「京都」と一致するもの

るろうに剣心.jpg時代劇ファンのために映画祭!『第6回京都ヒストリカ国際映画祭』

 

期間:2014年12月6日(土)~12月14(日)
場所:京都文化博物館 (最終日は京都みなみ会館) 

公式サイト⇒ こちら
 

年末恒例となった歴史映画の祭典、第6回京都ヒストリカ国際映画祭が今年も12月6日から14日まで京都文化博物館(最終日のみ京都みなみ会館も)で行われることになり先ごろ、日程と上映作品が発表された。

今年のオープニング上映作品はフランスの名匠パトリス・ルコント監督の新作『暮れ逢い』。12月10日ロードショーに先駆けて初日に上映され、ルコント監督も来日して上映後にトークイベントを行う。

最終日は今年、最も話題を集めた時代劇『るろうに剣心』シリーズ3部作の“一挙上映”が行われ、こちらは大友啓史監督とアクション監督の谷垣健治氏によるトークショーもある。

11-6-550.jpg阿部勉実行委員長は「映画祭は10年続けば一人前と言われるが、6年目を迎えて折り返し点を過ぎたところ。映画祭は何のため?  誰のためか、と言えば、やはり映画を愛する人のために、です。関西から発信して行こうという思いが強く、華やかだけど薄っぺらな映画祭ではないところを見てもらいたい」。

高橋剣プロデューサーは「最初は日本映画を中心にしていた。昨年は東映『利休に訪ねよ』、松竹『武士の献立』と京都の新作が2本あって幸運な年だった。今年は『るろうに剣心』が席巻した年ということで、“刀のアクションの凄さ”を見てもらいたいと、京都撮影所で作られた時代劇を組んだ。京都発の作品は弱くなっていると言われるが、『るろうに~』をはじめかなりの本数は作っている。時代劇はなくなるどころか、むしろ増えている。誇れる映画を作っている」と“京都の時代劇”に胸を張った。


 【その他の上映作品】
★ヒストリカ・ワールド (世界の新作歴史映画)

暮れ逢い .jpg6日午後1時
  『暮れ逢い』(フランス、ベルギー)

同午後2時55分
パトリス・ルコント監督トークショー

同午後5時半
  『黄金』(13年ドイツ)

 

 

悪戦.jpg7日午後0時、12日午後3時半
 『ガイド少年と盲目の旅芸人』(14年ウクライナ)

同午後3時
  『悪戦』(13年香港)

同午後6時半、11日午後3時半
  『トワイライト・フォレスト』(12年スペイン)

 

★ヒストリカ・フォーカス (日本刀アクション映画の系譜)

人斬り.jpg9日午後6時半
  『人斬り』(69年大映)

10日午後6時半
  『必殺4  恨みはらします』(87年松竹)

11日午後6時半
  『柳生一族の陰謀』(78年東映)

12日午後6時半
  『伊藤大輔初期チャンバラ集』

 

キートンのセブンチャンス.jpg13日午前10時20分  『キートンのセブンチャンス』(25年アメリカ) 活弁とギター伴奏付き

同午後0時20分  『忍者武芸帖  百地三太夫』(80年東映)

同3時20分  『座頭市血煙り街道』(67年大映)

同午後5時50分  『酔拳2』(94年香港)

 
 

RNK2-1.jpg14日午前10時20分  『るろうに剣心』(12年、ワーナー)

同午後1時20分  『るろうに剣心  京都大火編』(14年、ワーナー)

同午後4時  『るろうに剣心  伝説の最期編』(14年、ワーナー)

 


※京都みなみ会館での上映は★ヒストリカ・ワールド

14日午後2時半  『ベル―ある伯爵令嬢の恋―』(13年イギリス)

同午後6時  『黄金』

同午後8時40分  『悪戦』


ほかに★ヒストリカ・トークとして映画祭ナビゲーターの飯星景子さん、東京学芸大学歴史学・大石学教授ほか上映作品と連動したトークショーが多数予定されている。

 (問い合わせは映画祭事務局・075―275―9515)

ryuuguu-550.jpg浦島太郎のお話を人形浄瑠璃により、現代の物語に巧みにリンクさせた『竜宮、暁のきみ』青木克齊監督インタビュー

(2013年 日本 1時間34分)
脚本・監督:青木克齊
出演:石田法嗣、谷内里早、小林ユウキチ
★初日舞台挨拶(11/8 大阪・第七藝術劇場にて)⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://ryugu-akatsuki.jp/

11月8日(土)~大阪・第七藝術劇場、11月24日(祝・月)〜京都みなみ会館

★初日舞台挨拶!
 日時:
 11月8日(土)13:30~予定 
 登壇者:青木克齊監督谷内里早


 

~喪失の痛みで現実に向き合えなくなった青年の別れと、再生に向けた一歩~

 
ryuuguu-3.jpg日本人の誰もが知っている浦島太郎のおとぎ話をモチーフに、現代の若者が新たな一歩を踏み出すまでを描いた力作。浦浜太郎は、大学の夏休みに帰省した故郷の海で溺れ、助けようとした親友を喪ったショックから立ち直れず、ぼんやりと無気力な毎日を過ごし、心を閉ざしたまま。事故から1年余りが過ぎようとする、夏のある日、太郎の目前にどこからともなく不思議な少女みずきが現れる。太郎は、みずきとの出会いをとおして、少しずつ変わっていく…。

太郎役は、『カナリア』(2005年)以来、確かな演技力で評価の高い石田法嗣。みずきを、今注目の若手女優、谷内里早が演じる。浦島伝説にちなんだ地名や遺跡などが数多く残されている香川県の西部、荘内半島(三豊市)の美しい海や山を舞台に、人形浄瑠璃を巧みに取り入れ、一人の若者の喪失と再生が描かれ、深い余韻が残る。さぬき映画祭の企画募集に応募し、優秀企画作品に選ばれた「竜宮」を元に、脚本と監督を担当し、初の長編デビューとなった青木克齊監督が広報・宣伝のため来阪。お話をうかがった。
 


 ◆どうして今、浦島太郎を?
ryuuguu-di2.jpg―――浦島太郎のお話が、主人公の太郎の境遇とうまく重ねあわされ、映画の中で生きていました。
監督:亀を助けて、良いことをしたはずなのに、仕打ちみたいなことで終わるという最後の結末が、子供心によくわからなくて、なんでだろうと気になっていて、ずっと好きなお話です。これをモチーフにしたらおもしろい企画になりそうで、人の出会いや別れとか、縁に関わる話にしようと思い、映画の冒頭に出てくる「君に逢ふ夜は浦島が玉手箱 あけて悔しき我が涙かな」という和歌を知った時、これを話の軸にしようと、発想していきました。「あけて」というのは掛詞で、「夜が明ける」という意味と「玉手箱を開ける」という意味があります。夜が明けて悔しくて涙が出るという恋の歌で、男の人が夜、女の人のところにしのんでいって、夜明け方に帰らないといけない、別れがたく寂しいから涙が出るという悲しみを、浦島太郎が玉手箱を開けて、おじいさんになってしまった時の呆然とした思いを、つらさに例えている歌です。それをこの映画の中でできるんじゃないかなと思いました。

 

◆配役について
―――太郎役の石田法嗣さんの表情がよかったですね。
監督:石田法嗣といえば、もっとすごい役者なんです。これは僕がこれから勉強しなければいけないところで、石田君のよさをもっと引き出さなきゃいけないというのが僕の反省点です。せりふが少なく、感情の起伏もあまりない役で、ちょっとした仕草や表情で表現しなきゃいけないので、ものすごく大変だったと思います。石田君は脚本を読みこんで、現場でも、ここはこういう感じでやりたいと思うとか、そういう話は互いにものすごくしました。常に悩みながらやっていたような印象があります。


ryuuguu-2.jpg―――谷内さんも難しい役回りで、元気で明るくて、やたら太郎にかまう感じですが、映画が進むにつれ、印象が変わっていきます。どんな人物として描こうとしたのですか?
監督:太郎のまわりでうろちょろして、沈んでいる彼を楽しませ、前向きな気持ちにさせます。でも、実は、自分の方がずっと深刻な状態にあるというのをうまくやってもらいたかった。自分の人生、深刻な状況は受け入れていて、その上で、自分ができることは何か、太郎をどう救ってあげられるのか、そういうことをやろうとしている人物として描きたかった。しゃきしゃきした明るい人間が、実は、深刻なことを抱えているというのは、よくあります。自分がそういう状態でも、前向きに、楽しい瞬間を明るく過ごすことができる、そんな子に背中を押され、太郎が人生に対して後ろ向きだったのが、前を向くというのを、二人の関係を通して描ければと思いました。谷内さんには、できるだけ自然にということをずっと言い続けていたので、いい意味で、力が入らずリラックスしてやってもらってたかなと思います。


―――谷内さんが踊っている砂浜は、とてもすてきな場所でしたね。
監督:鴨の越の浜辺は、浦島太郎が亀を助けたといわれる場所です。そこを見た時、この映画の舞台になると思い、映画はここから始まりここで終わるようにいきたいと思いました。潮の満ち引きで、あの砂浜の場所が現れたり沈んだりします。崖の上の道から見下ろすと、潮が引いた時は、砂浜が円形に浮き上がって、まわりは水で、海辺の舞台みたいに見えたので、ここで踊ってもらおうと考えました。


◆人形浄瑠璃について
ryuuguu-5.jpg―――人形浄瑠璃の声は、石田さん、谷内さんと、亀の声を子役の丸山歩夢君がやっているのですね。
監督:「浦島太郎」という演目自体、人形浄瑠璃には存在しません。だから、人形浄瑠璃で浦島太郎をやるには、一からつくらなければなりませんでした。該当する役の人に声を当ててもらうアテレコというかたちが一番よいと、オリジナルの人形浄瑠璃をつくりました。振付をしてくれたのは、文楽協会の吉田文司先生です。本物の人形浄瑠璃をそのままやってもおもしろくないと、黒塗りをバックに照明で遊ぶということをやりました。音楽も義太夫節じゃないので、映画音楽をつけ、背景の音で、今、どこにいるのかわからせるようにしました。

亀の人形もなかったので、剥製でいくしかないと決め、人形の大きさを計って、これぐらいの亀の大きさなら、人形が上に乗る時の見え方がおかしくないところで、ヤフーオークションで探しました(笑)その時、世界一、亀の剥製をほしがっていたのは僕だと思います(笑)。


ryuuguu-di1.jpg―――人形浄瑠璃を入れようというアイデアは、いつ思いついたのですか?
監督:プロデューサーとロケハンしていた時、たまたま地元で伝統を引き継ぎながら細々とやっている人形浄瑠璃の保存会(讃岐源之丞保存会)があると知って、映画に使えないかと思い、発想しました。現地に行かなければわからなかったことです。地元に密着したさぬき映画祭という企画にもマッチするし、浦島太郎というおとぎ話をモチーフにした作品にとって、人形浄瑠璃を入れるというのはいいことだと思って、相談しました。

台本の段階で、人形浄瑠璃のシーンをどこに入れるかは決めていて、吉田先生にも、浦島太郎のどういう場面を、どんなシーンの間に入れるか、お伝えした上で、動きをつくってもらいました。現代のお話と浦島太郎の物語をリンクするようにしていましたので、この点は、撮影前後で変わっていません。


◆小道具について
―――太郎が、夜中に、桃を食べるシーンが印象的でした。
監督:太郎が、ひとつ前に進む気持ちを持った瞬間だと思います。桃は仙人の食べ物で、不老長寿とか生命の象徴でもあります。太郎は生きながらに死んでいたわけですから、桃をかぶりつくことで、生きる力を手に入れたい、ということをやりました。もともと、浦島太郎のお話で、太郎に桃をあげた地元の友人・恭平の役を農家という設定にした時、たまたま香川の特産で桃があって、単純に、浦島太郎に対して、桃太郎という遊びをやりたくて、ぴったりだと思い、桃にしました。


ryuuguu-8.jpg―――恭平は、太郎を励ましながらも、時にきついことを言ったり、存在感がありました。
監督:恭平を演じた小林ユウキチ君は唯一、脚本の段階から、彼にやってもらいたいと思って書いた役です。師匠の佐々部清監督の作品の時に、現場で一緒にやっていて、当時まだ彼は17歳くらいで、いいなと思い、いつか一緒にやりたいと思っていました。彼なりにキャラクターをつくってきてくれて、僕のイメージより少し硬派な恭平という役になりました。台本を書いている時から、小道具が何かつながっていくというのは大事にしたいと思い、恭平から手渡された桃を太郎が食べるという流れにしました。


―――小道具といえば、オルゴールがよかったですね。
監督:里早さんに踊ってもらおうと思っていたのでああいうオルゴ-ルを使えば人の想像していないところにつなげられるなと思って、取り入れました。オルゴールの曲は、映画音楽の人につくってもらった曲です。実際のオルゴールは蓋を開けたら音楽が鳴り出す仕組みですが、映画では違う仕組みに変えています。


◆さいごに
―――海の中のシーンの撮影は?
監督:撮影はプールで、背景だけ実際に海に潜って撮ってきた映像と合成しています。夜、溺れているところの光は海の光で、最後、上がっていくあたりは仕込みのライトです。香川県に水深4メートルの飛込みプールが一か所だけあって、そこでロケさせてもらいました。カメラマンは水中にいて、役者が出たり入ったり、石田君は泳げなかったので、練習してもらって、でも、泳げるのと潜れるのはまた違って、苦しみながらやってもらいました。僕はプールサイドにいて、モニターで大丈夫?とか言うだけで、役者とスタッフの力、なにより俳優さんの頑張りです。


ryuuguu-di2.jpg―――監督が一番気に入っているシーンはどこですか?
監督:最後の方の長回しが一番やりたかったことです。太郎が走って海の方にいくのを、本当は、途中で切らないで、一連でやりたかったんですが、単純に、ロケ場所のつながりが、途中に階段があったり、走るには危ない場所があったりで、一連で行けなかったので切りました。車にカメラをのせ、走っていく石田君を撮りました。イメージは、一連でいっているように見せて、海で、太郎がみずきを探すところは、自分でもイメージどおりにやれたかなと思います。


―――最後の場面、余韻が残っていて、いいですね。最後の声は?
監督:男女含めて誰の声と言われても、全部正解だと思います。映画を観られた方がどう考えたかということで、あえて誰の声だかわからないようにしています。


 ―――観客の方へのメッセージをお願いします。
監督:「君に逢ふ夜は浦島が玉手箱 あけて悔しき我が涙かな」の和歌ですね。一歩前に踏み出した感じ。それからタイトルです。夜明けのあなた、というのは、あなたにとっての大切な人は誰ですかということです。観客の方々が感じたままに、それぞれ観たときの印象から、体調にもよるかもしれませんが、自分なりのメッセージをつかんでもらえたらいいなと思います。


自分のせいで親友を死なせてしまい、罪の意識から、自らの時を止め、前に歩けなくなってしまった現代の太郎。海の中の竜宮城でずっと楽しく過ごしたかったのに、玉手箱を開けてしまい、過ぎた時は返らないと嘆く、おとぎ話の浦島太郎。“時”をめぐる二つの物語が、登場人物の声で演じられるオリジナルの人形浄瑠璃を介して溶け合い、海の底の世界や、和歌の言葉の響きと重なり合って、味わい深い世界が広がる。テンポよく展開するドラマは観る者をひきつけて離さない。「脚本の段階でこだわって、あとは、現場での役者さんやスタッフとの化学反応で、いいものを取り入れていきました」という青木監督。第二作目が楽しみだ。 

(伊藤 久美子)

onodera-di-550.jpgあり得ない姉弟!?『小野寺の弟・小野寺の姉』西田征史監督(39歳)インタビュー

(2014年10月14日(火)読売テレビにて)


 (2014年 日本 1時間54分)
原作: 西田征史「小野寺の弟・小野寺の姉」(リンダパブリッシャーズ刊)
監督・脚本: 西田征史 
出演: 向井理、片桐はいり、山本美月、ムロツヨシ、寿美菜子、木場勝己、麻生久美子、大森南朋、及川光博

2014年10月25日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、ほか全国ロードショー!

★作品紹介⇒ http://cineref.com/review/2014/09/post-430.html
★向井理&片桐はいり 舞台挨拶⇒ http://cineref.com/report/2014/10/post-172.html
★公式サイト⇒ http://www.onoderake.com

(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会


 

~ちぐはぐ姉弟愛が照らし出す、様々な家族像~

 

まず、片桐はいりと向井理が“姉弟”というキャスティングに惹かれた。適齢期を過ぎても一軒家で一緒に暮らしているという、世間的には微妙な感じの姉弟が織りなすヒューマンドラマは、世間とのズレ感のあるユーモアと温もりのある愛情に満ちた感動で、様々な家族の在り様を見せてくれる。

onodera-550.jpg親を早くに亡くして姉弟だけで生きてきた二人。弟の進は調香師として「ありがとう」の香りを開発中で、姉のより子は商店街のメガネ屋さんで働いている。進は姉に対してある負い目を感じていて、より子は弟にだけは幸せになってほしいと、常日頃から弟のためにいろいろな気遣いをしてきた。お互いを思い遣るあまり思わぬ方向へと物語は進んでいく。家族だからこそ心配せずにはおられない気持ちが空回りしたり、かすかな恋の望みが輝き出してはワクワクしたり、この姉弟に感じる親密さが心を捉えて離さない。

今やTVや映画に舞台とヒット作を次々と打ち出している脚本家・西田征史が、満を持してオリジナル脚本で挑んだ映画初監督作『小野寺の弟・小野寺の姉』。片桐はいりと向井理という顔の大きさだけでも対称的な二人を中心に、絶妙なキャスティングで脇を固め、家族だからこそ生まれる喜怒哀楽を、レトロな雰囲気の中に滋味深く描きだして秀逸。

そのノリにノッテいる西田征史監督に、本作が生まれる経緯やキャラクターに込めた思いなどを伺った。


――― 対称的な二人だが、姉弟という発想は?
いやいや、「あの二人が姉弟に見えないじゃん!」という世間の反応が驚きでした。そうか、そう見えているのかと逆に。以前から二人をよく知っているので、二人の空気感やルール観とかがとてもよく似ているなと感じていたので、家族、姉弟でもおかしくないという認識でした。違和感を与えるつもりではなく、自然と二人をキャスティングしていました。

――― 二人のアンバランスな外見の面白さもあり、また深い想いを内面に秘めながらも脱力感たっぷりの演技を引き出していたが?
片桐はいりさんに言わせると、「遺伝子的にあり得ないんじゃないか?」と。勿論、僕はそうは思っていませんけどね!(笑)。

onodera-5.jpg――― 向井さんは元々進のような感じ?
結構いたずらっぽい処もあるので、クールでカッコイイだけでなく、向井くんの素の可愛らしさを出したいと思っていました。彼自身は無理をしたくない。自分にウソをつきたくない。本質的に飾り気がなく、嘘くさくない人なので、結構こういう空気を持っていると思います。

――― 舞台と同じキャストだが、映画化する際に変えたことは?
舞台表現は発声や動作を大きくしなければならないところもありますが、向井君はそれが生理的に合わないところがあって少し衝突したこともありました。どうしても下を向いてしまうので、「それでは顔が見えない。もう少し顔を上げて気持ちの落ち込みを表現してほしい。」と言うと、「この感情だとどうしても目線を上げられない」と。でも、「進」という人物を表現するための理想の形はお互いわかって、共有できていたので、舞台の表現としては苦しんだ点も、映画で表現する場合は無理なく、というか、理想の進を表現してくれました。

――― 今後向井さんをどう変えていきたい?
今までやってない役を是非。向井君の事務所のある方も、「三枚目は西田のためにとっておくから」と言ってくれました、冗談でしょうけど(笑)。極限までカッコイイとか、もしくは内面的にこじらせちゃうとか、いろんな面を見せていけたら嬉しいですね。

――― キャラクターのモデルは?
それが特にないんですよ。こんな二人のやり取りが見てみたい、と思って書きました。


 
onodera-di-2.jpg――― 脇役も絶妙なキャスティングだったが?特に担任の先生役の木場克己さんが面白かった!

嬉しいな。若い先生役の時にはカツラを付けて頂き、それが妙に似合っていて、フォークソングでも歌っていそうな雰囲気でした(笑)。いやぁ、さすが、味がある俳優さんです。

――― 山本美月さんは?
圧倒的に可愛らしいので、今回はその部分を出せたらいいなと。一番気にしたのは向井君との距離感。向井君は、自分の中に戦略があってでしょうけど、初対面の人とはあまり喋らない方なので、初日はお互い役として距離があるシーンなのでそれで良かったが、後半のデートのシーンではもっと親しくなった方が芝居がしやすいかなと僕的に思って、撮影の合間に二人が仲良く話せるよう共通の話題を提供したこともありましたね。

――― お見合いパーティのコーディネーターみたいですね?(笑)
カメラが回っていない時の空気作りをしただけですよ。

――― 向井さんとの距離感を考慮した上でのキャスティング?
元々の役に合う空気感が重要だと考えています。以前からの友だち付き合いから、「ちょっと出てもらえます?」という感じで麻生久美子さんや大森南朋さんなどにお願いしました。

――― 脇役の妙味は?
憎めない人をキャスティングしています。ムロツヨシさんの場合は、スキがあって完璧過ぎない人がいいかなと。見方によっては悪役となってしまう及川さんも、天然なのかなと許してもらえそうな雰囲気を持っている処。ベテランの木場克己さんは、一見堅実だがどこかユーモラスな人柄とか。


onodera-3.jpg――― よく練られた脚本のようだが、発想は?
「小説書きませんか?」とお話をいただいた時、自分が書きたいことって何かな?と考えました。丁度『怪物くん』や『TIGER&BUNNY』を書いていた頃で、地球を救う!とかのスケールの大きな話が続いていた。そこで、今度は人間の営みを見つめたものを書いてみたいと思ったんです。
何を書こうかなと思った時偶然目にしたのが、50歳の息子が70歳の母親を殺したという事件でした。50歳の引きこもりがいたことに驚いたんですが、20年前から引きこもってたら30歳の引きこもりなわけで、今では普通のこと。もしかしたら、二人はそのまま変わらないのに、20年という年月が世間から異様に見られ二人の関係を危ういものにしていたのでは?と思い、適齢期を過ぎても二人で暮らす姉弟の物語を思いついたんです。

――― 二人はずっと独身のまま?
いやいや、そうではないかもしれないし、そうかもしれない。ただ、今は、こんな二人がいてもいいんじゃない、と受け止めて頂ければいいかなと思っています。

――― 小説の段階から映画化の予定だった?
んー、いきなりオリジナルを映画化しようとしても難しく、原作があった方が企画も通りやすいと知っていたので、映画化できたら嬉しいなと思っては書きましたけど。

――― 映画初監督だが、舞台との違いを感じた点は?
はっきり言って、撮影中はとても幸せな時間だったんです。僕、妄想癖があるので、自分の頭に浮かんだ物語を好きな言葉で伝えていきたいと常々思っていました。舞台って、観客の反応をナマで感じられる喜びがあるが、日々観客の反応も役者のテンションも違うので理想と違う芝居になることもあるんです。そこが面白くもあるんですけど。その点映画は、これだ!というカットも音楽も理想とするものを作ったら、それがブレることなく世の中に出せる。自分の頭の中にあるものを具現化するには理想的なコンテンツだなと感じました。

――― 多岐に渡るジャンルを手掛けているが?
そうですね。自分の中で直前に書いたジャンルではないものを次の作品で書きたくなるんです。

――― 創作の源は?
小さい頃から妄想癖があって、それらを具現化しているだけ、とも言えますね。

onodera-2.jpg――― 映画化に際し、こだわった点は?
そもそもこのテーマは映画向きかなと。TVドラマでは許されない地味さだと思うので、最後まで全体を見てもらって最後に伝えられる映画だから描けたのかな、なんて。舞台だと目線だけでは伝わらないことでも映像では可能ですよね。今回特に二人の芝居が良かったので、1カットで二人の距離感や心情が捉えることができました。これも映画ゆえの表現力かなと。

――― 間のとりかた?
無駄な間は嫌いなんです。でも、その場の芝居が良ければカットを割らずに見せた方がいいと思いました。僕の芝居はテンポが速いんですけど、それを二人はとても心地良く演じてくれました。二人は僕が理想とするテンポと同じ感覚を持ってくれているような気がしています。

――― 演出は細かい?
とても細かい方だと思います。ダメ出しすることも多くて。でも、今回は今までの中では一番少なかった。主演の二人が、より子と進、そのものだったからです。


onodera-di-3.jpg――― 家族観について?
僕が理想とする家族観を載せているかも。親子でも気を遣い過ぎてすれ違うことはあると思んです。些細なことでもお互いを思い遣りながら、時間が過ぎてしまう。映画を撮り終えてから、自分の中にある家族の距離感を改めて感じました。家族によって距離感は違うと思うので、結果としてやっぱりどこか自分の家の家庭像が出ているのだと思います。

――― 昭和的な雰囲気の美術だったが?
元々レトロなものが好きなんです。この映画では、世の中から取り残されているような姉弟なので、その辺りが強調されればいいかなと。

――― 撮影や照明など、雰囲気作りのための工夫は?
色々と提案してほしいと日頃からスタッフにお願いしていたら、いろんな案を提案してもらえ、皆といろいろ話し合って作ることができました。信頼できるキャストとスタッフだったので本当に助かりました。

――― 今回女性にとって切ない描写があったが、女性を意識していた?

いえいえ、あまり男性向けとか女性向けという意識はしていません。いつもそうですけど、女性だからといって、女らしさを無理やりのせるのは止めようと思ってます。一人の人間としてどんな思いで生きているのかを表現したいという考えしかなかったというか。

――― 目指したいものとは?
生と死を見つめたような本作とは真逆なものを作ろうかなと思っていましたが、この映画が完成したら、誰もが温もりを感じて下さるようなハートウォーミングな作品がやっぱりいいかな、と。そんな作品が作れることは本当に幸せなことだと思うんですよねぇ。


あり余るアイデアをひとつの物語に集約させる才能に長けたお方のようだ。速いテンポで演出するには鋭い観察力ときめ細かな配慮も必要だろうが、それらを的確こなせる能力が作品の完成度に繋がっているのだろう。一緒に仕事して共に成長できるような監督。今後、西田旋風によって活性化していく日本のエンタメ界が楽しみだ。

(河田 真喜子)

 

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ノルウェーの名匠、ベント・ハーメル監督が”測る”をモチーフに描く最新作『1001グラム ハカリしれない愛のこと』記者会見@TIFF2014
登壇者:ベント・ハーメル監督、アーネ・ダール・トルプ(主演女優)
 

~測ったように正確な日常が壊れたとき、新しいものの重みに気付く~

 
10月23日より開催中の第27回東京国際映画祭でコンペティション部門作品として出品されているノルウェーの名匠、ベント・ハーメル監督最新作『1001グラム ハカリしれない愛のこと』。“計量”をモチーフに、物の重みから人生の重みまで、様々なものの“重み”に思いを馳せたくなるヒューマンドラマだ。
 
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アーネ・ダール・トルプ演じる主人公のマリーは測量研究所に勤める女性研究員。毎日ノルウェー産の青い一人乗り電気自動車Buddyで出勤し、帰宅するとダブルベッドの半分だけに敷かれたマットレスの上で眠る。正確さが求められる仕事をこなし、淡々と日常を送っているマリーに訪れたのが、病気で倒れた父親の代理で、パリで行われる「1キロ」の重量学会に出席するという大役。厳重に保管された1キロの重りを握りしめてパリへ出張するマリーに新たな出会いと、思わぬトラブルが訪れる。
 
ベント・ハーメル監督らしい綿密に計算された演出や、ショットの数々。学会中に居眠りする研究員をさらりと映し出すなど、万国共通の人間のちょっと笑える日常も散りばめるのもハーメル流ならば、その中で孤独に生きる人間の変化を丹念に描き込むのもハーメル監督らしい物語といえよう。それに加え、今回は測量研究所が舞台となっているだけあり、日ごろ当たり前に考えている重量や計測について様々な考察が加えられているのも新鮮に映る。また、クールなノルウェーでの映像と、陽光溢れるパリの映像が主人公の心境と重なるかのようなコントラストを見せ、大人の女性の成長&恋物語としても見ごたえのあるとても洗練された作品だ。
 
10月25日に行われた記者会見では、ベント・ハーメル監督と主演のアーネ・ダール・トルプさんが登壇し、ハーメル監督が描く「孤独」についてや、ノルウェーやヨーロッパにおけるハーメル監督の評価、ハーメル監督作品で演じるにあたって苦労した点などが語られた。その内容をご紹介したい。
 

(最初のご挨拶)
ベント・ハーメル監督(以下ハーメル監督):これまでも私の作品はロングライトより配給されており、非常にうれしく思います。これからもこの関係が続いてくれればと願います。
アーネ・ダール・トルプ(以下アーネ):日本は初めてですが、とてもワクワクしています。ノルウェーにとって日本は憧れの土地で、友人に話すととても羨ましがられました。これから凄い冒険をするような気持ちです。
 
―――一人の女性の物語でありながら、キログラム(測量)という素敵なモチーフも散りばめられていますが、どちらが先にアイデアとして浮かんできたのですか?
ハーメル監督:全てが一度に浮かんだ、感じたといっても過言ではありません。もちろんキログラムの原基の話は面白いと思いましたが、それと同時に原基はいろいろなものを象徴しています。全てを感覚的に感じ、ストーリーを伝えたいと思いました。何か自分が作りたいものは元々自分の中にあり、何かに出会うことによって開花するのかもしれません。
 

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―――今まで男性を主人公にし、孤独を描くことが多かったですが、今回は女性を主人公に据えつつも孤独な生き方が映し出されています。これは監督ご自身の映画におけるトーンなのでしょうか。それともノルウェーという国からくるトーンなのでしょうか。
ハーメル監督:私の作品の中には孤独が底辺にあるのは事実で、ある程度はノルウェーという国に起因しているかもしれません。あるジャーナリストが私のことを「メランコリーウォッカベルト」と呼んだことがありますが、私は孤独というのは普遍的なものだと思って描いています。
 
主人公役のアーネは立派な女性です。ただ私のアプローチの仕方としては彼女を女性として描くのではなく、一人の人間として描いています。もし主人公が男性であっても、行動はそんなに変わらないのではないでしょうか。人間の本質を描いたつもりです。一つエピソードがあるのですが、何年も前に私の妻とアーネがタクシーに乗った時、アーネが「なぜあなたのご主人は女性を主人公にしないの?今度女性を主人公にするようにお願いをしておいて」という話をしていたそうです。妻は「わかったわ」と答えたそうですが、今回偶然主人公にアーネを抜擢したとき、後からアーネと妻は笑っていたそうです。
 
―――映画の中の車などのディテールや、バスルームの男女のやりとりもとてもキュートでしたが、今回の台詞のやりとりは全て脚本によるものですか?
アーネ:ほとんど脚本どおりです。やりとりは主に測定の単位をジョークっぽく話しているのですが、唯一私が考えたアドリブは「一握り」と言って、私の胸を触らせているくだりです。
 

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―――アーネさんからみたハーメル監督や監督の作品に対する印象を教えてください。
アーネ:ハーメル監督は、ノルウェーでとても有名な映画監督として知られています。今回撮影のためにドイツやフランスで、大作に出演しているような俳優たちと仕事をしましたが、彼らは「ハーメル監督の作品なら是非とも出たい」と言っていました。それぐらいヨーロッパでは皆が作品に出演を熱望する監督です。また私たちノルウェー人自身も孤独は自分たちの中にある大きな部分だと思っていますが、孤独を描いたハーメル監督の作品がこれだけ世界各国で受け入れられていることを考えると、孤独は普遍的なものなのだと実感しています。
 
―――ハーメル監督やその現場が他のノルウェーの監督と違う点は?
アーネ:他の監督とはかなり違います。ハーメル監督の作品には「これぞ、ベント・ハーメル」というサインのようなものが必ずあります。それがあるからこそ俳優たちはハーメル監督の世界観に全部入り込み、それを表現しなければなりません。その世界観はとても好きですが、演技や動作を正確にすることで世界観を表すので、演じるのは大変でした。例えばマリーがはかりを検査し、合格したらステッカーを貼るシーンがありますが、その貼り方一つにしても正確に真っ直ぐ貼るようにしたり、廊下の歩き方など全てがとても重要でした。撮影が進んでいくにつれて、車が動き、その動き方に合わせて私がフレームの中に入り、そしてカメラが動く。それが全て一体化するという瞬間が分かるようになりました。そういう撮り方をする監督です。
 

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―――凛々しく、美しく、厳しく、孤独でもあるマリーをどのような気持ちで演じたのですか?
アーネ:マリーはほとんど笑みを浮かべません。笑みはその人の内面を映し出す、とても強い表情です。監督とも事前にマリーがどれだけの笑みを浮かべるか議論し、今回は笑みをほとんど浮かべないようにしようと決めました。マリーの雰囲気や動作から体まで全てが硬いですが、それは彼女が全てを自分で気持ちや生き方、周りまでもコントロールしようとしていることを象徴しているのかもしれません。もしマリーが途中で笑ってしまったら、私は彼女がどこに行くのか分からなくなってしまうと思ったのです。笑うことはある意味気持ちを開放することですから、最後までとっておかなければ意味がないのです。
 
また研究所は殺風景ですが、とても広く感じます。それはとても大事なことで、彼女の思考に彼女のいる環境がとても関係があると思いましたし、また彼女の環境もとてもコントロールされています。また彼女の歩き方はとても速いのですが、唯一父親の遺骨を持っている時だけはゆっくり歩いています。それは彼女自身がとても大事なものを持っているという意識があるから、ゆっくり歩いているのです。
 
(江口由美)
 

『1001グラム ハカリしれない愛のこと』
(2014年 ノルウェー=ドイツ=フランス 1時間33分)
監督:ベント・ハーメル
出演:アーネ・ダール・トルプ、ロラン・ストッケル、スタイン・ヴィング
2015年10月31日(土)~シネ・リーブル梅田、京都シネマ、11月14日(土)~シネ・リーブル神戸他順次公開
 
公式サイト ⇒ http://1001grams-movie.com/
 

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「自信を持ってお届けできる作品」宮沢りえ、7年ぶりの主演作&世界へ臨む意気込みを語る~『紙の月』記者会見&ワールドプレミア@TIFF2014
登壇者:吉田大八監督、宮沢りえ、池松壮亮
 
(2014年 日本 2時間6分)
監督:吉田大八(『桐島、部活やめるってよ』『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』) 
原作:角田光代(『紙の月』角川春樹事務所刊/第25回柴田錬三郎賞受賞)
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林聡美
2014年11月15日(土)~丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、OSシネマズ神戸ハーバーランド、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト⇒http://www.kaminotsuki.jp/
(C) 2014「紙の月」製作委員会
 
『紙の月』作品レビューはコチラ 
 

~宮沢りえが7年間の蓄積をぶつけた渾身作。ワールドプレミアで世界に挑戦!~

 
10月23日より開催中の第27回東京国際映画祭でコンペティション部門作品として東京サクラグランプリを競う吉田大八監督最新作、『紙の月』。女性行員の巨額横領事件を題材にしながらも、事件の顛末をセンセーショナルに描くというよりはむしろ、どんどん解放されていく普通の主婦の内面の変化をドラマチックに映し出し、吉田監督の演出力や、それに応える主人公梅澤梨花役の宮沢りえの表現力に目を奪われる。
 
10月25日に行われた記者会見では、東京国際映画祭らしく海外プレスも多数参加し、世界からも注目を集めている作品であることが伺えた。その模様をご紹介したい。

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<記者会見>

 
(最初のご挨拶)
宮沢:梅澤梨花役の宮沢りえです。7年ぶりの主演作でとても大切に作った映画が、こんなに多くの海外メディアの方に注目され、とてもうれしく思っています。
池松:池松壮亮です。今日は本当にありがとうございます。東京国際映画祭から、この作品の勢いがつけばいいなと思っています。
吉田監督:監督の吉田です。皆さんとお話できるのを楽しみにしています。よろしくお願いします。
 
―――コンペティション部門作品として世界に臨む『紙の月』ですが、受賞の自信はありますか?
吉田監督:普段は日本語で考え、日本語で作ってきた映画が、東京国際映画祭のコンペティション部門

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に選ばれる機会を得て、世界でどういう風に観てもらえるのか。その反響が届くのはすごく刺激的ですし、また楽しみたいと思っています。(賞をとれたらという気持ちは)コンペティションという言葉の意味は分かっているつもりですから、負けたくはないですね。
宮沢:吉田監督は本当に撮影中、緻密な演出をしてくださいました。梨花役や『紙の月』を作り上げてきた時間は本当に妥協なく、「これ以上のことはできないと」毎回シーンに挑む度に思い、その積み重なりで出来上がった映画です。自信があるといえばありますし、胸を張ってみなさんにお届けできる映画になったと思います。
池松:コンペティション部門作品に選ばれたからには自信をもって、いい知らせを待ちたいと思います。
 
―――映画の中で、アメリカのルー・リードの曲を選曲された理由は?
吉田監督:映画が終わった後で流れる歌ですね。男性から女性を観たときに割とよく使う言葉で「ファムファタール」という言葉があります。僕の中では「ファムファタールになれる女性なんていないよね」という男性から女性を観たときに感じることを歌にしたものだと思っています。映画の中でも主人公の梨花を多くの男性が眺めていますし、彼らに梨花は見送られながら進んでいきます。見送るのに相応しい曲という点と、梨花の顔と歌声がマッチするという直観的な理由もありました。
 
―――7年ぶりの主演を務めるにあたって「それまで溜めていたものを全て注ぎ込んだ」とのコメントがあったが、具体的にはどのようなものを自らの活動の中で蓄積されていたのか?

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宮沢:10代の頃から主に映像の活動をしており、20代で舞台も経験しましたが、30歳になったときに野田秀樹さんの『透明人間の蒸気』という舞台に参加させていただき、初めて演劇を作る場での自分の無力さに気づきました。このままではいけないと自省し、40歳になるまでにできるだけ舞台に心も時間も費やしたい、そして40歳になったときにちゃんと舞台の上に立っていられる役者になりたいという目標を立てました。30代でも映画のお話はいただいていましたが、どうしても自分の40歳までの目標を達成したかったので、ずっと舞台に目を向けていました。演劇をやっていてたくさんの発見や学んだこと、豊かになれたことがあり、それらを40歳からはバランスよく映像や舞台の仕事に取り組もうと思っていたところに、『紙の月』のお話をいただきました。タイミングはとても大事だと思いますので、7年間で自分が得たものをこの映像の世界で出していこう。そういう気持ちで臨みました。
吉田監督:宮沢さんが、蜷川幸雄さんや野田秀樹さんといった世界的な舞台演出家とお仕事をされていて、映画から距離をとっているように見えていたので、映画側の人間としては少し悔しい気持ちもありました。受けていただけるかどうか分かりませんでしたが、オファーして引き受けていただいたことで、この映画はちゃんと勝負できる企画だという自信が持てました。タイミングが良かっただけというのは、後から聞いた話ですが。
宮沢:グッドタイミングなだけではなく、もちろん吉田監督とお仕事することにも興味がありましたよ。
池松:この仕事をしていると色々な女優さんに出会いますが、これだけ一つの作品に身も心も投げられる人を僕は初めてみました。
 


<舞台挨拶>

 

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記者会見後に行われたワールドプレミア上映前に、吉田大八監督、宮沢りえ、池松壮亮が登壇。満席の客席から大きな拍手が贈られた後、最初のご挨拶では「一般のお客様に観ていただくのは今日が最初で、武者震いしています。今日はよろしくお願いします」(吉田監督)、「梅澤梨花を演じると決めてから今日までは、世界を3周ぐらいマラソンしてここにたどり着いたような気分です。公開初日がゴールだとすれば、今ようやく歓声が聞こえ始め、ちょうどクライマックスだなと思います。本当に一生懸命、妥協せずに携わった作品なので、自信をもってお届けしたいと思います」(宮沢)、「一般公開前に観ていただくのはすごく緊張しますし、映画祭で上映されるということで間口も広がり、どうなるのかとワクワクしています。好きなように騒いでもらうなり、応援してもらうなり・・・いや、応援してください」(池松)と緊張と喜びに満ちたコメントが語られた。
 

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司会の矢田部プログラミングディレクターから7年ぶりの主演作に臨んだ心境を聞かれた宮沢は、「脚本をいただき、梅澤梨花という役を目の当たりにしたとき、今まで演じてきた中で初めて私の中にモデルとなる人物が見当たらず、演じきれるかという不安が大きかった。監督との話し合いや池松さんとの共演の中で、梨花という人格がようやく輪郭を帯び、最終的にはものすごい熱を帯びた梨花ができあがってよかった」と大いなるチャレンジであったことを明かした。一方、梨花が恋に落ちる大学生光太を演じた池松は、「宮沢さんとは1か月一緒に撮影し、ほんの10%も(宮沢さんという人を)分かったつもりはないが、これほど役に身も心も捧げて『この人は、もうどうなってもいいんだな』と思う女優さんは今までにいなかった」とその徹底した役作りぶりを池松らしい言葉で表現。宮沢に梨花役をオファーすることからスタートしたという吉田監督は、「梨花は逃げながら、ある大きなものに立ち向かう一方、繊細な心のゆれを感じて進む女性。ダイナミックな表現とミリ単位の表現の両方を突き詰め、撮影では毎日奇跡が起こっていた。その奇跡をこぼさず映画にできたと思う」と、綿密な演出によって最高の演技が引き出されたことを明かした。
 

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舞台挨拶後のフォトセッションでは、満面の笑みで会場の観客の声援に応えた3人。31日に発表されるコンペティション部門の受賞に期待が高まる。第27回東京国際映画祭は10月31日(金)までTOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ日本橋他で開催中。(江口由美)

 
第27回東京国際映画祭公式サイトはコチラ 
 

onodera-b-550.jpg(2014年10月22日(水)大阪ステーションシティシネマにて)
ゲスト⇒ 弟・進役:向井理(32歳)、姉・より子役:片桐はいり(51歳)


 
『男はつらいよ』みたいにシリーズ化あり?
“寅さん”“さくら”はどっち?
片桐はいりのテンションに振り回される向井理

 

適齢期を過ぎた姉と弟が、昭和の雰囲気の残る一軒家で暮らしながら、何かと文句を言いつつもお互いを思い遣る様が優しく温もりのある風情を醸し出す映画『小野寺の弟・小野寺の姉』。10月25日(土)公開を前に大阪ステーションシティシネマで開催された先行上映会で、主演の向井理と片桐はいりによる舞台挨拶が行われた。
 

★片桐はいりと向井理がまさかの姉弟になるなんて!?
onodera-b-2.jpg先行上映会に集まった500人を超える向井理のファン(?)の前に二人が登場するや否や、劇場を揺るがすような歓声が沸き起こる。先に登場した片桐はいりが、出遅れた向井理に対し「早くおいで!」と言わんばかりに大きく腕を振る。ここでも“しっかり姉ちゃん”なんだ!「何で出てくるのが遅れたの?」と聞かれ、「上映後の舞台挨拶は初めてだったので、ちょっと怖かった」と。
「持って帰りたいと思うような可愛い向井君が見られます!」と映画を紹介する片桐。進と同じ黒縁メガネをかけた向井理に「いつまでメガネかけてんの?」と一喝。そこで会場からも「外して~!」という声が上がり、メガネを外す向井理。「キャ~可愛い!」とこれまた黄色い歓声。

 

onodera-bk-1.jpg★シリーズ化の可能性は?
恋におくての弟を気遣う姉と、姉に負い目を感じている弟、不器用な生き方しかできない二人の想いが何とも優しくて微笑ましい。「二人はこのまま独身なんだろうか?」という疑問から「シリーズ化の可能性は?」と聞かれ、「〈寅さん〉みたいに?向井君は〈さくら〉?」と言う片桐に、「性別逆だろう?」と向井。「いや、顔の形からしてそうなるんかな~と?毎回マドンナが出て来て向井君がフラれる?それじゃ向井君が〈寅さん〉みたい!」(笑)

 

 
onodera-bm-1.jpg★大阪の印象は?
向井は、「両親が関西出身なので子供の頃からよく遊びに来ていました。大阪湾で釣りをしたり、和歌山の白浜へ遊びに行ったり。最近ではこうしたキャンペーンや舞台で来ることが多いです。大阪はいろんなものをギュッと詰め込んだような濃い感じがする」と。一方片桐の方は、「母親が関西出身なのでしょっちゅう来ています。特に大衆演劇が大好きで、通天閣の辺りなどは日常的にうろついています。」と意外な発言。また「これって大阪をイメージした服装?」と向井に聞かれ、「嫌われないようこんな服着て来たら、逆効果だと言われ落ち込んでます。」(笑)とお茶目な目をキョロキョロさせてファンキーな表情で笑わせる片桐。まるでオモチャみたいな女優さんだ。

 


onodera-b-3.jpg★何の除幕式?
ここで、舞台中央に置かれた白い布をまとった物体の除幕式が行われた。「中に何が入ってるんだろう?西田監督が出てきたりして!?(笑)
」と言いつつ片桐が赤い紐を引き、向井がそれを支える。ジャジャ~ン! 劇中でも登場した小野寺家のクリスマスツリーの登場!!イラストデザインの〈いぬんこ〉による二人の似顔絵が描かれたオーナメントがいっぱい飾られたツリー。「なんか不思議なツリー」と驚く向井。「私の歯まで丁寧に書いて下さっています」と、重要な意味を持つ〈より子〉の歯に注目した片桐。


onodera-bm-2.jpg「全天候型」の映画!?
「こうして向井君と姉弟でいたり、撮影中もとても居心地のいい作品でした。どの層の家族の方に見て頂いても対応できる全天候型の映画になっています。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんと、お一人ずつ連れて何回でも見に来て下さいね。」と片桐はいり。
「西田監督が描き出す世界には悪い人は出て来ない。クセはあるけど憎めない人たちばかりです。日常のエッセンスを集めて物語を膨らませた、これが映画だなと思える作品です。この映画に出会えて本当に幸せだと思っています。いろんな人の気持ちを揺さぶり、心に残る作品だと思いますので、また見に来て下さい。」と向井理が舞台挨拶を締めくくった。

(河田 真喜子)
 


  『小野寺の弟・小野寺の姉』

onodera-550.jpg(2014年 日本 1時間54分)
原作: 西田征史「小野寺の弟・小野寺の姉」(リンダパブリッシャーズ刊)
監督・脚本: 西田征史 
出演:向井理、片桐はいり、山本美月、ムロツヨシ、寿美菜子、木場勝己、麻生久美子、大森南朋、及川光博

2014年10月25日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、ほか全国ロードショー!

(C)2014 『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会

 


★作品紹介⇒ http://cineref.com/review/2014/09/post-430.html
★西田征史監督インタビュー⇒ http://cineref.com/report/2014/10/post-173.html

★公式サイト⇒ http://www.onoderake.com


    

 

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偽オカマで魅了しちゃう!?『小川町セレナーデ』大阪初日舞台挨拶
(2014年10月18日(土)シアターセブンにて)
ゲスト:須藤理彩、藤本泉、原桂之介監督
 

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『小川町セレナーデ』
(2014年 日本 1時間59分)
監督:原桂之介
出演:須藤理彩、藤本泉、安田顕、小林きな子、高橋洋、阿部進之介、濱田ここね、大浦龍宇一、金山一彦、大杉漣(特別出演)他
2014年10月18日(土)~シアターセブンにて絶賛公開中
公式サイト⇒http://ogawacho.com/
(C) 2014「小川町セレナーデ」製作委員会
 

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昭和の香りがするスナック「小夜子」を舞台に、ちょっと不思議な面々が集まる、味わい深くて温かい家族ドラマが誕生した。女手一つで娘を育てるシングルマザーの真奈美と、スナックと同じ名前であることを嫌がり、町を出た一人娘小夜子、そしてかつて真奈美が働いていたオカマショーパブのスターダンサーであり、小夜子の実の父親であるエンジェルらが織りなす『小川町セレナーデ』。
 

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須藤理彩が演じる真奈美の一人で子どもを育てる覚悟や、藤本泉演じる小夜子のスナック小夜子再建をかけた偽オカマ修行ぶり、そして安田顕演じるエンジェルの真奈美や小夜子との絶妙な距離感やオカマならではの悲哀など、スナック小夜子の運命と共に綴られる家族の行方から目が離せない。また、昭和風スナックから一転して煌びやかなオカマショーパブに転じるスナック小夜子とそこで歌って踊られるダンサブルなナンバーの数々も楽しめる。既に公開されている東京では「エンジェルさんの姿を自分に重ねて涙が止まらなかった」というオネエサマの声から、真奈美や小夜子に共感したという声まで、様々な反響が届いているという。

 

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関西での公開初日となった10月18日(土)、シアターセブンにて初日舞台挨拶が行われ、本作が初監督作となる原桂之介監督、須藤理彩、藤本泉が登壇。立ち見も出る満席となった会場から大きな拍手が沸き起こった。まず最初に「現在京都にて撮影中で、初めて京都から新幹線で新大阪入りという贅沢な来阪を果たした」(須藤)、「関西に親戚がいるのでプライベートではよく訪れているが、舞台挨拶では初めて」(藤本)、「『どついたるねん』など阪本順治監督の初期作品が大好きなので、大阪も大好き」(原監督)と大阪舞台挨拶の感想が語られた。

 

 
 

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シングルマザーとしてスナックを切り盛りしながら娘を育てた真奈美の役作りについては、「私自身も現在子育て中だが、真奈美は私以上に『一人で子どもを産んで育てる』覚悟があり、きっと心の中に秘めたことや辛いことを抱えている女性。演じる上では、いかに誰もいない時にふと見せるような表情で真奈美の心情を表現するかに苦労した」(須藤)とキャラクターの内面を掘り下げて演じたことを明かした。一方、訳ありの両親から生まれた小夜子の役作りについては、「小夜子は小さなときからコンプレックスを抱えて大きくなった娘。私自身演じながら、この家族はどうなるのかと現場でも思っていた。須藤さんと安田さんが現場を離れても同じような距離感で接してくださった結果が演技にも出ていると思う」と藤本が語れば、「親子は成長していくと微妙に離れていく時期があり、真奈美と小夜子は少し距離をとっている感じ。逆にエンジェルと小夜子の方が本当の親子のように女子トークができたりする。とても面白い関係」(須藤)と小夜子を中心にした父親、母親との関係にまで話が及んだ。

 
 

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途中で、10月21日(火)に23歳の誕生日を迎える藤本泉に、原監督と須藤さんからバースデイケーキがプレゼントされるサプライズも。感激の面持ちでの記念写真の後、「撮影中は1館しか上映が決まっていなかったが、今では25館で上映されるまでになった。絶対満足していただける自信がある作品なので、ぜひ一人でも多くの方に観ていただいて、勧めていただきたい」(須藤)と熱のこもった挨拶で舞台挨拶が締めくくられ、改めて会場からは温かい拍手が送られた。

 
 
 
 
 
 

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作品の舞台となった1階が店舗、2階が自宅のスナック小夜子は、「役作りが必要ないのではと思うぐらいの生活感がそこにあり、役者として非常にありがたい空間だった」(須藤)、「現場の空気が小夜子を作ってくれた。スナック部分も細かいところまで作り込まれていて、最初入ったときに驚いた」(藤本)と、その作り込み具合も注目ポイントだ。また、物語の後半部分では須藤が「最初に台本をいただいたときから、とことんそのワンシーンのために考え抜いた。20年近く女優という仕事をしているが、初めて『私の考える真奈美は・・・』と思いを伝えた」と語る、小夜子とエンジェルを巡る心に残るシーンも登場する。どんな現実も受け止め、自分らしく逞しく生きていくスナック小夜子の面々や、訳ありだけど素敵な家族に、きっと心掴まれることだろう。(江口由美)
 

hercules-550.jpg『ヘラクレス』

全能の神であるゼウスの息子として生まれた“ヘラクレス”が、数々の恐ろしい魔物との戦いを乗り越え、ギリシア神話最大の英雄へとなっていった伝説の物語を、ライブ・アクションの迫力と最新のVFX の融合によるヴィジュアルワールドで描いた、かつてないアクション・アドベンチャー超大作。

(HERCULES 2014年 アメリカ 1時間39分)
監督: ブレット・ラトナー(『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』 『ラッシュアワー』シリーズ)
製作総指揮: ピーター・バーグ、サラ・オーブリー、ジェシー・バーガー
製作: ボー・フリン、ブレット・ラトナー
主演: ドウェイン・ジョンソン(『ワイルド・スピードMEGA MAX』『G.I.ジョー/バック2 リベンジ』)、ジョン・ハート(『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』)、ジョセフ・ファインズ(「アメリカン・ホラー・ストーリー)、イアン・マクシェーン(『パイレーツ・オブ・カリビアン4』)
公式サイト⇒ http://www.hercules-movie.jp/
(C)2014 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

2014年10月24日(金)~TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田ほか、3D/2D全国ロードショー!!


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森脇健児、17年ずっとピンチだった!?『ヘラクレス』公開記念特別イベント

ナニワのヘラクレスとして、美女アスリートを引き連れ登場!!
 

・日時:2014年10月14日(火)9:30~
・会場:スパワールド世界の大温泉『ギリシャ風呂』
・ゲスト:森脇健児さん、青木愛さん(北京五輪シンクロ日本代表)

 



パラマウントピクチャーズジャパン配給、映画『ヘラクレス』が10月24日(金)より、いよいよ全国公開となります。2013年、“最も興行収入を稼いだ男”ドウェイン・ジョンソンが神話最強の英雄ヘラクレスを演じ、かの有名な12の難行を成し遂げた「その後」の物語を描いた本作。

hercules-re-2.jpg公開を前に、“ナニワのギリシャ”として阿倍野にあるスパワールドのギリシャ風呂にて、公開記念イベントが実施されました。ゲストにはタレントの森脇健児さん、北京五輪シンクロ日本代表の青木愛さんが、それぞれ映画に登場する英雄ヘラクレス、女戦士アタランテに扮して登場。共にアスリート(?)目線で、【肉食系アクション】と銘打った今作についてトークを繰り広げました。 

MCの呼び込みにより会場へ入ってきたゲストの森脇健児さんと青木愛さん。森脇さんはライオンのかぶりものと言う“まさにヘラクレス!”と言ったいでたち。青木さんは弓を持ち、女戦士風のスレンダーな衣装で登場。まず衣装について尋ねられ、森脇さんは「着た瞬間、いつでも闘えると思いましたね。隣は動物園やし、この格好で外歩いても違和感ないんちゃうか!?」と言って笑いを誘うと、青木さんは「カッコイイ女性に憧れているので、この衣装はピッタリだと思います!」とテレビ番組で紹介されていた通り、男前な感想を伝えました。

続いて映画のキャッチコピー「肉食系アクション」にちなみ、それぞれの肉食系談話を披露したお二人。肉食系ですか?と言う質問に森脇さんが「青木さんは恐らく肉食系ですね(笑)」と答えると、青木さんからは「何でやねん!」とすかさずのツッコミが。「ただ食に関しては肉食ですね。焼肉が大好きで10人前くらいは全然いけます。」と答える青木さんに対し、森脇さんは「僕は鶏肉専門です。牛肉は食べないんですよ。牛肉は足が遅くなるでしょ?牛は足が遅いから。本当はチーターの肉が食べたいんですけどね!」と、先日テレビ番組のマラソン企画で入賞するなど、ランナーとしての独自の意見も交えながら至ってまじめに返答していましたが、周りからはその回答に笑いがこぼれていました。

hercules-re-3.jpg劇中、ヘラクレスがピンチに陥る場面があることに引っ掛け、二人に訪れたピンチについて聞かれると、「ピンチなんてあったかな~?」とまたも男前な発言をする青木さん。すると何か思い出したようで、「シンクロの演技で使うノーズクリップ(鼻の留め具)が試合中に外れてしまって、パニックになりました!」と現役時代に体験したハプニングを披露しました。それに対し森脇さんは「夢がMORIMORI(SMAPと共演していたテレビ番組)が95年に終了して、それから京都に戻ってきて17年間ず~っとピンチの連続です。」としみじみと語っていました。

その後映画のヒットを祈願するため森脇さん得意のシャドーボクシングを披露。「一番大事なのはボディブロウ。この映画も10月24日までガード固めておいて、公開日にボディやー!!」とテンションMAXで祈願を行いました。青木さんにもシャドーボクシングをレクチャーすると、すぐに「青木さん、一人でやってみて」とむちゃぶり。青木さんは困りながらも見事なシャドーボクシングを披露、ヒット祈願を行いイベントは終了しました。

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『トム・アット・ザ・ファーム』オフィシャルフォトブック プレゼント!



tom-pre.jpg■ アップリンク 提供

■ 募集人員: 1名様

■ 締切:2014年11月16日(日)

2014年10月25日(土)~新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル梅田、11月8日(土)~京都シネマ、近日~元町映画館 ほか全国順次公開

 
世界中で注目を浴びるカナダの若き俊才・グザヴィエ・ドランの監督&主演作『トム・アット・ザ・ファーム』が10月25日から公開される。本作は、カナダの雄大な田園地帯を舞台に描く、息の詰まるような愛のサイコサスペンスです。公開記念といたしまして劇中の印象的なシーンやオフショット満載のオフィシャルフォトブックを作成いたしました。グザヴィエ・ドランがデザインした海外プレスを踏襲した装幀の大変貴重なフォトブックです。

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://www.uplink.co.jp/tom/

 



『トム・アット・ザ・ファーム』 

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~恐怖に絡め取られたトムの災難~ 

恋人のギョームを亡くし悲しみの中にいるトムは、葬儀に出席するために彼の故郷へ向かうが…。隠された過去、罪悪感と暴力、危ういバランスで保たれる関係、だれも訪れることのない閉塞的な土地で静かに狂っていく日常。10年に渡るメロドラマ『わたしはロランス』とは打って変わった本作は、カナダ・ケベック州在住の劇作家ミシェル・マルク・ブシャールの同名戯曲の映画化で、ケベックの雄大な田園地帯を舞台に一瞬たりとも目を離すことのできないテンションで描き切る、息の詰まるような愛のサイコ・サスペンス。

★作品紹介⇒ こちら

■監督、脚本、編集、衣装:グザヴィエ・ドラン
■原作・脚本:ミシェル・マルク・ブシャール
■出演:グザヴィエ・ドラン、ピエール=イヴ・カルディナル、リズ・ロワ、エヴリーヌ・ブロシュ
■配給、宣伝:アップリンク
(2013年/カナダ・フランス/102分/フランス語/カラー/1:1.85/DCP)

© 2013 – 8290849 Canada INC. (une filiale de MIFILIFIMS Inc.) MK2 FILMS / ARTE France Cinéma ©Clara Palardy
 


 

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 日本が誇る世界的巨匠・黒澤明監督。没後17回忌と傑作『七人の侍』誕生60周年を記念し、黒澤明監督の全30作品を上映する『黒澤明映画祭』が10月25日(土)から12月19日(金)までシネ・ヌーヴォ(九条)で開催される。デビュー作『姿三四郎』から遺作『まあだだよ』まで、そのほとんどが35ミリフィルムで上映され、黒澤作品を一気に堪能できる非常に貴重な機会となっている。
 
また、黒澤監督の生涯の片腕として、1950年の『羅生門』にスクリプターとして参加、51年の『生きる』以降の全黒澤映画に記録・編集・制作助手として活躍された野上照代さん、批評家・映画評論家の上野昂志さん、『七人の侍』が大好きと語られる原一男監督の3人が、それぞれトークショーを開催する予定だ。
 
“世界のクロサワ”と賞賛され、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、フランシス・フォード・コッポラら、現在世界の第一線で活躍する監督たちに大きな影響を与えた巨匠、黒澤明の作品は、時を経ても変わらぬ面白さや映画としての力、男同士の熱い物語を観る者に刻み込む。黒澤ファンはもちろんのこと、これを機会にぜひ若い世代の人たちにも“世界のクロサワ”の世界観を映画館で体感してほしい。
 
●上映作品
『姿三四郎』1943年
『一番美しく』1944年
『續 姿三四郎』1945年
『わが青春に悔いなし』1946年
『素晴らしき日曜日』1947年
『酔いどれ天使』1948年
『静かなる決闘』1949年
『野良犬』1949年
『醜聞(スキャンダル)』1950年(山口淑子さん主演)
『羅生門』1950年
『白痴』1951年
『生きる』1952年
『七人の侍』1954年
『生きものの記録』1955年
『蜘蛛巣城』1957年
『どん底』1957年
『隠し砦の三悪人』1958年
『悪い奴ほどよく眠る』1960年
『用心棒』1961年
『椿三十郎』1962年
『天国と地獄』1963年
『赤ひげ』1965年
『どですかでん』1970年
『デルス・ウザーラ』1975年 ※上映予定
『影武者』1980年
『乱』1985年
『夢』1990年
『八月の狂想曲(ラプソディー)』1991年
『まあだだよ』1993年 ※遺作
特別上映:『わが映画人生 黒澤明監督』1993年/日本映画監督協会編/インタビュアー:大島渚
 

■『七人の侍』誕生60周年記念 黒澤明映画祭

 ・開催時期/2014年10月25日(土)〜12月19日(金) 8週間
 ・開催場所/シネ・ヌーヴォ(大阪・九条)電話06-6373-1211
       地下鉄中央線・阪神なんば線「九条駅」徒歩3分(大阪市西区九条1-20-24)
 ・主催=日本映画大回顧展上映実行委員会
 ・共催=NPOコミュニティシネマ大阪、シネ・ヌーヴォ
 ・助成=芸術文化振興基金
 ・後援=京都国際映画祭
 ・特別協力=東宝
 ・協力=東京国立近代美術館フィルムセンター、KADOKAWA、松竹、ワーナー エンターテイメントジャパン、
  日本映画監督協会、中央映画貿易、黒澤明研究会、MARUZEN & ジュンク堂書店梅田店
 
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