「京都」と一致するもの

 

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感情が溶け合い、心を震わせる珠玉の青春群像劇!

さそうあきら原作『神童』『マエストロ!』に続く音楽映画3部作が堂々完結!

映画『ミュジコフィリア』


井之脇海初主演(『サイレント・トーキョー』『俺の家の話』)
松本穂香ヒロイン(『この世界の片隅に』『みをつくし料理帖』)
 山崎育三郎天才作曲家(『イチケイのカラス』『エール』)

3/29(月) 映画『ミュジコフィリア』プレイベント実施!

musico-ivent-500-2.jpg~映画から現代音楽、ダンスまで オール京都アートイベント~


文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞の2度受賞、手塚治虫文化賞マンガ優秀賞など輝かしい実績と数多くのファンを持つ漫画家・さそうあきら。映像化された作品も多く、なかでもクラシックへの深い愛情と造詣に裏打ちされた『神童』『マエストロ!』は、<耳で観る映画>として現在でも高い評価を獲得。そして今回、その2作品に続く、音楽をテーマとした3部作の最終作『ミュジコフィリア』(第16回⽂化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作)が2021年秋、待望の映画化となります!

自然のなかの「音」を理解し、モノの形や色が「音」として聴こえる特殊な才能を持ちながら、著名な作曲家の父と若手天才作曲家として期待される異母兄へのコンプレックスから音楽を遠ざけてきた主人公・漆原朔を、若手実力派として活躍をつづけ本作が長編映画初主演となる井之脇海!朔と同じように自然にある音や物を理解し声で表現する能力を持ち、朔に想いを寄せる芸大のピアノ科生、ヒロイン・浪花凪を松本穂香が演じ、朔の異母兄で天才作曲家としての将来を期待される一方、父親の呪縛から逃れられないでいる貴志野大成をミュージカルからドラマまで幅広い活躍をみせる山崎育三郎が演じます!そして監督は、2010年『時をかける少女』で長編映画監督デビューし、「マザーズ」「人質の朗読会」などドラマでも国内外多数の受賞歴を持つ谷口正晃

京都の芸術大学に音楽へのコンプレックスを持って入学した主人公・朔が、ひょんなことから現代音楽の世界に身を投じ、さまざまな出逢いを経て自分の音楽を創りあげていくーー。



この度、公開に先立ち、329日(月)京都にてプレイベントを実施いたしました!主演・井之脇海、谷口正晃監督、原作者のさそうあきら氏が登壇し、本作への想いを語りました。

【日時】3月29日(月)19:00~20:30
【場所】ロームシアター京都(京都市左京区岡崎最勝寺町13)
【第一部】本作に登場する新作音楽のコンサート+パフォーマンス
【第二部】特別予告編の初上映+ティーチイン
 登壇:井之脇海、谷口正晃監督、さそうあきら氏(原作者) MC:大野裕之(脚本)


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冒頭の挨拶で、さそうは「自分の原作が映画になるのはとても光栄です」とニッコリ。谷口監督は「もうすぐ本編が完成しますが、京都市、そして京都市立芸大のみなさんの多大な協力があったことに改めて感謝いたします」と深々とお辞儀をし、大野は「キックオフとなる最初のイベントにふさわしい理想的なメンバーが集まりました!」と満足の様子。井之脇も「短い時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします」と柔らかな表情を浮かべ会場を見渡していました。


さそうにとって『神童』『マエストロ!』に続き、音楽をテーマにした三部作の最終作となる『ミュジコフィリア』がついに映画化。さそう自身『ミュジコフィリア』が映画になったらいいなと思っていた一番の作品としつつ、「(映画化に)たどり着くことができて、うれしい限りです」とよろこびを語った。さらに、本作の舞台、京都については「古い伝統と新しい創作が出る場所というイメージがあり、現代音楽を(描く)場所として本当にふさわしいと思っています」と解説した。


谷口監督は「音楽をメインに、ダンスなどのパフォーマンスも含めてすべて、出演者本人の体でやってもらいました。出演者が必ずしも音楽をやっている人というわけではないので、映画作りにかかる労力は結構なものと覚悟はしていました。もちろん、撮影はとても楽しみにしていましたが、正直、すごく大変そうだなという思いもありました。あともう一息で完成することにホッとしている段階です」と映画が完成間近であることを明かしていた。地元・京都での撮影は「慣れ親しんでいる場所だからこそ、大事に撮ろうと思いました。京都の良いところを大事に撮るけれど、観光的なものにならない、ご当地映画にならないよう意識しました。映画の中で活きる場所、物語の中で違和感がないようにきれいに撮影することを心がけていました」と思いを語った。


『トウキョウソナタ』(08)で、天才ピアノ少年を演じた経験を持つ井之脇は、音楽にまつわる作品は、自身のターニングポイントにもなっていると前置きし、「『トウキョウソナタ』のときは、12歳でお芝居の武器もまだあまり持ち合わせていない頃でした。唯一の武器が、小学生までやっていたピアノでした。作品が評価されたことで、役者の楽しさを知ることもできたすごく大きな経験です。今回は、音楽をテーマにした僕自身初めての主演映画なので、ピアノも出てくるし、きっとこれも転機になるのではと思っています。だからこそ、誠意を持ってチャレンジしなければいけない作品だと、お話をいただいたときに感じたことを思い出しました」と胸のうちを明かした。


musico-井之脇海.jpg朔との共通点について井之脇は「音楽が好きで、ピアノが好きだということ。音楽への愛情や感情は役作りの中にあったと思います」と説明。撮影中はホテルにピアノを持ち込み練習していたことに触れ「夜な夜な弾いていたので、隣の(部屋の)人は迷惑だったと思います」と気まずそうに微笑んだ。初主演映画へ心境について「この数年、いろいろなお仕事に関わる中で、役者として一歩成長できるような、転機になるような作品に出会いたいと思っていたところに、今回のお話をいただいて。大袈裟かもしれないけれど“運命”だと思いました」としみじみ。


「撮影中はプレッシャーも、不安もあったし、公開を控えた今でもそういう気持ちはあります。でも、ピアノという自分の武器を活かし、素敵なキャスト、スタッフのみなさんと一緒に映画を作ることができたので、完成前ですが、やれることはやり切ったという気持ちです」と清々しい表情を浮かべた。


俳優・井之脇海について谷口監督は「キャリアがあるにもかかわらず、良い意味で技術などが固まっていない。完成されたものに初々しさがあるのは最大の魅力だと思うし、朔役になるべき人がなってくれたと思っています」と絶賛。さそうは「僕の中では、(放送が終了したばかりの)ドラマ『俺の家の話』のイメージが強いです。『ミュジコフィリア』の完成版を観る前なので、この人が朔をやっているのかなんて思っていました」とドラマと朔とのギャップを楽しんでいたことを明かした。


井之脇の京言葉については、京都、関西にゆかりのある大野が「違和感のない京言葉だった」と絶賛。これに対し井之脇は「監督はそう思ってない気がします」と疑いの様子。「芝居に感情が入ってくると、イントネーションや音をうまく表現しきれない。イントネーションや音を優先しているときは、大丈夫なんですけどね。でも、監督は京言葉(の出来)よりも芝居を優先してくれたので、ありがたいと思いました。僕の疑問点や意見にも、きちんと答えを返してくれるので、監督のことを一番信じていればいいんだと思って撮影していました」と撮影時の心境を振り返った。


ここで、朔に思いを寄せるピアノ科生・浪花凪役の松本穂香と朔の異母兄の貴志野大成役の山崎育三郎からのビデオメッセージが到着。松本は「京都の自然に触れながら、気持ち良く撮影を乗り切ることができました。今まで挑戦したことのないギターやダンスにも挑戦しましたが、周りの方たちに支えながら最後までやることができました」と感謝し、山崎は「お芝居だけでなく、京都での滞在中、一番長く一緒の時間を過ごしたのが井之脇くんです。お酒を飲みながら、音楽について語り合った時間はとても楽しく、愛おしいです。音楽は言葉を超える瞬間がある、言葉以上に伝えられるものがあるというのを最後のシーンを演じて感じました。素晴らしい作品です」と自信を見せていた。


イベントでは本作の特別予告編が本邦初公開。さそうは「映像の断片が観れただけでも最高です。ピアノの下から凪が出てくる場面は、映像化できないと思っていました。最高だと思いました!」と最高を連発し大満足の様子。井之脇も「こうやって映像になると感慨深いです。個人的なことになりますが、15年ほど、今の仕事をしていますが、自分の名前が最初に出てくることのよろこびを噛み締めています。ようやくここまで来たという気持ちと、ここが新たなスタートかもしれないし、通過点かもしれない。いろいろ頭を過ぎるものはありますが、映画の公開はこれからなので、音楽のよろこびが溢れる作品を多くの人に観てほしいと改めて思いました」と心境を明かした。


プレイベントの締めはみんなで演奏をして終わりたいという大野の提案で、第一部、第二部の出演者が一緒に演奏をする場面も。『ミュジコフィリア』の世界観にふわさしい、第一部、第二部の出演者が“音楽で繋がる”瞬間を見ることができた。


イベント最後の挨拶で、谷口監督は「音楽、ものを作るよろこびを映画で感じ取ってください」と呼びかけ、さそうは「音楽がBGMのように使われていないのが特徴で、音楽のための映画だと思います」と見どころをアピール。井之脇は「不器用な人がたくさん出てきますが、彼らが大好きな音楽を通じて触れ合っていく姿が描かれています。音楽はもちろん、何か夢中になるものがある人の心に響く作品です。多くの方に観ていただきたいです」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。
 



映画『ミュジコフィリア』

<ストーリー>
京都にある芸術大学に入学した漆原朔は、思いがけず強引に現代音楽研究会にひき込まれる。だがそこには朔が音楽を遠ざけるきっかけとなった異母兄の貴志野大成と、朔が憧れる大成の彼女、小夜がいた。大成は天才作曲家として注目される存在であり、朔はそんな大成を一途に愛する小夜との間で苦悩する。子供の頃からモノの形や色が「音」として頭の中で鳴っていた朔は、やがてそれらが現代音楽を通して表現できることを知る。そして朔と同じように自然の音を理解する女性、浪花凪が現われて、朔は秘めた才能を開花させようとしていたー。
 


原作:さそうあきら(双葉社刊) 第16回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品
出演:井之脇海/松本穂香/山崎育三郎ほか
監督:谷口正晃『時をかける少女』「マザーズ」「人質の朗読会」  
脚本・プロデューサー:大野裕之『太秦ライムライト』『葬式の名人』
撮影期間:2020年10月末~11月中旬  撮影地域:京都市内全面ロケ
製作:「ミュジコフィリア」製作委員会  制作:株式会社フーリエフィルムズ
後援:京都市  特別撮影協力:京都市立芸術大学  
配給:アーク・フィルムズ

2021年秋 TOHOシネマズ日比谷 他 全国ロードショー(京都先行公開)


(オフィシャル・リリースより)

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『砕け散るところを見せてあげる』前売鑑賞券プレゼント!

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《中川大志&石井杏奈ペアVer.》


※チケットには公開延期前の昨年の公開日が記載されていますが、4月9日より劇場でお使いいただけます。

 

■提 供:イオンエンターテイメント

■当選数: 2組 4名様

■締切日: 2021年 4月11日(日)

公式サイト: https://kudakechiru.jp/

 
2020年4月9日(金)~なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、MOVIXあまがさき 他全国ロードショー

 

 

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アニメ「とらドラ!」「ゴールデンタイム」の原作で知られる竹宮ゆゆこの小説「砕け散るところを見せてあげる」。錚々たる表現者が破格の絶賛コメントを寄せ、「小説の新たな可能性を示した傑作」と称えられる本作の映画化がついに実現した。


主人公・濱田清澄には、『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』で日本アカデミー賞新人賞に輝き、NHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」で国民的人気を獲得した中川大志。ヒロイン・蔵本玻璃には、E-girlsとしても活躍しながら、『ソロモンの偽証』『ガールズ・ステップ』でブルーリボン賞新人賞を受賞した石井杏奈。また、北村匠海、井之脇海、清原果耶、松井愛莉など若者に絶大なる支持を得るキャストを、堤真一、原田知世、矢田亜希子、木野花ら豪華俳優陣が支える。


そして、中川と石井の二人から挑戦的な演技を引き出したのは、『天の茶助』『うさぎドロップ』『jam』を手掛けたSABU監督。ベルリンやモスクワなど海外の映画祭で高く評価される才能で脚本も執筆し、進化と深化を証明した。多くの人が自分の境遇に苦しむ時代でも、愛は必ず絶望から救ってくれる。今を生きる私たちに希望を与える物語。
 


【STORY】
どこにでもいる高校生の濱田清澄は、“学年一の嫌われ者”と呼ばれて孤立していた一年生の蔵本玻璃を、いじめの手から救い出そうとする。清澄は玻璃の愛らしさと心の美しさに気づき、玻璃は清澄に感謝と憧れの想いを抱き、二人は心の距離を縮めていく。だが、玻璃には誰にも言えない秘密があり、玻璃を守り抜こうとする清澄にも〈恐るべき危険〉が迫る─。

■出演:中川大志、石井杏奈、井之脇海、清原香耶、松井愛莉、北村匠海、矢田亜希子、木野花、原田知世、堤真一
■監督・脚本・編集:SABU 
■原作:竹宮ゆゆこ(「砕け散るところを見せてあげる」新潮文庫NEX)
■配給会社:イオンエンターテイメント
■2020年 日本 2時間7分
公式サイト: https://kudakechiru.jp/
■コピーライト:©2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会

2020年4月9日(金)~なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、MOVIXあまがさき 他全国ロードショー
 


(オフィシャル・リリースより)

 

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『夏時間』は、30歳のユン・ダンビ監督の長編デビュー作である。

【STORY】
父が仕事に失敗し、母がいなくなって、インチョンの祖父の家に行くことになったオクジュとドンジュの姉弟。弟は新しい暮らしにすぐ馴染むが、十代のオクジュにはなんだか居心地がわるい。やがて父の妹であるミジョンおばさんもやってきた。おばさんはどうやら夫とうまく行っていないようだ。オクジュにはボーイフレンドがいて会いに来るがこの二人もうまくいかない。そんなある日、おじいちゃんが倒れた…。



韓国女性監督作品『はちどり』と『わたしたち』の間の年齢の少女が主人公で、彼女の気持ちがヴィヴィッドに映し出され、韓国映画界にまたひとり逸材が誕生したと思う佳作。今後の活躍が期待できるユン・ダンビ監督にインタビューした。

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Q:この作品は、ユン監督の自伝的なものではないとのことですが、姉と弟と父、祖父、おばさん(コモ)の関係性は、どのような想像から生まれましたか?

A: 母親の不在が子どもたちにとって一番怖いことだと思います。そのことによって子どもたちが結束するのではないかと思いまして、この映画では母親がいないという設定にしています。そして、この姉弟と対照的な存在として、おじいさんを設定しました。

この映画では、まず少女オクジュが中心的な存在です。お父さんは、保守的で家父長的な存在ではない人として描きたいと思いました。おばさんのミジョンは、母親の代わりとしてではなく、一人の人間として、女性として描きたいと思いました。弟のドンジュはかわいらしくて純粋な世代の存在として描きたかったので、このような構成を考えました。

 


Q:監督は1990年生まれですが、インチョンで撮影されたということで、同じくインチョンを舞台にしたチョン・ジェウン監督作品『子猫をお願い』を思い出しました。2001年作品なので当時は見ていないと思いますが、どこかで見ておられますか?多くの女性監督がこの映画に影響を受けたと言っています。

A:『子猫をお願い』はもちろん見ています。あの作品からは当時(2000年ごろ)のインチョンの雰囲気がよく伝わりますし、20歳ごろの女性たちが誰しも迷う時期をうまく捉えており、シネフィルとして、映画を学ぶものとしては当然見るべき作品です。

『子猫』もインチョンの町をよく捉えていましたが、私もおじいさんの家がインチョンにあることを示すような場所が欲しいと思ってチャイナタウンでも撮影しました。


natsujikan-500-1.jpgQ:ユン監督は小津安二郎作品がお好きということですが、『チャンシルさんには福が多いね』のキム・チョヒ監督も小津監督が好きなようですね。ユン監督はどこで彼の作品を見ましたか?檀国大学院で?

A:キム・チョヒ監督に直接お会いした時に聞いたのですが、彼女は「小津安二郎監督のお墓にお参りした」そうです!(うらやましい)

私自身は、はじめて高等学校で小津監督の『お早よう』を見ました。大学で『東京物語』などを見て、小津監督の視角というか演出の方法、どのように映画を撮るべきかという手法について大いに影響を受けたと思います。


natsujikan-500-2.jpgQ:あの印象的な祖父の家の二階に上がる途中に扉がある造りは、よくある家屋なのでしょうか?独特なものでしょうか?螺鈿の家具があったり、そうとう裕福なおうちに見えます。

A: 私自身は、おじいさんの家がかつてとても裕福な家だったらいいなと思い、そんな環境を探しました。そして螺鈿の箪笥などもそのまま使いました。

あの階段の扉は実際にあるもので非常に珍しいのです。とても気に入って活用したいなと思いました。扉というものはいろんな感情の境界を指すものとして存在します。玄関の扉とか、ベランダに出る時の扉とか、登場人物の気持ちの変化を表すものとして使いました。


natsujikan-500-4.jpgQ:オクジュが整形手術のお金がほしいという話に関して、人権委員会の作ったオムニバス映画『もし、あなたなら〜6つの視線』の中のイム・スルレ監督作品『彼女の重さ』や、チャン・ヒソン監督の『和気あいあい?』でのエピソードなどを思い出しました。どちらも女性に外見の美しさを強制する韓国社会への批判がありました。ユン監督もそうでしょうか?

A: オクジュが二重瞼の手術をしたいというエピソードについて、私は特に韓国社会を批判するために作ったわけではではありません。オクジュは思春期なので、その年頃の少女によくある悩みですね。自分のルックスに対するコンプレックスとか、たとえば彼女はボーイフレンドとうまくいってないのはそのせいだと考えるとか。

ドンジュは末っ子なので、みんなにかわいがられるけど、それに比べると、自分はかわいがってもらえない、もっと愛されたいという欲求がそういった発言をしたと思われます。

実際にオクジュを演じたチェ・ジョンウンさんに、私たちスタッフは「そのままでかわいいから絶対整形しないで」と言いました。


natsujikan-500-5.jpgQ: 弟のドンジュの名前は尹東柱から取られましたか?

A:大学の後輩オクジュという名前の子がいて、今ではあまりつけられないちょっとダサい名前なのですが、私はそれが好きで、常々、ご両親はどうしてこの名前を付けたのかなと思っていたのです。それで今回、主人公の名前をオクジュにしました。弟は深く考えず姉のオクジュに合う名前としてドンジュにしただけで、尹東柱から取ったわけではありません。


Qお父さんが偽物の靴を売っている話はちょっとせつないですね。かつて、リーボックは韓国の工場で作られているから同じ製品でブランドマークなしを売っていると聞いたことがあります。その話は少し前の時代かと思うのですが、この映画の設定はいつ頃でしょうか?

A:時代設定については観客からもよく質問されます。たとえばこの映画ではケータイ(スマホ)はあまり使わないのです。オクジュがケータイをかけるシーンまで全然画面に出てこないので、ちょっと前の時代なのかと聞かれました。それに関して、私はケータイを見ているとかテレビを見ているという状態は家族の団らんにふさわしくないと考えるからです。それで個々人がバラバラな感じになる場面は意識的に避けました。家族の連帯感を描きたかったんです。

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また夢がひとつのテーマにもなっているので、それもいつの時代かはっきりしないと言われましたが、そのへんは意図的にはっきりさせていません。

リーボック事件は私も知らなかったのですが、偽物の靴のエピソードは、私も個人的にすごく気にいっています。お父さんのビョンギが「工場はおなじだよ」と正当化するような言い訳します。またオクジュがボーイフレンドに偽物の靴をプレゼントしたことで恥ずかしい想いをするとか、自分でも好きなシーンです。

ビョンギが親(オクジュのおじいさん)の家を売ろうとしているのでオクジュが批判した時「おまえも靴を売ろうとしたじゃないか、同じことをしただろ」と自分を正当化するのはとてもビョンギらしいと思います。完成した映画を見て自分でも笑ってしまいました。

とある建築家の方がこの映画を見て「この映画は、いずれとてもいい記録映画になるのではないか」と言ってくれました。私自身も、ある時代の雰囲気を残したつもりなのでそうだといいなと思いました。

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Q 言いにくいかも知れませんが、特に好きな監督とか作品は?

A:あえてひとりあげるならイム・スルレ監督です。彼女の短編『雨の中の散歩』と長編では『ワイキキ・ブラザース』が好きです。

女性監督ではもちろんチョン・ジェウン監督も好きです。


Q ダンビさんの名前は漢字でどう書くのですか?

A:漢字はありません。〈久しぶりに降る雨〉という意味です。父がつけました


                                 



現在、韓国映画界では、派手なアクションや、激しくドラマティックな事件が起こらない〈静かな〉映画が作られ、観客にも受け入れられている。女性監督たちの活躍はそういう状況と無縁ではない。ユン監督は東京で1週間、是枝裕和監督のワークショップに参加したことがあるそうだ。韓国の女性監督が好きな監督として小津安二郎監督や是枝裕和監督の名前がよくあがるのは、喜怒哀楽を大きく表す韓国映画にないものを、日本の監督作品に見出すからではないだろうか。
 


【キャスト】
姉オクジュ:チェ・ジョンウン
弟ドンジュ:パク・スンジュン(『愛の不時着』)
父ビョンギ:ヤン・フンジュ(『ファッションキング』)
叔母ミジョン:パク・ヒョニョン(『私と猫のサランヘヨ』『カンウォンドの恋』)
祖父ヨンムク:キム・サンドン

【スタッフ】
監督・脚本:ユン・ダンビ
制作:ユン・ダンビ/キム・ギヒョン(『わたしたち』)
撮影:キム・ギヒョン(『私たち』) 照明:カン・ギョングン
整音:ハン・ドンフン   編集:ウォン・チャンジェ
原題:남매의 여름밤 英題:Moving ON 
韓国/2019年/105分/DCP   (C)2019 ONU FILM, ALL RIGHTS RESERVED  
日本版字幕:三重野聖愛 
協力:あいち国際女性映画祭
配給:パンドラ (C)2019 ONU FILM, ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:http://www.pan-dora.co.jp/natsujikan/

 2021年2月27日(土)〜ユーロスペース、3月19日(金)~テアトル梅田、アップリンク京都、4月10日(金)~神戸・元町映画館 ほか全国順次公開


第24回 釜山国際映画祭韓国映画監督協会賞/市民評論家賞
NETPAC(アジア映画振興機構)賞/KTH賞
第49回ロッテルダム国際映画祭Bright Future長編部門グランプリ
第45回ソウル独立映画祭新しい選択賞
第8回ムジュ山里映画祭 大賞(ニュービジョン賞)


(夏目 こしゅか)

 
 

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上の写真、左から、
植木咲楽(UEKI SAKURA)(25)   『毎日爆裂クッキング』 
木村緩菜(KIMURA KANNA)(28)  『醒めてまぼろし』
志萱大輔(SHIGAYA DAISUKE)(26)『窓たち』



日本日本映画の次世代を担う

若き3人の監督作品とコメントを紹介

 

まず、《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》とは――?

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次世代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的とした《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》です。文化庁からNPO法人 映像産業振興機構(略称:VIPO)が委託を受けて2006年からスタート。今回も、学校や映画祭や映像関連団体などから推薦された中から3人の監督が厳選され、最終課題である35ミリフィルムでの短編映画(約30分)に挑戦します。第一線で活躍中のプロのスタッフと共に本格的な映画製作できるという、大変貴重な機会が与えられるのです。


このプロジェクトからは、先ごろ公開された『あのこは貴族』の岨手由貴子(そでゆきこ)監督も輩出されています。「東京」で生きる立場の違う二人の若い女性の生き方を、鋭い洞察力と瑞正な映像センスで観る者の心を掴む秀作です。他にも、『湯を沸かすほどの熱い愛』で数々の賞に輝いた中野量太監督や、『トイレのピエタ』の松永大司監督、さらに『嘘を愛する女』の中江和仁監督や、『パパはわるものチャンピオン』の藤村享平監督、そして『おいしい家族』『君が世界のはじまり』のふくだももこ監督などを輩出して、映画ファンも業界人も注目するプロジェクトです。


今年はどんな若手監督に出会えるのか?――日本映画の次世代を担う新たな才能、3人の監督に作品に込めた想いや作品についてご紹介したいと思います。



 

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■監督:植木咲楽(UEKI SAKURA)

■作品名:『毎日爆裂クッキング』

■作家推薦:PFF
■制作プロダクション: アルタミラピクチャーズ
■出演: 安田聖愛 肘井ミカ 駒木根隆介 今里真 小日向星一 大谷亮介 渡辺えり

■製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)■プロデューサー:土本貴生 
■撮影:柳島克己
(2021年/カラー/スコープサイズ/30分/©2021 VIPO)


【あらすじ】
ndjc2020-「毎日爆裂クッキング」-pos.jpg味覚障害に苦しむ相島文(安田聖愛)は、あらゆる調味料をかけて無理やり食べていた。それというのも、<食>の情報誌『織る日々』の編集者として働く文は、上司・皆月によるパワハラ、というより執拗なイジメに遭っていたのだ。文が手掛ける連載記事「畑食堂」は読者や上層部にも好評なのだが、それを皆月は妬んでいるのか、文だけに嫌がらせをしていた。同僚は知らん顔、誰も助けてくれない。もうストレスゲージはMAX!そんな時に空想するのが、キッチンで大暴れする憧れのエッセイスト・芳村花代子(渡辺えり)だった。


食についての編集者が味覚障害とは!? ある日、取材に訪れた農家の妻に見破られ、益々自分を追い込んでしまう。さらに、文が敬愛する芳村花代子が出版社に打合せにやってきて、連載記事「畑食堂」のファンだと言われ大喜びする。ところが、なんとその記事の担当者はいつの間にか皆月になっていたのだ。大好評の自信作を皆月に横取りされて、ついに文の怒りが爆裂する!

【感想】
ストレスを抱えながら生きている人が多い現代、にっちもさっちも行かなくなることもあるだろう。だが、自分を追い詰める前に、まずはその原因となる障害に立ち向かおうよと、勇気をくれるような作品。明らかに理不尽なことを強要されれば我慢も限界となる。立場の弱い人々が置かれた現状に着目し、ストレスからくる障害も妄想シーンを交えてユーモラスに描出。さらに、青々とした田園風景の中で作物への愛を語るシーンからは、得意分野で輝ける希望を感じさせてくれる。キッチンで爆裂する渡辺えりが痛快!


【植木咲楽監督のコメント】
ndjc2020-inta-ueki-1.jpgベテランのプロの方々との初めての大規模撮影に緊張しましたが、皆さんに支えて頂いて心から感謝しています。また、渡辺えりさんに出演して頂けたことはとてもラッキーでした。可愛い衣装選びも楽しかったです。

元々「食」をテーマにした作品を撮りたいと思っていたので、コロナ禍で時間が出来たこともあり、今までの想いを全部詰め込んで書いてみました。

テーマについては、昨今の状況や自分の人生の中で、罵倒されたり不当な扱いを受けたりして心に傷を負うことも多くなってきて、そんな重い空気を笑い飛ばせるようなコミカルなテイストの作品を目指しました。

できるだけ重くならないように、弱っている人を追い詰めないように、最悪の事にはならないように、頑張っている人に失礼にならないように、人を傷付けることにならないように、というような事を大事にしながら書きました。

私は自然がある所に惹かれる性質のようで、今回の農家のシーンは、企画の段階から三浦半島で撮りたいと希望しました。豊かな自然を背景にした映画を撮っていきたいです。ラッセ・ハルスレム監督が好きなんですが、『ギルバート・グレイプ』や『サイダーハウス・ルール』でも自然の描写が活かされていると思いました。

今後は、なるべく誠実な映画を作っていきたいです。できれば、見過ごされてしまったり、蔑ろにされてしまいそうなもの、そういう経験で感じた悔しい思いや、また、そこから助けてもらった時の嬉しさとかを忘れないで映画を撮っていきたいと思っています。
 



【PROFILE】1995年大阪府生まれ。
京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)映画学科にて、高橋伴明、福岡芳穂らより映画制作について学ぶ。監督・脚本を務めた卒業制作『カルチェ』がPFFアワード2018にて入選、第19回TAMA NEW WAVEにてグランプリを受賞。大学卒業後は上京し、石井裕也監督のもとで監督助手を務め、映画・ドラマ・ドキュメンタリー作品の助監督および映像作家としても活動中。
 




ndjc2020-inta-kimura-2.jpg■監督:木村緩菜(KIMURA KANNA)

■作品名:『醒めてまぼろし』

■作家推薦:日本映画大学
■制作プロダクション: シネムーブ
■出演: 小野花梨 青木柚 遠山景織子 仁科貴 青柳尊哉 尾崎桃子
■製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)
■プロデューサー:臼井正明、古森正泰 
■撮影:今泉尚亮
(2021年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2021 VIPO)

【あらすじ】
ndjc2020-「醒めてまぼろし」-pos.jpg2009年、冬。高校二年生の清水あき子(小野花梨)は自宅から自分の学力で通える最大限に遠い都内の高校に通っている。家では眠れないあき子は常に睡眠不足で、教室や電車内でよく居眠りをしている。ある日、電車内で目覚めると、将棋に夢中になっている一人の少年・吉田(青木柚)が目に入る。吉田との出会いがあき子の暗くて単調な生活に変化をもたらすが、またしても共に過ごす時間が消え去ろうとする。

あき子は時々、昔一緒に住んでいた祖母の家に行って眠りにつく。と言っても、もう家は取り壊され更地になっているのだが、お構いなしに、優しい祖母との思い出に包まれるようにして地べたで寝てしまうのだ。そんな祖母を大切しなかった両親への反発もあり、家には居場所がないあき子にとって、そこが一番安心して眠れる場所だったのだ。

【感想】
大切な人を失って、その面影と温もりを求め過ぎて他を寄せ付けないこともあるだろう。ましてや、思春期のどうしようもない気持ちを持て余し、家族や級友らにも心を閉ざしてしまうこともあるだろう。そんな行き場のない気持ちを抱えた少女が、安心して眠れる場所を探すように他者とのコミュニケーションをとろうとする。その姿に冷ややかなニヒルさを感じさせる。終始仏頂面の少女と、安易な理解を拒むような展開は共感しづらいところもある。思春期の暗い面ばかりでなく、少女ならではの生命力はじけるようなシーンも盛り込んでほしかったなぁ。


【木村緩菜監督のコメント】
ndjc2020-inta-kimura-1.jpgコロナ禍での撮影は、マスクやフェイスシールドなどで相手の表情が見えにくく、気持ちも分かりにくかったように感じて、コミュニケーションを如何にとっていくかが大変でした。それでも、いろんな人が意見を言って下さったり協力して下さったりして作品ができたことにとても感謝しています。

テーマについては、「自分の居場所がないというか、帰る場所がないと思っている人が、どうやって一人で生きていったらいいのか?」と思った時に書いた脚本です。主人公は自己肯定感の低い少女ですが、過去の楽しかった思い出を拠り所にして、新たなコミュニケーションをとろうとしていきます。私が伝えたいテーマは分かりにくいと思うので、どこまで理解してもらえるか分かりませんが、自分の中でこれが正しいと思うことは曲げないようにしました。

好きな映画監督は、田中登監督や熊代辰巳監督に黒澤明監督、アンドレイ・タルコフスキー監督などが好きです。「感性が先行する映像派」と言われるかも知れませんが、今後は、言葉で説明できない感情をちゃんと映画にできたらいいなと思っています。
 



【PROFILE】1992年千葉県生まれ。

日本映画大学卒業。在学中からピンク映画や低予算の現場で働く。卒業制作では脚本・ 監督を務めた「さよならあたしの夜」を16mmフイルムで制作。卒業後は映画やドラマ、CM、MVなど様々な監督のもとで助監督として働く。
 




ndjc2020-inta-shigaya-2.jpg■監督:志萱大輔(SHIGAYA DAISUKE)

■作品名:『窓たち』

■作家推薦:PFF
■制作プロダクション:角川大映スタジオ
■出演: 小林涼子 関口アナン 瀬戸さおり 小林竜樹 里々佳
■製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)
■プロデューサー:新井宏美 
■撮影:芦澤明子
(2021年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2021 VIPO)

【あらすじ】
ndjc2020-「窓たち」-pos.jpg一緒に暮らして5年程が経つ美容師の朝子(小林涼子)とその恋人でピザ屋のアルバイトをしている森(関口アナン)。その関係性はもうときめくことはないが冷め切っているわけでもない。森には他の女性の気配がする上に、生活を向上させようとする意欲もない。このままこの関係を続けていいものだろうかと不安に感じ始めた朝子は、森に妊娠したことを告げる。

子どもがいる友人宅で父親としての自覚を感じ始めた森は、朝子に子どもを産んで欲しいと伝える。彼なりに正社員になろうとしたり女性関係を清算したりするが、朝子はなぜか冴えない表情のまま。そんな朝子が働く美容室に、森の彼女らしき女性がやって来る。笑顔で対応する朝子。その夜、朝子は森にある告白をする……。

【感想】
同棲も長くなると緊張感も薄れ不安がつのることもあるだろう。お互いの信頼感が揺らぎ始めると、相手の心を試したくなってくる。そんな二人の変化を日常の生活の一部分を切り取ったような描写は、微妙すぎて瞬時には理解しづらいところもあった。本当に一緒に生きていきたいのか、本当に必要な存在なのか、もう少し心情を吐露するようなシーンがあっても良かったのでは?と、単調なトーンで終始した展開にちょっと物足りなさを感じた。それでも、朝子役の小林涼子さんの美しさと芦澤明子カメラマンの陰影の効いた撮影に救われた気がした。


【志萱大輔監督のコメント】
ndjc2020-inta-shigaya-1.jpg私もプロの方々との大規模撮影に緊張しました。「監督」と呼ばれること自体初めてでしたので、監督としてどう振舞えばいいのか分からず戸惑いました。

テーマについては、「絶妙な男女のすれ違いを切り取ったストーリー」、自身の経験上、夫婦ではないが恋人同士とも違うという実感があったので、それを映画にできたらいいなと思って書きました。

設定の説明不足もあり、人物が登場するシーンなどで唐突に思われたシーンもあったかも知れませんが、基本的には脚本に忠実に撮影していきました。本当はもっと前の段階のシーンもあったのですが、30分に収めるが課題でしたので、どの段階から描き始めればいいのかと考えた結果、あのような構成になったのです。

好きな映画というか、何度も見返している映画は、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』です。物語が好きという訳ではないのですが、無表情の登場人物をただ撮っているように見えて、心の中がありありと映し出されていくところが好きでよく観ています。他にホン・サンス監督も好きで、キム・ミニと一緒に撮っている作品が最高だと思います。

今後は、単純に霊感に興味があるので、そういうものを題材にした作品を撮ってみたいです。どんな撮り方ができるのか、とても興味があります。
 



【PROFILE】1994年神奈川県生まれ。

日本大学芸術学部卒。監督作「春みたいだ」がPFF2017、TAMA NEW WAVE正式コンペティション部門などに入選。また海外では、Tel Aviv International Student Film Festival(イスラエル)などに出品/上映された。現在はフリーランスの映像ディレクター/エディターとしてMVやweb CMを手がける一方、自主映画制作も行い、最新作「猫を放つ」(2019)が公開準備中。
 




★東京で開催された合評上映会のレポートはこちら▶ http://cineref.com/report/2021/02/ndjc2020.html



(シネルフレ・河田 真喜子)

 
 

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(2021年3月13日(土) シネ・リーブル梅田シネマ4にて)

ゲスト:柳楽優弥(主演)、KENTARO(監督)



自堕落な生活を送っていた青年が、

モンゴルの大草原を旅しながら成長していくロードムービー

『誰も知らない』以来の即興的演技に、手応えを感じる柳楽優弥

 

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年々目覚ましい活躍をみせる柳楽優弥・主演、モンゴルのスーパースター、アムラ・バルジンヤム共演、そして俳優でもあるKENTARO監督の初長編作品となる映画『ターコイズの空の下で』は、モンゴルを舞台にした日本・モンゴル・フランスの合作映画である。2月26日から東京をはじめ全国順次公開されているが、関西では3月12日(金)に公開初日を迎え、13日(土)にシネ・リーブル梅田にて、柳楽優弥とKENTORO監督による舞台挨拶が行われた。


緊急事態宣言下の東京の映画館と違って、満席となった客席を見てお二人とも嬉しそう。ドイツのマンハイム・ハイデルベルク国際映画祭では、「FIPRESCI(国際映画批評家連盟賞)」と、“型破りかつ表現力に優れた作品”に贈られる「才能賞」の二冠に輝いている。その映画祭での熱気を思い出したのか、モンゴルでの撮影秘話やお互いの意外な得意技を披露し合ったり、柳楽優弥は監督に促されてタップダンスを踊って見せたりと、思わぬ特典満載の楽しい舞台挨拶となった。
 


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【STORY】
大企業の経営者を祖父に持つタケシ(柳楽優弥)は、祖父の三郎(麿赤児)からモンゴルへ人探しに行くように言われ、アムラ(アムラ・バルジンヤム)というちょっと得体の知れないガイドと共にモンゴルへ行く。東京で自堕落な日々を送っていたタケシにとって、携帯も通じない、言葉も分からない、迷子になって狼に遭遇するなど、カルチャーショックと共に死ぬほどの思いをしながら、物質的なものではなく精神的な豊かさの中で成長を遂げていく。


タケシの旅には、祖父の若き日の悔恨の想いが込められていた。第二次世界大戦後に捕虜としてモンゴルで強制労働に就かされていた祖父は、モンゴルの女性との間に娘を儲けていたのだが、帰国後行方知れずとなっていた。タケシにとって祖父の娘を探す旅は、祖父が辿った道を追体験する旅と重なり、雄大な大自然の中で暮らすモンゴルの人々の大らかさや逞しさに触れながら、人間として大きく成長していくのである。
 


(以下は舞台挨拶の模様です。)

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――柳楽さんは、3か国の合作映画に参加されて、こうして公開されたお気持ちは?

柳楽:僕にとって初めての合作映画で、スタッフさんやら5か国語ぐらいの言葉飛び交っている現場でした。こうして皆さんに観てもらえて本当に嬉しいです。物質的な豊かさではなく精神的な豊かさで成長していくタケシを観て、楽しんで頂けたら嬉しいです。


――KENTARO監督は、初めての長編作品ということですが、『ターコイズの空の下で』というタイトルに込めた想いは?

K監督:モンゴルの詩人が「Oyuu」という言葉を使っておりまして、「ターコイズ」という意味なんですが、とても美しい言葉だなと思ったんです。

 

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――現地でそのターコイズの空をご覧になった訳ですが、如何でしたか?

柳楽:とても綺麗でした。

K監督:私が住んできた町というのは、東京もそうですが、海抜40m位しかないような所ばかりで、モンゴルは標高が高くて、ウランバートルでも1400m近くあるんですよ。さらに田舎へ行って撮影した所は2600~3000m位の所で、空気も薄くて雲がすぐそこにあって、星が近くてとても綺麗に見えました。プラネタリウムではない、本物の美しさがありました。


――ゲルでの生活がひと月近くあったようですが、一番印象に残っていることは?

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柳楽:アムラに教えてもらって、プレイリードッグを解体して焼いて食べました。僕も馬には乗れますし、アムラも200頭位の馬を持っているような人なんですが、監督の乗馬テクニックにはびっくりしました。ヒューっと急停止する時などプロ級のテクニックなんですよ。監督から乗馬の指導もしてもらいました。監督は、『タクシー』や『ラッシュアワー』にも出演されている俳優としての面もあるし、監督業も大学で学んでおられていて、いろんな知識もあるし、大好きです!

K監督:僕も大好きです。柳楽君を、“作った役”ではなく、一番ピュアな状態で見せられてとても嬉しかったです。演技は作って一方的に見せるものではなく、役者と役者との間にできたエネルギーで創り上げるものだと思います。この映画の評価はこれからですが、柳楽君と一緒に映画製作の体験できてとても嬉しいです。


――主人公のタケシは忘れられない経験をして成長する訳ですが、柳楽さんにとって忘れられない経験とは?

柳楽:沢山ありますが、節目節目で厳しく指導して下さった方々にお会いできたことです。デビュー作『誰も知らない』では是枝裕和監督に、その後の舞台『海辺のカフカ』では蜷川幸雄先生にとても厳しく指導して頂いて、成長にできたかな?と思っています。それから護身術の道場の先生にも厳しく指導されています。

――厳しくされた方がいいんですか?

柳楽:勿論、褒められた方が嬉しいのですが、厳しくされると「燃えてんな!」と熱くなってくるんです(笑)。

――KENTORO監督とはどうでした?

柳楽:厳しいとか怒る訳ではないのですが、目指しているもののハードルが高くて、そういう人と一緒にいると自分も成長できるような気がして、とても楽しかったです。撮影後も電話で相談するぐらい仲良しです。

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――KENTARO監督から見て柳楽優弥さんはどんな俳優ですか?

K監督:彼はとてもピュアで素直な人です。それは役者にとってとても大事なことだと思います。それに、彼は今英語を勉強していますので、今後は海外でも活躍する姿を見られると思いますよ。

柳楽:4か国語を喋れる監督は、何語が一番得意なんですか?

K監督:フランス語かな?今は日本語を何とか喋ってるけど、時々変な喋り方をすることがあります(笑)

緊急事態宣言が終わって、こうして大勢の皆さんに映画を観て頂いて本当に嬉しい。客席が空いていると、本当に寂しいですよ。私たちはドイツのマンハイム映画祭にこの映画を出品したのですが、700人位の満員の観客のエネルギーを感じることができました。何かを表現して映画を創るということは、こういうことなんだなと思いました。映画は一人で観るものではなく、エネルギーを感じながら楽しむものだと思います。


turquoise-bu-500-2.JPG――ここで、モンゴルの大スター、アムラさんからスペシャルメッセージを紹介。

アムラ:長い旅の最後に日本の皆様に映画を観て頂いて嬉しいです。

――アムラとの思い出は?

K監督:アムラはあんな低い声をしているので、学生の頃、「容姿的に無理だから役者辞めた方がいい」なんて言われたそうです。

――ええ!? モンゴルのスーパースターなんでしょう?

K監督:でも彼は諦めずに努力して、英語もマスターして、今ではハリウッドでも活躍するモンゴルのトップスターになったんです。街を歩いていても、5分も経たない内呼び止められて、「一緒に写真撮ってくれ」と言われるようです。

柳楽:アムラに「ブラザー」なんて言われちゃって嬉しい!ハリウッドでも活躍している人ですからね。ロケ先でも、アムラが頼みに行くと「OK」ということもあったりして、国民的大スターですよ。

――アムラさんから刺激を受けたこととは?

柳楽:男らしく、優しくて知的な人で、ほんとカッコ良いんです!背中を追い掛けたくなるような人です!


turquoise-bu-500-1.JPGK監督:ここで柳楽君の踊りを見せたい!

柳楽:ええ!? 急に何ですか?

K監督:映画の中の踊りはアドリブで動いてくれたんですが、実は彼はタップダンスが上手いんです。

(と、監督に促されて、戸惑いながらタップを踊る柳楽。)

柳楽:実は、『浅草キッド』という映画の撮影で、只今タップダンスを練習中なんです。

K監督:同じ「タケシ」同士ですので、よろしく!(笑)


turquoise-pos-2.jpg――最後のメッセージを。

柳楽:今日はドイツのマンハイム映画祭での満席を思い出すようで嬉しい気分です。精神的豊かさでタケシが成長する姿を楽しんで下さい。『浅草キッド』のタケシもよろしく!(笑)

K監督:ちょっと変わったファンタジーというか、寓話的な作品ですが、皆さんの感想をお聞きしたいです。SNSなどに投稿して下さいね。よろしくお願いします。
 


『ターコイズの空の下で』

監督・脚本・プロテューサー:KENTARO
出演:柳楽優弥 アムラ・バルジンヤム 麿赤兒 ツェツゲ・ビャンバ
2020年製作 日本・モンゴル・フランス合作 上映時間:95分
配給:マジックアワー マグネタイズ
公式サイト:http://undertheturquoisesky.com

(C)TURQUOISE SKY FILM PARTNERS / IFI PRODUCTION / KTRFILMS

2021年2月26日(金)~新宿ピカデリー、3月12日(金)~シネ・リーブル梅田、アップリンク京都、MOVIXあまがさき、4月9日(金)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開


(河田 真喜子)

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【映画】騙し合いバトル × 猛虎の逆襲【プロ野球】

3.26(金)同日開幕‼

阪神タイガースとの異色コラボポスター解禁!

 
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「罪の声」の著者・塩田武士が、俳優・大泉洋を主人公にあて書きし話題を集めたベストセラー小説「騙し絵の牙」(角川文庫/KADOKAWA刊)を『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』の吉田大八監督が実写映画化!3月26日(金)に全国公開を迎えます。
大手出版社を舞台に、廃刊危機に陥った雑誌を巡って生き残りをかけた壮絶な騙し合いバトルが幕を開ける!主人公・速水にはもちろん、国民的人気俳優の大泉洋。さらには日本を代表する超豪華俳優陣が集結し、先の読めない逆転連発エンターテインメントが完成致しました。

そしてこの度、映画公開日と同日の “3月26日(金)”に、待ちに待った今期公式戦の開幕を迎えるプロ野球「阪神タイガース」とポスターヴィジュアルでのコラボが決定致しました!!

2021年『頂』を目指し開幕戦の火ぶたをきる「阪神タイガース」のペナントレースと、劇中のスリリングな展開、そして怒涛の痛快大逆転劇がオーバラップ!タイガースバージョンのポスターには、矢野監督を筆頭に、昨年リーグ2位の悔しさからの大逆転を狙い虎視眈々と牙を研ぐ虎の精鋭たちが揃い踏み。今期大注目の大型ルーキー “佐藤輝明” もしっかりと登場!いよいよ始まる猛虎の大逆襲劇と、クセモノだらけの仁義なき騙し合いバトルを描く本作の公開を強力アピール!
本コラボポスターは関西圏の松竹系列映画館にて3月1日(月)より掲出いたします。
 


■掲出劇場:大阪ステーションシティシネマ/なんばパークスシネマ/MOVIX京都/
神戸国際松竹/MOVIXあまがさき/MOVIX八尾/MOVIX堺 7館
■掲出期間:2021年3月1日(月)~
<ご提供素材>映画ポスター&阪神タイガースコラボポスター組み写真 1点
       ©2021[騙し絵の牙」製作委員会 ©阪神タイガース
 
<阪神タイガースメンバー>
最前列:糸原健斗 矢野燿大(監督) 梅野隆太郎
2列目:西勇輝 岩貞祐太 大山悠輔 近本光司
3列目:ロベルト・スアレス 秋山拓巳 岩崎優 青柳晃洋
最後列:木浪聖也 ジェリー・サンズ 髙橋遥人 佐藤輝明
※各列向かって左から、敬称略
 


最後に笑うのは誰だ⁉ 全員クセモノ!

仁義なき騙し合いバトル、遂に開幕!

 

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【STORY】
出版社「薫風社」に激震走る!かねてからの出版不況に加えて創業一族の社長が急逝、次期社長を巡って権力争いが勃発。専務・東松(佐藤浩市)が進める大改革で、雑誌は次々と廃刊のピンチに。

会社のお荷物雑誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水(大泉洋)も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされる…が、この一見頼りない男、実は笑顔の裏にとんでもない“牙”を秘めていた!嘘、裏切り、リーク、告発。クセモノ揃いの上層部・作家・同僚たちの陰謀が渦巻く中、新人編集者・高野(松岡茉優)を巻き込んだ速水の生き残りを賭けた“大逆転”の奇策とは!?
 
■監督:吉田大八 ■脚本:楠野一郎 吉田大八
■原作:塩田武士「騙し絵の牙」(角川文庫/KADOKAWA刊)
■出演:大泉洋 松岡茉優
宮沢氷魚 池田エライザ/斎藤工 中村倫也 佐野史郎 リリー・フランキー 塚本晋也 / 國村隼 木村佳乃 小林聡美 佐藤浩市
■コピーライト:©2021「騙し絵の牙」製作委員会
■配給:松竹 
■公式サイト:movies.shochiku.co.jp/damashienokiba/ 
■公式Twitter: @damashienokiba
 

2021年3月26日(金)~全国ロードショー


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骨太ヒューマンドラマ『ひとくず』がシネコンで拡大公開!上西監督、木下ほうかに「次はラスボスでがっつり!」
(2021.2.19  なんばパークスシネマ)
登壇者:上西雄大監督、木下ほうか、徳竹未夏、古川愛
 
 
 子ども時代に虐待を受けた者が、虐待する側にまわる負の連鎖に着目し、孤独な魂が寄り添い、家族になるまでの日々を人間味たっぷりに描く上西雄大監督作『ひとくず』。昨年の3月に東京公開されたものの、コロナウィルス感染拡大の緊急事態宣言で上映が中断し、京阪神での公開も10月に大幅にずれ込んだものの、作品を見て感動した観客が『追いくず』という熱烈なリピーターになり、第七藝術劇場の上映終了後もセカンドランのシアターセブンで3か月に渡るロングラン上映を続けている。今年に入って東京、神戸、京都でのアンコール上映に続き、全国拡大公開も始まり、遂にお膝元のなんばパークスシネマで上映が始まった。なんばパークスシネマ公開初日(2/19)に上西雄大監督、木下ほうかさん、徳竹未夏さん、古川愛さんを迎えて行われた舞台挨拶の模様をご紹介したい。
 
 
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 主人公の母親役の徳竹未夏さんと娘を虐待する母親役の古川藍さんの二人が司会役となった舞台挨拶では、感染拡大防止で50%の減席ながら最大スクリーンでの上映でリピート13回の『追いくず』なども含めて200人を越える満席の客席と、今までにないシネコンの巨大なスクリーンを見て上西監督は感極まった様子で最初の挨拶。その様子を見た木下ほうかは「1シーンしか出ていません。気まずい、なんで呼んだん?」と吉本新喜劇ばりの絶妙なツッコミで笑いを呼んだ。
 
 
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 そんな木下にオファーした経緯を聞かれた上西監督は、「劇団員の前で『木下ほうかさんに出てもらいたい』と言ったとき、夢のような話だと思って誰も信じなかった。ほうかさんに脚本を読んでもらい、最後に『がんばろう』と握手して言ってもらえたんです。ここまでこられたのは木下ほうかさんのおかげ」と木下に感謝の言葉を伝えると、木下も「小規模の映画で3月から上映が開始され、1年以上続いて、こんなにでっかいスクリーンで!というか画質大丈夫(笑)。次もどんどん新作撮れる、それはもっと目立つ役で!」と同作の拡大公開を心から喜びながら再タッグをリクエスト。上西監督も「次はラスボス役でがっつり!」ともはや息ピッタリのコンビぶりをみせた。
 
 
 さらに上西監督はここまでの歩みを振り返り、「一旦、コロナで劇場がロックダウンされて、上映が半年間止まっていましたが、10月から大阪で上映が再開できました。こういう状況なので、劇場で舞台挨拶出来るのは本当にありがたいし、最上段までお客さまがおられて感無量です。やっとの思いで東京でロードショーにこぎつけ、万感の思いで今日は本当に一生に残る思い出です。ここまで来れる力を与えていただいて、本当にありがとうございます』と感謝の言葉を重ねた。さらに、「虐待について知って心が壊れ、救いを求めて書いた脚本ですが、非常にたくさんの方が受け取っていただいた。映画が終わればいろんなお言葉をいただけて、その人の人生のそばに置いていただける。僕は役者として意義を持てました」と『ひとくず』がお客様に届いたことの意義を改めて語った。
 
 

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 『ひとくず』サポーターの方々から花束贈呈も行われ、感極まっているキャストたちにツッコミを入れてきた木下も「これちょっと泣きそう・・・ちょっとかっこ悪い・・・」と、ついに本音が飛び出した舞台挨拶。最後は、「『ひとくず』はこんな土砂降りの中でも、走りきれると思うし、コロナの波が終わった後まで走りきる力を持っている映画です。観ていただいて、口コミの方を広げていただいて、たくさんの方にいろんな思いを伝えられるように力添えをお願いいたします。みなさま、誠にありがとうございます』と上西監督が締めくくった。これからもまだまだ多くの人に届いてほしい、熱い思いが詰まったヒューマンドラマだ。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ひとくず』(2019年 日本 117分)
監督・脚本・編集・プロデューサー:上西雄大
出演:上西雄大 小南希良梨 古川藍 徳竹未夏 城明男 税所篤彦 川合敏之 椿鮒子 空田浩志 中里ひろみ 谷しげる 星川桂 美咲 西川莉子 中谷昌代 上村ゆきえ 工藤俊作 堀田眞三 飯島大介 田中要次 木下ほうか
現在、なんばパークスシネマで絶賛上映中、2月27日〜元町映画館、3月12日〜京都みなみ会館でアンコール上映
公式サイト→https://hitokuzu.com/ 
 
 
 
 

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人生のロスタイムを手に入れたダメおやじの92分一本勝負!

愛と感謝と懺悔のイタリアン疾走コメディ!

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パレルモの生まれ変わった美しい街並みを映画で堪能!

 

イタリアで大ヒットしたコメディ映画『ワン・モア・ライフ!』が3月12日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー致します。


『ローマ法王になる日まで』のダニエーレ・ルケッティ監督が贈る本作は、シチリア島パレルモの美しい街並みを舞台に、天国へ旅立つまでの92分をリアルタイムで進行させる演出で、本国イタリアで大ヒットを記録。観るものを釘付けにした。思いがけず人生のロスタイムを手に入れたダメおやじのパオロ。“幸せとは何か?そして家族とはー?” 愛と感謝と懺悔のイタリアン疾走コメディ!



かつてマフィアが闊歩したパレルモを舞台に、石畳の路地で生活する人々の日常を明るく描く


本作の舞台となっているのが、ルキーノ・ヴィスコンティ監督の『山猫』でも舞台になったシチリア島のパレルモ。昨年ヒットした『シチリアーノ 裏切りの美学』でも描かれたように、パレルモは1990年代までは犯罪組織コーザ・ノストラが牛耳る町だったが、現在ではインスタ映えする旧市街や透明なビーチ、目の前の地中海で獲れたシーフードが自慢のリストランテで話題の人気リゾート地に生まれ変わった。劇中ではパオロが不倫相手とデートするシチリア州立美術館、待ち合わせの名所プレトーリア広場やパレルモの胃袋的存在のカーポ市場、町と海を一望できるモンテ・ペッレグリーノなど、人気の観光スポットが次々と登場。生まれ変わった新生パレルモの今を見せてくれる。


なかなか海外旅行に行くことができない状況下、ぜひ映画の中で美しいパレルモの名所を巡って旅行気分を味わっていただきたい!


【STORY】

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中年男のパオロは、いつもの交差点で交通事故に遭ってしまう。死の瞬間、脳裏によぎったのは愛する妻と子供のこと。…ではなくて、恋人に告げられた深すぎる一言や、客待ちタクシーの列の謎など、取るに足らないことばかり。しかし、そんなことよりも、予想外に短い寿命に納得できないパオロは天国の入口で猛抗議。すると、前代未聞の計算ミスが発覚し、92分間だけ寿命が延長され、地上に戻れることに。傷心のパオロは、それまで勝手気ままに生きてきた自分を戒め、家族の絆を取り戻すと一念発起。92分一本勝負の人生やり直しが始まる!


監督・脚本:ダニエーレ・ルケッティ(『ローマ法王になる日まで』)
出演:ピエルフランチェスコ・ディリベルト(ピフ)、トニー・エドゥアルト
2019年/イタリア/94分/シネスコ/5.1ch/言語:イタリア語/
原題:Momenti di trascurabile felicità/英題:Ordinary Happiness
日本語字幕:関口英子/後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム/
© Copyright 2019 I.B.C. Movie
公式サイト: http://one-more-life.jp

2021年3月12日(金)~ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 全国順次公開


(オフィシャル・レポートより)

 

 

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「理想の死に方を提案したい」『痛くない死に方』高橋伴明監督、長尾和宏さん(原作)インタビュー
 
 在宅医療による平穏死を提唱する尼崎の開業医、長尾和宏さんの著書「痛くない死に方」「痛い在宅医」を原作に、高橋伴明監督(『赤い玉、』)が終末期医療の現実と理想を描く『痛くない死に方』が3月5日(金)からテアトル梅田、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、京都シネマ、イオンシネマ京都桂川、MOVIX堺、3月12日(金)から塚口サンサン劇場、豊岡劇場にて公開される。
 
 苦い経験を心に刻みながら、在宅医療の道を歩む主人公河田を、『火口のふたり』などの柄本佑が演じる他、河田の誤診から実父を苦しい死に追い込んだと後悔する娘を坂井真紀、悩める河田にアドバイスを与える先輩医師長野を奥田瑛二、全共闘世代のガン患者本多を宇崎竜童が演じている。平穏死から程遠い死に方、枯れるように死んでいく理想の死に方に家族と死について話したくなるような作品。要所要所で在宅による終末期医療で肝心なことや、自分の意思で自分の死に方を選ぶ方法もさりげなく盛り込まれている。同時期に公開される長尾さんの仕事ぶりに密着した毛利安孝監督『けったいな町医者』と合わせて観ることで、より病院や医者との付き合い方や、平穏死を迎えるために必要なことがわかるだろう。終末期医療を見事に言い当てた川柳にも注目してほしい。家族や夫婦の絆、青年医師の成長を描いたという点でも見応えのある、真面目に死を捉えたヒューマンドラマだ。
 
 本作の脚本も手がけた高橋伴明監督と、原作者で医療監修を手掛けた長尾和宏さんにお話を伺った。
 

 

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■余計な力を入れずに作った「理想の死に方の提案」(高橋)

――――「痛くない死に方」の原作者で在宅診療医の長尾先生との出会いは?
高橋:「痛くない死に方」を拝読した後、築地の本願寺で長尾先生の講演会があったんです。それが初対面でしたが、そこでいきなり歌を歌い出したので、びっくりして。この人は規格外だなと(笑)
 
――――原作を元に、どのようにして脚本を作ったのですか? 
高橋:映画の前半はまさに原作通りなのですが、それだけだと中身も辛いし、自分自身が映画にするのも辛い。長尾先生の他の本も読ませていただきましたし、他にも死に関連する本を多々読み、在宅医に関する知識を蓄えていたので、それらを取り入れながら今自分で考えられる「理想の死」を後半部分にくっつけました。理想の死に方の提案ですね。余計な力が全然入らずに作れた作品でした。
 
――――今回、高橋伴明監督によって映画化された感想は?
長尾:高橋監督の作品はずっと観ていましたし、時代の先端を行く作品を作っておられてカッコいいと思いましたし、奥様(俳優の高橋恵子)と結婚された時のことは記憶にバッチリ残っているぐらいです。そんな方が、医療ものの重いテーマのものを撮っていただけるということが、とてもうれしかったです。自分がやってきた素材を高橋監督が脚本という形で料理していただき、しかも色々な調味料を加えて、僕が言いたかったことを一点の無駄もなく入れてくださった。しかも川柳というユーモアも加えてくださった。カルタにして売りたいぐらいです(笑)
 
 
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■阪神・淡路大震災で踏ん切り、町医者になり「平穏死」を知る(長尾)

――――長尾先生に密着したドキュメンタリー『けったいな町医者』で阪神淡路大震災が勤務医から町医者、そして在宅医になるきっかけになったとおっしゃっていましたが、今一度その経緯を教えていただけますか?
長尾:芦屋市民病院で消化器医として勤務して10年目の頃、個室にいる胃ガンの患者さんに夜呼ばれ、家に帰ることと抗がん剤を止めるという二つのお願いを聞いてくれないかと頼まれました。上司に相談した結果どちらもダメだと伝えると「僕はダメな人間です。一度だけ浮気をしたんです」と泣かれたのです。驚いて声をかけて帰宅した真夜中に病院から電話があり、その患者さんが病院の屋上から飛び降りたと。僕はその患者さんを殺してしまったと思いました。その後、阪神・淡路大震災があり、今もコロナで大変ですが当時も無政府状態になっていて、自分で動かなければダメだと踏ん切りがつき、小さな雑居ビルの一角で開業医として再出発しました。当時、朝夕注射にきてくれた肝臓ガンの患者さんがいたんです。その方の具合が悪くなって自宅まで診に行くようになり、僕の初めての在宅医としての看取りとなりました。
 
肝臓ガン専門病棟で仕事をしていたこともあったので、毎日末期の肝臓ガンで血を吐いて血の海になって亡くなる姿を見ていましたが、その患者さんは手厚い治療を施されることもなく、血を一滴も吐くことなく亡くなった。肝臓ガンの患者さんでこのようなケースを見たのは初めてでした。これが平穏死なんです。在宅医もだんだん増えてきて、今は非常勤を入れて8人の医者が600人ぐらいの患者さんを診ています。規模が大きくなっても600人全員と関わるようにしているんです。
 
――――柄本佑さんは『心の傷を癒すということ<劇場版>』で阪神淡路大震災時に避難所などで被災者の「心のケア」に積極的に取り組んだ安先生をモデルにした精神科医を演じていますが、長尾先生の原作を元にした本作では苦い失敗を経て成長していく在宅医を演じています。役作りで監督から何かアドバイスはされたのですか?
高橋:今回は柄本さんに限らず、ほとんど役作りや登場人物の狙いをほとんど話していないですね。時々宇崎さんがロックンローラーになってしまうので、「ちょっと抑えて」と言ったぐらいですね。柄本さん自身も長尾さんの往診に1日同行し、患者さんとどんな接し方をしているかを見ているので、それを参考にしたのではないでしょうか。何かをきっかけに成長させるというのは、映画の王道ですから。
 
――――長尾先生をモデルにした主人公河田の先輩、長野を演じているのは奥田瑛二さんですね。
長尾:奥田瑛二さんが撮影現場で、僕が普段言っていることを言っていただけたのは、やはり全く重みが違います。俳優が語るのは、こんなに人の心に届くものなのだと思いましたし、奥田瑛二さんには感謝しかありません。
 
 
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■下元さんなら紙おむつを履いてくれると思った(高橋)

――――前半、苦しみ抜いて死んでいく老人を演じた下元史朗さんの演技が実に真に迫っていました。
高橋:死ぬ間際に過呼吸になるのですが、その呼吸の仕方は医療監修もしていただいた長尾先生がすごくこだわっておられたんです。ここはリアルにやろうと腹を決めたので延々とカメラを回しましたが、実は役者は大変なんですよ。あとは、紙おむつの姿を他の役者さんは絶対に撮らせてくださらない。他の男優は全員、「自分なら紙おむつは絶対だめだ」と。僕は下元さんなら履いてくれると思っていました。ただあの紙おむつ、もう少しシンプルにならないですか?
長尾:NHKスペシャルでもあんなシーンはないですが、みなさんが知りたいのは紙おむつの実態だとか、そういうのが知りたいんですよ。
 
 
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■リビングウィルと死の壁を描いた初めての映画(長尾)

――――ラストに「リビングウィル」が説明されていましたが、これもこの作品の一つの提案なのですか?
長尾:現在、日本でリビングウィルは3%の人しか書いていません。日本人の終末期医療は3分の2は家族、3分の1は医者が決めており、自分で決めているのは3%ということです。国際的にみれば極めて特異で、欧米では認知症にならない限り100%自分で決めます。日本は世界で唯一リビングウィルが有効であるという法律がないのですが、もう少し希望を出したり、話し合ったりしてもいいのではないか。国は人生会議という言葉を昨今使っていますが、その核となるのはやはり本人の意思です。遺言状もそうですが、紙に書くことで重みが増します。そういうこともこの映画で知っていただけるとうれしいし、高橋監督がリビングウィルを映画で扱ってくださったというのは、映画としても初めてではないかと思います。
 
また、宇崎竜童さん演じる本多が直面する「死の壁」は、亡くなる前に自然と悶えるんです。病院だと麻酔がかかっているので眠ったままになるのですが、自然の最期は死の壁があり、それを描いた最初の映画だと思います。一枚の川柳にも話せば一時間かかるぐらいの重みがありますし、映画という時間の制約がありながら、この一本の映画の中に僕が書いた10冊ぐらいの本の内容が散りばめられています。
 
――――本多が亡くなる前、河田が一緒にお酒を飲んだり、『けったいな町医者』での長尾先生の「笑うこととしゃべることがリハビリ」という言葉を聞くと、やりたいことをやれるのが一番だと思いますね。
長尾:それができるのは現時点では自宅なんです。病院も本当は変わらなければいけないので、病院のお医者さんにこの映画をぜひ見ていただいて、ディスカッションしたいです。僕は強烈なアンチテーゼで本を書いているし、『痛くない死に方』『けったいな町医者』は病院の先生が正視したくない2本だと思います。だけど正視してほしいし、市民の声を聞いてほしいと思います。
(江口由美)
 

『痛くない死に方』(2020年 日本 112分) 
監督:高橋伴明 
原作:長尾和宏「痛くない死に方」ブックマン社
出演:柄本佑、坂井真紀、余貴美子、大谷直子、宇崎竜童、奥田瑛二、大西信満、大西礼芳、下元史朗、藤本泉他
3月5日(金)からテアトル梅田、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、京都シネマ、イオンシネマ京都桂川、MOVIX堺、3月12日(金)から塚口サンサン劇場、豊岡劇場にて公開
©「痛くない死に方」製作委員会
 

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文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020」

日本の映画界を担う若手作家3作品を一挙初上映!!

ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020「合評上映会」

 

特定非営利活動法人映像産業振興機構(略称:VIPO、理事長:松谷孝征、東京都中央区)が、日本における商業映画監督の育成への取り組みとして、2006年度より企画・運営する、文化庁委託事業「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020」において、今年度の製作実地研修で完成した短編映画3作品の「合評上映会」が都内にて開催されました。


【日時】2月3日(水) 15:30~
【場所】丸の内TOEI ②(東京都中央区銀座3-2-17)
登壇】植木咲楽監督、木村緩菜監督、志萱大輔監督
    安田聖愛、肘井ミカ、今里真、駒木根隆介、仁科貴、遠山景織子、小林涼子、関口アナン


映像産業振興機構(VIPO)が企画・実施する「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2020 」で製作された短編映画3作品が、一般公開に先駆けて合評上映会でお披露目された。舞台挨拶に登壇した3人の若手監督は、今年は感染予防対策として座席数が半数に制限されているものの多くの観客で埋まった客席をみて、無事にスクリーンで作品を観てもらえることに安堵し嬉しそうな様子だった。


ndjc2020-pos.jpg上映された3作品は、監督・脚本を務めた卒業制作『カルチェ』がPFFアワード2018にて入選、第19回TAMA NEW WAVEにてグランプリを受賞し、大学卒業後は石井裕也監督のもとで監督助手を務めた植木咲楽監督作『毎日爆裂クッキング』、日本映画大学在学中からピンク映画や低予算の現場で助監督として働き、卒業制作では「さよならあたしの夜」を16㎜フィルムで制作し、現在は様々な監督のもとで助監督として働く木村緩菜監督作『醒めてまぼろし』、映像制作団体osampoを主催し、never young beachなどアーティストのMVを手がけ、監督作『春みたいだ』がPFFアワード2017やTAMA NEW WAVE正式コンペティション部門などに入選し、海外の映画祭でも出品・上映された志萱大輔監督作『窓たち』の3作品。いずれも35ミリフィルムで撮影・編集された30分の短編。


合評上映会は、文化庁梶山正司参事官の挨拶ではじまり「ndjc:若手映画作家育成プロジェクトは、日本映画の才能の発掘と育成を目的として今年で15年目となります。今回の3人の監督には、是非、国内外で活躍して日本映画界を盛り上げていってほしい」と若手監督たちへ激をとばした。


ndjc2020合評上映会-500-bakuretsu.JPG1作品目の『毎日爆裂クッキング』植木咲楽監督は、重いテーマをコミカルな様子で描いた理由ついて聞かれると「もともと食べ物をテーマにした映画を作りたいと思っていました。昨今の状況や自分の人生の中で、なにかしら罵倒されたり、不当な扱いを受けることは誰しもが経験のある事なのかなと思い、それを作品にしたら面白いかなと思って撮りました。なるべく重い空気を笑い飛ばしてしまいたいなと、個人的には思っていたので、こういったテイストの作品になりました」と明かした。

また、一番の勝負シーンを聞かれると「文が卵を割るシーンは、初めて文の本当の感情が表に出るシーンだったので、大事に撮りたいなと思ったシーンでした」と答え、主人公の文役を演じた安田も「最初は、卵を入れたかごにたまたま手が当たってしまって卵を割ってしまうという場面だったんですが、現場で急遽、文の感情が爆発して卵を割るっていう演出に変えたとき、私も文の感情がそこで爆発的に出すことができて良かったなと思えるシーンです」と述べた。

今後、どんな作品を撮っていきたいかを問われると植木監督は「なるべく誠実な映画を作っていきたいです。できれば、見過ごされてしまったり、蔑ろにされてしまいそうなもの、歳を取ったらそういったことを忘れていってしまうのではないかという危機感があるんですが、そういう経験で感じた悔しい思いや、そこから助けてもらった時の嬉しさとかを忘れないで映画を撮っていきたいと思います」と語った。また、出演者の渡辺えりからのビデオレターが届き「これからも弱い者の味方の映画を撮っていってください」という渡辺の励ましのメッセージに、感謝する様子の植木監督だった。


ndjc2020合評上映会-500-samete.JPG続いて2作品目『醒めてまぼろし』木村緩菜監督は「私自身、あまり友達や恋人的な存在もなく、拠り所というか帰るところが無いとき、自分が一人で生きていくためにはどうしたらいいだろうと思った時に書いた脚本です」と今回の作品テーマを選んだ理由を説明。

演出については「主演の小野さんとはいろいろ話し合いました。どういう気持ちでいくかということを、限りなく言語化していく作業というか、その時どういう感情であるかということを中心に沢山話し合いました」と話した。主人公・あき子の母親役を演じた遠山は「監督と話し合っていく中で、あき子の感情がただの思春期の反抗として見せたくないという軸があったし、私もあき子の気持ちに共感できるところがあったので、今日、出来上がった作品を観ていて、あき子の反抗する姿がすごく刺さりました」と初めて完成した作品を観た感想を語った。

劇中であまりBGMを使用しなかったことの理由を聞かれると、木村監督は「なるべく生の音を録って使おうとあらかじめ決めて準備していました。この作品には音楽はいらないなと、音楽である一定の感情を塗りたくることをしたくない、音楽で挽回するということをしたくなかった」とその気持ちを明らかにした。

今後撮りたい作品について聞かれると「言葉で説明できない感情をちゃんと映画にできたらいいなと思います」と次回作への意気込みを語った。


ndjc2020合評上映会-500-madotachi.JPG3作品目『窓たち』志萱大輔監督は、絶妙な男女のすれ違いを切り取ったストーリーを「ndjcに応募した脚本をいろんな人に読んでもらって意見をもらい、直して直してこの脚本になった」と話した。朝子役を務めた主演の小林は「撮影準備期間には監督とは恋バナをたくさんしました。皆さんそれぞれ、少しやましかったり悲しかったりするのが恋愛だと思いますが、男性から女性から、いろいろな視点を詰め込んだお話しなので、どんな度合いで表現するのがいいのかを話し合うため、念入りに丁寧に恋バナをさせていただきました」と撮影裏のエピソードを披露した。

印象的なラストシーンについては脚本を書き換えていくうちに少し違ったものになったらしく「一番最初の脚本では“信号が青に変わっても進めない”としか書いてなかったけれど、その後、脚本を直して別のラストシーンにしたけれど、また元のラストシーンに戻し、“点滅している”という部分を足して書き直しました。引きの映像も撮っていたけれど、場所の説明になってしまう気がして、ただ、赤と青、そして点滅だけで表現できないかなと思って最終的にこのシーンになりました」と説明した。

今後、どんなテーマに興味があるか聞かれると「映画を作ることが好きなので、それを長く続けていくというのはどういう事だろうと考えた時に、長く撮り続けていった時に、自分はどういった作品を撮っているんだろうということに興味があります」と自身の考えを表明した。


スーパーバイザーの香月純一氏は3人の若手監督それぞれに称賛のメッセージを送り、「今年のndjc2020の3本は、それぞれの作品がリンクしているようでもあり、またバラエティに富んだ作品になったと思います。今年のこの3人の監督がますます活躍していって欲しいと思います。そのためにはここにいる皆さまのご指導ご鞭撻が大事になってきます。皆さまどうぞよろしくお願いいたします」と締めくくった。会場からは監督たちへの期待を込めた温かい拍手が広がり、合評上映会は好評のうちに幕を閉じた。


2021年2月26(金)~角川シネマ有楽町を皮切りに、名古屋(3/12〜)、大阪(3/19〜)にて一般公開


(オフィシャル・レポートより)

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