「京都」と一致するもの

『ボクたちの交換日記』試写会プレゼント(3/3〆切)

koukannikki-1.jpg・日時:2013年3月10日(日) 
    12:30開場/13:00開映
・会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
・募集人数: 10組 20名様
・締切:2013年3月3日(日)

・舞台挨拶レポート⇒こちら
公式サイト⇒ http://koukan-nikki.jp/ 
2013年3月23日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー


 

 鈴木おさむ原作の「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」を、内村光良の脚本・監督で映画化した本作は、伊藤淳史と小出恵介をダブル主演に迎え、長澤まさみ、木村文乃、川口春奈ら豪華キャストが話題の感動作。FUNKY MONKEY BABYS書き下ろしの主題歌が温かな余韻を添える。

 結成12年、30才目前、今だ売れないお笑いコンビ“房総スイマーズ”。最近は、楽屋や移動中に話すことも無くなってきた。そこで、コンビの絆を深めるために思いついた。「交換日記をしよう」。日記に綴られていく、二人の本音。相手のダメなところ、良いところ。お笑いに賭ける情熱。二人で成功したいという思い。そして、あの時の真実。満を持して迎えたお笑いコンテスト“笑軍”の後・・・・・突然のコンビ解散。互いを思いやるからこそ“解散”しか選べなかった、この2人の生き様に今         度はあなたが涙する。 

(2013年 日本 1時間55分)
 監督・脚本:内村光良
 原作:鈴木おさむ「芸人たちの交換日記~イエローハーツの物語~」(太田出版刊)
 出演:伊藤淳史、小出恵介、長澤まさみ、木村文乃、川口春奈、佐藤二朗、佐々木蔵之介
 (c)2013「ボクたちの交換日記」製作委員会

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『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』御法川修監督インタビュー

(2012年 日本 1時間46分)
監督:御法川修 
原作:益田ミリ著『すーちゃん』シリーズ 幻冬舎刊
出演:柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶ、井浦新、染谷将太

2013年3月2日(土)~新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー

公式サイト⇒ http://sumasa-movie.com/
© 2012 映画「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」



~地道に生きる人への愛おしさあふれる応援歌~

sumasa-1.jpg 3人の30代独身女性が織りなすドラマは、ありふれた日常の延長上にあるような自然な流れで見る者の心をつかむ。精査されたセリフからは、現代を女性ひとりで生きる難しさや切なさを、それでも日々少しずつ前向きに生きる輝きを見せてくれて、地道に普通に生きる人のための応援歌となっている。

 柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶ、この個性派3人のキャスティングだけでも驚きだが、それぞれが今までにないキャラクターを自然体で演じて、男女の区別や年齢を超えて共感することが多い。「単に癒されるだけの映画にはしたくなかった」という御法川修監督の言葉どおり、本当の優しさとは、積極的生き方とは、自分の気持ちに正直に生きることとは、見る者の心に様々な思いを投げかけてくれる。
 


――― 映画化のキッカケは?
初めてこの作品を読んだ時、独身の私は、映画の仕事をしていると言っても何の保障も確信がある訳でもなく、〈すーちゃん〉は僕と同じだ!と思ったんです。益田ミリ作品に対する感動が最初の衝動として、映画が完成するまでずっと繋ぎとめられたのです。

――― 主役3人のキャスティングは?
これだけの規模の映画となると、プロデューサーと相談して、脚本も納得がいくまで時間をかけてから、キャスティングの段階に。3人の皆さんは第一希望でオファーしたら快く受けて下さったのです。

――― 主役の3人だけでなく、脇役の皆さんへの焦点の当て方が絶妙ですね?
sumasa-5.jpg原作に出会った時に感じ入ったことは、心の中でつぶやく声が絶妙で、クスっと笑いながらブラックな気分を残す。それに対し慎重になったのは、表では笑って裏では舌を出すような、本音と建前とは違うようなものではなく、この主人公たちみたいに30歳を過ぎると、年齢を重ねて来て、無意識の内に社会の中で責任ある役割を担わされ、若い時みたいにはいかなくなる。

――― 内面の成長ですね?
やはり、相手がどう思うか、気を配るようになる。心の中で自問自答する彼女らに共感するかもしれないが、実はリアルな事象で、これらが日々の中で一番見失われていることだと思う。目の前のことで精いっぱいで、正直な気持ちを曖昧にしていると思うんです。

――― 現代人を反映している?
震災以降、世の中は目にするもの耳にするものが不安だらけで、先行き不透明で神経過敏になりがち。ネガティブに閉じこもるより、信じられるもの、今日より明日、少しずつでも良くするためにも、逆に自分の寂しさや切なさにちゃんと向き合い、自分の心と体と同化して、自分の心の声に耳を澄ましたり、考えたりする時間が必要です。自分の手の届く範囲の中にいっぱい見過ごしているものや素敵なものがあるのではないか?それらをちゃんと見つけていく心と体の眼差しを獲得できれば、少しずつだけど、日々を豊かに、より奥深く手にすることが、この映画を通してできるのではと思ったのです。

――― 表現しにくいことですね?
それを映画にすると、ドラマチックな展開のない構成だし、日々繰り返される当たり前のしぐさを丁寧に描いていくしかない。俳優さんたちも、テクニックで演じるのではなく、俳優である前に人間として心を覗き込むことを恐れない強さを持っている人たちに、それぞれのキャラクターになってもらいたいと思ったのです。
3人の女優さんたちが、今までのパブリックイメージとは違い、いかに日々を丁寧に生きているか、ウソじゃなく、いろんな所で見せてくれていると思う。ストーリーとは別に、彼女たちの佇まいから、人間ってこんなにも愛おしい存在であるということを、もう一度目を開かされるような映画であってほしい。

――― それでこのキャスティングになったのですね?
キャスティングの際も、そういう感覚を共有してくれるかどうかによって決めた。カッコつけた表情は全く必要なかったので、あるがままの表情を見せてくれることが重要でした。役者さんたちも、僕の求めるものが解放された感じなので、自由に緊張感もなく穏やかな時間を捧げてくれたと思います。

――― 撮影期間は?
2012年の春に、1か月も掛かってません。

sumasa-7.jpg――― 井浦新と染谷将太の存在は?
女性たちの物語の中で、彼らが造詣してくれたキャラクターの男性の在り様に、監督としてとても満足しています。映画を通して、男も女も、悪意がなくても人を傷付けてしまっているということに対し、いかに敏感に繊細になっているのかということを示したかったので、お二人は映画に素敵なものを提供してくれました。
新さんが演じた中田マネージャーというのは、とんでもない奴なんだけど、それを単純に悪人として描いてしまうと、よくあるドラマになってしまう。人間としてもマナーとデリカシーを持っていて、一歩引いて気遣いするが故に、肝心なことを自分本位じゃないところに流されていってしまう。男性として肯定はできないけれど、そういう風に、痛みを伴いながらすれ違ってしまう一人の男性の在り様として新さんはいてくれました。
 sumasa-8.jpg染谷君の場合は、柴咲さん演じるすーちゃんが、健気に地道に生きている女性なんで、ちゃんと彼女を見守ってくれる視線がほしいという、スタッフみんなの願いだったんです。

――― 演出方法は?
ウソのないようにするという確認はしたが、仕草について指示したことはなかったです。柴咲さんが「撮影に通うということが癒しだった」と言って下さって、本当に嬉しかった。そんな彼女の気持ちが映画をたおやかにしていたと思います。

――― 柴咲さんに合ったキャラクターだったのでしょうね?
そうですね。

――― 柴咲コウさんはお料理好きだと聞いてますが?
彼女は普段から、自分のためにもきちんと料理を作っている人なんだなぁということは感じられました。言葉少ないけど、僕やスタッフに届ける言葉をちゃんと言って下さる方です。

――― 女優業だけではなく歌手活動にも力を入れておられ、出演作品も選んでおられるように感じますが?
彼女は女優という枠を超えて、ひとりの表現者として確認したいことがいっぱいあるように感じます。作り手である僕たちが、この作品を通してどういうことを表現しようとしているのか、ということを含め、参加するかどうかを決めているようです。女優として参加するだけでなく、作品をどう作り上げていくかを、共有できる方でした。

sumasa-2.jpg――― 柴咲コウの魅力満載ですね?
よく見所を聞かれますが、彼女のさりげない仕草、例えば、瞬きひとつにしても、箸の上げ下ろしにしても、振り向いた時の表情、すべてが切なげで・・・そこに感じられることを自分たちが生きることとイコールになるような感じなんですよね。

――― 最後のまいちゃんのセリフが気になったのですが?
すーちゃんだから気を許して言った言葉です。でも、すーちゃんの負担にならないよう、後で「ごめん」と電話してくる。

――― そのシーンの意味は?
絶えず迷うというのは人間として避けられないことです。迷うということも年齢を重ねていくと、いろんな選択肢が生まれてきます。それは何も悪いことではないんです。

――― 男女の違いは?
男性か女性かというジェンダーは設けていません。むしろ、女性の心情をリサーチして作っていたら、こんな映画は作れなかったと思います。

――― カラーについて?個性を際立たせるための考え?
勿論そうですが、別に語る程のことではありません。それは隠し味なんで(笑)。

――― 脚本について?
プロデューサーと脚本家と3年かけて仕上げました。特別なことなど何も起こらない構成ですが、巧妙に練られた脚本です。特に、映画をよく見ている人に見てほしいです。

sumasa-k3.jpg――― 共感しやすいセリフが多かったが?
見る側の気持ちを穏やかにして、変な緊張感を強いるものにはしないように仕上げたつもりです。ただ、共感するだけで終わる映画にはしたくない。好きでなげやりに生きている人はいないと思う。自分の手の届く範囲の中で、見過ごしていることをもう一度見つめ直して、“慈しむ”という行いをきちんと実感することで人と繋がることができる。人にちゃんと気持ちを伝えることができると思います。

―――単なる癒し系に終わっていない映画ですね?
この映画の本質をちゃんとつかんでくれたら、最後にただ明るい気持ちにはなれないと思う。主人公たちは、今後大変な試練の日々が続くと思うので、3人の友情物語でありながら、肝心なことは其々で決めていく、という孤独と寂しさと切なさを、しっかり受け止めてくれたら、見終わって、すごく人恋しい気持ちになると思うんです。
でも、そういう気持ちをネガティブにとらえないで、その気持ちこそ大切に温めてもらいたい。
そうしたら、きっと、映画を見終わった先に、ちゃんとご自身の生活の中で、いい意味で昇華してくれるのではないかと思います。

 



sumasa-6.jpg 世の中が、ある事の解釈に対しひとつの見方しかできず、偏ったまま議論されるのは想像力の欠如としか言いようがない。狭い了見でしか判断できないのは寂しいことだ。すーちゃんは、誰かを傷付ける訳でもなく、健気なまでに地道に生きている女性だ。まいちゃんは、人並みに頑張ってきたつもりが、何か無理をしてきたようだ。現状打破という積極的な生き方の先に到達した心境とは?さわ子さんは、別に人生を諦めている訳ではない。ただ、譲れない基本的な事をしっかりと持った芯の強い女性だ。それぞれの生き方に多少の違いはあるが、みんな自分の気持ちに正直で、自分の足で立って生きている。それが見ていて心地良く映る。自分もそうありたいという思いがあるからかもしれない。

 この映画を見て思うことは人様々だろう。だが、これだけは言える。何かを考えずにはおられないということ。表面的な癒しだけでなく、本当に自分が求めているものとは? 自分にとっての幸せとは? ……いろんなことをこの映画は提示してくれているようだ。

(河田 真喜子)

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koukannikki-s550.jpg『ボクたちの交換日記』舞台挨拶(13.2.6 大阪ステーションシティシネマ)
登壇者:内村光良監督、伊藤淳史、小出恵介
 koukannikki-1.jpg(2013年 日本 1時間55分)
監督・脚本:内村光良
原作:鈴木おさむ「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」(太田出版刊)
出演:伊藤淳史、小出恵介、長澤まさみ、木村文乃、川口春奈、佐藤二朗、佐々木蔵之介
2013年3月23日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、他全国公開

『ボクたちの交換日記』試写会プレゼント(3/3〆切)
公式サイト→http://koukan-nikki.jp/ 

(c)2013「ボクたちの交換日記」製作委員会

~内村監督は「鬼」だった!?うけない芸人の気持ちを身をもって体験!~

koukannikki-2.jpg 鈴木おさむのベストセラー小説「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」を〈ウッチャンナンチャン〉の内村光良監督が映画化、結成して12年の売れない芸人コンビ「房総スイマーズ」の、夢を追い、挫折し、それぞれの道を歩んだ末にたどりついた絆を描いた感動作『ボクたちの交換日記』が3月23日(土)から公開される。伊藤淳史と小出恵介が次第にコンビ間の本音をさらけ出しながらラストチャンスにかけるお笑いコンビを熱演。売れない、うけない辛さや夢と現実、家族との狭間の葛藤、夢を追いかける勇気、諦める勇気などを、交換日記を軸に描いていく一方、また芸人裏事情の描き方や、劇中コントに内村監督のこだわりが感じられる作品だ。

 公開に先駆け大阪ステーションシティシネマで行われた舞台挨拶付き先行プレミア上映では、満席のお客様を前に、初の監督と主役二人のそろい踏みとなり、内村監督も感無量の様子。映画でもたびたび登場するコントシーンでの猛シゴキぶりに小出恵介より「内村監督は鬼!」発言や、劇中コント以上に面白い!? 伊藤淳史と小出恵介の掛け合いぶりに、思わず内村監督からお褒めの言葉がかかる場面もあり、大いに盛り上がった舞台挨拶となった。


(最初のご挨拶)
内村監督(以下監督):すっげえー!ちょっとあがっています。すっごくいい劇場にびっくりしていることと、こんなにたくさんのお客さんが入ってくれて、感無量でございます。ありがとうございます。
伊藤:こんばんは!僕もすごくあがっています。こんなきれいな会場で、大きなスクリーンの中集まっていただいて、今日はすごく幸せです。映画、楽しんでいってください。よろしくお願いします。
小出:みなさんこんばんは。小出恵介です。『ボクたちの交換日記』ということで、映画すごく面白いと思います。自信をもってお届けできると思います。公開は3月23日ですが、今日見ていただいて面白かったら、周りの人に勧めていただければと思います。よろしくお願いします。

koukannikki-s3.jpg―――一番最初作品を撮るとき、どのようなことを考えましたか?
監督:純粋に依頼があったんですね。「この本をもとに監督してもらえませんか」と渡されたのが鈴木おさむさんの『芸人交換日記』というお笑いの世界を正面から撮ると。自分のいる世界ですから、正面切って撮れるのかという戸惑いはありましたね。でも実際に鈴木おさむさんに会って、「内村さん、これ如何様にも料理してやってください。原作変えちゃっていいですから」というぐらい寛大に言ってくださいました。後、僕らの世代より2つぐらい後の世代の話だから照れなくできるのではないということで、吹っ切って撮る決意をしました。

―――お笑いコンビを演じた伊藤、小出コンビのキャスティングについては?

監督:伊藤淳史君は逆にプロデューサーの方から「伊藤淳史君どうですか」と言われたんですが、『西遊記』で共演してから家族ぐるみのつきあいで、嫁さん同士も仲良いので、ちょっと近すぎるということで、一旦断りました。それから小出君が気になっていて、バラエティーで1、2度共演したぐらいですが、すごく印象がよくて。小出君を田中役でいこうと思っていたんですけれど、『ルーキーズ』など優等生のイメージがあったのに、実際一緒に食事してみると彼、雑なんですね。粗野なんです。私、面食らってしまいまして、とんだ優等生だと。食事した日に一発で「これが甲本だ」だと決めました。じゃあ田中役をどうするとなったときに、伊藤淳史が再浮上してきたんです。やはりコントを教えるには、一人気心の知れた人がいた方が教えやすいのではないかと思い直して、もう一度頭を下げて伊藤君にお願いしました。
伊藤:再浮上してきてよかったです(笑)。

koukannikki-s2.jpg―――実際に田中役を演じると決めたときはどうでしたか。
伊藤:内村さんが監督すると知っていて、田中役ということで台本を読ませていただきましたが、すごく面白くて。でもお笑い芸人さんの役を演じるということにすごくハードルの高さを感じました。今お笑いはブームだと思うし、みなさんお笑いに慣れているので、それだけクオリティーの高いものをやらなければいけない。監督が内村さんなので、すべてお任せすればいいものができるだろうし、すべて内村さんのせいにできるし(会場笑)。ここはおんぶにだっこで頑張ろうという決意で臨みました。  

 

 

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―――甲本という役柄をお聞きになったとき、どう思いました?  
小出:僕は最初に原作を読ませていただいて、ものすごくすてきな交換日記なんですけれど、鈴木おさむさんの芸人さんに対する愛情や、いろんなものを見てきたすごく熱い想いがダイレクトに伝わり、素晴らしいなと思いました。こういうものを映画にするときは、逆にハードルが上がるというか、難しいだろうなと思ったのですが、甲本という人間にそのときから感情移入して臨みました。といって、見ていただいたらこんなに真面目な感じじゃないですからね。えっといった感じになりますから。 

―――当然、コントのシーンはありますよね。 
監督:本当に二人にはすごくコントの練習をしてもらいました。3、4回やったあと、新宿の本当にお笑い芸人さんがライブをやっている場所で飛び入り参加させたんです。すごくすべりましたね。最初出てきたときの「キャー」だけでしたね。あそこがピークでした。それから二人が本当に脇汗とか掻いちゃって、ものすごい汗びっしょりで舞台袖に帰ってきて。小出君なんて「俺、もうお笑いできねえー」というぐらい。それぐらい「うけない」ということを知ってもらったんです。それ以降の練習は目の色が違うんですよ。リハーサルも食らいついてくるというか。全然違いましたね。それから撮影の合間も自主的にネタ合わせしてくれるようになって、すごく感謝しています。 

―――お芝居はすごくお上手なお二人ですが、コントはまた違うのですか? 
小出:全然違いますよ。地獄をみました。あんなアウェイになることないですよ。
伊藤:すごいですよ、みんなの目が。「人ってこんな目できるんだ」というぐらい冷えきっていて、本当に申し訳ない気持ちになりました。

koukannikki-3.jpg―――練習を重ねて、映画も撮り終え、今の気持ちとして二人でコンビを組みたいと思いますか?
小出:とにかく監督が鬼でしたので。本当に目の色を変えて鬼でした。すごかったです。熱意とこだわりと。
監督:全然鬼じゃないって・・・鬼じゃねえよ~
小出:(記者に)「鬼監督」って書いてください!
伊藤:ずっと同じ場所でやっているというシーンがあるんですが、その日は撮っても撮っても終わらない。
小出:OKなんて出ないんじゃないかという。
伊藤:出ないのではと不安な中とり続けましたね。
監督:最終的にはOKを出しました。わたくし、鬼ではございません(笑)。

―――コンビを組んだ甲本役の小出さんは、共演されてどんな方でしたか?
伊藤:見ていただいたら分かると思いますが、僕たち二人のコンビを中心にいろんな物語が進んでいくのですが、結構個々で出ているシーンが多くて、分量的には半分ずつぐらいなんです。台本でもちろん話は知っているのですが、実際に完成を見たら「甲本っていいヤツじゃん。あれ?この映画こんなに泣けたんだっけ」と自分で振り返ってしまうぐらい、甲本という人間を台本のイメージ以上に好きになりましたね。

koukannikki-s5.jpg―――田中役の伊藤さんはいかがでしたか?
小出:交換日記ということで、実際に日記を書くんですよ。実は自分たちの字で書いているのですが、まあ字がきれい。まあ丁寧。普段の字とのギャップがすごい!これがスクリーンに映ると思った瞬間の気合いの入れ方がハンパじゃない。
伊藤:役柄、役柄~
小出:役柄にすごく寄せているということなのですが、最初田中が書く「嫌です」という言葉が出てきます。「嫌です」の完成度、すごいですよ。
伊藤:練習したもん。
小出:下書きもしているんですよ。鉛筆で下書きして、ボールペンで書いてましたね。
伊藤:その跡が映っていないか不安です。こんなに大きいスクリーンだと・・・。
小出:「こいつ下書きしてる」ってバレたら・・・
監督:君たち、掛け合いうまくなってるね~(会場拍手喝采)

―――内村監督のお墨付きですから!
監督:静岡からはじまってキャンペーンで一人のときも多かったし、やっと大阪で三人揃ったんです。すごくそれもうれしいんですよ!こうやって三人で揃っているのが久しぶりなので、それもあってすごく感動しています。

koukannikki-s4.jpg(最後のご挨拶)
伊藤:この映画はコンビの愛や、それを支えてくれる人の愛や、いろんな愛がこもった映画になっていると思います。まだ夢を持っていない子供たちであったり、今夢を見つけようとしている人、追いかけている人、その夢をあきらめてすばらしい現実を歩んでいる人、どんな人たちが見ても感じてもらえるものがたくさんあると思います。今日見ていただいて、面白いと思ってくださったら、ぜひ大切な方と2度、3度、4度、5度、6度ぐらい劇場に足を運んでいただけたらと思います。よろしくお願いします。今日は楽しんで見てください。ありがとうございました。
小出:女性だと夢を追いかけている馬鹿者二人、愚かな男をすごくかわいいなと微笑ましく見守ってくださるのではないかなと思います。それと夢を追いかけるのは美しいんだなと言うことをやっていて感じました。夢が叶おうが叶わなかろうがすてきなことだと感じたので、そういうことを感じていただけるとうれしいです。ありがとうございます。
監督:本当に大きなスクリーンに我々の作った映画がドンとでるかと思うと楽しみで、ワクワクで。昨年の仕事の半分はこれにかかりきりだったので、皆さんに見ていただけるのは本当にうれしいです。ただただ見てくださいということです。見てよかったなと思ったら、3月23日公開以降ももう一度来ていただければと思います。本当にありがとうございました。(江口由美)

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『さまよう獣 』内田伸輝監督インタビュー

(2012年 日本 1時間34分)
監督・脚本:内田伸輝 
出演:山崎真実、波岡一喜、渋川清彦、山岸門人、森康子、田中要次、津田寛治

2月2日(土)~シネ・ヌーヴォ、2月23日(土)~ 神戸アートビレッジセンター、5月~京都シネマ

公式HP⇒ http://www.makotoyacoltd.jp/lovebombs/
(C)2012「さまよう獣」Partners


 第11回東京フィルメックス最優秀作品賞に輝いた第1作『ふゆの獣』(2010年)で、複数の男女のどろどろした恋愛関係を、俳優たちの感情をむき出しにした激しい即興演技で描き、鮮烈なデビューを飾った内田伸輝監督。第2作『おだやかな日常』(2012年)では、原発事故による放射能の見えない恐怖に翻弄される、東京に住む女性たちの姿を描き、評判を呼んだ。今般、公開された『さまよう獣』は、監督にとって最初の本格的商業作に当たる。映画の宣伝のため来阪された内田監督に本作の魅力についてうかがいましたので、ご紹介します。

〈物語〉
samayou-2.jpgとある田舎の村に、訳ありの美しい女性がやって来て、村の若い男たちは彼女に夢中になる。キヨミと名乗る女は、老女キヌの家に間借りし、キヌの孫同前で寡黙な青年マサルと3人で暮らし始める。そこに、キヨミを追って東京から恋人と名乗る男が乗り込んでくる……。


 

 

【作品のテーマ、スタイルについて】 

samayou-s2.jpgQ:本作の発想はどこから思いつかれたのですか?
A:製作側から女性を主人公にした物語といわれましたが、僕としては、単純に恋愛ものを描くのは、3月11日の震災以降、どうしてもできなくなってしまいました。震災前の映画を観ていると、日常風景とか生活の風景は、どちらかというと「退屈の象徴」として描かれるケースが多かったと思います。でも、震災を経て、「日常」が繰り返されることがどんなに大切かに、僕たちは気付きました。「日常」を描くことで、そういうメッセージを伝えたいと思いました。

Q:『おだやかな日常』と『さまよう獣』と続けての公開ですね。
A:2作の脚本をほぼ同時進行で書いていきました。前者は、放射能を恐れる母親たちの話として、東京の現状を僕なりにみて描いた作品です。後者は、さらに進んで、どんな脅威があっても、人間は皆ご飯を食べなきゃ生きていけないわけで、「食べる」という日常の行為を意識して、食欲にこだわってつくりました。

Q:キヨミとキヌとマサルが三人で食卓を囲んでご飯を食べるシーンが繰り返されますが、構図にはこだわったのですか?
A:今まで手持ちカメラでせめていく映像でしたが、この作品では、極力、日常風景として落ち着いた映像をつくりたいと思い、手持ちカメラはほとんど使わず、あらかじめカットわりをして、ほとんどフィックスの映像で撮っていく形にしました。

Q:即興をやめようと思ったのは何か理由はあるのですか?
A:『ふゆの獣』では、脚本はなく、プロットだけ準備して、あとは俳優にアドリブで自由に演技してもらいました。『おだやかな日常』では、第10校まで脚本を書いて、現場では即興で撮影していくスタイルでした。『さまよう獣』では、きっちり脚本どおりに演じてもらい、即興はほとんどなしで撮影しました。今まで即興による演出しかやったことがなく、僕にとって新しい挑戦で、これを経験しないと次に進めないように思い、一度基本というものに従って撮っていきました。役者がどう演じるか、どうしゃべるかを細かく観察して、しゃべり方が少しでも違うとだめ出しをして、僕自身が思い描くキャラクターに近づけていくので、キャラクターがより明確になるのがメリットだと思いました。即興の場合は、動きが自然になって、感情面がとても激しくなるというメリットがありました。
 


 

【主人公の女性像について】

samayou-5.jpgQ:恋愛ドラマを描くにあたって、モデルとかあったのですか?
A:以前、会社に勤めていた女性から、恋愛についての相談を受け、男性があまりに暴力的でも、女性が逆らえないでいるという話を聞きました。『ふゆの獣』は、そういう恋愛依存に苦しむ女性が主人公の映画です。『さまよう獣』は、恋愛依存から抜け出したい、抜け出さないといけないと行動に移した女性を主人公にしました。誰がモデルになったかといえば、あえていうなら『ふゆの獣』の女性がモデルになった形ですね(笑)。

Q:撮影場所はどこですか?
A:撮影したのは山梨です。キヨミがボストンバッグ一つで逃げてくることを考えると、北海道とか九州とかでなく、途中の甲信越のほうが「とにかく逃げ出してきた」というリアリティが出ると考えました。

Q:キヨミを演じる山崎真実さんへの演技指導は?
A:山崎さんには、影のある女性を意識して、動いてもらいました。常にいろんな男性に対して八方美人で、相手に応じて自分の性格が変わったように見せる。村の青年タツヤに対しては「タツヤくんと一緒にいると元気になるね」と言い、シンジには「シンジさんといると気持ちがやすらぐ」とセリフも使い分けます。東京ではそんな生活をしていて、それが嫌で逃げ出してきたのに、田舎でも、同じ八方美人をやってしまう。そんな状況をいかに自然にみせるか、なんとなくキャラが変わっているようにみえるよう、印象づけました。

samayou-s1.jpgQ:バーのマスターを演じる田中要次さんが、キヨミには水商売の経験があると見抜きますよね。その言葉に傷ついた彼女が“昔の自分”から抜け出そうとする決意と勇気が伝わってきます。
A:キヨミは、自分の過去を見抜かれたおかげで、逃げ出す前と同じことをしている自分に気付きます。田舎での淡々とした日常の中で、今まで身体にしみついた都会の生活を少しずつ捨てていこうとします。この抜け出そうとする過程をどうつくるか、物語の階段をどう上がらせるのか、脚本段階で悩みました。結局、自分の身に着けていたものを一つ一つはがしていくだろうなと、マニキュアをおとしたり、派手な下着を燃やしたり、些細な行動で彼女自身が葛藤している姿を描きました。

Q:風呂場の天井を伝う水滴のシーンは、脚本の段階からあったのですか?
A:ありました。抜け出したくても抜け出せないというキヨミの心情を、水滴が天井から落ちるか落ちないかわからない、落ちそうで落ちない感じで、表しました。

 


 

【映画のおもしろさ】

samayou-s3.jpgQ:キヨミとマサルが逃げるのを、キヨミの元恋人(津田寛治)が追いかけていくシーンが楽しく、可笑しかったです。
A:特にこだわってやりたかったシーンではありません。偶然にもマサルがキヨミの手を引いて逃げることで、二人の関係性が周りの人にもわかるという、単純に“逃げる”という構図でした。でも、この追いかけっこで流れる音楽が、すごくおもしろくて、あそこで爽やかな曲を持ってくるとは、僕自身予想もしていませんでした(笑)。初めてあの音楽を映像にあてはめたのを観た時、僕は大爆笑してしまい、まさか音楽ひとつで、あの追いかけっこが、爽やかな青春映画になるとは思わず、びっくりしましたし、同時に嬉しかったです。映画って皆でつくるものじゃないですか。僕の予想しない、いい方向に進んだという意味で、それが一番発揮できたのがあのシーンだと思います。

Q:津田寛治さんがおもしろかったですが、津田さんへの演出は?
A:津田さんには、どういう人間性なのかということと、津田さん自身のなんとなく蛇っぽいキャラクターを出してほしいと伝え、あとは、津田さんが自由に演じてくれました。僕らは、本当にひどい奴だなと思いながら、おもしろがって撮っていました。ほんとにおもしろくて、観る度に笑ってしまいます。

Q:英語のタイトル『LOVE BOMBS』はどういう意図ですか?
A:配給側から出された案の中で、これが一番、僕がそのタイトルを聞いて大笑いしたし、おもしろいということであっさり決まりました。インスピレーションという感じです。ある意味、津田さんの存在が爆弾になるんでしょうね。平和な日常を送っていたところに、津田さんみたいな爆弾がやってくることで、一気に物事が動き出す。爆弾は、ゆっくりではなく突然破裂するものなので、そういう意味でもぴったりなタイトルだと思います。

Q:画家を目指していたそうですが、映画に目覚めたのはどんなきっかけだったのですか?
A:高校の時、国語の先生が授業で『羅生門』をみせてくれて、すごく衝撃を受けました。それまでハリウッド映画しか観たことがなく、僕らがちょっと映画を撮ろうとしても撮れるような内容ではありませんでした。『羅生門』の、すごく限られたミニマムな設定の中で、ものすごいサスペンスを展開していくところに衝撃を受け、こういう映画を撮ってみたいと直感的に思いました。これがきっかけで、映画づくりを意識し始めました。

画家を目指して油絵を描いていたのですが、油絵を製作する過程は、キャンバスにまず絵の具の白を塗って、それが乾くのを待ってから、今度は下書きを薄く描く。色が混ざってしまうので、乾くのを待って、どんどん色を乗せていきます。水彩画とか水墨画はわりと短期間で描けてしまいますが、油絵はすごく時間をかけて、ゆっくりと絵が完成していく、その過程が、一つ一つの積み重ねが完成していく映画づくりにとても似ていて、どんどんはまっていったという感じです。


 きゅうりのお漬物を美味しそうに食べるシーンがあり、その音が食欲を誘う。これがあれば、ご飯2杯位いけるほど、きゅうりのお漬物が好きだと語る内田監督。映像学校を出た後、ドキュメンタリーやバラエティ、写真の現像や大道具と、いろいろな映像の現場を見て、撮影、編集やさまざまな技術を学んだそうだ。人と人が会って話すことが、人間関係を成立させる上で一番重要で、日常によくありふれた話だけど、人と人との間のおもしろさや、人と人が一緒に生活していくということを描いていきたいと語られた。次回作は、どんな内田ワールドが展開するのか、今から楽しみである。

(伊藤 久美子)

『フライト』試写会プレゼント(2/15〆切)

flight-1-1.jpg・日時:2013年2月21日(木) 
    18:30開場/19:00開映
・会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
・募集人数: 5組 10名様
・締切:2013年2月15日(木)
★作品紹介はこちら
・公式サイト⇒ http://www.flight-movie.jp/
2013年3月1日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都 他全国ロードショー


【STORY】
 マイアミ発アトランタ行きの飛行機が急降下、ウィトカー機長は草原へ緊急着陸に成功し多く乗員乗客の命を救う。それはどんなパイロットにも不可能な奇跡の操縦だった。マスコミがウィトカー機長の偉業を称え 、彼は 一躍時の人となる。ところが、ある疑惑が浮上する。彼の血液中からアルコールが検出された。ヒーローは一夜にして地に堕ちてしまった。あの時 いったい、機内で何があったのか?多く人々の人生を巻き込む驚愕の真相が暴れる。


(2012年 アメリカ 2時間18分)
監督 ・製作:ロバート  ・ゼメキス (『 フォレスト・ガンプ /一期会 一期会 』『キャスト・アウェイ』  )
出演: デン ゼル・ワシントン(『 デン ジャラス・デン』『トレーニング  デイ』 )、ドン・チードル (『 オーシャンズ 11 』シリーズ、『クラッュ』 シリーズ )
ケリー ・ライケリー (『プライドと偏見』『シャーロック・ホームズ』  )、ジョン ・グッドマジョン (『人生の特等席』 『 アルゴ』『アーティスト』)
■配給:パラマウント
公式サイト⇒ http://www.flight-movie.jp/
© 2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 

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『牙狼〈GARO〉~蒼哭ノ魔竜~』小西遼生インタビュー

 

(2012年 日本 1時間36分)
原作・脚本・監督:雨宮慶太
出演:小西遼生、久保田悠来、蒼あんな、藤田玲、山本匠馬、中村織央、影山ヒロノブ、柳原哲也、螢雪次朗、渡辺裕之、松坂慶子

2013年2月23日(土)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸、他全国ロードショー

公式サイト⇒ http://garo-project.jp/SOUKOKU/

(C)2012 雨宮慶太/東北新社


 

~小西遼生、『牙狼<GARO>』の独創的世界と撮影現場を語る~

 

garo2-11.jpg 人気特撮『牙狼<GARO>』シリーズ劇場版第2作『牙狼〈GARO〉~蒼哭ノ魔竜~』は、主役の〈冴島鋼牙〉最終バージョンということで、物語のテーマ性やアクション・CGなど様々な新要素が盛り込まれ、雨宮慶太監督が創造する魔界迷宮の世界観に新境地を拓いている。さらに、今回は松坂慶子が初めてワイヤーアクションに挑戦するなど、久保田悠来や蒼あんな等を迎えての豪華キャストの活躍にも注目。年齢を問わず、女性ファンが多いことからも、その人気の高さがうかがえる。豪快なアクションばかりではなく、今まで見せたことのない小西遼生扮する〈冴島鋼牙〉の内面的変化に、新しいヒーロー像を見るようだ。

 

【STORY】

“ヒト”を守るため、大いなる力“ガジャリ”と契約した魔戒騎士の冴島鋼牙は、魔竜が持つという“嘆きの牙”を持ちかえるため“約束の地”に降り立つ。ところが、戦いのための牙狼剣、魔法衣、魔導輪を失ってしまう。不思議少女メルや息を吹き返したカカシと出会ったり、“緑の城”の女王ジュダムの“美しいモノのコレクション”として狙われながら、嘆きの海から現れる魔竜を追い求めて、不思議の国を旅する鋼牙。果たして、牙狼剣、魔法衣、魔導輪を見つけ出し、“嘆きの牙”を手にすることができるのか?


公開を控え、小西遼生さんがキャンペーンのため来阪し、新作『牙狼〈GARO〉~蒼哭ノ魔竜~』にかける思いを語ってくれた。


konishi-4.jpg――― 冴島鋼牙役を長く続けて来られたが、役のイメージは?
時間経過と共に自分も変わっていくが、初期に比べて鋼牙も大人になっているし、性格も変わってきている。今回は、鋼牙最後の戦いということで、今まで戦いがメインだったのを、戦いから一歩離れたところにいる鋼牙の人間性が描かれています。主役として再発見することが多くて、ここまで大きくなったのか?と感じました。

――― 今回ほぼグリーンバックの撮影で大変だったのでは?
現場には機械とグリーンの幕しかなく無機質で、映画の中のファンタジーさは一切なかった。いつもはロケーションの繋がりでグリーンバックの撮影に入るので、状況が分かりやすかったのですが、今回は監督の説明を聴きながら、広さや奥行き高さを想像しながら、いろんな所を歩いているつもりで演技しました。雨宮監督の凄さは独創性にあり、『牙狼<GARO>』の基本となる世界観はそこにあります。地味で難しい現場でしたが、面白かった!

――― ずっと険しい顔をしていたが?
今回は穏やかな方です。今回の特徴は、今までホラー的悪と剣で戦うのを使命としてきた鋼牙が、ファンタジーの世界で得体の知れない連中相手に戦うことです。未知の世界に飛び込み、敵意はないが、歌えや笑えと言われ、それに困惑する鋼牙が見所でしょうか。ファンタジーの世界に違和感なく溶け込む必要がありました。元々キャラクター性が強い作品ですが、技術の進化もあり、7年前の作品と比較すると、今回は上手く融合していると思います。

konishi-2.jpg――― 松坂慶子さんがワイヤーアクションに挑戦しているが?
雨宮監督も、「松坂さんの回し蹴りなんて、誰も見たことないだろう!」と絶賛していました。立ち回りも現場で振り付けて即実演という、稽古もしないで、見事に足が上がっていました。ご本人は「踊りをやってたから、それに助けられたわ~」などと仰ってましたが、それにしても見事だなあと驚きました。ワイヤーで吊り上げられるにもコツがあり、初心者には難しいこと。それを上手にバランスをとってアクションしておられました。

――― 松坂慶子さんに気を遣った?
嬉しいことに、アクションシーンを喜んでやって下さいました。誰でも不安だと思うのですが、最初に「小西という役者は、相手のアクションを受けるのが上手いので、安心してやって下さい」と監督が言われたみたいで、とても信頼して演技して下さいました。現場では緊張せずに、松坂さんも集中して楽しんでやっておられたようです。

――― ゲストによって現場の雰囲気は違いますか?
7年やっていると皆さんに息子みたいに思われているのですが、大物ゲストが来ると、僕に対するケアがなくなる!(笑)これ『牙狼<GARO>』の特徴! いつもは主演だからと大事にして頂いているのですが、ゲスト優先で、「鋼牙後回し!」ってされます。ゲストの拘束時間に配慮するので、それは仕方ないのですが・・・。それに、僕はアクションよりリアクションの方が得意で、リハーサルやスタントなしでもできます。時々、「少々鋼牙に当たってもいいから」なんて言われ、「おいおい!…別にいいけど」てな具合です(笑)。

――― 『牙狼<GARO>』は雨宮監督の独創性が大きな特徴ですが、美術は?
 garo2-2.jpg雨宮監督のイメージを基に、美術担当の人がプラスαさせながら作り上げています。具体案を言わず漠然としたイメージだけで作っていくのですが、そこは監督と美術との信頼関係ができているので、NGが出ることはあまりないようです。監督のイメージを具現化するのが、其々の仕事ですから。

――― スタッフもあ・うんの呼吸なんでしょうね?
本当に独創的なんで、スタッフも大変だと思います。一番大変なのはCG部。映像は直せるので、監督の細かいダメ出しがあり、時間かけて直しているんです。今回は「モノ」をテーマにしているので、各パートに「自分で考える」というノルマを課して、僕のアイデアも二つ採用されてました。

――― どの部分ですか?
ザルバと戦うシーンです。「何やりたい?」と監督に聞かれ、「今まで相棒だったザルバの全身像と戦うシーンって、観客も見たいのでは?」と言ったら、やらせてもらえました。それから、ラストシーンも。それは監督も同じことを考えておられたようです。ラストカットの鋼牙がとてもいい表情をしていますが、僕はあのシーンを演じている時が一番楽しかったです。このように、脚本は監督が考えますが、CG部や美術部などの各パートにもアイデアを募り、みんなでひとつの作品を作り上げるという一体感が湧いてきました。物作りの基本的楽しさを実感できた現場でした。みんなの愛情がこもっています。

――― 役者としてのアクションは?
『牙狼<GARO>』の現場で初めてアクションに挑戦しました。僕の運動神経については、イチかバチかだったのでは? 僕は不器用な方でして、藤田玲君の方が柔軟で運動神経がいい。僕は人一倍たくさん実践経験を積ませてもらった結果、少しずつアクションが身についてきました。

konishi-3.jpg――― 長年同じ役をやることで制限してきたことは?
別にありません。ただ、シリーズものは毎回違う印象で見てもらえるように、その時その時の自分自身の血を通わせたものにしたかった。より男らしく、ある時は貫録を出す、演技の幅を広げてきたつもりです。

――― 他の仕事と重なったりする時、髪型は?
舞台の場合ごまかせるのですが、舞台とTVが交互に来ると、撮影の時のキャラクター作りがちょっと大変でした。そんな時は『牙狼<GARO>』基準でいきました。『牙狼<GARO>』の撮影に入る前はトレーニングしています。ワイヤーの高さも徐々に上がって行き、40mの高さでもスタントなしでやりました。そんな高さで必死で演技していても、「ちゃんと映ってるから~」と監督は言ってましたが、結局顔写ってなかったです(笑)

――― 今後やりたい役は?
舞台が中心になりますが、いろんな役をやりたいです。悪人というより、裏表のあるような業の深い人間臭い役、例えばシェイクスピア劇に出てくるような人物像に興味があります。

――― 時代劇は?
時代劇もやりたい!是非やってみたい!(笑)


と、マネージャーの方を向いて時代劇出演を訴える小西遼生さん。その端正な小顔と細身の体格だと、さぞかし凛々しく美しい若武者になれることだろう。時代劇ファンとしては、『牙狼』シリーズで培った剣さばきを活かすためにも、是非とも時代劇に挑戦してほしいと期待してしまう。

(河田 真喜子)


★小西遼生さん出演の舞台『ピアフ』の情報はコチラをご覧ください。

http://www.tohostage.com/piaf/index.html

◆主演女優賞に高橋惠子さん(出席)、主演男優賞に井浦新さん(出席)
◆『かぞくのくに』(作品賞、監督賞・ヤン・ヨンヒ監督)、受賞記念上映
◆新作プレミア『オース! バタヤン』特別上映(出演の浜村淳さん舞台挨拶)


「おおさかシネマフェスティバル2013」開催
~ 映画ファンのための映画まつり ~

高橋惠子さんが、井浦新さんが、ひなまつりの日「おおさか」の映画祭にやってくる!

大阪の春恒例の「おおさかシネマフェスティバル2013」が3月3日(日曜日)に大阪歴史博物館で開催される。
「映画ファンのための映画まつり」として関西の映画ファンに広く支持されてきた本映画祭は、4年前から「大阪アジアン映画祭」と統合し、日本映画のお祭りとアジア映画の祭典という一大イベントとして開催。
 前身の「おおさか映画祭」以来の恒例行事であり、当フェスティバル最大のイベント「2012年度ベストテンおよび個人賞」が下記の通り決定した。
このベストテンは、年間200本以上観賞した方々からなる投票委員による投票をもとに選考委員会によって決定されたもので、2012年1月から12月までに関西で公開された映画を対象とし、個人賞は優れた技量を有するとともに「大阪および関西」ゆかりの方であることが判断材料となっている。
主演男優賞に『かぞくのくに』の井浦新、主演女優賞に島根県・隠岐島を舞台にした京都芸術造形大学ほか製作の『カミハテ商店』で23年ぶりに映画に主演した高橋惠子のほか、監督賞・ヤン・ヨンヒ、脚本賞・西川美和、撮影賞・木村大作、音楽賞・谷川賢作、新人監督賞・山本起也など、大阪ならではの特色ある映画祭だ。
 
また、受賞記念として午前中にベストテン1位(作品賞)、監督賞のダブル受賞となったヤン・ヨンヒ監督作品『かぞくのくに』を上映。表彰式後には大阪・鶴橋で行われた歌手・田端義夫のライヴ(司会・浜村淳)をもとにした異色のドキュメンタリー『オース! バタヤン』の特別プレミア上映を開催。
実行委員会は「大阪・関西の映画ファンが集う熱い場になれば!」と話している。


おおさかシネマフェスティバル2013開催概要
ベストテン発表&表彰式および受賞記念作品と新作プレミア上映、多彩なゲストを迎えて開催する映画のお祭り!

■日時:2013年3月3日(日)10時スタート(9時30分開場)
■会場:大阪歴史博物館4階講堂(大阪市中央区大手前4-1-32 TEL.06-6946-5728) 
   地下鉄谷町線・中央線「谷町四丁目駅」2号、9号出口(NHK大阪放送会館隣)
■料金:1日通し券 前売2,800円/当日3,000円(※全指定席)
■チケット発売:2月9日(土)10時~/Pコード550-785
(電話予約:0570-02-9999 HP:
http://pia.jp/t/oaff/
■映画祭公式ホームページ:
http://www.oaff.jp
■スケジュール
09:30~ 開場
10:00~ 開演(委員長挨拶)
10:05~ 作品賞、監督賞受賞記念『かぞくのくに』(ヤン・ヨンヒ監督)上映(100分)
11:45~ ヤン・ヨンヒ監督、井浦新、浜村淳トークショー (30分)
     (休憩45分)
13:00~ ベストテン発表&表彰式(~14:30予定)
     (休憩30分)
15:00~ 新作プレミア上映『オース! バタヤン』(95分)
     (終了16:35)


【ベストテンおよび受賞結果】

かぞくのくにnew.jpg■日本映画部門
1位 かぞくのくに
2位 ふがいない僕は空を見た
3位 鍵泥棒のメソッド
4位 夢売るふたり
5位 桐島、部活やめるってよ
6位 北のカナリアたち
7位 愛と誠
8位 苦役列車
8位 わが母の記
10位 終の信託

作品賞:アーティスト.jpg■外国映画部門
1位 アーティスト
2位 アルゴ
3位 レ・ミゼラブル
4位 ヘルプ~心がつなぐストーリー
5位 ヒューゴの不思議な発明
6位 人生の特等席
6位 ニーチェの馬
8位 別離
8位 少年と自転車
8位 ダークナイト ライジング

※日本映画部門は8位が、外国映画部門は6位と8位が同得票。

■個人賞(外国映画部門)
 監督賞     タル・ベーラ(ニーチェの馬)タル・ベーラ監督.jpg


 

 

 

 

 

 

主演女優賞:ミシェル・ヨー.jpg主演女優賞 ミシェル・ヨー(The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛)


 

 

 

 

主演男優賞:クリント・イーストウッド.jpg主演男優賞 クリント・イーストウッド(人生の特等席)
 

 

 

 

 

 

助演女優賞:エイミー・アダムス.jpg助演女優賞 エイミー・アダムス(人生の特等席)


 

 

 

 

助演男優賞:アーミー・ハマー.jpg助演男優賞 アーミー・ハマー(J・エドガー)

 

 

 


■個人賞(日本映画部門、受賞者コメント)                                                                                                                                                                                                                                 
 監督賞:ヤン・ヨンヒ.jpgのサムネイル画像【監督賞】◎ ヤン・ヨンヒ〔梁英姫〕(『かぞくのくに』)

●1964年、大阪生まれの在日コリアン2世、米国ニューヨーク・ニュースクール大学大学院メディア研究学科修士号取得。高校教師、劇団女優、ラジオパーソナリティを経て、ドキュメンタリーの世界へ。アジア各国やニューヨークでの取材活動後、NHKほかでテレビドキュメンタリーを発表。05年、自身の父を主人公に家族を描いたドキュメンタリー映画『ディア・ピョンヤン』を発表。ベルリン国際映画祭、サンダンス映画祭ほかで多数受賞し、06年日本と韓国で公開。09年、自身の姪の成長を描いたドキュメンタリー映画『愛しきソナ』発表。初の劇映画『かぞくのくに』(12年)はベルリン国際映画祭国際アートシアター連盟賞を受賞。
【受賞の言葉】故郷である大阪で評価を頂き感無量です。学生時代、授業が終わると制服のまま梅田や心斎橋の名画座に駆け込む少女でした。スクリーンと向き合いながら未知なる人生と出会い広い世界を知り沢山の勇気を貰いました。監督としてやっとスタートラインに立ったばかりです。これからも魂を込めて心を揺さぶるような作品をつくっていこうと思います。

主演女優賞:高橋恵子.jpgのサムネイル画像【主演女優賞】◎ 高橋惠子(『カミハテ商店』)
●1955年1月、北海道出身。小学校6年から東京・町田市で育つ。中学時代にスカウトされ、大映の研修所で演技レッスンを積み、70年春、中学卒業と同時に大映入社。同年8月公開の『高校生ブルース』(帯盛迪彦監督)で主演デビュー。続く『おさな妻』(70年、臼坂礼次郎監督)の大胆な演技で大映末期の看板スターに。71年、東宝移籍。東宝・日本テレビ共同制作の「太陽にほえろ!」にレギュラー出演。73年の熊井啓監督『朝やけの詩』の全裸で泳ぐシーンが話題を集めた。82年『TATOO<刺青>あり』で高橋伴明監督と知り合って結婚し、高橋惠子に改名、舞台などで活躍。代表作は増村保造監督『遊び』(71年)、同『動脈列島』(75年)、浦山桐郎監督『青春の門』(75年)など。89年『花物語』(堀川弘通監督)を最後に映画主演から遠ざかっており、『カミハテ商店』は23年ぶりの主演映画になる。
【受賞の言葉】23年ぶりにやらせて頂いた主演映画で、主演女優賞という名誉ある賞を受賞させて頂き大変嬉しく思っています。主演女優賞は私の役者人生で初です! これからもこの頂いた賞を励みに、何かを残せる表現者になって行きたいです。

主演男優賞:井浦新.jpgのサムネイル画像【主演男優賞】◎ 井浦 新(『かぞくのくに』『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』)
●1974年9月15日生まれ、東京都出身。98年、是枝裕和監督の映画『ワンダフルライフ』に初主演。以降、映画を中心に、ドラマ、ナレーションや連載などで幅広く活動。『かぞくのくに』(12年、ヤン・ヨンヒ監督)で第55回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。最近の映画出演作に『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(07年、若松孝二監督)、『空気人形』(09年、是枝裕和監督)、『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(11年、若松孝二監督)など。今後は『千年の愉楽』(12年、若松孝二監督)、『弥勒』(13年、林海象監督)、『そして父になる』(13年、是枝裕和監督)、『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(前田司郎監督)などの公開を控える。
【受賞の言葉】『かぞくのくに』『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』、この2作品には特別な想いがありますので、合わせての受賞にとても価値を感じています。『かぞくのくに』はヨンヒ監督の人生そのものが作品となった映画です。監督の兄の象徴でもあるソンホ役で評価されたということは、監督のご家族や生き様を評価していただいたということでもあります。そこがなによりも嬉しく、ありがたい事です。 『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』は、役者としての自分を息子のように育てて下さった、若松孝二監督の下で主演を任された映画。自分の代表作になる作品で、このような評価を頂き、監督も喜んでくれると思います。大きな土産話が増えました。ありがとうございます。 この2作品が、第8回大阪アジアン映画祭で日本からアジアにむけ、知って頂くきっかけになる事を心から感謝し、この時代に刻ませていただけた事を、光栄に感じております。

助演女優賞:松原智恵子.jpgのサムネイル画像【助演女優賞】 ◎ 松原智恵子(『「わたし」の人生(みち) 我が命のタンゴ』『私の叔父さん』)
●1945年1月、愛知県名古屋市出身。高校生時代に日活の「ミス16歳コンテト」に入賞、副賞としての撮影所見学がきっかけでデビュー。日活時代の60年代は主にアクション映画や青春映画のヒロイン役を務め、吉永小百合、和泉雅子とともに「日活三人娘」と呼ばれた。67年のブロマイド売り上げでトップになったこともある都会派の清純派スター。昨年は『私の叔父さん』(細野辰興監督)、『「わたし」の人生(みち)我が命のタンゴ』(和田秀樹監督)など3本に出演、『きいろいゾウ』(廣木隆一監督)が公開中。今も清純派の面影を残すイメージで熟年ファンにアピールしている。
【受賞の言葉】16歳で日活からデビューして52年、アクション映画や青春映画が多く賞には無縁でしたので、受賞を聞いた時は、正直驚きました。ここ3年程は『小川の辺』『私の叔父さん』『「わたし」の人生(みち) 我が命のタンゴ』『きいろいゾウ』と作品や監督に恵まれ映画に携わる楽しさを実感しております。今後も色々な作品にめぐり会えるよう頑張ってまいります。本当にありがとうございました。

助演男優賞:青木崇高.jpgのサムネイル画像【助演男優賞】◎ 青木崇高(『黄金を抱いて翔べ』『るろうに剣心』)
●1980年3月、大阪・八尾市出身。03年、映画『バトル・ロワイアルⅡ 鎮魂歌』(深作欣二監督)で本格的映画デビュー。08年、NHK朝ドラ「ちりとてちん」でヒロインの相手役の落語家・徒然亭草々役を熱演、10年、NHK大河ドラマ「龍馬伝」では後藤象二郎役を演じるため増量。翌年、三池崇史監督の『一命』には減量して臨んだ。昨年の『るろうに剣心』(大友啓史監督)ではハードなアクションシーンに挑戦し、『黄金を抱いて翔べ』(井筒和幸監督)では主人公らに敵対するチンピラ、キング役で注目を集めた。
【受賞の言葉】はじめて映画を観たのも、はじめて人を好きになったのも、はじめてフラれたのも、すべて生まれ育った大阪でした。経験や体験から生まれる芝居があるとして、それが今回の賞 に繋がっているならば、間違いなく大阪という土地のおかげなのです。今まで出会った人々に感謝しつつ、これから出会うであろう人々に期待しつつ、しっかりと邁進していく所存です。ありがとうございました。

新人女優賞:宮嶋麻衣.jpgのサムネイル画像【新人女優賞】◎ 宮嶋麻衣(『とめ子の明日なき暴走』)
●1986年2月15日、岐阜県恵那市出身。岐阜県立中津商業高校では声優志望で演劇部に所属。卒業後、名古屋ビジュアルアーツ入学、NACに所属。07年、NHK朝ドラ「ちりとてちん」でヒロインを叱咤激励する親友・順子役を務める。11年は「カーネーション」で吉田屋の芸者・駒子役、現在放送中の「純と愛」ではストーカーにおびえる新婦役。吉浦敦博監督の長編劇映画デビュー作『とめ子の明日なき暴走』(12年)に主演。女性ストリートミュージシャン・山田とめ子が、ホームレスの少年スネオ(中嶋悠耶)と出会い、恋に落ちる姿を熱演。
【受賞の言葉】素晴らしい賞をいただきとても光栄です。吉浦監督の想い、ご一緒させていただいたスタッフ・役者の皆さんがいてくれたから私もこの役を演じることが出来ました。本当に皆さんのお蔭です。応援してくれている方々、私を選んでくれた方々に心から感謝申し上げます。

新人男優賞:五十嵐信次郎 (ロボットといっしょのもの).jpg【新人男優賞】◎ 五十嵐信次郎(『ロボジー』)
●1938年、東京生まれ。歌手のほか俳優、音楽プロデューサーとしても活躍。落語家としても精進を重ね、「ミッキー亭カーチス」の名で立川流Bコースの真打として高座にも立つ。昨年のお正月映画『ロボジー』(矢口史靖監督)では「五十嵐信次郎」名で主役として出演。大ヒット作となった。現在も音楽ライブ、舞台、映画、ドラマ、バラエティーと幅広く活躍中。
【受賞の言葉】74歳で新人賞受賞とはこれ、びっくり! ロボジーの「五十嵐信次郎」は全て矢口史靖の洒落です。ありがとう!

脚本賞:西川美和.jpgのサムネイル画像【脚本賞】◎ 西川美和(『夢売るふたり』)
●1974年7月、広島県出身。大学在学中に是枝裕和監督作品『ワンダフルライフ』(99年)にスタッフとして参加。02年、自作脚本による『蛇イチゴ』で監督デビュー。06年、再びオリジナル脚本で監督した『ゆれる』がカンヌ国際映画祭の監督週間に出品される。同年、キネマ旬報ベスト・テン日本映画第2位、おおさかシネマフェスティバル1位、ブルーリボン賞監督賞など数々の栄誉に輝いた。09年、長編第3作『ディア・ドクター』では、キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位、2度目のブルーリボン賞監督賞、おおさかシネマフェスティバルでは笑福亭鶴瓶が主演男優賞に輝いた。
【受賞の言葉】この作品に脚本賞を下さるなんて、おおさかシネマフェスティバルって……!(笑) 非常にうれしいです。すべてをかけて書いたホンですから。心から感謝します。ありがとうございます。

撮影賞:木村大作.jpg【撮影賞】◎ 木村大作(『北のカナリアたち』)
●1939年7月13日、東京出身。東京都立蔵前工業高校卒業後、東宝撮影部入社。73年、須川栄三監督の『野獣狩り』でキャメラマンとしてデビュー。黒澤監督作品には撮影助手として参加。森谷司郎監督『八甲田山』(77年)、深作欣二監督『復活の日』(80年)、降旗康男監督『駅 STATION』(81年)、『夜叉』(85年)、『あ・うん』(89年)などで名声を高めた。03年、紫綬褒章受章。09年には『劔岳 点の記』を自ら企画・製作・脚本・撮影・監督を務め、日本全国縦断キャンペーンを敢行した。10年、おおさかシネマフェスティバルで「監督賞」「撮影賞」をダブル受賞した。同年、旭日小綬章受章。今年は立山連峰を題材にした監督第2作『春を背負って』を撮影する予定。

【受賞の言葉】『劔岳 点の記』から4年間で『北のカナリアたち』(阪本順治監督)1本だけしか撮影を担当していませんが、自分にとっては、『劔岳』から連続受賞ということになり、うれしいですよ。厳しさの中に愛しさがある、と聞いているので、厳しい映画を楽しんでやっている。4月からは2度目の監督作『春を背負って』を撮る予定なので、また山に入ります。

音楽賞:谷川賢作.jpg【音楽賞】 ◎ 谷川賢作(『カミハテ商店』)
●1960年、東京出身の作曲家、ピアニスト。父は詩人の谷川俊太郎。ジャズピアノを佐藤允彦に師事。演奏家として、現代詩をうたうバンド「DiVa」、ハーモニカ奏者・続木力とのユニット「パリャーソ」のほか、父・俊太郎と朗読と音楽のコンサートを全国各地で開催。80年代半ばから作・編曲活動を始め、映画『四十七人の刺客』(94年、市川崑監督)、『竜馬の妻とその夫の愛人』(02年、市川準監督)などの音楽を担当。88年・95年・97年には日本アカデミー賞最優秀音楽賞受賞。06年、びわ湖ホール制作「雷の落ちない村」の音楽監督。最近では、京都造形芸術大学映画学科が中心となって製作した『カミハテ商店』、ドキュメンタリー映画『ひとにぎりの塩』(石井かほり監督)、テレビ東京の新春ワイド時代劇「白虎隊~敗れざる者たち」などの音楽を担当。
【受賞の言葉】ラッシュを最初に見せられた時はちょっととまどってしまったのですが、あえてピアノを弾かずにビリンバウの土着的なリズムをフィーチャリングしたのが映像に不思議にマッチしていたような気がします。長いつきあいの山本起也監督の初劇映画作品で、このような栄えある賞を頂き感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

新人監督賞:山本起也.jpg【新人監督賞】◎ 山本起也(『カミハテ商店』)
●1966年、静岡市出身。広告映像の演出を経てドキュメンタリー映画製作を開始。無名の4回戦ボクサーたちを6年にわたり追った処女作『ジム』(03年)で劇場デビュー。90歳になる実の祖母の「住み慣れた家の取り壊し」を題材とした監督第2作『ツヒノスミカ』(06年)で、スペインの国際ドキュメンタリー映画祭「PUNTO DE VISTA」にてジャン・ヴィゴ賞(最優秀監督賞)を受賞。本作『カミハテ商店』(12年)で劇映画に進出。カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭メインコンぺ(12作品)に選ばれる快挙となった。
【受賞の言葉】何より主演の高橋惠子さん、音楽の谷川賢作さんとともに栄えある賞をいただける事を嬉しく思います。お二人の素晴らしい仕事なくして『カミハテ商店』は完成しませんでした。さらには原案の日當遥、山口奈都美を始めスタッフ、出演者の創造の結晶であるこの映画を、一人でも多くの皆様にご覧いただくよう頑張ります。ありがとうございました。

特別賞:若松孝二監督.jpg【特別賞】◎ 若松孝二 
●1936年4月1日、宮城県出身。農業高校を2年で中退し、上京。もめ事で拘置所経験も。テレビ映画助監督を経て、63年ピンク映画『甘い罠』で監督デビュー。抜群の観客動員力を発揮し、65年に設立した若松プロを拠点に自由な活動を展開。同年『壁の中の秘事』がベルリン国際映画祭に出品された時は、日本の映画業界から「国辱映画」と非難された。70年ごろにはパレスチナゲリラのキャンプ生活も体験し『赤軍―PFLP世界戦争宣言』(71年)を撮った。時代の最先端を行く監督として話題を集め、近年は時代を総括する作品群『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(07年)、『キャタピラー』(10年)、『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(11年)などを撮り、いずれも高く評価された。遺作は中上健次原作の『千年の愉楽』(12年)。

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『王になった男』イ・ビョンホン 記者会見&ジャパンプレミア

(2012年 韓国 2時間11分)
監督:チュ・チャンミン
出演:イ・ビョンホン、リュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ、キム・イングォン、シム・ウンギョン

2013年2月16日(土)~新宿バルト9、丸の内ルーブル、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ西宮OS、他全国ロードショー

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ouninatta-otoko-2.jpg 『王になった男』のプロモーションとして「悪魔を見た」以来約2年ぶりに記者会見に登壇したイ・ビョンホン。想像をはるかに超えるマスコミ陣で会見場があふれる中、ひとつひとつの質問に真摯に、そしてユーモアを含めて答える彼の一問一答の様子と、ジャパンプレミア&大ヒット祈願調印式の模様をお届けします。


【記者会見】

―――最初のご挨拶
ビョンホン:来日するのも久しぶりですし、このように記者の皆様の前で記者会見を行うのも久しぶりなのですが、非常に嬉しくて胸がときめいています。

―――初めての時代劇、しかも暴君である王と彼の影武者となる心優しい道化師の一人二役を演じるのはかなりの「挑戦」という意味合いが強かったのでは?
ビョンホン:私にとって時代劇も王の役を演じるのも初めてでした。これまで時代劇を避けていたわけでもなく、今回の作品も時代劇だからといって挑戦しようと思ったわけでもありませんでした。とにかくこの作品の物語が非常に素晴らしく、楽しい作品だったので出演を決めました。そして撮影中はとても楽しく過ごせましたし、とても多くのことを学ぶことができました。

ouninatta-otoko-k2.jpg―――「王になった男」は韓国で興行成績3位を収めたが「イ・ビョンホンさんが考える要因」と日本の観客にどういう所を見てほしいか教えてください。
ビョンホン:まずはイ・ビョンホンが出演している作品だからではないかと思います。…冗談です(笑)。この作品は歴史的事実を基盤にしている物語ですが、実際の王の日記を見ると、映画の中で描かれている15日間というのは空白になっているんですね。そこからヒントを得てモチーフにし、空白の15日間に「こういうことがもし起きていたら?」というフィクションを加味して作られました。時代や国を問わず、どの人達も世の中に対して鬱憤や不満や悲しみを持っていたりすると思うんですが、それをこの映画では代わりに露吐してくれたように思います。観てくれた観客は代理満足を得られたのではないかと思います。そういった点が非常にたくさんの方に痛快で楽しく観ていただけた所ではないかと思います。

日本の観客の方には見どころというよりも「もし自分が王様だったらどうだっただろう?」と思いながら観ていただけると楽しめると思います。この作品は歴史的な根拠を基にしているけれども、そういったことを知らなくても、国の習慣や文化を知らなくても楽しんで観られると思います。その例として先ごろプレミア上映されたアメリカやイギリスなどでも非常に楽しんでもらえたので、尚更そんな思いを強くしました。

―――数々の作品で現場をひっぱってきた主演という立場と、王には共通する所はありますか?
ビョンホン:表面的には似ている部分があると思います。いつもまわりの視線を集める所や、それによって制限された生活をしなければならない所、権力を持っていても乱用してはいけない所とか、似ている所はたくさんあります。自分が何かを仮に命令したとしても、そこには必ず責任が伴うということも似ている点だと思います。ただ、俳優としては王とは違う部分もあると思うんですね。王は民の思いに耳を傾け、民の求めていることをやっていきますが、俳優というのはファンの好みだけに合わせてしまうと自分のカラーを失くしてしまう、ということが演技の面ではあると思います。ですので作品を選ぶ時も自分の意思で選択すべきだと思っています。もちろん耳を傾けはしますが、傾けすぎると自分の所信を失ってしまうので、そういった所は違うと思います。

―――イ・ビョンホンさんがコミカルに踊るシーンなどは初めて見ましたが、何かエピソードはありますか? あなたのような素敵な笑顔になりたくて練習しているが何か練習方法はありますか?
ビョンホン:ハソンという人物は突拍子がなく滑稽で、人を笑わせるキャラクター。
パフォーマンスのシーンは実はとても大変だったんです。最初は大したことないんじゃないかと思っていたんですが全く違っていました。韓国舞踊というのは基礎から学ばないといけなくて、歩き方ひとつにしても長時間練習してようやく身につくもの。踊るシーンは最初の撮影で撮るはずだったんですが、練習が足りなくて結局最後にまわしました。そしてそのシーンを撮って今回の映画が全て終了したんです。また、舞踊の練習はしても表情の練習はしません。俳優というのは心の中にその時々の感情を持っていないと表情として伝わらないからです。なので練習はしないでください(笑)。

ouninatta-otoko-4.jpg―――出演しようと決定づけたシーンを教えてください。
ビョンホン:ひとつのシーンだけで決めたわけではありません。全体の内容が私の心に響いたので出演を決めました。ではなぜこの作品が気に入ったかというと、誰でも一度は「自分が王様だったらどうするだろうか?」と想像すると思うんですが、そういったことを非常に骨太なメッセージで伝えてくれているなと思ったからです。しかも重くなりがちな所が面白く、コミカルに描かれていたので素晴らしいシナリオだと思い、そこが私にとってアピールポイントになりました。

ouninatta-otoko-b4.jpg―――どの作品も非常にストイックに向かっているように思うが、身体的、精神的に気を付けていることはありますか? また自身の「弱み」を教えてください。
ビョンホン:俳優という職業は何かを練習したり、何かを勉強して深みを出せるものではないと思います。俳優は人生を語り、人生を自分の体をもって演技をし、見せるからです。本を読んだり自分を磨いたりするといったことで俳優の仕事ができるとは思っていません。そして後輩には「分別を持ってはいけないと」とよく言っています。俳優だけではなくアーティストも然りですが。そういった人達は奇抜なアイディアが必要で、時には突拍子もない考えがあるかと思うんです。そういった想像の芽を切ってしまうから「分別を持つな」と言っているんですね。韓国では親が子供に一番言う小言が「もっと大人になれ」「分別を持て」なんですが、私は年がいくつになったとしても、やっぱり少年としての気持ちを持っていた方がいいと思います。そういった気持ちがあればいい考えも浮かびますし、それを表現できるのだと思います。そういったことをよく後輩に話してはいるんですけども、自分の弱みとしては、まわりにそう忠告しつつ、自分ではそれが実践できない所が弱みでしょうか(笑)。

 


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【ジャパンプレミア&調印式】

 

新宿バルト9にて幸運なプレミア上映を鑑賞した約400名の観客が待ち構える中、「皆さんこんにちは。イ・ビョンホンです。おいしかったですか?…あっ、面白かったですか」と日本語で挨拶した彼の姿にファンは大興奮。

「作品を決める時には、こういった作品だからやる、やらないといった選び方をせず、あくまでもその物語が何かが重要だと思っています。また、この映画にでてくる影武者のハソンのコミカルなキャラクターのほうが、王よりも自分の性格に似ているので、周りのスタッフは特に驚いた様子はなかったですね(笑)」と彼が言うと、長年見守り続けてきたファンはスタッフ同様、頷きながら納得の表情を見せていた。

ouninatta-otoko-b2.jpgその後、劇場内のスターステージで行われた“大ヒット祈願調印式”には、イ・ビョンホンの大ファンだと公言する岩下志麻が応援に駆けつけ、「イ・ビョンホンさんはとにかく素敵で、かっこよくて、チャーミング!」「役と一体になってのめり込む役作りの姿勢は同じ俳優として尊敬しています」とベタぼめ。

「もし共演する機会があったら、屈折した心を持つ御曹司と女社長が出会うミステリーなんかがいい」と岩下が言えば、ビョンホンは「2人とも武芸の達人役で一緒にアクションをやりたいですね」と明かした。

そして、映画の大ヒットを祈願し、映画の中でビョンホン演じる王が押印するシーンを模し、二人で大型はんこをパネルに押印!ステージ前に集まった約500人の観客からは大歓声が上がり盛大なイベントは幕を閉じた。

(木村 友美)

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『横道世之介』高良健吾、吉高由里子 舞台挨拶

(2013年1月29日大阪ステーションシティシネマにて)

ゲスト:高良健吾、吉高由里子

(2013年 日本 2時間40分)
監督・脚本:沖田修一  脚本:前田司郎
原作:吉田修一著『横道世之介』毎日新聞社 文春文庫刊
出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩 、綾野剛、井浦新、余貴美子、きたろう

2013年2月23日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸他全国ロードショー

公式サイト⇒ http://yonosuke-movie.com/

©2013『横道世之介』製作委員会


yokomichi-1.jpg 横道世之介という一度聞いたら忘れられないような名前の青年が織りなす愛と友情の軌跡。世之介と出会ったすべての人々の心に輝石をもたらす感動作を作り上げたのは、『南極料理人』『キツツキと雨』の沖田修一監督。掴みどころのない不思議な青年世之介を演じたのは、『おにいちゃんのハナビ』『軽蔑』の高良健吾。世之介の彼女となる実業家の娘・祥子を演じるのは、『婚前特急』『僕等がいた(前後篇)』の吉高由里子。二人は、5年前の『蛇にピアス』で初共演、今回2度目の共演となる。息が合ってるのか合ってないのか、対称的な舞台挨拶で会場の観客を魅了した。


【最初のご挨拶】

高良:今日はお越し下さいましてありがとうございます。
吉高:大阪の皆さんこんばんは~、大阪以外からも来て頂いた方もおられると思いますが、本当にありがとうございます。2時間40分長いですが、見終わった後、自分の身の回りのちょっとしたことが好きになったりすると思いますが、どうぞ最後までごゆっくりお楽しみ下さい。

yokomichi-s1.jpg――― 「横道世之介」の原作を読んだ監督が、この主人公は高良健吾君っぽいね~と言われたらしいですが?
高良:監督とは5年前の『南極料理人』で初めてお会いしたのですが、そう仰って頂いて大変光栄ですし、監督がそう仰るのなら、多分その通りだと思います。この台本読んだ時に、世之介は目の前の人や出来事、風景などにちゃんと反応しているな、狭い範囲で生きていても世之介なりの関わり方をしているなと感じました。また、普通の青年と言われますが、僕から見れば理想的な生き方をしている青年だと思いました。

――― 共感しながら役を演じていたのですか?
高良:半径の狭いところで芝居を終わらせたかったし、答えを見せたくなかった。観客の皆様には、世之介流の生き方を自由に感じて頂ければいいかなと思いました。笑って下さいという芝居はしていないのですが、自然体の中で面白く感じて頂ければいいかなと思います。

yokomichi-s2.jpg――― そのヒロインを演じられた吉高さんは、祥子さんの役について監督からは?
吉高:沖田監督からは特別な指示はなかったです。ただ、テストの時に、「今のはアリ、ナシ」とか言われましたが、本番では自由に演じてました。

――― 映画の中では笑えるシーンも多かったようですが?
吉高:本番中、可笑しくて、ホントに笑っていました。

――― 1987年から始まって2003年までを描いています。その間、世之介はいろんな人と出会っていきますが、その度にテンションも変わっていったりしたのですか?
高良:繋がりとかは考えなくて、自分が学生の時でも、毎日テンション違ったし、行動範囲も狭かったので、目の前にいる人に対しても普通に接していました。相手が同じ人でもテンションは違いました。登場する人たちもそれそれぞれ変わったことをしていることが多く、それが面白いですよね。

――― 多彩なキャスティングできっとお楽しみ頂けると思いますが、吉高さんはこの映画をご覧になって感じたことは?
吉高:関係者と一緒に試写室で初めて見たのですが、予想していないところで笑っていたのに驚きました。何でもないようなところで笑われて、何だか不思議な感じでした。公開されたら、映画館に確かめに行きたいような気がしています。自分が出ている映画でもう一回見たいと思うことはあまりなかったのですが、2月23日公開されたら、お金払って見に行きたいと思います(笑)。

――― 是非、ここ大阪ステーションシティシネマにもお越し下さい。
吉高:予想していたより大きい劇場だったので、ニヤニヤ、ヘラヘラしています(笑)。

yokomichi-s3.jpg――― 5年前『蛇にピアス』で共演されてますが、お互い変わったなと思うところはありますか?
高良:出会った時から変わった人だな~と思いました。今でも吉高さんは吉高さんだと。でも、お互い成長しているところもあるし、前はネガティブなことを話していましたが、視野が広くなったなあと感じました。
吉高:現場にいる高良さんを見るのは2度目ですが、現場を楽しもうと自ら動いている点は前と全然違うなと思いました。変わらない点は、自分の意見をちゃんと持っているし、相手と変に擦り合わせようとしないところが信頼できるところです。あとは、5年前より4~5㎏太いよね? と(笑)。

――― えっ、どういうこと?
高良:この撮影の前にヘビーな『罪と罰』という作品に出演して痩せちゃったので、世之介では太腿をパンパンにしたくてパクパク食べてたら、吉高さんも同じようにパクパク食べてました。なんで吉高さんまで食べるんだろう?って(笑)。
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吉高:高良君が美味しそうに食べているのを見たら嬉しくなって、いつも間にか同じように食べてました。出来上がった時の自分を見たらびっくり!こんなに丸かったっけ?… は~い(笑)
――― 健康的で、映画に元気をもたらしてくれてるようでいいじゃないですか?
吉高:この役に合っていたようで、結果オーライ!って感じです(笑)。

――― 映画の中で16年後というのがありましたので、お二人の16年後はどうなっているでしょうか?
高良:41歳です。あまり先のことは考えられないです。25歳までは想像できていたのですが、その先は分からないです。
吉高:40歳ですね・・・カッサカサになってなきゃいいんですが…(笑)
――― お肌がですか?
吉高:お肌も全部です。潤っていればいいかなと。ちょっとした変化に気付けるような大人になっていればいいかなと思いま。
――― 16年後、映画の舞台挨拶などでお会いできたら嬉しいですね。
吉高:何してるんでしょうね~干されないよう気を付けます(笑)。

yokomichi-s5.jpg――― 最後のメッセージを。
吉高:25歳になったら、もっとしっかりした舞台挨拶ができるように頑張りたいと思います。取材などで何度もこの映画について語りながら、益々この映画が好きになってきました。皆さんも見終わった後、今生きている時間をもっと好きになると思います。長い時間ですが、よろしくお付き合いください。
高良:今日は本当にありがとうございました。この映画をご覧になったら、普段の日常が特別なものに感じたり、キラキラしたものに見えたりすると思います。登場人物と見ている景色は違えども、みなさんが通ってきた時の感情と重なり、懐かしく思って下さるのではないかと。この映画は説明しながら作っていないので、見終わった後も続いていきます。みなさんで自由に育てていって下さればいいなと思います。ツイッターなどで広めてくださると嬉しいです。よろしくお願いいたします。


 物静かに語る高良健吾に対し、天然というか、キュートな語り口で観客の笑いをよんでいた吉高由里子。計算してできるキャラクターではない。そんな吉高由里子が映画の中で使う「ざあます」言葉が余計に可笑しみを生み、世之介の行く末の切なさを際立たせる。誰もの記憶に残る純朴な世之介の笑顔は、きっとあなたの心にも温もりをもたらすと思います。横道世之介くんに会いに行ってあげてください。

(河田 真喜子)

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