『ポプラの秋』中村玉緒記者会見
・(The Letters 2015年 日本 1時間38分)
・原作:湯本香樹実『ポプラの秋』(新潮文庫刊)
・監督:大森研一 ・音楽:清塚信也
・出演:本田望結 中村玉緒 大塚寧々 村川絵梨 藤田朋子 宮川一朗太 山口いづみ 内藤剛志(特別出演)
・2015年9月19日(土)~シネスイッチ銀座、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、9月26日(土)~京都シネマ、109シネマズHAT神戸 ほかにてロードショー
・公式サイト⇒ http://popura-aki.com
・(c)2015『ポプラの秋』製作委員会
~現代人の心を癒す不思議なおばあさんと天国への手紙~
9月19日公開の映画『ポプラの秋』(大森研一監督)に“不思議なおばあさん”役で出演した中村玉緒(76)が18日、来阪。主役を務めた子役の本田望結ちゃんと65歳差の共演を「ホントに楽しかった。これで望結ちゃんも映画好きになってくれるでしょう」と充実の笑顔を見せた。
―――最初のご挨拶
中村玉緒「皆さんとお会いするのは鴈治郎襲名披露の時以来でしょうか? ご無沙汰いたしております」。
―――10歳(撮影時)の本田望結(みゆ)ちゃんと共演でしたが?
玉緒「今の子役の方はすごいですね。望結ちゃんは10~11歳で大人と子供の間ぐらいだったんですが、リハーサルと本番では全然違うんです。本番に強いんですね。家族の皆さんも良くて、望結ちゃんのお母さんにもよくしてもらいました。撮影から1年会ってないので、舞台挨拶が楽しみです」。
―――気難しいおばあさん役は普段のイメージとは違いますが、役作りの苦労は?
玉緒「苦労はしていません。映画は大好きなので、ホントに楽しくやらせてもらいました。年代的に無理はしません。綺麗にとかシワ伸ばしたりとかせず、普通にやれました」。
―――映画が合う、ということですか?
玉緒「ええ、テレビとは大きさが違いますね。カメラのことではなくて、ワンカットワンカット、丁寧に撮っていて、お天気待ちしたりする。みんな座って、ご飯食べたり、おやつをみんなで持ち寄ったり、映画でないと味わえないことがいっぱいあります」。
―――勝新太郎さんが亡くなって20年近くたちます。様々な思いがあると思いますが、一番の思い出は?
玉緒「うーん、あまりにも波乱万丈だったので…。でも(思い出は)楽しい面しかありませんね。子供を2人ともインターナショナル(アメリカンスクール)へ行かせましたが、これは勝の考えです。今でこそ、みなさん行かせますけれど、当時は少なかった。主人がハリウッドに出たかったんでしょうね。私も出てほしかった。それで、子供に英語を習わせたんでしょう。私は今、韓国ドラマが大好きですが(笑)」。
―――女優生活は長い?
玉緒「私は22歳の時から映画に出ていますが、現役のままでどんどんやっていきたい。先ごろ“着物の作家”として25年目を迎えまして、東京で記念のパーティーをやったんですが、私は芸能生活何周年といった催しはやりません。だから、望結ちゃんも女優だけ、というんじゃなくてスケートもどちらも“二足のわらじ”でやってもらいですね」。
―――映画では「手紙を天国に届けるおばあさん」ですが、私生活で手紙は?
玉緒「手紙は書きますよ。主人と夫婦げんかしたら、別れそうになるから手紙がいいんです。今でも、親子の間では手紙が多いです。娘は“ありがとう”とか“ママ、今日は疲れたでしょ”とか書いてくれます。メールはいまだに書けないのでね。前は日記も書いてたけど、あれは悪いことが出来なくなる。パチンコばっかりしてたことなんか書けませんわね(笑)。家計簿も付けてましたが、最後は赤字ばかりになって、やめました。小学校時代は初恋の人に手紙出したかったんですが、字が下手なので出せませんでした(笑)。でも、文字っていいものですね。兄とは近所なんですけど、メモ帳に書いて渡してます」。
―――娘さんのメモは残してますか?
玉緒「ええ、引き出しに入れてます。読み返してないから、溜まってますが」。
―――映画ではお棺に手紙を入れてましたが、何を入れたいと思いますか?
玉緒「入れないのがいいでしょう。出来るだけ軽い方がいいと思う」。
―――望結ちゃんは勝さんのこと知ってましたか?
玉緒「彼女のおばあちゃんがちょうど私と同じぐらいで、ご家族から座頭市などの話を聞いてたようです。望結ちゃんは初主演で現場の雰囲気がものすごく良かったんで、これで映画が好きになったと思いますよ。昔“子役は育たない”というジンクスがあったけど、今はない。望結ちゃんは今で良かった」。
―――天国に持っていきたいものはありますか?
玉緒「持っていきたいものはありません。生きてるうちに全部やっときたいと思います。主人には会いたいと思います。天国か地獄か、どっちにいるか分かりませんが(笑)。地獄にいても会いに行きたいです」。
―――最後にお客さんに『ポプラの秋』のアピールをお願いします。
玉緒「とてもさわやかな映画です。こんな人(おばあさん)が都会にも身近にいてくれたらいいのになあと思います。ストレスが多い世の中、みなさんのストレス解消、はけ口になりますように」。
★『ポプラの秋』
大好きだった父を突然亡くした8歳の千秋(本田望結)は母(大塚寧々)と2人でポプラの木のあるポプラ荘に引っ越す。そこで会った大家のおばあさん(中村玉緒)は“天国に手紙を届ける”不思議な配達人だった。千秋は死んだ父に伝えたかった溢れる思いを手紙に綴っていく。父に届く、と信じて…。
『夏の庭‐The Friends』『岸辺の旅』の湯本香樹実のロングセラー小説の映画化。フィギュアスケートでも注目の本田望結の映画初主演作。映画出演100作を越える大ベテラン、中村玉緒とは65歳差の共演。
原作は97年の発表以来、アジア、欧米など世界10ヵ国で翻訳、出版されている。今年の第18回上海国際映画祭「パノラマ」部門の正式招待作品。現地上映で喝采を受けた。
(安永 五郎)