高橋一生、子供の頃の夢は考古学者。共演したい俳優は「原西さん!」。『blank13』大阪舞台挨拶(18.2.17 大阪ステーションシティシネマ)
登壇者:高橋一生
俳優の斎藤工が高橋一生を主演に迎え、「齊藤工」名義でメガホンを取った長編監督デビュー作、『blank13』が 2 月 24 日(土)から大阪ステーションシティシネマ他にて順次公開される。放送作家のはしもとこうじの実話を基にした家族の物語では、高橋一生演じるコウジが13 年前に突然失踪し、見つかったときはがんで余命3カ月だった父雅人の真の姿に辿り着くまでが、静かに描かれる。主人公の彼女役を松岡茉優、失踪した父親役をリリー・フランキー、母親役を神野三鈴が演じ、斎藤も主人公の兄役で出演。葬儀で父親の在りし日のエピソードを語る友人には、村上淳、川瀬陽太、佐藤二朗、くっきー(野生爆弾)ら個性派俳優や芸人が揃った。
2月17日に大阪ステーションシティシネマで行われた舞台挨拶付き先行上映会では、6000人もの応募が寄せられ、453人が当選。大阪での初の単独舞台挨拶となった高橋一生は上下ホワイトのカジュアルスーツスタイルで登場し、満席の観客から大きな歓声が巻き起こった。
監督兼、高橋演じるコウジの兄役でも出演している斎藤工の監督ぶりについて聞かれると、「最初は助監督が用意スタートと言うけれど、カットは兄役の斎藤さんが現場で一呼吸置いてから言う感じ。まずこちらが演じてみせて、そこから演出をしていだくような作業でした」と現場の様子を披露。
さらに台本をめくると「台詞を丸暗記しなくてもいい」と書かれたページがあり、役者に役作りをゆだねる自由度の幅が広かったことを明かした。そんな高橋が印象的だったのは家族のシーン。「家族の空気感やお兄ちゃん、お母さんとの距離感が測れ、コウジ像を作る助けになった」
コウジが弔問客の語りで亡き父の姿を知ることになる葬儀シーンは、出演者それぞれがアドリブを繰り広げる“何が起こるか分からない”現場だったそうで、「僕は喪主側で、アドリブをする訳ではないけれど、笑いをこらえることはありました。特に(野生爆弾の)くっきーさんは、コウジの立場に立てば『怖い人が来た!』と思いますよね」と、そのインパクトの強さを「だんとつ面白い、狂気!」と表現。この撮影が初対面だったというくっきーとのエピソードを聞かれると、「撮影の帰りにいきなり車を貸してほしいと言われました。足利で撮影、東京に帰るのに2時間かかるのに。正直に『ごめんなさい』と言いましたが、冗談だと分かって驚きました」。また、村上淳が棺を覗き込んで歯を抜こうとしたアドリブシーンでは、「斎藤さんの方を見て、何かあったら動くつもりでいました。お兄ちゃん、どうするって感じでした」とまさに息をのむような思いで見守っていたという。
コウジが野球選手になるのが夢だったことから、子どもの頃の夢を聞かれた高橋は、「ピラミッドの中の通路に捨てられたバナナの皮がなかなか腐らないと小学校の頃何かで読み、ピラミッドへの興味から考古学者になりたかった。僕にとって吉村作治さんはヒーロー」と意外な一面を披露。さらに、今後共演したい俳優の話題になると、「原西さん!」と即答。「一日、劇場でずっとは原西さんを見続けていたい。大好き!いつか何らかの形でご一緒できれば」と熱烈ラブコールを送った。
フォトセッションの時、声援に手を振りながら応えていると「キャァー」と黄色い声が飛んだことに感動した高橋は、「ぼくもキャァーを言う側に回りたい!」と咄嗟に舞台を降りて最前列に座るアドリブも。観客の熱気も最高潮のうちに終わりの時間となった舞台挨拶。最後には、「映画を観終わった皆さんとこの時間を共有できて本当にうれしいです。僕達は映画を作り、その映画を観てもらうこの空間でなければできない時間を共有するのが映画館。この作品を観て、それぞれの中にひっかかりを持って帰ってもらったら、(僕が)お芝居をしていて一番うれしい瞬間です。この作品は皆さんの想像力を刺激する作品ですし、それを提示できたと自負しています。これからもそんな作品に出演していきたい。また観たかったら、(劇場に)来てください」と高橋が感激の面持ちで挨拶し、観客と心が一つになれるような温かい舞台挨拶が終了した。主人公の子供時代と2つの時代を行き来しながら綴る家族の物語。対照的な二つの葬儀から在りし日の人間関係を感じさせる演出も印象的だ。
(江口由美)
<作品情報>
『Blank13』
(2017年 日本 1時間10分)
監督:齊藤工
出演:高橋一生、松岡茉優、斎藤工、神野三鈴、リリー・フランキー他
2 月 24 日(土)から大阪ステーションシティシネマ他にて順次公開
公式サイト → http://www.blank13.com/
(C) 2017「blank13」製作委員会