっと見つかったと思いました。映画作りは、俳優に精神的、肉体的にきつい役作りをしてもらったり、スタッフさん、出資してくださる方、ありとあらゆる方が関わってくださり、それらの努力、忍耐全てを僕が絞り上げ、作品に全て注ぐ。それを皆さんに観ていただく。それができた今、究極の言葉は心からの「ごめんなさい」と心からの「ありがとうございます」しか思い浮かばないんです。自分を支えてくれる家族、仲間、役者や他の人たちの家族の人たちもそうです。そういう皆さんに支えられて映画を作る覚悟が要りました。自分が誇れる人たちと一緒にやれたことで、自分を誇りに思える。今は、勲章をもらったつもりでいます。
 
 

■狭くなってきている表現の幅を、押し返したい。(かなた監督)

かなた監督:この作品は僕の10年間、必死でした。こういう映画を世に出すということはものすごいものを背負わないといけない。過激な作品、暴力な作品と言われもしますが、現実を見てください。現実の方がよほど恐ろしいことが起こっている。現実の方が麻痺していて、逆にコンプライアンスで映画の表現の幅が狭まってきている。だから僕はこういう作品で、狭くなってきている幅を押し返したい。日本には素晴らしい役者や、製作陣がいますので、世界に向けて新しい時代を示していく。僕らの世代は政治や宗教、教育のはざまで、何か役割があるのではないかと思っています。本当にありがとうございました。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ニワトリ★スター』(2017年 日本 2時間15分)
監督:かなた狼
出演:井浦新、成田凌、紗羅マリー、阿部亮平、LiLiCo、津田寛治、奥田瑛二他
2018年3月17日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷、3月24日(土)~シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、今春~元町映画館他全国順次公開
公式サイト⇒http://niwatoristar.com/
(C) 映画『ニワトリ★スター』製作委員会