「京都」と一致するもの

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~占領軍に立ち向かった瀬長亀次郎を通して沖縄戦後史に目を向ける~

 
戦後アメリカ占領下の沖縄で米軍に挑んだ男、瀬長亀次郎の人生を通じて沖縄の戦後史を描いたドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』が、9月16日(土)より第七藝術劇場、元町映画館、9月23日(土)よりシネマート心斎橋、京都みなみ会館他にて全国順次公開される。
 
監督は、「筑紫哲也NEWS23」でキャスターを務め、精力的に沖縄取材に取り組んできた佐古忠彦。初監督作品となる本作では、不屈の精神で沖縄のためにその身を捧げ、今も沖縄で市民の支持を得続けている瀬長亀次郎の人生を、大量の資料や証言を基に編み上げた。
本土が戦後の復興と民主主義を手に入れる中、語られることのなかった沖縄戦後史も証言と共に明らかになっており、沖縄を改めて理解する手がかりとなることだろう。
 
本作の佐古忠彦監督に、沖縄取材を積み重ねる中で感じていたことや、瀬長亀次郎が沖縄の人々に与えた影響、戦後沖縄の辿ってきた歴史についてお話を伺った。
 

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■本土が知らなかった、沖縄にある不条理に、いつも取材の中で出会っていた。

━━━瀬長亀次郎さんをお知りになったきっかけは?
20年以上も沖縄へ取材で足を運ぶ中で、いつの間にか沖縄の戦後史に残る一人として、瀬長亀次郎というお名前は耳にしていました。沖縄の人たちにとても鮮烈な印象を残している人なので、いつかきちんと向き合いたいとずっと思っていたのですが、その機会がなかなか掴めなかった。戦時中の沖縄、そして今の基地問題は断片的に取り上げてはいましたが、今につながる歴史を体系的に取り上げるということが抜け落ちていたのです。ここにアプローチし、今の状況を理解するものに繋がればという思いがありました。
 
━━━95年に起きた沖縄米兵少女暴行事件が沖縄で取材をするきっかけになったそうですが、現地取材を続けていく中で実感したことは?
取材を積み重ねることで自分自身も沖縄のことを勉強していったのですが、本土が知らなかった、沖縄にある不条理にいつも取材の中で出会っていました。最初、焦点を当てたのは地位協定の不平等さでした。地位協定は安保条約に付随していますから、日本全国の基地がある町に適用されるものです。事件や事故があった時の補償問題など、どうしても基地が集中している沖縄で起こるケースが多く、本土の人たちがあまり感じないような不平等さ、理不尽さを味わっていることが、私も徐々に分かっていきました。
 
 
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■筑紫哲也さんが大事にした「自由の気風」。議論の大切さやメディアの果たす役割を追求する姿勢を学ぶ。

━━━これらの取材をしながら、佐古監督は10年間「筑紫哲也NEWS23」に出演しておられましたが、筑紫さんと一緒に仕事をする中で学んだことや、今でも胸に刻んでいることはありますか?
筑紫さんはあれこれ指示をする方ではなく、いつも後ろから見守って下さるタイプでしたが、私が沖縄取材をし、様々な特集を作る中で、5月15日(沖縄本土復帰記念日)や、6月23日(沖縄慰霊の日)など沖縄にとって節目となる日には、一緒に沖縄に出かけて中継をし、色々な経験を一緒に重ねてきました。
 
筑紫さんがよくおっしゃっていたのは「沖縄からこの日本が見える」。沖縄から色々な日本の矛盾が見える。それがあり続けるからこそ、私もずっと取材を続けていますし、筑紫さんにとっても私にとっても沖縄の存在は大きいです。物を考える原点になっています。
 
また、筑紫さんがいつも大事にしていた言葉の一つに「自由の気風」があります。「色々なことが自由に議論できなくなる世の中になると、何が起こるのかはこの国の歴史が証明している。自由の気風を絶対守っていかなければならない」と思われていた方でした。色々な考えがあっていいし、議論をむしろ楽しむぐらいの世の中を維持していかなければいけないとよくおっしゃっていました。私も自分がニュース番組を担当している時、相対する意見を持つゲストを招くこともよくありましたが、いかにご覧いただいている方に考える材料を多方面から提示できるか。それが私たちの役割です。そして、議論の大切さ、それができる社会であること、そのためにメディアが果たす役割は何なのか。それらを追求する姿勢が、筑紫さんを通して私の中に根付いたのではないかと思っています。
 

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■瀬長亀次郎さんを通して沖縄戦後史を見ると、今まで取材した点と点が繋がって線になる。

━━━瀬長亀次郎さんの人生を通して沖縄の戦後史を今、描こうとしたのはなぜですか?
ニュースでは、どうしてもその日起きたことを切り取るだけで、なぜこのようなことが起きるのかという全体像が見えません。特集として報道することもありますが、それでもどこまで伝えきれているのか不透明です。一面的な部分を見て、「また反対している」と批判的な声が出てきますが、よく考えてみれば本土は当たり前のように平和憲法を手に入れ、経済的な復興を遂げた訳です。でも一方で沖縄の戦後史に何があったのかは伝わっていません。本土の認識からすっぽり抜け落ちている部分ですが、そこに目を向ければ本土との溝や温度差が少しでも埋まることに繋がるのではないか。
 
そう考えた時、沖縄の戦後史の中で占領軍に立ち向かった瀬長亀次郎さんを通して戦後史を見ると、皆さんに伝えられることがあるのではないかと思いついたのです。今でも続く県民大会や翁長知事が誕生した後の空気を見ると、私が取材で見聞きしていた時代に似ているのかもしれない。実際にそういう話を現地で聞いたことがあり、点と点が繋がって線になっていく感覚がありました。
 
━━━瀬長亀次郎さんの取材を重ねる中で、新しい発見はありましたか?
亀次郎さんはたくさんの日記や資料を残していますが、それらを調べ、関係者に取材すると、こんなにエピソードが多い人だったんだと。調べれば調べるほど溢れてくるのですが、全部を映画に入れる訳にはいきませんから(笑)。亀次郎さんの存在感の大きさもどんどん分かってきましたし、いまだにそれは続いています。最初に沖縄で本作を公開した時、集まってこられた人の多さもしかりですし、頂いた感想も含めていかに亀次郎さんが愛され、今も求められている存在なのかを改めて意識しました。大昔の偉人という訳ではないにも関わらず、現在の人が教えを乞う訳ですから、稀有な存在だったと思います。
 
 
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■沖縄は戦争が終わって、平和も民主主義も来なかった。だからこそ声を上げ続けている。

━━━瀬長亀次郎さんは、アメリカの軍事占領下に置かれた沖縄で、率先して民主主義を求めて団結し闘う旗印になっていました。これが今につながる沖縄の活動の原点のように見えました。
平和憲法が手に入ることで、日本は軍国主義が終わり民主主義を手に入れた訳ですが、沖縄だけはあの戦争が終わっても平和も民主主義も来なかった。本土は民主主義を与えられたのですが、沖縄は自分たちで民主主義を獲得しなければならなかった。ひょっとすれば今も本当の意味で民主主義を獲得しておらず、だからこそ声を上げ続けているという面もあるでしょう。
 
━━━戦後、瀬長亀次郎さんらを筆頭に沖縄の人たちが声を上げ続けた歴史が、今の民主主義に対する思いの強さに受け継がれていますね。
自分たちの思いを公に言えないような時代に、明確な言葉で沖縄の主張を演説する亀次郎さんに人々は希望を託す訳です。家族で集会の場に出かけていくというのは、ある種はじめての政治参加であり、集会に行くこと自体が自分たちの意思表明になっていました。その頃から時が流れても、同じように県民大会が行われているのは沖縄以外にありません。そこで出てくるテーマは不条理なことばかりで、戦後から続いているのと変わりません。その一つ一つが沖縄でどこまで解決されているかを見つめると、また見えてくるものはあるのではないでしょうか。
 

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■亀次郎さんは、戦後早々から男女平等の実現に動く先進的な面を持っていた。

━━━取材では瀬長亀次郎さんの娘さんも登場し、在りし日の父のことを語っておられましたが、父親としての亀次郎さんはどんな素顔があったのでしょうか?
とても怖かったみたいですよ。よく怒られたそうなのですが、日記を見るとなぜ子どもたちを怒ったかが書かれていたそうで、亀次郎さんが亡くなってから日記を見て初めて自分が怒られた原因が分かったそうです。一方でとても家庭的な面があり、刑務所に収監された時からの習慣で、朝の5時から家族の洗濯物をしていたそうです。洗剤が残るともったいないから、家族に洗濯物の残りがないかと声をかけてと。なぜそのようにしていたかと言えば、奥様が雑貨のお店の仕事をされていたからで、自分も楽しくて(洗濯を)やっているのだから感謝しなくともよろしい、と日記に書いているのです。今でいう「女性が輝く社会」を目指す、とても先進的な面を持っていました。労働法の審議でも、男女平等を唱え、産前産後に二カ月の休暇を女性に与えるべきだと訴えていましたから。あんな昔に男女平等の実現に動いていたという意味でも、なかなかいない人だったのではないでしょうか
 

■ハイライトの国会での論戦、亀次郎さんの訴えは沖縄の思い。

━━━瀬長亀次郎さんが、衆議院議員に当選後、明瞭かつ的確に沖縄の主張と、政府の対応を当時の佐藤首相に問う論戦は、様々な思いが胸をよぎるシーンです。この論戦を盛り込んだ意図は?
あの論戦は、ある種本作のハイライトだと思っています。沖縄の思いを時の首相にぶつける。その首相は沖縄返還の立役者と言われていますが、密約をしていたことが後に明らかになっています。とても象徴的なシーンですし、あそこで訴えている言葉は沖縄の思いなので、絶対に入れたいと思いました。亀次郎さんが行った50年代の演説動画は残っていませんが、多分このような調子で民衆に訴えかけ、そしてアメリカにも向かって行ったと推測できるという思いもありました。また、首相もタジタジになりながらも主張の違いを認めた上で、誠意をもって答えているように見えたのです。今の政治との比較もできますし、古い話のように見えて、一つ一つのテーマに今日性があると思います。
 
━━━最後に、これからご覧になる皆さんにメッセージをお願いいたします。
なぜ今沖縄がこのような状態なのか。それは歴史があるからなので、歴史を見ることで今が見えるという思いで制作しました。私たちの認識から抜け落ちていた沖縄の戦後史に目を向けることで、今ある状況、これからの沖縄やこの国の在り方も含めて、どうしていけばいいかを自分たちの問題として考えられるきっかけになればと思っています。
(江口由美)
 

<作品情報>
『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』
(2017年 日本 1時間47分)
監督:佐古忠彦
出演:瀬長亀次郎他
語り:山根基世、大杉漣
テーマ音楽:「Sacoo」作曲・演奏 坂本龍一
2017年9月16日(土)~第七藝術劇場、元町映画館、9月23日(土)~シネマート心斎橋、京都みなみ会館他全国順次公開
(C) TBSテレビ
 

asagakurumaeni-550.jpg『あさがくるまえに』カテル・キレヴェレ監督インタビュー
(2017年6月24日 大阪・九条のシネ・ヌーヴォにて)



「感情は言葉よりも雄弁」
臓器と共に移植される17歳・シモンの青春

 

是枝裕和監督の『誰も知らない』(2004年)や小津安二郎監督の『父ありき』(1942年)の世界観が、自分の描きたいものに似ているというフランス新進気鋭の女性監督カテル・キレヴェレ、37歳。脳死状態になった17歳のシモンをめぐる残された人々の再生を、移植タイムリミットの24時間の物語として描いた心に沁みる感動作『あさがくるまえに』を創り上げた。「言葉で説明するより、映像や俳優のエモーションで表現したい」と、リアルな映像と抒情性を巧みに融合させることができる、グザヴィエ・ドランやミア・ハンセン=ラブと並び期待される映像作家である。


asagakurumaeni-di-500-2.jpg突然最愛の息子を失う不幸に見まわれ、離れかけていた夫婦の絆を取り戻す両親。静かに横たわるシモンと両親の気持ちを尊重しようとする移植コーディネーターのトマ。若くもない自分が臓器提供を受けることに迷いを感じる二人の息子の母・クレール。この三者を結びつけるのはシモンの心臓。恋にトキメキ、大きな波のうねりにも挑み、あらゆる可能性を秘めた未来を生きようとしていたシモンの心臓は、強く逞しく活発に躍動していたのだ。「“生きたい!”という衝動に駆りたてられる力強さを表現したかった」と語る監督。


asagakurumaeni-500-2.jpg「映画は“生”を写し撮るものだから、死者より生きている者を描きたくて、残された人々に光を当てるストーリー展開にした」――― 臓器提供を決心し、シモンとの最後の別れをする両親や、心臓を摘出される直前のシモンに波の音を聴かせる医師のトマ、そして、感情を排除したようなオペ室の中で、人の生と死を司る儀式のような手術の模様を真上から捉えた映像など、“命の連携”の神々しさを表現。早朝、シモンが彼女の部屋の窓から抜け出す時のふと振り返ったその表情は、シモンの魂が別世界へ飛び立とうとするかのように、新たな息吹を観る者の心にも刻み込む。


asagakurumaeni-500-1.jpg「脚色は、原作を尊重しながらも自分らしい作品にしたかった。原作を超えていく難しさもあれば面白さもある」――― 映画化争奪戦となった話題のベストセラー小説を基に、キャラクターを生きる実力派俳優をキャスティングし、印象的な深みのある映像で残された者の心に寄り添うキレヴェレ監督。『聖少女アンナ』『スザンヌ』とオリジナル脚本で製作してきたが、長編3作目にして早くも普遍的テーマを打ち出せる実力が発揮された。その躍進ぶりについて、「私も人生と共に変化していく訳で、生きている経験が深みとなって出ているのかも。撮影監督と協議しながら撮っているので、一作毎に学べることも多い」。


asagakurumaeni-500-3.jpg「人生を描くためには、理性的に考えて決断する力が重要。様々な流れの中に身を置くことは多いが、必ずしも時系列に表現する必要はない。ひとつひとつの出来事を受け止める力や、情緒的な要素やミステリアスな人間関係を映画で表現していきたい」と、エモーションを秘めた思慮深さがキレヴェレ監督の特徴と言えよう。大胆な編集から繰り出される生命力あふれるタッチや、ひと目でキャラクターがどんな生き方をしている人物かを理解させる描写力と、その映像からは片時も目が離せなくなる。


     (河田 真喜子)


『あさがくるまえに』

◆Reparer les vivants 2016年 フランス・ベルギー 1時間44分(PG12)
◆監督:カテル・キレヴェレ
◆出演:タハール・ラヒム、エマニュエル・セニエ、アンヌ・ドルヴァル、ブリ・ラレーヌ、クウール・シェン、モニア・ショクリ
公式サイト: https://www.reallylikefilms.com/asakuru
◆(C)Les Films Pelleas, Les Films du Belier, Films Distribution / ReallyLikeFilms

◆2017年9月16日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田、近日~京都シネマ、神戸アートビレッジセンター、シネピピア 他にて心揺さぶるロードショー!


【STORY】
asagakurumaeni-pos.jpgル・アーブルの早朝。恋する彼女と一夜を共にしたシモン(ギャバン・ヴェルデ)は、部屋の窓から抜け出して二人の友人と合流して車で海岸へ向かう。冷たいうねりもものともせず、血気盛んな若者はサーフィンに興じる。だが、その帰り自動車事故を起こし、シートベルトをしていなかったシモンだけが脳死状態となる。突然の悲報にうろたえる母親(エマニュエル・セニエ)は、ようやく連絡がついた別居中の夫(クール・シェン)と共に医師からシモンの脳死宣告を受ける。さらに、気持ちの整理のつかぬ内に、移植コーディネーターのトマ(タハール・ラヒム)から臓器提供の依頼を受けてショックを受ける。


「まだ生きている。心臓が動いている。今にも起きてきそう」。最愛の息子・シモンを抱きしめる父と母。臓器提供の承諾を受けて動き出す移植ネットワーク。その適合者はパリに住む音楽家のクレール(アンヌ・ドルヴァル)だった。2人の息子が心配する中、もう若くもない自分が貴重な移植を受けて良いものか、と弱りつつある心臓を危惧しながらも迷っていた。だが、かつての恋人・アンヌ(アリス・タグリオーニ)との再会がクレールの背中を押す。「生きたい!」と…。 

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瑛太、監督との禁酒の契りを破ったことを公開懺悔『リングサイド・ストーリー』大阪舞台挨拶
(17.9.7 大阪ステーションシティシネマ)
登壇者:佐藤江梨子、瑛太、武正晴監督  
 
『百年の恋』ではボクシングに没頭する女子を描いた武正晴監督が、佐藤江梨子、瑛太を迎え、プロレスや総合格闘技の舞台裏も交えながら描く『リングサイド・ストーリー』が10月14日(土)より全国ロードショーされる。瑛太演じる売れない俳優、ヒデオと、ヒデオを養うために全く興味がなかったプロレス団体で働く佐藤江梨子演じるカナコ。オーディションに落ち続けるヒデオと、プロレス界の魅力に触れ、どんどん輝いていくカナコの対比や、すれ違い、嫉妬などラブストーリーの要素を盛り込みながらも、夢に向かってひたむきに努力するレスラーたちの生の姿を捉え、活気溢れる仕上がりになっている。ヒデオのダイジェストビデオでは、バイプレーヤーならではのチョイ役がズラリと並び、瑛太の思わぬコスプレも楽しめる。ヒモ男となってしまったヒデオは再起できるのか。どこまでカナコは我慢できるのか。息ピッタリの主演二人の演技にも注目したい作品だ。
 
 
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全国ロードショーを前に、9月7日(木)大阪ステーションシティシネマにて行われた舞台挨拶付有料試写会では、上映前に武正晴監督、主演の佐藤江梨子、瑛太が登壇。挨拶では佐藤が、「こんばんは。今日は来ていただいて。有料ですみません。ありがとうございます」と有料ながらの来場に感謝の意を示すと、瑛太は「大阪に来れてうれしいです。ちなみに今日は有料で2000円だったんですよね。だからちょっと空席が・・・普段は1800円で映画を観るので、懺悔みたいなことは200円分でしたいと思います」と公開懺悔宣言。「撮影始まってから監督とお酒を飲むかという話をすると、監督は『願掛けのためにお酒を抜いている』。僕も1滴も飲まないと言ったのですが、2週間ぐらいするとだんだん気持ち悪くなって、2~3日休みがあった時にビール1本飲んじゃったんです。本当にすみませんでした!ちなみに東京の完成披露では言わなかったんです。大阪だけ!」と、序盤からトークも飛ばし気味に。武監督も「今日はたくさんの人にきていただき、ありがとうございます。ショックでしたが、なんとか立ち直りたいと思います」と挨拶し、大きな拍手が送られた。
 
 
 
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前日に東京・新宿FACEで行われた完成披露上映会では、黒潮“イケメン”二郎、武尊ら格闘家らも登壇したという話題に。佐藤は「バブリーでした。お客さんも無料でした。だからもっと人がいてたような気も・・・」と観客を笑わせると、瑛太は「アスリートと一緒は初めてですが、普段リングで闘っていらっしゃる方なので、挨拶も丁寧でしたね。(ファイトシーンも)考えていたけれど、誰にも言えずに終わりました」と和やかな雰囲気であったことを強調。武監督も「映画を上映する場所じゃなく、リングで普段プロレスを見る場所なんです。偶然3年前『百年の恋』の試合シーンを撮った場所なので、ビックリしました」とイベントとしてのスペシャル感があったことを語った。一方、映画館での上映はこの大阪が初めてということにも触れ、「一緒に観たい」と力強く宣言した。
 
 
今回、売れない俳優のヒデオと10年来同棲し、支え続けている主人公カナコを演じた佐藤は、その感想を聞かれると「あと何回主演を演じることができるんだろうと思い、すぐにオファーを受けました」。一方、過去の栄光に固執するヒデオを演じた瑛太は「ヒモ生活で、女性の視点から見たらダメな男と感じるかもしれませんが、男性から見れば映画全体的に割と共感できる部分があると思います」と、ヒデオの気持ちが分かる様子。
 
 
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そんな瑛太を佐藤は「ヒデオが乗り移った感じ。ステキで応援していました。役者魂がものすごく強い方」。瑛太は佐藤との芝居について「ヒデオとカナコの関係が一瞬で出来上がった感じ。それはサトエリさんが持っている母性、男をどこか見守ってくれる包容力のある方だなと。気持ちよくお芝居させていただきました」と称えた。また、本作はオリジナル脚本だが、『百円の恋』で脚本を担当した足立紳氏の夫婦のエピソードにインスピレーションを得たことも明かされた。
 
 

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最後は「私は中学3年間を大阪肥後橋に住んでいて、その時の進路の先生に進路を聞かれて『私は芸能人になる』と言うたんですよ。そうしたらポカンとした顔をして、これは絶対あかんと思ったのですが、先生に『もし私が芸能人になって大阪に来たら、謝りに来てください』と言うと、何年かしてある日舞台挨拶に出ていたら、進路指導の先生が『ちゃんと謝りに来ました』と。私はなんて大きな口を叩いたのかと、その時はごめんなさいと思ったのですが、この作品を見て、夢を目指して闘ったりすることはいいんじゃないかという気持ちになりました。ゆっくり観て行ってください」(佐藤) 
 
「僕は大好きな映画の一本になりました。今から観られる方々なので・・・この映画、始まったら物凄いことになっているので、面白かったらたくさんの人に伝えてください」(瑛太)
 
「タイトルは『リングサイド・ストーリー』となっていますが、『ヒデオとカナコのストーリー』だと思うので、そういうところも楽しんでください。出てくる人たちみんなが楽しいと思います」(武監督)
と挨拶し、映画館初上映となる今回の舞台挨拶を笑顔で締めくくった。
 
プロレス、総合格闘技の裏側が垣間見え、『百円の恋』男性版かと思いきや、 そう簡単にはいかないところがよりリアルな、ヒデオとカナコのラブストーリー。ダメ男につい尽してしまう女性、過去の栄光を捨てきれない男性は必見!そして夢の先に進みたい人にも、是非観て、楽しんでほしい。
(写真:河田真喜子 文:江口由美)
 

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<作品情報>
『リングサイド・ストーリー』
(2017年 日本 1時間44分)
監督:武正晴
出演:佐藤江梨子、瑛太、武藤敬司、黒潮“イケメン”二郎、武尊、田中要次、高橋和也、前野朋哉、近藤芳正、余貴美子
2017年10月14日(土)~大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://ringside.jp/
(C) 2017 Ringside Partners
 

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福山雅治、ヴェネチアでカンヌに続き是枝監督と「男泣き」宣言!?『三度目の殺人』舞台挨拶
(17.8.29 TOHOシネマズ 梅田)
登壇者:福山雅治、是枝裕和監督  
 
第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『そして父になる』から4年。福山雅治と是枝裕和監督が2度目のタッグを組んだ最新作『三度目の殺人』が、9月9日(土)より全国ロードショーされる。是枝監督が初めて法廷サスペンスに挑んだ本作では、福山雅治が裁判に勝つためには真実は二の次とクールに割り切る弁護士重盛を演じる他、重盛が弁護を引き受ける羽目となる容疑者、三隅役に役所広司、被害者の娘・咲江役に広瀬すずが扮し、物語が進むにつれ、闇が深くなる本作で緊張感たっぷりに演じきっている。何度も行われる重盛と三隅の接見シーンはまさに本作一番の見どころだ。
 
 
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全国ロードショーを前に、8月29日(火)TOHOシネマズ梅田にて行われた舞台挨拶付試写会では、上映前に主演の福山雅治と是枝裕和監督が登壇。コンサート会場のような大きな声援と拍手の中、
「大阪に帰ってまいりました。是枝監督作品ではないのですが、ジョン・ウー監督作品の撮影で去年は結構長く大阪にいました。僕的には久しぶりのようで、ホーム感を感じています。みなさん、よろしくお願いします」(福山) 
「二度目の福山さんとのコンビということで、どれぐらい福山さんに成長した姿を見せられたかな。心もとないところもありますが、非常に充実したいい現場でした。充実した現場を反映した、自分でも納得度の高いものになりましたし、その作品をご覧いただくことを本当にうれしく思っています。今日はよろしくお願いします」(是枝監督)
と挨拶。 この日の試写会には、関西テレビ主催試写会過去最高の応募数(1万7230通)があったことが明かされると、「まじで? うれしいですね。ありがとうございます」と福山も驚きながら喜びを表現した。
 
 
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勝ちにこだわるドライすぎる弁護士役で共感する部分を聞かれた福山は、「(共感する部分は)あります。基本的に全てのことに勝ちたいと思っています。自分が思い描いているイメージに勝ちたい。監督がさきほど成長した姿を見せられたかなとおっしゃっていたが、僕も以前ご一緒したときより少しはましになったかなという思いはあるんです」と、過去の自分からの成長に触れると、是枝監督は、「今回すごい!」と絶賛。
この年になって使う言葉ではないけれどと前置きしながら、「わ!すごいと思ったし、役所広司さんとの接見シーンは、『この二人はどこまでいくんだろう』と。居合わせたスタッフみんなが、カットがかかった瞬間『すごいね』。それだけ緊張感のあるいいシーンです」と、本作の見どころを紹介。 
 
 
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是枝監督が絶賛した役所広司とのシーンを振り返った福山は「毎回ある程度集中力の高さがある中、ワンテイク目の瑞々しい集中力、密度は他に代えがたい。その中テイク2、3になっても、そこまでよじ登ろうとする役所さんに感動するし、引っ張っていただいた」と感謝しきり。是枝監督も、「(役所さんに)いい加減なことはできない。樹木希林さんもそうだが見透かされている。僕よりも僕の書いた脚本を深く読み込み、真摯に向き合っている」と役所と初めての仕事に覚悟をもって臨んだことを明かした。
 

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『三度目の殺人』は、第74回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品が決まっているが、是枝監督にとっては、デビュー作『幻の光』以来22年ぶりの凱旋となることを紹介した福山は、「監督と一緒にいると、すごくいいところにつれていってもらえる」と素直すぎる感想で会場を笑わせると、「上映前日劇場での色や音の調整をやった後、日頃穏やかな是枝監督の集中と緊張で欄々とした目を見た時にすごい現場なんだな、監督の勝負の日なんだなと、急に身が引き締まりました。翌日カンヌでのスタンディングオベーションで、届きましたねっていう気持ちで泣いてしまって。人前で泣くことをなるべくせずに生きてきたけど、ベネチアでもそんなことが体験できればいいな」と再び男泣き宣言。司会者から凱旋舞台挨拶を希望される場面もあり、観客も熱い拍手でベネチアへの期待を表現した。
 
 

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観客と一緒になってのフォトセッションを経て、観客の方に向かっての最後の挨拶では、
「僕も撮影中どんな結末を迎えるのだろうと、演じながら演出と台本と役所さん演じる三隅に翻弄された数ヶ月でしたから、翻弄される2時間になるかもしれません。いったいどうなってるんだ、どこに行くんだと僕と同じ目線で存分に楽しんでください」(福山)
「撮る前は人は人を裁くことができるのかという、答えのない問いを続ける覚悟で作品と目の前の役者と向き合って作りました。実際みていただくと普通とは違うプロセスを経て着地し、すっきりしない人が多いでしょう。観終わって誰かと話したくなる、色々な解釈が成立する映画です。失敗してすっきりしなくなっているのではなく、それも狙いなんです」(是枝監督)
と、観終わった観客の様子を想像しながら、掛け合いのような挨拶で、最後まで盛り上がった。すっきりと分かりやすい映画が多い中、幾重にも想像を巡らせてしまう、すっきりしない映画。その中で問いかけられるものは、実は日々我々が対面していることでもある。是枝監督からの挑戦状のような本作で、それぞれの答えを探してみてほしい。
(江口由美)
 
 
 
 

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<作品情報>
『三度目の殺人』
(2017年 日本 2時間4分)
監督・脚本: 是枝裕和
出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介他
2017年9月9日(土)~TOHOシネマズ 梅田、TOHOシネマズ なんば、TOHOシネマズ 二条、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://gaga.ne.jp/sandome/
(C) 2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ
 


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
「時代と世代を越えて愛される奇蹟のペン」プレゼント!

  

namiya-pre.jpg■提供: 松竹

■プレゼント人数: 3名様

■締切日:2017年9月30(土)

公式サイト: http://namiya-movie.jp/


2017年9月23日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー


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 全世界800万人が涙。
「東野圭吾作品史上、最も泣ける感動作!」待望の実写化!

2012年の発売以来、謎めいたストーリーと、ファンタジックな展開のラストに訪れる深い感動が瞬く間に話題を呼び、「東野圭吾史上最も泣ける感動作」として高い支持を得ている「ナミヤ雑貨店の奇蹟」が満を持して実写映画化。主人公の敦也役には、Hey! Say! JUMPのメンバーで、映画・テレビドラマなど幅広いフィールドで活躍中の山田涼介。また、ナミヤ雑貨店の店主で、人々からの悩みにこたえる浪矢雄治役に日本映画界を代表する演技派俳優の西田敏行。メガホンをとるのは廣木隆一監督。そして、主題歌を担当するのは山下達郎。人間の絆と奇蹟を描いた東野圭吾ベストセラーが豪華キャストと最強スタッフ陣が総力をあげた作り上げた作品です。
 


 【STORY】
namiya-pos.jpg 2012年。幼馴染の敦也、翔太、幸平の3人は、ある日夜を明かすため1軒の廃屋に忍び込む。そこはかつて悩み相談を受けることで知られていた「ナミヤ雑貨店」だった。今はもう廃業しており、自分たち以外誰もいないはずの店内に、突然シャッターの郵便口から手紙が落ちてくる。なんとその手紙は32年前に書かれた悩み相談だった。敦也たちは戸惑いながらも、当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書く――。

そして、敦也たちがある人物からの"最後の手紙"を受け取ったとき、彼らの運命が大きく動きだす。
―全ての繋がりの謎が明らかになる時、思いもよらない驚きと感動のラストが待ち受ける。 

彼らの回答で人生が変わっていく相談者たち。次第に明らかになっていく雑貨店の秘密と、相談者たちと敦也たちの共通点。彼らがこの雑貨店に忍び込んだのは偶然ではなかったのかー?

 


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

■原  作:東野圭吾 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川文庫刊)
■出  演:山田涼介 村上虹郎 寛 一 郎 成海璃子 門脇麦 林遣都 萩原聖人 尾野真千子 / 西田敏行
■主題  歌:「REBORN」山下達郎(ワーナーミュージック・ジャパン)
■監  督:廣木隆一 
■脚  本:斉藤ひろし 
■配  給:KADOKAWA/松竹 (共同配給)
■公式サイト: namiya-movie.jp 公式twitter:https://twitter.com/namiya_movie
■©表記:©2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

2017年9月23日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、他全国ロードショー


 (プレスリリースより)

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『草原に黄色い花を見つける』ヴィクター・ヴー監督インタビュー
 

~80年代後半ベトナム、瑞々しい映像で紡ぐ子ども時代と初恋の苦い思い出~

 
緑溢れる大地と穏やかな川に囲まれた、牧歌的なベトナムの村が冒頭からスクリーンに広がり、一気に作品の世界に誘われる。1980年代後半のベトナムの村を舞台に、貧しくも家族が揃って暮らすティエウとその弟、そして父親と住む幼馴染のムーンの瑞々しい初恋や村のエピソードを描いた『草原に黄色い花を見つける』。
 

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ベトナム映画界で今やヒットメーカーとなっているアメリカ生まれのヴィクター・ヴー監督が、ベトナムのベストセラー作家グエン・ニャット・アインの原作を映画化、子どもたちの視線で当時のベトナムの人々の暮らしや、子どもたちの世界を繊細に描写し、心に響く感動作を紡ぎ出した。電気もコンピューターもない村での素朴な遊びの風景や、村に出ると噂の幽霊話、弟と仲の良いムーンに嫉妬した主人公ティエウの自己中心的な行動など、懐かしさとほろ苦さが思わず込み上げる。今、勢いが著しいベトナムから生まれた、心の故郷を思い出すような作品だ。
 
大阪アジアン映画祭2015で日本初公開されたときは撮影のため来日が叶わなかったというヴィクター・ヴー監督が、今回はキャンペーンで来阪。本作への思いや、現在準備中の作品についてお話を伺った。
 

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■私のキャリアの中で、人間の気持ちや心の動き等の感情面を深く掘り下げる作品を作る時期が来たと感じた。

―――本作を撮ることになったいきさつは?
何年も前にプロデューサーが脚本を持ちこんでいた企画でしたが、その時は私自身のタイミングが合わず実現せずに終わりました。その後再び脚本が持ち込まれた時に原作を読んでみると、感情描写が繊細で、深く感銘を受けました。私には弟がいるのですが、子どもの頃を思い出し、まるで自分の話のように感じられたので、この話を映画にしたいと思いました。今まで作っていた映画とは全く違う傾向の作品ですが、人間の気持ちや心の動き等の感情面を深く掘り下げるものになると思いましたし、私のキャリアの中で、いよいよそのような作品を作る時期が来たのだと感じたのです。
 
―――それまではエンターテイメント作品が多かったようですね。
私の一番好きなジャンルはスリラーです。その範疇で、コメディーやアクション、ホラーなど作ってきました。どちらかと言えば技術面に凝った作品を作ってきたのですが、今回は心を開放し、人間の思いを描きだすことに魅力を感じた訳です。

 

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■自分が体験できなかったベトナムでの子ども時代や、代々引き継がれてきたベトナムの伝統に近づく。

―――監督はアメリカで生まれ育ったベトナム人ですが、自分の原点に戻る狙いがあったのでしょうか?
多くの映画人が自分たちの故郷に関する映画を撮りたいと思っていますが、ベトナムではプロデューサーがいない、資金調達が難しい、劇場公開しても興行成績が思うように伸びないなどの理由から、なかなか撮れないのが現状です。私自身は幸運にもこの作品を作ることができました。ただ子ども時代をベトナムではなくアメリカで過ごしているので、本で読んだりしながら知っていき、自分が体験できなかったベトナムでの子ども時代や、今まで代々引き継がれてきたベトナムの伝統に近づけた気がします。
 
―――作品の舞台になった80年代後半のベトナムについて、様々なことを調べる必要があったのですね。
とても有名で、ファンの多い作品ですから、それを映画化することにプレッシャーはありました。また外国育ちの私が、真にベトナム的なこの作品を作れるかに不安もありました。ですから、とても細かいところまでこだわりました。衣装やセットだけでなく、音楽もベトナムらしいものを採用しています。
 
 

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■原作のエッセンスは子どもたちの無垢な心、子どもの視点でみた世界。

―――プレッシャーが大きかったとのことですが、その中で特に描きたかった部分や、原作に付けくわえた部分はありますか?
原作者のグエン・ニャット・アインさんにお会いした時、「映画は映画、本は本なので、本と同じような映画にしなくてもいい」とおっしゃって下さり、私もホッとしました。原作から絞る作業をする際には、心の動きや子どもたちの感情面にフォーカスしました。ストーリーを追うだけでなく、この原作のエッセンスに光を当てる作業だったのです。そのエッセンスというのは子どもたちの無垢な心であり、子どもの視点でみた世界です。それを伝えるために俳優たちの演技だけでなく、シンプルだけど伝わる会話や、周りの景観を大事にするようにしました。
 
―――子どもたちの日常描写で、ゴム飛びや凧揚げ、石投げなどの昔懐かしい遊びをする様子が多く描かれているのも本作の見どころですが、監督ご自身はこのような遊びを小さい頃にしたことはあるのですか?
私自身の子ども時代にはどれも体験したことのないものでした。セットを作りながら、昔のベトナムの遊びや生活を学んだ部分が大きかったです。例えば子どもたちが着ているシャツなども、今売られているような新しい素材のものではスクリーンで観たときに感触が違うと感じ、当時のものに見えるように作り直したりもしました。
 
―――作品で重要な役割を果たす詩集は、原作でもあったものですか?
『愛の詩集』は原作でも引用されているとても有名なものです。現物を入手できたので、映画にも登場させました。映画の最後の部分は私たちが創作しました。ティエウが成長して大人になり、改めて詩集を読みなおすことで、ムーンの本当の気持ちが分かるという意味があります。最初読んだときには全然意味が分からず、ムーンと仲の良い弟に嫉妬したり、ムーンを突き放したりしますが、最後に自分のことがずっと好きだった事を知り、にっこりと笑うのです。ムーンの方が詩のことを最初から理解していた訳です。
 
 

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■毎日の生活がより素朴で、人々の生活がより近くに感じられる時代があったことを感じてもらいたい。

―――日本でも昔あったモーターサイクルサーカスが登場し、このサーカスは世界共通なのかと思いましたが。
モーターサイクルはベトナムでも人気がありました。映画に出演しているのはベトナムで最後のモーターサイクルサーカスです。ご夫婦でされていたのですが、この映画の出演を最後に引退されたそうです。
 
―――モーターサイクルサーカスも含めて、時代の終わりを象徴するような狙いもあったのでしょうか?
小説の原作者がどう考えていたか分かりませんが、原作もムーンが引っ越すところで終わります。ムーンは現代に移っていくけれど、兄弟たちは村に取り残される訳で、毎日の生活がより素朴で、人々の生活がより近くに感じられた時代があったことを感じていただけるでしょう。
 
―――全体的にベトナム戦争の影をほとんど感じない中で、ダン叔父さんだけは戦争で負ったと思われる右腕のない姿でした。ダン叔父さんを描くにあたって、どのような思いを込めたのですか?
原作にも戦争の影はありませんし、原作者も意図したことだと思います。ダン叔父さんの存在は、村から疎外されている可哀そうな人のように映るかもしれませんが、ご覧のとおり、とても楽観的に描かれていますし、兄弟の両親よりもポジティブ思考な存在なのです。
 
 

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■自分の民族や文化の映画を作り、世界の観客に観ていただける可能性を日本映画から感じた。

―――日本映画には、どのような印象がありますか?
アメリカで育ったので、アジア映画を観る機会はあまりありませんでしたが、中国と日本の映画は観ていました。私が一番影響を受けた映画監督はヒッチコックですが、黒澤明監督も私の師と言えます。大学でも日本の古典的な映画をたくさん鑑賞しましたので、影響を受けたと言えますし、自分の民族や文化の映画を作り、ベトナムの人たちだけでなく、世界の観客に観ていただける可能性があることを感じました。
 
―――次回作はエンターテイメント作に戻るのでしょうか?
2作品がポストプロダクション中です。私自身の映画作りの姿勢としては、エンターテイメント作品とか商業作品と分けて考えるのではなく、自分にインスピレーションを与えてくれる作品を作るようにしています。1本目は『Lôi Báo(ロイバオー)』というアクションスリラーです。『草原に黄色い花を見つける』が自分の文化的ルーツへの回帰作とすれば、『ロイバオー』は生まれ育ったアメリカ的な作品です。2本目は『The Immortal(ザ・インモータル)』で、超自然的、オカルト的な作品です。ただ単なるスリラーではなく、『草原に黄色い花を見つける』の経験に基づき、ベトナムの歴史や文化を掘り下げる側面もあります。時代設定は百年ほど前のフランスの植民地時代で、撮影はベトナムの北部から南部まで広範囲に渡り、苦労も多かったですが、今まで私が作った中で一番美しい映画になりました。

 

■ベトナムの観客は、物語の中に自分を投影できる作品を待っていた。

―――今までエンターテイメント作品がヒットしていたベトナムで、本作は若い観客たちに受け入れられたそうですが、そのことがベトナム映画界にどんな影響を与えたのでしょうか?
この映画が公開された年、ベトナム映画の中で興行第一位に輝きました。ベトナムの若者たちはエンターテイメント作品に慣れていたので、この結果に皆驚きましたが、ベトナム映画界全体にとって、このように人間の感情を取り上げるような作品、観た人が物語の中に自分を投影できる作品を待っていたことが証明されたと思います。
(江口由美)
 

<作品情報>
『草原に黄色い花を見つける』(2015年 ベトナム 1時間43分)
監督:ヴィクター・ヴー
原作:グエン・ニャット・アイン
出演:ティン・ヴィン、チョン・カン、タイン・ミー、マイ・テー・ヒエップ他
2017年9月16日(土)~シネマート心斎橋、今秋~京都みなみ会館、元町映画館他全国順次公開
公式サイト⇒http://yellow-flowers.jp/  
(C) 2015 Galaxy Media and Entertainment. All rights reserved.
 

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『エル ELLE』ポール・ヴァーホーヴェン監督、主演イザベル・ユペールトークショー@フランス映画祭2017


「見るのが大変なシーンは多いが、私にとって大変なシーンはない」
イザベル・ユペール、唯一無二のヒロインの内面を語る。

 

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『氷の微笑』ポール・ヴァーホーヴェン監督が、イザベル・ユペールを主演に迎え、フィリップ・ディジャン(『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』)原作をオールフランス人キャストで撮りあげた『エル ELLE』。自宅で覆面男に襲われたゲーム会社社長のミシェルが復讐を企てるうちに、自らの知られざる本性が明らかになっていく様をサスペンス調に描いている。イザベル・ユペール演じるミシェルの予測不可の行動は、時にセンセーショナルで、時に滑稽さも滲む。犯人捜しをしているつもりが、いつの間にかミシェルの内面を覗き見たいという衝動に駆られることだろう。
 
フランス映画祭2017での上映後、ポール・ヴァーホーヴェン監督と、主演イザベル・ユペールさんが登壇し、観客から大きな拍手が送られた。2年連続の映画祭来場に観客からは「名誉団長として毎年来場してほしい」とユペールさんにラブコールが起こるなど、熱気あふれる会場で行われたトークショーの模様をご紹介したい。
 

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―――父が連続殺人鬼であることが主人公ミシェルの本性に大きな影響を与えているように感じるが、ミシェルの本当の性格をどう思うか?
ユペール:自分自身を滅ぼしてしまう部分はあるかもしれませんが、この出来事を通じてミシェルはある種の再構築するのではないかと考えています。もしかしたら父が連続殺人鬼なのが、もしかしたらその説明になるかもしれないが、映画ではそのことが必ずしもリンクしているのではなく、それは一つの情報として提供されています。そこは観客の皆さんが自由に解釈していただく部分です。
 
ミシェルはレイプされるという暴力的な出来事を、ポジティブとは言わないまでも、何か自分の頭の中で、自分は誰かということと関連づけていきます。非常に男性的な暴力はどこからくるのか、自分自身が直面することで知りたいと思っているのかもしれません。冷酷さがミシェルの原動力になっている訳ではありません。
 

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―――監督はユペールさんとミシェルのキャラクターについて話し合いをしたのか?
監督:一切していません。どういう風に撮るのかのプランや、レイプのシーンで危険な事故が起こらないような話し合いはしましたが、キャラクターの動機は一切ディスカッションしていません。それはするべきではないと考えていました。フロイト的な分析にしかならず、映画を作る助けにはならないのです。ユペールさんを信用していたので、我々は見ているだけでした。
 
―――ミシェルは幼い頃父親が犯した連続殺人により、トラウマ的体験をしているが、ミシェルのレイプ事件とそれぞれモデルになるような事件はあったのか?
監督:ミシェルが10才のときに経験したことが、その後の彼女にどう影響したのか。レイプ犯とサドマゾ的関係になることと結果的につながるのかは全く小説では描かれていませんし、この映画でもそうです。ミシェルというキャラクターを生み出し、実際に事件を経験した少女が数十年後にどうなるかを筆者は掘り下げて書いていったのだと思います。
父親についてはノルウェーで70名ぐらいの殺人を犯した事件があり、そのキャラクターをベースにしているそうです。
 
―――撮影で一番大変だったシーンは?
ユペール:見るのは大変なシーンはあると思いますが(笑)、私にとって大変なシーンはありません。私にとって一番大変なのは鳥が死ぬシーンです。この映画のテーマは命ですし、こんな小さな命をもミシェルは救おうとする訳で、いかに命が大切かにつながっていきます。
(江口由美)
 

<作品情報>
『エル ELLE』“ELLE”
(2016 フランス=ドイツ=ベルギー 2時間11分)
<監督>ポール・ヴァーホーヴェン
<出演>イザベル・ユペール、ロラン・ラフィット、アンヌ・コンシニ他
2017年8月25日(土)~TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、神戸国際松竹 他全国ロードショー
(C) 2015 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS- TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION - FRANCE 2 CINEMA - ENTRE CHIEN ET LOUP
 
 


torigirl-500-1-1.jpg映画『トリガール!』×ねごと×FM802「ROCK KIDS 802」、熱気ムンムンの公開収録

 
9月1日(金)公開の映画『トリガール!』とその主題歌を担当している ねごと 、そしてFM802『ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-』(毎週月~木 21:00-23:48)とのコラボレーションイベントが開催された。スペシャルトークのゲストは、映画『トリガール!』主演の土屋太鳳と間宮祥太朗。トークの後には、主題歌『空も飛べるはず』を歌った4人組のガールズバンド ねごとのライブも行われた。

200人の若いファンの大歓声に迎えられたスペシャルゲストによるトークは、俳優になったキッカケや映画『トリガール!』撮影中の秘話、さらにリスナーからの想定外の質問に答えるなど、二人の一挙手一投足に歓声が上がる熱気ムンムンの公開収録となった。


torigirl-ivent-550.jpg【イベント概要】  
●日時=2017年8月18日(金) 18時40分~
●場所=放送芸術学院専門学校ドリームホール
●ゲスト=土屋太鳳(22)、間宮祥太朗(24) (TALKゲスト)
     ねごと(LIVEゲスト)
●MC=DJ落合健太郎(42)
●イベント詳細URL= https://funky802.com/i/s5017
●映画公式URL = http://torigirl-movie.com/


そして、今回の収録の模様は以下の番組でオンエアとなります。

【番組情報】 「ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-」 
放送日時=8月31日(木) 21時~
●DJ=落合健太郎
●詳細URL= https://funky802.com/rockkids/
●オフィシャルSNS= @RK802STAFF
●写真提供:FM802


 torigirl-ivent-500-1.jpg【スペシャルトーク】
絶叫のような黄色い歓声響く中迎えられた土屋太鳳と間宮祥太朗。高めのスタンドチェアに戸惑う土屋太鳳を気遣う間宮祥太朗に、さらにお互いを「太鳳」「祥太朗」と名前で呼び合う度に会場からは歓声が沸き上がる。人力で飛行する「鳥人間コンテスト」に挑戦する大学生の奮闘を描いたラブコメで主演した二人。ライバル意識から始まり、切磋琢磨しながら目標達成へと協力していく。悪態つきながらもいつしかお互いを認め合う仲に……。そんなホッとな青春映画を全力で駆け抜けた二人が、撮影の様子や主題歌「空も飛べるはず」、挿入歌「ALL RIGHT」について語ってくれた。


torigirl-ivent-tao-1.jpgDJ:お二人はいつ頃から俳優になりたいと思われたのですか?
土屋:10歳位から俳優を目指してオーディションを受けました。それまでは、保育士さんや看護師さんになりたいと思っていました。ある日新聞で「ミス・フェニックス・オーディション」という文字が目に入り、私の名前の「鳳」と同じ「鳳凰=フェニックス」を見て、「私だ!」と思って応募したら、審査員特別賞を頂いたんです。

間宮:僕は15歳からです。元々映画が好きで、映画に関係する仕事をしたいなと漠然と思っていたら、ある日先輩から「食堂の裏に来い!」と言われ、「やばい!」と思いながら行くと、「今度の土日、空いてる?」って聞かれ、「はあ?」。その先輩が雑誌の編集者に紹介してくれて、中学生向けの雑誌を作っていたプロデューサーに見い出されたんです。


DJ:人生どこにキッカケがあるか分からないので、いろんな努力が必要ですね。映画『トリガール!』でも努力、努力で「鳥人間コンテスト」に挑む大学生を演じていましたね。撮影はかなり過酷だったのでは?
土屋:暑さと、台詞のタイミングが難しかったです。卓球のラリーのように本能で言葉を返していた感じでした。
DJ:凸凹コンビと言われながらも二人の掛け合いが最高に面白かったのですが、アドリブもあったのでは?
torigirl-ivent-mamiya-1.jpg間宮:監督からはアドリブの指示というより、ゆきなと坂場との関係性において、僕が強く言ったことに対し必死で食らい付いてくるゆきなの様子を撮りたいので、「できるだけ太鳳ちゃんを困らせてほしい」とか、「思い付いたことをどんどん掛けていけば、絶対面白いことになるから」と監督に言われました。


DJ:突然台本にないようなことが飛んで来たんですか?
土屋:はい、飛んできました。私はできるだけ台本を大事にしようと思っていたので、祥太朗にもセリフ合せを頼んだら、「あ、分かった」と低い声で答えて…(笑)。
間宮:オレ、そんな怖い言い方してないよ、「あ、いいよ♪」って軽く言ったと思うよ(笑)。
土屋:でも、祥太朗は本番ではその場面に合った心にマッチしたアドリブを出してくれました。
DJ:どこまでが台本で、どこからがアドリブか分からない程、二人の掛け合いが素晴らしかったので、是非ご覧になられる時には気を付けてお楽しみ頂きたいと思います。


DJ:これからはラジオで繋がったラジ友からの質問です。
Q1:お二人に似ている動物は?

土屋:カピバラに似てると言われます。この間も「温泉に行きたい!」と言ったら、そこに丁度カピバラが温泉に浸かってる写真があって、「似てる~!」って(笑)。
間宮:ご覧の通り、僕は濃い顔をしているので、猛禽類だと言われます。猛禽類でもどの鳥ということもなく、類でくくられて、しかも人間じゃないんだ~(笑)。よく古い友人にそう言われます。
DJ:確かに、自然界にいたら何か獲物を狙ってるような?
間宮:いつも獲物を狙ってる訳じゃないんですけどね(笑)。


Q2:撮影地の滋賀県にいる時、何かしました?
土屋:花火観ましたね。撮影が終わってから、彦根城の近くから琵琶湖の花火大会を観ました。とても綺麗でした。


torigirl-500-2.jpgQ3:限界を感じる時ってどんな時ですか?
間宮: 『トリガール!』に関しては、限界は越えていたように思います。特に、最後の方では暑さと体力の限界を超えて朦朧としてしまいました。
土屋:本当に暑さと体力の限界の中でセリフの応酬をするのですが、祥太朗は声がとても大きくて、最後のセリフの掛け合いでは、その声の大きさに引っ張ってもらいました。とても大きなお芝居をなさっておられました!
間宮:そう、「お芝居をなさっておられます!」(笑)。リアルな汗を感じられる『トリガール!』、4Dなら汗が飛んでくると思います。


【ねごと によるライブ】
ねごと:スピッツの曲「空も飛べるはず」をカバー。素晴らしい映画に惹き込まれて、是非やらせて頂きたいと。私たちなりの空が飛べたらという気持ちを込めて「空も飛べるはず」が完成しました。

土屋:この曲は、はじめて覚えたギターのコードだったので思い入れもあり、ねごとさんに歌って頂いてとても嬉しかったです。夢を追い駆けていると迷ったり挫折したりすることがあると思うけど、これから何かあったらこの歌を聴こうと思いました。
間宮:優しい曲ですね~。この曲が流れるエンドロールもとても可愛らしいので、是非最後まで楽しんで観て頂きたいです。


torigirl-ivent-500-2.jpgDJ:最後にラジオのリスナーへ向けて?
間宮:去年の夏に撮影しました。その前に「鳥人間コンテスト」を初めて観て、今まではただ楽しくお祭りのようだと思っていましたが、とてもシビアでストイック、そのためだけに努力を重ね、みんなの情熱が詰まっていることを初めて知りました。仲間と何かを創り上げることはとても大切で幸せなことだと感じ取って頂けたら嬉しいです。

土屋:観て頂いた方の心に翼を与えてくれるパワーあふれる作品となりました。キラキラした青春の中でも、挫折であったり、迷いであったりする部分も描いております。フィクションですがリアルな青春があり、とても感動できる作品です。『トリガール!』、どうかよろしくお願いいたします!



土屋太鳳(つちやたお)
1995年2月3日生まれ、東京都出身。主な出演作:『PとJK』、『兄に愛されすぎて困ってます』、『フェリシーと夢のトゥシューズ』、『8年越しの花嫁』(12月16日公開)、『となりの怪物くん』(2018年公開)など

間宮祥太朗(まみやしょうたろう)
1993年6月11日生まれ、神奈川県出身。主な出演作:『帝一の國』、『お前はまだグンマを知らない』、「僕たちがやりました」、『全員死刑』(11月18日公開)、『不能犯』(2018年公開)など

ねごと
様々なジャンルの音楽にインスパイアされ、自由な音楽を奏でる実力派エレクトロニックロックバンド・ねごとは、蒼山幸子(Vo.&Key)、沙田瑞紀(Gt.)、藤咲佑(Ba.)、澤村小夜子(Dr.)からなる4人組。唯一無二の独自の世界観で10代の頃から注目を集め、大型フェスにも多数出演。これまでに、11枚のシングル、2枚のミニアルバム、4枚のフルアルバムをリリース。映画『トリガール!』主題歌/挿入歌のダブルA面シングル「空も飛べるはず / ALL RIGHT」は8月30日発売。

落合健太郎(おちあいけんたろう)
1974年11月17日生まれ、茨城県出身。13年間海外で生活。大学生の時に演劇とラジオに出会い、役者を目指すもラジオDJオーディションに導かれ、見事合格。2000年より名古屋でレギュラースタート。FM802開局当時からの看板番組のひとつである「ROCK KIDS 802」は、2012年から担当。


『トリガール!』
torigirl-pos.jpg■出演:土屋太鳳、間宮祥太朗、高杉真宙、池田エライザ、矢本悠馬、前原 滉、佐生 雪 / ナダル(コロコロチキチキペッパーズ) 羽鳥慎一、轟 二郎、ひこにゃん
■原作:中村 航「トリガール!」(角川文庫)
■監督:英 勉 ■脚本:高橋 泉 ■音楽:遠藤浩二
■制作プロダクション:ダブ ■配給:ショウゲート
■製作:博報堂DYミュージック&ピクチャーズ 読売テレビ KADOKAWA 日本テレビ 中京テレビ 読売新聞社 ダブ 福岡放送 札幌テレビ ミヤギテレビ 静岡第一テレビ 広島テレビ テレビ新潟 テレビ信州 テレビ金沢 西日本放送 熊本県民テレビ 鹿児島読売テレビ
■(C)2017「トリガール!」製作委員会
公式サイト⇒ http://torigirl-movie.com/

 

2017年9月1日(金)~TOHOシネマズ 新宿他、全国ロードショー!


(河田 真喜子)

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岡田准一、撮影中に士気が高かった西軍は「今回、本当に勝てると思った」『関ケ原』舞台挨拶
(17.8.15 TOHOシネマズ 梅田)
登壇者:岡田准一、平岳大、原田眞人監督  
 
司馬遼太郎原作の国民的ベストセラー『関ケ原』が、原田眞人監督(『日本のいちばん長い日』)によって初めて映画化される。豊臣秀吉亡き後、天下取りの野望を抱く徳川家康率いる東軍と、石田三成率いる西軍が関ケ原で激突した「関ヶ原の戦い」。今までのイメージを覆し、正義を貫く、純粋すぎる三成を岡田准一が、野望に燃え、策略を駆使しながら三成を追い詰める家康を役所広司が熱演。新たな視点で天下分け目の合戦に至るまでの人間模様や、日本の歴史が動いた6時間の戦いをダイナミックに描いている。
 
 
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8月26日(土)からの全国ロードショーを前に、8月15日(火)TOHOシネマズ梅田にて行われた舞台挨拶付試写会では、石田三成役の岡田准一、島左近役の平岳大、原田眞人監督が上映前に登壇。「ひらパー兄さんこと、石田三成役を演じた岡田准一です」と大阪のファンにお馴染みのテーマパークCMキャラで挨拶すると「今の時代に監督が25年間構想した『関ケ原』を実現できたことを非常にうれしく思います。大阪にいる頃は歴史好きな少年でしたから」(岡田)。「ちょうど昨年の今ごろ、猛暑の中撮影を開始し、ようやく完成して、今日ここに立っていることは感無量です」(平)。「歴史的には西軍が負けましたが、興行的には西は勝てます。大阪出身の岡田さんもいますし、司馬遼太郎さんも大阪出身ですから、西が(興行的に)勝たないと。よろしくお願いします」(原田監督)とそれぞれの思いをまず語った。
 
 

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25年間構想の末、ようやく今『関ケ原』を映画化できたことについて、原田監督は「今映画化が可能になったのは、僕自身が積み上げてきたキャリアもありますが、それ以上に重要なのは司馬遼太郎先生の原作が読み続けられていること。そして現代のテクノロジーが関ケ原の時代に戻ることができると感じさせてくれます。そして一番重要なのは岡田さんが石田三成を演じるのにちょうどいい年齢になったことです」と4つのポイントを挙げた。
 
 
本作の大きな見どころとなっている合戦シーンでは「西軍リーダー役だったが、士気が高くて、今回西軍が勝てるんじゃないかと思ったほど。エキストラの皆さん、スタッフの皆さんも歴史好きの人が多く、人数が足りないところに入ってもらったり、ぱっと自然に動いてくれました」(岡田)。「合戦はアドレナリンが出て、体育会系のノリ。カットがかかってもまだ殴っているぐらい、ずっとハイテンションでした」(平)とノリノリで臨んでいた様子を披露。
 
 
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ここでゲストとして司馬遼太郎記念館館長の上村洋行氏が登壇し、「いい映画を作って下さりありがとうございます」と挨拶すると、原田監督が映画化を希望したことに対し、群像を表現する力量のある原田監督がおやりになるならと二つ返事で映画化を承諾したことを明かした。映画の感想を聞かれた上村氏は「司馬遼太郎小説のニュアンスを見事に表現しており、同時にこの映画の凄さは、全ての俳優が『関ケ原』に一体化していて、臨場感を与えています。ラストは『椿三十郎』の殺陣に匹敵するほど凄くて、感動しました」と絶賛。この感想を聞いた原田監督は「映画を撮っていた時、黒澤作品になんとか追いつこうともがいた苦労が認められた気分です」と感謝の意を示した。また上村氏は「日本中を巻き込み、後の時代に大きな影響を与えた戦い。江戸時代の階級は関ケ原の勝敗で決まったもので、逆に負けた側の薩摩、長州らが明治維新のエネルギーになっています。関ケ原を通して、今の時代を展望する機会にしていただきたい」と関ケ原の戦いと『関ケ原』の意義も解説しました。
 
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石田三成について、「当時正義感がないに等しい中で持ち続けていた武将。家康の野望に対し、義をもって応えている三成を岡田さんが新しい三成像で表現していらっしゃる」と上村氏が語ると、岡田は「中学時代に『関ケ原』を読んで、歴史好きになりました。歴史好きは司馬さんを通り、司馬さんに帰っていくので、本当にうれしいですね」。
また島左近については「これほどカッコイイ島左近は観たことがありません。江戸時代に島左近は武士の典型と言われたぐらいカッコよかったので、そのイメージ通りにスクリーンに現れ、魅了されました」と絶賛。平も「苦労や試行錯誤をしながら一生懸命作った左近なので」と感謝しきりだった。
 
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最後に「何度見ても楽しめる作品。関ケ原を体験する映画だし、色々な視点で観ていただきたいです。石田三成は正義感があり、真っ直ぐなゆえにもがくこともある、子どものような部分もあります。左近が応援したくなるような人間っぽさが見えるように演じました。生々しい関ケ原をぜひ楽しんでください」と岡田が挨拶し、舞台挨拶を締めくくった。
原田監督ならではの本物のロケーションで、石田三成を主人公にして描かれる『関ケ原』。見方が変われば、物事の見え方も変わる。知っているはずの歴史を改めて体験し、自分の中で構築してみてほしい。
(江口由美)
 

<作品情報>
『関ケ原』
(2017年 日本 2時間29分)
監督・脚本:原田眞人
原作:司馬遼太郎「関ケ原」 (新潮文庫刊)
出演:岡田准一、有村架純、平岳大、東出昌大、役所広司他
2017年8月26日(土)~TOHOシネマズ 梅田、TOHOシネマズ なんば、TOHOシネマズ 二条、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸他全国ロードショー
(C) 2017「関ヶ原」製作委員会
 
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簡単ではなかったからこそ、思い入れのある作品になった。
『ろくでなし』主演大西信満さんインタビュー
 
『東京プレイボーイクラブ』『クズとブスとゲス』の奥田庸介監督が、大西信満、渋川清彦を迎え、渋谷の街に流れ着いた訳あり男たちの生き様を描く最新作『ろくでなし』。流れ着いた渋谷の街で、クラブで働く優子(遠藤祐美)に一目惚れし、クラブの用心棒になる一真(大西信満)、優子の妹で女子高生の幸子(上原実矩)と交際、遠山の仕事を手伝うひろし(渋川清彦)、クラブのオーナーで裏社会の顔も持つ遠山(大和田獏)と、渋谷で生きる様々な事情を抱えた男女をリアルに描いている。現代の生きづらさや、その中で愛を求める姿を表現する、激しくも切ない傷ついた大人のラブストーリーが誕生した。
 
8月12日(土)より第七藝術劇場、元町映画館、京都みなみ会館の3館で同時公開される本作の主演、大西信満さんに、奥田監督と作り上げた一真像や、作品の魅力、撮影エピソードについてお話を伺った。
 

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■ふだんは“ろくでなし”だから、演じる時の緊張感を保つことができる

―――一真役のオファーから撮影までの期間が短かったそうですが、撮影に入るまでの様子を教えてください。 
大西:撮影までの期間というのは作品によって様々で、撮影まで半年時間をもらえる場合もあれば、極端な話、撮影3日前にオファーがくることもあります。当初、一真役は外見もプロレスラーのような体でないと成立しないような物語になっていたのですが、なかなかオファーできる俳優がおらず、キャスティングが難航していたそうです。村岡プロデューサーからの推薦で、急遽自分が一真役をやることになったのは、撮影の1ヶ月弱前でした。そこから監督と話し合い、一真を何もかも一瞬でぶち壊すようなタイプから、周りを壊すのではなく、自分を壊し、生きづらい世の中に居場所を探すという風に、役の捉え方を変換していきました。 
 
―――一この作品は渋谷を映し出した映画でもありますが、一真が田舎から都会へ出る際、渋谷を選んだのはなぜでしょうか? 
大西:映画では説明されていないので何とでも解釈できるのですが、想像するに、人口密度の高い大都市で、雑踏に紛れたいという気持ちがあったのではないかと。人が多ければ多いほど、周りに関心を持たなくなりますし、彼の身の上であれば、紛れてしまいたいという気持ちが働くのではないかと解釈しています。 
 
―――今まで同じ作品に出演することも多かった渋川清彦さんとの共演シーンが今回は多いですね。 
大西:キーさん(渋川さんは以前「KEE」名義で活動していた)とは事務所も同じだし、昔からの古い友人です。常に一緒にいるわけではないけれど、忘れた頃にどちらともなく「飲みに行こう」と誘うような関係が10年以上続いています。キーさんはいわゆるパブリックイメージから遠くない人ですね。みなさんがイメージしているような感じと近いと思います。 
 
―――なるほど。渋川さんと正反対で、大西さんはいつも寡黙かつ、目が物語るような、内に情熱を秘めた男を演じることが多いですね。
大西:演じる役として異様な緊張感が求められる場合が多いので、そういう時ほど〝ろくでなし〟に生きてバランスを保ったりしています。まぁ〝ろくでなし〟と言っても自分の場合なんてかわいいものですけど。
 

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■演じていくうちにラブストーリーの要素が濃くなっていった撮影現場

―――本作のタイトルも『ろくでなし』ですが、大西さん、渋川さんが演じる二人には愛おしさも感じれば、彼らが抱えている孤独も感じます。ラストのラブシーンは、そんな孤独で不器用な男女の魂がぶつかる映画のクライマックスの一つですが、どのように撮影したのですか? 
大西:あのシーンはワンカットの長回しでしたし、車がこないようにスタッフが止めていますが、何が起こるか分からない状況でした。しかもかなり体力的、精神的に消耗するシーンなので、この映画の中で皆が一番緊張していたシーンだと思います。シーンの性質上リハーサルができないので、ある程度の導線を作って臨みました。カメラマンが一番大変で、どう動くか分からないので、手持ちカメラで追って、いくつかの約束ごとだけを事前に決め、あとは役柄に身を委ね互いに自由に演じました。一発勝負で撮ったシーンで、監督はOKを出すのをずっと悩んでいましたが、欠けているものはあっても2テイク目で全体の勢いやエネルギーが減るのは目に見えていて、全体として何かが伝わる事の方が大事だという判断で、結局OKを出しました。 
 
―――ハードボイルドな作品ではありますが、かなりラブストーリーの要素が入っています。これも大西さんが監督と話し合われた結果ですか? 
大西:当初はラブストーリーの要素は薄かったのですが、優子役の遠藤さんとやりとりをしていくうちに、勝手にその要素が濃くなっていきました。キーさんと幸子を演じる上原さんも、演じているうちにラブストーリーの要素がどんどん濃くなっていって、二次元が三次元になったとき、思わぬ方向に膨らんでいく。映画においては、よくあることだと思います。 
 
 
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■奥田監督は繊細さ、純粋さのある一真役のような生きづらさを抱えた男

―――大西さんが思う奥田監督の良さとは? 
大西:繊細さや純粋さですね。僕が演じた一真役のような部分がある男です。奥田監督でなかったら、こういう役作りにはなっていません。脚本を読むだけでなく、実際に奥田監督とディスカッションしていく中で、一真の生きづらさは何なんだろうと考えていきました。奥田監督は何かを壊したり、傷つけるための暴力ではなく、どちらかと言えば自分が消えてなくなってしまいたい絶望感のようなものを抱えているように感じたので。
 
―――グロテスクなシーンやエロスを前面に出したようなシーンがあまり登場せず、そのさじ加減が絶妙でした。これも奥田監督らしさと言えるのでは?
大西:奥田監督は色々な意味で下品なことが嫌いなのでしょう。潔癖症と言えるぐらいにそういう類のものが苦手で、だから生きづらい。どうしても世の中は汚れている部分を目の当たりにする機会だってあるから、当たり前にある雑菌を飲み込み切れない生きづらさがあるんじゃないかなと思います。奥田監督が生きづらさから解放される手段が映画しかないのであれば、何とかして作品を撮って欲しいと思うし、自分が俳優として作品に参加するなら、出来る限りそれを体現できるように、監督の考えていることを掬い取る努力をしました。
 
 
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■現場で起きていることをきちんと掬い取る力、自分の想定より良ければ採用する気概を感じた

―――先ほどのラブストーリー要素が増えたことといい、本作での奥田監督は、脚本に書かれていないような部分が膨らむことを受け入れてくれたということですね。 
大西:現場で起きていることをきちんと掬いとる力、想定外のことも自分の想定より良ければ採用するという気概がある監督でした。 現場で脚本のセリフ以外のことが出てきて、違った展開になっても、そちらにリアリティーがあれば、OKを出してくださいました。ある意味柔軟で、ある意味頑なな部分のある方ですね。
 
―――ラストシーンも、最初想定していたものとはかなり違うものになったそうですが。
大西:撮っていく過程で様々なズレが出てくるのが撮影ですから、ラストを決めてしまうと途中の修正が利かなくなってしまいます。1か月間ほぼ順撮りでやってきて、結果だけ当初決めていたものに落とし込むのは不自然になってしまう。だから現場で話し合いを重ね、今の形に落ち着いたのです。
 
―――今回のように、撮影を重ねるうちにラストを変えることになるという映画作りは、よくあることなのですか?
大西:現場やプロデューサーにもよりますし、基本的にはあまりないでしょうね。物語である以上、始まりから終わりは決まっているのですが、脚本の通りに進んでいけば相応しいラストでも、撮っていくとどうしても違和感が出てきたときにどうするかは監督の判断だと思います。

 

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■簡単ではなかったからこそ、思い入れのある作品『ろくでなし』

―――自分の意見が反映された作品として、『ろくでなし』は思い入れのある作品になったのでは?
大西:『ろくでなし』に限らず、どの作品でも自分が演じる以上、自分の意見は反映されている訳ですから、思い入れはもちろんあります。特に『ろくでなし』は、そんなに簡単にできた映画ではありませんから。
 
―――簡単ではなかったというのは、どういう点ですか?
大西:撮り終わった時点で配給や公開日が決まっている作品もあれば、撮ったものの公開されるかどうか分からない作品もあります。そういう意味では、『ろくでなし』は後者に属する作品だったので、それでも撮ったという部分が思い入れに繋がっているのかもしれません。もしかしたら撮ってもどうにもならないかもしれないという不安を皆が抱えながら臨んで、それでもきちんと形になったという感慨があります。
 
―――今回の一真を演じるにあたり、参考にした映画やキャラクターはありましたか?寡黙という点では、高倉健さんを彷彿させるキャラクターでもありましたが。
大西:役作りにおいて、何かを参考にすることはあまりないですね。この作品の場合、脚本を読むととてもいびつな人物で、そのまま演じると単調になってしまうので、ストローで飲むときに「あれあれ」と探す仕草をしてみたり、ただのドヤ顔でギラギラした目をした男にはしないように心掛けました。シンプルに言えば、かっこいい男にしたくなかった。生きづらさやみっともなさを抱えた一真を、かっこ悪くても人間味のあるキャラクターにしたかったのです。
 

■緊張と弛緩の振り幅を大事に、目の前にある現場の質を上げる努力をしていく

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―――40代になり、俳優としても脂が乗り、日本映画を支える存在となりつつある中、大西さんご自身で心掛けていることは?
大西:今、観客の方も映画館以外で映画を観る選択肢が増えた中、1800円を払って映画館に来ていただくだけの質をきちんと維持していかなければ、観客はより手軽で安価な方に流れていってしまいますから、目の前の現場を精一杯、質を上げる努力をしていくことに尽きると思います。
 
演じる面で言えば、俳優を始めたばかりの頃は、この針の穴の先がどれだけ細いか、深いかという集中力で勝負しなければならなかったけれど、場数を重ねていくうちに、それだけではないなと思うようになりました。今は、緊張と弛緩の振り幅が大事だと思っています。集中するためにはどれだけ緩めるかということを考えますし、これからもどうすればいい状態で現場に臨めるかを、ずっと追及していくことになるのでしょう。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ろくでなし』(2017年 日本 1時間46分)
監督:奥田庸介
出演:大西信満、渋川清彦、遠藤祐美、上原実矩、毎熊克哉、大和田獏、他
2017年8月12日(土)~第七藝術劇場、元町映画館、京都みなみ会館にて公開
※8月12日(土)第七藝術劇場、元町映画館、8月13日(日)京都みなみ会館にて、主演大西信満、渋川清彦による舞台挨拶あり
(C) Continental Circus Pictures
 
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