主演浅野忠信、二階堂ふみが登壇!『私の男』記者会見レポート
『私の男』(2013年 日本 2時間9分)
監督:熊切和嘉
原作:桜庭一樹「私の男」文春文庫刊
出演:浅野忠信、二階堂ふみ、モロ師岡、河井若菜、高良健吾、藤竜也、山田望叶他
2014年6月14日(金)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー
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(C) 2014「私の男」製作委員会
■「40歳になったらこういう役をやりたい」という想いを存分にぶつけた(浅野)
■今までも、これからも本当に大切な作品(二階堂)
冒頭、軋みながら漂う流氷の合間から、一人の少女が這い上がり、寒さに体を震わせながら時折思い出したように笑みを浮かべる。その少女、花を演じる二階堂ふみの鬼気迫る表情を観ただけで、すごい映画を観てしまったという気持ちが湧きあがった。桜庭一樹のベストセラー小説「私の男」を、『海炭市叙景』、『夏の終り』の熊切和嘉監督が映画化。流氷に閉ざされた北の大地と東京を舞台に、震災孤児の花と彼女を引き取り育てた遠縁の男、淳悟(浅野忠信)との禁断の愛の物語。肩を寄せ合って生きる淳悟と花の誰にも邪魔できない深い絆を、浅野忠信と二階堂ふみが時には退廃的に、時には艶やかに表現し、観終わって独特の余韻を残す。40代の男の色気が漂う浅野忠信の懐の深い演技が、二階堂ふみの演技を役柄同様に絶妙の呼吸で受け止める。一方、あどけない高校生から艶っぽい大人の表情まで、鮮やかに演じ分けた二階堂ふみの存在感は圧巻で、間違いなく彼女の10代における代表作となることを感じさせた。
映画公開に先駆け、大阪で行われた合同マスコミ会見では主演の浅野忠信、二階堂ふみが登壇し、本作や役への思い入れを語ってくれた。まさに作品中の淳悟と花のように、お互いに絶対的な信頼を寄せて演じたことが伝わってくる会見となった。その模様をご紹介したい。
(最初のご挨拶)
浅野:初めて脚本を読んだときに「今の自分ならこの役をできる」と思いました。40歳になったらこういう役をやりたいという想いを存分にぶつけることができ、非常に感謝しています。
二階堂:ぜひこの素晴らしい作品を色々な方に観ていただけたらうれしいと思っています。
━━━「今ならこの役をできる」と思われた理由は?
浅野:20代のときは癖のある役を演じることが多かったのですが、30代で様々な役を演じるうちに、自分の中で明確になっていくことがたくさんありました。もう一度癖のある役を追求してみたかったので、淳悟役は「今の自分はこれをやるしかない」と思えるものでした。
━━━桜庭一樹さんの原作で魅力を感じる部分は?
二階堂:この原作もそうですが桜庭先生の世界観でもある耽美的な雰囲気がとても好きでした。今回、その雰囲気は壊さないまま、映画でしかできない表現をしたいと思っていました。そういった部分を熊切監督が形にしてくださいました。
━━━過去作品は個性的な役が多いように思いますが、個性的な役をオファーされていることについて、どう感じていますか?そして、今後やってみたい役はありますか?
二階堂:個性的な役をオファーされていると思うことは少ないです。花役に関しても、個性的な女の子とは捉えていません。普通の女の子が成長していくにつれて感じるものが変わったり、好きなものが変わったりと、女性であれば皆が経験する部分だと捉えています。撮影現場に行くのが楽しいので、面白いと思える現場に行けるなら、どういう役柄かは気にせずに演じていきたいと思っています。今年で20歳を迎えるのですが、意外と学生の役を演じることが少ないので、淡い青春物語もやってみたいです。
━━━熊切監督の現場を体験されての感想は?
浅野:監督の学生時代からの仲間もたくさんいらっしゃり、コミュニケーションがよくとれていて、すごく助けていただきました。機会があればまた一緒にやらせていただきたいです。
二階堂:私が高校1年生のとき熊切監督とはじめてお会いし、直感的に「この監督と私は絶対に仕事をしなくてはいけない」と思っていました。ずっと想い続けていた監督の現場でしたので、撮影中は本当に幸せに浸って過ごしていました。熊切監督には「この監督のためなら」と思わせる魅力があると感じています。ご一緒できてよかったです。
━━━この作品の中で挑戦したことは?
二階堂:(オホーツク海は)寒かったので、それがなによりの挑戦だったと思います。流氷のシーンも大変でしたが、セットだと絶対に作れない雰囲気が出せてよかったです。
━━━一番観てもらいたいところは?
浅野:淳悟を演じる上で、二階堂ふみさん演じる花が本当に欠かせませんでした。花役が二階堂さんでなければ、あそこまで淳悟を演じきれなかったと思うので、花が成長していく姿をじっくり観てほしいと思います。
二階堂:私の中で、今まででも、これからにおいても本当に大切な作品になりました。私にも浅野さんが演じる淳悟という存在がいなければ出せなかった感情がありました。淳悟と花の、普通とはまた違う愛の形を観ていただけたらと思います。
━━━淳悟と花の親密な関係を演じるにあたって、お二人の間で話し合ったことは?
浅野:映画やシーンについての話をした覚えはあまりないのですが、淳悟としての気持ちを保ちながら、二階堂さんと接していました。そういう接し方が重要だったのだと思います。
二階堂:撮影期間中ずっと、浅野さんが淳悟として接してくださったのを身に沁みて感じていました。そういう雰囲気の中、自分が最近好きな音楽の話や、浅野さんが体験した他の撮影現場はどうだったのかというお話も聞かせていただきました。
(最後のご挨拶)
浅野:僕自身もまた観たいと感じている作品ですし、何度も観ていただけると本当にうれしいです。
二階堂:私の運命の作品であり、勝負作品だと思っています。スクリーンで観ることに意味がある作品になっていますので、映画ファンの方、また色々な方に観ていただけるとうれしいです。
(江口由美)