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石原まき子さん語る@『裕次郎の夢 ~ 全国縦断チャリティ上映会』

yuujirou-s2.jpg~「大震災」からの復興へ、日本に勇気を~

東日本大震災からの復興を願って、昭和の大スター、石原裕次郎さんがもう一人の大スター、三船敏郎さんと手を組んで作り上げた大作「黒部の太陽」(68年=熊井啓監督)の全国縦断上映チャリティ上映会を関西9ヵ所で開くことになり23日、石原プロ代表で裕次郎夫人の石原まき子さんらが来阪会見し、趣旨や上映日程などを説明した。裕次郎さん没後25周年の特別企画で「44年前にこんな凄い映画があったということを知ってほしい」とまき子さん。
 今年3月、東京を皮切りにこれまで47ヵ所で4万人近い観客を動員、最終的には全国140ヶ所、12~13万人を動員する見込み。関西では8月26日の奈良・大淀町、大淀文化会館から9月23日兵庫県明石市の明石市民会館大ホールまで9か所の予定。

yuujirou-s3.jpg映画の冒頭、「敗戦の焼け跡から文明を築いて行こうとする日本人の勇気の記録である」と字幕で説明されるが、まき子さんは「敗戦を大震災に変えたら今も通用します。ぜひ若い人たちにも見て頂きたい」と今回の上映会の意義を話した。
 「黒部の太陽」は、石原プロモーションを立ち上げた石原裕次郎さんと、三船プロダクションの三船敏郎さんが「既成の映画会社では出来ない映画を」と手を組んで、かつてない製作費を投じて作った記念碑と言うべき壮大なスケール、3時間15分の大作。様々な難条件を克服して出来上がった映画は空前の人気を呼び730万人を動員する大ヒットになった。

 yuujirou-s1.jpg製作当時、日本映画界には悪名高い「五社協定」があり、撮影開始までは難航を極めた。予定していた製作資金が突然出資取りやめになったり、映画俳優は会社から出演を止められ、会社からは「出来あがっても公開する映画館はないぞ」と脅かされもした。いつもは強気で知られる裕次郎さんもこの時ばかりは絶望的になり、兄・慎太郎に「どうにもならない」と涙ながらに訴えたという。
だが、映画界のしきたりを初めて聞いた兄が知人に要請したのをはじめ、裕次郎さん人脈で宇野重吉、滝沢修、辰巳柳太郎ら演劇界からの支援を取り付け、映画館も出資した関西電力、熊谷組などが「ホールなら全国で300くらいはある」と力強い励ましもあり、何よりも裕次郎&三船の黄金コンビの固い決意が最後には五社協定を突き崩した。

まき子さんは「私もあの時は男がいったん約束したことをやらないのか、と言いましたが、あの人にもこんな弱いところがあったのか、という思いだった。裕次郎も女房に言われて腹がたったんだと思います」とマル秘エピソードを明かした。
映画は世界第4位のダムを山の中に作る映画で、そのためのトンネルを掘るというだけの行って見れば地味な話だが「水力発電は日本に必要だという強い気持ちが裕次郎を支えていました」と44年前を懐かしげに思い出していた。(安永 五郎)


◆『黒部の太陽』関西上映日程

 8月26日午後1時、3時半  奈良県大淀町「大淀文化会館あらかしホール」
    29日午後1時、6時   滋賀県東近江市「八日市文化芸術会館」
 9月1日午後0時半、5時半  滋賀県大津市「大津市民会館大ホール」
   4日午前10時      ワーナー・マイカル・シネマズ高の原
   5日午前10時      〃
   9日午後0時半、5時半  大阪府枚方市「枚方市民会館大ホール」
   16日午後0時半、5時半 兵庫県神戸市「神戸新聞松方ホール」
   22日午後0時      兵庫県尼崎市「尼崎市文化センターあましん
                       アルカイックホール・オクト」
   23日午後0時半、5時半 奈良県奈良市「奈良県文化会館国際ホール」
   23日午後0時半     兵庫県明石市「明石市民会館(アワーズホール)大ホール」
※チャリティ上映会は「黒部の太陽」と同じく石原プロの「栄光への5000キロ」の2本上映だが、関西は「黒部の太陽」だけの上映。

 

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