「京都」と一致するもの

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 "映画の新しい才能の発見と育成"、"映画の新しい環境づくり"をテーマに、1977年にスタートした映画祭「PFFぴあフィルムフェスティバル」。昨年9月の東京開催でスタートした「第34回PFF」は12月の神戸開催に続き、2月16日(土)~22日(金)の1週間、京都シネマで「PFF in 京都」が開催される。
 平均年齢23.6歳の未来の巨匠たちがひしめく、コンペティション部門「PFFアワード2012」の入選16作品を一挙上映!11名の監督たちが会場に駆け付け、質疑応答も開催。また映画祭最終日には、初夏に公開予定のPFFスカラシップ作品『HOMESICK』の先行プレミア上映を行うなど、最前線の日本映画を体感できる7日間だ。
 神戸会場で好評を博した当日学生券や、前売限定販売の全作品フリーパスなどお得なチケットも販売。全作品制覇目指して、足を運んでみよう!


<上映プログラム紹介>
(1)「PFFアワード2012」 世界最大級の自主映画のコンペティション部門
若手監督の登竜門として、黒沢清(『贖罪』)、園子温(『希望の国』)、矢口史靖(『ロボジー』)、内田けんじ(『鍵泥棒のメソッド』)、石井裕也(『舟を編む』)ら現在の日本映画界で活躍する監督たちを輩出してきた「PFFアワード」。
今年の入選監督は、20代前半が大半を占める「若さ」が特徴で、話題の映画・映像学校出身者が勢揃いしている。自主映画でありながら、海外映画祭への出品や劇場公開が実現するなど、プロ顔負けの完成度の高さに国内外の映画人も驚愕しているのだ。

【PFFアワード2012 データ】
応募総数:522本 / 入選作品:16本 / 入選監督の平均年齢:23.6歳

▼プロ顔負けの完成度!海外映画祭出品や劇場公開が続々決定!
PFF2013(2)グランプリ「くじらのまち」.jpg『くじらのまち』(監督:鶴岡慧子) ※PFFグランプリ受賞
釜山国際映画祭(韓国)コンペティション部門出品 2012年10月
 ベルリン国際映画祭(ドイツ)フォーラム部門出品 2013年2月

 

PFF2013(3)準グランプリ「魅力の人間」.jpg『魅力の人間』(監督:二ノ宮隆太郎) ※PFF準グランプリ受賞
バンクーバー国際映画祭(カナダ)コンペティション部門出品 2012年10月
ロッテルダム国際映画祭(オランダ)Bright Future部門出品 2013年1月
 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(日本)フォアキャスト部門出品 2月

『故郷の詩』(監督:嶺豪一) ※PFF審査員特別賞受賞
 バンクーバー国際映画祭(カナダ)招待作品部門出品 2012年10月

『リコ』(監督:弓場絢)
バンクーバー国際映画祭(カナダ)コンペティション部門出品 2012年10月

『Her Res ~出会いをめぐる三分間の試問3本立て~』(監督:山戸結希)
ポレポレ東中野(東京)にて劇場公開 2012年11月10日(土)~16日(金)
オーディトリウム渋谷(東京)にて劇場公開 2013年2月16日(土)~21日(木)

『かしこい狗は、吠えずに笑う』(監督:渡部亮平) ※PFFエンターテインメント賞&映画ファン賞受賞
メイド・イン・プサン独立映画祭(韓国)招待作品部門出品 2012年11月
シネマルナティック(愛媛)にて劇場公開 2013年3月23日(土)~29日(金)

『ゆれもせで』(監督:川原康臣)
シネマ・ロサ(東京)にて劇場公開 2013年2月2日(土)~15日(金)

『極私的ランナウェイ』(監督:河合健)
トリウッド(東京)にて劇場公開 2013年2月9日(土)~10日(日)
 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(日本)オフシアター・コンペティション部門出品 2013年2月

▼11名の監督が来場予定!上映後の質疑応答に参加しよう!
 来場予定監督 
PFF2013(1)京都出身監督「あん、あん、あん」.jpg2/16(土)『あの日から村々する』加藤秀則、『あん、あん、あん』イノウエ カナ、『リコ』弓場 絢
2/17(日)『オハヨー』佐久川満月、『ゆれもせで』川原康臣
2/18(月)『水槽』加藤綾佳
2/19(火)『Please Please Me』青石太郎
2/20(水)『stay チューン』伊藤智之、『極私的ランナウェイ』河合 健
2/21(木)『継母』工藤隆史、『飛び火』永山正史

▼観客投票により「PFF京都賞」を決定!
会場のお客様の投票で、京都グランプリを決定!果たしてどの作品が多くの支持を得るのか!


(2)PFFスカラシップ作品 先行プレミア上映
「PFFスカラシップ」とは「PFFアワード」の入賞者によるオリジナル企画を、PFFが企画から公開までトータルプロデュースする新人監督育成システムです。今回は、2013年初夏公開予定の最新スカラシップ作品『HOMESICK』を先行プレミア上映します。

第22回PFFスカラシップ作品
『HOMESICK』2012年/99分/カラー
監督:廣原 暁
出演:郭 智博、金田悠希、舩﨑飛翼、本間 翔、奥田恵梨華


「第34回PFFぴあフィルムフェスティバル in 京都」 

会期:2013年2月16日(土)~22日(金) 連日18:30~
会場:京都シネマ  【公式サイト】http://pff.jp/34th/
※作品上映後、監督による質疑応答を予定。

jijyojibaku-s550.jpg『R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私』舞台挨拶(13.1.22 梅田ブルク7)
jijyojibaku-1.jpg登壇者:竹中直人監督、平田薫
(2013年 日本 1時間46分)
監督:竹中直人
原作:蛭田 亜紗子「自縄自縛の私」(新潮社刊『自縄自縛の私』所収)
出演:平田薫、安藤政信、綾部祐二、津田寛治
2013年2月2日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、109シネマズHAT神戸、T・ジョイ京都他全国公開
公式サイト→http://www.r18-jijojibaku.com/
(C) 吉本興業

 角田光代をはじめとする女性審査員により選ばれた「女による女のためのR-18文学賞」受賞作品が竹中直人監督によって映画化。『R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私』というタイトルとは裏腹に、どこかほのぼのしたタッチで個性的な性癖を持つOLの秘かな歓びや葛藤を描き、ストレス社会に生きる現代女性を元気づける異色成長ストーリーに仕上がっている。
公開に先駆け、舞台挨拶付き試写会が22日梅田ブルク7で開催され、満席の熱気ぶりに本作への期待が大いに伺えた。全身薔薇柄のオシャレなスーツに身を包んだ竹中直人監督と、レトロな赤白ストライプのロングワンピース姿が爽やかな主演百合亜役の平田薫が登壇、自縄自縛秘話やお二人の“秘かな愉しみ”などが飛び出し、会場を沸かせた。平田薫がサプライズで監督への手紙を朗読する場面もあり、映画さながら心地よい感動を味わえた舞台挨拶の模様をご紹介したい。


jijyojibaku-s2.jpg(最初のご挨拶)
平田:はじめまして。百合亜役を演じさせていただきました平田薫です。こんなにたくさんの方が集まってくださると思っていなかったので、すごくびっくりしています。ありがとうございます。短い時間ですが、最後まで楽しんでいってください。
竹中:お集まりいただきまして本当にありがとうございます。第7作目『自縄自縛の私』、一生懸命撮りました。1時間46分と非常にいい時間の映画となっております。最後までゆっくり楽しんで、笑ったり泣いたりしながら、よろしくお願いいたします。

━━━ちょっと変わった趣味を持っている女性が主人公ですが、平田さんはこの作品のお話があったとき、どんな風に思いましたか?
平田:自縄自縛という言葉も最初知らなかったです。自分の知らないことにチャレンジできるというのはすごく好奇心でいっぱいでした。(実際に演じてみて)自縛は特殊といえば特殊なのですが、百合亜という女の子を演じるのに監督やスタッフのみなさんやキャストのみなさんがすごく守って、支えて下さったので、全然迷いや悩んだりすることがなく演じることができ、本当に幸せでした。

jijyojibaku-s1.jpg━━━撮影に入る前に、平田さんにお話されたことは何かありましたか?
竹中:あんまり覚えていないですね。平田さんの雰囲気が良かったので。僕はこの作品の依頼をしようと思ったときにあまり自縄自縛があまり特殊なものだとは思わなかったですね。彼女が生きるための手段で、日常で必要なものだと捉えていたので、あまり肉感的な女優さんでは撮りたくなかったんです。平田さんに初めてお会いしたとき、彼女しかいないと思って、イメージがぴったりだったので自然に入ってもらいました。監督の仕事というのは役者さんにどれだけ楽に現場を解放してその場所に居られるか、そういう時間を作るかが大切だと思うので、すごくいい時間が過ごせました。楽しかったよね?
平田:楽しかったです!

 

━━━監督自ら演技してみせる場面もあったそうですね。
平田:必ずこうしなければいけないと押しつけることもなく、自然と「こうだったらいいな」とか「こういう雰囲気だよ」というの優しく教えてくれる感じです。演技して「こうだよ」と見せてくれたときは、あまりにもお上手なので、私そんなに上手に出来んだけど・・・とちょっと焦りもしました。
竹中: 『自縄自縛の私』というタイトルですから、縄が大事なので、その縄を大切に愛でるというシーンがあって・・・(実演してみせた姿に会場爆笑)。

━━━ワンカット長回しのシーンで、平田さんは実際に自縄自縛をされていますね。
平田:長回しでワンカットで撮るシーンが何回かあったので、4種類ぐらい縛れるようになりました。1か月半ぐらいひたすら家で練習しました。百合亜が縛って一晩過ごすシーンがあったので、一度自分も緩めに縛って一晩過ごしたことがあったのですが、たまたま次の日の朝、大きめの地震がきて、目が覚めたときすごく揺れていたのに動けなくて、一瞬命の危険を感じました。怖かったです。

jijyojibaku-2.jpg━━━共演の方々も個性派揃いですが、中でもピースの綾部さんは女性に人気があるのは分かるような気がしましたが、どういう視点でキャストに選ばれたんですか?
竹中:自分の理想をやってほしかったんですよ。女性と目と目が合ったらすぐに唇を奪うという。そういう男になりたいと思っていたのですが、年をとって出来なくなってしまったので、綾部君にやってもらいました。(演技面で)何を言ってもすぐにやってくれました。登場のシーンも普通にやったらつまらないから、スローモーションでやってくれとお願いしたら「追いつけるかな~~~」とスローモーションで(笑)。

━━━実際に綾部さんと共演された平田さんはいかがでしたか?
平田:以前一回映画で共演させていただいたことがあり、撮影前お会いしたときに綾部さんから「キスシーンがあるよ、薫ちゃん」といわれて、そのときちょうどキスシーンがなくなったときだったので、「キスシーンなくなりましたよ」と伝えたら、すごくがっかりされていたんです。その話を監督に伝えたら、キスシーンが復活して(笑)。
竹中:自分の理想を映像で撮るのはちょっと恥ずかしかったのですが、綾部君がすごく残念そうだったので「じゃあ、復活させよう」と。復活するからにはただ単純な小さなキスではダメなので、「長回しにするから、延々吹いつくしてくれ!」と言って本番に入りましたね。

jijyojibaku-3.jpg━━━お二人にとって誰にも言えない歓びや、人には言えない趣味はありますか?
平田:人に見られたくないストレス解消法なのですが、お酒を飲むのが大好きで、ちょっと溜まってきて次の日が休みとなったら、500mlのビール6缶を買って、ワインを買って、家で飲みます。一人でベロベロになるので、ストレス解消できるのですが、テレビに向かって一人でしゃべったり、醜態をさらしています。
竹中:僕はフィギュアのマニアです。ダークナイト・ライジングのアン・ハザウェイのフィギュアが出ないかと楽しみにしています。ヤバいですね。ヒース・レジャーのジョーカーのフィギュアとか何台も持っています。昔からずっと集めていたので、フランケンシュタインとか大好きです。ブルース・リーのフィギュアもたくさん持っています。それを愛でるのが好きで、ブルース・リーの『燃えろドラゴン』の時のフィギュアなんか、たまらないです。自分の映画を見れる部屋に飾ってあるのですが、地方に行くとき、ブルース・リーのフィギュアだけは持っていき、それを部屋に置いて、写真を撮るんです。

jijyojibaku-s3.jpgここで平田薫から竹中監督へのサプライズプレゼントとして、竹中監督に宛てた手紙が朗読され、竹中直人監督が感動の面持ちで聞き入る一幕も。
 竹中監督へ こうして完成披露するとみなさんに観てもらえる喜びと、撮影からもう一年経ったことに驚きます。おととしのクリスマス、初めて監督との顔合わせがありました。初めてお会いしたときは、私でいいのかなという不安と大先輩に初めて会う緊張で、正直あまり覚えていません。その後、ロケハンに連れて行ってもらえると知り、さらに緊張が高まりました。当日、監督やスタッフのみなさんと合流したとき、竹中組に当たり前のように受け入れてもらえたこと、その空気がとても心地よかったです。みなさんの百合亜という役への想い、愛情を知って、心を全開に開いて信じてついていくことができました。「現場でちゃんと見ているからね。心配しなくていいよ」と声をかけて下さった時、本当に心強かった。いつも安心して、リラックスしていられました。監督と出会えたこと、竹中組のみなさんと出会えたこと、監督に見守られながら百合亜でいられたことが本当に幸せでした。私の一生の宝物です。私はこの撮影の日々を思い出したら、どんなときも百合亜が強くなったように、自信を持って頑張れる気がします。私を百合亜にしてくださって。本当にありがとうございました。いつか監督と一緒にお芝居をしたいという秘かな目標があります。時間がかかってしまうかもしれないですが、実現するようにがんばります。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

jijyojibaku-4.jpg(最後のご挨拶)
 竹中:本当に僕の大好きな俳優たちがいっぱい集まって、この映画に出てくれました。僕は自分の映画は客観的に観れる方なのですが、帰るころにはとても美しい青春映画になっているのではないかと思います。最後までゆっくり楽しんでいってください。今回私が出ていないので、すっきり映画を観ることができると思います(会場笑)。よろしくお願いします。今日はお忙しい中ありがとうございました。(江口 由美)


sayonara-de-s550.jpg『さよならドビュッシー』合同インタビュー

ゲスト:利重剛監督、清塚信也

(2013年 日本 2時間11分)
原作:中山七里『さよならドビュッシー』(宝島社文庫)
監督・脚本:利重剛
出演:橋本愛,清塚信也,ミッキー・カーチス,吉沢悠,柳憂怜、,相築あきこ,山本剛史,熊谷真実
主題歌:「境界線」和泉沙世子(キングレコード)

2013年1月26日~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、他全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://good-bye-debussy.com/
© 2013さよならドビュッシー製作委員会

 

~ピアニスト・清塚信也、スクリーンデビュー!~

 

sayonara-de-1.jpg 祖父の莫大な遺産をめぐる陰謀と、火事で全身に大やけどを負いながらもピアノを通じて再生しようとする少女の成長を描いた感動作『さよなら、ドビュッシー』。原作は第8回〈このミステリーがすごい!〉で大賞に輝いた中山七里の同名小説。16歳にして数々の映画で強烈な存在感を示す橋本愛が、主人公・香月遥を演じる。そして、今回注目されるのが、遥のピアノ教師を務めながら、遥の身辺に起こる事件を解いていく岬洋介という重要な役どころを演じたピアニストの清塚信也である。『神童』では松山ケンイチの、『のだめカンタービレ』では玉木宏のピアノ演奏シーンの吹替えを経て、これが俳優としてのスクリーンデビューとなる。

 ピアノ演奏シーンの多い本作。「理屈ではなく、説得力のある映画にしようと思った」という利重剛監督は、「ピアノ指導の経験もあるピアニストの清塚信也さんこそ適役」として出演依頼。その起用が功を奏して、ひとり秘密を抱え孤独な闘いを悲痛なまでに見せる橋本愛に対し、それを優しく見守り導く姿は、新鮮な感動をよぶ。特に、ピアノコンクールで見せる肉体の限界を超えた必死の演奏には胸が熱くなる。


その岬洋介を演じた清塚信也氏と利重剛監督が、キャンペーンのため来阪。作品にかける思いを語った。

sayonara-de-s2.jpg――― 『神童』『のだめカンタービレ』とピアノ演奏シーンでの吹替えをされてきて、スクリーン初登場ですが、如何でしたか?
清塚:緊張することもなく、とても楽しい時間を過ごせました。

――― 元々利重監督とは親しかったのですか?
清塚:いえ、この映画で初めてお会いしました。家はたまたま近かったのですが。

――― 演奏しながらの演技は難しかったのでは?
監督:3日間稽古の時間を取っていましたが、撮影前の2~3時間で済みました。清塚さんは実際にピアノを教えておられるので、レッスンの時の細かい方法などのアイデアからシーンを発展させたり、アドバイスを受けたりして、脚本にも反映させていきました。脚本の最終段階では一緒に作っていきました。弾きながら喋るという、いつものレッスンと同じようにやってもらっただけです。「手首で呼吸する」なんて、私らでは思いつかない言葉ですからね。
清塚:「手首で呼吸する」というのは、ショパンがレッスンで使った言葉で、僕も実際レッスンでそう教えられましたから。

――― 橋本愛さんとの共演は如何でしたか?
清塚:とても楽しかったです。劇中の人物と同じように、最後まで誰なんだろう?と思わせるような不思議な魅力の持ち主だと思いました。
監督:日本映画界が注目する女優ですから、いいタイミングで一緒に仕事ができて本当に良かったです。

sayonara-de-s1.jpg――― 原作のどこに惹かれたのですか?
監督:音楽の演奏シーンの描写です。そこが書きたくてミステリーにしているくらいですから、一番の魅力とも言えますが、それをどうやって映画にするの?…… 私の気持ちからすると、プロのピアニストに、あるいは少なくともピアノが弾ける人に演じてほしいと思いました。最初は有名な俳優さんにという声もありましたが、バレエ映画だったら熊川哲也さんの名前が挙がるように、ピアノ界だったら誰に? この映画を機にスターダムに乗れる人を……そこで、萩生田監督のススメもあり、清塚さんにお願いしました。

――― オファーを受けた時のお気持ちは?
清塚:とても嬉しかったです。元々映画も演技も大好きでして、役者をしている友人のワークショップへ入ったこともあります。原作者の中山七里先生のファンで、タイトル本を進呈して頂いたこともあります。そうしたら映画出演のお話を頂戴したのです。中山先生からのご紹介かなと思ったら、全く関係ないルートでお話が来たので、この偶然には驚きました。

――― 演奏と演技の共通点と相違点は?
清塚:共通点は沢山あります。リハーサルの時から監督とよく話し合ってきました。でも、ピアノは、練習の積み重ねで、本番で力を出し切るというのがパターンです。それに対し、演技は、現場で監督や他のスタッフや相手役の俳優さんとか、多くの人のハーモニーでできているので、自分が詰め込んだものを一点張りに出しても上手くいかない。それが大きな相いです。

――― 演技に対する興味は?
清塚:表現のひとつとして興味がありました。映画、舞台、演技の関連している芸術性が好き。どうして感動するのか、考えながらゆっくり見るのが好きです。その内、監督の意図が分かってきて、無意識から意識へと変化していくのが楽しいのですね。

――― 清塚さんの起用はとても新鮮味があり、遥の成長の手助けをするあたりの繊細さに感動した。ミステリー性より主人公の秘めた心情面に重点をおいた構成については?
監督:そう思って頂けて嬉しいです。原作をあまり変えていません。大きなトリックとかはそのままやろうと思った。感情的にウソをつきたくない、本当にあるお話として受け止めてほしかったのです。世の中には大変な緊張した状況下で生きている人は沢山いると思う。限界ギリギリに頑張っている人にこそ見てほしい。そして、頑張る力やささやかな応援になればという願いはあります。
ミステリーだからロジカルになりがちですが、理屈ではなく、説得力のある映画にしようと思ったのです。そういう意味で、実際にピアノを弾く方で、ピアノレッスンをしている方に演じてほしくて、清塚さんにお願いしたのです。それを新鮮だと感じて頂けたら、大成功です。

――― 橋本愛さんは本当に弾いているのですか?
監督:どう思いましたか?(笑)実際に弾けたとしても、とても難しい役でした。清塚さんに指導して頂いて、その教え通りに弾くと、これがまたいい音が出るんですよ~♪

sayonara-de-s3.jpg――― 演奏シーンで難しかった点は?
監督:ピアノ自体曲面のある鏡面仕上げなので、スタッフの誰かが映ってしまうんですよ。特に、部屋での演奏シーンには苦労しました。設定として、おじいさんがヨーロッパで買ってきたピアノですから、それに相応しいピアノを探しました。清塚さんにもついて来てもらって、音を確かめながら、細かくチェックしながら探しました。
それから、ミスタッチするシーンが難しかったですね。でも、清塚さんは、正確にミスタッチできる世界でも第一人者ですよ!
清塚:ミスをやらせたら右に出る者がいない!(笑)
監督:愛ちゃんの吹替えのピアニストさんにミスタッチさせるのが難しかったですね。シーンの絵作りとかもね。

――― 続編のご予定は?
監督:ポーランドが舞台になっていますね~映画化できればいいですね~。


【舞台挨拶】
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【舞台挨拶】 (2013年1月21日(月)なんばパークスシネマにて)

登壇者:利重剛監督、清塚信也、泉沙世子(主題歌「境界線」を歌う)

――― 大阪の印象は?
監督:結構大阪の仕事が多かったので、好きですよ。朝ドラの時は7か月大阪に住んでいました。
清塚:コンサートでよく来ています。初めて大阪に来た時はまだ10代だったのですが、切符売り場で僕がぐずぐずしていたら後ろから押され、大阪って怖いところだなあと思いました。でも、その後コンサートで何回も来るようになって、大阪の人の優しさが分かるようになりました。
泉:私は豊中生まれです。ひどい方向音痴で、人に道を訊ねたら、遠い所でも連れてってくれて、メッチャ親切やなあと思います。

――― もう大阪の何か美味しい物を食べましたか?
清塚:りくろーおじさんのチーズケーキが美味しかったです。

――― 作品の印象やオススメは?
監督:一所懸命作りましたので、すべてが見所です。大事に撮った作品です。原作を読んでいても楽しめるように丁寧に丁寧に作りました。

 ――― 原作へのリスペクトが感じられました。
清塚:『神童』や『のだめカンタービレ』でピアノ演奏の吹替えはしましたが、演奏と演技をワンカットで撮れたのはとても珍しいと思います。橋本愛さんにも弾いているように指導したり、裏方としてもやりました。どこまでが演技か、と思える程上手なので、その辺りを見て頂けたら嬉しいです。
泉:清塚さんが、レッスン中に「気持ちを集中して!」と言いながら、気を散らしているシーンが好きです(笑)。


sayonara-de-2.jpg その他、橋本愛さんについて清塚信也さんが語ったエピソードとして、清塚氏が差し入れしたグリコのアイス〈パピコ〉を愛ちゃんが見て、「なんでこんな名前なんだろう?」と、珍しく彼女の方から訊いてきたので、清塚氏は早速お客様相談センターに電話して名前の意味を訊いた。すると、「誰かと分け合ったら楽しい」という回答があり、それを話すと、マネージャーさんやメイクさん達には受けたのに、肝心の愛ちゃんはずっと窓の外を見て無反応だったらしい。さすがクールな愛ちゃん!!!

(河田 真喜子)

Flashback-s550.jpg『フラッシュバックメモリーズ 3D』松江哲明監督、GOMAインタビュー
(2012年 日本 1時間12分)
監督:松江哲明 
出演:GOMA、辻コースケ、田鹿健太、椎野恭一(GOMA & The Jungle Rhythm Section)
2013年1月19日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、Tジョイ京都(3D上映)、2月9日(土)~第七芸術劇場(2D上映,併映『極私的神聖かまってちゃん』)他全国順次上映
※フラッシュバックメモリーズ公開記念 GOMA個展 記憶展第三章「ひかり」
2013/3/9~3/20 @恵比寿KATA (liquidroom EBIS 2F)
2013/4/27~5/6 @大阪PINE BROOKLYN
flashback-1.jpgのサムネイル画像※フラッシュバックメモリーズ公開記念 ワンマンLIVE 「2nd Life」
LIVE: GOMA&The Jungle Rhythm Section
2013/04/05 大阪シャングリラ
2013/04/07 渋谷WWW

公式サイト⇒http://www.flashbackmemories.jp/
作品レビューはコチラ
© SPACE SHOWER NETWORKS.inc

松江監督:GOMAさんのエネルギーを映画で表現したかった

GOMA:やっと人生の2回目のスタートラインに立てるなと思わせてもらった

 交通事故で過去の記憶が消える高次脳機能障害を宣告されながらも、自分を信じて復活への道のりを歩み、再び力強い音色を響かせるディジュリドゥ奏者GOMAのライブドキュメンタリー『フラッシュバックメモリーズ 3D』が現在公開中だ。3D映像で迫力のライブがさも目の前で繰り広げられているかの臨場感を与え、観る者に勇気と感動を与えてくれる。本作のメガホンを撮った松江哲明監督と主演のGOMAさんに舞台挨拶前の貴重な時間をいただき、お話を伺った。


━━━今回ドキュメンタリーに3Dの手法を取り入れましたが、日頃松江監督は3Dに対してどう考えていらっしゃったのですか?
 Flashback-s1.jpg監督:僕は3D映画が好きなので、できるだけ公開している映画は見て、いつかやりたいと思っていました。ただ、ハリウッド映画のようなスケール感には興味がなくて、万華鏡のような、もっと個人的な中に入っていくことが3Dではできるのではないかと。音楽やライブものは合うなと思っていたのですが、今の音楽映画はカット割りが早すぎます。3Dが気持ちいいのと、編集のリズムが気持ちいいのとはちょっと違う気がしていました。自分が音楽ものを作るなら、もっとワンカットを長く、人の中に入っていくという漠然としたアイデアがありました。GOMAさんの音楽を聞いて、GOMAさんのライブという一回きりのエネルギーに対して、映画だったらこういうやり方があるというのをやってみたかったし、GOMAさんのエネルギーを映画で表現したかったです。

━━━GOMAさんのライブを目の前で観た感動に浸れました。ライブと当時並行して、「記憶」が一つのテーマになっています。
監督:GOMAさんと一緒に映画を撮ると決めてから、撮影するまでの間GOMAさんとお話をし、ただ聞いたことをインタビューのようにそのまま表現することはしたくなかったんです。聞いた感触というか、イメージを3Dだったら映像で表現できると思ったので、記憶というかGOMAさんの頭の中に入っていく映像を心がけました。ぼくの距離感があってGOMAさんを撮るという映画ではなく、できるだけGOMAさんの中に入っていくというか、GOMAさんに近づきたかったですね。

━━━GOMAさんは今回ドキュメンタリーで自分が映される立場となり、日記や過去の映像、家族の写真など色々なものをさらけ出すことに葛藤があったと思いますが。
 Flashback-s2.jpgGOMA:そこが最初自分の中の大きな壁でした。作るからには、自分のことを全部開いていかないといい物は出来ないとすごく思ったし、もしさらけ出すことが出来ないのなら、作ろうとしてくれている監督やみんなにすごく失礼だと思ったんです。自分をさらけ出すにあたって、自分や家族の今後の人生にどういうフィードバックがくるのかを、すごく考えました。監督やプロデューサーさんと回数を重ねて会っていくうちに、そういうことすら考えなくていい、今のままの自分で普通に仲間としてつき合える人たちだと思わせてもらえたのが、すごく大きかったです。

━━━GOMAさんの話をたくさん聞かれた監督ですが、葛藤している部分はあえて映さず、基本的にはポジティブな面に目を向け、強いメッセージを発していますね。
監督:僕は病気で苦しんでいるところだけではなく、日記にしても全部音楽につながる描き方にしました。軸は音楽で最終的に音楽で構成しよう、そこのエネルギーで押し切りたいと思ったので、内容も衝撃が大きいけれどそこは絡まないというところはどんどん切っていきました。やっぱり映画って映像だけではなくて、音もあるじゃないですか。GOMAさんの演奏が流れているときにリンクするとなると、シンプルに音楽と家族になり、そこに向かっていくものを選ぶと自然とポジティブなものが多かったということだと思います。

━━━はじめてGOMAさんの復活ライブをご覧になったとき、どんな印象でしたか?
監督:気持ちよかったです。音楽のエネルギーが圧倒的でした。僕はいい意味で復帰に至るまでのGOMAさんも事前に映像をちょっと見たぐらいでした。はじめての出会いがGOMAさんの力を出しているライブのときだったので、そこがよかったんじゃないかな。「これを表現しよう!」と思ったんです。

━━━ライブが持つエネルギーですね。3Dとライブシーンがこんなに合うとは思いませんでした。
監督:最初5.1チャンネルでやりたいというのはありましたね。ウーハーの効いた劇場でこの音を浴びたら気持ちいいだろうなと。

flashback-2.jpg━━━むちゃくちゃ気持ちよかったです!
監督:そういってもらえてうれしいですね。気持ちいい映画にしたかったんです。GOMAさんと会った後元気になるので、映画も元気なものにしなければいけない。GOMAさんと会ったときのことを撮るのではなく、会った気持ちをGOMAさんたちの音楽と映画で表現する。それをお客さんに伝えたかったし、そういうものの方が大事だと思うんです。
GOMA:観た人が元気になってくれたらうれしいですよね。
監督:僕がGOMAさんに会うと元気になるのに、映画を観ると「GOMAさんって大変なんだな」と思われちゃうと、映画としてよかったと言われても失礼じゃないですか。ドキュメンタリーは特にそういう作り方をしてしまって、被写体の人はこんなにエネルギッシュなのに、映画の中ではなぜこんなにかわいそうな扱いになるんだろうと。それは関係性があるし、作り手の主観でいいのですが、GOMAさんは音楽をしている人なので表現そのものに対してのリスペクトを崩してはいけない。そこが意外と守られていなくて、「なぜミュージシャンの映画を撮っているのにこんなに元気がないんだろう」と感じることはよくあります。

━━━ラストの演奏が終わってライブの余韻に浸る雰囲気の中、監督の「はい、カット」の声が響いてハッとして現実に引き戻された感がありましたが、あえてそこまで入れた理由は?
 flashback-s3.jpg監督:僕が編集したらあれは入れないです。僕の意図としてはない方がいいと思うのですが、編集の今井さんがニコニコするんですよ。
GOMA:「ここ、いいでしょう」みたいな(笑)
監督:僕そういうの好きなんですよ。僕だけの良い悪いで映画を作っているのではなくて、スタッフが「いや、この映画はこういうことだよ」と言ってくれると、いいよと言えるので。そういうことをしてくれるとうれしいです。整音のタカアキさんも「こんなことをしてくれるの」ということをやってくれるし、僕一人でやるより、スタッフが自信満々でやってくれることがいいです。あの「カット」の声ではなく、あの声の後のGOMAさんの顔で止めているのがいいんですよね。カットの後のGOMAさんの顔をみせたいんです。僕は最後神々しいGOMAさんで終わるつもりでしたが、ふっと戻ってくる感じというか、続く感が欲しかったのです。皆人生は続くから、バシッと終わる映画より、ちょっと続く映画が好きなんですよね。僕の映画は結構そういう、ちょっと蛇足感がありますね。
GOMA:ホッとした顔してますよね。「無事に演奏できた・・・」みたいな。
監督:でもちょっと余裕のある顔で、僕はあれが好きです。GOMAさんは他のライブではいつも泣かれているのも観ていたので。全力を出して、お客さんの前のときはGOMAさんは「できたー」という演奏になるんですよ。泣いて「ありがとう」という。でも映画はそれではいけない気がするんです。映画はちょっと余裕があるという感じで。
GOMA:あれ(ライブシーン)をお客さんのいるところで撮っていたら、また違っていたでしょうね。
監督:「これは映画なんですよ」というのが好きですよね。
GOMA:ライブに普段来てくれている人が映画を観に来ても楽しめます。ライブハウスでやっている僕とは違う僕を観れるという。ライブハウスでやると、お客さんからのエネルギーをもらって、演奏してキャッチボールする感覚で気持ちが上がっていくのですが、それとはまた違うエネルギーでやっていました。自分で観ていて面白いです。
監督:「ライブと同じことをやってください」というのは嫌なんです。『ライブテープ』もそうで、ライブのそこは演出できませんから。映画を撮っているときは映画の顔というか、そこが見たいんです。いいライブを撮るのなら、ずっと追いかけてライブ映像を集めてやればいいわけですが、別にそういうことをしたいのではなく、映画を撮っている状況の時間をみせてくださいということですね。そういう点は編集の今井さんと合うんです。映画に対する批評的な面があるというか、その中で100点満点を目指すのではなく、お客さんが「あれ」と思うような部分を残す。そこはインディペンデントの作り方かもしれません。
GOMA:音がすごくいいです。音が生々しいというか、あまりディジュリドゥの録音を聴いて「いい音だな」と思ったことがないのですが、今回は本当にライブな音をしています。ベラッとした音になりがちですが、体感する楽器なのでその波動みたいな部分をカットしてしまうエンジニアが多くて。タカアキさんが作ってくれた音はすごく立体感があって、音を浴びる感じがします。

━━━日々自分と向き合うのは大変なことですが、GOMAさんは記憶を失うことで、過去に捉われず今の自分と真摯に向き合い続けていますね。
 flashback-3.jpgGOMA:脳に傷があるとお医者さんに言われて、傷ついた脳の細胞が元に戻ることはないと言われたときはショックで、最初は左半身の麻痺があったのでしゃべるのもうまく舌が回らなかったり、一度本当にどん底まで落ちたというか、人生終わったなというところまで行ってしまいました。でも人間って落ちるところまで落ちて、毎日泣いて泣いて涙が出なくなってくる。そうすると、少しずつ暗闇の中に光が見えてきて、家族や周りの仲間の支えもあって、残された何パーセントに望みをかけて「リハビリがんばるぞ」という気持ちになってきて、すごい進化を感じるんです。その進化が自分で少しずつ分かるようになる段階に来たとき、脳の記憶するところのシナプスが少しずつ繋がってきているんです。過去の自分の記憶が少し残っているから、ちょっと前の自分と比べられるようになってきていて、事故から2~3年半ぐらいで、少し前の自分と今の自分を比べられることが分かってきたとき、「よっしゃ、がんばるぞ」という気持ちになれました。身体のリハビリと一緒に、精神的な部分も鍛えられていきます。心と身体はすごくつながっているんだなと思います。今の自分の持っている身体と脳をどういう風に使って生きていけばいいのかを考えるようになってきました。

━━━最後に、この作品はお二人にとってどんな意味を持つのでしょうか?
 Flashback-s4.jpg監督:僕にとってGOMAさんとの出会いはこの映画がきっかけなので、生き方レベルで影響を受けざるをえないです。他にいないです。体験していることが全然違うというか、同じものを見ていてもGOMAさんだったらどう思うか予測がつかないですし。そういう人がいるんだというだけで、自分の中でもすごく幅が広がりました。もう一つは、震災の後これを作っていたので、それが自分にとって良かったです。どうやってこの国で生きていこうかと思ったときに、「GOMAさんだったら・・・」と考えたので、それはとてもいい形でこの映画に向かって表現することができました。映画自体がどうのというより、そちらの方がずっと大きいですね。
GOMA:僕はこの映画が完成したのを見たときに、「やっと人生の2回目のスタートラインに立てるな」、そう思わせてもらえたんです。事故から3年間、自分のわからなくなった過去を掘り返すことばかりしていたけれど、こういうのはもうやる必要がなくなった。そう思わせてくれたのが監督であり、高根プロデューサーであり、配給でがんばってくれる直江さんとかタカアキさんとか今井さんとか、みんなの支えがあってこの形になってきていると思うから、これからようやく人生2回目のチャレンジが始まるなといった感じです。  (江口 由美)

sennnen-b550.jpgsennen-2.jpg『千年の愉楽』舞台挨拶
(2012年 日本 1時間58分)
監督:若松孝二
出演:寺島しのぶ、佐野史郎、高良健吾、高岡蒼佑、染谷将太、山本太郎、井浦新
2013年3月9日(土)~テアトル新宿、テアトル梅田、第七藝術劇場、京都シネマ、シネ・リーブル神戸にて公開
公式サイト⇒ http://www.wakamatsukoji.org/sennennoyuraku/
(C)若松プロダクション

 

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  若松孝二監督の遺作となった中上健次原作の映画「千年の愉楽」(若松プロ)が14日、京阪神の劇場で特別に先行上映され、主演カルテットの高良健吾、高岡蒼佑、井浦新、佐野史郎が神戸、京都、大阪・梅田、十三の4劇場をPR行脚した。いずれも大入り満員の盛況で、質疑応答もある舞台挨拶はさながら若松監督の追悼集会のようだった。

 


sennen-b5.jpg―――若松監督の思い出は多いと思うが? 
佐野:監督とは舞台の状況劇場からのお付き合いで、32年ぐらい仕事させてもらった恩師。「千年の愉楽」やろう、と言ってもらってうれしかった。監督の内なるメッセージが感じられる。その中にいられるのがしあわせでした。
監督とはよく飲んで、3時ごろまで話したこともあった。(テオ・)アンゲロプロス(監督)の話になって、若松監督は反逆とか政治的な面で語られるけど、映像詩人なんだと思った。監督は亡くなったけれども、今までの作品の中にいらっしゃるし、監督が教えてくれたことを伝えていきたい。
高良:僕の役、半蔵が死ぬシーンはたまたま雨で中止になり、11月11日に撮ることになった。この日は偶然にも僕の誕生日でした。死ぬ役は役とはいってもつらくて引きずったりするけど、誕生日だから死の方から生きることを感じることが出来た。生まれては死んでいく、そういう物語の感覚になれました。
 sennen-b2.jpg高岡:ちょうどこのお話もらった時、世間をお騒がせしてましたが、そんな時、監督に話したら「そんなもの、人生のちょっとした1ページだよ。オレなんか公安に目付けられちゃって、入れない国もあるんだよ。まあ大丈夫だよ」と言われて、この人、すごいなあと思った。監督に安心して任せることが出来ました。どこかで生き続けてて見てくださってると思います。
 井浦:私は冒頭で死んでしまう彦之助の役ですが、大変、ということではないけどホームレスの人が実際に生活しているところで撮りました。撮影が終わってスタッフが撤収作業に入ってる時も監督だけはじっとたたずんでいて、すべて終わった後、住人の皆さんに感謝の気持ちを伝えていた。これが若松さんだ、と惚れ込んでてしまうところですね。権力やシステムを嫌う監督だけど、人間の本質を知ってる、筋を通す人だと…。
今回も、全国の単館系の人々との付き合いを大事にするという監督の思いからこんなことが出来たと思う。
何にも分からない素人の自分に一から教えてもらい、息子のように可愛がってもらった。今は何も考えないようにしている。だけど、この映画を上映出来て、映画館がある限り、新作はこれが最後だけれど、若松監督の映画は続いて行きます。

sennen-b1.jpg―――若松監督の撮影現場で大変だったことは? 
佐野:僕たちよりも、急な階段での撮影が多く、片肺の監督が大変だったと思う。いつもテストなしで「ハイ、本番」なんだけど、ファーストカットでいきなり本番撮影だったのはさすがに初めてでびっくりした。それぐらいかな。
高良:終わってみると大変なことも全部コミコミで、あー楽しかったな、と。若松組は「段取りがない」と聞いていた。これまでにも「自由にしていい」という組もあったけど、けっこう自由じゃない組もあった。だけどこの組はホントに自由だった。デカい安心感があった。正味4日間の出番だったけど、楽しかった思い出しかない。
 sennen-4.jpg高岡:ファーストシーンからラブシーンで、そこが大変だった。いきなりみんなの前でお尻を出して、から始まって、メイクさんたちにも全部見られたことで心が解放された。撮影見たことない人が見に来ていて、70歳ぐらいのおばあちゃんが日に日に化粧濃くなっていくのが凄かった。
井浦:「千年の愉楽」の前に佐野さんとテレビの番組やっていて、その後だったので、どういう顔して佐野さんと会うのか、後ろめたい気持ちがあった。それが一番大変だったけど、その分、佐野さんとも気持ち良く飛べた。「楽しかった」それしかないですね。

sennen-3.jpg――監督は「愛ある罵声」で知られてますが、今回の罵声は?
佐野:直接はなかったけど、お経詠むシーンでは、何詠んだらいいか、先に聞いていた。時間かかって、そこにエネルギー使って紀州弁の習練が足りなかった。そんなに(紀州弁が)ないから、と思っていたのに、現場行ったら井浦が思いっきり紀州弁で「こいつ裏切りやがったな」と思った。  監督から「佐野ちゃん、ナマけてたんじゃないの。お経はいいけど」とチクリと言われて、それがズシリときた。
 sennen-b4.jpg井浦:この作品ではあんまり“罵声”浴びなかったですね。比較的静かな現場だった。監督が怒りをぶつけた「連赤」(実録連合赤軍  あさま山荘への道程)の時はまともに怒っていて、朝起きたらけんか、怒られるたびにこちらも怒りが燃えたぎってきて、現場行くときに「監督とけんかしに行くぞ」と気合い入れて、その怒りを芝居にぶつける、それが映画のエネルギーになってたと思う。
でも、現場が終わると普通に和やかに会話して、酒飲んで何にも後に残さない。お釈迦様の手のひらの上で遊ばせてもらってたんでしょうね。
監督は怒る人を決めていた。「連赤」の時は、大西信満で、ちゃんと(罵声に)耐えられるかどうか、先に調べている。僕もどなられたけど、大西は凄かった。「~三島由紀夫」の時は満島真之介が怒られ役だった。でも、怒鳴ることで全体をピリッと引き締めていたと思う。
 sennen-b6.jpg佐野:「連赤」などに比べると「千年」の現場は静かで監督もずっと穏やかだった。だけど、スタッフにはいつものように厳しかった。この撮影では一度、照明さんが怒られた。「漫然と(光を)当ててるんじゃねえ」と。それは役者にも同じで、監督は照明さんに「何を映したいんだ」と言いながら、役者にも「お前は何をどうやりたいんだ」と問いかけているんだ、と思った。
(安永 五郎)

 

kiiroizou-s550.jpgkiiroizou-1.jpg『きいろいゾウ』舞台挨拶レポート
(2012.12.23 大阪ステーションシティシネマ)
ゲスト:宮﨑あおい、向井理  サプライズゲスト:本田望結
(2012年 日本 2時間11分)
監督:廣木隆一 
原作:西加奈子著『きいろいゾウ』小学館
出演:宮﨑あおい、向井理、柄本明、松原智恵子、リリー・フランキー、緒川たまき、濱田龍臣、本田望結
2013年2月2日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、T・ジョイ京都他全国ロードショー

公式サイト⇒http://www.kiiroizou.com/
(C) 2013西加奈子・小学館 / 「きいろいゾウ」製作委員会

作品レビューはコチラ

 西加奈子のロングセラー小説『きいろいゾウ』が、自身も同作の大ファンという宮﨑あおいと向井理を迎えて映画化され、『軽蔑』、『ヴァイブレーター』の廣木隆一監督がファンタジーとリアルが交錯する原作を、実感ある夫婦の物語に仕立てあげた。
 2013年2月の公開を前に、大阪ステーションシティシネマで行われた先行有料試写会では、上映後に主演の宮﨑あおい、向井理が登壇し、作品の余韻に浸る観客を前にツマとムコさながらのゆったりトークを展開、途中からサプライズゲストの本田望結がサンタクロース姿で登場し、会場からも歓声が沸く場面もあった。一足早いクリスマスプレゼントとなった、宮﨑あおい、向井理、本田望結による舞台挨拶をご紹介したい。


kiiroizou-s1.jpg(最初のご挨拶)
宮﨑:みなさん、こんばんは。今日は見に来て下さって、本当にありがとうございます。とても大好きな原作で、この作品の中に自分が入れたことを光栄に思います。みなさんが見られてどんな感想を持たれたのかとても気になりますが、心を込めて作った作品なので、好きでいてもらえたらいいなと思います。
向井:こんばんは。ムコ役を演じさせていただいた向井理です。この映画は今年の4月に三重県で撮影していました。とてもいい所で、ロケーションの力にも助けられた作品になっていると思います。よろしくお願いします。

━━━お二人は初共演ですが、宮﨑さんが最初に向井さんにどんなイメージを持っていましたか?
宮﨑:なんかシュッとしてますよね。背が高くて、スキがないイメージがありました。でもお会いして、ツマとして時間を共有している間はシュッとした感じが全然ないんです。現場でもムコさんとしてぼぉ~っとしていて。
向井:シュッとしているのは、仕事用なんです。
宮﨑:こんなにちゃんとスキがある人なんだなと、すごく面白かったです。

kiiroizou-s2.jpg━━━向井さんは最初宮﨑あおいさんにどんなイメージを持っていらっしゃいましたか?
向井:あまり誰に対しても「こういう人なのではないか」というイメージを持たないので、印象としてこんな人だと思ったことはないですね。(実際に共演してみると)面白い人ですよ。鼻歌歌っているし、変な絵を書いているし。でも芯が強いんですよ。お互い同じ場所にいるのですが、別々のことをしていて、現場で話すこともあったりなかったりで、むしろ会話は少ない方だと思います。それでも、お互いに無駄に自分たちのテリトリーを壊さないで、自分たちの距離間を保っていたので、本番でも本番じゃないときもずっと同じテンションでいられて、やりやすかったです。居心地が良かったです。

━━━映画でもファンタスティックな場面や現実的な場面が登場し、演じる上では難しいのではないかと思いましたが、宮﨑さんはツマを演じるにあたって、こうしようというイメージはありましたか?
宮﨑:こういう風にやろうというのは、いつもないですね。こういう服を着ているなとか、こういう髪型をしているなというイメージが沸くことはあります。(前髪を切ったことについて)原作を読んだときも、台本を読んでもちょっと変わっている印象があったので、自分で切っちゃった前髪といった感じかなと思いました。だんだん短くなるんですよ。ほとんど順撮りで撮っているので、前半戦は割と長めのまゆげからちょっと上がったぐらいなのですが、後半戦はムコさんがいなくなってから大変なことになっていて、前髪が全部立つぐらいになっているので、その辺を注目して2回見てください。

━━━向井さんは無精ひげをはやしていらっしゃいましたが、ムコさんはこんな感じとイメージされたのですか?
向井:監督とも相談して、物書きということもあったので、特に外見にこだわりのない人だと思ったので、髪型もボサボサですし、ヒゲもはやして、メイクもせずスッピンでした。

━━━あと、関西弁がなめらかで、全然違和感なかったですよね。
向井:大丈夫でしたか?結構不安だったのですが。(会場拍手)

━━━ツマとムコがデートするなら大阪ではどこがいいですか?
向井:どこやろね~(会場笑)彼らに対してあまりハイカラなイメージがないので。大阪はすごく近代的だから・・・食べるのが好きな二人なので、食い倒れたいです。

kiiroizou-s3.jpg~本田望結ちゃんが、サンタクロースの姿でプレゼントを手に登場!~

━━━ご挨拶をお願いします。
向井:宮﨑あおいさんの子どもの役を演じた本田望結です。よろしくお願いします!

━━━映画の中で髪が短かったですね。
本田:髪の毛の短い子の役は初めてだったので、びっくりもあったし、不思議な感じもあったし、すごく楽しかったです。

━━━今日は大きな袋を下げていますが、プレゼントがあるんですか?
本田:ツマさんとムコさんの似顔絵を書きました!

~宮﨑さんと向井さんに望結ちゃんからプレゼントを贈呈~

━━━宮﨑さん、向井さん、感想はいかがですか?
宮﨑:私はよく目が離れていると言われて、魚顔だと自称しているのですが、目がちゃんと離れているのでうれしいです。ありがとうございます。
向井:すごいね。ちょうどくせ毛でいつもこうなるので、よく見てるね。髪質がそっくり。
本田:向井さんと宮﨑さんに、書くときは似てると言ってもらえたらうれしいなと思っていたけど、似てると言われてちょっとほっとしました。

━━━望結ちゃんは映画の中で絵本を読むシーンがありますが、どんな気持ちで撮りましたか?
本田:絵本の中に出てくるのは初めてだったので、楽しいのもあるし、うれしいのもあるし、向井さんと望結で二人で声を撮ったときはドキドキもあったし、楽しかったし、うれしかったし、いろんな気持ちがありました。
向井:僕はきいろいゾウ役もやっているので、あの時は本当に手をつないで撮影したもんね、監督の指示で。
宮﨑:私はその撮影の時、見学に行きました。一日だけだったので、どんな風に撮影しているのか見たかったので。二人で声を撮っているときも、はしっこでニヤニヤしながら見ていました。

kiiroizou-s4.jpg━━━最後に、ご挨拶をお願いします。
向井:この映画はご覧になっていただいたとおり、これが僕たちの作った『きいろいゾウ』です。キャストもとても少なく、登場人物も少なく、人物設定も分かりやすく、こだわりのある映画になっていて、僕もこの映画をどう表現していいのか正直まだわからないところもあります。後半から全然違う映画になって、初めて見たときは2本映画を見たような、それぐらい前半のゆるい雰囲気と後半のとがったカットと、色々な要素が入った映画になっています。この映画がどんどん大きくなるのは、自分たちの力だけではできませんので、ぜひ多くの方に伝えていっていただきたいと思います。今日はありがとうございました。
宮﨑:この映画の中では心が痛くなったり、悲しくなったりするシーンがたくさんあったと思います。でもきっと自分が大切だと思う人と向き合うということは、もちろん幸せなことはいっぱいあるけれど、そういう痛い部分も必ず付いてくることで、それと一生懸命向き合おうとする夫婦のお話だと思います。ぜひ、みなさんがこの作品を広めていってくださればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。(江口由美)

★吉本興業提供★

R-18-1.jpg『R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私
 舞台挨拶付特別試写会プレゼント!

・日時:2013年1月22日(火)19:00開演

・会場:梅田ブルク7 
    大阪市北区梅田1-12-6 E-MAビル7F

・登壇者:竹中直人監督、平田薫(予定)

・募集人数: 5組 10名様

・締切:2013年1月14日(月・祝)

・公式サイト⇒ http://www.r18-jijojibaku.com/



「R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私」


監督:竹中直人  制作企画:奥山和由  

原作:蛭田亜紗子「自縄自縛の私」(新潮文庫刊)                    

出演:平田薫、安藤政信、綾部祐二(ピース)、津田寛治  

主題歌:「No Reason」LOVE PSYCHEDELICO

配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー (C)吉本興業 R15+

R-18-3.jpg 誰でも人にはいえない愉しみを持っていて、そのささやかな時間の中で、自分を慰めいたわり、日々なんとか健気に生きている…。たまたま、彼女の場合は、それが<自縄、自分で自分の身体を縛ること>だった。OLの百合亜は、奴隷のようなサービス残業、部下からのいじめ、など蓄積されるばかりのストレスを解放する手段として、自縄を密かな趣味としてあたためてきた。ブログ経由で知り合った「運命の人」との出逢いから、次第に大胆な冒険を重ねていく…
 

R-18-2.jpg 「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作を竹中直人監督が映画化。細やかでみずみずしい、フェミニンな資質を見事開花させ、新境地を見せた。絵本のような語り口を駆使し、絶妙な距離感で、女の子ならではの心象を丁寧に編み上げていく。新ミューズに平田薫が抜擢。スレンダーで透明感のある女優として同性から熱い支持を集める彼女が、今回はヒロインの複雑な心もようを、さらりとした演技で表現する姿に誰もが共感するだろう。


2013年2月2日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸にて公開

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『レ・ミゼラブル』

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皇太子殿下のご臨席たまわりました
『レ・ミゼラブル』特別チャリティ試写会
敬意を表し、ヒュー・ジャックマンらも
本試写会のためだけに緊急再来日!

12月21日(金)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
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本作は、初演以来、世界43カ国、21ヶ国語で上演され、各国の劇場観客動員数記録を塗り替えるとともに、27年間という驚異的ロングランと6千万人を超える動員数を達成した、伝説の大ヒット舞台ミュージカルの映画化『レ・ミゼラブル』。

第70回ゴールデングローブ賞にも作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)、助演女優賞、主題歌賞の堂々の4部門でノミネートされ、アカデミー賞候補呼び声高い超大作です。

12月21日(金)の日本公開を目前に控え、12月18日、皇太子殿下のご臨席をたまわり特別チャリティ試写会を行いました。それに敬意を表し、主演のヒュー・ジャックマン、トム・フーパー監督、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュが駆けつけ、本試写会のためだけに緊急再来日いたしました。


【イベント概要】
イベント実施日:1218日(火)
場所:イイノホール(東京都千代田区内幸町)
特別ご招待:皇太子殿下
出席者:ヒュー・ジャックマン、トム・フーパー監督、キャメロン・マッキントッシュ(プロデューサー)

【イベント内容】
皇太子殿下 ロビーにご入場〜お出迎え
「ヒュー・ジャックマンです。」と日本語で挨拶したヒューと、皇太子殿下が握手を交わされました。

皇太子殿下ホール内にご入場〜ご着席
満席の会場より温かい拍手。皇太子殿下はヒュー・ジャックマンと隣り同士でご着席されました。

ヒュー・ジャックマン舞台挨拶

※上映終了後は、鳴りやまない拍手の中、スタンディングオベーションでヒュー・ジャックマンらが見送られました。


舞台挨拶内容

ヒュー・ジャックマン:
コンニチハ!私は日本に来れてとてもうれしいです。(ここまで日本語)
トム・フーパー監督、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュと一緒に日本に来られたこと、また、皇太子殿下のご臨席をたまわり、とてもうれしく思っております。

私には日本で3つの夢があり、それを実現できました。
1つめは、12歳の息子と富士山に登頂できたことです。
2つめは、ミュージカル映画に出演できたこと、それもアカデミー賞監督の『レ・ミゼラブル』に参加でき、うれしく思います。
3つめは夢というより大変光栄なことになりますが、皇太子殿下とご一緒にこの映画を観られることです。
(日本語で)アリガトウゴザイマス。

上映終了後のコメント

Q.この本試写会のためだけに日本に来てくださったとのことですが、
出席されてみていかがでしたか?

ヒュー・ジャックマン:大変光栄なことです。
皇太子殿下とお会いでき、いっしょに本作品を観られたこと、また、皇太子殿下は慈善活動もされている素晴らしい方で、今日のことは本当に忘れられない経験になりました。

Q.上映前に皇太子殿下をお出迎えした際、また、上映後も皇太子殿下とお話された際、どのようなことを話されましたか?

ヒュー・ジャックマン:お出迎えさせていただいたときは、日本語でいくつか挨拶させていただき、皇太子殿下からも上手に話せているとOKをいただきました。
上映後、若いころ『レ・ミゼラブル』の原作を読んでいて、また舞台も観ておられたと話されていて、忙しくて映画をあまり観られないけれど「この映画は素晴らしく興奮した」と、おっしゃっていただきました。

Q.ゴールデングローブ賞主演男優賞ノミネートおめでとうございます!

ヒュー・ジャックマン:(日本語で)アリガトウゴザイマス!
この作品の一部としてノミネートされたことは本当にうれしい。
ハリウッドではミュージカル映画が成功することは難しいけれど、この作品がきちんと認知されてうれしいです。
これからもミュージカル映画がたくさん作られることを望みます。
そして、この作品は感動的な映画で、人の心を動かせる作品に出演できたことがうれしいです。

皇太子殿下より「素晴らしい映画を観させていただきました。感動いたしました。」
とのお言葉に、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュは「来年は舞台のほうも
ありますので、そちらもご覧ください。」と返していました。

皇太子殿下とトム・フーパー監督は、同じオックスフォード大学出身ということで、大学時代の思い出を長く語っていました。

                                                   


 【作品概要】

1985年の初演以来、世界43カ国、21ヶ国語で上演され、6000万人を超える観客を動員。
27年間休むことなく上演が続き、人々の心をつかんで離さないミュージカルの最高傑作。

「英国王のスピーチ」にてアカデミー賞(R)監督賞を受賞した名匠トム・フーパーと、唯一無二の豪華キャストが、映画の最高傑作へと昇華させる。

1862年の『レ・ミゼラブル』出版から150年。
ヴィクトル・ユゴーによる原作の壮大なスケールはそのままに、時を超えて、世界中の人々の心に訴えかけるメッセージが、映画に命を吹き込んだ。

スーザン・ボイルが歌って、その楽曲の素晴らしさが改めて広く知られることとなった
「夢やぶれて」(I Dreamed a Dream)をはじめ、「ワン・デイ・モア」(One Day More)、
「民衆の歌」(The People's Song)など、心揺さぶる数々の音楽に彩られ、偽りや飾り気のない人間のありのままの感情が、時には激しく、時には優しく、浮き彫りにされていく。

全編を通じて謳われるのは、愛と勇気、そして希望。
どんな逆境でもくじけずに、今日という一日を全力で“生きる”ことの尊さを教えてくれる登場人物たちの姿に、温かい涙を流さずにはいられなくなる。


 【ストーリー】

19世紀のフランスを舞台に描かれる、敗れた夢と叶わぬ恋の物語は、情熱、自己犠牲と再生といったテーマを盛り込みながら、決してくじけることのない人間の魂を感動的に謳い上げる。

元囚人のジャン・バルジャンは、保釈の条件を破って脱走したことから情け容赦ない警官ジャベールに何十年にもわたり執拗に追われる身となる。そんなバルジャンは、女工ファンテーヌに彼女の幼い娘コゼットの面倒を見ると約束する。
それが彼らを取り巻く運命を大きく変えていくことになるとは知らずに・・・。
 


■監督:トム・フーパー
■作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■原作:ヴィクトル・ユゴー
■脚本:ウィリアム・ニコルソン、アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク、ハーバート、クレッツマー
■作詞:ハーバート・クレッツマー
■作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■製作: キャメロン・マッキントッシュ
■出演:ヒュー・ジャックマン/ラッセル・クロウ/アン・ハサウェイ/アマンダ・セイフライド/エディ・レッドメイン/サシャ・バロン・コーエン/ヘレナ・ボナム=カーター

  2012年12月21日(金)~全国ロードショー  

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MA-s1.jpg『マリー・アントワネットに別れをつげて』ブノワ・ジャコー監督トークショー

(2012年12月1日 京都文化博物館にて)

原題:Les adieux a la reine

(2012年 フランス-スペイン 1時間40分)

監督;ブノワ・ジャコー

出演:レア・セドゥ、ダイアン・クルーガー、ヴィルジニー・ルドワイヤン、グザヴィエ・ボーヴォワ、ノエミ・ルボフスキー、ミシェル・ロバン他

2012年12月15日(土)~TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、OSシネマズミント神戸 他全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://myqueen.gaga.ne.jp/

© 2012 GMT PRODUCTIONS – LES FILMS DU LENDEMAIN – MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – EURO MEDIA FRANCE – INVEST IMAGE
 



~ブノワ・ジャコー流 ルポルタージュ フランス革命~
 

marie-1.jpg 12月1日~9(日)までの京都の各所(京都シネマ、京都文化博物館、東映京都撮影所、松竹撮影所)にて開催された『第4回京都ヒストリカ国際映画祭』は、世界の時代劇だけを集めた映画祭です。時代劇製作の本場である京都で、こうした国際映画祭を開催することは、今後の京都の映画産業を支える上でもその意義は大きい。初日に『大奥~永遠~右衛門佐・綱吉篇』と『マリー・アントワネットに別れをつげて』が上映され、それぞれ上映後にゲストによるトークショーが開催されました。

 30年ほど前に来日して日本にひと目惚れ…「こんなに日本を好きになったのも日本映画の影響」と語るフランスのブノワ・ジャコー監督。新作『マリー・アントワネットに別れをつげて』の上映後トークショーに登壇。独特の作風と新作について語ってくれました。NHKから京都の雅楽奏者のドキュメンタリー撮影を依頼されたのが、日本という国に想いを寄せるキッカケだったといいます。

MA-s2.jpg――― 特に京都でオススメの所は?
一言でどことは言えない。季節によって、気候によって、その日の気分によって変わりますから。

――― 時代劇を撮る魅力は?
どの映画でも、各々の時代を捉えたものは時代劇と言えます。時には時代を再現した作品の方が、現代を鏡のように反映していることが多い。本作でも、私が撮ったもので、宮廷人が撮ったものではない。今日は、宮廷人の恰好をして登場すればよかったですね~(笑)

――― マリー・アントワネットについて?
他国の見方より低いと思います。彼女の処刑については罪悪感があり、彼女を殺さなくても革命は成し遂げられたのではと。客観的に見て、人民が飢えているのにベルサイユをミュージックホールのようにしたのは罪深いと思います。私自身が彼女に興味を持ったのは、バスティーユ襲撃後の4日間だけに注目して、“悲劇の王妃”というそれまでの彼女のイメージが変化していく瞬間だったのです。

marie-2.jpg――― 歴史上登場しないシドニーについて?
誰もが知っている歴史ドラマを、シドニーという朗読係を主人公にすることによって、彼女の目を通して、今まさに起こっている事件をルポルタージュとして撮ろうとしました。シドニーを証言者として、当時のベルサイユ宮殿の中をガイドされているような感じでね。シドニーという想像上の人物を若い女性にしたのは、瑞々しい感性とイノセンスが必要だったからです。映画は彼女が目覚めるシーンから始まり、夜の闇に消えるシーンで終わっています。シドニー以外は歴史上の人物ですが、彼女だけは映画の中でしか存在していない人物なのです。

――― ベルサイユ宮殿について?
歴史の舞台であり、正に歴史の証人でもあります。ですが、宮殿の威容さを中心に据えず、召使たちがこそこそ噂話をしたり、貴族たちが革命の恐怖に狼狽する廊下とか、普段注目されない場所を選んで撮影しています。そう、タイタニック号が沈没するように、ベルサイユ宮殿を象徴とする貴族社会が徐々に崩壊していく様子を撮りたかったのです。

――― 若い女性を使うことについて?
カメラを通して彼女の視線を感じる。私自身は思い入れをもって追いかけていて、それをまた後から見ているのが観客という訳です。

MA-s3.jpg――― 監督の視線に愛情を感じるのですが、女優の演出法は?
映画の対照とするのは、思い入れや惹きつけるものが必要です。私の場合は、それが女性なんです。溝口健二監督の偉大さに比べれば、私など虫みたいな存在ですが(笑)

――― ドキュメンタリーっぽく撮る意味は?
映画の本質そのものを描き出すため。現実を取り入れて何かを語るとフィクションが生じます。女性というリアルな存在を、人物を演じることでフィクションが生じ、意外なものを創り出しているのです。

――― 若い女優とベテラン女優へのアプローチの違いは?
どちらにも共通していることもあります。若い女優へは、彼女が進むべき方向へと導きます。ベテラン女優へは、今までやったことのないところへ導くのです。イザベル・ユペールとは特殊な関係で、はじめは20代だった彼女とは5本も撮っています。仕事が終わると、暗黙の了解で「また会おうね」という感じです。

――― カトリーヌ・ドヌーヴやイザベル・アジャーニなどは、彼女ら自身の素の部分に触れているように感じることがあるが、それは意図的?
おそらく、彼女たちが全幅の信頼を寄せてくれているので、今までとは違う非凡なものが映像に表れているのかもしれません。勿論、彼女たちもそれを承知しています。

MA-s4.jpg――― 本能を解き放つという意味ですか?
そうですね。私との仕事の時はそういうことだと思います。そうならなければ、彼女たちはガッカリするでしょうねぇ。こうした話を皆さんの前でするのは、慎みがないと言われそうです。時として、深い関係になることもありますし、もう少し複雑かもしれません。
私が求めているのは、女としての境界線上をまたぐ様子を撮るのが好きです。抑圧というより、自分自身を解放し、限界を踏み越えることが核心になっていることが多いです。どの年齢の人も、大人になるという通過時期は、私にとっては進歩ではなく、失うものが多いという風に考えています。



 今年の京都ヒストリカ国際映画祭では、〈ブノワ・ジャコー監督特集〉として、『肉体の森』『イザベル・アジャーニの惑い』『トスカ』『発禁本-SADE』が京都シネマで上映されました。フランス映画界のミューズたちをスクリーンに開花させてきたブノワ・ジャコー監督の世界観や感性、美学について堪能できるプログラムとなっていました。

marie-3.jpg 溝口健二は勿論、小津安二郎、成瀬巳喜男、黒澤明などの巨匠から北野武と、予想以上に日本映画を見て影響を受けているようでした。特に、京都を舞台にした作品がお好きだとか。新作『マリー・アントワネットに別れをつげて』では、今まで見たことのないマリー・アントワネット像を目撃することになるでしょう。また、ベルサイユ宮殿とは別のトリアノン離宮での撮影にも注目して見て頂きたい。(河田 真喜子)

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