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フレンチ・イケメン登場!『黒いスーツを着た男』ラファエル・ペルソナ(32歳) インタビュー

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フレンチ・イケメン登場!『黒いスーツを着た男』ラファエル・ペルソナ(32歳) インタビュー

~陰のある美しさから“アラン・ドロンの再来”と謳われるラファエル・ペルソナの初来日~

(2013年6月22日(土)東京パレスホテルにて)

(2012年 フランス・モルドヴァ 1時間41分)
原題:Trois mondes
監督:カトリーヌ・コルシニ(『旅立ち』『彼女たちの時間』)
出演:ラファエル・ペルソナ(『アンナ・カレーニナ』『恋のベビーカー大作戦』)、クロチルド・エスム(『美しい人』『ミステリーズ 運命のリスボン』)、アルタ・ドブロシ(『ロルナの祈り』)、レタ・カテブ(『愛について、ある土曜日の面会室』)

2013年8月31日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷、9月7日(土)~シネ・リーブル梅田 ほか全国にて順次公開

配給:セテラ・インターナショナル
公式サイト⇒ http://www.cetera.co.jp/kurosuits/

 (C)2012 - Pyramide Productions ‒ France 3 Cinema

 


 

~成功を掴みかけた男の転落…それは全うな人生の始まりでもあった~

 

kuroisutu-1.jpg 修理工から地道に努力して10日後には社長の娘との結婚式を控えた男が、ひき逃げ事件をキッカケに、人生を見つめ直す物語。これは幸せの絶頂から転落するという暗いお話に終っていない。野心むき出しの強欲さもなく、ある結論へ辿り着いた男の葛藤をフレンチノアールタッチで描出。悲哀を滲ませながらも後味のいい印象を残した男の表情で終わるラストシーンは秀逸。それもラファエル・ペルソナの繊細な演技力の賜物だろう。世界中の女性を熱狂させたあのアラン・ドロン(『太陽がいっぱい』『地下室のメロディー』)の陰のある美しさに、確かに似ている。
 母親がスペイン人で父親がフランス人。《フランス映画祭2013》の特別ゲストとして初来日が緊急決定したラファエル・ペルソナ。フランス映画界に久しぶりに現れたイケメン俳優は、質問にも丁寧に応えて、その美しさ同様に映画への情熱を語ってくれた。

  


 

 

kuroisutu-RP-3.jpg――― 人生の崖っぷちに立つという危機的状況の主人公アルをどのように理解して演じたのですか?
ラファエル:事故前のアルの人生は、親しい友人や母親に囲まれて、成功を掴もうとしていた。ところが、そうした野心も事故で一変してしまい、自分の心の卑怯さに向き合わざるを得なくなる。そこでまず彼がした事は、起きたことの否定。事故後の彼の人生は現実の拒絶から始まり、自分がどのような状況にいるのか、自分の感情すら説明できないようになってしまいます。それを分析してくれたのがジュリエットの存在です。彼女のお蔭で物事がスッキリしてきて、最終的にアルは人生をやり直すことができる訳です。事故というのはパラドックスなものを含んでいて、悲劇でありながら、それは生まれ変わるためのキッカケにもなると理解しました。私自身、アルの神経質な面がありますから、共感することができました。

 

 

――― 本作でとても重要なシーンとなったのが、危機的状況で友人ではなくジュリエットに頼るシーンや母親にお金の無心に行くシーンなど、とても繊細な演技が要求されたと思うが、コルシニ監督の演出は? kuroisutu-RP-1.jpg
ラファエル:最初コルシニ監督のことを恐い人だと思っていました。厳しくて要求がきつい監督だと聞いていましたから。でも、これが男の監督だとそれは長所になるのに、女の監督だとそうはならないのはおかしい。私が監督に望んだのは、対等の関係。上下関係では何も始まらないからです。実は、コルシニ監督は他人に頭を押さえつけられるのを嫌がるタイプで、最初は抵抗していましたが、次第にお互い尊敬し合えるようになってきて、上手く関係を築いていくことができました。

 

kuroisutu-RP-4.jpg――― 監督自身心情的変化を繊細に撮る監督ですが…?
ラファエル:確かにその通りの監督です。時には私の心が揺れ動くようなこともありました。特に私が感動したのは、母親役の女優さんが演じるシーンです。セリフではなく、体から感じ取れる演技をしてくれました。去年のカンヌ映画祭に出品作で、重くて厳しい内容ですが、この作品を通じて深いところで理解し合えたと思います。プロとして尊敬できる監督といい仕事ができたと思っています。

 

――― アラン・ドロンの再来と言われ、「美しい」というのが持ち味になっているが、「美」には「正義の美」もあれば「悪の美」もある。今回の役は「もろさ、弱さ」を持った美しさだと感じたが、それは自分に近いものですか?
 kuroisutu-RP-2.jpgラファエル:人というのは、内面を知らなくても動物的感で外見だけで読み取れることがあります。主人公のアルの人生は万事順調だったのに、事故によって全てがダメになってしまう。自分の意志で成功への努力をしてきて、母親はそんな息子をとても誇りに思っています。フランスでは、母親が息子を誇りに思うかどうかはとても重要なことです。私自身も母親にはそう思ってほしいと願っていますので、その点では自分に近い人物のように感じました。でも、演技する前にあまりキャラクターを分析してしまうと、撮影中の突発的演技が出て来なくなります。シナリオにはなくても、例えば、車の中で感情を爆発させるシーンがあるのですが、それはアドリブでして、スタッフがとても怖がっていました(笑)。

――― そのシーンは、アルという人物の感情に共感できるいいシーンでしたね?
ラファエル:誰にでもそういうことは起こり得るのです。

kuroisutu-RP-5.jpg――― “アラン・ドロンの再来”と言われて笑っていたが、その言われ方は自分に合っていると思いますか?他の表現をするとしたら?
 ラファエル:合っているとも何とも言えません(笑)。他人様が言って下さることなので、そう言われることを光栄に思っています。ただ、意識してアラン・ドロンのような生活を送っている訳ではありません。普通に自分の人生を生きているだけです。でも、ありがたく受け止めています。


 


 

kuroisutu-RP-7.jpg今回のインタビューは、ラファエル・ペルソナのあまりの美しさに緊張してしまい冷や汗ものだったが、さらに「しゃべり過ぎてすみません」なんて謙虚に言われたり、写真撮影にも快く応えてくれたりと、なんてフレンドリーでいい人なんだろう♪  誰しもメロメロになるに違いない! と、久しぶりのフレンチ・イケメンを間近にして、ひとり盛り上がってしまった。この日はランチに懐石料理を食べに行き、その美しさと美味しさに、「こんなの初めて食べる!」とひたすら感動していたらしい。

  『アンナ・カレーニナ』にも出演。『黒いスーツを着た男』を皮切りに、『恋のベビーカー大作戦』はWOWOWの《W座からの招待席》で、放送前に全国特別無料上映会が開催される。他にも出演作が目白押しの大注目株!久しぶりのフレンチ・イケメンの登場である。

(河田 真喜子)

 


 

★【カトリーヌ・コルシニ監督からの特別メッセージ】

陰のある主人公アルの表情といい、夜の撮影といい、構成力も素晴らしく、ひき逃げ事件という悲劇から始まった物語が、最後は後味のいい映画となっている『黒いスーツを着た男』。当初予定されていたカトリーヌ・コルシニ監督のインタビューが中止となり、シネルフレの質問に対し、特別にメッセージを寄せてくれた。

――― 幸せを掴む直前に罪を犯してしまった主人公が、迷いながらも罪から逃れることなく、良心に従ったところに感動しました。犯罪組織の一員でありながらそうした行動をとった主人公の変化がこの映画の一番大きなポイントだと思います。それを表現するのに、どのように考えて演出したのですか?
 kuroisutu-2.jpgコルシニ監督:ジュリエットが近付いたから、真実を知っている女を前に嘘を続けられなかったのです。つまり、ジュリエットは、イライラさせる存在だけど、天使のようにアルを見離さない女なんです。

――― 被害者の妻ヴェラの存在が、アルとジュリエットを追い詰めているように感じられましたが、それは罪の大きさを実感させるためでしょうか?それとも、アルとジュリエット、ヴェラという3人が、現状からより落ち着いた生き方をするキッカケとして対比させたのでしょうか?
コルシニ監督:観客に、彼らの苦しみを実感してもらいたかったからです。

――― その3人のキャラクターや立場や気持ちの変化が繊細な表情で汲み取れましたが、具体的に俳優たちに演出指導したのですか?
コルシニ監督:俳優の頭の中で起きていることを、表情に出すように求めました。
 


*3回目の来日となるコルシニ監督は、実にオトコマエな方で、大の日本びいきで、夜も居酒屋へ飲みに行ったり、漫画ショップへ行ってお土産用にフィギアを買ったりしていたらしい。

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