「京都」と一致するもの

 
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6月26日17時20分から東京都千代田区の有楽町朝日ホールにて、今年で23回目を迎えるフランス映画祭2015オープニングセレモニーおよびオープニング作品『エール!』の上映が行われた。
 
オープニングセレモニーでは、主催のユニフランス・フィルムズ代表、イザベル・ジョルダーノさんが「本当にありがとうございます。世界中でこれほど関心を集めているフランス映画は独自性が魅力。まるでカンヌ映画祭が続いているかのよう、今晩はまさに映画の祭典です。多くのゲストも参加します。この4日間最高のフランス映画をお楽しみください」と挨拶し、1946年にユニフランスが制作したカトリーヌ・ドヌーヴの短編映像が特別上映された。
 

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次はいよいよゲストの登場。『ヴィオレット(原題)』主演女優で、フランス映画祭2015団長のエマニュエル・ドゥヴォスが客席通路から颯爽と登場し、満席の客席から大きな拍手が沸き起こった。引き続き、『ボヴァリー夫人とパン屋』のアンヌ・フォンティーヌ監督、フランソワ・オゾン監督最新作『彼は秘密の女ともだち』主演女優のアナイス・ドゥムースティエ、『EDENエデン』主演男優のフェリックス・ド・ジヴリ、同作のミア・ハンセン・ラヴ監督の実兄で脚本のスヴェン・ハンセン=ラヴ、『アクトレス』のオリヴィエ・アサイヤス監督、『ヴィオレット(原題)』のマルタン・プロヴォスト監督、『ティンブクトゥ(仮題)』のアブデラマン・シサコ監督、『セバスチャン・サルガド』のジュリアーノ・リベイロ・サルガド共同監督、『チャップリンからの贈りもの』のグザヴィエ・ボーヴォワ監督、そしてオープニング作品『エール!』の主演女優ルアンヌ・エメラとエリック・ラルティゴ監督の計12名が登壇。東京に集まったフランス映画人は檀上でも和やかな雰囲気で、この場を楽しんでいる様子だった。
 
 

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そして団長のエマニュエル・ドゥヴォスが「こんばんは。東京に来られてとてもうれしいです。仕事ばかりでちょっと残念です。東京を楽しみたいと思います」とチャーミングな日本語で挨拶。引き続きフランス語で「東京に皆で来ることができて光栄です。色々な映画祭がある中で、我こそが行きたいと名乗りを上げるのが、東京のフランス映画祭です。ありがとうございます。私たちにとってもみなさんにとってもいい映画祭になることを望みます」と挨拶し、観客からの大きな拍手に笑顔で応えた。
 
 
 
 
 

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まさに女優としての輝きに磨きがかかったエマニュエル・ドゥボス(6月28日『ヴィオレット(原題)』上映後に登壇予定)や、オゾン作品でロマン・デュリスを相手に揺れ動く女心を繊細に演じ、今後の活躍にも期待が高まるアナイス・ドゥムースティエ(6月27日『彼は秘密の女ともだち』上映後に登壇予定)、そして初出演作の『エール!』が本国で大ヒット、映画で披露した見事な歌声を生かし歌手としても活動中、本当にキラキラと輝く新星ルアンヌ・エメラと、フランス映画好きにはたまらない豪華ゲストがズラリと並び、華やかなオープニングとなった。
 
フランス映画祭2015は6月29日まで有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京海上)で全12本を上映する。会期中は、全ゲストが上映後のトークに登壇予定だ。
 
フランス映画祭2015公式サイト http://unifrance.jp/festival/2015/
 
 

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映画『ハーブ&ドロシー』の佐々木芽生監督が、クジラとイルカを巡る国際論争をテーマに、世界に向けて発信する長編ドキュメンタリー映画の制作に挑んでいます。クジラ・イルカ論争が再熱する中、佐々木さんを迎えての緊急トークイベントを6月25日(木) 奈良、6月26日(金) 大阪、6月28日(日) 京都で開催します。制作中のクジラ映画のダイジェスト版を上映します。
 

 
「佐々木芽生さん 映画にできることって何ですか?〜クジラを巡る世界的論争を描くドキュメンタリー映画のお話」
 
♦︎奈良:6/25(木)19:30〜 藝育カフェ Sankaku
 
♦︎大阪:6/26(金)19:30〜 スタンダードブックストア心斎橋
 
♦︎京都 :6/28(日) 15:00〜 チルコロ京都
 

★クジラの映画の資金をクラウドファンディングで調達中です。★ 
 
 
佐々木芽生監督のWAZA 勧告についての見解。
 

Laia-ivent.jpg青森から「触ると幸せが訪れる」100kgの合掌土偶が応援にやってきた!!
 

2015年6月13日(土)初日舞台挨拶レポート

ベストセラー作家・森沢明夫の同名小説を映画化した青森を舞台に描かれる感動作『ライアの祈り』が6月13日(土)より全国公開となり、有楽町スバル座にてキャスト・スタッフによる初日舞台挨拶が行われました。

Laia-1.jpg本作は人生に臆病になっていた女性・桃子が“人間本来の生き方”のエッセンスに満ちた“縄文時代”に触れ、自身の幸せのカタチを見出して一歩を踏み出していく姿を描く、優しさ溢れる感動作。主人公・桃子役にはドラマ・番組パーソナリティーと幅広く活躍する鈴木杏樹。本作が意外にも映画初主演となる。そして、縄文時代への情熱に燃える誠実で不器用な研究者・クマゴロウに宇梶剛士、映画『進撃の巨人』など今年出演作が多数公開される注目度上昇中の武田梨奈が桃子を慕う後輩・桜役で出演。その他にも秋野太作、藤田弓子、宅間孝行、村田雄浩、中本賢といった実力派演技陣が顔を揃えている。
 

 

本日、実施された初日舞台挨拶には武田梨奈をはじめ、藤田弓子、ライア役の水嶋仁美、黒川浩行監督、原作者の森沢明夫、製作総指揮の川阪実由貴が登壇。武田梨奈は本作で演じた役柄について「最初は難しい役柄だと思いましたが、演じている中で私が演じた女性の気持ちは特別なことではないと感じました。映画のキャッチコピーにもある“幸せのカタチは決して一つではない”に通じているものがあると思います。」と新境地を開拓した役柄について笑顔でコメント。主人公・桃子の母親役を演じた藤田弓子は客席で観客と一緒に映画を鑑賞し、「エンドロールで涙が出ました。子を思う親の気持ちを改めて強く実感して、自分のセリフで泣いてしまいました。」と本作への思い入れを語った。本作が映画デビューとなるライア役の水嶋仁美は「本編では顔が映っていないので、皆さんは“え!?”と思われたと思います(笑)」とコメントし、会場から笑いが巻き起こった。


そして最後のマスコミ向けのフォトセッションでは、本作の舞台でもある青森県・八戸市から日帰りで「触ると幸せが訪れる」という100kgの合掌土偶が登場!会場からは大きな歓声が巻き起こり、フォトセッション後、会場に設置された土偶の周りには一般客が撮影に集まるなど、舞台挨拶終了後も盛り上がりを見せた。5月30日(土)の青森県先行ロードショーを得て、いよいよ全国公開を迎えた映画『ライアの祈り』の盛り上がりに期待してほしい。

映画『ライアの祈り』は本日、6月13日(土)より有楽町スバル座ほかにて全国ロードショー。

 


 <映画『ライアの祈り』初日舞台挨拶概要>
■日程:6月13日(土)13:00~13:20
■場所:有楽町スバル座 (東京都千代田区有楽町1丁目10番1号有楽町ビルヂング内2F)
■出演:武田梨奈、藤田弓子、水嶋仁美(ライア役)、黒川浩行(監督)、森沢明夫(原作)、川阪実由貴(製作総指揮)


◎武田梨奈:最初は難しい役柄だと思いましたが、演じている中で私が演じた女性の気持ちは特別なことではないと思いました。映画のキャッチコピーにもある“幸せのカタチは決して一つではない”に通じているものがあると思います。皆さん、宜しくお願い致します。

◎藤田弓子:改めて、映画を一般のお客様と一緒に観て、エンドロールで涙が出ました。子を思う親の気持ちに強く共感して、自分のセリフで泣いてしまいました。本当に素晴らしい映画ができましたので、多くの人に観てほしいと思います。

◎水嶋仁美:映画デビュー作が縄文人の役で、しかも本編では顔が全く映っていないので、皆さんは「え!?」と思われたかもしれません(笑)。一生、心に残る役になりました。

◎黒川浩行:特に派手さがある作品ではありませんし、最近の若手が沢山出る作品でもありません。悲しくなくても、人が泣ける作品を目指しました。ぜひ、多くの人に見ていただきたいと思います。

◎森沢明夫:青森では原作を知らない方が多かったので、東京で原作を知っている方が多く、良かったです。  僕が伝えたかった「裕福」と「幸福」は違うということが映画で、きちんと表現されていると思います。一人でも多くの人に観ていただくために、広めていただければと思います。


 【STORY】
桃子(鈴木杏樹)は、明るく姉御肌のアラフォー女性。メガネ販売店の八戸店で店長を務め、後輩の桜(武田梨奈)達から頼られ慕われる存在だが、心の奥の深い傷を抱え人生を前に進ませる勇気が持てずにいた。そんなある日、遺跡発掘一筋の考古学研究員クマゴロウこと佐久間五朗(宇梶剛士)と出会う。彼と出会った瞬間に不思議な感覚を覚えた桃子は縄文時代に興味を抱いていくうちに、無骨で不器用だがまっすぐなクマゴロウに心引かれていくのだが……。 


 製作総指揮:川阪実由貴 監督:黒川浩行  脚本:寺田敏雄  原作:森沢明夫「ライアの祈り」(小学館文庫)
出演:鈴木杏樹、宇梶剛士、武田梨奈、水嶋仁美、大島蓉子、村田雄浩、秋野太作、藤田弓子
主題歌「Beloved」 WEAVER(A-Sketch)   企画・製作:エム・ケイ・ツー、制作プロダクション:TOブックス   
配給:アイエス・フィールド   ©2015「ライアの祈り」製作委員会 ©森沢明夫/小学館
2015年/日本/カラー/5.1ch/DCP/ビスタサイズ/119分/G URL:http://raianoinori.com/
 2015年6月13日日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー 
 


 (プレスリリースより)

 

 

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樹木希林は「怪物」。名演技を河瀬監督、永瀬正敏が絶賛『あん』舞台挨拶@梅田ブルク7(2015.6.6)
登壇者:河瀨直美監督、樹木希林、永瀬正敏、兼松若人、ドリアン助川 
 
第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品として大好評を博し、日本では5月30日(土)から全国公開されている河瀨直美監督最新作の『あん』。映画のヒットを記念して、関西出身の河瀬監督をはじめ、主演の樹木希林、永瀬正敏、大阪出身の兼松若人、そして原作者のドリアン助川が梅田ブルク7での上映後舞台挨拶に登壇し、映画の余韻に浸った満席の観客から、温かい拍手が送られた。
勇気を持って私たち自身が命を愛でてあげるような作品になれば『あん』河瀨直美監督インタビューはコチラ
 

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冒頭、「映画の中の千太郎たちの眼差しが皆さんに届いたであろうことを祈っています」(河瀬監督)、「物語を書きだしてから、今日まで20年かかりました。感無量です」(ドリアン助川)と感動的な挨拶が行われる中、映画さながらの「どら春」で働く割烹着姿で登場した樹木希林は「全生園から来ました徳江です」と挨拶し、一気に場を和ませた。

 
撮影中心に残るエピソードを聞かれた河瀬監督は、桜や秋の紅葉、月など人間ではないものも味方をしてくれ、「映画の神様が降りてきて、撮らせてくれたような作品」と表現する一方、役者たちの演技に対しては「俳優が演技として刻むのではなく、(役を)生きてくれた」と称えた。
 

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また、「どら春」にお客がこなくなり、徳江が去らなければならないシーンでは、徳江がさらりと出ていくテイク1を撮った後、樹木に「徳江さんは今日で最後かもしれないですよ」と話をし、二度と来れないかもしれない時にどう表現すればいいのかを考えてもらったのだとか。「テイク2で、希林さんは(去る前に)割烹着をゆっくりと丁寧にたたんだのです。(永瀬正敏演じる)千太郎の演技も相まって、本当に凄かった」と河瀬監督が絶賛すると、永瀬正敏も「凄かった。怪物です」と、現場での感動がよみがえった様子だった。また、登場シーンは少ないながらも関西弁で鮮烈な印象を残した兼松若人は、共演者の内田伽羅から本気で嫌われていたエピソードを河瀬監督から暴露され、「本番中に『もっと言って!』と横から監督が入ってきてビックリした」と逆暴露する一幕もあった。
 

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一方樹木が、一度は出版社に断られながらも、ポプラ社での出版を経て、今や10万部を突破するまでになった原作本の力を称えると、ドリアン助川は「徳江は聞こえない言葉を聞き、見えないものを見る人。希林さん以外にありえなかったし、見事に演じていただきました」と返し、原作の『あん』がフランス語、ドイツ語、韓国語、台湾語で出版されること、映画『あん』が40か国での上映が決定したことを報告。観客から大きな拍手が送られた。
 
 
また、樹木は「カンヌに行くときの(河瀬監督の)勢いがすごい。カンヌに行った結果、バイヤーたちがいて、(作品が)世界に飛び立てる。河瀬さんの押しの凄さのおかげです」とカンヌ映画祭での感想を述べながら、最後には「いいところだけ真似ましょう」と希林節で会場を沸かせた。
 
 
最後に「関西にやっと帰ってくることができたなと思っています。日本でいいものをと、一生懸命作り続けてきました。みなさんの大切な人に手渡しで伝えていただきたいです」と満席の観客を前に、撮影中キャストやスタッフと様々な差別についてディスカッションをしたエピソードも明かしながら挨拶した河瀬監督。退場時には、客席から花束を手に駆け出してきたファンと交流する場も見られ、映画同様、感動的な舞台挨拶となった。
(江口由美)
 

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<ストーリー>
訳あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長となった千太郎(永瀬正敏)は、桜の咲く季節に徳江(樹木希林)という女性から店で働くことを懇願される。最初は断っていた千太郎だが、徳江が持参した粒あんの味に惹かれ、徳江を採用。どら春は徳江の粒あんのおかげで大繁盛する。シングルマザーに放ったらかしにされる日々で、高校受験も諦めていた中学生のワカナ(内田伽羅)も、毎日店に訪れるうちに徳江と親しくなっていく。だが、徳江にまつわる心ない噂が広がり、千太郎も次第に窮地に追い込まれていくのだった。
 

<作品情報>
『あん』
(2015年 日本・フランス・ドイツ 1時間53分)
監督・脚本:河瀨直美 
原作:ドリアン助川『あん』ポプラ社刊
出演:樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、水野美紀、大賀、兼松若人、浅田美代子他
主題歌: 秦基博
2015年5月30日(土)~新宿武蔵野館、Tジョイ 梅田ブルク、シネマート心斎橋、OSシネマズ神戸ハーバーランド、イオンシネマ京都桂川他全国公開
※第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品
公式サイト⇒http://an-movie.com/
(C) 2015 映画『あん』製作委員会 / COMME DES CINEMAS / TWENTY TWENTY VISION / ZDF-ARTE
 
 
 
 

『ライアの祈り』オリジナル携帯ストラップ プレゼント!

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■ 募集人員: 3 名様

■ 締切:2015年6月26日(金)

2015年6月13日(土)~シネ・リーブル梅田、イオンシネマ京都桂川、109シネマズHAT神戸、MOVIX堺、ほか全国ロードショー
 
★公式サイト⇒ http://raianoinori.com/


 
『ライアの祈り』

永久のロマンを旅して見つけたものは、≪幸せ≫でした。

Laia-1.jpg物語の舞台は青森県八戸市。主人公・桃子は明るく姉御肌だが、恋や人生に臆病になっているアラフォー女性。実は不幸な離婚を経験し、心にはどうしても抜けない棘があった。そんな彼女は、ある時、縄文時代の遺跡発掘に情熱を傾ける男性、クマゴロウと出会う。それをきっかけに、遥かな昔、この場所で生きた生命があったことに想いを馳せた彼女は、悠久の時を経て自身へと繋がる絆を体感するのだった。果たして、桃子が見つけ出す幸せのカタチとは!?

痛みを隠して明るく日常を生きる等身大の、そして優しさを知る登場人物たちが、感動のドラマを織り上げる。悩みを抱えて迷い立ちすくんだとき、一万年以上もの間、平和に続いたという縄文時代のシンプルで心豊かな暮らしに想いを馳せ、未来へ何かを繋ごうとすれば、きっと人生に一歩踏み出す元気が湧いてくるはずだ。


製作総指揮:川阪実由貴 
監督:黒川浩行 脚本:寺田敏雄  
原作:森沢明夫「ライアの祈り」(小学館刊)
出演:鈴木杏樹、宇梶剛士、武田梨奈、水嶋仁美、大島蓉子、村田雄浩、秋野太作、藤田弓子

企画・製作:エム・ケイ・ツー、制作プロダクション:TOブックス  
配給:アイエス・フィールド 

2015年/日本/カラー/5.1ch/DCP/ビスタサイズ/119分/G
主題歌「Beloved」 WEAVER(A-Sketch) 
URL:http://raianoinori.co 
©2015「ライアの祈り」製作委員会 ©森沢明夫/小学館

2015年6月13日(土)~シネ・リーブル梅田、イオンシネマ京都桂川、109シネマズHAT神戸、MOVIX堺、ほか全国ロードショー

(プレスリリースより)
 

 

 

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~自由を奪われてきた老女が人生の最後にやりたかったことは・・・生きる勇気と知恵を与えてくれる感動作~

 
自然の中でひたむきに生きる人間を、ドキュメンタリーのようなリアルなタッチで描き、独自の世界感を築き続ける河瀨直美監督。最新作は、ドリアン助川さんの元ハンセン病患者徳江を主人公にした小説『あん』を原作に、ドリアンさんが「徳江を書くときにイメージしていた」という樹木希林、国際的な活躍も著しい永瀬正敏、そしてオーディションで役を射止めた内田伽羅らが結集し、心に深く染み入るヒューマンドラマを紡ぎあげた。
 

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訳あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長となった千太郎(永瀬正敏)は、桜の咲く季節に徳江(樹木希林)という女性から店で働くことを懇願される。最初は断っていた千太郎だが、徳江が持参した粒あんの味に惹かれ、徳江を採用。どら春は徳江の粒あんのおかげで大繁盛する。シングルマザーに放ったらかしにされる日々で、高校受験も諦めていた中学生のワカナ(内田伽羅)も、毎日店に訪れるうちに徳江と親しくなっていく。だが、徳江にまつわる心ない噂が広がり、千太郎も次第に窮地に追い込まれていくのだった。
 
 

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自由を奪われ生きてきた徳江、過去の傷を負って生きる千太郎、未来への希望を見いだせないワカナと、世代も生きてきた境遇も違う三人が心を通わせる様子や、自由に生きられるはずなのに、翼が折れてしまった千太郎に、人生の先輩として生きる知恵を与える徳江の姿など、人の中に息づく温かい気持ちが溢れ出る。人と出会うことが少なかった徳江が自然や小豆の声に耳を傾けている様子は、私たちが失ってしまった自然の声を聞く能力の扉を叩いてくれているかのようだ。元ハンセン病患者、徳江を演じる樹木希林の味わい深い中に初々しさも覗かせた演技、それに応えて生きる意欲をたぎらせていく千太郎を演じる永瀬正敏の生活感が滲む演技も素晴らしい。国立療養所多摩全生園でもロケを敢行。ハンセン病患者の方に対する理解も深まることだろう。桜の季節に始まり、桜の季節で終わる一年の物語は、変わらず巡り続ける季節の中で、成長し、年をとりそして消えていく人間の生を浮かび上がらせた。
 
河瀨直美監督に、新しいチャレンジに満ちた本作について、また準備で大事にしたことや、本作を通じて向き合った偏見や差別について、お話を伺った。
 

■元ハンセン病患者の方々の共感を得た原作『あん』。生きる意味を失うような出来事の中で、勇気を持って私たち自身が命を愛でてあげるような作品になれば。

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―――元ハンセン病患者を主人公にした物語で、通常よりも様々な苦労があったと思いますが、準備や役作りはどのように行っていったのですか?
河瀬監督:原作の『あん』を書かれたドリアン助川さんも、20年来の構想の末書かれたとおっしゃっていたのですが、一度は大手の出版社に断られたものの、ポプラ社の心ある編集者の方が出版化して下さったそうです。いざ出版されると、読者の方は純粋に物語に感動してくださり、一番良かったのは元ハンセン病患者の方が、この作品に共感されたことだったのです。他にも多くのハンセン病に関する書物や映像が世に出ていますが、当事者の皆さんにはどこか違和感があったのだと思います。『あん』に関しては、元ハンセン病患者の方々の共感を得たことが大きく、ドリアンさんから私に映画化したいからと、その監督のオファーをしてくださいました。 
 
ドリアン助川さんは、樹木希林さんを思って徳江さんを書いたということで、希林さんにまずアプローチし、快諾をいただいたのですが、その段階でまだ出資者は見つかっておらず、いつプロジェクトが動き出すのか分からない状態でした。 
 
永瀬さんも偶然ではありますが、ハンセン病を扱った映画のオファーを受けていたものの、なかなか出資者が見つからない壁にぶちあたっていたそうです。私も同じように断られることもありましたが、今回出資いただいたところは「ハンセン病の映画という訳ではなく、生きる意味が描けており、純粋に作品として素晴らしい」と賛同していただきました。ですから、ハンセン病だけを前面に押し出すのではなく、我々皆に起こってしまうような差別意識であったり、生きる意味を失うような出来事の中で、勇気を持って私たち自身が命を愛でてあげるような作品になればという思いを込めました。 
 
ですから、徳江さん自身の口から、自分がハンセン病患者であることを言わせないようにしました。周りの人間はそれを感じ、差別をする人もいれば、千太郎のように守れなかったと後悔する人もいます。でも徳江さん自身は、変わらず人生を全うした人という風に描いていきました。
 
 

■慣れ親しんだ自分のやり方を白紙に戻し、映画を初めて撮るときのようにコミュニケーションを重ねる。

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―――今までは新人を発掘されてきた河瀬監督ですが、今回は樹木希林さん、永瀬正敏さんと大物俳優を主演に迎え、また初めて原作ものに挑戦されています。他にも何か今回初めて取り組んだことはありましたか? 
河瀬監督:撮影監督はコマーシャルを撮ってきた方に初めてお願いしました。そういう意味では、慣れ親しんだ自分のやり方を白紙に戻して、映画を初めて撮るときのように、撮影監督や役者さんとコミュニケーションをとりながら、映画に昇華させていきました。いわばトリプルで新しいことに挑んだので、スタッフ間でもディスカッションを重ねなければいけませんでした。 
 
私はリアリティーを追求する撮り方をするので、いつスタートがかかり、いつカットがかかるのか分からない点も戸惑われました。また、こちらで撮影の準備をしていても、俳優の方がいい動きをしていたら、私はいい動きをしている方を選んで撮ろうとするのです。コマーシャルを撮っていると、準備にかける時間が大事なので、俳優はそこに合わせる感じになってしまいます。私は俳優の心模様が大事なので、そこで現場の混乱が起こることもありました。でも話し合って、改善を重ねていきました。
 
 

■撮影準備期間に、町の人たちと、ずっとその町に住んでいるような関係性を作る。

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―――撮影の準備も時間をかけたのでしょうか? 
河瀬監督:準備としては撮影の1、2ヶ月前から助監督が町に入り、町の人たちとコミュニケーションを取り、まるで自分たちがずっとその町で住んでいるかのような関係性を作りました。エキストラの方は町の人たちを起用しました。どら焼き屋も、美術部が先行して入って作り上げたお店に、千太郎演じる永瀬さんが撮影前に何日か入ってもらって過ごしながら、自然と買いに来られる一般の方にどら焼き屋として応対してもらいました。本当に接客してカンを掴むだけでなく、お昼もスタッフルームに戻るのではなく、コンビニに行って、午前中の売り上げをシミュレーションしてその範囲で買えるお弁当を買っていました。永瀬正敏の金銭感覚ではなく、千太郎の金銭感覚を体感してもらった感じです。 
 
―――オーディションでワカナ役を射止めた内田伽羅さんですが、一番惹かれた点は? 
河瀬監督:物怖じしないところですね。希林さんも、「伽羅は小さい頃から大舞台でも物怖じしなかった」とおっしゃっていました。撮影中もスタッフルームに誰もいなくなってからやってきて、黙々とお弁当を食べたり、誰ともしゃべらず静かに帰っていくので、緊張しているのかと思っていました。でも役が決まる前、私がパリにいたときに留学先のイギリスから家族で訪ねてくれたことがあったのですが、そのときも全く同じ様子で、ほとんど話さないけれど、目で弟の様子をみて世話をしていたのです。多弁ではないけれど、色々なことを見ている点も、まさにワカナにピッタリでした。 
 
 

■ずっと隔離された人生を送ってこられたにもかかわらず、前向きな方が非常に多かった療養所訪問体験。病んでいるのは私たちの方。

―――実際にハンセン病患者の皆さんと交流をされ、改めてこの作品に込めた思いが強まりましたか?

河瀬監督:『二つ目の窓』撮影中に、本作のお話をいただいていたので、奄美にある療養所に訪れ、元患者の方とお会いしました。最初お会いする前はずいぶん緊張しましたが、逆にお会いして、学ぶことがとても多かったのです。 ずっと隔離された人生を送ってこられたにもかかわらず、前向きな方が非常に多かったのです。施設はとても清潔ですし、多摩全生園では桜、奄美の療養所ではガジュマルの樹があり、それらがイキイキしていました。入所されている方が毎日きちんと掃除をされているので療養所の中はゴミひとつ落ちていませんし、製菓部や美容院、学校など必要なものは全てこの場所にあり、入所者がその仕事に従事しています。そういう情景を見ていると、もしかしたら私たちの方が病んでいるのかもしれないと思い、丁寧な生活ができていないと感じました。

 
 

■差別については知ることが大事、何が偏見なのか自分自身にも問い直す。

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―――劇中でも、風評被害で千太郎のどら焼き屋が窮地に追い込まれますが、撮影の準備段階で何か取り組まれたことはありますか?
河瀬監督:差別については、スタッフともだいぶん話し合いました。深く知らずに浅く知っている人たちが一番問題ではないかと。ですから、知ることが大事だと思い、今回は伽羅さんや大賀さんも撮影前に実際にハンセン病資料館に一日行って、全部勉強してもらってから現場に来てもらいました。全員で知ることから始め、何が偏見なのかを自分自身にも問い直しました。知らないうちに、誰かに言ってしまっていることが、偏見や差別につながっているのかもしれませんから。
 
実際、今でもハンセン病患者の方への差別は根強く、自分の村からハンセン病患者を出したと地域ぐるみの差別もあれば、実家にとっても消してしまいたい事実であることが多いのです。死んでもなお遺骨を引き取ってもらえないのは、国の責任だけでなく、私たちの感覚の中に差別が存在しているのでしょう。
 
 

■かけがえないからこそ美しい桜の花に、徳江の思いを託す。

―――河瀬監督はいつも「命」にこだわった作品づくりをされていますが、桜で始まり、桜で終わるのは命の生まれ変わりの象徴に思えます。
河瀬監督:桜は日本が世界に誇れる美の象徴です。なぜ日本人が桜の花に魅せられて集うのかといううと、一年を通してほんの少しの時間しか咲かないところに美しさを見出しているのです。永遠にあるものに対して、人はあまり心を向けません。かけがえがないからこそ、美しいと思えるのです。特に、徳江さんは二度と故郷の桜を見ることができませんでしたから、桜に託した一つ一つのセリフも、きっと故郷の桜を思いながら言っていたでしょうし、なぜ千太郎にそんなことを言ったのかも映画が進むにつれ分かってくるはずです。そこで感じてもらえることが、たくさんあるのではないかと思っています。
 
 

■かつて私たちが経験したようなリアリティーに連れ去る音にこだわり。

―――徳江さんは小豆の音や、自然の音を聞く人でしたが、徳江さんが聞いていた自然な音がスクリーンを通して伝わってきたのが印象的でした。
河瀬監督:音にはとてもこだわっています。小豆の音や春、夏、秋や冬に差し掛かる時の音、電車の音がどこで聞こえているのか、多摩全生園に入ったときの音など、細かいところまで音のデザインをしていきました。そのおかげで、かつて私たちが経験したようなリアリティーに連れ去ってくれると思うのです。この音響デザインをしたのはフランス人で、逆に言語が分からないからこそ、音を認識するかもしれません。言語ではないのだなと思いました。
 
―――カンヌで公開する際のタイトルは?
河瀬監督:1週間前ぐらいまで、悩み抜きました。最終的には「an」にしました。フランス語だと、「アン・ドゥ・トワ(1・2・3)」の「アン」になるのですが、ひらがなの最初の文字「あ」と最後の文字「ん」という意味で最初から最後につながるイメージと説明すると、納得していただけるのではないかと思っています。
(江口由美)
 

<作品情報>
『あん』
(2015年 日本・フランス・ドイツ 1時間53分)
監督・脚本:河瀨直美 
原作:ドリアン助川『あん』ポプラ社刊
出演:樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、水野美紀、大賀、兼松若人、浅田美代子他
主題歌: 秦基博
2015年5月30日(土)~新宿武蔵野館、Tジョイ 梅田ブルク、シネマート心斎橋、OSシネマズ神戸ハーバーランド、イオンシネマ京都桂川他全国公開
※第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品
公式サイト⇒http://an-movie.com/
(C) 2015 映画『あん』製作委員会 / COMME DES CINEMAS / TWENTY TWENTY VISION / ZDF-ARTE
 

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~心の原風景を探す母の秘めた決意とは?~

 
息子にある決意を告げると決めた戦中世代の母が、幼き頃の原風景を探す旅。それは淡い恋心を思い起こす旅になるのだった。故岡本喜八監督の妻であり、長年、岡本作品のプロデューサーを務めてきた中みね子さんが76歳で監督デビューを果たした。シナリオライターを目指していた初心に戻り、時間をかけてオリジナルシナリオを書き上げ、シニア世代の原風景や、子世代につなぐ思いを詩情豊かに綴り上げた『ゆずり葉の頃』。八千草薫×仲代達矢のゴールデンコンビの演技に、この上ない深みと温かさを感じることだろう。
 

<ストーリー>
海外駐在中の進(風間トオル)は、一時帰国の際に女手一つで育ててくれた母、市子(八千草薫)を訪れたが、母の姿はなく、画家、宮謙一郎(仲代達矢)の新聞切り抜きが残されていた。市子は、幼い頃に心の支えとなった絵を探し、一人で軽井沢を訪れていたが、探していた絵に出会えず、しばらく軽井沢に滞在することを決める。軽井沢で様々な人と出会ううちに、宮謙一郎が軽井沢に滞在していることを知るのだったが・・・。

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市子を演じる八千草薫の、おっとりとした物腰に潜む強い決意が、彼女が今まで過ごしてきた人生の辛苦を静かに物語る。人生の終いを迎えつつある中、戦中の貧しい中に希望を見出した青春時代の淡い思い出に触れるラストチャンスと突き動かされる市子の姿は、周りの人を動かしていく。市子と謙一郎が出会い、二人だけの時間を過ごすシーンは、積年の思いが優しく溢れ出し、胸を打つ。
 
大阪で行われた記者会見では中監督が登壇し、冒頭に、市子がお世話になった軽井沢の人々に手渡す飴や飴が入った布袋のエピソードを披露した。私たち記者陣も飴玉をいただき、「NGなことは何もありませんから、何でも聞いてください。映画公開時にも参りますので、ぜひまたお会いしましょう」と、本当に飾らない姿で接してくださった中監督。ゼロからのスタートとなった本作制作の経緯や、監督をしたことで体得したことなど、岡本喜八監督のエピソードも交えながら話してくださった記者会見の模様を、ご紹介したい。
 

 

■岡本喜八(監督)の語り部を卒業し、ゼロに戻ってはじめたシナリオ書き。八千草さんに「今までで一番すっと入ってきたわ」と言われ、映画にしなくてはとの思いが強まる。

―――『ゆずり葉の頃』制作の経緯、中みね子として監督デビューした理由についてお聞かせください。
中監督:学生時代にシナリオライターとしてデビューし、岡本喜八(以降喜八)と結婚してからもテレビの仕事等コツコツとシナリオを書いていましたが、才能のある人のそばにいると、自分の才能のなさが分かってくるのです。プロデューサー、子育てをしながらシナリオを書くのはやはり難しく、シナリオを書くことを断念しました。ただ、喜八の最後の作品『幻燈辻馬車』(映画化には至らず)で、アクションはもう撮れないからとシナリオを書き直す作業を喜八と一緒にしたことがありました。シナリオを読みながら直すという日活のやり方ですが、今思えば、最後に私にシナリオの書き方を思い出させるためにしてくれた気がします。
 

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喜八の七回忌を終え、もう喜八の語り部は卒業するときだと思い、ゼロに戻って何かをはじめようと旧姓の「中みね子」の名前でシナリオを書き始めました。八千草さんのご主人の谷口千吉監督は喜八の師匠なのですが、谷口さんは八千草さんを主演にした映画をいつか撮ろうと思っておられたようで、よく喜八とその話で言い合っていたのを八千草さんと横で聞きながら、「(あの二人より)私たちで撮った方がいいわよね」と話していたのです。そんなことを思い出しながら、八千草さんを主役にしたシナリオを2、3本書いたのですが、どうしても気に入らず、脚本家の青木研次さんにご指導を仰ぎました。「主食が少し増えるのはいいけれど、おかずの多い映画は面白くならない」と最終的には完全に一人で書くように勧められ、ようやくオリジナルの脚本が書きあがったのです。
 
早速八千草さんに読んでいただくと「今までで一番すっと入ってきたわ」と言ってくださり、もう本当にうれしくて。あんな美人に言われたら、なんとか映画にしなくてはとの思いがさらに強まり、喜八とのつながりや、目に見えない皆さんの励ましをいただき、長い歴史の中から生まれた作品となりました。
 
 

■八千草さんを中心に、風が吹いて止まることのないリズムを大事に。

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―――初めての演出はいかがでしたか?
中監督:撮影に入る前に、役者さんとは徹底的に話をしました。八千草さんには気持ちを全部お話し、準備の時間を取れたのですが、仲代さんからは「芝居中にこんなにセリフが覚えられるか」と言われたりもしました。仲代さんがお忙しいので、こちらの気持ちを全て書いたことをお話し、仲代さんからはセリフを削ったシナリオが戻ってきました。そこでまた八千草さんのセリフと調整したりといった作業を繰り返しました。演出部は私を入れて3人だけとコンパクトでしたが、その分やりやすくて良かったと思います。特にカメラマンには「八千草さんの所作や仕草など、全て彼女を中心に、風が吹いているような止まることのないリズムで撮ってほしい」とお願いしました。映画には映画のリズムがありますから、そこはまず大事にしたところです。
 
 

■映画監督の孤独さや陰の部分を、体で理解する。

―――初めての監督業に臨み、一番感じたことは?
中監督:よく喜八が「映画はEndがつかないとゴミにもならない」と言っていましたが、きっと上の方から「最後までできてよかったね」と言いながら見てくれていると思います。
作品が出来た後、自分の中でもっとこうすればよかったという思いが、どんな監督でもよぎるのでしょうが、喜八は自分以外立ち入り禁止の書斎に何分か籠って、私でも声をかけることができない時がありました。「孤独のカプセル」に入ってしまうのです。映画監督は他人のせいにはできない仕事で、総合芸術の長である映画監督の孤独や演出家という仕事の本質を、今回自分が監督することで少し覗かせてもらった気がします。仕事は頭で理解することと、体で理解することとは全然違います。そういう映画監督の陰の部分や孤独の部分を知ることができました。
 
―――ご自身で監督をされて、改めて岡本喜八監督を惚れ直したのでは?
中監督:喜八はいい意味で才能があり、大変厳しい人でした。よく、結婚した方がいいかと若い方に聞かれるのですが、一人ぐらいお互いの生き様を分かってもらう人がいてもいいのではないかとお話しています。子どもは縦のつながりなので、言わずともつながりがありますが、夫婦は横のつながりなので、お互いつなげようと思わないとつながりませんから。
 
 

■親の介護や家庭、会社で頑張っている息子世代にもぜひ見てほしい。

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―――『ゆずり葉の頃』はどのような世代に見てほしいですか?
中監督:最初は「善人ばかりの映画で大丈夫か」と言われたりもしましたが、私は、人を傷つけるために生まれてきた人はいないと思っています。どの人の中にもある優しさが出てきたらいいなと思い、シナリオを書きました。
 
『ゆずり葉の頃』は、知性が残っている間に、自分の終わり方を家族に伝える物語です。私は『楢山節考』が大好きで、あの中に老後が一番描かれていると思っています。この作品は、主人公の同世代はもちろんですが、世の中に出て、親の介護や家庭、会社で頑張っている息子世代にもぜひ見ていただきたいですね。
 
 

■人間の愛情表現はそれぞれ。ベッドシーン以上に心が揺れ動くようなラブシーンと思ってもらえたら、とてもうれしい。

―――八千草薫演じる市子と仲代達矢演じる謙一郎がダンスするシーンが非常に印象的かつ、心に残るラブシーンとなっていますが、どのように作り上げていったのですか?
中監督:八千草さんと仲代さんが手を合わせて踊るのは、バロック音楽のダンスを取り入れています。私はバロック音楽が大好きで、パリでロケをするシナリオを書いていたときにこのアイデアを思いつきました。実際は軽井沢ロケのストーリーになったので、音楽担当の山下洋輔さんに、日本の誰もが知っている「あかとんぼ」のように世界中の人が知っているような曲で八千草さんのテーマとなるメロディーを作ってほしいとお願いしたところ、「キラキラ星」を選んで、編曲してくださったのです。バロック音楽ではありませんが、二人とも子どもだった時代に戻してあげたいと思い、手を合わせて無邪気に踊っていただきました。このシーンは、仲代さん演じる謙一郎が抱えている心の原風景をイメージしています。10数分をワンカットで撮影しました。
 
私を知っている人たちからすれば、男みたいな私がラブシーンを撮るなんて想像できないみたいですが、人間の愛情表現は人それぞれです。ベッドシーン以上に心が揺れ動くようなラブシーンが撮れていたら、またそう思っていただけたら本当にうれしいです。
 
―――岡本喜八監督は、この作品をご覧になったらどうおっしゃると思いますか?
中監督:喜八は他人の作品の良し悪しは絶対言いませんし、作り手としていかに映画監督が辛いかを知っている人ですから、「途中でおかしくならずに、ちゃんと皆さんに観ていただける作品が出来てよかったね」と、上から言ってくれているでしょうね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ゆずり葉の頃』(2014年 日本 1時間42分)
監督・脚本:中みね子
出演:八千草薫、仲代達矢、風間トオル、竹下景子、六平直政、嶋田久作、本田博太郎、岸部一徳他
5月23日(土)~岩波ホール、6月20日(土)~シネ・リーブル梅田、7月18日(土)~元町映画館、7月25日(土)~京都シネマ、今夏、シネ・ピピア他全国順次公開
※第36回モスクワ国際映画祭特別招待作品
公式サイト⇒http://yuzurihanokoro.com/
(C) 岡本みね子事務所
 
 
 
 
 

aono-ran-b-550.jpg“風雲児“天海祐希参上!『ゲキ×シネ「蒼の乱」』満場の女性ファンを前に舞台挨拶

(2015年5月12日(火)18:00~梅田ブルク7にて)


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・(2015年 日本 2時間48分)
・演出:いのうえひでのり  脚本:中島かずき
・出演:天海祐希、松山ケンイチ、早乙女太一、梶原善、森奈みはる
・2015年5月9日(土)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、T・ジョイ京都、MOVIX京都、神戸国際松竹、MOVIXあまがさき ほか全国ロードショー
・公式サイト⇒ http://www.aonoran.com/
・(C)2015 ゲキ×シネ「蒼の乱」/ヴィレッヂ・劇団☆新感線

 


 

★ゲキ×シネ『蒼の乱』天海祐希に女性客殺到

 

《劇団☆新感線》の舞台を映画で見せるゲキ×シネ最新作『蒼の乱』(中島かずき作、いのうえひでのり演出)で主演を務めた天海祐希が12日、公開中の大阪・梅田ブルク7で舞台挨拶を行い、女性ファンで満杯の客席から熱い声援を受けた。

aono-ran-500-1.jpg『蒼の乱』は35周年を迎えた《劇団☆新感線》が“驚愕のスペクタクル”と銘打って昨年春、大阪、東京で上演された。天海祐希のゲキ×シネ出演は4年ぶり3度目。“将門の乱”で有名な伝説の武将・平将門(たいらのまさかど)の激動の一生を描いた壮大な歴史ファンタジー。将門に新感線初参加の松山ケンイチ、大王に大ベテラン平幹二朗。天海は将門と結ばれる蒼真役で、強くて凛々しい鮮烈なヒロインを演じた。


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――― お待たせしました。天海祐希さんです! (花柄の赤いレオナールのワンピース姿で登場)

天海:『蒼の乱』を見て頂けるのは本当に幸せです。舞台を見て頂いた方も、ゲキ×シネで見て頂く方も、両方楽しんで頂けると思います。

――― 今日のお客様で昨年の舞台を見た方はどれぐらいいらっしゃいますか?
(挙手多数)天海さん、去年の公演、覚えていますか?
天海:去年の思い出…ウーン、一生懸命だった!(笑)。あとは…いか焼きをどうしても食べたくなって、1枚から届けてくれるところがあって、終演後に食べましたね。

――― それが舞台公演の楽しみ?
天海:ええ、何回か頼みました。舞台は、とにかく頑張りましたね。ゲキ×シネの映像でも、ダイレクトに(お客様に)届いてくれるでしょう。

―――「劇団☆新感線」の舞台はいかがですか?
天海:新感線の魅力は、引きで見ると、もの凄いプロ集団だけど、ちょっと近寄ると、放っといてくれない、愛すべきおせっかいな人たちです。客席で新感線見ると悔しくなります。出演していると、みんなとても頼もしいです。古田(新太)先輩は早い段階で見て下さって、“良かったよ”って言って下さいました。

aono-ran-b-3.jpg――― 相手役が“新感線”初参加の松山ケンイチさんでしたが?
天海:とてもいい意味での田舎っぽさが出ている(笑)。ほんと、いい意味なんですよ(笑)。あんなに牧歌的な大きさを感じさせてくれる、風や空の匂いを表現できる人は他にいません。それでいて、笑うと心を締め付けられるように愛おしく感じさせるんです。彼のおかげで自分の役を自然に演じられました。

――― 蒼真役と天海さんの共通点は?
天海:ありません(笑)。そんなこと考えたことありません。反乱なんかしたことありませんし。

aono-ran-b-2.jpg――― 舞台は同世代の高田聖子、森奈みはるらも一緒だったが?
天海:同い年の女の子の会話をしていましたね。最近何食べてる?とか肌の調子はどう?だとか、終わった後3人で人間ドックに入りました。みんなで“行こうか”ということで。

――― 改めて見どころというと?
天海:全部です!誇りを持って完璧だと思ってやってますから。敢えて言うと、開演からしばらくして3人で逃げるシーンがあって、そこに流れ星が流れるんです。そこは何回やっても泣きそうでした。ケンちゃんは最初、センターが分からなかったんですよ。“どういう人や!?”と思ってたけど(彼は)忘れちゃうんですよね~。

aono-ran-b-4.jpg―――ゲキ×シネの魅力とは?
天海:何でそういうこと聞くんだろう? どこ行っても聞かれる。1年前の私には、これが精いっぱいだったなあと思えたのですが、1年後に見てみると“まだまだ行ける”と。それがあるから“まだやれる”と思えるのです。完璧と思ってしまったら、それでおしまいじゃないですか。マスコミの皆さんもそうじゃないですか。
私たちの仕事が、皆さん方の潤いになるなら嬉しいですね。歌あり、踊りあり、笑いも涙もあるので、楽しんで頂けたらと思います。新感線はお稽古中で、今日は初の通し稽古だそうです。私が代表して“元気ですよ!”とお伝えに参りました。皆さんに楽しんで頂いて、また新感線と一緒に仕事出来ることを祈っています。また大阪の舞台でお会いしたいですね。

 


 【ゲキ×シネ『蒼の乱』】
aono-ran-500-2.jpg強く美しい女戦士・蒼真(天海祐希)と、坂東の草原の匂いを放つ純粋で無垢な青年・将門小次郎(松山ケンイチ)は、自由への憧憬と渇望を抱き、手を取り合って激動の時代へと飛び込んでいく。だが、国家を揺るがす大乱はすでに西海で起こりつつあった。

瀬戸内の大海賊・伊予純友(粟根まこと)は、西海と東国の二つの辺縁の地で蜂起し、都の政(まつりごと)を揺るがそうと考えていた。無垢な小次郎に惹かれる蒼真には、不安がよぎっていた。

一方、都の朝廷から海賊討伐の命を受けた弾正淑人(梶原善)は瀬戸内に向かう。東国の草原に戻った小次郎が見たのは、飢えに苦しむ民の姿。国司の妻・邦香(森奈みはる)と小次郎の叔父たちは私腹を肥やすことに精を出していた…。


 (安永 五郎)

 

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戸田恵梨香「幅広い女性に共感いただける映画」、大泉洋は「離婚したい人の後押しに」で大爆笑『駈込み女と駆出し男』舞台挨拶@大阪ステーションシティシネマ(2015.4.24)
登壇者:原田眞人監督、大泉洋、戸田恵梨香
 

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今より2倍もの離婚があったという江戸時代に、離婚を望む女たちが駈込む寺があった。政府公認の縁切り寺を舞台に繰り広げられる、新しい人生を夢見る女たちとそうはおかない男たちの運命は?井上ひさし原作の『東慶寺花だより』を『わが母の記』の原田眞人監督が映画化。原田監督が俳優として出演した『ラスト サムライ』の舞台にもなった姫路・円教寺の厳粛な佇まいや、日本の四季を織り交ぜながら、ユーモアや艶っぽさのある人情時代劇に仕立て上げた。
 
大阪ステーションシネマで行われた先行上映会の舞台挨拶には、原田眞人監督をはじめ、
主役の戯作者志望医者見習い・信次郎を演じた大泉洋と、鉄ねりのじょごを演じた戸田恵梨香が登壇。姿を現した途端、会場からは「洋ちゃん」コールが巻き起こる人気ぶりで、最初から会場に熱気があふれた。最後まで笑いっぱなしだった舞台挨拶の模様をご紹介したい。
 

 
<最初のご挨拶>

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大泉:こんにちは。大阪の皆さんのじわじわと盛り上がってくる感じがいいじゃないですか。ありがとうございます。まず皆さんに観ていただいて、大いに宣伝していただければと思います。この後、アホみたいにしゃべろうと思っていますので、どうぞ楽しんでいってください。
 
戸田:この作品は幅広い女性たちに共感していただける作品だと思います。きっと男性は「こんなことをしてはいけないんだな」とか「女性にはこうした方がいいんだな」ということが分かるし、もう少し女性が(一人で)立っていけるような時代になればいいなとこの作品を観て思いました。楽しんでいただければと思います。
 
原田監督:素晴らしいキャストとスタッフに恵まれて、初めての時代劇を本当に思い存分撮ることができました。主役の大泉さんと戸田さんに感謝、感謝です。今日は皆さんに十分に楽しんでいただきたいと思います。
 
 

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―――初めての時代劇ですか?
原田監督:出演する方では12年前に『ラスト サムライ』で悪役を演じましたが、姫路の円教寺と巡り合い、今回、東慶寺のメインの舞台として使わせていただいています。
 
―――関西を中心に撮影されたそうですね。
大泉:京都、滋賀、奈良のあたりですね。京都で撮ると聞いていたので、京都のホテルに詰めていたのですが、京都と言ってもほとんど滋賀か奈良でしたね。毎日毎日ものすごい移動でした。
 
原田監督:伸次郎の出番は奈良が多かったですね。奈良の柳生街道を歩いてもらったり。
 
大泉:あの山の中ですか?寒くて、寒くてね。京都の松竹撮影所でカツラを被って、そこから車で移動すると、だんだんズレてくるんですよ。また直さなくてはいけなくて。
 
戸田:ホテル変えてほしかったですね。
 
―――戸田さんは兵庫のご出身ですが、姫路の円教寺の撮影はいかがでしたか?
戸田:行ったことがあるかもしれませんが、記憶になくて。でも神戸にこんな素晴らしいところがあるんだと、誇らしい気持ちになりました。
 

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―――原田監督は今回大泉さんとお仕事をするのは初めてだったそうですが、実際に仕事をしてみていかがでしたか?

原田監督:今日はサービス精神が旺盛ですが、すごく真面目で天才的な俳優、芝居はすごいです。僕が彼を初めて観たとき(舞台『ドレッサー』)、楽屋へ行って、時代劇の主役を是非してほしいと伝えて、脚本を送ったのです。

大泉:びっくりしましたね。観に来ていただいてすぐに、脚本と主演のオファーをいただいたので、「私で大丈夫かしら」と。ワクワクするような江戸時代の活気に溢れた脚本で、アホみたいな長ゼリフがあって、よほど断ろうかと思いましたが(笑)。やってみると楽しくて。
 
原田監督:全てが絵になって。大泉さんの場合、NGを出すとそれが絵になって、脚本よりも良くなるんですよ。
 
大泉:それを言うと、どこがNGか分かるじゃないですか!NGを使うんですよ、この人(会場大爆笑)。堤真一さんに「(原田)監督はNG使うからな。気を付けた方がいいよ」と言われていたのですが、バッチリ使われました。ですから、どこかな?と楽しみながら観ていただければ。
 
―――戸田さんとも初めてだそうですが、原田監督から見てどんな女優さんですか?
原田監督:今回は二人の全く性格も育ちも違うヒロインがいます。もう一人の満島ひかりの方はコテコテに作っているのですが、戸田さんの場合はそのまんまの自然児で出てねとお願いしました。戸田さんは舞台『寿歌(ほぎうた)』の演技が素晴らしかった。その時の堤真一、橋本じゅんと全員が本作に出演しています。撮影している最中に、すごい目力だなと思いました。彼女の見た目で作品を作っていけるなという感覚が、途中からどんどん出てきましたね。
 
―――撮影中辛いことはなかったですか?
戸田:いやあ、寒さとの闘いでしたね。2月から4月まで撮影させてもらいましたが、着物で、しかも素足だったので、素足で冬を過ごすのは辛かったです。
 
<最後のご挨拶>

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原田監督:僕自身映画を作っていく中で、逆境を生き抜くという、辛い思いや悲しい思いをした人が生きていくドラマにすごく惹かれます。時代劇の場合は、女性は生きているだけで虐げられていた部分があります。今回大泉さんが演じる主人公は戯作者見習いとして弾圧されており、今の時代とどこか通じるところがあります。戸田さんや満島さんが演じた役も、駈込み女は本当に辛い思いをしながら、いかに自分の道を開くために努力し、女たちの連帯でそれを勝ち取っていくという話です。ですから、今を闘う女性たちや、家庭で虐げられた男性たちに共通する部分があると思います。この映画を観た後清々しい気持ちになって劇場を出て、それが自分の生きていく明日につながるような作品になってくれればと思います。是非、応援してください。
 
戸田:今日は久しぶりに家族や親せきが見に来ていて、ずっとソワソワしています。久しぶりに照れくさいなと思ってこの場に立っているのですが、時代劇といえば堅いなとか難しいというイメージがあるかもしれません。そうではなくて、もっと新しい時代劇になっていますし、楽しんでいただけると思います。今日はありがとうございました。
 
大泉:そうですか・・・。戸田さんのご家族がいると思うと、少し緊張してまいりました。おかしなことを言えないなと(会場笑)。私は大阪のことが大好きでして、今日も大阪のテレビにいっぱい出ました。「ミヤネ屋」にも出まして、「何回くるねん」と言われました。前回は1分でしたが、今回はビシッと40分も出ました。離婚特集で、夫婦離婚度チェックもやらされ、結局妻への不満を書く羽目になりましたが、宮根さんも、かなり気に入ってくださいました。先ほどは戸田さんと「マルコポロリ」に出て、ポロリバスにここまで送ってもらいました。このように、大阪では何でも出たいと頑張っております。
 
本当に見どころ満載の映画となっておりまして、今まさに、会場の中に家庭が上手くいっていない方、離婚したい方が多いでしょう(会場大爆笑)。そんな方のちょっとした後押しになればと思っております。どんどんみなさん離婚していただいて、新しい人生を目指していただければと思います。この映画を観て、たくさん宣伝してください。今日はみなさん、ありがとうございました!ありがとう!また会おう!僕のNGシーンを観て、ここだ、ここだと言わないように!
(江口由美)

 
<作品情報>

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『駈込み女と駆出し男』
(2015年 日本 2時間23分)
監督:原田眞人 
原作:井上ひさし『東慶寺花だより』新潮文庫刊
出演:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、樹木希林、山崎努、堤真一、武田真治、キムラ緑子、内山理名、陽月華他
2015年5月16日(土)~丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、OSシネマズ神戸ハーバーランド、MOVIXあまがさき、TOHOシネマズ西宮OS、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト⇒http://kakekomi-movie.jp/
(C) 2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会
 
<ストーリー>
江戸時代、縁切り寺として名高い東慶寺には、様々な事情で離縁を求める女たちが、駆け込んでくる。顔に火ぶくれを持つじょご(戸田恵梨香)や、堀切屋(堤真一)の囲われ女だったお吟(満島ひかり)は、聞き取りをする柏屋で戯作者志望の医者見習い・信次郎(大泉洋)に出会う。信次郎は、さまざまなトラブルに巻き込まれながら、訳あり女たちの人生の再出発を後押ししていくのだったが・・・。
 
 

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「めっちゃ面白いから、見てな!」永作博美が関西弁でアピール~『夫婦フーフー日記』舞台挨拶
@大阪ステーションシティシネマ(2015.4.21)
登壇者:佐々木蔵之介、永作博美
 

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17年間友だち、1年ちょっと夫婦、そして9ヶ月だけ母親だった病死のヨメが、突然現れる!?闘病ブログから生まれた清水浩司の「がんフーフー日記」(小学館刊)を、『婚前特急』の前田弘二監督が映画化。死んだはずのヨメが現れ、残されたダンナと夫婦の軌跡を振り返る設定にし、ブログでは書かれなかった夫婦の想いが溢れる、ファンタスティックかつコミカルな感動物語が誕生した。
 
 

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ヨメ亡き後、息子・ペーの子育てと仕事に一人奮闘するダンナ演じる佐々木蔵之介と、妊娠後に発覚した悪性腫瘍と闘いながら、最後まで明るく前向きに生きたヨメ演じる永作博美の掛け合いもピッタリ、アラフォー夫婦ならではの新婚なのにしっくりくる感じがいい。幻影として現れたヨメと、二人の出会いから結婚、出産までを見つめなおす過程は、思わぬ真実が明らかになったり、言えなかった想いが溢れてくる。
 
 

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そばにいるパートナーを大事にしたくなる『夫婦フーフー日記』の先行上映舞台挨拶が大阪ステーションシティシネマで行われ、ダンナ・コウタ役の佐々木蔵之介とヨメ・ユウコ役の永作博美の“フーフー”が揃って登壇。関西出身の佐々木は「大阪の観客は反応がすごく早いので、舞台をするのが楽しい。これだけ払ったから、元をとってやろうと思っているので、楽しい反面シビアだなと思う」と早速観客から笑いを誘うと、2月に大阪で舞台を行ったばかりの永作は「みんなで楽しもうと来てくださっていることが分かるので、安心してお芝居や映画を紹介できる。私もお客さんと交流できて、うれしい」と笑顔で応えた。

大阪つながりで、グルメの話題になると、突然佐々木から「IKY食べた?」と振られ、永作がキョトンとする場面も。大阪名物いか焼き(IKY)のことだと分かると、永作は「いか焼きも、たこ焼きも食べましたね。ごちそうさまでした!」と粉ものグルメを楽しんだことを明かした。

 
 
 

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闘病ブログから生まれた本作については、「闘病ブログだが、割と楽しく話が進み、落ち込むのではなく、落ちたりあがったりしながら、どんどん続いていく。日常を生きていくことを頑張ろうと思える映画」(佐々木)、「脚本を見て、泣きながら笑っていた。過去の自分に、自分たちがツッコむのも新しいし、感情のひだがたくさん隠れている」(永作)と、涙あり、笑いありの物語について語った。
 
 
 
 
 
 
 

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10年前にも夫婦役で共演したという佐々木と永作は、今回の撮影では打合せもせずに、ぶっつけ本番でお互い相手の出方を楽しんだことを明かし、佐々木は「はたから見ればどうでもいいことを、二人で一生懸命話していたところも見てもらえれば」と、長年友達として共に生きてきたコウタとユウコの絶妙な掛け合いの舞台裏話を披露。
 
一方、見どころを聞かれた永作は、「二人とも20歳から演じている。撮影当日は(佐々木を)直視しないようにし、私も鏡を見ないようにした。若い時から、最後までやりきった」と夫婦の長年の歴史を演じ抜いたことを挙げ、「めっちゃ面白いから、みてな!」と観客にアピールし、会場から大きな拍手が沸き起こった。
 
 

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最後に、「闘病日記だが、それぞれがしんどい時でも、人を思い合う気持ちが入っている作品。明日からがんばろうという気持ちになってくれたらうれしい」(永作)、「とても希望にあふれた映画。周りの人、家族、パートナーを大事にし、今を大切に生きようと思える、本当に力が湧いてくる映画」(佐々木)と挨拶し、舞台挨拶を締めくくった。
 
 
大きな目をくるくる動かし、身振り手振りを交えて関西弁で大阪ステーションシティシネマのビル屋上の話をする佐々木と、落ち着いた声で、「絶対に楽しめる」と自信をもって作品のことを語る永作を見ていると、本当にコウタ・ユウコ夫妻が目の前にいるようで清々しい気持ちになった。映画ならではの仕掛けで涙あり、笑いありの夫婦の日々は、大事な人を失って、それでも前に進む勇気を教えてくれることだろう。(江口由美)
 
 
 

 
<作品情報>
『夫婦フーフー日記』(2014年 日本 1時間37分)
監督:前田弘二 
脚本:林民夫・前田弘二
原作:川崎フーフ「がんフーフー日記」(小学館刊) 
出演:佐々木蔵之介 永作博美 佐藤仁美 高橋周平 / 並樹史朗 梅沢昌代 大石吾朗 吉本選江 宇野祥平 小市慢太郎 / 杉本哲太
5月30日(土)より 大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸ほか全国公開
公式サイト:fu-fu-nikki.com  
(C)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
 
<ストーリー>

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作家志望のダンナ・コウタ(佐々木蔵之介)は、本好きなヨメ・ユウコ(永作博美)と出会って17年目にしてついに結婚。だが幸せだったのは束の間で、妊娠とガンが発覚し、新婚生活はあっという間に闘病生活へ変わった。ヨメの病状を報告するブログを書き続けたダンナだが、入籍からわずか493日後、ヨメは息を引き取る。悲しみに暮れるダンナにブログ書籍化の話が舞い込み、念願の作家デビューへまい進するかに見えたダンナの前に、なんと死んだはずのヨメが現れて・・・。
 
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