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男の妄想物語『赤い玉、』高橋伴明監督インタビュー

 akaitama-550.jpg 男の妄想物語『赤い玉、』高橋伴明監督インタビュー

2015年9月10日(木) 十三・シアターセブンにて

・2015年 日本 1時間48分 R18+
・監督:高橋伴明

・出演:奥田瑛二、不二子、村上由規乃、花岡翔太、土居志央梨
2015年9月26日(土)~第七藝術劇場、京都シネマ、10月3日(土)~神戸アートビレッジセンター ほか全国順次公開
公式サイト⇒ http://akaitama.com/

・コピーライト:(C)「赤い玉、」製作委員会
 



 ~“盟友・奥田瑛二”主演による男の妄想物語に
  やんちゃな暴れん坊・伴明監督の本領を見た~


akaitama-di-1.jpg高橋伴明監督が『愛の新世界』以来、20年ぶりにエロスに挑んだ野心作。人生の半分を過ぎようとする男たちが経験する、「老い」が「性」に追いつく時間と葛藤を、現実と妄想の狭間で描く。主人公の映画監督・時田に奥田瑛二。時田の人生を狂わせる女子高生・律子にオーディションで選ばれた新人・村上由規乃のほか柄本佑。製作に名を連ねている高橋恵子も特別出演している。
 

【物語】
大学で映画撮影を教えながら自分は新作撮影に入れない映画監督・時田は、映画の登場人物のように人生を放浪している。彼の私生活には唯という女(不二子)が根を下ろしているが、時田を虚構の世界に誘うように女子高生・律子(村上)が現れ、時田の人生を狂わせていく…。

 


―――『愛の新世界』以来20年ぶりのエロスにまつわる映画。確かに最近では珍しい。こんな映画なかった、という気がするが?
妄想する主人公・時田の半分はボクであとの半分は奥田瑛二かな。動物は妄想が出来ない。妄想するのは人間だけの特権。女性が妄想しないのはDNAに組み込まれている。現実と妄想の境にいる男の話です。

―――かつては日活ロマンポルノがあり、こういう映画は確実に人気があったものだが?
日本映画に性をテーマにしたものが少ない。時代のニーズではなくなったんだろうね。独立プロも最近は、メジャーみたいになってきてるし、あぶなげなものは出来にくいね。

―――奥田瑛二さんにいかにもぴったりの作品だが、彼とは初めて?
akaitama-2.jpg以前に一度、テレビで仕事している。会いたいということで夕方、飲みながら話したら“学校に教えに来い”という話なら断ると言っていたけど、映画の内容を説明するまでもなく、出演は引き受けてもらった。お互い、共通する部分があった。こういう映画がもっとないといけない、と意気投合した。この映画はR15。これまでR18でやってきたけど、やっぱり制限ないのがいいね。

―――『愛の新世界』では日本初のヘア(露出)映画として話題を呼び、映画史に名を残すことになったが?
あれだけで騒がれ過ぎたね。でもこの映画でもヘア露出はあるし、今では当たり前になったかもしれない。

akaitama-di-2.jpg―――この映画は、最近監督が足場にしていた京都造形芸術大学の“北白川派”の作品ではないが、監督の立場は変わったのか?
映画学科長は来年3月に辞めます。後任はまだ言えないけど、ほかの映画監督が決まってます。これでまた映画を撮れるかな、と。この映画では、学生たちがのべ40人スタッフで手伝ってくれてるし、彼らは相当鍛えられたはずです。

―――最近の学生たちが“監督になりたいと思ってない”という話を聞いて驚いたものだが、そのあたりの事情は?
監督というのは、全責任を負わなくてはならない。学生たちにはそれは大変ですからね。ただ、彼らは早い卒業生でもまだ20代。監督はもっと年とって経験を重ねなくはならないですからね。スタッフとして力をつけてきてはいる。この映画でも、主要なスタッフはほとんど学生がやっている。

―――造形大で言えば、監督志望以上に女優志望で新人がどんどん出てきているようだが?
akaitama-4.jpg 『MADE IN JAPAN こらッ』の大西礼芳(あやか)や、山田洋次監督『小さなおうち』の黒木華(はる)。この映画でも、新人・村上由規乃が頑張ってくれた。彼女は入学式の時から注目していた。度胸がよく、テレるということがなかった。奥田瑛二もすっぽんぽんだったからね。

―――久々に1本撮ったら、次はという期待が高まる?
1本撮ったら、仕事に向けるエネルギーが出てきてね。この後すぐ、2本脚本書きましたよ。1本はオファーあったもので、詐欺師の話。近く撮影に入ります。エロスをテーマにしたものもあります。“赤い玉、”というのはホントの話かどうか、一種の都市伝説みたいなものかも知れない。けど、この年で“オスである”にはどうあらねばならないか、と思ったらホントはカッコ悪いんだと思う。現役でいようとして、カッコ悪く妄想するしかない。

(安永 五郎)

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