「ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1」ジャパンプレミア
(BLACK & WHITE EPISODE1:THE DAWN OF ASSAULT)
(2012年 台湾 2時間8分)
監督:ツァイ・ユエシュン
出演:マーク・チャオ、ファン・ボー、アンジェラ・ベイビー、DEAN FUJIOKA
2012年9月8日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸 他全国ロードショー
提供:アミューズソフト 配給:東映
公式サイト⇒ http://www.bw-movie.jp/
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ドラマ「ブラック&ホワイト」(09年)の監督を務めた台湾ドラマ界のヒットメーカ、ツァイ・ユエシュン監督が、同作で主演を果たしたマーク・チャオを再起用し、「ドラマの3年前」という設定で映画化した「ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1」。公開前に先立って行われたジャパンプレミアに、マーク・チャオとツァイ監督、台湾で活動中の日本人俳優DEAN FUJIOKAが登場し、スペシャルゲストとして日本語吹き替えを担当した寺脇康文も登壇。男だらけの熱い舞台挨拶の模様をお届けします。
(最初のご挨拶)
マーク・チャオ:皆さんコンニチハ、マーク・チャオです。 ヨロシクお願いいたします(日本語)。このような形で日本に帰ってこられて嬉しいです。ドラマをご覧になった方も、(今回の映画で)新たな回答を得られると思いますのでお楽しみ下さい。
DEAN FUJIOKA:リー捜査官を演じたディーン藤岡です。 はじめまして、…ですかね? 「ハーバークライシス〜」で戻ってこられて嬉しいです。映画を是非楽しんで下さい。
ツァイ・ユエシュン監督:皆さんコンニチハ(日本語)。 ここで皆さんにお会いできて幸せです。 映画を気に入っていただけると嬉しいです。
―――ドラマの映画化を知った時の気持ちはいかがでしたか?
マーク・チャオ:実は監督とは仲が良いのに「映画に出ますか?」と一度も話がなく成り行きで出演することになったんです(笑)。アクションシーンも「スタントマン入りますか?」とも言われず成り行きで全て自分でアクションシーンを行いました。毎日ケガしてどのシーンも大変でしたね。
――― 特に大変だったシーンは?
マーク・チャオ:(ビルの)3階建て位の橋から橋の下を通るトラックに飛び降りるシーンでは、19テイクも撮りました。なかなか監督からOKがでなく我慢できなくなって「まだやるんですか?」と聞いたら監督から「これぐらいで疲れたんですか?」と言われました(笑)
――― 色んな国の俳優が出演したグローバルな映画の現場の雰囲気はいかがでしたか?
DEAN FUJIOKA:それぞれの国の違いを乗り越えてコミュニケーションを取って、色々な意見が飛び交って楽しかったです。日本語吹き替え版では自分の役を自分の演技を見ながら吹き替えたのが面白い経験でした。人名とか地名とか、中国語の発音を日本語にする時、発音がおかしくなってしまい吹き替えの監督に何度も直されました。声優の仕事は初めてでしたが、まさか自分を吹き替えることになるとは思いませんでしたね(笑)。
――― 映画にしようと思ったのはいつごろだったんでしょうか?
ツァイ・ユエシュン監督:最初から、ドラマを2シリーズ撮って、映画を撮って完成、という企画が有りました。ところが、ドラマの一作目にお金がかかり過ぎてしまい、ドラマの続編を作るのが厳しくなってしまったんです(笑)。幸い評判は良かったので、予定を前倒して映画を撮ることになりました。
――― 現場でのマークさんとFUJIOKAさんの様子はいかがでしたか?
ツァイ・ユエシュン監督:マークはインタビューでは愚痴ばっか言ってるけど、現場では、何かを頼むと、最初「えっ…」と言いつつも5秒後には文句を言わずにやってくれましたね。先程高い橋から飛び降りた話が出ましたが、あれはまだ高くない方なんです。7階建て位の高さからも、スタント無しで落ちてくれています。マークのおかげでリアルな映像を撮ることができました。 彼は、現場では「大人しい俳優でしたね」笑。DEAN FUJIOKAは、非常にプロフェッショナルです。どんなに難しい台詞も完璧にやろうとする姿勢が素晴らしい。インターナショナルの作品には共通の言語が必要ですが、彼は素晴らしかったです。
――― (日本語吹き替え版を担当した)寺脇康文が登場してご挨拶
寺脇康文:ニホンの皆さんコンニチハ。 寺脇康文です。もう日本語ワカリマセーン。(外国人風な口調で)吹き替えのお話をいただき、てっきりマークさんの役かと思ったら違いました。年齢的に駄目だったようです(笑)。でも私が担当したファン・ボーさんは素晴らしい俳優です。役者からみると悔しいくらいです。「ハーバークライシス〜」は面白くてジェットコースターのような、全編クライマックスという感じの作品です。またアクションだけじゃなく人間味もあるのもいいんですよね。
マーク・チャオ:日本ドラマの『相棒』は、台湾でも放送されていて、誰もが知っています。そんな重鎮に、今回吹き替えを担当していただき、嬉しく思っています。
――― 寺脇さんは吹き替えをやって、何か思い出はありましたか?
寺脇康文:マークさんの役は落ち着いていて、うろたえる事なんて無いんですが、僕がやったダーフーは悲鳴が多いんです。「ウワァー! 」とか、車で飛んでいくところでも、「ウワァァーーーッ!」って悲鳴ばかりで大変でしたね。吹き替え版と比べて観ても面白いと思いますね。
――― 印象的なシーンは?
寺脇康文:個人的にはダーフーが登場するエレベーターのシーンに注目してほしいですね。映画の色、ダーフーというキャラクターの全てがわかると思います。一瞬のシーンなので、見逃さないで下さい。
(最後の挨拶)
マーク・チャオ:今晩はこのような形で、皆さんと過ごせて嬉しいです。この映画をどうぞ好きになってください。これからも努力を続け、いつか日本のクルーと仕事ができれば長く日本に滞在できると思うので願っています。
ツァイ・ユエシュン監督:まずは、このような機会を作って下さったアミューズと東映に感謝いたします。そして、ここにいらして下さった皆さんもに感謝いたします。どうぞ良い晩をお過ごし下さい。
次回作のため、口ひげを携えて登場したマーク・チャオ。ドラマ「ブラック&ホワイト」で俳優デビューを果たしたのち、ニウ・チェンサー監督やチェン・カイコー監督など、そうそうたる名監督に愛され、12年だけでも4本の映画に出演し着実に俳優の地位を確立している彼の輝かしいキャリアの裏には、妥協を許さない演技に対する姿勢があってこそだと、舞台挨拶での監督の言葉、劇中のあらゆるシーンで理解することができるだろう。「こんなこと本当にスタントなしでやっちゃうの!?」というくらいの迫力満点、かつ危険度満載のシーンは息つく暇もないくらい観客を魅了することに成功している。
マークを発掘した生みの親でもあるツァイ・ユエシュン監督と再タッグを組んで臨んだ今作は、劇中同様「男の友情」「信頼」から誕生した、今までにない新しい台湾映画の風を吹き込んでくれた一作、と言っても決して大げさではないだろう。 (木村 友美)