『コドモ警察』福田雄一監督合同記者会見
(2013年) 日本 1時間41分)
監督:福田雄一
出演:鈴木福、勝地涼、マリウス葉(Sexy Zone)、本田望結、吉瀬美智子、鏑木海智、青木勁都、秋元黎、相澤侑我、竜跳、上地春奈、本田力、北乃きい、山本裕典(友情出演)、神尾佑、鈴木亮平、宍戸開、小野寺昭 他
2013年3月20日(水・祝)~TOHOシネマズ梅田 他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://kodomokeisatsu.com/
© 2013映画「コドモ警察」製作委員会
~“舌っ足らず”の福くんに負けない!? 福田監督の爆笑トーク!~
石原裕次郎ばりにブランデーグラス片手にキザなセリフを連発するデカ長に扮した、舌っ足らずが可愛い鈴木福くん(8歳)の映画初主演作。
悪の組織レッドヴィーナスが開発した特殊ガスによって子供にされてしまった神奈川県警特殊捜査課のエリート刑事たちは、形(なり)は子供でも中身は大人。言うこと為すこと生意気なガキの集団にしか見えないが、刑事としては優秀そのもの。ただ、時々、完全に子供の世界に陥ることがあるのがネック。新たに赴任してきた国光(勝地涼)が、大人にしかできないことをこなす。“新人”とこき使われる様が可笑しい。
まるで“名探偵コナン”が沢山いるみたいだが、デカ長をはじめ、マイコやナベさんやブルなど、懐かしい刑事ドラマで活躍したキャラクターと重なり、刑事ドラマパロディー決定版としても大いに楽しめる。コドモ刑事たちレギュラー陣に加え、スペシャルゲストとして、北乃きい、山本裕典、小野寺昭などが参加し、大人に戻れない刑事たちを翻弄する。
本作の監督を務めた福田雄一監督に、本作の魅力や製作現場について大いに語ってもらった。
――― 基本になったドラマは?
『西部警察』『太陽にほえろ!』『あぶない刑事』をグルグル混ぜたものです。
――― 子供たちは刑事ドラマを見たのか?
見せてないです。福くんだけには見てくれるように言ったら、オリジナルではなく、ものまねタレントの“ゆうたろう”の方を見ていた(笑)。“ゆうたろう”さんの真似は凄く巧いですよ、ブランデーグラスの持ち方とか…(笑)。まあハズレじゃないからいいか!と(笑)。
――― 潔いまでのドラマ性の無さは?
サスペンスをヘビーにしても得がない。別に謎解きしてほしい訳でもなく、笑いに集中するには出来るだけシンプルにしたかった。でも、大人が持つ哀愁滲む人間性を子供が演じるとギャップがあって面白いなと。途中から普通の刑事ドラマの形式にして、全部子供がやっているという方が興味を持たれると思いました。
――― 子供が大人を演じることで、逆に子供らしさが強調された?
わざと言い辛い言葉を使って、ドラマの最初からその舌足らずを狙いました。特に、福くんは「神が与えた舌足らず」だと思ってるんですが、言えるかどうかの瀬戸際が可愛くて堪んないですね! いつまでああいう感じでいてくれるか心配です。ドラマから映画の撮影まで6か月あったんですが、福くんの滑舌が良くなってたらどうしよう?と心配していたら相変わらずで「良かった~!」と(笑)。親御さんや事務所の方は福くんの滑舌の悪さを心配していましたが、僕はそれが狙い通りでとっても嬉しかったですね。
――― 川で遊ぶシーンでは?
「素手で魚を捕まえたいという野望すら抱きつつある」なんて大人でも言わないセリフをわざと入れて(笑)、川の音が入って録音は使えなかったので、アフレコで言い直してもらったら、スラスラと言っちゃって――「演出家としてここは譲れない」と福くんにわざわざタドタドしく言い直してもらいました。福くんはどっちでも言えるんだ…凄~い!と思いました(笑)。
――― キャスティングについて?
子役っぽくないことが絶対条件。子役ブームで、「大人顔負けの~」というのに疑問を持っていました。子供は子供らしさが一番だと思うので、「子役に対する挑戦状!」でもあります。初めて福くんに会った時、ホント無邪気で子供そのものでした。福くんのご両親が偉いなと思うのは、学校へちゃんと行かせて、友達と遊ぶという健全な子供として育てていることです。また、デカ部屋にひとりちゃんとセリフ言える子が必要だったのですが、そんなのいないだろう?と思っていたら、ナベさんこと鏑木海智を事務所さんが100%の自信を持って推薦してくれました。他の子供2人が喋ったらナベさん、というローテーションでいくと、全体が引き締まって、さすが100%の自信!と(笑)。
――― スマートを預かる武藤夫婦の強烈なキャラについて?
あれはウチの夫婦がモデルです(笑)。特に、母親役は、言葉が乱暴で、モコモコのフリース上下を着ている恰好まで同じなんです。息子も「うわァ、ウチのママだ!」と言っていました(笑)。この作品については、珍しく妻も褒めてくれました。
――― 子供たちからもアイデアを?
福くんからよくアイデアをもらいました。例えば、「デカ長がデスクでメモってるつもりが、実は落書してた!」とか、「ついついガチャガチャしに行っちゃって、全然止められない!」とか。形(なり)は子供だけれど大人なんで、お金はいっぱい持っていてガンガン行っちゃう!みたいな感じで(笑)。既に、Part.2に向けてのアイデアはできています。
――― 現場での子供たちの様子は?
生活のサイクルが違うので大変でした。子供は制御するということを知らないので、休みなく遊んで、その内にバテてきちゃう。そんな時、「あと何カット撮ったらご飯だから、頑張ろうね!」と(笑)。さらに、夜7時になると眠くなるんですよ! 特にイノさんこと青木勁都は食べることへの執着は半端じゃないし、眠くなるのも早いんです。眠くなった顔で芝居をするんで、「もうちょっと起きてようね~」と励ますんですが、気が付くと寝てるんですよ(笑)。「はい、起きて!」と起こすと、今起きました!という顔で芝居するんです(笑)。勝地君がずっと子供たちと遊んでくれてましたね。ご飯も一緒に食べて、凄いですよ、彼は! とにかく、僕と勝地君は完全になめられてましたね。初対面の時から、この監督はなめていい大人だと思われていましたよ、きっと!(笑)
――― エナメルは?
エナメルこと相澤侑我は、1回も敬語を使ったことがない!ずっとタメ語でした。僕がモニター覗いてると、「あのさー」と肩に手をかけてくるんです。「てめぇこの野郎!」(笑)。恐縮する親御さんに、「楽しいのでタメ語でいいんですよ。注意しないで下さいね。」と。「でも、他の現場では気を付けて下さいね」と言いましたが(笑)。
――― 望結(みゆ)ちゃんは?
ドラマの時はまだ子供っぽかったんですが、映画では急に色っぽくなっちゃって、驚いてるんです。
――― お笑いは子供の頃から?
小学生の頃から「お楽しみ会」のトリを譲ったことがない!(笑)。5~6人のメンバーを集めてコントをやっていました。先生からも次第に期待値が上がっていきましたね(笑)。
――― テレビっ子だった?
父親の影響で小さい頃からテレビっ子でした。『ザ・ドリフターズ』と『オレたちひょうきん族』がかぶった時には、どっちも見たくて、当時まだ高価だったビデオデッキを父親が買って来たくらいです。
――― 大阪の笑いは?
僕は栃木県出身でして、大阪に来ると「田舎もん」とバカにされているような気がして、死ぬほど緊張します(笑)。舞台で来ることが多いのですが、大阪の人は笑いに厳しいので怖いです。
――― 客の反応は違う?
大阪の方はよく笑ってくれます。しかも、笑いの作法をよくわきまえておられ、芝居のリズムが壊れなくて済む。笑うタイミングと笑う時間をよく分かっておられるようです。鋭角な笑いと言いましょうか、東京とは違いますね(笑)。
本編もさることながら、“爆笑メイキングフィルム”でも見ているかのような面白さで語ってくれた福田雄一監督。福くんをはじめとする出演した子供たちを、心底可愛いと思っている様子がよくうかがえた。誰よりも子供らしい可愛らしさを知り、それを笑いのセンスで活かせるノウハウを持っておられるようだ。あの“舌っ足らずの福くん”の可愛らしさにハマること間違いなし!
(河田 真喜子)