「京都」と一致するもの

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(上段:左から→坂元・蒼井・足立監督_下段:左から→白石、池川、田代、岩田)

『百円の恋』『アンダードッグ 前編・後編』(脚本)、『喜劇 愛妻物語』(脚本·監督)や、2023 年度後期の NHK 連続テレビ小説「ブ ギウギ」(脚本)など、脚本家として、小説家として、そして映画監督として、人間のみっともない部分を愛情込めて描き続ける足立紳が、20 年がかりで念願の企画を実現させた映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』が、いよいよ 3 月 24 日より、 新宿武蔵野館他にて全国順次公開を迎えます


関西ジャニーズ Jr.内のグループ「Boys be」で活躍する池川侑希弥を映画初主演に迎えた本作。主人公は 7 人の小学生男 子たち。地方の町を舞台に、グループのナンバー2的なポジションだが、実は小心で臆病者な高崎瞬。ケンカが強くて人情に厚いリーダー格の村瀬隆造。気弱な性格の愛称・トカゲこと、戸梶元太。母親と姉の3人暮らしで東大進学を目指す星正太郎。大の映画好きで、スピルバーグに憧れて映画監督を夢見る西野聡。隆造を一方的にライバル視しているイジメっ子の玉島明。転校生で、日和見主義な小林幸介など、それぞれが昭和末期の“今”を過ごす個性豊かな 7 人の成長物語は、観る者の心に懐かしさと温かさの余韻をもたらします。


【日程】:3 月 8 日(水)17:30~18:00(約 30 分)※上映後舞台挨拶
【会場】:丸の内 TOEI(東京都中央区銀座 3-2-17)
【登壇】:池川侑希弥(いけがわ ゆきや(Boys be/関西ジャニーズ Jr.) /田代輝(たしろ ひかる)/白石葵一(しらいしきいち)/岩田奏(いわた かなで)/ 蒼井旬(あおい しゅん)/坂元愛登(さかもとまなと)/足立紳(あだちしん)監督  ※敬称略



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左から(坂元、岩田、白石、池川、田代、蒼井、足立監督)

少年たち 6 人で、上映後の舞台挨拶が行われたのは初となり、現在の心境を聞かれた池川は、「いい意味でみんな変わっていなくて嬉しい。身長が伸びたりとか変化はあるけれど、今日はみんなと一緒に舞台に立てて嬉しい」と喜びを噛みしめた。瞬の親友・隆造役の田代は「今日は僕ら子供たちで一緒に舞台に立てて嬉しい。そしてお客さんに沢山来ていただいて感謝しかないです」と満面の笑み。足立監督は彼らの成長ぶりに触れて「撮影からしばらくして身長も伸びて…。田代君に身長を追い抜かれてショックです!」と目を細めると、田代は「撮影時より 10 センチはいかないけれど結構伸びた」、池川は「僕は撮影時 160 センチで今が 166 センチなので、6 センチは伸びました」と成長を報告した。


zakodomoyo-bu3-240-1.jpgまた、池川は撮影を振り返り「今の時代と映画の舞台である昭和の時代は違う雰囲気だと思った。家の中も今は洋が多いけれど、和という感じだった。置物とか今の時代にはないようなものもあって、今とは違うところが沢山あると思った」と時代の変化を実感。映画監督を夢見る西野役の岩田は「凄い量の台本で圧倒されました。でも覚え始めたらスッと頭の中に入ってきた」と回想し、トカゲこと戸梶元太役の白石は「今の時代と違って子供たちがとても自由で、それを演じることが出来たのが嬉しかった。トカゲ同様に僕も肌が弱いので、その点では撮影に貢献できたかな?」と笑わせた。ツッパリ中学生の舎弟・明役の蒼井は「僕も明のようにいつも 4 人くらいのグループで行動しているので、そこは今も昔も変わらないと思った。でも僕は悪さなんてしません!そこは役柄とは違います!」と苦笑い。


役柄について池川は「高崎瞬とは友達関係が僕と似ているし、全員を引っ張ることが出来ないところも似ている。僕も人から指示をされることがあるので、絶妙な立ち位置が似ていると思った」と共感。田代は「僕は学級委員をやっていてクラスのみんなをまとめたりしているので、その点は隆造と似ている」と優等生な素顔チラリ。武闘派きどりの転校生・小林役の坂元は「小林はサングラスをかけてモデルガンを持っているという他人から見たら面白いキャラクター。人を笑わすという意味では僕も似ているのかな?」と役柄との類似点を明かすと、池川は「(坂元は)僕らのことを笑わせてくれたりして、さっきも舞台袖で変顔とかして場を和ませる一面があります」とその人柄を絶賛していた。


撮影は岐阜県飛騨市で合宿のような形で実施されたという。池川は「クランクアップの日に全員お土産をもらって、その中に升が入っていました。足立監督から『将来これで一緒にお酒を飲もう!』と言ってもらえたのが嬉しかった」と振り返り「その升には映画のタイトルが書かれていて、凄いデザインです。その升は家に飾っていて、これからも大事にしていきたいです」としみじみ。坂元が「オオサンショウウオのマグネットもいただいたよね?」と言うと、池川は「家の冷蔵庫に貼っています!」と嬉しそうに報告した。


zakodomoyo-bu3-240-2.jpg合宿の最中には思い出深いハプニングも。田代は「お風呂にシャンプーがないとう話になってスタッフさんに買ってきてもらいました。ただ話を聞き間違えたようでそれはボディソープだった。僕らはしばらくそれに気づかず、ボディソープで髪の毛を洗っていました」と思い出し笑い。坂元が「ヘアメイクさんに『みんな髪の毛キッシキシだね』と言われて…」と髪の毛の状況を説明すると、池川は「ボディソープが凄く泡立つので気づかなかった」と笑い、足立監督も「ちなみにシャンプーで体を洗っているスタッフもいましたよ」とまさかの秘話を暴露し、子供たちを爆笑させていた。


最後に足立監督は「7 人の少年たちが一人でも多くの人たちに知られていく映画になってほしい」と原石たちのブレイクを願い、主演の池川は「僕にとって初めての映画主演作です。これから先色々な映画に出たとしても、この映画が初めての映画であることに変わりはありません。僕自身大事にしていきたい作品なので、皆さんにも何度も観ていただきたいです」と3月24 日(金)からの劇場公開に期待をかけていた。
 


【作品概要】
『百円の恋』では、引きこもりがちだった30代ニート女性が恋とボクシングに出会い変わっていく姿を…、『アンダードッグ 
前編・後編』では、「咬ませ犬」に成り下がった中年ボクサーがどん底から這い上がろうとする姿を…、『喜劇 愛妻物語』では、売れない脚本家と鬼嫁の絶妙なやり取りで爆笑をさらいつつ根底に流れる夫婦愛を…、映画監督として、脚本家として、小説家として、常に、欠点だらけで、それでいて愛すべき者たちの織り成す人間賛歌を描き、観客の熱い支持を受けて数々の賞を総なめにしてきた映画作家・足立紳。自身が執筆した小説『弱虫日記』(講談社文庫)を原作とし、「プライドを獲得しようと必死にもがいている少年たち。その姿を今の世の中に問うてみたい」と意欲を燃やす作品『雑魚どもよ、大志を抱け!』が誕生しました。


【物語】 

地方の町に暮らす平凡な小学生・瞬(池川侑希弥)。心配のタネは乳がんを患っている母の病状……ではなく、中学受験のためにムリヤリ学習塾に入れられそうなこと。望んでいるのは、仲間たちととにかく楽しく遊んでいたいだけなのに。瞬の親友たちは、犯罪歴のある父(永瀬正敏)を持つ隆造(田代輝)や、いじめを受けながらも映画監督になる夢を持つ西野(岩田奏)など、様々なバックボーンを抱えて苦悩しつつも懸命に明日を夢見る少年たち。それぞれの家庭環境や大人の都合、学校でのいじめや不良中学生からの呼び出しなど、抱えきれない問題が山積みだ。ある日、瞬は、いじめを見て見ぬ振りしてしまう。卑怯で弱虫な正体がバレて友人たちとの関係はぎくしゃくし、母親の乳がんも再発、まるで罰が当たったかのような苦しい日々が始まる。大切な仲間と己の誇りを獲得するために、瞬は初めて死に物狂いになるのだった。


【作品情報】 

出演:池川侑希弥 (Boys be/関西ジャニーズJr.) 
          田代輝 白石葵一 松藤史恩 岩田奏 蒼井旬 坂元愛登
     臼田あさ美 浜野謙太 新津ちせ 河井青葉 /永瀬正敏
原作:足立紳『弱虫日記』(講談社文庫)
監督:足立紳(『喜劇 愛妻物語』『14の夜』)
脚本:松本稔/足立紳(『百円の恋』『アンダードッグ 前編・後編』)
音楽:海田庄吾(『百円の恋』『喜劇 愛妻物語』)
主題歌:インナージャーニー「少年」(鶴見river records)
製作幹事:東映ビデオ
制作プロダクション:the ROOM
制作協力:岐阜県飛騨市
配給:東映ビデオ
(C)2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会
公式サイト:https://zakodomoyo-movie.jp/

『雑魚どもよ、大志を抱け!』 3月24日(金)より、新宿武蔵野館、梅田ブルク7 ほか全国順次公開!


(オフィシャル・レポートより)

 

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cinefes2023-murakami-240-1.JPG今年で通算47周年を迎える大阪の映画ファンによる映画まつり、《おおさかシネマフェスティバル》(実行委員長:高橋聰)が、3月5日(日)、ホテルエルセラーン大阪5階のエルセラーンホールで開催された。


メインイベントとなる午後の表彰式では、総合司会の浜村淳が登壇。デビュー30周年で初の受賞となった主演男優賞の村上淳(『夕方のおともだち』)は、浜村に自ら距離を縮めるパフォーマンスで先制パンチ。地元大阪での受賞に「心から感謝申し上げます」と感激の表情を浮かべた。廣木監督とは13本のタッグを組み、ようやく主演作でマゾヒスティックな性癖が醒めかかっている男という難役にチャレンジ。「撮影でSMに目覚めればラッキーぐらいに思って臨んだが、痛かっただけ」とハードな撮影を振り返った。

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『ハケンアニメ!』で主演女優賞を受賞した吉岡里帆は、映画まつりの盛り上がりに驚いた様子。浜村も同じ京都の太秦出身ということで、吉岡への注目度の高さを伺わせた。撮影では、監督の意見とプロデューサーの意見が食い違っているときに難しさを感じたという吉岡。関西出身の受賞者に囲まれ、笑顔が絶えなかった。

 

 


 

 

 

 

 

 

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菅田将暉とW主演男優賞を受賞した『火花』でも会場を大いに沸かせた桐谷健太は、『ラーゲリより愛を込めて』で見事、助演男優賞を受賞。「監督、キャスト、一緒にシベリアに抑留された役者さんたちの力なので、共に分かち合えたらうれしい」と一気に挨拶。撮影しているときに映画の世界観に入り込みすぎて、絶望を感じ、セリフが言えなくなりそうになったこともあると明かしながら、「少しでも戦争が嫌だとか、幸せな方がいいと思ってもらえれば。それが演じる中の心の糧だった」と、浜村とのお笑いトークバトルの間を縫って、映画に込めた思いを語った。

 


 

 


 

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新人賞、助演賞、そして昨年の主演女優賞と当映画祭常連俳優といえる尾野真千子は、『サバカン SABAKAN』で、今年も助演女優賞に輝き「こういう賞は何度いただいても嬉しいもので、昨年に引き続き2度目。嬉しいです!」と喜びを表現。家中トロフィーや賞状だらけでは?という浜村に「そうですよ」とニヤリ。最近のオファーは100%母親役だというが、「番家兄弟で息子役をしていたので、演じる上ではちょっとラクだった」と余裕の笑みを浮かべた。

 


cinefes2023-sabakan1-500-2.jpg新人男優賞の番家一路と原田琥之佑は、共に受賞作『サバカン SABAKAN』が映画初出演。客席に本作の金沢知樹監督がいることを意識しながら、「金沢監督がいるので緊張しなかった」「ここに立てているのは金沢監督のおかげ」と、監督への感謝の言葉を口にした二人。途中からは監督も壇上に上がる一幕もあり、撮影さながらの和気藹々とした雰囲気に。浜村からも「感性豊かな演技」と大絶賛だった。


cinefes2023-arashi-240-1.JPG新人女優賞を受賞した『マイスモールランド』の嵐莉菜は、「5カ国のミックスルーツを持つ自分が経験したことのある葛藤が脚本に描かれていたので、早く現場に入って撮りたいと思った」と本作の出会いを語り、川和田恵真監督との受賞に喜びいっぱいの表情を浮かべた。また新人監督賞を受賞した川和田恵真監督も、「社会的な面がある一方、高校生の主人公とその家族の視点で描いた青春映画として楽しんでいただける作品。主演の嵐さんとは、ミックスルーツとして日本で生きて感じてきたことを共に話し合った中で、彼女ならこの作品を一緒にやっていけると感じた」と嵐の起用理由を語り、内容面など様々な撮影のサポートを行ったクルド人コミュニティの方々に感謝の意を表した。


監督賞は、『夜明けまでバス停で』の高橋伴明監督。「制作側からの過酷な条件をスタッフ、キャストが受け入れ、努力、その熱い想いがこの賞につながった」と挨拶。封印してきた怒りを解いて作ったという本作が高評価を受けたことで、次への意識が高まった様子で「この機会に浜村さんを見習って、生涯現役をやってみようと思った。次回作は沖縄問題に取り組みたい」と力を込めた。脚本賞の梶原阿貴も、「社会的な背景がある事件で、社会性と娯楽性のバランスをとるのが難しかった」と苦労を語る一方、実在の事件を元にはしているが映画の魔法で彼女を死なせないという選択をしたという。「(映画で描写するなら)若い女性の方がいいという風潮には抗いたい」と旧態依然とした映画界の女性描写の風潮にも異議を唱えた。


新人監督賞の山﨑樹一郎監督(『やまぶき』)ワイルドバンチ賞の辻凪子監督、大森くみこ弁士(『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』)も登壇。地元関西での受賞を喜んだ。


他、2022年度の受賞結果は以下のとおり。


【2022年度・個人賞】

◆日本映画

主演男優賞 村上淳           『夕方のおともだち』
主演女優賞 吉岡里帆        『ハケンアニメ!』
助演男優賞 桐谷健太        『ラーゲリより愛を込めて』
助演女優賞 尾野真千子       『サバカン SABAKAN』
新人男優賞 番家一路        『サバカン SABAKAN』
              原田琥之佑                 『サバカン SABAKAN』
新人女優賞 嵐莉菜           『マイスモールランド』
監督賞   高橋伴明        『夜明けまでバス停で』
脚本賞   梶原阿貴                  『夜明けまでバス停で』
撮影賞   斉藤幸一        『とんび』
音楽賞   大島ミチル       『サバカン SABAKAN』
新人監督賞 川和田恵真       『マイスモールランド』
                  山﨑樹一郎               『やまぶき』
ワイルドバンチ賞          『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』     
                                                       監督:辻凪子  活動弁士:大森くみこ 

◆外国映画

監督賞   マイク・ミルズ     『カモン カモン』
主演男優賞 トム・クルーズ     『トップガン マーヴェリック』
主演女優賞 エミリア・ジョーンズ  『Coda コーダ あいのうた』
助演男優賞 トム・ハンクス     『エルヴィス』
助演女優賞 ケイト・ブランシェット 『ナイトメア・アリー』
 


(江口 由美)

 

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■日程:2023年2月12日 (日)
■時間:12:45~13:10※上映前舞台挨拶
■場所:TOHOシネマズ梅田 スクリーン1
■登壇者:中島裕翔様(Hey! Say! JUMP)、熊切和嘉監督



結婚式前夜のハイスぺ男、マンホールに落ちる。

そこは、人生のどん底だった―。

目にしたもの全てを疑え。予測不能の99分!!


熊切和嘉監督が、Hey! Say! JUMPの中島裕翔さんを主演に迎え、結婚式前夜にマンホールに落ちてしまった男の脱出劇を描く完全オリジナルストーリー『#マンホール』。「GPS不能」「2分に1度訪れるピンチの連続」「手元にあるのはスマホのみ」「つながるのは元カノとSNSのフォロワーたち」「タイムリミットは夜明けまで」極限状態の連続とつぶやき厳禁の衝撃の結末が待ち受ける話題作です。


#manhole-pos.jpgそんな本作の公開を記念し、2月12日(日)、大阪のTOHOシネマズ梅田で主演の中島裕翔さん、監督の熊切和嘉さんが登壇し、舞台挨拶を行いました。マスクを付けての声援が解禁になったこともあり、ふたりが登場すると会場は大きな声援に包まれました。まずは、日本一の規模を誇る劇場で満席の中の舞台挨拶ということで、中島さんが「こんなにたくさんの方に観ていただけて嬉しい」、大阪芸術大学出身の熊切監督は「学生時代に憧れていた大きな劇場で自分の映画を公開してもらえることが嬉しい」と語り、舞台挨拶は始まりました。


公開後のSNSでの反応について中島さんが「「今まで見たことのない僕がいた」と言ってくださる方や映画の巧妙な仕掛けに気づいてくださる方もいて、いろんな反応があって嬉しい」と喜びを語り、MCが監督にも話を振ると、代わって中島が「監督、SNS弱いんです」と暴露し、「でも、そんな監督がSNSを駆使する映画を作ったんです!」とフォロー。


また、ネタバレ厳禁となっている本作について中島さんは、「言えないことがいっぱいある」と前置きし、「伏線もたくさんあって、ネタバレできない。初めて観る方は、まずは身を委ねて、一緒にマンホールの中にいる閉塞感に包まれながら、主人公と苦しみながら観てほしい」と本作の魅力を熱弁していました。


#manhole-bu-240-1.jpgそして、マンホールの中というワンシュチエーションで物語が進むことについて中島さんは「ひとり芝居でワンシチュエーション。自分ひとりで画を持たせることができるか不安を感じていた」と言うと、熊切監督は「そもそもこの企画は中島くんじゃないと成立しないので、すごく助けられた」と中島さんを称賛。


エリートサラリーマンがマンホールに落ち、どんどん本性が露わになっていくという役柄について中島さんは「普通の人の方がいいと思った」と言い、「主人公の持つ、人からよく見られたいという意識は、僕らアイドルが常日頃活動する時に必要な要素でもあるので、共通点を感じた」そうで、「普段仕事をしている時の自分のまま、マンホールに落ちて毒されて変わっていく方が面白いと思ったので、特に役作りはしていない」と普段の自分のままで作品に取り組んだと語りました。


特に大変だったシーンを聞かれると中島さんは「泡のシーン」と即答。「撮る方もやる方も大変だった」と話すと、熊切監督も「二度とやりたくない」と心境を吐露し、ふたりで苦笑いするシーンも。続けて中島さんは「泡で初めて怖いと感じると思う」と観客に語りかけていました。熊切監督も「誰もやったことがないから正解がわからない。結局、現場でやってみるしかないので、泡の中で1分ぐらい息をとめてもらったり、中島くんは苦労されたと思う」と中島さんを思いやっていました。


#manhole-bu-240-2.jpg熊切監督の印象について聞かれると中島さんは会う前は「寡黙で、一見緊張感のある方なのかと思った」そうですが、「会ってみると、監督もおっしゃってくださいましたが、初めてお会いした気がしなくて、意気投合したと勝手に思ってます」とはにかみながら語ると、監督も「僕もそう思ってます」と仲の良さが伝わってきました。中島さんは、「映画に詳しい監督にいろんな映画を薦めてもらっている」そうで、熊切監督は「徐々に僕寄りになってきています」と笑わせました。


そんな中島さんの俳優としての魅力を監督に尋ねると「まず役に取り組む姿勢が素晴らしかった」と称賛し、「バランス感覚と身体能力の高さが抜群だったので、彼の動きのキレのおかげでカットを割れている部分もある」と絶賛していました。


大阪での舞台挨拶ということで、大阪と言えば思い出すことを聞かれると中島さんは「ひやしあめって知ってますか?」と会場に語りかけ、「ひやしあめが大好きなので、毎回、楽屋の冷蔵庫に入れてもらっています」と言い、「東京で見たことないので、ご当地のものだと思う」とコメントすると、会場はざわつき、全国区だと思っていた方が多いよう。すると中島さんは「ないないない」と否定し、「だからすごく新鮮で。しょうがとはちみつの甘い感じが喉にいい気がしていて。大阪公演の時は糖分補給として飲んでいます」と語りました。


一方、熊切監督が「インディアンカレーは好きです。ちょっとフルーティーな甘さがあるんだけど、後でめちゃめちゃ辛さがくる。癖になるんです」と魅力を語ると、中島さんは「うわ~。食べたい」と心の底から食べたそうなコメント。


また、本作がシリーズ化になったら?と尋ねられると中島さんは一瞬、戸惑った後に「一瞬、嫌な顔はしましたが、続編があるなら面白そう」と意気込み、次はどんなところに落ちてみたいか聞かれると「側溝」と即答。会場から大きな笑い声が起きると「良かった。関西の人に笑ってもらえた」と喜び、「皆さん、優しい。甘えてます」と観客に感謝していました。


最後に、熊切監督が「この作品にはいろんなスペクタクルな要素がありますが、中島くんの表情が最初と最後で全然違うので、彼の表情を楽しむ映画だと思います。最後まで存分に楽しんでいただけたら嬉しいです」、中島さんが「僕自身も自分の顔に驚きました。日本にはなかなかないタイプの映画なので、マニアックな映画が好きな人にも満足してもらえるはず。ぜひ、複数回観て伏線を探してほしいですし、ぜひ共犯者になってネタバレ厳禁を続けてほしい。協力よろしくお願いします」と作品をPRし、舞台挨拶は終了しました。
 


■監督:熊切和嘉 (『私の男』『海炭市叙景』)
■原案・脚本:岡田道尚 『マスカレード・ホテル』シリーズ『ライアーゲーム』シリーズ
■出演: 中島裕翔(Hey! Say! JUMP)、奈緒、永山絢斗ほか
■制作プロダクション:ツインズジャパン 製作幹事・配給:ギャガ
■2023 年/日本/シネスコ/ 5.1ch/99 分
■©2023 Gaga Corporation/J Storm Inc.
■公式サイト:映画『#マンホール』公式サイト (gaga.ne.jp)

2023年2月10日(金)~TOHOシネマズ 梅田、TOHOシネマズ なんば、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都、OSシネマズ 神戸ハーバーランド、TOHOシネマズ 西宮OS 他全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

 

 

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・日時:2023年2月4日(土)12:45~13:20

・場所:大阪ステーションシティシネマ

    (大阪市北区梅田3丁目1−3 ノースゲートビル 11F)

ゲスト:豊川悦司(主演)、田山涼成、河毛俊作監督(敬称略)



池波正太郎生誕100年となる2023年に、ベストセラー時代小説「仕掛人・藤枝梅安」シリーズを豊川悦司主演で映画化された。映画『仕掛人・藤枝梅安』第1作が2月3日に公開され、公開記念の舞台挨拶が前日の東京に続き大阪でも行われた。主演の豊川悦司をはじめ、河毛俊作監督、そして急遽登壇が決まった田山涼成が、上映後の観客を前に作品に込めた想いや出演者の印象についてなどを語った。


baian-550-1.jpgのサムネイル画像本作は、藤枝梅安の「仕掛人」としての暗殺稼業の活躍だけでなく、貴賤の別なく誰でも診る腕のいい鍼医者としての表の顔も余すところなく描いて魅力的だ。第一作では江戸を舞台に、楊枝職人の彦次郎(片岡愛之助)を相棒とする暗殺稼業のしくみや掟が紹介され、梅安の知られざる身の上話が基に物語が展開される。第一作のゲストは天海祐希、近年見たことのない息を呑むほどの妖艶な美しさに圧倒される。他にも薄幸ながらも梅安を慕う仲居役の菅野美穂に、鍼灸院で働く気のいい婆をコミカルに演じた高畑淳子など演技派が脇を固める。細部までこだわった作り手の技の高さが窺える本格時代劇の登場である。


baian-bu-toyokawa-240-1.JPGのサムネイル画像前日の東京は寒かったという豊川は、「大阪はあったかい!人も心も。僕はホームなんで何となく気が楽ですね。この映画を気にって下さるかどうか先ほどまで緊張していたのですが、こうして皆様のお顔を拝見して、多分大丈夫だったんじゃないかなぁと思います」。会場から拍手が起きる。「大阪はお客さんの反応が早い!」と大変ご満悦の様子。


前日まで京都で撮影をしていたという田山は、「急に舞台挨拶に出て!と言われて、“出たがり田山”としては嬉しくって飛んで参りました」と上機嫌。「素敵な映画だったでしょう?(拍手)私も出演しておりますが、ひとりの観客としてワクワクしながら観ました」。河毛監督は「数ある映画が上映されている中、この映画を選んで観に来て下さいまして本当に嬉しく思います。ありがとうございます!」と満席の観客を前に手応えを感じているようだった。


料亭のおかみ役の天海祐希の亭主役を演じた田山について豊川は、「田山さんと天海さんの二人のシーンが凄く好きで、コメディっぽいかもしれませんが、愛だけでは繋がらない男と女の切なさみたいなものが見えてきて、ジーンときました」。せっかく苦労して後妻にめとった美貌の妻なのに思い通りにならない亭主の辛さに同情気味。だが、物語は思わぬ方向へと展開していく…。


baian-bu-tayama-240-2.JPGそんな妖艶な役を演じた天海に対し田山は、「実は天海さんとは、僕が初めて携帯電話を持った時に、電話番号の交換をした初めての女優さんだったんです!」。すると豊川が「多分、本人はそれを覚えてないと思いますよ」(笑)。「初めはショートメールを交わしていたのですが、その後断ち切れて、…なんと今回、来ました!嬉しかったですね~!ところが、慌てて台本読んだら、ひどい目に遭うんですよ、僕の役は――」。


田山は天海の着物の衿元に手を入れるシーンを振り返り、「触っちゃいけないと思い遠慮がちにしていたら、どんどんやっちゃって!となんとオトコマエなお言葉を!?」。豊川も、「天海さんはそういう人です(笑)。実にオトコマエな人です!」。さらに田山は、「(天海は)妖艶でとても美しい方です。夜具が敷いてあると、もうドキドキでして…皆様、こういうドキドキがなければ芝居はやってられませんよ。とても楽しい現場でございました!」(笑)。その後の天海との通信を問われ、「あれっきりです。もう二度とないと思います」とうなだれる田山(笑)。


梅安に似ている点について訊かれた豊川は、「僕は梅安ほど強くはないので、毎日彦さんちへ遊びに行ってると思います(笑)。梅安は自分が抱えている矛盾や欠点などに対して、目を背けずにきちんと向き合おうとしているところが男らしいなと思います」。自身も向き合うタイプか訊かれ、「僕は下ばっかり向いてます」(笑)。


豊川の梅安について田山は、「色んな方の梅安を見てまいりましたが、豊川さんがぴったりです!見て下さい、この体つき!簡単に殺されちゃいますよ。それにこの冷たい眼差し!ぴったりだと思いませんか?」会場から拍手(笑)


baian-bu-kawage-240-1.JPG「人は悪いことをしながら、良いこともする」という池波正太郎の哲学について河毛監督は、「なんで今、梅安なんだ?と思われるかもしれませんが、“人は悪いことをしながらも良いこともする”、人間というものはどこかに矛盾を抱えているグレーな生き物です。それは大人になればなるほど、長く生きれば生きるほど、そういう面を抱えつつ、それでも生きて行かなければならない。その中で生きる愉しみをわずかに見つけては日々過ごしていく。昨今のネット社会における善悪をはっきり切り分けようとする傾向があるが、グレーな部分を抱えながらも何とか折り合いをつけて生きていく――今の時代に問いかけてくるものがあるなと思います」。


さらに仕掛人について河毛監督は、「ダークヒーローものとして梅安を見た時に、単に悪い人をやっつける正義の人だという顔を絶対に梅安も彦次郎もしていない。どこかで、いつかは自分も同じような死に方をしていくんだろうな、という苦いものを抱えつつ、それでも自分がした行為によって、わずかながらでも誰かが救われたり、失われた魂が報われたりすればいいという凄い謙虚なダークヒーローなんですよね。そういうところに池波先生の哲学があって、そこを意識してこの映画を作りました」。


ダークヒーローについて豊川は、「人は昔も今もさほど変わっていないと思いますが、コミュニケーションについては全く違っています。人と人がちゃんと向き合って、手の届く範囲で体温がまだ感じられるような距離感で話をしたり、一緒に行動したりすることはもの凄く大事なことだなと改めて思いました。SNSなどの繋がりだけでは支障が出てきていることを考えると、“向き合う姿勢”が今必要なことだと思います」。時代劇であっても現代にも通じる大切なことが表現されているようだ。


baian-500-2.jpgお気に入りのシーンについて豊川は、「今の風景とは違う江戸時代の風景ですね。江戸の街並みや京都鴨川の風景など中々他の映画では見られない風景を、監督を始めスタッフの方々がもの凄くこだわって作っておられます」。田山は、「はっきりとした輪郭の登場人物が登場してきますが、それらを監督は俯瞰で捉えておられます。映像化した時にわかる音楽や絶妙なカット割りや色彩映像など、子供の頃に観た時代劇とは違う視点で楽しめると思います」。


こだわったシーンについて河毛監督は、「特別意識したのは“光と影”です。様々な浮世絵から想像して、多分あの時代の人々が見ていたであろう街の灯りや、座敷奥にわずかに届く太陽の光など、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』を読み直して、文学的な人の光と影を意識して作りました。それらが気持ちよく仕上がっていると思いますので、もう一度観て頂けるなら、非日常の世界で心が遊べるようなひと時を過ごせると思います。もし気に入って頂けたなら、他の方にもおススメ頂けると嬉しいです」。その他にも、俳優陣の細やかな演技にも注目して観るとより奥深さを感じられ、観る度に新しい発見ができるという。


baian-bu-toyokawa-240-2.JPGこれからご覧になるお客様へメッセージをと振られた豊川は、「僕がとやかく言うよりは、今日ご覧頂いたお客様に聞いて頂いた方がより分かりやすいかと。ご家族やお友達などにおススメ頂けたら嬉しいです。それから、タイトルロールの後もご覧になりましたか?椎名桔平が登場してまいります。4月7日に公開される第二作では、梅安と彦さんが旅をしながらいろんな事件に巻き込まれて、第一作とはまた違った面白さでお楽しみ頂けると思います。第二作も是非ご覧下さい。よろしくお願いいたします」。


河毛監督からは、「今日はご覧頂きまして本当にありがとうございました。沢山の映画が公開されている中でこの映画を選んで観に来て下さったことがとても嬉しいです。多くの方に、できれば“面白いよ”とおススメ頂けるとこんな嬉しいことはありません。どうかよろしくお願いいたします」。本格時代劇の作り手のこだわりがいっぱい詰まった河毛監督の言葉や、演技派俳優陣の熱量がひしひしと伝わる魅力ある舞台挨拶となった。


(河田 真喜子)


映画『仕掛人・藤枝梅安』

【ストーリー】〈第一作〉
江戸の郊外、品川台町に住む鍼医者の藤枝梅安(豊川悦司)にはふたつの顔があった。腕の良い鍼医者の表の顔と、“蔓(つる)”と呼ばれる裏稼業の元締から金をもらって、生かしておいては為にならない奴らを闇に葬る冷酷な“仕掛人”の裏の顔だ。

ある晩、同じ仕掛人で表向きは楊枝作りの職人・彦次郎(片岡愛之助)の家に泊まった梅安は、帰り道、浪人・石川友五郎(早乙女太一)が刺客を切り捨てる場面を目撃する。刺客が死んだことを確かめ、医者が出る幕ではないと悠然と立ち去る梅安。

その日のうちに蔓である羽沢の嘉兵衛(柳葉敏郎)から料理屋・万七の内儀・おみの(天海祐希)の仕掛を依頼される。三年前、万七の前の女房・おしずを仕掛けたのは他ならぬ梅安だった。梅安は万七の女中・おもん(菅野美穂)と深い仲になり、店の内情を聞き出す。おしずの死後、水茶屋にいたおみのが店の主・善四郎(田山涼成)の後妻となってから、古参の奉公人たちが次々と去り、店の評判は落ちる一方だが、儲けだけはあるという。おみのが店に見栄えのいい娘を女中として雇い入れ、客をとらせていたのだ。おしず殺しの依頼人はおみのなのか殺しの起り依頼人の身元を探るのは、仕掛人の掟に反すると知りながら、梅安は三年前のいきさつを知りたいと動き始めた。ある日、梅安は料理屋を訪ね、仕掛の標的である内儀・おみのの顔を見て息を呑む。それは梅安に暗い身の上を思い出させる対面だった――。
 



■出演:豊川悦司 片岡愛之助 菅野美穂 小野了 高畑淳子 小林薫
・第一作ゲスト:早乙女太一 柳葉敏郎 天海祐希
・第二作ゲスト:一ノ瀬颯 椎名桔平 佐藤浩市
■原作:池波正太郎『仕掛人・藤枝梅安』(講談社文庫刊)
■監督:河毛俊作  脚本:大森寿美男  音楽:川井憲次
■上映時間:第一作:134分/第二作:119分
■配給:イオンエンターテイメント
■ⓒ「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社

映画公式サイト:baian-movie.com

【第一作】 2023年2月3日(金)~ 【第二作】4月7日(金)~全国公開


   

 


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nacchan-pos.jpg数多くのドラマや映画の話題作に出演する実力派俳優、滝藤賢一の映画初主演作となる『ひみつのなっちゃん。』が、2023年1月13日(金)より大阪ステーションシネマ他にて全国公開となりました。


本作は大切な友人なっちゃんの死をきっかけに集まった3人のドラァグクイーン、バージン(滝藤賢一)、モリリン(渡部秀)、ズブ子(前野朋哉)が、なっちゃんが<オネエ>であることを知らない母・恵子(松原智恵子)のため、ふつうのおじさんとしてお葬式に参列するまでの珍道中を、温かな笑いと素直な涙で彩るハートフル・ロードムービー。これが初監督・脚本作となる田中和次朗がメガホンをとり、完全オリジナル脚本で令和の日本でドラァグクイーンたちが本当の”美しさ”を見つける旅を描きます。


1月22日(日)になんばパークスシネマにて滝藤賢一、渡部秀、そして田中和次朗監督による公開記念舞台挨拶を実施しました。
 


■1月22日 (日)18:10~18:40

■場所:なんばパークスシネマ

■登壇者:滝藤賢一、渡部秀、田中和次朗監督



nacchan-bu-550-2.jpg1月13日(金)より公開中の映画『ひみつのなっちゃん。』の公開記念舞台挨拶がここ関西の3劇場で開催されました。MOVIX京都、大阪ステーションシティシネマ、そしてラストのなんばパークスシネマに滝藤賢一、渡部秀、田中和次朗監督が観客の大拍手に迎えられ登場!


滝藤さんの最初の挨拶で「コロナ禍の厳しい中で企画がはじまり、当時は撮影も延期となっていた映画です。皆さんに映画をお届けできるのは幸せです。」と感慨深くコメントをした。渡部さんは、「今日一日、京都から始まり、いよいよここがラストなりました。ここまで走って来れたのも皆様のおかげです。」と、真面目にコメント。その後の田中監督は「愛欲ズブ子役の前野朋哉さんみたいな雰囲気を出している田中和次朗です」と自己紹介で笑いをとり、場を盛り上げた。また滝藤さんが、京都からの移動で京阪電車やJ R環状線に乗ったことにふれ、渡部くんはファンに声をかけられたけど、自分は誰にも気づいてもらえなかったと、残念がる場面もあった。


観客からの質問コーナーで、「オネエなのに男性らしく見せるシーンがよかった」という感想に、滝藤さんは「あのシーンは、男に戻ればいいということではなくて、自分は男なんだけど、オネエを演じていて、そのオネエが男を演じなくてはならないのが大変だった」と語った。


最後に滝藤さんが「ロビーにたくさんのお客さんがいて、とても嬉しかった。いろんな映画が上映されている中で“ひみつのなっちゃん。”を選んでくれてありがとうございます。心が穏やかな気持ちになるとても優しい映画です。ぜひ皆さんで盛り上げていただけると嬉しいです」語った。
 


『ひみつのなっちゃん。』

 

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【ストーリー】

ある夏の夜、なっちゃんが死んだ。つまらない冗談を言っては「笑いなさいよ!」と一人でツッコミを入れていた なっちゃんは、新宿二丁目で食事処を営むママ。

その店で働くモリリンはドラァグクイーン仲間のバージンとズブ子を呼び出す。彼らがまず考えたのは なっちゃんが家族にオネエであることをカミングアウトしていなかったこと。証拠を隠すため なっちゃんの自宅に侵入した3人は、なっちゃんの母・恵子と出くわしてしまう。何とかその場を取り繕った彼らだが、恵子から岐阜県郡上市の実家で行われる葬儀に誘われてしまい、なっちゃんの“ひみつ”を隠し通すため”普通のおじさん”に扮し、一路郡上八幡へ向かうことになる……。

 

■出演:滝藤賢一 渡部 秀 前野朋哉  カンニング竹山 豊本明長 本多 力 岩永洋昭 永田 薫 市ノ瀬アオ(821) アンジェリカ 生稲晃子 菅原大吉 ・ 本田博太郎 松原智恵子
■脚本・監督:田中和次朗
■主題歌:「ないしょダンス」渋谷すばる
■製作:東映ビデオ 丸壱動画 TOKYO MX 岐阜新聞映画部
■ロケ協力:岐阜県郡上市 ドラァグクイーン監修:エスムラルダ
■配給:ラビットハウス 丸壱動画  
■©2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会
■公式サイト:himitsuno-nacchan.com 
■公式twitter:@HimitsuNacchan 

大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、他にて絶賛公開中


(オフィシャル・レポートより)

 


■日時:1月13日 (金) 18:00~18:30

■会場:大阪ステーションシティシネマ SC②
(大阪市北区梅田3丁目1番3号ノースゲートビル11F)

■登壇者:阿部サダヲ 上戸彩 本木克英(敬称略)


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「金か、魂か」――

悪魔に魂を売り渡して外道を歩くか、悔悟の憂いなく王道を歩くか?

 

豪華なキャストの競演に、メガバンクの小さな支店で起きた巨額融資の焦付きを末端の社員が真相究明していく面白さ、詐欺のカラクリからリベンジに至るまで、ハラハラドキドキしながら楽しめる痛快作『シャイロックの子供たち』が2月17日(金)から全国公開される。


shylock-pos-240-1.JPG池井戸潤の小説『シャイロックの子供たち』(文春文庫)は、「ぼくの小説の書き方を決定づけた記念碑的な一冊」と原作者自身が明言。原点にして最高峰とも言え、池井戸潤のファンには堪らない原作の映画化だが、小説と展開が異なり、独自のキャラクター西木(阿部サダヲ)や沢崎(柄本明)が登場する完全オリジナルストーリーとなっている。


「ちょっと拝借しても返せばいい」と軽い気持ちで横領したことや、大金を目の前にして「魔が差す」こともあるだろう。だが、その前に踏み止まれるかどうかでその後の人生が一変する。身近な存在の小さな銀行支店を舞台に、キャリアを利用した顧客との癒着や、人生を大きく狂わせるお金の誘惑など、お金のために悪魔に魂を売り渡すのか、否か――まさにシェイクスピアの『ベニスの商人』に登場するシャイロックに象徴される究極の選択を、観る側の良心をも問い質していく普遍的アプローチで迫る痛快エンタテイメント作品である。


この度2月17日(金)の全国公開を前に 阿部サダヲ・上戸彩・本木克英監督登壇の舞台挨拶付き試写会が大阪ステーションシティシネマで開催された。大阪では1回限りの試写会となり、12倍の倍率で選ばれた幸運な250名の観客を前に、作品への想いや撮影時の裏話などをたっぷりと語ってくれた。また、「金か、魂か。」という本作のキャッチコピーに因んで、大阪ならではの《大阪どっちやねん?クイズ》にも挑戦!ゲストのキャラがさらけ出される思わぬ回答に場内も大盛り上がり!
 


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〈以下は、舞台挨拶の全容です〉

――最初のご挨拶。

阿部:雨の中お越し下さいましてありがとうございます。大阪はいつも暖かい声援を…あっ出しちゃいけないんだ?もう出してもいいのにね~(スタッフに目を遣り)ダメ?

上戸:7年ぶりの大阪になるみたいですが(自分では覚えてない!?)、大阪の方はいつもなら気さくに話し掛けて下さるのですが、ちょっと寂しいですね~今日は最後までお楽しみ下さいね。

本木監督:今日お越しの皆さんは大変な倍率を運良く引き当ててお越し頂いていると聞いております。その運をどうかこの映画の大ヒットにあてて頂きたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。


MC:250人のお客様にお出で頂いておりますが、実は3000人の応募がありました。皆さん、めちゃめちゃラッキー!!!(拍手!)しかも、大阪での試写会は1回だけで、後は公開を待つしかないんですよ。皆さん宣伝隊としてご活躍頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。


MC:阿部さんと上戸さんは初共演ということですが、阿部さんからご覧になった上戸さんは如何でしたか?

 

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阿部:元々素敵な方じゃないですか、見て“#$%&‘るように…(ろれつ回らず)

上戸:カミカミじゃないですか~?アベサダヲも言えてませんでしたよ!(笑)

阿部:お綺麗だし、こうして素敵なフォローもしてくれるし、優しいね~(バツわるそうに)。実はそういうシーンもあるんですよ。

上戸:そうなんですね、阿部さんが甘噛みしてはごまかしてるシーンもいくつかあるので是非見つけて下さい。(笑)

阿部:あるでしょう?誰だって!世の中のサラリーマン全員が滑舌いい訳じゃないですから――(笑)。


MC:上戸さんからご覧になった阿部さんは?

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上戸:阿部さんが色んな役を演じて来られたのを拝見してきましたので、阿部さんが主役と聞いて「是非出演したい!」と嬉しくて、やっと共演できると楽しみでなりませんでした。現場でもブラックジョークを交えつつ盛り上げて下さり、とても楽しく演じることができました。大好きな役者さんです!

阿部:そう言って頂けて僕も嬉しいです。

上戸:こうして久しぶりにキャンペーンでお会いできてとても嬉しくて、いつLINEを交換してくれるかな…と?

MC:上戸さんがそう仰ってますが…?

阿部:上戸さんは岡村隆史さんと仲良くてよく食事に行ってるという話を聞いて、ちょっとモエました。僕と岡村さんは同じ歳なので、ちょっとライバル心を燃やしてしまいました(笑)。

MC:そういったお話は控室でして頂いて、そろそろ映画のお話に戻ろうかと…(笑)

こんな素敵なお二人ですが、本木監督からご覧になって如何でしたか?

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本木監督:二人には何も言うことはなかったです。1年3か月前もマスクにフェイスシールドをしていて、本番の時だけ外してもらっていたので、「あっ阿部サダヲだ!上戸彩だ!」と舞い上がったまんま撮影が終わっちゃったんです。二人に何も言う暇なかったです(笑)。

阿部:舞い上がってたんですか?

本木監督:はい!

上戸:何も言われないんで、「大丈夫かな?」と思いながら演じてました。

阿部:いろんな表情が出てきますので、ご堪能頂きたいです。


MC:池井戸潤原作ですが、意外にも阿部さんは池井戸作品への出演は初めてなんですってね?

 

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阿部:はい、初めての出演ですが、実は小説を読んだのも始めてでした(笑)。『半沢直樹』などTVドラマは観ていたんですが、「熱い!」というイメージだったので、僕に声は掛からないだろうと勝手に思ってたので、お話頂いた時にはびっくりして、慌てて小説を読んだ次第です。しかも、原作では僕の役はあまり登場しなくて、途中でいなくなるんですよ~。ですから、原作を読んでおられる方はびっくりしないで下さいね。

MC:主役ですからね!

上戸:初のオリジナルストーリーらしいんです。いくつもの脚本が出来てきて、阿部さんの西木という役は最初原作寄りだと途中で居なくなっちゃうんですが、最終稿でいきなり出番が増えて、西木(阿部サダヲ)と私と玉ちゃん(玉森裕太)の3人で事件を解決していくという物語になっていて、びっくり!でも、阿部さんとのシーンがいっぱいあって嬉しかったです!


MC:上戸さんは池井戸作品をどう思っていらっしゃるんですか?

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上戸:「熱い!」気付いたら自分も没頭して、一緒に「倍返しだ!」と思えちゃう感じです。今回の役は、追い込まれたり同僚に目を付けられたりするんですが、終わりの頃には、「自分だったらどうするんだろう?魂をとるか、お金に揺れないかな?」と色々考えちゃいました。


MC:本木監督は、完全なオリジナル脚本になっていますが、原作やドラマがあるのでかなりプレッシャーだったのでは?

本木監督:あまりにも多くの脚本ができてしまったがために、これが果たして本当に面白いんだろうかという気持ちになりました。現場でもそれを引き摺りながら、手探りで、皆さんのお芝居と共に何とか面白いものになるようにと努めました。池井戸さん自身が相当入れこまれた原作の脚本作りでしたので、それなりに面白いものになって皆様にお届けできるかなと思っております。


MC:沢山の出演者の方が登場して、観ている側も思わず興奮してしまいましたが、柄本明さんや橋爪功さんなどのベテランの方との共演は如何でしたか?

阿部:緊張感はありました。二人とも凄い演技をされて、「お芝居ってこんなに面白いんだ!」と改めて感じることも多くて、とてもいい勉強になりました。「こんな時そういう顔をするんだ~」とか、柄本さんも原作にはないキャラクターなんですけど、「そうきたか~」とかホントいい勉強になりました。お二人ともセリフにはないところで闘ってるな、という感じがしました。

MC:「セリフではないところで闘ってる」って、どういうことなんでしょうか?

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阿部:柄本明、橋爪功、とそのバックにある劇団「東京乾電池」!「円企画」!といった劇団同士が闘ってるみたいな、看板が闘ってるみたいな感じです。「うん?大人計画?」みたいな目で見られたり、そういう感じのイメージもあって、「一世風靡セピア?」とかいろんな人がいて、「この人銀行の偉い人演じてるけど、ジョニーって呼ばれてるんだ~」って、柳葉さんのことですけど(笑)そういうのが面白くて、やっててとっても楽しかったです。


MC:上戸さんご自身はベテラン勢の方々との共演は如何でしたか?

上戸:『半沢直樹』もそうなんですが、男性陣のバチバチのシーンには一切かかわってないんです。今回は阿部さんと柄本さんにちょっとかかわった位で、柄本さんは呼吸でお芝居をするというか、絶対に同じ芝居をされないです。間合いも毎回違うところでされるので、ワクワクドキドキさせられるお芝居を目の前で拝見できて嬉しかったです。


MC:木本監督ご自身も楽しんでおられたのですか?

本木監督:はい、楽しかったですよ。皆さん、それぞれ違うお芝居をされますしね。柄本さんに関しては「やり過ぎじゃないか?」という心配は常にあったんですが、結果見たら「ああ、これで良かったんだ」と思いました。

MC:今回はベテランの方から新しい方まで、全部にそれぞれの見所があって、またそれぞれに裏があって、本当に面白い作品になっておりますので、このあとご覧になるのを楽しみにして頂きたいと思います。
 



MC:さあ、今日はせっかく大阪に来て頂いておりますので、大阪に因んだゲームをして頂こうと思います。映画のテーマにもなっております「金か魂か」の究極の選択に因んで、≪大阪どっちやねんクイズ≫!

MC:第一問:大阪の観光名所といえば、「ユニバーサルスタジオ・ジャパン」か、「通天閣」か、どっち?

阿部:ユニバーサルスタジオ・ジャパン!随分長いこと行ってませんが、最近凄いことになってませんか?僕が行った頃は、E.Tが「ありがとう~」って名前呼んでくれるだけ嬉しかったんですが。

上戸:私もUSJですね。ゾンビのシーズンやスパイダーマンなどで遊んでました。

本木監督:通天閣です!京都で時代劇を撮ってた頃によく大阪に遊びに来てまして、通天閣あたりでよく飲んでました。通天閣頑張れ!って気持ちを込めて応援したいと思います。

MC:この映画がヒットしたら、是非続編は「通天閣支店」を舞台に撮って頂きたいと思いますが?

本木監督:「USJ支店」というよりリアリティがあって面白そうですね(笑)


MC:第二問:大阪人の口癖は、「知らんけど」か「行けたら行くわ」のどっち?

阿部:「知らんけど」。

上戸:「行けたら行くわ」。関西出身のスタッフさんが多いのですが、「にぎやかし」というか「その気にさせて行かんのかい!?」という感じでガックリすることもありますからね。

本木監督:「知らんけど」。


MC:第三問:もし漫才師になるとしたら、「ボケ」か「ツッコミ」のどっち?

阿部:「ボケ」。

上戸:「ツッコミ」。

本木監督:「ボケ」。上戸さんみたいに上手くツッコめないんですよ。

阿部:僕はツッコまれたい方なんで。何でもツッコまれたい!(笑)。

上戸:ボケの方が覚えなきゃいけないセリフが多そうだな、という理由です。


――最後のご挨拶。

阿部:まだ公開まで1か月あるのですが、観られた方の感想をお聴きすると、「笑えるし、泣ける」という感想を頂いています。池井戸潤さんの作品だと「熱い!」というイメージがあるのですが、手に汗握りながらワクワクしながら観られた方も多くいらしたようです。お客様のお気持ちを盛り上げて元気になって帰って頂けるのかなと思っております。今朝浜村淳さんの番組に出させて頂いたのですが、今日はまだ1月13日なのに、「今年一番の映画だ!」と言われました(笑)。その1番をずっと継続できるよう、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 


【STORY】
shylock-pos-240-3.jpg  ベテランのお客様係の西木(阿部サダヲ)が務める東京第一銀行の小さな支店では、今日も新規融資顧客の獲得に厳しいハッパが掛けられていた。そんな中、赴任間もない滝野(佐藤隆太)が好成績を上げ、支店長・九条(柳葉敏郎)や超パワハラ上司の副支店長・古川(杉本哲太)からも期待されていた。その滝野に前任支店からの顧客・石本(橋爪功)から10億という巨額の融資依頼が来る。支店長自ら出向いて契約に至るが、しばらくして支店内で100万円紛失事件が起こる。西木は窓口業務の愛理(上戸彩)やお客様係の田端(玉森裕太)とともに事件の真相を探っていくと、なんと巨額融資が不良債権になるというとんでもない事態に…。本店の検査部次長の黒田(佐々木蔵之介)による査察が入るが、果たしてメガバンクの支店で起きたこの大事件の顛末とは?


■原作:池井戸潤『シャイロックの子供たち』(文春文庫)
■監督:本木克英  ■脚本:ツバキミチオ 
■音楽:安川午朗 
■主題歌:エレファントカシマシ「yes. I. do」(ユニバーサルシグマ)
■主演:阿部サダヲ、上戸彩、玉森裕太、柳葉敏郎、杉本哲太、佐藤隆太、柄本明、橋爪功、佐々木蔵之介 ほか
■製作:映画「シャイロックの子供たち」製作委員会
■配給:松竹
■公式サイト: movies.shochiku.co.jp/shylock-movie/ 
■公式Twitter :
@shylock_film
© 2023映画「シャイロックの子供たち」製作委員会 

2023年2月17日(金)~全国公開!


(河田 真喜子)

 

 

 

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【元カノ】松本穂香×【今カノ】玉城ティナ×【カレ】渡邊圭祐。映画『恋のいばら』が、昨日1月6日(金)、ついに全国公開いたしました!

本作は、一人の男性を巡る元カノと今カノによるいびつな三角関係を描き、突然恋人に振られた主人公が、彼の今カノに"ある秘密"の共犯関係を持ち掛けたことからストーリーが展開。現在47歳にして、これまでに100作以上を監督する、現在の日本映画界に於いて最も多作かつ話題作を提供し続ける城定秀夫監督の最新作となります。


2023年1月7日(土)にTOHOシネマズ日比谷 スクリーン12にて、公開記念舞台挨拶を開催。松本穂香、玉城ティナ、渡邊圭祐、城定秀夫監督が登壇し、公開を迎えた喜びとともに、東京大神宮の恋みくじに挑戦!少々強烈な神様からのメッセージに、大盛り上がりの舞台挨拶となりました。


日程:1月7日(土)
実施時間:12:00~12:30 
会場:TOHOシネマズ 日比谷 スクリーン12
   (東京都千代田区有楽町1-1-3 東京宝塚ビル地下1階)
参加者(敬称略)松本穂香、玉城ティナ、渡邊圭祐、城定秀夫監督



koinoibara-bu-1.7-240-matsu.JPG映画上映後、大勢の観客の前に立った松本は「皆さん、明けましておめでとうございます。無事、初日を迎えることができて、すごくホッとした気持ちもありつつ、今は皆さんご覧になられたということで、どういう感想をお持ちになられたかなというドキドキもあり、今日は短い時間ですが楽しんでいただければなと思います」とあいさつ。


続く玉城が「皆さん、明けましておめでとうございます。今年、映画館に来るのが初めてという方も多いと思いますが、そんな中でこの作品を新年の一作目に選んでいただいた人もいらっしゃると思います。こうやって皆さまのお顔を見て舞台あいさつができること、すごくうれしく思っております」と晴れやかな笑顔を見せた。


渡邊が「新年が明けて、初めての土曜日にこの映画を選んでくださって、本当にありがとうございます。上映後ということで、短い時間ではありますが、少しでも(自身が演じる)健太朗のことを好きになって帰っていただけるよう、温かい目でよろしくお願いします!」とあいさつし、会場を沸かせた。


koinoibara-bu-1.7-240-tama.JPG松本と玉城は本作が本格的に共演するのは初めてとなる。「本当に面白い方だなと。結局どういう方なんだろうというのが、いまだにつかみきれないところがあって。お会いするたびに新しい一面が見られるので、とりこになっています」と松本が語ると、玉城は「ありがとうございます」と笑顔。


一方の玉城は「わたしに興味を持ってくれるのかなと思っていて。現場で仲が悪くなったらどうしようと心配していたんですけど、でも感覚の温度感みたいなものがわりと近いので。そういうところがとても、話してて分かるなと、理解できる部分も大きかったですし、共演する前の作品も観ていたので、そこはもちろん頼りにさせていただいていました」と息の合った様子を見せた。

 

koinoibara-bu-1.7-240-watanabe.JPG渡邊演じる健太朗は、無邪気にすぐ女性に手を出す役柄。そんなキャラクターを演じるにあたり、「僕の中では、めちゃくちゃ子どもっぽい子で。出す言葉に悪意がないというか、根っこの部分はすごくピュアで。その好奇心から言葉が出てしまっているだけで。そこを原動力にいろいろなことをやっている」と解釈したという渡邊。城定監督も「ちょっとひと言でいうのはあれですが、僕は三人ともちょっとおかしな人たちだなというところから入って。ただどの人に肩入れするということもなく。平等に、フラットな目線で、この物語と、関係性を描けたらいいなという思いがありましたね。だからちょっと健太朗にも優しいというところがあります」と振り返った。


そしてこの日は縁結びの神社として人気の東京大神宮から恋みくじを取り寄せ、登壇者たち全員で運試しをすることに。まず松本が引いたのが「中吉」。「書いてあることがすごいんですけど…」と笑う松本は、「強烈な二人の愛は最高潮に達し、永遠を求めるけれど、長続きはしないかも知れません。嫉妬や快楽に狂わないで、心を平静にして、真実の愛に目覚め新しい人を選べば限りない幸福が得られます」とおみくじの文言を読み上げ、会場は大笑い。さらに「快楽に狂わないように…」と反すうする松本の言葉に、会場も大いに沸いた。


koinoibara-bu-1.7-500-tama-matsu.JPG続いて玉城が引いたのは「吉」。「なんか書いてあることは良くないです」と顔をくもらせた玉城は、「夜も日もなく恋い焦がれても高嶺の花です。しかし恨んではいけません。思い切って諦めなさい。この切なく苦しい思いを祈る心に変えて神様におすがりしなさい。必ず相応しいよい人に廻り逢えます」と読み上げるも、「え? 神様におすがりする?」と戸惑いを隠せない様子の玉城だったが、「おすがりするといいということなので、今年は神社にいっぱい行こうかな」と笑ってみせた。


そして渡邊が引いたのが「中吉」。「灯の木陰にささやき合った恋なのに枯葉が散って行くように淋しく消えてしまう様な運勢です。もっと積極的につき進んで愛情を捧げましょう。そうすれば愛をつなぎとめることが出来ます」と読み上げた渡邊は、「ほかにも、待ち合わせは街中の静かに対話のできる喫茶店が良いと書いてあるんで、水瓶座か双子座のB型かO型で、2つ年の離れた人と喫茶店に行きます」と具体的な内容を挙げつつ、笑顔で今年の意気込みを語った。


koinoibara-bu-1.7-240-DI.JPG一方の城定監督は「小吉」。そこには「数学と英語の復習を必ずやりましょう」と書かれていたとのことで、「いまさら」と笑ってみせた城定監督だった。


そんな大盛り上がりのイベントもいよいよ終盤。最後に松本が「年が明けてすぐに、こんなにたくさんのお客さまの前に立って、刺激を受けましたし、うれしい気持ちでいっぱいです。この映画を観て、少しでも刺さるものがあったら、ぜひともお友だちに勧めていただいたり、感想をSNSに投稿していただけたらわたしたちもとてもうれしいので。ぜひよろしくお願いします」とメッセージを送った。
 


【STORY】

私が恋したカレには、「今カノ」がいる。どうしてもカレを取り戻したいから、今カノをインスタで特定。ただ、知りたいだけだった。


koinoibara-pos.jpg24歳の桃は、最近、健太朗にフラれ、関係が終わったばかり。健太朗のインスタを見ていると、どうやら新しい恋人ができたらしい。桃は、そこから今カノ・莉子のインスタを発見。インスタを頼りに莉子を特定し、直接会いに行ってしまう。そして莉子と対峙した桃は、ある“秘密の共犯”を持ちかける。「リベンジポルノって知っていますか?」「健太朗のパソコンに保存されている自分の写真を消して欲しい」と。最初は相手にしない莉子だったが、徐々に自分も被害に遭うかもしれないと、不安を覚え始める。そして・・・。

図書館で勤務していて、地味な桃。ダンサーで、桃と同い年ながら、桃とは対照的にイマドキの洗練された莉子。カメラマンで、無邪気にすぐ女性に手を出す健太朗。ふたりの女とひとりの男の甘くて危険な三角関係が始まる――。


■監督:城定秀夫  脚本:澤井香織 城定秀夫
■出演:松本穂香 玉城ティナ 渡邊圭祐 中島 歩 北向珠夕 吉田ウーロン太 吉岡睦雄 不破万作 阪田マサノブ 片岡礼子 白川和子 ほか
■企画・制作プロダクション:アンリコ
■製作幹事・配給:パルコ  宣伝:FINOR
■音楽:ゲイリー芦屋  主題歌:chilldspot 「get high」
■©2023「恋のいばら」製作委員会
■公式サイト:koinoibara.com
■Twitter:koibara_movie
■Instagram:@koinoibara_movie2023
■TikTok:koibara_movie

2023年1月6日(金)~TOHO シネマズ日比谷、渋谷シネクイント他全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

 
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 役所広司、吉沢亮が初共演を果たし、オーディションで選ばれた在日ブラジル人キャストと共に、さまざまな違いを超えて家族を作ろうとする人たちを壮大なスケールで描くヒューマンドラマ『ファミリア』が、2023年1月6日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、kino cinéma 神戸国際、MOVIX京都他全国ロードショーされる。
  監督は、『八日目の蟬』『ソロモンの偽証』2部作の成島出。いながききよたかが、自分にとって身近な題材や実際に起きた事件を取り入れたオリジナル脚本をもとに、ジャパニーズドリームを求めて日本に渡り、リーマンショック後の不景気と日常的な差別を体験している日系ブラジル人と、中でも若者たちが晒される暴力をリアルに描写。ある出来事をきっかけに彼らの隣町に住む、主人公、誠治(役所)との距離が近づく様子は、まるで現実と地続きのようだ。家族の愛を知らずに育ち、妻亡き後、陶芸の仕事に打ち込む誠治誠司と、海外の赴任先で出会った難民の女性、ナディアと結婚する息子、学(吉沢)の、それぞれが考える幸せの違いがもたらす悲劇を超えて、誠治が踏み出す先にあるのは何なのか。ブラジル人コミュニティーに憎悪を募らせる半グレ集団のリーダー役を演じるMIYAVI、誠治と同じ施設で育った友人を演じる佐藤浩市らの熱演にも注目したい。本作の成島出監督にお話を伺った。
 

――――最初、脚本家のいながききよたかさんのプロットを読んだとき、印象深かった点を教えていただけますか。
成島:このような題材ですから、ドキュメンタリーではないけれど、すごくリアルなものを目指したし、ちょっとネット検索をしたら出てくるようなことがベースになっているのではなく、いながきさんのシナリオは全て彼の身近で実際にあった出来事を描いていたのです。最初はアルジェリアの出来事を入れる必要はあるのかという気持ちもありましたが、いながきさんの日揮に勤めている知り合いが実際に事件に巻き込まれ、そのご友人が亡くなられたそうです。その距離感で知り合いが亡くなるということは、今のグローバル社会では作り話ではなく起きうることであるという認識のもと、プロットにあるものを全て使うことに決めました。
 
 
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■暴力の恐怖をリアリティーのある痛みとして表現する

――――親の愛を知らずに育った主人公誠治と息子の学や、学とアルジェリアで知り合った妻ナディア、ブラジル人コミュニティーで暮らすマルコスなど、様々な家族の関係を描くにあたり腐心したことは?
成島:最初に希望を描くと決め、そこから希望の逆算として、どれだけ現実が厳しいのかを描いていきました。例えば両親を空爆で亡くし、故郷もなく難民キャンプにいたナディアが学と出会い、日本で新しい家族を作ろうとする形で希望を提示していますし、今回は暴力描写をしっかりと描いています。嘘っぽい希望にしたくなかったので、痛みや傷、差別、分断、テロなど暴力の恐怖をリアリティーのある表現にしたかったのです。
 
――――冒頭、ブラジル人コミュニティーの象徴となる団地が映ってからのワンシーンワンカットは圧巻でした。
成島:この作品ではマルコスらが住む団地が主役なので、まずは主役の顔から入る形にしました。実際に夜の仕事から帰ってきた女性たちを乗せたバンと、朝、工場に出発するバンが交差している場所です。子どもたちは学校に向かい、夜勤から帰ってくる労働者もいる。そんな情景を、軍艦島のようにちょっと異様な造形の団地と共に収めています。それだけではなく、役所広司さんが演じる誠治が運転するトラックがそれらのバンの横を通り過ぎていきます。いつもその道を通っているけれど、誠治はそのブラジル人コミュニティーに決して接触することなく、暮らしていた男で、それらすべてをワンカットで撮ろうとしたシーンです。
 
 
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■役所さんに渡した「誠治の人生表」

――――日頃すれ違うだけの関係であることが一目でわかる名シーンですね。養護施設で育った誠治は、親子関係をどう構築するのか悩みながら、黙々と陶芸に打ち込む男ですが、演じた役所さんとはどんな話をされたのですか。
成島:役所さんとは長く仕事をしているので、具体的なことを細かくは言いません。誠治の生い立ちや、養護施設時代、中学、高校時代にグレた経緯や初恋のこと、妻との出会いや、どのようにして妻を亡くしてしまったのか、残された一人息子の学とどのように暮らしてきたのか、室井滋さんと中原丈雄さんが演じる金本夫妻にどのように助けられてきたのか等、誠治の人生表を役所さんにお渡ししました。それがいわば僕の演出になり、それをもとに役所さんが誠治という人物像を構築してくれました。
 
――――息子の学はまさに希望を抱き続けてきた人物で、妻のナディアと一時帰国し、誠治と3人で田んぼ道を歩きながら、ナディアが故郷のララバイ(子守唄)を歌うシーンは映画の中でも幸せの最高潮と言えるシーンでしたね。
成島:オーディションやワークショップをするうちに、ナディア役に選ばれたアリまらい果さんの声が素晴らしかったので、アフガニスタンの子守唄を歌ってもらうことにしました。故郷は戦争で失われ、母の顔も覚えていないけど、母が歌ってくれた歌だけは覚えているナディアが、新しい故郷になるであろう日本で、新しい家族になる義父と夫に聞かせている。そんなシーンですね。
 
 

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■幸せが一瞬にして壊れるシナリオが、悲しいことに現実に

――――誠治の養護施設時代の仲間で現在は定年直前の刑事を演じるのは、佐藤浩市さんです。時折お茶を飲みながら二人だけでじっくりと語り合うシーンは、幸せを感じた後の大きな後悔を背負った誠治の本音が垣間見えます。
成島:幸せが一瞬で壊れてしまうという本作のシナリオを書いたのは、ウクライナ侵略が起きる前でしたが、悲しいことにそれが現実になってしまい、戦争で家族と引き離されてしまうというまるで第二次世界大戦のときのような映像が、日々ニュースで流れている時代になってしまった。フィクションとして描こうとしていたものがリアリティーになってしまった一方で、役所さんと佐藤さんが演じた、家族の愛情を知らずに育った二人は子どもの頃から地獄を見ており、誠治は家族とどう接していいのかわからないわけです。ただこの二人はそのわからなさを共有し、お互いに支えあっているわけです。佐藤さんも役所さんも、映画界の中では兄弟分のようなものですし、この映画全体を見ても、演じてもらった人物像が、すべて俳優本人とリンクしているんですよ。
 
 
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■難民たちの痛みを知るMIYAVIに託したこと

――――それはとても興味深いですね。
成島:半グレ集団のリーダー、榎本海斗を演じたMIYAVIさんは、難民キャンプの子どもたちのために長年、支援活動を続け、現在UNHCR親善大使として活動されています。差別される側や故郷を失った難民たち、親を殺された孤児たちをずっと見つめ、その痛みを日本人の中で誰よりも知っている人のひとりです。その痛みを一番知っている人に、ブラジル人のマルコスやその仲間たちへの暴力、蹴りを入れてほしかった。逆に、何も知らない俳優に海斗役をやらせたくはなかったのです。MIYAVIさんが納得して演じてくれたので、監督として暴力描写にブレーキをかけることなく、存分に演出できました。顔の傷とて、彼らブラジル人の若者たちの青春そのものだし、救急車で心臓停止した若者が蘇生したというのも取材で聞いた実話です。そのように日常的に暴力があることを、リアルに描きました。
 
 
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■オーディションで選んだブラジル人キャストの境遇に合わせて、各キャラクターを構築

――――誠治に助けを求めるマルコスや同じコミュニティーのエリカなど、日本の半グレ集団に追い詰められる難しい役どころを、演技経験初のキャストたちが演じていますが、どのように役を掴む演出をされたのですか?
成島:ブラジル人コミュニティーの人たちは皆、オーディションで選んだキャストです。演じてもらった役と、実際の彼らの境遇を合わせていく形でシナリオを変更していきました。マルコスを演じたサガエルカスさんは、国籍がブラジルのブラジル人だけど祖国に行ったことがないんです。幼い頃から家ではポルトガル語で育ったのに、小学生になり、いきなり日本語オンリーの学校に入り、勉強についていけなかった。劇中でも追い詰められたマルコスが「日本人でも、ブラジル人でもない。何者なんだ、俺は!」と叫ぶシーンがありますが、あれはルカスさん自身の実感なのです。エリカを演じたワケドファジレさんは、ある年齢までブラジルで過ごし、そこから日本に来たので、根はラテン気質のブラジル生まれ、ブラジル育ちです。でも日本の学校で全くついていけなかった。そのようなリアルな境遇を使わせてもらい、それぞれのキャラクターを構築する上で、極力彼らの実感でできるように、嘘のないことを目指しました。マノエルを演じたスミダグスタボさんも、ブラジルにいた彼の兄が麻薬事件で命を落としたという実体験をもとに、キャラクターを作り上げましたから、兄のことを思いながら演じていたと思います。
 
――――今までブラジル人コミュニティーと接点のなかった誠治が、自身も絶望的な状況に陥る中、同じく四面楚歌のマルコスらと徐々に心の距離を近づけていく構造になっていますが、ドキュメンタリーではないけれど、そのような作り方をするからこそ、伝えられることの強さが増しますね。
成島:例えばウクライナも日本では日頃注目することがなかった国ですが、ロシアの侵略による戦争が始まったことで、みんなが知るようになった。それと同じで、争いが起き、逃げて来たマルコスを誠治が助けたことから、半グレやブラジル人たちなど、誠治が今まで触れることのなかった人たちと関わるようになっていく。僕の中で両者は似ていると思うし、それが大きなテーマではあったけれど、フィクションで描くつもりが、すごくリアルとリンクしてしまった。単なる架空の話ではなく、意外と近い例えになってしまいましたね。
 
――――マルコスの父はジャパニーズドリームを求めて、来日したものの、リーマンショックによる日本企業からの使い捨てで自死したという経緯も語られます。あれから時が経ち、日本で使い捨てのように扱われた外国人が、円安の今、もはや日本を捨て自国に戻る流れも顕著になってきています。本当に日本に住む外国人のみなさんとの関係を今一度真剣に考えるきっかけになる作品でもあります。
成島:僕は東京のコリアンタウンがある大久保に住んでいたので、一時期はヘイトスピーチがすごかった。実際に見ると、憎悪のパワーが凄まじいんです。関東大震災時の朝鮮人虐殺もしかり、日本人の根っこにあるものは変わっていないと悲しいけれど思わざるを得ない。ヘイトスピーチでの生の殴り合いも見ていたので、MIYAVIさんが演じた海斗ら半グレ集団のブラジル人に対する暴力も半端ないものにしたかった。津波のように連鎖する怒りのパワーは恐ろしいのです。差別は昔のことだと言う人もいますが、とんでもない。今も日本中で続いています。
 

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■娯楽映画の奥にあるものに触れてほしい

――――本当にその通りだと思います。憎悪だけではなく希望を描くのは、映画だからできることであり、辛いシーンも多いけれど、家族や人生について希望を捨ててはいけないと感じるラストでした。
成島:家族とはなんだと思いますかという質問に、役所さんがおっしゃってくださったのが「その人の痛みを自分の痛みとして感じられることができる相手が、家族なんじゃないですか」と。誠治も、マルコスの痛みを自分の痛みとして最後の行動に移っていくわけです。ちゃんと相手の痛みや哀しみを、自分のことのように感じることができるかどうか。それが争いや戦争、差別をなくす根本だと思います。その実感を映画は一番伝えやすいので、この作品も娯楽映画ではありますが、その奥にあるものに触れてほしい。ぜひ若いみなさんにも観てもらいたいですね。
(江口由美)
 

 
『ファミリア』(2022年 日本 121分) 
監督:成島出 
脚本:いながききよたか
出演:役所広司、吉沢亮、サガエルカス、ワケドファジレ、中原丈雄、室井滋、アリまらい果、シマダアラン、スミダグスタボ、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市 
2023年1月6日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、kino cinéma 神戸国際、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト⇒https://familiar-movie.jp/
(C) 2022「ファミリア」製作委員会
 
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 台湾新世代と言えるロアン・フォンイー監督の長編デビュー作『アメリカから来た少女』が、2023年1月6日(金)よりアップリンク京都、1月7日(土)よりシネ・ヌーヴォ他全国順次公開される。
 『百日告別』『夕霧花園』のトム・リンが制作総指揮を務めた本作は、ロアン・フォンイー監督の自伝的要素を盛り込み、中学生のファンイーが、母と妹の3人で暮らしていたアメリカから、母の乳がん治療のため台湾に戻るところから物語が始まる。2003年、SARS(重症急性呼吸器症候群)が中華圏を襲った時代を背景に、進学校に転入したものの中国語があまり分からず、クラスメイトからもアメリカ人のようと揶揄され居場所のないファンイーの苛立ちや、死を感じながら生きる母への反発など、父、妹と家族4人暮らしの微妙な空気感が伝わってくる。自身も無念さを抱えながら、思春期のファンイーとつい衝突してしまう母、リリーを『百日告別』のカリーナ・ラムが演じる他、父役には半野喜弘監督作『パラダイス・ネクスト』のカイザー・チュアンなど実力派が顔を揃えた。自身のアイデンティティーや母への想いをうまく伝えられず気持ちが揺れるファンイーを演じたケイトリン・ファンの自然な演技も大きな魅力だ。
 本作のロアン・フォンイー監督に、リモートでお話を伺った。
 

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■思春期のアメリカ体験、自分の判断でやっていく気持ちが芽生える

――――自伝的作品とのことですが、監督自身、思春期の前半までを過ごした母娘三人のアメリカ生活はどんな印象を持っていたのですか?
ロアン監督:本作を撮る前の短編映画『おねえちゃん JieJie』は、まさしく母とわたしと妹と3人でのアメリカ暮らしで最も印象深かった90年代の話を描きました。当時鮮烈な印象を受けたのは華人社会の存在でした。中国語を話す色々な国や場所から集まってきた人たちが形成する社会で、母ですらそれらは初めての体験でしたから。わたしの中で「母すら頼りにならないんだ」という気持ちが芽生え、自分で判断し、この世界でやっていかなくてはいけないと、生まれて初めて強く思いました。
 
――――監督の体験を聞いていると、主人公、ファンイーが母になぜあれだけ反発するのか、理解できますね。
ロアン監督:アメリカに行ったファンイーは、初めてアイデンティティーが確立できたような気がするわけですが、せっかくできたアイデンティティーが台湾に戻ることにより、一度壊して、もう一度立て直さなくてはいけない。だからこそ、母との衝突が生じてくるのです。
 
――――親や学校の先生たちがファンイーに様々なことを命令し、彼女にとっては自尊心が叩き潰されるような気持ちになったのでしょうね。台湾に戻ったファンイーの葛藤を描くとき、特に重きをおいたことは?
ロアン監督:表面的には、ファンイーが台湾に戻ってきて向かわされているのは、台湾とアメリカの様々なギャップなのですが、わたしが特にしっかり描かなくてはいけないと思ったのは、思春期の時期に自分の母がガンに侵され、死ぬかもしれないという恐怖感でした。
 
 

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■人生において、いかに女性として生きることの負担が大きいか

――――一方、母自身は自分の病状を隠すというより、むしろ死の可能性を口にしながら、ファンイーにしっかりしてもらいたい一心で厳しく接していきますね。
ロアン監督:わたしの母の世代は台湾で、大学卒業後、仕事をしてキャリアを積んでいくという第1期の新女性と呼ばれ、社会的な立場を確立していました。でも、なぜそうなるのか考える間もなく、結婚、出産と自然にその道を歩んでしまうわけです。母の人物像を描くとき、特に気をつけたのは、40歳前後の人はまだ健康な人が多いわけで、その中でガンに侵されてしまう人の苦悩をしっかりと描かなくてはいけないということ。そして、最後の方に「生まれ変わったら男の子になりたい」と吐露するシーンがありますが、人生においていかに女性として生きることの負担が大きいかを込めました。ガンを患わなくても、女性はそういう重さを感じていると思いますし、そこをしっかりと描いていきました。
 
 

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■役のバックグラウンドを掘り下げ、自身の結婚生活も脚本に反映したカリーナ・ラム

――――母が夢を追いきれなかった根底に、病だけではなく家父長制への憤りが見えました。母のリリーを演じたカリーナ・ラムさんと、どんな話し合いをしたり、役へのアプローチを行ったのですか?
ロアン監督:本作で最初にキャスティングしたのが、カリーナ・ラムさんでした。カリーナさんとは1年ぐらい前から本作の企画についてお話をしており、だんだんと役に入っていけるように、お話を重ねました。カリーナさんから質問があったのは、リリーのバックグラウンドでした。どんな学校に行き、何を学んで、結婚生活はどうだったのかという人物設定を詳しく聞かれました。わたしの両親は30歳ぐらいに結婚したので当時としては晩婚で、知り合って半年で結婚したのですが、そういうこともお話しながら、役作りをしてもらいました。
カリーナさんなら内面をしっかりと演じてくださると思いましたし、カリーナさんご自身の結婚生活、例えばパートナーとの関係なども伺い、脚本を作っていきました。カリーナさんはわたしが書いた脚本の夫婦関係についても、すごく共感できると言ってくれましたね。
 

■強いセリフも自然で説得力があるケイトリン・ファン

――――久しぶりの家族揃っての生活も、様々な問題が噴出し、家の中がギスギスしてしまうという描写は、非常に共感できました。主演のファンイーを演じたケイトリン・ファンさんのキャスティングや、役を掴んでもらうためにしてもらったことを教えてください。
ロアン監督:ケイトリン・ファンさんについては、バイリンガルという条件に合ったことと、映画の中で出てくる悲しいセリフや、母をなじるようなセリフも、彼女が言うとごく自然で嫌味が全然ない。すごく説得力のあるセリフが言えることが一番の魅力だと思いました。リハーサルを重ねる中で、お互いに理解し合っていたので、わたしの指示をすぐ理解してやってくれました。ケイトリンさんに学んでもらったのは、馬が本当に好きであることを表現するために、馬に乗るシーンはありませんが、親しんでもらうため馬術を習ってもらいました。
 もう一つ、役になりきるために配慮したことは、家の中をリアルに作り、そこで彼女が生活をしていることを理解してもらえるように工夫しました。
 

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■「今撮ればいいじゃないか」背中を押してくれた師匠、トム・リン監督

――――トム・リン監督は短編時代から指南を受け、本作でも製作総指揮を務めておられますが、一番大きな学びは何ですか?
ロアン監督:トム・リン監督から学ぶことはたくさんあり、短編と長編は相当違うので、非常に厳しいことが要求されました。プロの監督は長編をどういう風に撮るのか、どういう風に調整していかなければいけないのかを教わりました。特に「95分にできれば収めてほしい」と尺の要求は厳しかったですね。またわたしが長編を撮ろうとしたとき、多くの人が「若すぎる」と言いましたが、トム・リン監督はご自身が30歳ぐらいで長編第1作を撮っておられるので、決して若すぎるとは言わず、「今、撮ればいいじゃないか」とおっしゃってくださいました。数年経ったら、今わたしが撮りたいものは撮れなかったでしょうから、今撮りたいものを撮ることがすごく大事だと実感しました。
 
――――母と娘はとても普遍的なテーマです。自分の体験をもとに描いた初長編映画を作った今、振り返って、改めてお母さんについて思うことは?
ロアン監督:映画を撮ってみて、母への想いに大きな変化がありました。台湾で上映した時にもよく聞かれたことですが、わたしは今まで自分の好きなことを貫いてやってきた人間ですが、母や家族が自分の人生でどれだけ大事であったかを、この映画を撮ったことでよくわかりました。母も、この映画から娘と自分の関係を考えてくれたと思いますし、わたしも母をより理解できるようになりました。この映画がふたりの間の理解を進めてくれた気がします。
 (江口由美)
 

<作品情報>
『アメリカから来た少女』” AMERICAN GIRL”(2021年 台湾 101分) 
監督:ロアン・フォンイー 
出演:カリーナ・ラム、ケイトリン・ファン、カイザー・チュアン、オードリー・リン 
劇場:2023年1月6日(金)よりアップリンク京都、1月7日(土)よりシネ・ヌーヴォ他全国順次公開
配給:A PEOPLE CINEMA
 (C) Splash Pictures Inc., Media Asia Film Production Ltd., JVR Music International Ltd., G.H.Y. Culture & Media (Singapore).
 
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