「京都」と一致するもの


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フィリピンパブの裏側で未だ行われている偽装結婚を背景に、多文化共生のあり方をリアルに描いた、実話を基にした異色のアジアン・ラブストーリー『フィリピンパブ嬢の社会学』の東京初日舞台挨拶が2/17(土)に東京K’s cinemaで行われ、兄弟漫才コンビ「まえだまえだ」としても活躍していた主演の前田航基、共演の一宮レイゼルステファニーアリアン白羽弥仁監督原作の中島弘象が登壇した。


本作は重版を重ねる中島弘象氏による同名のベストセラー新書「フィリピンパブ嬢の社会学」の映画化作品。主人公の大学院生がフィリピンパブで働く女性と恋に落ち、ともに困難を乗り越えてくラブストーリーだ。作品の舞台である愛知県内で先行公開され大ヒットを記録し、ついに東京での公開を迎えた。
 



登壇者は満員の劇場に、観客からの大きな拍手を受けながら登場。

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主人公の大学院生・中島役を演じた前田は、「ラブストーリーの主演をさせて頂くことは多分これからの俳優人生で数えられるぐらいしかないと思うので、貴重な経験をさせて頂けたと感謝しています」と感慨深げに語った。


白羽弥仁監督が「主人公がいろんな人に出会って、いろんなアクシデントにぶつかって弾き返されるというジェットコースターのような原作の映画化なので、そのアクションに耐えられる肉体を持っている、アクション俳優として前田くんにお願いしました」と映画に前田の存在が不可欠だったことを明かすと、「本当に動けるんだぞってところを見てほしいです」と前田が続け、会場からは笑い声が上がった。


ヒロイン・ミカを演じた一宮レイゼルは本作が映画初出演。「日本に出稼ぎに来ているフィリピン人の背景や、家族愛、友人愛など大事なメッセージがたくさん詰まった話だったので、ぜひこの作品に参加したいという強い思いで参加しました」とオーディション時を振り返る。レイゼルと共演するシーンが多かった前田は、「実際の年齢も僕より1つ上のお姉さんなんで、出店でクレープをご馳走になってしまいました」と撮影エピソードを明かした。


ミカの同僚・アキを演じたステファニー・アリアンは、「現場ではアドリブをたくさん出すくらい、レイゼルさんと本当の友達になりました。」と笑顔をみせた。


最後に前田が「フィリピンはおおらかで、ポジティブで、心の余裕や許してあげる優しさのある本当に素敵な国。日常の中で、苦しいことも辛いこともあると思いますが、この映画を観て『大丈夫。なんとかなる。』そんな気持ちになっていただけたら嬉しいです」と伝え、イベントを締め括った。



さらに、大ヒットを受け拡大公開が決定。

3/1より封切となる大阪なんばパークスや池袋シネマ・ロサをはじめ、横浜ジャック&ベティ、MOVIX京都、キノシネマ天神、など全国各地での上映が決定。先行公開分も含めると単館スタートから20館へ異例の拡大公開となった。

 

併せてコメントも到着。

女優のルビー・モレノほか、フィリピンにルーツや関わりを持つ方々の他、サレンダー橋本(漫画家)、高木瑞穂(ノンフィクションライター)、飯塚花笑(映画監督)等多彩な面々から絶賛コメントが届いた。劇場情報と併せて、下記に掲載する。

フィリピンパ嬢の社会学コメン


東京  新宿ケイズシネマ公開中
    池袋シネマロサ  3/1~
         MOVIX昭島  5/10~

神奈川 横浜ジャックアンドベティ 3/16~

埼玉   MOVIX三郷 5/10~

大阪  なんばパークス 3/1~ 
    シアターセブン 3/9~

京都  MOVIX京都 4/5~

兵庫  kinocinema神戸国際 3/29~

岐阜  岐阜CINEX  3/16~

愛知  MOVIX三好  3/29~

静岡  MOVIX清水 4/5~ 
    浜松シネマイーラ 4月下旬

長野    アイシティシネマ 4/5~

別府    ブルーバード 3/29~

福岡    キノシネマ天神4/26~

熊本    熊本ピカデリー 5/10~


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パブで出会って、騙され?恋をした!

実話に基づく21世紀のアジアン・ラブストーリー


フィリピンパブを研究対象にしている大学院生・中島翔太(前田航基)はパブで偶然出会ったフィリピン人女性のミカ(一宮レイゼル)と付き合い始めることに。

しかし、彼女は偽装結婚をしていることが判明する。月給6万円、ゴキブリ部屋に監視付、休みは月に2回だけといった過酷な生活環境を目のあたりにする翔太。

一方、ミカは現状にめげることなく働き続け、故郷・フィリピンの両親の元に翔太を連れていく。彼女を大切に想う気持ちが次第に強まる翔太は、ミカに懇願され元締めのヤクザの元に乗り込むことになるが―


 

大学院生の実体験に基づいた話題の新書を映画化!

日本で働く外国人女性労働者の実態をリアルに描く


中島弘象氏による実体験を綴った話題の新書「フィリピンパブ嬢の社会学」を映画化!

フィリピンパブの裏側で未だ行われている偽装結婚のリアルを背景に、多文化共生のあり方を描いた異色のラブストーリーが誕生した。

 

前田航基が11年ぶりの単独主演

国内外で活躍する俳優陣がアンタッチャブルな世界に集結


主人公の中島翔太役には、2011年に映画「奇跡(監督:是枝裕和)」で、弟の前田旺志郎とW主演で鮮烈なデビューを飾った前田航基。今作は11年ぶりの主演(単独としては初主演)となる。ヒロインのフィリピンパブ嬢・ミカ役には、映画初出演となる一宮レイゼルが東京、愛知で開催された全国オーディションにて大抜擢。共演には、近藤芳正、勝野洋、田中美里、仁科貴をはじめ、カンヌ国際映画祭で高く評価された映画『PLAN75』のステファニー・アリアンや『ONODA一万夜を越えて』で主演の津田寛治、『東京不穏詩』で大阪アジアン映画祭の最優秀女優賞に輝いた飯島珠奈など、国内外で活躍する俳優陣が脇を固める。


多文化共生のあり方を『能登の花ヨメ」『ママ、ごはんまだ?』の白羽弥仁監督がPOPに描き出す。


出演:前田航基 一宮レイゼル ステファニー・アリアン 田中美里(友情出演) 津田寛治 飯島珠奈 仁科 貴 浦浜アリサ 近藤芳正 勝野 洋
原作:中島弘象『フィリピンパブ嬢の社会学』(新潮新書刊)
監督:白羽弥仁  脚本:大河内 聡 音楽:奈良部匠平
制作・配給:キョウタス 
©2023「フィリピンパブ嬢の社会学」製作委員会


(オフィシャル・レポートより)

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1970年代後期、ソ連占領下のエストニアを舞台に兵役中に出会ったパイロット将校との愛と葛藤を描く『Firebird ファイアバード』が、2月9日よりなんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIXあまがさき、kino cinema 神戸国際ほか全国で絶賛公開中だ。エストニア初のLGBTQ映画であると同時に、本作のエストニアでの大ヒットが同国で同性婚法が成立する後押しになったという。本作が長編デビュー作となったペーテル・レバネ監督とセルゲイ役のトム・プライヤー、ロマン役のオレグ・ザゴロドニーが来阪し、2月10日(土)なんばパークスシネマでの舞台挨拶後に行ったインタビューをご紹介したい。


―――遠方から来日いただき、ありがとうございます。すでに1週間近く滞在されているとのことですが、日本の印象はいかがですか?

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レバネ監督:国も美しいし、文化もとても美しい。日本人の哲学なのかもしれませんが、ディテールにこだわっているのを非常に感じます。例えば、(シネルフレ 河田より)差し入れていただいたイチゴ大福!細かいところにも気を使っているところに感銘を受けています。


オレグ:日本のいろいろな人を見てきましたが、皆自分自身のことを気に留めていて、素晴らしいですね。あとは新鮮な魚。寿司が本当に美味しいです。


トム:特に日本語の響きが好きです。内容はよく理解していませんが、すごくソフトできれいな響きですね。あとは食べ物で、わたしはワサビとかスパイシーな食べ物が好きなので、何かお勧めがあれば教えてください(笑)


■戦争が終わり、平和が戻ったらキーウでも上映したい(レバネ監督)

―――2011年にレバネ監督が原作と出会い、今年日本でようやく公開されましたが、いまのお気持ちはいかがですか?またオレグさんが住んでいるウクライナ・キーウでの映画への反響についても教えてください。

レバネ監督:最初に、ウクライナではまだ公開されていません。というのもこの作品は2021年完成しましたが、翌年の2月にウクライナでの戦争が始まってしまったので、映画のキャンペーンや配信ができなかったのです。ですから、戦争が終わり、平和が戻ってきたら、キーウで上映したいと思っています。

昨日東京で舞台挨拶イベントがあったとき、ひとりの女性が上映後に感想を寄せてくれました。彼女も女性同士で恋愛をしており、周りにそのことを言うのは怖いと明かしてくれた。『Firebird ファイアバード』がもっと多くの場所で上映され、同性愛者に対する差別が取り除かれるようになることを祈っています。

 

―――『Firebird ファイアバード』はエストニアで最初のLGBTQを描いた作品と聞いていますが、社会的抑圧など今までは作れない理由があったのですか?

レバネ監督:本作を作るにあたり特に困難なことはなく、むしろ予算面も含め様々な支援を受けてきました。エストニアは人口1200万人の小さな国で、年間で作られる映画の本数もかなり少ないので、今回たまたま初めてのLGBTQ作品になったのではないかと思います。多分他の監督はLGBTQという題材に対し、それほど情熱を持っていなかったから作らなかったのでしょう。映画の感想もかなりポジティブなものが多く、人々に大きな影響を与えることができたと思っています。
 

■原作者セルゲイの生き様に触れたことが、脚色や役作りの決め手に(トム)

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―――舞台挨拶でオレグさんはオーディションでロマン役に選ばれたと話されていましたが、トムさんはどのような経緯で本作に参加し、共同脚色することになったのですか?

トム:わたしは当時ロサンゼルスで映画プロデューサー関連の仕事をしていたのですが、そこでの会議で知り合った方からレバネ監督のことを紹介され、2〜3週間後にロンドンで初めて監督とお会いしました。最初に資金集めのことを話し合い、それがうまくいったので原作の脚色をするためにふたりで2年ぐらいやりとりを重ねました。レバネ監督と共に原作者のセルゲイに会いにロシアを訪れ、彼の生き様に触れたことがその後の脚色や役作りの決め手になりました。


―――70年代、ソビエト連邦占領下のエストニアで愛し合う主人公たちを演じるにあたり、おふたりはどんな準備をされたのですか?

オレグ:リハーサルに3ヶ月、映画撮影に55日間(オレグさんは42日間)と撮影にかかった時間が非常に長かったので、その間ずっとトムと一緒にいたのは事実です。そこで軍隊の規律を学んだり、肉体的なトレーニングをはじめ、様々な準備や台本読みなども行いました。ふたりの関係性を築くにあたってのコミュニケーションについては私たちだけの秘密です。他のファンタスティックで深い愛を描く作品を演じる俳優にスキルを盗まれてしまいますから(笑)


レバネ監督:実際、オレグさんは最初、英語をあまり上手に話せなかったので、会話がないところからのスタートだったんですよ。


―――そんなふたりの距離がぐっと近づく舞台鑑賞のシーンではオリジナル振り付けの「ファイアバード」が登場しますが、登場シーンが少なく残念でした。

レバネ監督:ちょっとしたバレエ映画が作れるぐらい長時間撮影したのですが、編集でかなりカットすることを余儀なくされたんです。


―――本作はロマンの妻で、セルゲイの同僚だったルイーザ(ダイアナ・ボザルスカヤ)を含めた三角関係が、より物語を深く、そして苦悩にも満ちたものにしていますが、ルイーザ、しいては演じたダイアナさんについてどのように感じて演じていたのかを教えてください。

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オレグ:ダイアナさんは私と同じくオーディションでルイーザ役を射止めました、非常に優れた女性であり俳優であることは間違いないのですが、彼女はロシア人なので私よりも置かれている状況は深刻です。彼女の夫もロシアの有名俳優なのですが、残念ながらロシアは私たちの敵でもあるので、私の中で複雑な感情があることは事実です。

ロマンは愛を貫くために、そしてパイロットとしての自分の人生を守るためにルイーザを利用してしまった。そしてそんな自分自身に対して嘘をつくことが難しくなり、結局はセルゲイを苦しめることにもなるわけで、散々愛する人たちを傷つけてしまったのは間違いありません。彼が選んだのは空で、結局そこが自分の最期の場所になってしまったと思っています。


■この作品でウクライナでは見られなかった世界が開けた。国際的な映画にも積極的に参加したい(オレグ)

―――オレグさんは、この作品に出演され、俳優としてご自身が変わったことはありますか?また今後外国の作品に積極的に出たいと思われているのかお聞かせください。

オレグ:この作品に出演したことで、私の人生は非常に変わりました。ウクライナで活動するだけでは見ることができなかった世界が開けましたし、様々な機会をいただき、そして驚いたことに今私は大阪にいます!ベルリン、ニューヨーク、エストニアと広く上映されている国に行くことができました。将来的には国際的な映画にも積極的に参加していきたいです。多くの監督や演劇人は世界をターゲットにしていますので、そういう人たちと話し合いながら、今後の活動を進めていきたいと思っています。

 

―――トムさんは俳優だけでなく、脚本家やプロデューサーの顔もお持ちですが、今後どのような分野に興味を持っているのですか?

トム:私が今、興味を持っているのはリアリティーの本質です。日頃から物事を深く考えるタイプで、人生とは何かを考えるようにしています。人によって人生に起こることは様々ですし、一歩引いた目でこの先自分にどんなことか起こるのかを見ているところです。ですからプロデューサーや演劇など、いろいろと自分を取り巻くであろうものを受け止めようと思っています。


FIREBIRD-inta-2.10-500-1.【3S】レバネ監督→トム→オレグ.jpg(上の写真:3人とも逆三角形の素晴らしいスタイルなので日頃から鍛えているのかと質問すると、「いえ、親からもらった体のままです!」とオレグ)

―――最後に、この作品はLGBTQの枠を超えて、人間が持っている愛の表現の仕方や愛の意味についてしっかりと描かれており感動しました。レバネ監督は冒険家やイベントプロデューサーなど様々なキャリアを積まれていますが、映画は今回が初長編ということで、今後も映画を撮り続ける予定でしょうか?

レバネ監督:正直に話すと、この映画を撮り終えたときは、もう絶対に映画はやらないと思いました(笑)。映画を作るのはもちろん驚くべきことですが、同時に1日13時間働くこともあり、日頃寝る時間を大切にしている身としては非常に厳しかった。寝不足でも翌朝はまた撮影が始まり、大変だけど濃縮した時間でした。

一方で、ストーリーを作り、みなさんに届けることは、お金やキャリアなど関係なく、かなり楽しいプロセスだと思っています。そしてエキサイティングですよね。ラブストーリーの映画を作ることや、人々がどれだけそれに情熱を傾けることができるかを考えるのは楽しかった。やはり情熱なしに成し遂げることは難しいですから。今回の体験を経て、この12月から1月ぐらいには次回作の脚本を書こうかという気持ちになっています。
 


【 Introduction 】

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2011年ベルリン国際映画祭、監督のペーテル・レバネは見知らぬ男に声をかけられた。「この本を読んで貰えないか」本の表紙には、『ロマンについての物語』と書かれている。その週末、ペーテルは一気にこの本を読み終えた。そして、すぐに映画化を決めた。それほどに、無名の俳優セルゲイ・フェティソフが綴ったこの回想録は、ペーテルの心を深く衝き動かしたのだった。


ペーテルは2014年に、俳優のトム・プライヤー(『博士と彼女のセオリー』『キングスマン:シークレットサービス』)と知り合うと意気投合、彼らはセルゲイに多くの時間をかけてインタヴューを重ね、脚本の準備を始めた。セルゲイのことを知れば知るほど、二人はこの企画にのめり込んでいった。―― 彼の生き方は愛の力そのものであり、勇気と歓びと人生への驚きを喚び起こす―― こうして三人の共作による脚本は完成した。

ところがそんな矢先、ペーテルとトムの元に想像もしなかった報せが届く。
2017年、セルゲイ急逝。65歳の若さだった。
ペーテルとトムはもう後戻りできないことを理解していた。

4年後、『ファイアバード』は、ペーテル、トム、そしてセルゲイの想いを乗せて、漸く完成に漕ぎつけた。


【 Story 】

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1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属されてくる。セルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。ロマンも、セルゲイと目が合ったその瞬間から、体に閃光が走るのを感じていた。写真という共通の趣味を持つ二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエトでは同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。


【ファイアバード】
※火・熱・太陽の象徴である“火の鳥(ファイアバード)”には、永遠の命と大きな愛の力が宿っている。しかしその圧倒的な強さゆえ、触れると火傷をすることもある。


【作品情報】

(2021年 エストニア・イギリス 107分)
ペーテル・レバネ監督・脚色作品 共同脚色:トム・プライヤー / セルゲイ・フェティソフ
原作:セルゲイ・フェティソフ
出演:トム・プライヤー / オレグ・ザゴロドニー / ダイアナ・ポザルスカヤ
配給・宣伝:リアリーライクフィルムズ
関西地区宣伝:キノ・キネマ/Ngrowing
© FIREBIRD PRODUCTION LIMITED MMXXI. ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms

公式HP:https://www.reallylikefilms.com/firebird
公式X(旧Twitter):@firebird_movie 
Instagram:@reallylikefilms
YouTube:@reallylikefilms6087

2024年2月9日(金)~新宿ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際、MOVIXあまがさき 他にて絶賛公開中!


(取材:河田 真喜子、江口 由美 文:江口 由美   場所:なんばパークスシネマ)

 

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日時:2024年2月10日(土)16:35~

場所:なんばパークスシネマ(大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークス8F

登壇者:ペーテル・レバネ監督、トム・プライヤー、オレグ・ザゴロドニー(敬称略)



FIREBIRD-bu-2.10-500-2.【3S】レバネ監督→トム→オレグ.jpg1970年代後期、ソ連占領下のエストニアを舞台に兵役中に出会ったパイロット将校との愛と葛藤を描く『Firebird ファイアバード』が、2月9日よりなんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIXあまがさき、kino cinema 神戸国際ほか全国で絶賛公開中だ。エストニア初のLGBTQ映画であると同時に、本作のエストニアでの大ヒットが同国で同性婚法が成立する後押しになったという。本作が長編デビュー作となったペーテル・レバネ監督とセルゲイ役のトム・プライヤー、ロマン役のオレグ・ザゴロドニーが来阪し、2月10日(土)なんばパークスシネマにて上映後の舞台挨拶が行われた。その模様をご紹介したい。
 

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―――映画製作の経緯について教えてください。

レバネ監督:わたしがベルリン国際映画祭に行ったとき、セルゲイという俳優に会い、彼の自叙伝を渡され読んだのですが、思わず泣いてしまいました。力強くシンプルなラブストーリーかつ、ソビエト連邦と空軍という背景がユニークで、自分が強く思い入れるのを感じました。空軍はかなり厳しく個人の選択が制限されてしまい、こんな悲劇が起こってしまうのです。


―――最初に映画化を聞かされたときにどう感じたのですか?

トム:まず台本を渡され、最初に「ワオ!」と驚きました。軍隊の中で美しいラブストーリーが展開され、その部分もかなりユニークで感銘を受けました。


―――どのようにオファーされたのですか?

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オレグ:俳優、プロデューサーやキャスティングディレクターが選ぶ中で、モスクワに呼ばれ、彼らに会いました。最初にセリフを読んだのですが、当時はまだあまり英語が得意ではなかったので、練習する中でセリフを忘れることもありました。ウクライナ、ロシアなど移動しながら、トムらと少しずつ議論を重ねていきました。2018年9月の最初の撮影時から比べれば、徐々にではありますが英語が上達しているかもしれませんね。

トム:僕は全然ロシア語を話せませんしね(笑)。


―――ウクライナ人のオレグさんが行っている、兵士に軍服を提供する活動について教えてください。

オレグ:アメリカ、ヨーロッパに知り合いが大勢おり、ウクライナ情報をシェアしていたんです。何か支援をできないかという声があったので、軍服をデザインし、最前線で働く兵士たちに送る活動をはじめました。彼らは、僕にとってのヒーローですから。


―――タイトルの『ファイアバード』と劇中のバレエが非常に作品を象徴していると思いますが。

レバネ監督:セルゲイの自叙伝が「ロマンの物語」というタイトルだったので、「ローマ」にしようと思いましたが、古代ローマのイメージが強いと周りから指摘されました。劇中で

ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ファイアバード(火の鳥)」を使っていますが、強烈なイメージで、映画のキャラクターを考えるとこれをタイトルにつけていいのではないかと思いました。映画の中でもセルゲイとロマンがバレエ「ファイアバード」を鑑賞するシーンがありますが、それがセルゲイの人生につながっていくので、自然な流れでした。


FIREBIRD-bu-2.10-240-4.トム・プライヤー(セルゲイ役).jpg―――セルゲイご本人にお会いしたときのエピソードを教えてください。

トム:セルゲイ本人に会いにレバネ監督とロシアへ行き、彼の生き方やふるまいを実際に目にしました。セルゲイは非常に明るく、暖かく、ポジティブな方で、この出会いをどのように脚本を書くか、どのように演じるかの決め手になりました。セルゲイは何よりも、かなり抑圧された社会の中に、ポジティブに勇気を持って生きてきたと感じたのです。


―――エストニアでは2024年元日に同性婚法が施行されましたが、映画が法の成立を後押しする役目を果たしたと思いますか?

レバネ監督:映画は強い影響力を持ったメディアだと思います。人々のいろいろなところ、経験や人生に影響を与えると信じています。本作は多少なりとも(法の成立に)影響はあったと思いますが、実際には2010年から議会メンバーやわたしたちがロビー活動をはじめ、テレビ出演してディベートを行ってきました。同性婚がどういうものなのかを人々に伝えていき、その中には喜びや苦しみを持ち合わせてもいます。男性も女性も基本的には同じ問題を抱えているので、社会の中で根気よく伝えていくことが重要でした。そんな中でエストニアにて同性婚法が施行されたのは、ある意味嬉しい驚きだったのです。ただ同じような法律が認められていたロシアでは今、この映画を上映したり、セルゲイの本を売るだけで5年間の禁固刑となり、逆に(同性愛に関することは)禁じられてしまいました。


―――最後に、日本のみなさんにメッセージをお願いします。

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オレグ:映画を好きになっていただけたら嬉しいです。

トム:足を運んでいただきありがとうございました。みなさんにお会いできてよかったです。心に深く問いかけるものになればと思っています。

レバネ監督:まずは劇場の方に感謝いたします。観客の皆さんに会える機会をいただきありがとうございます。友達にもぜひこの物語をシェアしてほしいですし、非常に美しい作品の中にいろいろなことが盛り込まれています。この映画を見て、いつも他の人に思いやりを持つ心を感じていただけたらと思います。
 

 


【 Introduction 】

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2011年ベルリン国際映画祭、監督のペーテル・レバネは見知らぬ男に声をかけられた。「この本を読んで貰えないか」本の表紙には、『ロマンについての物語』と書かれている。その週末、ペーテルは一気にこの本を読み終えた。そして、すぐに映画化を決めた。それほどに、無名の俳優セルゲイ・フェティソフが綴ったこの回想録は、ペーテルの心を深く衝き動かしたのだった。


ペーテルは2014年に、俳優のトム・プライヤー(『博士と彼女のセオリー』『キングスマン:シークレットサービス』)と知り合うと意気投合、彼らはセルゲイに多くの時間をかけてインタヴューを重ね、脚本の準備を始めた。セルゲイのことを知れば知るほど、二人はこの企画にのめり込んでいった。―― 彼の生き方は愛の力そのものであり、勇気と歓びと人生への驚きを喚び起こす―― こうして三人の共作による脚本は完成した。

ところがそんな矢先、ペーテルとトムの元に想像もしなかった報せが届く。
2017年、セルゲイ急逝。65歳の若さだった。
ペーテルとトムはもう後戻りできないことを理解していた。

4年後、『ファイアバード』は、ペーテル、トム、そしてセルゲイの想いを乗せて、漸く完成に漕ぎつけた。


【 Story 】

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1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属されてくる。セルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。ロマンも、セルゲイと目が合ったその瞬間から、体に閃光が走るのを感じていた。写真という共通の趣味を持つ二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエトでは同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。


【ファイアバード】
※火・熱・太陽の象徴である“火の鳥(ファイアバード)”には、永遠の命と大きな愛の力が宿っている。しかしその圧倒的な強さゆえ、触れると火傷をすることもある。


【作品情報】

(2021年 エストニア・イギリス 107分)
ペーテル・レバネ監督・脚色作品 共同脚色:トム・プライヤー / セルゲイ・フェティソフ
原作:セルゲイ・フェティソフ
出演:トム・プライヤー / オレグ・ザゴロドニー / ダイアナ・ポザルスカヤ
配給・宣伝:リアリーライクフィルムズ
関西地区宣伝:キノ・キネマ/Ngrowing
© FIREBIRD PRODUCTION LIMITED MMXXI. ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms

公式HP:https://www.reallylikefilms.com/firebird
公式X(旧Twitter):@firebird_movie 
Instagram:@reallylikefilms
YouTube:@reallylikefilms6087

2024年2月9日(金)~新宿ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際、MOVIXあまがさき 他にて絶賛公開中!


(文:江口 由美 写真:河田 真喜子)

 
 
 
 

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【日時】 2月9日(金) イベント:18:30 ※上映前イベント

【場所】 新宿ピカデリー シアター6 (東京都新宿区新宿3-15-15)  

【登壇者 ※敬称略】 トム・プライヤー、オレグ・ザゴロドニー、ペーテル・レバネ監督、小原ブラス

【MC】 東 紗友美  【通訳】 今井美穂子



2月9日(金)、エストニア・イギリス合作映画『Firebirdファイアバード』の初日舞台挨拶を新宿ピカデリーにて開催いたしました。

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本作はロシアの無名の俳優セルゲイ・フェティソフが書き遺した回想録『ロマンについての物語』を、『Robbie Williams:Fans Journey to Tallinn』の監督・プロデューサーとして知られている、エストニア出身のペーテル・レバネが映画化し、2024年1月1日にエストニアで同性婚を認めさせる原動力にもなった許されない秘めた愛を描いた感動作です。


『博士と彼女のセオリー』 『キングスマン』に出演するトム・プライヤーと、ウクライナ・キーウ出身のオレグ・ザゴロドニーのW主演キャストと、「ペット・ショップ・ボーイズ」の「Together」やModyの「Wait for Me」、BBCワールド制作のライブドキュメンタリー『Robbie Williams:Fans Journey to Tallinn』の監督・プロデューサーとして知られている、エストニア出身のペーテル・レバネ監督が緊急来日登壇!さらに、本作に深い感銘を受けたロシア出身関西育ちのタレント・小原ブラスが花束ゲストとして登場し、登壇キャスト・監督へ花束を贈呈。日本での公開の喜びや本作に込めた想い、小原ブラスさんには登壇キャストのうち、誰と恋におちたいかも発表してもらいました!



FIREBIRD-bu-2.9-500-1.【3S】レバネ監督→トム→オレグ.jpg本作は、ロシアの無名俳優セルゲイ・フェティソフが書き遺した回想録「ロマンについての物語」を基にし、冷戦時代のソ連占領下のエストニアを舞台に、2人の青年の秘められた愛を描いた物語。


FIREBIRD-bu-2.9-240-1.【ソロ】オレグ・ザゴロドニー(ロマン役).jpg「ペット・ショップ・ボーイズ」の「Together」や Mody の「Wait for Me」、BBC ワールド制作のライブドキュメンタリー『Robbie Williams:Fans Journey to Tallinn』の監督・プロデューサーとして知られる、エストニア出身のペーテル・レバネが映画化。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵・セルゲイをトム・プライヤー、パイロット将校・ロマンをウクライナ・キーウ出身のオレグ・ザゴロドニーがW主演で演じる。今回、熱烈なオファーを受けてトムとオレグ、レバネ監督がついに来日!特にオレグは、今も戦火の中にあるウクライナ・キーウ在住で、国外渡航が困難な状況の中での、奇跡の来日となった


FIREBIRD-bu-2.9-240-3.【ソロ】ペーテル・レバネ監督.jpg満席の会場に笑顔で立ったレバネ監督は、映画制作のきっかけについて、「ベルリン映画祭に参加したときに、知り合いからセルゲイの自伝を薦められて読んだのですが、涙が流れて止まらなかった。これは映画化しなければならない!と突き動かされる気持ちになったんです」。撮影の経緯については、「脚本を書き始めたころに、ハリウッドの友達のプロデューサーから主役に合う人がいると、トムを紹介されたんです。トムが一緒に脚本に参加してくれて二人三脚で2年がかりで書き上げ、その後オレグと会うことができました」と明かす。


映画化の話を聞いたトムは「僕の好きな要素がたくさん入っている話だと感じました。元々、軍部を背景にしたものが好きだったこと、冷戦時代にも興味があったので面白そうだなと。そして、愛の本質とは、性質とは何なのかを描いていたので、ぜひ参加したいと思いました」と当初を振り返り、「色んな困難、壁を乗り越えて愛に突き進む人物を描いているところも魅力でした」と作品への想いを吐露。一方で、オレグは監督が素晴らしい人物を脚本で描いてくれて、僕もとても演じがいがありました。真の愛の物語を描いているこの作品に参加できたことをとても嬉しく思っています」と笑顔を見せた。


Firebird_Director Peeter Rebane 500-1.jpg本作は、2021 年、エストニアでLGBTQ 映画として初めて一般劇場公開され、大ヒットを記録。本作のメッセージが大きな反響を呼び、公開から 2 年後の 2023 年 3 月には国会で同性婚法案が議決され、2024年1月に施行された。本作がその原動力となったことに、レバネ監督は「そもそも映画は、他者の視点を通して物事を見るというもの。社会を少しでも変えることができる力強いメディアなのではないかと思っています。共感を呼び起こす装置だと私は信じていて、この映画がエストニアで社会に影響を与えた。LGBTQに関しては、マジョリティーの皆さんにとっては大した話ではないかもしれませんが、少数派のマイノリティーの人たちにとっては人生の幸福度が大きく変わる出来事になったと思います。こうした法整備がなされたことで、私も社会の一員として認められ、私も他者と平等なのだと感じました。社会が総合的にハッピーになることはいいことですね」と真摯に語った。


FIREBIRD-bu-2.9-240-2.【ソロ】トム・プライヤー(セルゲイ役).jpgまた、トムは撮影前にモデルとなったセルゲイ本人に会ったそうだが、「本作の脚本にも参加できたことは僕にとって素晴らしい体験でした。そして主人公のセルゲイ本人に会えたことも大きな体験でした」とし、「セルゲイは、それまで抱いていた印象と違い、とても陽気で人生を謳歌しているようなポジティブ思考の方でした。ストーリーのバッググラウンドはダークで脅威がはびこる世界なのですが、そんな中でも自分の信念を曲げることなく、愛は全てを乗り越えるということを見せてくれる人でした。書面で読んだだけではわからないんですね。本人に会って伝わってくるものがある。彼と会って役へのアプローチも変わっていきました」と述懐し、本人との出会いにより、より深く役を理解していった様子。


ここで、ロシア出身のタレント・小原ブラスが登場し、3人に花束を贈った。自身もゲイであることを公言しており、独特な視点を活かしたコメントで幅広い層から支持を集める小原だが、一足先に本作を鑑賞した感想を「僕は最初にこのポスターを見て、めっちゃカッコいい人が出てるわ~と思って、良からぬ考えで観た気がするんです」と話し、会場の笑いを誘いつつ、「でもね、最初はソ連時代の迫害があったりしてちょっと重たいなと思っていたんだけど、後半になるとガラッと変わって、現代でも通じるような話になっていって、急に近くに感じたんです。良からぬ気持ちで観ようと思っている方も、最後は感動するから、そのつもりで!」と声をかけた。


FIREBIRD-bu-2.9-550-1.【花束4S】レバネ監督→トム→オレグ→小原.jpg小原の言葉に大ウケする3人。レバネ監督は「良からぬ気持ちになるのもわかります(笑)」と同意しながらも、「それに加えて、非常に美しさと苦悩がせめぎ合っているような映画になっているのかも」と分析。小原は「ゲイとかLGBRQを扱った映画は、どうしてもロマンチックに描く方向もあったり、迫害されたり、その辛い気持ちの部分を描くことがあるけれど、僕が観ると必ずしも主演の2人に全部は同意できない部分もあるんです。自分とは違うなとか・・・筋が通ってへんとちゃう?とか。でも、それが人間。ゲイの当事者が観たらちょっと肩の荷が下りるような映画にもなっていると思います」と、正直な気持ちを口にした。


さらに、MCから「登壇者の3人のうち、誰と一番恋に落ちたい?」と聞かれると、「監督やな」と即答。「僕ね、イケメンも凄く好きなんですけど、監督もイケメンですが、やっぱり権力が好きなんです。作品とは真逆なコメントになるんやけど(笑)」と言い、会場を沸かせ、トムとオレグも大爆笑し、満員の会場一体が和やかな雰囲気で舞台挨拶は終了した。
 


【 Introduction 】

2011年ベルリン国際映画祭、監督のペーテル・レバネは見知らぬ男に声をかけられた。「この本を読んで貰えないか」本の表紙には、『ロマンについての物語』と書かれている。その週末、ペーテルは一気にこの本を読み終えた。そして、すぐに映画化を決めた。それほどに、無名の俳優セルゲイ・フェティソフが綴ったこの回想録は、ペーテルの心を深く衝き動かしたのだった。


ペーテルは2014年に、俳優のトム・プライヤー(『博士と彼女のセオリー』『キングスマン:シークレットサービス』)と知り合うと意気投合、彼らはセルゲイに多くの時間をかけてインタヴューを重ね、脚本の準備を始めた。セルゲイのことを知れば知るほど、二人はこの企画にのめり込んでいった。―― 彼の生き方は愛の力そのものであり、勇気と歓びと人生への驚きを喚び起こす―― こうして三人の共作による脚本は完成した。

ところがそんな矢先、ペーテルとトムの元に想像もしなかった報せが届く。
2017年、セルゲイ急逝。65歳の若さだった。
ペーテルとトムはもう後戻りできないことを理解していた。

4年後、『ファイアバード』は、ペーテル、トム、そしてセルゲイの想いを乗せて、漸く完成に漕ぎつけた。


【 Story 】

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1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属されてくる。セルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。ロマンも、セルゲイと目が合ったその瞬間から、体に閃光が走るのを感じていた。写真という共通の趣味を持つ二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエトでは同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。


【ファイアバード】
※火・熱・太陽の象徴である“火の鳥(ファイアバード)”には、永遠の命と大きな愛の力が宿っている。しかしその圧倒的な強さゆえ、触れると火傷をすることもある。


【作品情報】

ペーテル・レバネ監督・脚色作品 共同脚色:トム・プライヤー / セルゲイ・フェティソフ
原作:セルゲイ・フェティソフ
出演:トム・プライヤー / オレグ・ザゴロドニー / ダイアナ・ポザルスカヤ
配給・宣伝:リアリーライクフィルムズ
宣伝デザイン:HYPHEN 予告編監督:株式会社ココロドル
日本語字幕翻訳:大沢晴美 関西地区営業・宣伝:キノ・キネマ 北海道地区営業・宣伝協力:palmyra moon
© FIREBIRD PRODUCTION LIMITED MMXXI. ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms
公式HP:https://www.reallylikefilms.com/firebird
公式X(旧Twitter):@firebird_movie 
Instagram:@reallylikefilms
YouTube:@reallylikefilms6087

2024年2月9日(金)~新宿ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際、MOVIXあまがさき

他にて絶賛公開中!


(オフィシャル・レポートより)

 
 

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韓国年間最長No.1記録を樹立、2023年韓国国内映画賞で【25冠】と最多受賞を記録した、史実に残された最大の謎に迫る<全感覚麻痺>サスペンス・スリラー『梟ーフクロウー』が、2月9日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国ロードショーいたします。


朝鮮王朝時代の記録物<仁祖実録>(1645年)に残された‟怪奇の死“にまつわる歴史的な謎に、斬新なイマジネーションを加え誕生した『梟―フクロウ―』は、観客の無限の想像力を刺激し、2022年の韓国年間最長No.1記録を樹立。


韓国エンターテイメント界の最高峰を決める百想芸術大賞で作品賞・新人監督賞・男性最優秀演技賞の3冠を受賞。11月に開催された第59回大鐘賞映画祭でも新人監督賞、脚本賞、編集賞の3部門を受賞し、公開後も注目を集め続けている。
 

‟盲目の目撃者“が謎めいた死の真相を暴くために常闇を奔走する予測不可能な物語は、圧倒的な没入感と、緊張感をもたらし、息もできないほどの狂気が支配する118分は、観る者すべての五感を麻痺させる―。
 



【リュ・ジュンヨル & ユ・ヘジン オフィシャルインタビュー】

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これまでのコミカルな役のイメージを覆し、本作で初めて王の役を引き受けたユ・ヘジンは「自分自身のカラーを王の役を演じる際にどう溶け込ませればいいのかと大いに考えました」と明かし、朝鮮王朝第16代国王・仁祖の心理的な変化を表現するために「彼の心理状態と合った役を演じようと努力しました」と語り、特殊メイクを使わずに、顔の筋肉の僅かな痙攣を操るという超人的な演技を見せている。


対して、卓越した鍼の技術を持つ盲目の鍼医を演じたリュ・ジュンヨルは、「初めて盲目の人物を演じる中で、感情を表現することは、僕にとっての挑戦となりました」と心境を明かし、「目で演技をすることができないという大きな壁があったように思います。目が見えない演技をしている間は、感情を表現することが難しかったですね。視覚以外の感覚全てを使うことで、ギョンスの感情を伝えようと努力しました」と、これまでとは違ったアプローチで盲目の役に挑んだという。


fukurou-500-1.jpgそんなリュ・ジュンヨルの演技についてユ・ヘジンは、「リュ・ジュンヨルの演技は、より繊細になっています。これは表現が容易な役ではありませんでしたが、彼は全ての細かいディテールにまで細心の注意を払っていました」と絶賛し、『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』、『The Battle: Roar to Victory』(英題)に続き、本作で3度目の共演となるリュ・ジュンヨルとユ・ヘジンのコラボレーションに期待が高まる。


さらに、『王の男』以来17年ぶりにアン・テジン監督と再びタッグを組んだユ・ヘジンは、「デビューを果たす監督とは違って、注意深い目で映画全体を見ていました」と監督の印象を語り、「この作品は、昼夜に隠された謎を巡る、スリルに満ちた映画です」と、斬新さと真新しさをもって誕生した新しいスタイルのスリラー映画であることをアピールした。
 


【STORY】 
fukurou-pos.jpg盲目の天才鍼医ギョンスは、病の弟を救うため、誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働いている。しかし、ある夜、王の子の死を‟目撃“し、恐ろしくも悍ましい真実に直面する。見えない男は、常闇に何を見たのか―?追われる身となった彼は、制御不能な狂気が迫るなか、昼夜に隠された謎を暴くために闇常闇を駆ける―。絶望までのタイムリミットは、朝日が昇るまで―。


・監督・脚本:アン・テジン 撮影:キム・テギョン
・出演:リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジン
・2022年/韓国/118分/原題:올빼미/英題:THE NIGHT OWL/日本語字幕:根本理恵/G
・配給:ショウゲート
・© 2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & C-JES ENTERTAINMENT & CINEMA DAM DAM. All Rights Reserved.
・公式HP: fukurou-movie.com  
・公式X:@showgate_youga

2024年2月9日(金)~新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほかにて全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

 
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 作家、村山由佳が大正時代の女性解放運動家・伊藤野枝の生きざまを描いた吉川英治文学賞受賞の評伝小説「風よ あらしよ」。NHK BSプレミアムでテレビドラマ化され、22年放送された同作が、『風よ あらしよ 劇場版』として2月9日(金)よりシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、キノシネマ神戸国際、シネマサンシャイン大和郡山、2月10日(土)よりユナイテッド・シネマ橿原、2月16日(金)より京都シネマ、以降元町映画館、シネ・ピピア、洲本オリオンにて順次公開される。
 本作の演出を手がけた柳川強さんに、お話を伺った。
 

 

■村山由佳さんの評伝と#MeToo運動の広がりが推進力に

――――伊藤野枝が関東大震災後に大杉栄と共に惨殺されてから、昨年がちょうど100年でしたが、本作を鑑賞し、改めて彼女の生き様や主張にしっかり焦点を絞って描いた映像作品は今までなかったなと実感しました。もともと柳川さんが伊藤野枝に興味を持ったのは、舞台がきっかけだったと?
柳川:宮本研さんが書かれた『ブルーストッキングの女たち』を学生時代に鑑賞し、大正時代の男女の群像劇ではありましたが面白いと思いましたし、ドラマ制作に携わるようになると、いつか自分でドラマ化したいという想いが芽生え、1、2度企画書を出したこともありましたが、震災で虐殺される人間の話ですから、なかなかGOサインが出ない。やはり今回原作となった村山由佳さんの評伝が出版されたのが大きかったですね。当時ちょうど#MeToo運動が広がりをみせ、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんなど女性一人で世の中に堂々と訴える人も出てきた。時代の動きと伊藤野枝がリンクしたことを認識し、ドラマ化に向けて動き出す下地がようやくできたのです。
 
――――わたしも小説は発売後すぐに読み、胸にズドンと響きましたが、柳川さんが原作を読んでの感想は?
柳川:長いなと(笑)それと、村山さんが作家として伊藤野枝にかける熱量が凄まじかった。読み終わってから、伊藤野枝を描くなら、井戸に葬られた野枝の眼差しではじまり、殺されてからの彼女の眼差しで終わるというのが映像的だと思ったのです。あと野枝が「組合」による助け合いの中で育ってきたことを語るところも、自分ではできるだけ野枝が書いた文献を読んできたけれどその中では見つけられず、村山さんが書いてくださったことで知ることができた場面で、その2点から野枝の物語を映像化する糸口を掴むことができました。
 
――――いわゆるコモンズという考え方は現在も社会の様々な場面で取り入れられつつありますよね。
柳川:やはり28年の短い生涯で、最後は虐殺される訳ですから、よく「彼女は何を成した人なのか」と聞かれるのです。でも、コモンズという考え方にたどり着き、それを論文に綴っているので、これがあるじゃないかと。そこに気づけたのは大きかったですね。
 

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■感受性豊かな野枝役は、吉高さんしか思い浮かばなかった

――――柳川さんが演出された連続テレビ小説「花子とアン」も拝見していましたが、いざ企画が通ったとき、同作でタッグを組んだ吉高由里子さんがすっと頭に浮かんだのですか?
柳川:朝ドラから10年経ち、もう一度ご一緒したいと思っていました。女性からはともすれば主張が強すぎて嫌われるかもしれない伊藤野枝を、いかにも主義者然とした人が演じると観客層が狭まってしまうかもしれない。野枝という人は実は愛嬌があり、人たらしな部分があると思うのです。また谷中村の話をしたときにすぐ泣くような感受性豊かな人だと思ったときに、吉高さんしか思い浮かばなかったです。
 
――――伊藤野枝を演じている吉高さんは声の太さが違うと思いました。オファーに対し、吉高さんの迷いはなかったですか?
柳川:吉高さんは「これに賭けている」というようなことは絶対に言わない方ですが、撮影が終わってから、タイトルに重なる「吹けよ、あらしよ」というナレーションを撮らなくてはいけなかったんです。その録音を撮り終わったときにはじめて「やった!終わった!」と吉高さんがおっしゃるのを聞いて、きっとそれまではずっと日常生活の間、野枝のままでいたのではないかなと感じました。
 
――――自由にならない現状への怒りが、パワーの源泉のようにも映りました。
柳川:吉高さんも野枝も感受性のおばけなので、いろいろなことを怒りとして溜め込まざるを得なかったのかもしれませんね。
 
 
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■一番好きなキャラクター、辻潤を演じた稲垣吾郎

――――伊藤野枝の文学的才能を開花させた最初の夫、辻潤を演じた稲垣吾郎さんには、どんな演出をしたのですか?
柳川:稲垣さんは、僕がNHKに入局して最初に携わった連続テレビ小説「青春家族」でヒロインの弟を演じていたので、30年ぶりにお会いしました。今回は、大人の色気も感じましたし、まず自分の役柄の立ち位置を丁寧に確認されました。最初に、敵役ですよねと聞かれた覚えがあるのですが、実は僕の一番好きなキャラクターが辻潤なんです。なぜかと言えば、個人が自由になることが、この社会が自由になることだという考え方を徹頭徹尾、自分一人の中で哲学的に完結させた人だからで、昭和19年に孤独死(餓死)しています。萩原朔太郎も、辻潤の人生は一つの芸術であると語っているような人ですから、稲垣さんにも彼の生き方は素晴らしいと思って描きたいとお伝えしました。
 
――――結婚させられそうになった九州の田舎から逃げてきたばかりの伊藤野枝に様々な知識を与えた存在だったと思います。青鞜社に入り、野枝がはじめて演説を行ったシーンは、大杉栄をはじめ、多くの男性たちにも伊藤野枝ここにありと示す重要な場面で、野枝の言葉が体を突き抜けるようなインパクトがありました。撮影はどうでしたか?
柳川:吉高さんもあのシーンが成立するかどうかはずっと悩んでいました。演説のセリフが文章から引用したものだったので、もう少し主観的に話せるようにセリフを調整したり、声を相当張り上げていたのでスタッフ一同、極力1回で撮りきれるように集中しました。表現が本当にしっかりとしてきて、本当にいいシーンでした。
 
――――永山瑛太さんが演じる大杉栄も、パワフルで、かつ人たらしでしたね。
柳川:実は、野枝の最初の演説シーンで、大杉は目を見開いて彼女のことを見ているんです。村山さんの原作にも大杉栄は「眼の男」と書かれているので、瑛太さんもそれを意識して演じておられたと思います。
 
 
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■こだわったのは共助になる大杉との共同生活

――――長い原作を映画化するにあたり、特に描きたかった場面は?
柳川:本当は青鞜社のシーンを多くした方が面白くなるのですが、彼女の人生の中ではまだ序章に過ぎないと思ったので削り、辻との出会いと別れを丁寧に描きました。思想的な考え方の違いから離婚に至るケースなので、そこを大切にしたことと、キーワードで言えば「共助」になる大杉との共同生活を具体的に描いていきました。主張や主義を訴えるシーンより、むしろ子どもが一人ずつ増えていくとか、村木源次郎や大杉が子育てを手伝い、野枝が原稿を書くという日常生活の描写を割と大事にしたかもしれませんね。
 
――――そういう描き方をすることで、人間、伊藤野枝の生き様や様々な表情が観客に伝わる気がしますね。死後はスキャンダラスな取り上げられ方をし、なかなか正当な評価を得られなかったという野枝ですが、ようやく彼女の成し遂げたことが評価される時代になったのではと思います。むしろ当時と今とそんなに変わらないことにも気づかされます。
柳川:ひとりの人間として自由を守るために何が必要で、何を言わなくてはいけないかを問うている作品でもあると思います。大杉の自由恋愛も、瑛太さんは女性陣に総スカンをくらう覚悟を持って演じてくれました。大杉の考え方は、一人ひとりが自由な精神を持つことで、社会も自由になるという思想ですから、あながち間違ってはいないのでは、という風に、描き手としてはあえて価値づけをせずに描こうと思いました。道徳の範疇を超えるかどうかという問題はありますが、それをダメだと断罪してしまうのも、どこか不自由な気がするので、そういう事は意識しました。そこはいろいろな議論が出てきていいと思っています。
 
 
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■野枝の怒りが込もった言葉を連呼させて

――――関東大震災後に虐殺されるまでの描写は、昨年公開された森達也監督の『福田村事件』とかぶる部分でした。特にフォーカスした点は?
柳川:歴史的には甘粕大尉が大杉らを虐殺したかどうかは定かではありません。ドラマ上そのように描くのは簡単ですが、逆に歴史修正主義と同じ土俵に乗ってしまう懸念がありました。だからそこは描かないことに決めました。また、吉高さんが演じる伊藤野枝に何度も「イヌ!」と叫んでもらうようにしました。ドラマでは野枝の最期の言葉になるわけですから、そこに怒りを込めてもらいたかったのです。また、実際には雨天ではなかったと思いますが、そこはフィクションなので「風よ あらしよ」というタイトルの通り、嵐の中、井戸に打ち捨てられ大杉が死んでいった過酷さを見せたかったですね。
 
――――平塚らいてうを演じたのは松下奈緒さんですね。
柳川:松下さんご自身が日頃から太陽のような方なので、平塚らいてうを演じていただくのにぴったりでした。らいてうは当時のアイコンのような存在でしたから。
 
――――野枝は憧れのらいてうを、ある意味あっという間に追い越してしまうような勢いがありました。そのパワフルさにも魅せられます。
柳川:らいてうは上流階級出身ですが、野枝はどちらかといえば野良犬のような野性味がありますから、その対比も松下さんと吉高さんなら出せるのではないかと。
 
――――本当に野枝はずっと、バタバタとこなれていない泥臭い走りをしていたのでは?
柳川:野枝を走らせるのと、厳しい人生の象徴である雨風をふんだんに当てることは撮影中しっかりやりましたね。吉高さんからは「筋肉痛になるよ〜」「また走るの!?」と言われましたが(笑)。
 
――――印象的だったのが、関東大震災後、親戚の家に行く前に真っ白の衣装を着た大杉と野枝が源次郎や子どもと一緒に楽しそうに踊っていたシーンです。
柳川:あのシーンは瑛太さんにどんな踊りにするかを任せたんですよ。するとYoutubeでコサックダンスを探してきて、吉高さんと話ししながら楽しそうにやっていましたね。
 

■無政府主義者に対して刷り込まれた負のイメージに気づく

――――日常の中のささやかな歓びが見える、いいシーンですね。
柳川:よかった(笑)。とかく無政府主義者は怖い人というイメージを持たれがちですが、そうではない等身大の部分を見ていただきたいという想いがありました。当時は政府から監視対象になっていましたが、彼らは本当に危険な人物だったのかと考えますよね。僕もこの作品を機会に、アナキズムについて勉強しようと思って、本を読んでいます。「アナーキー」という言葉が、人と変わったことをやる人とか暴力的な人という刷り込みが僕にもありましたが、今、そうではないということにようやく気づいた感じですね。
 
――――ありがとうございました。最後にメッセージをいただけますか。
柳川:生きづらさを抱えている人間がいて、その人が自由を求めて何をしたのかを観ていただきたいし、大正時代の女性の着物の美しさにも触れられると思います。吉高さんは今、大河ドラマ「光る君へ」で紫式部を演じていますが、彼女らしい軽やかさが垣間見える平安貴族とは違い、こんなに野太い演技もできるんだというところもぜひ観ていただきたいですね。僕自身が吉高さんのファンですから。
(江口由美)
 

<作品情報>
『風よ あらしよ 劇場版』
2023年 日本 127分 
原作:村山由佳「風よ あらしよ」(集英社文庫刊)
演出:柳川強 
出演:吉高由里子、永山瑛太、松下奈緒、美波、玉置玲央、山田真歩、朝加真由美、音尾琢真、石橋蓮司、稲垣吾郎
2月9日(金)よりシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、キノシネマ神戸国際、シネマサンシャイン大和郡山、2月10日(土)よりユナイテッド・シネマ橿原、2月16日(金)より京都シネマ、以降元町映画館、シネ・ピピア、洲本オリオンにて順次公開
公式サイト:https://www.kazearashi.jp/
製作・配給:太秦
(C) 風よ あらしよ 2024 ©村山由佳/集英社
 
 

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◆日時:2月2日(金) 18:30〜19:00

場所:T・ジョイ梅田(大阪府大阪市北区梅田1丁目12−6 E-MA ビル 7F)

登壇者:文音、松村沙友理、光岡麦監督  MC:遠藤淳
 


 

台本なしの全編アドリブのミステリー映画!?

“呪いの血”が招く殺人事件の予測不能な推理劇

 

「マーダーミステリー」という参加者が推理小説の登場人物となり話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲームの新ジャンルが中国で始まり、日本でもリアル、ネットを問わず多くのイベントが開催され、「リアル脱出ゲーム」や「人狼ゲーム」に続く次世代の体験型ゲームと言われている。朝日放送テレビにて 2021 年 3 月、ストーリーテラーに劇団ひとりを迎え「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」としてドラマ化され、その劇場版が2月16日より全国にて公開される。


madamisu-pos.jpg今までにない俳優による緊張感のある即興劇(アドリブ)と先の読めない展開が話題となり、今回豪華俳優陣による誰も知らない結末が待つミステリー映画が完成。探偵・斑目瑞男を演じる劇団ひとりや斑目の助手役の剛力彩芽をはじめ、全員が容疑者となる木村了、犬飼貴丈、文音、北原里英、松村沙友理に、八嶋智人、高橋克典などのベテラン勢も出演。


この度、富豪の後妻となりお邸の女主人を演じた文音と、そのメイド役の松村沙友理、そしてマーダーミステリー映像化の第一人者である光岡麦監督が先行上映会にて舞台挨拶に登壇し、映画の見所や撮影秘話について語ってくれた。松村沙友理と光岡麦監督は大阪出身ということもあり、関西弁でざっくばらんにトーク。パワフルで本音でトークする大阪の人が好きだという文音も、ほぼアドリブで展開していく現場に戸惑いながらもミステリー劇の面白さについて語ってくれた。
 


〈詳細は以下の通り〉

――いよいよ2月16日から公開されますが、今のお気持ちは?

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文音:ミステリー映画ではありますが、コメディー要素も多分にありますので、我慢せずに声に出して笑って楽しんで頂きたいと思います。

松村:撮影中はどんな作品になるのか全く想像つかなかったのですが、映画として斬新で凄く面白いなと感激しました。皆さんにも楽しんで頂ければと思います。

――新しい感覚の映画ということですが、監督は?

松村:(いきなり)天才監督!…言うときましたよ(笑)

光岡監督:すべてアドリブの映画ってあんまりないですし、皆さんも演じたことないと思いますので、新しい感覚の映画だと思います。


――そのお笑いに厳しい大阪ですが、皆さんにとっての大阪の印象は?

松村:私は大阪出身ですが、来る度に街が綺麗になっていってる感じがして、パリみたい!?

――パリ?どの辺が?

松村:大阪駅の辺りとか、ロンドンみたいだと思いません?ええ?褒め過ぎ?大阪のこと好き過ぎてそう見えてんのかな…(笑)

文音:ニューヨークに2年間演劇留学していたんですが、その時日本人の方とも仲良くなっていって、大阪の方は精神力と根性が凄いので、東京出身の友達がどんどん日本に帰っていく中、大阪の友達はずっとニューヨークにいたんですよ。大阪の人はパワフルなイメージが強いです。大阪の人は気持ちを包み隠さず言ってくるし、嘘がなく気持ちいいので大阪の友達が多いです。そういう人好きです!

――でも、最後は「知らんけど」が付きますけどね(笑)

文音:はい、そんなイメージです。

――パリ・ニューヨークと来て、監督は?

光岡監督:僕はずっと大阪なんで、今も大阪に住んでます。この映画館も学生の頃からよく来てました、ADの頃にも…。


madamisu-bu-di-240-1.jpg――光岡監督は本業はTV制作に携わっておられるんですよね?今回映画監督になられた感想は?

光岡監督:映画監督なんて僕らTVの人間にとっては憧れですからね、雲の上のような存在なんで、いまフワフワしてます。まだ映画監督なんて言い切れるもんじゃないんで…(笑)


――新感覚の全編アドリブ演技ということですが、現場の雰囲気は?

文音:まず一人一台の車が付き、アドバイザーが各自一人付いてるんです。まるで監視役みたいで、俳優同士が会話をしないようにと隔離状態でしたので、緊張感が凄かったよね。

光岡監督:人物設定書はあらかじめお渡ししていたのですが、「あの時こうだったよね」などと皆さんで話し合わないで下さいね、と横の会話もないようにバラバラで居てもらいました。嫌な空気だったと思います。

文音:普通、最初にご挨拶するのですが、それもなくいきなり「ヨウイ、スタート!」と撮影に入りましたので、それはもう緊張感のある現場でした。


――クランクアップまでずっと我慢されてたんですか?

松村:ず~っと人を疑ってました(笑)スタッフさんさえ疑ってました。アドリブで進められるので、その内スタッフが「実は僕が…」なんて言い出しかねない雰囲気でしたね。終いには自分のマネージャーも疑ってしまいました(笑)

――そういうキャストの表情は監督にはどう映っていたのですか?

光岡監督:皆さん人間不信になっておられたようでした。私に何か聞きたそうだな~という時でも、無視してました。どんどん嫌われていってるようでしたね。


madamisu-bu-matsumura-240-2.jpg――スタートからゴールまで先の読めない展開ですが、最も苦労した点は?

文音:全部が苦労でした!やはり終盤になって犯人が判明しつつある頃に頭の中がぐちゃぐちゃっになっていったので、その頃が精神的なピークを迎えてましたね。

松村:いろんなヒントやアイテムが提示されるのですが、それらを覚えるのに必死でした。それから次から次へといろんな事が起きるので、状況を覚えるのも大変でした。

――監督は要所要所でエッセンスを落としていくという作業だったのですか?

光岡監督:台本はないけど、事件のあらましはあったので、証拠的アイテムをその都度提示していき、後は俳優さんたちにお任せでした。その証拠をどう扱って、どう盛り上がって、誰が怪しまれていくのか、僕らも全然想定できなくて、多分皆さん探り探りしながら始まったと思いますが…。

文音:最初の私の声なんて、めちゃめちゃ小さくて!自信なくて…(笑)

光岡監督:難しやろな~やりにくいやろな~と思いながら撮っていったんですが、エンディングまでお任せなんで、どうなるんやろ?ほぼムチャぶりで、「皆さんでオチつけて下さい」と投げてましたが、次第にチームワークが築かれていったようでしたよ。

文音:最後は芝居を創り上げた一体感は凄く出ていたと思います。

光岡監督:皆さんのお陰です!それに尽きます。


――完成版を観た感想は?

文音:キャラクターのバックグラウンドが完成されて初めて分かったことが沢山あるので、2回観て理解することもありました。現場には10カメ(10台のカメラ)あったんですよ。そんな現場なんてないですから、編集も大変だったのでは?

松村:凄いです。天才!(笑)

光岡監督:(確信犯のように)言わせてますね(笑)

松村:演じてる時は、「これほんまに作品になるんかな?」と思っていたら、ちゃんと面白い作品に仕上げて下さって、やっぱ凄い!って思いました。


madamisu-bu-500-3.jpg――文音さんと松村さんは、使われなかったシーンとかありましたか?

文音:それすら忘れてる~(笑)完成作を観て、少しずつ思い出したくらいですからね。

松村:カットされてるというより、思ったより喋ってない自分の顔が使われていて、それが興味深かったです。皆さんの細かい表情も使われていてびっくりしましたね。


――劇団ひとりさんとの共演は大変だったのでは?

光岡監督:ネタバレになるのであまり言えませんが、松村さんが劇団ひとりさんに追い詰められてましたね…。

松村:あまり覚えてないのですが、リベートのように言い合ったのは面白かったような…負けたくない!という気持ちで…、

文音:さすが関西人!(笑)

松村:負けたくない!勝ちたい!と根性でバトルしてました(笑)

文音:劇団ひとりさんがめちゃくちゃ暴れるので、笑うのを堪えるのに必死でした。役を超えて自分自身が出てしまうところもあるので、それも見所の一つではないかと思います。

光岡監督:笑ってる部分もカットできなかったので、そのまま写ってます(笑)


madamisu-500-1.jpg――文音さんと松村さんのお互いの印象は?

文音:撮影中はあまり喋れなかったので…でも今日一日ずっと一緒にいて、メチャ可愛らしくて、朝からの取材で段々と疲れていくのがわかって、ありのままが可愛い女優さんだなぁと。ファーストカットから緊張してたのか、目がうるうるしていて、「なんて純粋な娘(こ)なんだろう」と思いました。

松村:文音さんは現場にいらっしゃった時からオーラというか存在感が凄くて、お屋敷の女主人としての立ち居振る舞いが素晴らし過ぎて!それにあのドレス似合う人、他にいませんよ!

文音:あれは監督と決めたんです。いくつかパターンがあったのですが、一番派手なドレスを選んだんです。

光岡監督:はい、満場一致で(笑)

松村:私はメイド役だったので文音さんの後に立つことが多かったのですが、めっちゃ文音さんの背中を見てました。「きれ~いっ!」(笑)


madamisu-bu-500-1.jpg――最後のご挨拶。

文音:この映画は台本がなく、私たちもそんな映画はやったことがないのですが、役柄なのか俳優の素なのかその狭間に新しい何かを見つけてお楽しみ頂ければ嬉しいです。

松村:撮影中はどんな映画になるのか分かりませんでした。皆さんもどこまでがアドリブなのかと不思議に思われるかも知れませんが、殆どアドリブですので驚いて頂けたら嬉しいです。1回だけでなく、2回3回観て頂ければより楽しめると思います。よろしくお願いいたします。

光岡監督:役者さんたちの力の凄さを感じたくてこの作品を企画したのですが、台本がないからこそ、役者さんたちの素のスピードやチカラや迫力を感じながら観て楽しんで頂けたらと思います。本日はどうもありがとうございました。
 


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殺された少女の怨念か、「三つ首祭り」の夜に起きた連続殺人事件。

【ストーリー】
舞台は『一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する』という不気味な伝承が残る鬼灯村(ほおずきむら)。その伝承をもとに「三つ首祭り」という不気味な鬼祭が行われた夜、村の長を務める一乗寺家当主が何者かに殺される。

その夜一条寺家に集まった7人に加え、祭りの最中村をうろついていた不審人物(劇団ひとり)が乱入し、犯人捜しが始まる。豪雨のため警察は来ない中、さらに殺人が……。次第にそれぞれの秘密が暴露され、殺害の動機を持つ容疑者は増えるばかり…誰が何のために殺したのか?

 

・監督:光岡麦 ・シナリオ構成:渡邊仁 ・企画:安井一成
・出演:劇団ひとり、剛力彩芽、木村了、犬飼貴丈、文音、北原里英 松村沙友理 堀田眞三/八嶋智人 高橋克典
・2024年製作/103分/G/日本
・宣伝・配給:アイエスフィールド ・配給協力:ショウゲート
・© 2024 劇場版「マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ

【公式 HP】 https://madarame-misuo.com/

【公式 X】 https://twitter.com/MadarameMisuo (アカウント: @MadarameMisuo)
 

2024年2月16日(金)~T・ジョイ梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、T・ジョイ京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド 他全国ロードショー


(河田 真喜子)

 
 





この度、2024 年 2 月9日 ( 金 ) より、新宿ピカデリー他にて全国公開される、エストニア・イギリス合作映画『Firebird ファイアバード』の本予告編が完成。

公開直前の 2 月 6 日にはエストニア出身のペーテル・レバネ監督と主演のトム・プライヤーと、ウクライナ・キーウ出身の主演俳優オレグ・ザゴロドニーの来日も決定いたしました。特にオレグ・ザゴロドニー氏の来日は、ウクライナが戦禍にある現在、海外渡航が非常に困難な中での訪日となります。


本作はロシアの無名の俳優セルゲイ・フェティソフが書き遺した回想録『ロマンについての物語』を、ペット・ショップ・ボーイズの “Together” や Mody の “Wait for Me”、BBC ワールド制作のライブドキュメンタリー『Robbie Williams:Fans Journey to Tallinn』の監督・プロデューサーとして知られている、エストニア出身のペーテル・レバネが映画化。『ブロークバック・マウンテン』や『アナザー・カントリー』を彷彿とさせる “秘められた愛” が、繊細かつ壮大なスケールで描かれています。


主演には東西欧州の新星イケメン俳優が競演。『博士と彼女のセオリー』『キングスマン』の “英国出身のアップカミングスター” トム・プライヤーと、“ウクライナの正統派二枚目俳優” オレグ・ザゴロドニーが、冷戦時代ソビエト占領下のエストニアを舞台に、当時決して許されるものではなかった愛の物語をリアルに演じています。


FB などの SNS を媒介にして、国籍性別を問わず世界の映画業界人たちが隠れた名作として拡散したことでも話題となった本作です。

 


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『ファイアバード Firebird』

ペーテル・レバネ監督・脚色作品 
共同脚色 : トム・プライヤー / セルゲイ・フェティソフ 
原作 : セルゲイ・フェティソフ 
出演 : トム・プライヤー / オレグ・ザゴロドニー / ダイアナ・ポザルスカヤ
[ 2021 年 | エストニア・イギリス合作 | 英語・ロシア語 | 107 分 | 1.85:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray ]
配給・宣伝 : リアリーライクフィルムズ 
宣伝デザイン : HYPHEN 
予告編監督 : 株式会社ココロドル 日本語字幕翻訳 : 大沢晴美 
関西地区営業・宣伝 : キノ・キネマ 
北海道地区営業・宣伝協力 : palmyra moon

公式サイト:https://www.reallylikefilms.com/firebird

2024年2月9日(金)~新宿ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際、MOVIXあまがさき 他全国ロードショー

 

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日時:1月26日(金) 16時40分の回上映後(18時31分頃から)

場所:新宿武蔵野館 スクリーン1(新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F)

登壇者:アンソニー・ウォン(黄秋生/62)

聞き手:江戸木純



hakujituseishun-pos.jpg香港の名優アンソニー・ウォンが主演し、香港に住む難民の少年と心を通わす姿を描く、感動のヒューマンドラマ『白日青春-生きてこそ-』が公開中です。


本作では、『インファナル・アフェア』(2002)『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(2008)『淪落の人』(2018)等に出演する香港を代表する名優アンソニー・ウォンがワケあって息子と距離のある孤独なタクシー運転手チャン・バクヤッ(陳白日)を演じ、台湾の第59回金馬奨で最優秀主演男優賞を受賞している。


このベテランの大スターを相手に堂々とした芝居をしたのが、本作が初めての映画出演となるパキスタン出身で香港在住の少年サハル・ザマン。難民申請をしたパキスタン人の両親の下、香港で生まれた少年ハッサン(香港名:莫青春(モク・チンチョン))役を演じ、第41回香港電影金像奨最優秀新人俳優賞を10歳で獲得している。

この度、公開を記念して主演を務めたアンソニー・ウォン(黄秋生)登壇の初日舞台挨拶を実施いたしました。
 



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「金馬奨で僕が受賞した時は、サハル(子役)を連れて壇上に上がったのに、彼が金像奨を受賞した時には、壇上に連れて行ってくれなかったんだ(笑)」

香港の名優アンソニー・ウォン、5年ぶりに来日、初日舞台挨拶行われる!

 

アンソニー・ウォンが登壇する貴重な舞台あいさつということもあり、この日の上映は満員。映画上映後、映画の余韻に浸っていた観客の前に立ったアンソニーは日本語で「コンバンワ!」とご機嫌にあいさつ。そして「まずこの場を借りて、皆さまにお礼を言いたいと思います。今日はわざわざ『白日青春-生きてこそ-』を観に来てくださいまして本当にありがとうございます」と観客に謝辞を述べた。


hakujituseishun-bu-240-2.jpg孤独なタクシー運転手と難民の少年の交流を描き出した本作になぜ出演することとなったのか。その質問を受けたアンソニーは「実はこの映画は、(アンソニーの前作で、高い評価を受けた)『淪落の人』と同じ制作会社がつくった作品なんです。彼らとは以前に一緒に仕事をしていて、とても信頼できる人たちだと思っていたので。彼らから『こういう新人の監督がいて、こういう脚本があるんですが』とオファーがあって。それで脚本の話をするようになったんです。ちょうどその頃はコロナの時期で、暇だったということもあり、自分としてもこれ以上、映画に出ないということになると、もう演技ができなくなるんじゃないかという心配もあって。それで話に応じたということです」とその経緯を説明。その後、監督と脚本について話し合いを持ったとのことだが、「監督は本当に礼儀正しい人で。一緒に仕事をするにも申し分のない人だった」と振り返った。


アンソニーが演じるバクヤッは、いろいろな悩みを抱えた複雑なキャラクター。そんな役を演じるにあたり、「この映画で注意しなければいけなかったことは、考えすぎないということ。例えばブルース・リーだと、相手を一発で倒しますよね。でも倒す前にあれこれと余計なカンフーを見せたりする、ということはしないと思うんです。だから自分も同じようにして撮影に挑んだ」という。


hakujituseishun-bu-240-1.jpgまた、本作の撮影現場について「とても和やかな感じでした」と振り返ったアンソニーは、「実際の共演相手は3人。その中に(主人公が交流を深める難民の少年役の)サハル(Sahal)がいたわけですが、実は広東語で“天ぷら(Za ha)”という意味だったんです。だから彼のことを“天ぷら”という愛称で呼んでいました。彼とはゲームをやったりとひたすら遊びましたし、時には子どもが歌っちゃいけない歌を教えたりもしたんです」とちゃめっ気たっぷりに告白し、会場を沸かせた。


そして司会者からのいくつかの質問を受けた後は、アンソニーのたっての希望により、会場の観客からの質問を受け付けることに。最初に観客に向けて「これから皆さんに質問をしてもらうわけですが、条件があります。質問をした方は、家に帰ってから10人の友だちにチケットを買ってもらって、お客さんを劇場まで呼び込んでください。それができない人は質問しちゃダメですよ」と冗談めかして会場を沸かせたアンソニー。


hakuseishun-500-1.jpg本作は第59回台湾金馬奨で、アンソニーが最優秀主演男優賞を獲得。さらに第41回香港電影金像奨では、サハル・ザマンが最優秀新人賞に輝いている。そのことを踏まえてひとりの観客からは「台湾金馬奨の授賞式で二人(アンソニーとサハル)が一緒に立っている様子が印象的でした。その時のお気持ちをお聞かせください」という質問が。


それに対してアンソニーは「実は台湾金馬奨では、天ぷらくん(サハル)も新人賞にノミネートされていたんですけど、彼は受賞を逃してしまって。泣いていたんです。その後、自分の番になって受賞することができたわけです。その時は何も考えていなかったけど、直感として、小さい子どもが盛大な授賞式に参加するのは、人生で1度か2度あるかどうかだろうと。せっかくだから彼も壇上に連れて、その気分を味わってもらおうと思ったわけです。続く香港電影金像奨では彼が新人賞をとることになったんですけど、彼が受賞した時は僕をステージに連れてあがらなかったんですよね」とジョークを交えながら、当時の様子を振り返ると、会場は大笑い。香港映画界のスターながら、気さくな人柄で観客を魅了し続けたアンソニーだった。
 


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【STORY】

香港は難民の国際中継地であり、毎年、数千人の難民がこの街で政府の承認を待っている。この長いプロセスには10年以上かかることもある。ハッサンはパキスタンから香港にやって来た両親の下に生まれ、香港で育ったが、自分の将来がここには絶対にないことを知っていた。彼の唯一の夢は家族とともにカナダに移住すること。だが、突然の交通事故で父親が命を落としてしまい、彼の夢も打ち砕かれた。

チャン・バクヤッ(陳白日)は1970年代に中国から香港に密入境し、現在はタクシー運転手として働いている。香港で警察官になった息子のチャン・ホン(陳康)とは、あまりうまくいっていない。父親を失ったハッサンは、難民で構成されたギャングに加わるしかなかったが、警察によるギャング対策に巻き込まれ、追われる身となってしまう。バクヤッはハッサンの逃亡を手伝うことを決心し、二人の間には絆が芽生え始める。しかしハッサンは、バクヤッが父親の死亡した事故を引き起こした運転手であることを知る。ハッサンとバクヤッの関係、そして逃避行はどうなるのか…。


監督・脚本:ラウ・コックルイ 撮影監督:リョン・ミンカイ
プロデューサー: ヴィーノッド・セクハー(Vinod Sekhar) ソイ・チェン(鄭保瑞) ウィニー・ツァン(曾麗芬) ピーター・ヤム (任硯聰)
出演:アンソニー・ウォン サハル・ザマン エンディ・チョウ インダージート・シン キランジート・ギル 
2022年/香港・シンガポール/広東語・ウルドゥ語/カラー/DCP/シネマスコープ/ステレオ/111分
原題:白日青春/英題:The Sunny Side of the Street
日本語字幕:橋本裕充/字幕協力:大阪アジアン映画祭/PG12
配給:武蔵野エンタテインメント株式会社
PETRA Films Pte Ltd © 2022

公式サイト: https://hs-ikite-movie.musashino-k.jp

X:@hs_ikite_movie

2024年1月26日(金)~新宿シネマカリテ、なんばパークスシネマ、MOVIXあまがさき、3月15日(金)~京都シネマ、順次~神戸元町映画館 他全国順次公開


(オフィシャル・レポートより) 

 

 

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日時:1月18日(木)18:00~18:30(30分)※本編上映前の舞台挨拶

会場:テアトル新宿 (東京都新宿区新宿3丁目14−20 新宿テアトルビル B1)

登壇者:前田敦子(32)、カルーセル麻紀(81)、哀川翔(62)、坂東龍汰(26)、三島有紀子監督 ※敬称略
 



『繕い裁つ⼈』『幼な⼦われらに⽣まれ』『Red』など多くの作品を⼿掛け、国内外で⾼い評価を受ける三島有紀⼦監督の⻑編10作⽬となる最新作『⼀⽉の声に歓びを刻め』が、2⽉9⽇(⾦)に劇場公開する。


ichigatukoe-pos.jpg本作は、監督⾃⾝が47 年間向き合い続けた「ある事件」をモチーフに⾃主映画からスタートしたオリジナル企画。「性暴⼒と⼼の傷」をテーマに、⼼の中に⽣まれる罪の意識を静かに、深く⾒つめる映画である。


⼋丈島の雄⼤な海と⼤地、⼤阪・堂島のエネルギッシュな街と⼈々、北海道・洞爺湖の幻想的な雪の世界を背景に、3 つの罪と⽅⾈をテーマに、⼈間たちの“⽣”を圧倒的な映像美で描いていく。


船でやってきた者を前⽥敦⼦、船を待つ者を哀川翔、そして船で向かう者をカルーセル⿇紀が演じ、さらに、坂東⿓汰⽚岡礼⼦宇野祥平原⽥⿓⼆とよた真帆らが脇を固める。


いよいよ来月に公開となる『⼀⽉の声に歓びを刻め』。1月18日に完成披露上映会イベントが開催。俳優陣が全員顔を揃えるのはこの日が初でありながら、和やかな雰囲気で舞台挨拶は進行。前田敦子は「キャストの皆さんと今日初めてお会いすることが出来て凄く嬉しくて。楽屋でキャッキャしていました」と笑顔。それに対しカルーセル麻紀は、81歳にして13センチのヒールを履いて美しい脚線美を披露しつつ「入り口でこけたら偉いことになる」と自虐を飛ばした。哀川翔と坂東龍汰、三島監督とともに、始終和気あいあいとイベントは進行した。
 


【以下、レポート全文】

三島有紀⼦監督自身に起こった経験にインスパイアされた映画『⼀⽉の声に歓びを刻め』(2月9日公開)。その完成披露上映会が1月18日にテアトル新宿で行われ、前⽥敦⼦、カルーセル⿇紀、哀川翔、坂東⿓汰、そして三島有紀⼦監督が参加した。


自主制作スタイルで本作を製作した三島監督。「私を含めてたった二人で映画を作ろうと決めて、お金も集まってない、配給も公開も決まってない中でキャスト・スタッフの皆さんが一緒にこの映画を作ろうと言ってくださった。それが本当に嬉しくて、このように完成披露上映会を迎えることが出来て感慨深いです」とソールドアウトの会場を見まわして感激の言葉を紡いでいた。


ichigatukoe-bu-maeda-240-2.jpg3つの島を舞台に物語が構成される本作は、別々の話が一つの物語へと繋がっていくため、撮影自体も別々に敢行された。それゆえに俳優陣が全員顔を揃えるのはこの日が初。大阪編でれいこを演じた前田は「キャストの皆さんと今日初めてお会いすることが出来て凄く嬉しくて。楽屋でキャッキャしていました」と笑顔。洞爺湖編でマキを演じたカルーセルは、13センチのヒールを履いて登壇し「入り口でこけたら偉いことになる」と自虐を飛ばしつつ「今日はあっちゃんに会えて嬉しくて、楽屋であっちゃんとお喋りが弾みました」と語った。


三島監督からのオファーを一ヵ月悩んだ末に引き受けたという前田。「メッセージ性のある役をオファーしていただいたものの、こんなに真剣に悩んだのは初めて。でも三島監督は懐の深い方だったので待ってくださってくれて、私はその胸に飛び込ませてもらいました」と感謝。これに三島監督は「一ヵ月悩んで答えを出してくれたことに誠実さを感じました。役と真剣に向き合ってくださって、やりますと言ってくれた時は思わず台本を抱きしめました」と念願叶ったようだった。


一方、カルーセルは昨年1月に行われた洞爺湖ロケについて「空港に着いたらマイナス20度で大雪。スタッフが迎えに来られず、タクシーでホテルに行こうと思ったら高速道路も通れず、途中で降りて3時間半かけてホテルまで辿り着きました。撮影は早朝からなので焼酎を飲んでパックして寝たけれど全然寝れない。しかも化粧をして撮影現場に行ったら猛吹雪で何も撮ることが出来なかった」とヘビーすぎる状況回想。映画『八甲田山』を引き合いに出して「あの映画はマイナス16度の撮影らしいけれど、こっちはマイナス20度よ。座ったらおしりがやけどするくらい寒かった。わたし81歳ですよ!?」と過酷さを訴えていた。


ichigatukoe-メイン2_カルーセル麻紀.jpgそんな中、実家が洞爺湖町にある坂東が「僕の実家が近いので、映画の中には見慣れた景色が広がっていた」などと感想を述べると、すかさずカルーセルは「地獄でした」とバッサリ。「地元を地獄だなんて言われるとは…」と絶句する横でカルーセルは「でも楽しかった。殺されると思ったけれど」と饒舌で舞台挨拶を大いに盛り上げていた。


三島監督はカルーセルについて「テストまでは寒さで震えているのに、本番になると体の震えが止まる。カルーセルさんが雪原を歩くシーンがありますが、それを撮った時はスタッフ一同感動。命懸けで挑んでくださっている大女優の姿に感激しました」と感謝しきり。


ichigatukoe-メイン3_哀川翔.jpg八丈島編で誠を演じた哀川は「八丈島は行き慣れた場所なので、知り合いの島民もいて良くしてもらった。長いセリフもあったけれど、心情的にもスッといけた。画作りが監督の中で明確だったので俳優としてやりやすかった」と回想。大阪編でれいこ(前田)と出会うレンタル彼氏トト・モレッティ役の坂東は「撮影は2日間と短いものでしたが、濃い撮影で無駄のない時間を過ごしました。前田さんとも三島監督とも密に話し合いが出来たうえで撮影出来たのは嬉しかった」と手応えを得ていた。


ichigatukoe-サブ_前田敦子+坂東龍汰_203.jpgカルーセルのサービス精神によって終始明るい雰囲気となった舞台挨拶も、終了の時間に。最後に三島監督は「劇中には何人かのれいこが出てきます。それは特定の人とは限らず、もしかしたら皆さんの中にもいるかもしれない。そんな気持ちで映画を観ていただき、それぞれのれいこを見つけてほしいです」とアピール。前田も「⿇紀さんから始まり、哀川さんと私と繋がって。色々なものを受け取ってもらえる作品であり、三島監督の映画愛が詰まった気持ちのいい作品です。美しい世界が広がっているので、五感を使って最後まで堪能してください」と充実した表情で呼び掛けていた。
 


<STORY>

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北海道・洞爺湖。お正月を迎え、一人暮らしのマキの家に家族が集まった。マキが丁寧に作った御節料理を囲んだ一家団欒のひとときに、どこはかとなく喪失の気が漂う。マキはかつて次女のれいこを亡くしていたのだった。一方、長女の美砂子は女性として生きるようになったマキに複雑な感情を抱えている。家族が帰り静まり返ると、マキの忘れ難い過去の記憶が蘇りはじめる……。


東京・八丈島。大昔に罪人が流されたという島に暮らす牛飼いの誠。妊娠した娘の海が、5年ぶりに帰省した。誠はかつて交通事故で妻を亡くしていた。海の結婚さえ知らずにいた誠は、何も話そうとしない海に心中穏やかでない。海のいない部屋に入った誠は、そこで手紙に同封された離婚届を発見してしまう。


大阪・堂島。れいこはほんの数日前まで電話で話していた元恋人の葬儀に駆け付けるため、故郷を訪れた。茫然自失のまま歩いていると、橋から飛び降り自殺しようとする女性と出くわす。そのとき、「トト・モレッティ」というレンタル彼氏をしている男がれいこに声をかけた。過去のトラウマから誰にも触れることができなかったれいこは、そんな自分を変えるため、その男と一晩過ごすことを決意する。やがてそれぞれの声なき声が呼応し交錯していくーー。
 


出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔  坂東龍汰、片岡礼子、宇野祥平
    原田龍二、松本妃代、長田詩音、とよた真帆
脚本・監督:三島有紀子
配給:東京テアトル
© bouquet garni films
公式ウェブサイト:ichikoe.com 
公式X:@ichikoe_movie
公式Instagram:@ichikoe_movie

2024年2月9日(金)~テアトル新宿ほか全国公開


(オフィシャル・レポートより)

 
 
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