「京都」と一致するもの

sayonaranokawarini-ki-550.jpg一瞬一瞬を大切に生きよう!『サヨナラの代わりに』ヒラリー・スワンク記者会見@TIFF2015
(2015年10月23日 六本木アカデミーヒルズにて)
 

・原題:You‘re Not You
・2014年 アメリカ 1時間42分
・監督:ジョージ・C・ウルフ
・出演:ヒラリー・スワンク『ミリオンダラー・ベイビー』『P.Sアイラヴユー』、エミー・ロッサム『オペラ座の怪人』、ジョシュ・デュアメル、ロレッタ・ディヴァイン、マーシャ・ゲイ・ハーデン
・作品紹介⇒ こちら
・公式サイト⇒ http://sayonarano-kawarini.com/
・コピーライト:©2014 Daryl Prince Productions, Ltd. All Rights Reserved.
・配給宣伝:キノフィルムズ

・公開日:2015年11月7日(土)~ 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー!


 

★逆境にも前向きに生きる姿を圧倒的演技力で魅せるヒラリー・スワンク
 劇中歌を作詞作曲したエミー・ロッサムとの強力タッグに自信を見せる

 

困難に立ち向かう生き方が似合う女優、ヒラリー・スワンク。2度のアカデミー賞主演女優賞に輝いた演技派女優が、苦境の中でも一瞬一瞬を大切に生きる喜びにあふれた物語に感動して、自らプロデュースを買って出たが映画『サヨナラの代わりに』が11月7日から日本でも公開される。10月22日から開催された《東京国際映画祭2015》でも特別上映され、2度目の来日となったヒラリー・スワンクが記者会見に臨んだ。
 

sayonaranokawarini-550.jpg聡明な美人で誰もが羨むような人生を送っていた主人公ケイト(ヒラリー・スワンク)が、難病ALS(筋委縮性側索硬化症)発症という苦境に陥る。ヘルパーとして雇った歌手志望の学生ベック(エミー・ロッサム)との日々を通して、対照的な二人がお互い影響し合いながら、苦境の中でも自分らしく生きる喜びに目覚めていく。次第に言葉も不自由になり四肢も委縮して動けなくなる過程や、様々な感情を目で表現する難しいキャラクターを、大きな存在力と演技力で力強く生きたヒラリー・スワンクはさすがだ。


性同一性障害がまだ今ほど認知されていなかった時代、男性として生きようとした女性の悲劇を描いた『ボーイズ・ドント・クライ』(‘99)で世界を驚かせ、その5年後のクリント・イーストウッド監督と共演した『ミリオンダラー・ベイビー』(‘04)では一途な想いを貫こうと悲運に見舞われる女性ボクサーを演じて、人気実力共に演技派女優の名を不動のものにしたヒラリー・スワンク。いつも彼女の目力に惹き付けられ、彼女が歩むハードな人生に衝撃を受けてきた。彼女の素顔が知りたくて、一番会いたい女優――それがヒラリー・スワンクだった。


白の総レースのミニワンピースに黒のピンヒールをはいたヒラリー。引き締まったスリムなボディに満面の笑みを浮かべて登場。ひとつひとつの質問に丁寧に自信をもって応じていた。
 



――― 最初のご挨拶
sayonaranokawarini-ki-240-1.jpg皆様こんにちは。再び東京に戻って来られてとても嬉しく思っております。日本の美しい文化や美味しい食べ物を楽しんでおります。

――― 本作では主演だけでなくプロデューサーも務められていますが、制作のキッカケは?
とても美しい物語だと思ったからです。ALSについてはまだ原因も治療方法も解明されていません。二人のキャラクターは苦境の中で予期せぬことで友情を育むことになりますが、そこに人生の美しさや日々の瞬間を大切にしなければと思わせてくれる素晴らしいストーリーだったのがキッカケです。

――― 難病に侵されるケイトを演じてヒラリーさん自身が得たものは?
役者の素晴らしいところは、キャラクターを演じることで一人の人間として沢山の贈り物を得ることです。そのキャラクターの目を通して違う世界を見ることができ、私自身の視野がどんどん拡がっていくように感じられます。ケイトからも、人生は今の瞬間しかないのだから大切に生きなくてはならないということを学びました。また、人生で大切なのは、100%あるがままの自分であることだし、自分自身をちゃんと見てもらうことだと思うんです。ベックはケイトに贈り物をしているようですが、ケイトもまたベックに同じ贈り物を返しているんです。

――― もし、自分が限られた時間しかないとしたら、何をしたいですか?
私は本当に恵まれていると思います。いろんな役をやる度に、世界観が拡がり、世界中を旅して、自分とは違うタイプの人々と触れ合える、それが人生を豊かにしてくれています。数年前、愛する家族との時間を大切に生きていこうと誓いました。それはこの作品に出会ったからです。「一瞬一瞬を大切に生きる」これは「ポケットリスト(死ぬまでにしたいこと)」の一つであり、私は今生きているんです。

――― エミー・ロッサムを選んだ理由と共演した感想は?
sayonarakawarini-500-2.jpgエミーは素晴らしい才能を持った女優さんです。今回はオーディションだったのですが、私はオーディションの時違う作品の撮影のため立ち会えませんでした。後でエミーのテープを見た時に、彼女しかいない!と実感しました。プロデューサーも兼務していますので、こうしてキャスティングにも関われて、エミーを選ぶことができて本当に良かったと思っています。彼女は自由奔放なベックの心理状況を正確に掴んで演じてくれたので、彼女との共演は本当に本当に素晴らしいものでした!

――― 去年、ALSについて動画サイトを使った大規模なキャンペーンが行われましたが、その影響はあったのですか?
私も本作を手掛けるまでALSについては何の知識もありませんでした。あのキャンペーンを通じて世界中の多くの人々がALSに興味を持ってくれて、研究が進むように社会全体が動いてくれたことはとても有意義だったと思います。ただし、『サヨナラの代わりに』の撮影はあのキャンペーンの前に終わってましたので、タイミングは合ったという次第です。

――― 「一瞬一瞬を大切に生きることが大切」と仰ってましたが、どんなことをされているのですか?
sayonaranokawarini-ki-240-3.jpg例えば、誰かのことをふと思い出した時、「どうしているかなあ」とただ思うだけでなく、電話したりメールしたりしています。今チャリティを立ち上げる準備をしていますが、子供たちと捨てられた犬との触れ合いを通じて責任感を育んで行こうという意図です。何事も最初は大変ですが、充実した時間を過ごせます。それから、仕事からもすべて離れた1日オフの時間を取るようにしています。犬と遊んだり、散歩したり好きな本を読んだり、自分のための時間を必ず設けるようにしています。それ以外にも次のプランのために常にアンテナを張っているので、正直自分の時間を作るのはとても難しいですね。

――― 日本の学生に向けてのメッセージをお願いします。
全ての人は人生における生徒だと思います。別に学校へ通ってなくても、生きていく上でどんな逆境に在っても、諦めないで、乗り越えていくことが大変重要なことだと思います。若い時、自分を定義するのは自分自身でやるべきで、自分のために何が必要なのかを考えるべきです。自分のやりたいこと、自分の夢を叶えるために必要な事柄を日々選択していく生き方をすることが大切です。

sayonaranokawarini-ki-240-2.jpg――― しばらく休業されていましたが?
さあ?どうしていたかしら?(笑)実は父が肺の移植手術をして、その看病のため1年間仕事を休みました。

――― アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督とコラボされるとか?
はい、イニャリトゥ監督は素晴らしい監督ですので、一緒に仕事ができるのをとても楽しみにしております。まだレオナルド・ディカプリオの映画を撮っている最中ですので、もうしばらく後になりますが。

――― アニメ映画の声優もされていますが?
凄く楽しかったです。2日間だけでしたが、もっとやりたかったです。機会があればまたやりたいです。

――― オスカーのシーズンになると、受賞した時のことを思い出したり、また3つ目が欲しいと思ったりして落ち着かないのでは?
8歳で女優になりたいと思った頃は、ただいろんなキャラクターを演じたいと思っていたので、オスカーのことなど想像もできませんでした。でも受賞することはとても光栄なことです。また、オスカーのシーズンはとてもマジカルなシーズンでもあります。自分が関係している作品は勿論ですが、他の作品も観る機会が増えますし、多くの方が注目して見て下さるので、ノミネートされただけでも大きく違うのです。



sayonaranokawarini-ki-500-1.jpg「8歳の時に女優になりたいと思ってから、人生の大半を女優として過ごしてきました。人生にインスピレーションを与えてくれる様々なキャラクターを生きられることに心から感謝しています」と語るヒラリー・スワンクの謙虚さこそ、真っ白な状態でそのキャラクターを生きられる秘訣かもしれない。

 (河田 真喜子)

『レインツリーの国』 映画公開記念
オリジナル ミラー プレゼント!

  

raintree-pre.jpg■  提供:ショウゲート

■  募集人員: 2 名様

■ 締切:2015年11月30日(月)


2015年11月21日(土)~ TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条)、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、イオンシネマ京都桂川、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー!! 

★公式サイト⇒  http://www.raintree-movie.jp

『阪急電車』『図書館戦争』シリーズの有川浩が贈るロングセラー恋愛小説、ついに映画化!
玉森裕太(Kis-My-Ft2)×西内まりや  今年最高に心ときめく感動のラブストーリー

 


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それでも好きと伝えたかった――
玉森裕太(Kis-My-Ft2)×西内まりや フレッシュなふたりと豪華キャストの共演
まっすぐな「想い」と「言葉」が紡ぐ、珠玉のラブストーリー


<STORY>
raintree-550.jpgまだ会ったことのない君に、恋をした。きっかけは伸が高校時代に好きだった「忘れられない本」。そこから「レインツリーの国」というブログの管理人であるひとみとメールで繋がり、彼女に惹かれていくー。「直接会いたい」という伸。「会えない」というひとみ。頑なに会うことを拒む彼女には、言い出せない「秘密」があった…。「秘密=感音性難聴」を抱え、自分の殻に閉じこもっていたひとみ。パソコンの中に作ったブログ「レインツリーの国」は、唯一「秘密」を気にせず、活き活きと「言葉」を綴れる場所。そこに伸が現われ、ひとみに変化が訪れる。想い合うあまり、恋に傷つき迷う2人。本当の〝障害″を乗り越えたとき、現実の世界に2人の「レインツリーの国=ときめきの国」を見つけることができるのかー。

 


■出演:玉森裕太(Kis-My-Ft2)、西内まりや、森カンナ、阿部丈二、山崎樹範、片岡愛之助(特別出演)、矢島健一、麻生祐未、大杉漣、高畑淳子
■原作:有川 浩『レインツリーの国』(角川文庫刊) 
■監督:三宅喜重『阪急電車 片道15分の奇跡』『県庁おもてなし課』  ■脚本:渡辺千穂  ■音楽:菅野祐悟
■主題歌:Kis-My-Ft2「最後もやっぱり君」(avex trax) 
 2015/日本/108分/ショウゲート (C)2015「レインツリーの国」製作委員会

2015年11月21日(土)~ TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条)、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、イオンシネマ京都桂川、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー!! 

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プロデューサーが語る異色吸血鬼ムービー秘話とオーストリア映画事情『吸血セラピー』トークショー@第7回京都ヒストリカ国際映画祭
登壇者:アレクサンダー・グレア氏(プロデューサー) 
    ミルクマン斉藤氏(映画評論家)
 
10月31日から開催中の第7回京都ヒストリカ国際映画祭。2日目となる11月1日は、ヒストリカワールドより『吸血セラピー』(14 オーストリア=スイス)、『フェンサー』(15 ドイツ=エストニア=フィンランド)、『千年医師物語~ペルシアの彼方へ~』(13 ドイツ)の3本が上映され、上映後には映画評論家ミルクマン斉藤氏によるトークショーが開催された。
 
ミルクマン斉藤氏曰く「ヒストリカは歴史映画かと思うギリギリのところを狙ってくる面白い作品が多く、『吸血セラピー』もその部類」と太鼓判を押した作品。ゲストとして、オーストリアより同作のプロデューサー、アレクサンダー・グレア氏を迎えて行われた『吸血セラピー』トークショーでは、冒頭に「オーストリアの映画製作者として地球を半周した日本でこの映画を観てもらえるのはうれしい。作った甲斐があった」と喜びの挨拶をしてから、1930年代のウィーンを舞台にした吸血鬼コメディーの発想のきっかけや、オーストリア映画事情、作品中の諸設定についてミルクマン斉藤氏と興味深いトークを繰り広げた。その内容をご紹介したい。
※『吸血セラピー』をはじめとする、ヒストリカワールド作品は、11月7日(土)22:30より京都みなみ会館で「ヒストリカ・ワールド4作品オールナイト上映」と題した再上映あり。
 
 
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<ストーリー>
1930年代ウィーン、フロイトはミステリアスな伯爵を患者として迎えるものの、彼が語る妻の愚痴や悩みに、腕のいい画家の卵ヴィクトールを紹介し、伯爵夫人の肖像画を描かせることを提案する。ヴィクトールはモデルのルーシーのことが好きだが、伯爵と姿を消したルーシーに疑惑の目を向ける。一方、伯爵はルーシーに何百年も前に別れた最愛の人の面影を重ねていた。そう、伯爵夫妻は500年もの夫婦生活を続ける超倦怠期バンパイア―夫妻だったのだ。
 

―――グレアさんは本作のプロデューサーとのことですが、かなり精力的に映画を制作されているそうですね。
アレクサンダー・グレア氏(以下グレア氏):ノボトニー&ノボトニー社の社員です。社名となっている社長のノボトニ―氏は、70年代から監督として活躍している方で、私は2007年に入社し、今は一緒に映画を作る仕事をしています。ノボトニー&ノボトニーという社名なのは夫婦でやっているからですが、今はノボトニ―フィルムプロダクションというCMに特化した会社を奥さんが経営しており、夫である監督の方は芸術映画作るという形で、完全に分業した映画制作会社になっています。
 
―――日本でオーストリア映画をなかなか見る機会はありませんが、デイヴィット・リューム監督のバックグラウンドは? 
グレア氏:デイヴィット・リューム監督は両親も芸術肌です。父親は作家で、ウィーンの文学界で70年代に革命を起こしたメンバーの一人ですし、母親はポーランドが東西に分割されていた頃の東側に属するポーランド人で、オペラ歌手です。監督自身も幼い頃はウィーン少年合唱団で歌っていたこともあり、芸術的バックグラウンドを持ちかつ、東西分割時の雰囲気を受け継いでいる家庭に育っています。この映画の中でもその要素を散りばめているのが分かります。ロマン・ポランスキーもそうですが、ポーランドは共産主義の中で独特のコメディーを作る要素があります。
 
作家ということで言えば、映画の中で文学的に面白い対話がされており、それは父親の影響が反映されています。フロイトが夢を見る錠剤をいくつか飲み、分からない言葉をしゃべるくだりがありますが、それは父親が作った実際の作品です。
 
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―――日本でも映画だけでは食べていけず、CM製作などをすることが多いですが、オーストリアの映画事情は?
グレア氏:オーストリアは、昔は大帝国で文化が花咲いていたのに、第二次世界大戦後、重要な国ではなくなっていると皆認識しています。「昔はすごかった」と嘆くことを我々はオーストリア病と呼んでいます。映画は新しい分野の芸術で、最初は娯楽から始まりましたが、70-80年代、オーストリアの一つの文化となりうるべきではないかという考え方が出てきました。また、80年代には、フランスを中心にヨーロッパでも映画を社会で育てていこうという政策がありました。オーストリアは人口が800万人と少ないですし、そこだけで上げられる収益も少なく、いつもどうやって次の作品のお金を作ろうかと画策しています。オーストリアはドイツ語をしゃべるのですが、かなり方言がキツく、ドイツ人は我々がしゃべるドイツ語をかなり分かりにくいと思っているようなので、この作品では、あえて伯爵は標準ドイツ語をしゃべらせ、ドイツでも作品を受け入れてもらえるようにしています。
 
ただ、人口が少ないことは裏返せば、市場に迎合せず、実験的な作品にも挑戦できるということです。大衆向けではなく自分たちの活路を見い出しています。現在ポストプロダクション中のエゴン・シーレを描いた作品もその中に入るでしょう。
 
―――1932年という時代設定にした理由は?
グレア氏:何年もかけて作られる間に、紆余曲折がありました。リューム監督は最初、精神科医のフロイトに焦点を当てることを考えていました。監督自身もユダヤ人のバックグラウンドがあり、フロイトもユダヤ人ですから。ただ、そこに焦点を当てるとコメディーが成り立ちません。また、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時期だと、自動車は登場させられるけれど、まだものすごく交通機関が便利になったわけではない。また登場する景色も現存のものが使える等総合して考え併せた結果、このような設定になった訳です。
 

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―――第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時期という設定で、少し世紀末的なコメディーになっていますね。
グレア氏:ナチスが台頭しかける時代でもあり、飲み屋から二人の酔っ払いが出てくるところは、台頭するナチスに心酔する人を皮肉る意味も込めて登場させています。フロイトが吸血鬼というものに実際に関心を持っていたのは事実です。吸血鬼は不死で孤独な存在です。アメリカに興味深い研究結果があるのですが、民主党の人が大統領になると吸血鬼を扱う映画が、共和党の人が大統領になるとゾンビ映画が増えるそうです。吸血鬼は個人主義の台頭、ゾンビは大量の人が同じ方向を向くということで映画の傾向で、次の大統領選が分かるという見方もあるかもしれません。
 
―――吸血鬼は東欧からヨーロッパ文明の退廃の象徴のように思いますが、この作品に吸血鬼を取り入れた理由は?
グレア氏:私はオーストリア南部のシュタイマルク地方の出身ですが、そこにあるお城に伝わる本に吸血鬼伝説があります。ルーマニアに行けば実際にドラキュラ伯爵がいましたし、ヨーロッパの退廃というより、人間が普遍的に持つ不安や願望だと思います。不死が願望であり、誰かを噛むというのはたいてい惚れ込んだ人を噛むので、そこから悲喜こもごもが生まれ、ジレンマにも陥ります。アメリカの『トワイライト』シリーズ同様、普遍的なものだと捉えています。
 
―――吸血鬼にはいくつかお約束的な設定がありますが、数えることにこだわる吸血鬼は初めて見ました。吸血鬼の肖像画を書くときに、筆先が拒否するのも面白く、オリジナリティを感じました。このアイデアはどこから思いついたのですか?
グレア氏:吸血鬼が数えることにこだわるのは、色々な伝承にあり、それらを受け継いだものです。吸血鬼を防ぐために、数を数えて時間を稼ぐのも伝承でありますね。監督が(吸血鬼の妻が)鏡に映らないということは、絵にも書けないのではないかと考え、(妻は)うぬぼれているけれど自分の姿を確認できないという設定を絵に反映させようと、我々のアイデアを取り入れました。
 
―――伯爵を演じているのはドイツ映画ファンならなじみの深いトビアス・モレッティさんです。また『ブリキの太鼓』で主演を演じた少年(ダビッド・ベネット)が伯爵の召使役で出演しています。そのあたりのキャスティングについてお聞かせください。
グレア氏:一番最初に探したのは、ルーシー役とヴィクトール役でした。あまり名声もなく、実績がない若い年齢層から選ばなければなりません。また、ルーシーは美人だけど自己主張が強いので、この二人のやりとりが物語の肝になると思い、ここは時間をかけて選びました。トビアス・モレッティさんは以前一緒に仕事をし、今回ドラキュラ役をやってほしいと脚本を送ったところ、すんなり決まりました。
 
ダビッド・ベネットさんはスイス人で、まさに『ブリキの太鼓』で有名になりましたが、それ以来姿を現していないので、やってもらえるかどうか心配でした。今はオーストラリアで演劇の仕事をしていたので、そこまで出向き、「やりたい仕事しか受けない」と言われながらもオファーを受け入れていただけ、非常に幸運でした。ダビッド・ベネットさんは、トム・クルーズの映画にも出演しており、あの人と今回一緒に映画ができるなんてと興奮しました。
(江口由美)

<作品情報>
『吸血セラピー』
(2014年 オーストリア=スイス 1時間27分)
監督・脚本:デイヴィット・リューム
出演:トビアス・モレッティ、ジャネット・ハイン、コーネリア・イヴァンカン、ドミニク・オリー 
 
第七回京都ヒストリカ国際映画祭はコチラ 
 

his-op-550-1.jpg《第7回京都ヒストリカ国際映画祭》開幕!!

(2015年10月31日(土)京都文化博物館にて)

his-tiger-500.jpg京都ならではの歴史映画の祭典、第7回京都ヒストリカ国際映画祭が10月31日(土)、京都・三条の京都文化博物館で開幕、オープニングとして香港のヒットメーカー、ツイ・ハーク監督のアクション大作『タイガー・マウンテン~雪原の死闘』が上映された。
 

終了後には、同作品のエグゼクティブ・プロデューサー、ジェフリー・チャン氏が登場し、映画祭ナビゲーターの飯星景子さんと1時間を超える熱いトークを繰り広げ、詰めかけたファンを喜ばせた。


his-op-2-1.jpgツイ・ハーク監督とは友人でもあるジェフリー・チャン・プロデューサーは「監督が70年代にアメリカ留学していたころ、ニューヨークの街で中国伝統の“プロパガンダ映画”を見て、リメイクしたい、と考えていたようです。彼は何でも出来るし、ワーカーホリックと言えるほど働く。2Dと3D作品を同時に撮る監督は中国には彼しかいないでしょう。この映画でも雪のシーンで苦労したが、期待出来る映画になったと思う」と称えていた。
 

 

his-ougonjou.jpg初日は午後5時からインドネシアで大人気の武侠映画『黄金杖秘聞』を上映。観客は迫力満点のアクションを堪能していた。


ヒストリカ映画祭は“世界で唯一”歴史をテーマにした映画祭で、世界の最新歴史映画を集めて上映する。7回目の今回は、初の試みとして京都・太秦撮影所製作のテレビ時代劇特集など、11月8日まで9日間で全26作品を文化博物館、京都みなみ会館の2会場で上映する。

(安永 五郎)

★公式サイト⇒ http://www.historica-kyoto.com/

air-di-550.jpg『エール!』エリック・ラルティゴ監督インタビュー

 (2015年6月26日 東京パレスホテルにて 《フランス映画祭2015》)
 

・(“La Famille Bélier” 2014年 フランス 1時間45分)
・監督:エリック・ラルティゴ
・出演:ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン、エリック・エルモスニーノ
・配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム
公式サイト⇒ http://air-cinema.net/

・コピーライト:La Famille Bélier © 2014 – Jerico – Mars Films – France 2 Cinéma – Quarante 12 Films – Vendôme Production – Nexus Factory – Umedia

公開情報:2015年10月31日(土)~新宿バルト9、ヒューマントラスト有楽町、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、京都シネマ、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OS ほか全国ロードショー


 

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~巣立ちの時を迎えた子供を愛情深く見送る両親と、
家族思いの健気な少女の物語~


《フランス映画祭2015》で観客賞を受賞した『エール!』。本国フランスでも大ヒットを飛ばし、新星ルアンヌ・エメラをセザール賞とリュミエール賞の両方で最優秀新人女優賞に、母親役のカリン・ヴィアールをリュミエール賞最優秀主演女優賞に輝かせた。いよいよ日本でも10月31日より全国公開される。両親と弟が聴覚障がい者で唯一健常者のポーラが、世間と家族の橋渡しという役割と自分の夢との狭間で悩み、さらにポーラの歌の才能を理解し応援する人々の物語は、映画祭でも大きな感動の渦を巻き起こした。フランス映画は今まで、『コーラス』(04)『モンテーニュ通りのカフェ』(06)『オーケストラ!』(09)と、音楽を主軸にした感動的なヒューマンドラマを送り出してきたが、本作でもハンディキャップを抱える家族と歌の才能を見出された少女との家族愛を、緑豊かな農村を舞台に、ユーモアあふれる明るい演出で魅了する。

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テレビのオーディション番組で注目されたルアンヌ・エメラを起用したエリック・ラルティゴ監督は、歌唱力と演技力の他に、健康的な美しさと優雅さを備えたルアンヌの魅力に着目したという。彼女の魅力が大きな存在となって映画を牽引したことは言うまでもない。また、聴覚障がい者の立場になってポーラの歌を聴くという離れ業で、自分たちだけがポーラの歌を聴けない悲しみを体感させている。両親の心の痛みと寂しさがひしひしと伝わり、胸が張り裂けそうになった。
 


【STORY】
酪農家のベリエ家の長女ポーラ(ルアンヌ・エメラ)は高校1年生。両親も弟も聴覚に障がいがあり、世間との通訳はポーラが担っていた。飼料業者への連絡や市場で売るチーズの説明や、はてまた両親の性習慣を医者に説明するのもポーラの仕事。元ミスの明るく社交的な美人の母親ジジ(カリン・ヴィアール)に、ぶっきら棒で無口だが家族思いの父親ロドルフ(フランソア・ダミアン)、おませな思春期真っ盛りの弟カンタン(ルカ・ジェルベール)と、ポーラを中心にした仲良し家族だった。


air-500-1.jpg気になる男の子ガブリエル(イリアン・ベルガラ)を追ってコーラス部に入ったポーラは、音楽教師のファビアン(エリック・エルモスニーノ)に歌の才能を見出され、パリの音楽学校の受験を勧められる。だが、歌うことの歓びを全身で感じながらも、耳の聴こえない家族をどう説得すればいいのか悩むポーラ。一方、娘の特別な才能である歌声を聴くことができない寂しさと家を離れようとする娘に落胆する両親。お互いを思い遣ればこそ苦悩は深まるが、日頃大人しい父親がとった行動とは?
 



巣立ちの時を迎えた子供を愛情深く見送る両親と家族思いの健気な少女の物語という、笑って泣ける感動作を撮ったエリック・ラルティゴ監督に、映画製作の過程や出演者についてお話を伺った。


――― テレビのオーディション番組で芸能界入りしたルアンヌ・エメラさんは、とても瑞々しい魅力を発揮していましたが、彼女を見てこの脚本を書いたのですか?
air-500-2.jpgいえ、映画製作は先に決まっていて、ポーラを演じられる女優を捜していました。ルアンヌはTVに一度しか出たことなかったのですが、彼女を見た瞬間に「彼女だ!」と感じました。オーディションでの即興劇の中のたった一言を聞いて、「ルアンヌでいける!」と思わせてくれました。ルアンヌが持つ美しさや優美さで長編映画を作ることができる!とね。彼女も私を信頼してくれましたが、それからが大変な思いをすることになるのですが(笑)。

――― 重いテーマを明るく感動的に作られていましたが、製作の経緯と演出で気を付けたことは?
確かにフランスでもこのような題材は重く落ち込みがちですが、私はそのハンディキャップを逆手にとってこの映画を作りました。ただ笑っているだけではなく、他の見方をすることもできます。元々この話は、ヴィクトリア・ヴドスという人の父親のアシスタントをしていた人にインスピレーションを得て、この話を書きました。フランス語でコダスといって、両親が聴覚障がい者の子供のことを指します。私はその話をもっと掘り下げて、家族に焦点をあてて、聴覚障がい者の両親の元からコダスが独立する物語としてシナリオを書き上げました。さらに、体の成長に心が追い付かない思春期特有の問題などを盛り込みました。

――― 両親役のカリン・ヴィアールとフランソア・ダミアンについて?
air-di-240-1.jpgカリン・ヴィアールには、お喋りで外交的で常に興奮状態にあるような、子供をとても可愛がって家庭を切り盛りする役を望みました。一方フランソア・ダミアンの方は、ぶっきら棒で内向的で、母親に比べれば控え目な役です。そのコントラストが面白いと思いました。聴覚障がい者は手話で話すと同時に顔でも語ろうとするので、そこが過剰演技に見えたかもしれませんが、健常者と同じようにお喋りな人と大人しい人がいることは確かです。

そんなベテラン二人が両親役を演じたことは、ルアンヌにとって大きな支えになったと思います。彼女自身、若いせいもありますが集中力が途切れることもありました。でも、ルアンヌの役は、手話をしながら話さなくてはなりません。この短い期間にそれをマスターしたことは快挙だと思います。特に、フランス語と手話は主語・述語の順番が逆で、構文が違うのです。手話とセリフを同時に言うことは二重に困難なことだったのです。それを遣り遂げたことはルアンヌにとってかなりのチャレンジだったと思います。

――― ポーラがパリに出たいと言った時両親と揉めましたが、フランスでも地方からパリに出るのに親と揉めるものなんですか?
どこでも子供が大都会に出たいと言ったときの問題は同じだと思います。いろんなカテゴリーの子がいます。ポーラの場合は歌で成功したいと思いましたが、パリや東京へ行きたいと夢見るような子はどこにでもいます。ただ、ポーラの場合は、聴覚障がい者の両親にしてみれば健常者との通訳という大きな橋渡しの役割を担っていた訳ですから、それは大問題です。それでも、それまでとは違う人生を歩むためにも家から出なければなりません。様々な問題を克服していくことこそ人生の醍醐味だと思います。

――― 劇中、ハッとするようなシーンがいくつかありました。コーラスの発表会のクライマックスのシーンや、ポーラを見送るシーンの演出について?
air-di-240-3.jpgあのシーンで音を切ったのは、観客の方に聴覚障がい者の世界を知ってもらいたいという意図からです。聴こえるはずの音が聞こえないと健常者はそこで欲求不満を感じるはずです。歌から受ける感情を一気にカットすることによって、その感情を他に持っていくことができたはずです。耳の聴こえない人の立場に立つ体験をしてもらいたかったのです。

ポーラが出発するシーンでは、聴覚障がい者はとても慎み深い人たちでして、一度目ではきちんとお別れできなかったので、ポーラは戻ってきたのです。二度目は家族みんなで抱き合っていましたが、彼らは耳が聴こえない分他の感覚に優れていますので、母親がポーラの髪を触ったり匂いを嗅いだり、体に触ったりしたのです。日本ではあまり他人を触ったりしないと聞いていますが、私はこういうシーンは好きです。聴覚に障がいがあると、視覚・嗅覚・触覚といった3つの感覚でコミュニケーションをとっているのです。

――― フランスで大ヒットしましたが、完成版を見た時、「これはいける!ルアンヌは女優賞を獲れる!」という確信は持てましたか?
いえ、確信は持てませんでした(笑)。映画はとても面白いものですが、もろいものでもあります。この映画を撮って2年半経ちますが、今でもこれでいいのだろうかと疑問が沸いて不安になる事もあります。映画を撮っている時は、白髪が増えるし眠れなくなるし、とても怖く感じることがあります。そんな時は、「ただの映画じゃないか」と自分に言い聞かせています。映画はとても不思議なものです。

 



劇中、ミシェル・サルドゥの曲が多く使われているが、特に、ポーラそのものを歌っているような「Je Vole(青春の翼)」が素晴らしく、見終えてからも頭の中でぐるぐるとリピートされていた。監督は脚本の段階からミシェル・サルドゥの曲を使おうと決めていたそうだが、フランスでは懐メロのようで、コーラス部の学生たちから「え~っ!?」とブーイングが起こっていた。だが、歌詞の内容は若い世代の心情と重なる部分が多く、まるで描き下ろし曲のように思えた。音楽にも注目して何回でも見たくなる、そんな映画です。

(日本のものが大好き!というエリック・ラルティゴ監督は、おかきを美味しそうにポリポリ食べておられました。)

 (河田 真喜子)

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第7回京都ヒストリカ国際映画祭のオープニング作品『タイガー・マウンテン~雪原の死闘~』で製作指揮(エグゼクティブ・プロデューサ ー)を務めたジェフリー・チャン氏が来日し、10 月 31 日(土)12:00 からの上映後にトークショーを開催する。
 
現在、中国の映画市場は世界第2位の規模まで急拡大しており、ハリウッドも中国との共同製作を積極的に行っている。今回来日するジェフリー・チャン氏は、香港を拠点に数々の国際共同製作を手掛け、中国映画市場への配給を取りもつキーパーソンであり、製作費 28 億円のツイ・ハーク監督のヒット作『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(中国で興収 72 億円)など多数の大作を戦略的に成功に導いた実績の持ち主だ。世界の映画産業の潮流を知る貴重なトークショーとなること間違いない。
 
ジェフリー・チャン氏プロフィール
〔『タイガー・マウンテン〜雪原の死闘〜』 エグゼクティブプロデューサー〕
中国の大手映画配給会社・Bona Film Group にて COO、役員を務める。また国際セールスエージェントであり、現在は Bona の香港を拠点とした合弁子会社となっている Distribution Workshop をベテラン映画プロデューサー、ナンサン・シーと共同設立。これまでエグゼクティブプロデューサー、プロデューサーとして『タイガー・マウンテン~雪原の死闘~』の他、『盗聴犯 三部作』、『ゴッド・ギャンブラー レジェンド 1、2』、『レクイエム 最後の銃弾』、『激戦 ハート・オブ・ファイト』、『My Lucky Star(原題)』、『ラスト・シャンハイ』、『桃さんのしあわせ』、『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』 や『白蛇伝説』など多数のヒット作を含む約 30 作品を手掛けた。また最近では、シンガポールの気鋭監督エリック・クーの最新作『In the Room』のエグゼクティブプロデューサーを務めた。
 

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尚、現在からの目線でテレビ時代劇を問い直すヒストリカ・ フォーカスのゲストには、映画監督の犬童一心氏、アニメ監督の大地丙太郎氏を迎え、当時制作に携わったゲストとテレビ時代劇を掘り下げるトークが開催される。ヒストリカ・ナビゲーターの飯星景子氏や、ヒストリカワールドのゲスト、ミルクマン斉藤氏によるトークもぜひお見逃しなく。
 
 
全上映作品の前売券はチケットぴあ各種取扱窓口で販売中⇒http://www.historica-kyoto.com/ticket/
 
 

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10月31日から11月8日までの9日間に全22作品を京都文化博物館、京都みなみ会館の2会場で上映する第7回京都ヒストリカ国際映画祭。先日のラインナップ発表に引き続き、上映スケジュールおよび上映後の登壇ゲストが発表された。

上映スケジュール ⇒ http://www.historica-kyoto.com/schedule/

 

 

 

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11月3日から6日まで京都文化博物館で上映されるヒストリカフォーカスでは、史上初となるテレビ時代劇特集がラインナップ。上映後は、製作に深く携わったゲストを迎えてのトークが開催される。時代劇マニアでもある映画 監督の犬童一心さんが、時代劇ドラマの製作舞台裏に迫り、さらにドラマを掘り下げていく趣向で、ここでしか聞けない貴重な話が飛び出すこと必須だ。 
 
 
チケットは、10月5日(月)より、チケットぴあにて発売。料金は、上映作品ごとに設定されている。詳細は下記を参照。
 
チケット料金、販売方法 ⇒ http://www.historica-kyoto.com/ticket/

 

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(写真:左から、榊英雄監督、武田梨奈、遠藤健一、三浦誠己、森本英樹)


発禁小説の映画化『木屋町DARUMA』メインキャスト舞台挨拶

(2015年10月4日(日) 大阪十三・第七藝術劇場にて)
ゲスト:榊英雄監督、遠藤憲一、三浦誠己、武田梨奈

『木屋町DARUMA』
・2014年 日本 1時間56分 R15+
・原作・脚本:丸野裕行(「木屋町 DARUMA」オトコノアジト電子書籍出版)
・監督:榊 英雄
・出演:遠藤憲一、三浦誠己、武田梨奈、尾高杏奈、趙珉和、勝矢、烏丸せつこ、木下ほうか、寺島 進、木村祐一
公開:2015年10月3日(土)~第七藝術劇場、京都みなみ会館、元町映画館 ほか全国順次公開
公式サイト⇒ http://kiyamachi-daruma.com/
・コピーライト(C)2014「木屋町DARUMA」製作委員会


 

~遠藤憲一×榊英雄監督、京都オールロケ、
木屋町を駆け抜けた“濃厚な男たち”の生き様~

 

DARUMA-1.jpg京都の歓楽街・木屋町を舞台に、子分の裏切りで四肢を失った元ヤクザが恐怖の取り立て屋としてしぶとく生きる抜く様を描いた『木屋町DARUMA』。文字通り這いつくばって、えげつない方法で債権者を恐怖のどん底に陥れては返済を迫る、凄腕取り立て屋の勝浦が主人公。彼の世話をする若いヤクザ・坂本の極道に生きる心境の変化を通して、寡黙な勝浦自身をより人間味あふれる人物として浮かび上がらせている。丸野裕行の発禁小説の映画化に挑戦したのは、『誘拐ラプソディー』『捨てがたき人々』、さらには今年だけでも4本の作品を撮っている榊英雄監督。俳優としても活躍している榊監督の精力的な制作活動は、タブーをものともしない本作の勢いに現れている。


その榊英雄監督と、主演の勝浦を演じた遠藤憲一、世話係の坂本を演じた三浦誠己、そして親の借金のせいで人生を狂わされる女子高生を演じた武田梨奈が、公開2日目の10月4日、大阪は十三にある第七藝術劇場にて舞台挨拶を行った。
 



DARUMA-B-240-ENDOU-3.jpg年々大きな存在感で観客を圧倒している遠藤憲一。映画だけでなくTVドラマやCMなどでも大活躍の強面(こわもて)顔の人気俳優。TV『民王』では、菅田将暉演じる息子と体が入れ替わる総理大臣の役を演じ、また映画『ギャラクシー街道』(三谷幸喜監督作10/24~)の公開も控えており、今後の人気急上昇が期待される。本作では、「榊監督の執念が凄くて、俳優陣もTVではできないような思いつく限りのことをやりました。怒涛の撮影が終わって、やりきったというより、こんなの誰が観てくれんねん?という思いの方が強かったです」。立見が出た超満員の会場に向かって、「こんなに沢山来て頂いて、本当に嬉しい!」と挨拶。

 


DARUMA-B-240-MIURA-2.jpg深い思いを秘めたもの静かな男が似合う三浦誠己(まさき)。本作では、仕事の段取りから勝浦の下の世話までする耐える坂本を熱演。坂本自身も親の借金のせいでヤクザの世界に入った過去を持ち、勝浦や組織の極悪非道な取立てに疑問を持つという、どこか悲哀を感じさせる重要な役どころだ。「若い頃から憧れていた遠藤憲一さんに胸を貸して頂いて、榊監督には愛して頂いて、どうにか魂を込めて演じることができました」と。また「僕の人生で大きな節目になった作品。撮影にのめり込み駆け抜けた3週間はとても楽しい期間でした」と、ハードな撮影を振り返り、本作が多くの人に観てもらえるよう観客の協力を仰いだ。

 




DARUMA-B-240-TAKEDA-2.jpg親の借金のせいで風俗嬢にされ、人生を狂わされる女子高生を演じた武田梨奈。持ち前の高い身体能力を活かして、勝浦の恐怖の取立てに恐れおののく様や、病んで堕ちて行く狂気の様を体当たりで演じていた。監督から「帰れ!」と何度も怒鳴られたり、本編を初めて観てショックを受けたりと、「今回の現場は今までで一番緊張してプレッシャーが大きかったです」と振り返る。また、「TVではタイトルさえ出せない作品がこうして公開されて、沢山の方に観て頂けて本当に嬉しい」。先ごろ映画『かぐらめ』という作品で、ロサンゼルス日本映画祭最優秀主演女優賞を受賞している。

 

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榊英雄監督は出版できない小説を映画化した理由について、「作品の世界観に惹き付けられたのは勿論だが、以前から濃厚な男の世界を描いてみたかったので、プロデューサーを焚きつけて敢えて挑戦した」。さらに、「2年半前に撮り終えてからいろんな事があり、こうして初日を迎えられて感無量です」と、公開の喜びを語った。


 
 


(敬称略) 
DARUMA-B-240-ENDOU.jpg――― 遠藤憲一さんは、表現や役作りに苦労した点は?
遠藤:両手両足がないという規制の多い不自由な役ですが、それでもチャレンジしたいと思いました。ところが、撮影が始まってすぐに「受けなきゃよかった!」と後悔(笑)。両手両足にグリーンのカバーを着けたり、車椅子では椅子の上に正座した上に両腕は後ろ手にしたりと、自由に動ける状態が殆どなくてしんどかったです。でも、監督に責められながらも、何とかやりきりました。

 

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――― 三浦誠己さんは、木下ほうかさんの命令で寺島進さんの耳に穴を空けるシーンで木下さんに殴られてましたが、あれはマジで?
三浦:はい、マジで殴られました。木下さんの蹴りが僕の急所に入って、痛くて痛くて。ホテルに帰って氷で冷やそうと氷を取りに行ったら木下さんと会って、「あぁ大丈夫か~、俺のせい~?」と言われ、「お前のせいじゃ!」と言いたかったのですが、笑って誤魔化しました(笑)。


 

――― (司会の森本英樹)僕も寺島さんの耳に穴開けるシーンで出演させてもらっていたんですが、あまり出しゃばっちゃいけないと思って力を抜きつつやったら、「おらっ!そんなんじゃ痛ぇことできねえだろうが!」って怒られました。
DARUMA-B-240-SAKAKI-2.jpg三浦: 「俺が下手くそに思われるじゃねえか!」ってね(笑)。
榊監督:先輩後輩関係なく、思いっきりやれ!ということだよね。ところで森本君、いつの間にか僕の現場にいて、いつの間にか衣裳着けて立ってたね?(笑)
(ここで、会場に駆け付けた高山トモヒロを見つけた榊監督)
高山トモヒロ:木下ほうかさんに、「オマエ、腹黒いからヤンキー役似合うで」と言われて出演しました(笑)。現場はとてもピリピリしていたんですが、控室はとても穏やかでした。これがホンマのもの創りの空間なんやなと、いい勉強になりました。それにしても、何で森本が司会やねん!?オレ違うか?(笑)
榊監督:高山さんの監督作『ベイブルース(~25歳と364日~)』にも森本君は出演したんですよね?
高山:そうなんです!台本に名前はなかったのに、現場に勝手に入って来てるんですよ!(笑)

森本:すんません!
 


〈会場の観客からの質問〉

DARUMA-B-240-ENDOU-2.jpgQ:遠藤さんは関西弁が完璧だったと思いますが、ご出身は?
遠藤:ホントですか?嬉しいな~出身は東京です!(笑)凄くしごかれたんですが、大阪の方にそう言われて嬉しいです。
榊監督:木下ほうかさんがしつこい位ダメ出ししてました。ちなみに武田さんも神奈川出身なんですが、関西弁上手かったでしょう?(会場から拍手)
森本:ほうかさんが「ええ感じやわ~!」って言ってました。
武田:やたら木下ほうかさんを真似しますね?
榊監督:ほうかさんの真似しないと喋れない!(笑)

 

Q:取り立てが終わって、坂本に「何であそこまで出来るんですか?」と聞かれ、勝浦が「狂ってるからや」と答えてましたが、遠藤さんはこの役に共感できることはありますか?
遠藤:一切、共感できません!(笑)ただ、「何がなんでも生きるんや!」という思いが、「狂ってるんや」という言葉に反映されたんだと思います。「生きてやる!」というのが本意ですね。


――― 最後に。
榊監督:本日はどうもありがとうございました。情熱をもって作った映画です。公開までに2年半かかりましたが、より多くの方に観て頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
遠藤:三浦君がかつてこの劇場で舞台挨拶をした時にはお客さんはたったの4人だったそうです。僕も九州の劇場で観客が4人だった経験があります。今日はこんなに沢山の方に来て頂いて、心から感謝いたします。本当にありがとうございました!


 
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(舞台挨拶終了後のフォトセッションで壇上に上がってきてくれた高山トモヒロも一緒にハイポーズ!
左から、森本英樹、榊英雄監督、武田梨奈、遠藤健一、三浦誠己、高山トモヒロ)


映画でしか描けない世界『木屋町DARUMA』はTVでは放送できないそうだ。映画館でしか観られない映画、ヤクザと言えどもパワフルに生き抜いた男たちの情熱を、是非劇場でお確かめ下さい。

(河田 真喜子)

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【おまけの写真】昼食時にくつろぐゲストの皆さん (松井寛子さん提供)
 

 

his-kaiken-550.jpg第7回京都ヒストリカ国際映画祭 上映作品決定!

京都のテレビ時代劇、史上初の特集上映!時代劇に刺激を与えた監督・俳優の挑戦をトーク!

『CASSHERN』、『GOEMON』の紀里谷和明監督の来場決定!ハリウッド進出作『ラスト・ナイツ』を監督が語る!

今年、中国の大ヒット作『タイガー・マウンテン〜雪原の死闘〜』日本上陸!“ツイ・ハーク”マジックのウラ側を探る!

 公式サイト⇒ https://twitter.com/historica_kyoto
 


  

京都ならではの歴史映画祭、第7回京都ヒストリカ国際映画祭の概要が9月17日、発表された。今年は10月31日から11月8日までの9日間に全22作品を京都文化博物館、京都みなみ会館の2会場で上映する(上映日程詳細は10月上旬決定)。


his-tiger-500.jpgオープニング作品は、中国・香港映画の重鎮・ツイ・ハーク監督の『タイガー・マウンテン~雪原の死闘』(14年)。クロージング作品は 、紀里谷和明監督のハリウッド進出作品『ラスト・ナイツ』(15年)で初日の上映日には紀里谷監督も来場しトークショーを行う。


his-sennen-550-1.jpg世界の新作歴史映画を上映する、《ヒストリカ・ワールド》は6作品。オーストリア、スイス『吸血セラピー』(14年)、コロンビア、ベネズエラ『大河の抱擁』(13年)、ドイツ、エストニア、フィンランド『フェンサー』(15年)、日本、落合賢監督『NINJA THE MONSTER』(15年)、インドネシア『黄金杖秘聞』(14年)、ドイツ『千年医師物語~ペルシアの彼方へ~』(13年)。『黄金杖~』以外の5本は日本初上映。


今年の目玉企画、《ヒストリカ・フォーカス》と題して上映される「京都のテレビ時代劇」特集。元来「テレビ放映用に作られたテレビ時代劇」をスクリーンで上映するのは初の試み。  作品は単発ドラマで長編の中村勘九郎(五代目)主演『森の石松』(92年)、深作欣二監督『阿部一族』(95年)、工藤栄一監督『町奉行日記』(92年)、北大路欣也主演『ご存知!  旗本退屈男』(88年)、沢口靖子主演『艶姿初春!照姫七変化』(91年)。単発ではないが三田村邦彦主演『殿さま風来坊  隠れ旅第1話スペシャル』(94年)。


his-surounin-500.jpgお茶の間の人気を集めたシリーズ時代劇の中から、渡辺謙『後家人斬九郎  第5シリーズ第10話』、高橋英樹『三匹が斬る!  第1話』、緒形拳『必殺仕掛人第1話』(72年)、山崎努『新・必殺仕置人  第1話』、勝新太郎『新・座頭市Ⅱ第10話』(78年)、『服部半蔵  影の軍団第2話』(80年)、近衛十四郎、品川隆二『素浪人  月影兵庫第1話』(65年)、坂口祐三郎『仮面の忍者  赤影第1話、第10話』の全14作品。


京都撮影所の映画職人の手になる作品は「映画と同しレベル」が堪能出来そうだ。

他に、犬童一心監督、俳優・品川隆二らによる「ヒストリカ・トーク」、立命館大学映像学部との連携企画としてソフィア・コッポラ監督『マリー・アントワット』(06年)上映もある。今年も“ヒストリカ・ナビゲーター”としてカンフー、武侠映画通の飯星景子さんが参加する。

 

 

kokosake-550.jpgメインキャスト声優が大阪に登場!
「タコ焼きはわなかか“くくると聞いております(笑)」
映画『心が叫びたがってるんだ。』舞台挨拶

2013年、アニメファンの枠を超え、心揺さぶる感動作として興行収入10億円を突破する大ヒットを記録した『劇場版あの日見た花の名前を僕達は知らない。』。テレビアニメオリジナル作品としては日本歴代2位の記録を打ちたて、実写ドラマ化も決定する等、今現在も”あの花現象”を巻き起こしている。そのスタッフが再集結して贈る劇場版オリジナルアニメーション『心が叫びたがってるんだ。』が全国公開中です。大阪に声優の方をお迎えしての舞台挨拶が実施されました。


『心が叫びたがってるんだ。』キャスト来阪舞台挨拶

■日時:9月26日(土)15:45~■会場:TOHOシネマズなんばシアター5

■ゲスト(敬称略):水瀬いのり[みなせいのり](成瀬順役)

内山昴輝[うちやまこうき](坂上拓実役)
 

9月19日(土)より公開された映画『心が叫びたがってるんだ。』のPRのため、メインキャストの声優を務めた水瀬いのりさん、内山昴輝さんが登壇しての舞台挨拶が実施されました。


kokosake-b-1.jpg映画の上映終了後、満員のお客さんの前に大きな拍手で迎えられ、登壇したお二人。

内山さんは「さっき来て早々タコ焼きを食べました。宜しくお願いします。」と大阪ならではのトークでお客さんの心をギュッ!っと鷲掴み。水瀬さんは「本日はご来場頂きありがとうございます。短い時間ですが、本編を観られた後と言うことで色々お話しできればお思います。宜しくお願いします。」と挨拶した。


公開から一週間を迎えた本作。SNSやレビューサイトから大きな反響あり、それは声優のお二人にも伝わっているようで、「私もTwitterとかで、ここさけ。今日観てきたよー、とか最近ほぼ毎日、いろんな方から感想を頂いていて、それが凄く嬉しいなぁと思っています。」と話した。更に芸能界からも反響があり、AKB48の横山由衣さんが公開初日に映画を観に行かれたことや、NMB48の渡辺美優紀さんが、実は舞台挨拶の前日に同じ劇場(TOHOシネマズなんば)に映画を観に来て、号泣したとインスタグラムに投稿されていたことなどが紹介されると、「えー!」とお二人も驚いた様子を見せていました。


大阪での舞台挨拶ということで、何かしたいことがあるか聞かれると内山さんは「タコ焼き食べたかったけど、さっき叶っちゃった(笑)」と言うと水瀬さんは「わなか!」と食べたタコ焼きについて反応。「タコ焼きはわなかかくくると聞いております!」と答え笑いを誘い、水瀬さんは「USJ!」と答えるも「行く時間があるかなー?」と苦笑いを見せていました。


劇中では歌の部分が全部聴くことが出来ないのでは?と聞かれた内山さんは「良いのがあるんですよ。映画にはサウンドトラックと言うのがあるんですよ。」とニンマリ。「真面目な話、本編で撮ったんですけど、あれは一部で、サントラ用に我々歌を撮りまして、それは本編より長い、曲が丸々入っていますので、本編観てまたサントラの方で曲聴いたら印象変わると思うし、また違う面白さがあると思います。」とちゃっかり宣伝を入れつつ、歌の魅力を紹介した。


最後に水瀬さんは「今日もそうですけど、劇場で私たちが一生懸命月日をかけて作った映画を皆さんが観てくれているというのが凄く嬉しいです。なのでぜひ、お友達とか家族とか色んな人に『ここさけ。』凄く良い作品だったよって言って、また誰か違う人でも同じ人とでも良いですし、何度でも観て頂いて、より心に残る作品になってくれたら嬉しいなと思います。」と話しました。内山さんも「この映画は観た後に色々なディティールを誰かと話したり、登場人物たちがあの後どうなるんだろうと想像したくなる映画だと思うし、そう言う意味で繰り返し見たくなる映画になってると思うので、これからも『ここさけ。』を宜しくお願いします!」と満員のお客さんに向け話し、舞台挨拶を締めくくりました。


kokosake-500-1.jpg【STORY】
活発でおしゃべりだった少女・成瀬順は、自分の話してしまった<あること>によって家族がバラバラになってしまい、突然現れた”玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないよう、おしゃべりを封印されてしまう。高校2年生になった順だったが、そのトラウマから、口だけではなく心も閉ざし、目立たないように生活していた。しかしある日「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命され、ミュージカルの主役に抜擢されてしまう・・・。

2015年9月19日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズ梅田 、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸、ほか全国ロードショー

© KOKOSAKE PROJECT

(プレスリリースより)

 

 

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