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『わたしはロランス』出演女優、ナタリー・バイ トーク<フランス映画祭2013>

natali-t550.jpg『わたしはロランス』出演女優、ナタリー・バイ トーク<フランス映画祭2013>

(Laurence Anyways  2012 年 カナダ=フランス 168分 )
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:メルヴィル・プポー、スザンヌ・クレマン、ナタリー・バイ 他
2013年秋、全国順次公開
公式サイト⇒ 
http://www.uplink.co.jp/laurence/

2012年カンヌ映画祭 ある視点部門正式出品 最優秀女優賞受賞
2012年 トロント国際映画祭 最優秀カナダ映画賞受賞

 



〜モントリオールで繰り広げられる、性別を超越した愛の物語〜

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 「ロランス・アリア、あなたは何を求めているの?」
 その問いに主人公は答える。「私が発する言葉を理解し、同じ言葉を話す人を探すこと」

わたしはフロランス-2.jpg  30歳の誕生日を迎えた国語教師のロランス(メルヴィル・プポー)は、美しい恋人フレッド(スザンヌ・クレマン)に打ち明ける。「僕は女になりたい。この体は偽りなんだ」。驚き、怒り、ロランスを激しく非難するフレッドだったが、ロランスの最大の理解者となる決心をする。メイクをし、スカートをまとい、女性としての生活を始めた後も、ロランスはフレッドを愛し、フレッドもロランスの恋人として生活するが、周囲の嫌悪感と好奇に満ちた視線が二人をむしばみ、フレッドはうつ状態に陥ってしまう。

わたしはフロランス-4.jpg  数年後。他の男性と結婚し、一児の母となったフレッドのもとにある日、1冊の詩集が送られる。そこには、変わることのないフレッドへの思いが、ロランスの言葉によって紡がれていた。フレッドは、封印してきた思いを解き、1通の手紙をロランスに送るが…… フレッドを演じるスザンヌ・クレマンは、2012年カンヌ国際映画祭のある視点部門において、最優秀女優賞に輝いた。

 監督は、カナダ、モントリオール出身のグザヴィエ・ドラン。本作の撮影中に23歳の誕生日を迎えた。「生き急いでいる」かのような勢いで撮影された本作品には、ドラン自身の少年時代の体験、愛する映画へのオマージュ、母への思いが凝縮されている。

  心身ともに傷つき、無防備に泣きじゃくるロランスが電話をかけた相手は恋人ではなく、母親のジュリエンヌ(ナタリー・バイ)だった。本編を通して語られるもうひとつのテーマ「親子(母娘)の愛」もまた、もどかしくもいとおしい。(田中 明花)


 映画上映終了後、本年映画祭の団長であり、本作で主人公ロランスの母親を演じたナタリー・バイさんが登壇。笑いのある和やかな雰囲気で、観客とトークを交えた。
 
まず、ユニフランス・フィルムズ東京支局長、バレリ=アンヌ・クリステンさんから質問があった。

natali-t1.jpg―――主人公の母親の役作りはどのように?
母親のジュリエンヌについては、シナリオに細かくしっかりと描かれていました。私からの質問にも、ドラン監督はシンプルに明確に答えてくれました。この作品がドラン監督にとって第3作となりますが、彼は前作(2作品)でも母親との関係を描いているので、それらも参考になりました。私が解釈するジュリエンヌは、夢や希望を持っていたけれど、必ずしも自分の望みどおりにいかなかった女性です。夫との生活は満たされず、息子もまた性別の悩みを抱えて苦しみ、それを見ている自分も苦しむ。しかし、息子が女性として生きることを受け入れるようになっていくと、ジュリエンヌにも変化があらわれてきます。そこに感動を覚えました。

 

 

 (その後、観客からも多く質問が寄せられた。)

わたしはフロランス-5.jpg――― 若手のドラン監督とのお仕事はいかがでしたか?
ドラン監督は、監督だけでなく、シナリオを書き、衣装も担当しました。前作では俳優としても出演する、小さな天才です。俳優たちへの指導も非常に上手く、撮影チームとの関係もよかった。才能溢れる天才肌の方ですから、撮影のときは気まぐれがあるのではないかと思っていましたが、そんなことはなく、とても気持ちよく撮影を終えました。次回オファーをいただいたらぜひOKしたい監督ですね。 

 
――― ドラン監督のような若手を世界に送り出す大きな力が、フランス映画にはあると思います。フランス映画の強みは何でしょう?
フランスは、多様な映画をみることができる国です。日本、アフリカ、インド、台湾、オーストラリア…… さまざまな国から届けられる映画が、フランス人の映画生活を楽しませてくれます。監督たちもこのような環境の中で、自分の作品をつくるので、その結果、フランス映画は多様性に溢れています。それが他の国の人たちにも好まれるのだと思います。

natali-t3.jpg――― 私にも主人公と同じようなトランスセクシャルの友人がいます。日本ではこのような問題(セクシャルマイノリティ、LGBT)に対してまだ閉鎖的ですが、フランスではどうなのでしょうか? ナタリーさん自身のお考えも聞かせてください。
少しずつ変わってはきていますが、フランスでもまだ多くの人にとって恥ずべき話題のようです。私にもゲイの友人がいますが、両親とはそのことについて語らないそうです。実情を知る人がもっと増え、当人も周りの人もそのことを語りやすくなってほしいと思います。
私がこの映画で初めて知ったのは、性転換をした後もロランスのように、性的な趣向は変わらないことがあるということです。ロランスは女性となりましたが、その後も同じ女性を愛し続けました。

 

わたしはフロランス-3.jpg――― 主演のお二人との印象的なエピソードを教えてください。
髪の毛が長く、メイクしたメルヴィルが私に近づいてきたときは、かなり動揺してしまいました!また、足や腕の毛を全部剃ってしまったので、とても痒かったようで、メルヴィルがよく体を掻いている姿をみました。
スザンヌに関しては、監督から「普通ではない」感じを要求され髪をパンク風にしたりと、それを受け入れるのに戸惑っていたようですね。80年代のコスチュームは、ちょっと変な感じがしたものの、一緒に撮影していくうちに、ドラン監督の情熱が伝わり、細かいことを気にせずに幸せな気持ちで撮影できるようになったようです。

 

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