「京都」と一致するもの

Itaria2013-500.jpg今年もG.W.は イタリア映画が熱い!

~日本劇場未公開の最新のイタリア映画13本を一挙上映!~
いよいよ開幕、今年も約20名の来日ゲストが決定!

★座談会の模様は⇒こちら
★開会式と作品紹介は⇒こちら

★『赤鉛筆、青鉛筆』ジュゼッペ・ピッチョーニ監督トークは⇒ こちら
★『それは息子だった』ダニエーレ・チプリ監督トークは⇒ こちら


会期:4月27日(土)~29日(月・祝)
5月3日(金・祝)~ 6日(月・休)
会場:有楽町朝日ホール(千代田区有楽町2-5-1 マリオン11階)

<イタリア映画祭2013大阪>~日本劇場未公開作品7本を上映~
会期:5月11日(土)~12日(日)  
会場:ABCホール(大阪市福島区福島1‐1‐30)

「日本におけるイタリア年」をきっかけに2001年春に始まった「イタリア映画祭」は、今年で13回目を迎えます。多くの映画ファンやイタリアファンの皆様に支持され、毎年1万人を超える観客が訪れるゴールデンウィーク恒例の大きな映画祭に成長しました。この映画祭での上映をきっかけに、『人生、ここにあり!』『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』『ゴモラ』『ポー川のひかり』『湖のほとりで』など多くのイタリア映画が日本で一般公開され、ヒットしてきました。
今回は2011年以降に製作された新作13本を上映、『司令官とコウノトリ』出演俳優のジュゼッぺ・バッティストンや『素晴らしき存在』のフェルザン・オズペテク監督など、総勢約20名の来日ゲストが登壇して開会式や舞台挨拶、座談会を予定、イタリア文化を満喫出来るイベントになります。
俳優と監督は、4/29(月・祝)の座談会に出席するほか、座談会終了後にはサイン会も予定。また、4/27(土)~4/29(月・祝)まで、それぞれの作品の上映後に質疑応答を予定しています。

★来日ゲスト(予定)★
◎『司令官とコウノトリ』出演:ジュゼッぺ・バッティストン Giuseppe Battiston
一度見たら忘れられない大柄な体で、ありとあらゆる役を難なくこなすイタリア映画界きっての名脇役。本映画祭で上映された『ラ・パッショーネ』『考えてもムダさ』などで、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の助演男優賞を3回受賞している。

◎『それは息子だった』監督:ダニエ―レ・チプリ Daniele Ciprì
2004年に本映画祭でも上映された『カリオストロの帰還』以降は、主に撮影監督として活躍し、『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』でイタリアの主要な賞を総なめにする。本作で、満を持して長編劇映画に久々に復帰した。

◎『綱渡り』監督:イヴァーノ・デ・マッテオ Ivano De Matteo
俳優やドキュメンタリーの監督を務める一方で、劇映画でも前作「La belle gente」が高い評価を受け、着実にステップを踏んできた。現代のイタリア社会の深刻さを真っ向から見すえた本作は、ヴェネチア国際映画祭で称賛された。

◎『日常のはざま』監督:レオナルド・ディ・コスタンツォ Leonardo Di Costanzo
本作は初の劇映画になるが、今まで活動してきたドキュメンタリーの経験が色濃く反映されている。映画の舞台となるナポリの子どもとワークショップを重ねたことで、思春期特有の心の揺れを捉えることに成功している。

◎『家の主たち』監督:エドアルド・ガッブリエッリーニ Edoardo Gabbriellini
『ミラノ、愛に生きる』でティルダ・スウィントンと恋仲になるシェフ役をはじめ、俳優としてのキャリアが長い。本作は、カンヌ映画祭の批評家週間に選ばれた初監督作から約10年ぶりとなる第2作で、豪華キャストが息の合った演技を見せる。
 


■上映作品■
A 『家への帰り道で』エミリアーノ・コラピ監督/2011年/83分/Sulla strada di casa (Emiliano Corapi)
B 『天国は満席』カルロ・ヴェルドーネ監督/2012年/119分/Posti in piedi in paradiso (Carlo Verdone)
C 『素晴らしき存在』フェルザン・オズペテク監督/2012年/105分/Magnifica presenza (Ferzan Ozpetek)
D 『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督/2012年/129分/Romanzo di una strage (Marco Tullio Giordana)
E 『家の主たち』エドアルド・ガッブリエッリーニ監督/2012年/90分/Padroni di casa (Edoardo Gabbriellini)
F 『それは息子だった』ダニエーレ・チプリ監督/2012年/90分/È stato il figlio (Daniele Ciprì)
G 『ふたりの特別な一日』フランチェスカ・コメンチーニ監督/2012年/89分/Un giorno speciale (Francesca Comencini)
H 『日常のはざま』レオナルド・ディ・コスタンツォ監督/2012年/90分/L’intervallo (Leonardo Di Costanzo)
I 『綱渡り』イヴァーノ・デ・マッテオ監督/2012年/100分/Gli equilibristi (Ivano De Matteo)
J 『赤鉛筆、青鉛筆』ジュゼッペ・ピッチョーニ監督/2012年/98分/Il rosso e il blu (Giuseppe Piccioni)
K. 『来る日も来る日も』パオロ・ヴィルズィ監督/2012年/102分/Tutti i santi giorni (Paolo Virzì)
L 『司令官とコウノトリ』シルヴィオ・ソルディーニ監督/2012年/108分/Il comandante e la cicogna (Silvio Soldini)
X 『リアリティー』マッテオ・ガッローネ監督/2012年/115分Reality (Matteo Garrone) 特別上映作品

会期・会場:4月27日(土)~29日(月・祝)、5月3日(金・祝)~ 6日(月・休)
有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン11階)
主催:イタリア映画祭実行委員会、イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
特別後援:イタリア共和国大統領 後援:イタリア大使館 協賛:シティカードジャパン株式会社、フィアット クライスラー ジャパン、
フェラガモ・ジャパン株式会社、株式会社紀尾井コーポレーション 協力:バリラ ジャパン株式会社、アリタリア-イタリア航空
公式サイト:http://www.asahi.com/italia/2013/

一般の方のお問合せ:050-5542-8600(ハローダイヤル:~4月26日、4月30日~5月2日)/03-3213-0339(会場、会期中のみ)
※ 前売り券販売開始は3月20日(水・祝)10:00から
※ 前売り一般1,400円/学生・60歳以上1,300円、当日一般1,600円/学生・60歳以上1,500円

<イタリア映画祭2013大阪>~日本劇場未公開作品7本を上映~
会期:5月11日(土)~12日(日) 会場:ABCホール(大阪市福島区福島1‐1‐30)


■関連情報■ 今年は、過去のイタリア映画祭で上映された作品が数多く公開されます。
・『ある海辺の詩人-小さなヴェニスで-』アンドレア・セグレ監督/3月16日から、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
・『海と大陸』エマヌエーレ・クリアレーゼ監督/4月6日から、岩波ホールほか全国順次公開
・『ブルーノのしあわせガイド』フランチェスコ・ブルーニ監督/4月13日から、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
・特集上映「Viva !イタリア」6月29日から、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
『最後のキス』ガブリエーレ・ムッチーノ監督/『もうひとつの世界』ジュゼッペ・ピッチョーニ監督/『ハートの問題』フランチェスカ・アルキブージ監督

 

 天使の分け前-550.jpg

『ルート・アイリッシュ』、『麦の穂をゆらす風』、『エリックを探して』のケン・ローチ監督の笑えて泣ける人生応援ムービー、『天使の分け前』が4月13日(土)から公開されるのに合わせて、うれしいキャンペーンが行われる。

タイトルとなっている『天使の分け前』とは、「ウイスキー醸造樽で毎年2%ほど蒸発して失う」ことを意味するウイスキー用語。この物語では、人生の敗北者になりかけた若い主人公が、ウイスキーの利き酒の才能を見い出されたことから、思わぬ大勝負に出る様子が描かれ、ウイスキー醸造所でのエピソードや樽ごとオークションのシーンも登場する。

日本バーテンダー協会ほかのご協力で、下記リスト掲載店舗で配布中の店名ハンコ入りチラシをシネ・リーブル梅田の窓口に持参すると、一般のみ当日料金より200円割引で鑑賞できる(1枚で2名様まで)。ウイスキーの魅力がいっぱい、そして人生の大逆転劇に感動の『天使の分け前』をたっぷり楽しんでほしい。

<ストーリー>
スコッチウイスキーの故郷スコットランド。ケンカ沙汰の絶えない若き父親ロビーは、刑務所送りの代わりに社会奉仕活動を命じられる。そこで出会ったのが指導者でありウイスキー愛好家であるハリーと、同じ境遇の仲間たち。ハリーにウイスキーの奥深さを教わり、これまで眠っていた“テイスティング”の才能に目覚めたロビーは、100(・・・)万ポンド(・・・・)以上もする樽入りの超高級ウイスキーに人生の大逆転を賭け、仲間たちと一世一代の大勝負に出る!

監督:ケン・ローチ『ルート・アイリッシュ』『麦の穂をゆらす風』『エリックを探して』
脚本:ポール・ラヴァティ
出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショー『エリックを探して』、ガリー・メイトランド『明日へのチケット』、ウィリアム・ルアン『SWEET SIXTEEN』『明日へのチケット』、ジャスミン・リギンズ
2012年/イギリス・フランス・ベルギー・イタリア/1時間41分/英語/原題:The ANGELS’ SHARE/日本語字幕:太田直子
提供:角川書店、ロングライド 配給:ロングライド 宣伝:ムヴィオラ 後援:ブリティッシュ・カウンシル
2013年4月13日(土)~銀座テアトルシネマ、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、4月20日(土)~京都シネマ ほか全国順次公開
公式サイトはコチラ
作品レビューはコチラ


★チラシ配布店舗

店名 住所 電話
BAR CADBOLL 大阪市中央区石町2丁目2-20 近松ビル1F 06-6944-2918
DramHouse THE ROOT 大阪市天王寺区上汐3-1-3 1F 06-6773-6331
BAR 中村 大阪市北区堂島1-2-25谷安フォースビル2階 06-6342-6342
BAR the monarch 大阪市都島区片町2−7−25アンシャンテビル南側入り口 06-6358-8210
BAR PREMIER 大阪市北区曽根崎新地1丁目2-20 ノースタウンビル2F 06-6343-8611
BAR Hardi 大阪市北区曽根崎新地1丁目10-22 ミヤプラザ6F 06-6343-2100
THE BAR ELIXIR K 大阪市北区堂島1丁目2-9 06-6345-7890
OPEN DOOR B2 大阪市北区梅田1丁目3-1 大阪駅前第一ビルB2F 06-6341-8601
BAR Leigh 北新地 大阪市北区曽根崎新地1丁目3-28 谷安レジーナビル6F 06-6348-1007
Bar CENDRILLON 大阪市北区豊崎5-2-18 ワークビル北梅田 B1F 06-6376-0077
BAR AUGUSTA 大阪市北区鶴野町2-3アラカワビル1F 06-6376-3455
BAR BLOSSOM 大阪市北区曽根崎2-1-6太洋ビル1階 06-6311-6530
BAR ALBA 大阪市北区天神橋4丁目 10-22千寿ビル2階 06-6881-5123
BAR K 大阪市北区曽根崎新地1-3-3  好陽ビル B1F 06-6343-1167
HARBOUR INN 大阪市北区芝田1丁目3-7 マルシェ芝田3F 06-6371-8009
Dining Bar Beso 大阪市北区曽根崎新地1丁目2-12 橘ビル4F 06-6345-3838
THE BAR OSAKA 大阪市北区曽根崎新地1-7-9 エスパス北新地11-1F 06-6341-2319
ザ・テンプルバー 大阪市北区曽根崎新地1-1-17、バーボンストリートビル1F 06-6344-0996
わか屋 大阪市北区曽根崎新地1-7-5、三友ビル4F 06-6341-2133
Bar みとう  大阪市中央区東心斎橋1-18-2、心斎橋山本ビル1F 06-6245-1358
Bar Whiskey 東心斎橋 大阪市中央区東新s内橋1-8-13、ブラビビル1F 06-6251-2530
IRISH BAR GATBY 大阪市西区京町堀2-3-4、サンヤマトビル2F 06-6447-8133
ギルビヰ 大阪市北区曽根崎新地1-14-7、小西ビル1F 080-5356-6959
スタンドバー洋燈 大阪市西区京町堀2-13-5、Proto2 2F 06-6447-5699
メジャーカップ 大阪市西区2-3-4、サンヤマトビル2F 06-6447-1538
クルラホン 大阪市北区曽根崎新地2-2-5 06-6344-8879
BAR JURA  大阪市北区兎我野町12-15丸一ビル1F 06-6361-1158
Kokon(バー ココン) 大阪市北区堂山町7-16喜多八ビル1F 06-6362-1158
Whisky Cat 堺市北区中百舌鳥3丁358-1 ライフステージ村田Ⅷ 1F 072-259-8667

 

 

yakusoku-s550.jpg『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』樹木希林、齊藤監督舞台挨拶
 (2013年3月30日(土)第七藝術劇場にて)

yakusoku-1.jpg(2012年 日本  2時間)
監督・脚本:齊藤潤一 
出演:仲代達矢、樹木希林、天野鎮雄、山本太郎
ナレーション:寺島しのぶ 
3月30日~第七藝術劇場、4月13日~神戸アートビレッジセンター、5月18日~京都シネマ
★公式サイト⇒http://www.yakusoku-nabari.jp/
(c)東海テレビ放送

1961(昭和36)年に三重県名張市で起きた「名張毒ぶどう酒事件」の犯人として投獄され、獄中から無実を訴え続けている奥西勝死刑囚の半生を、ドキュメンタリー映像を交えながら描いたドラマ。
 村の懇親会で、毒入りぶどう酒を飲んだ女性15人のうち5人が死亡。奥西は、三角関係を清算するため、ぶどう酒に農薬を入れたと一度は犯行を自白するものの、逮捕後、一貫して警察に自白を強要されたと主張。一審は無罪、二審で死刑判決、1972(昭和47)年最高裁で死刑が確定。事件から51年余り、奥西は、何度棄却されても諦めることなく再審請求を続ける…。

yakusoku-2.jpg仲代達矢が奥西を演じ、息子の無実を信じ続ける母タツノを樹木希林が演じた。製作陣は、ドキュメンタリー「司法シリーズ」を手がけてきた東海テレビ。事件発生当初から取材を続けてきた記録、証言を再検証し、みごたえのある作品となった。タイトルの約束とは、1987年から奥西の支援を始めた人権団体の川村(天野鎮雄)が、ようやく再審開始の決定がなされた2005年、面会室でガラス越しに奥西(仲代達矢)と手を合わせ「今度は晴れて、塀の外で握手しましょう、お互いしぶとく生きましょう」と約束をしたところからくる。このシーンで初めて見せる仲代の笑顔が印象的だ。
関西での公開初日、樹木希林さんと齊藤監督が舞台挨拶に立った。上映後には、樹木さんが「どんな感じでしたか」と満席立ち見の客席に問いかけ、次々と手が挙がり、興味深い質疑がなされたので、併せてご紹介したい。


【上映前】
yakusoku-s1.jpg監督: 「名張毒ぶどう酒事件」といっても、ご存知でない方が多いと思います。事件から52年になり、奥西さんは未だ獄中にあります。冤罪だと確信して、この作品をつくりはじめました。こういう一人の男の生き方があるというところを観てほしい」
樹木: 「この作品では、奥西さんのお母さん、タツノさんが(ドキュメンタリー部分で)出てきます。本当の母親を観ていただいた時、いかに役者の力量がないかが歴然とわかり、役者としては、恥をさらすような仕事でしたが、事件のもつ意味合いを考えると、やはり関わらせていただいてよかったと思います。15歳になる孫、男の子ですが、初回の上映を観て、今までたくさん映画を観てきたけれど泣いたことはなく、初めて泣いたそうです。いいものかわるいものかわかりませんが、何かに心打たれたんだと思います。作品は押し付けるものではありません。ただ、こういう現実があると観ていただければと思います」
監督:「ドキュメンタリーとドラマを融合した少し変わった映画だと思います。仲代達矢さんと樹木希林さんと、日本を代表する大御所俳優の演技を観て、たっぷりいろんなことを感じて観終わってほしいです」
樹木: 「撮影前に、インフルエンザA型にかかって、もう撮影現場の名古屋には行けないんじゃないかと思いましたが、大勢のスタッフが困りますし、インフルエンザを隠してマスクをして行きましたが、誰にも移りませんでした(笑)。この事件に関わった人たちの本当の顔をぜひ観てください」

【上映後の観客との質疑】
yakusoku-s2.jpgQ: 「人の命がかかっていることについて、裁判所は何をみているのか、憤りを感じました」
樹木: 「私がもし裁判官で、病気の子どもを抱えてたりしたら、出世とかいろいろ考えた時、どうするのか。自分が同じ立場に立ったとしたら、ちゃんと生きれるのか、自分自身が問われているような気がしました。村の人達も証言をころころ変えていますが、もし自分がその立場だったらどうなのか。齊藤監督らが、高みに立ってつくっていないからこそ、人に伝わっていくんじゃないかと思います」

Q:「奥西さん本人も含めて、あの状況で頑張って生きておられることに感心しました」
監督:「奥西さんは名古屋拘置所にいましたが、今は体調を崩して八王子の医療刑務所にいます。再審開始の取消しが決定された2012年5月以降、一口も食べることができず、点滴だけで生きている状態です。でも、なんとか生き続けて冤罪をはらしたいという気持ちは持っておられると聞いています」
樹木: 「時期を逸しても生き続けるというか、結果がすべてOKとはならなくても、奥西さんが生きたということによって、そこに関わった人達や、映画を観てくださった方々が、学んだり、成長したり、何かを受け止める、大きなメッセージになったのではないかと思います。冤罪をはらしたいという、ただその一念だけになってしまうと、まわりも当人も苦しくなります。だから、とにかく生きたことの意味はあるというふうに私は受け止めるように考えています」

yakusoku-s3.jpgQ:「奥西さんには子どもが二人いて、息子さんは62歳で亡くなられたとテロップにありましたが、取材はされたのですか」
監督:「死刑囚の息子と娘ということで、本当につらい人生をずっと送ってこられたと思います。だから、もちろん父親に対する思いというのはあるのですが、面会を重ねることで、今度はご自分の家族が石を投げられたりすることがあり得るので、父親とも距離を置かれているようでした。私も取材を申し込みましたが、『家族のいる身なので、取材は受けられない』とのことでした」
樹木: 「お墓でさえ疎外されたのですから、映画に子どもの映像や意見が出てこないというのは、それだけで、関係者として生きていくのがどんなに大変なことか、おしはかれますよね」

Q:「事件があった村の慰霊碑を訪れましたが、よそ者は立ち入れない雰囲気がありました。この映画が、まわりの方々の心をほぐし、奥西さんを助けてほしいと思いました。まだ何人か生きている村の方々のうち誰かが…と願いました」
樹木: 「この映画を観た私達も、事件当時、ああいうふうにせざるを得なかった、誰かを犯人にしてどうにか解決せざるを得なかったという、村の人達の気持ちをはかるようにしていくしかないんだなと思います」


yakusoku-3.jpg会場からの「希林さん、ぜひこれからも頑張ってください」とのエールの言葉に、樹木さんがにっこり微笑んで「そうもいかないのよね、病気を抱えて、もう70歳超えてね」とおどけて答えた後、「がんを告白してから、「大変ですね」とか「病気は大丈夫ですか」と言うわりには、皆さん、こきつかうんですよね(笑)。いい意味で生きていきたいと思います」と話されたのが印象に残った。作品についての感想をざっくばらんに観客に求め、意見交換しながら、当意即妙な答えで、会場の笑いをとったり、共感の輪を広げていく姿はさすがで、偉ぶらないお人柄がすてきだった。作品への深い理解に女優魂の懐の深さを感じ、印象深い取材になった。
(伊藤 久美子)

bel-s550.jpg

『ベルヴィル・トーキョー』エリーズ・ジラール監督インタビュー

(原題:BELLEVILLE TOKTO)
(2011年 フランス 1時間15分)
監督:エリーズ・ジラール\
出演:ヴァレリー・ドンセッリ、ジェレミー・エルカイム

★東京:渋谷シアター・イメージフォーラム⇒2013年3月30日~5月10日
『フレンチ・フィーメイル・ニューウェイブ』上映スケジュール⇒http://mermaidfilms.co.jp/ffnw/schedule.html

★大阪:梅田ガーデンシネマ⇒2013年4月20日田ガーデンシネマサイト⇒ http://www.kadokawa-gardencinema.jp/umeda/
『フレンチ・フィーメイル・ニューウェイブ』公式サイト⇒ http://mermaidfilms.co.jp/ffnw/

★5月16日(土)~京都みなみ会館にて公開

(C)Paolo Woods


 

~男の嘘を見抜く時、女は空っぽの心と決別する~

 

bel-2.jpg 妊娠を機に心が離れてしまった夫と別れを決意するまでの妻の心の軌跡を描いた『ベルヴィル・トーキョー』。冒頭、「他に好きな女がいる」と言い放った夫ジュリアンを駅のホームで悲痛な表情で見つめる妻マリー。夫婦という親密な時を過ごした2人の関係が破綻した瞬間である。その後男は心を入れ替え、「僕も父親になりたい」と言って女の元に戻るが、次第に大きくなるお腹と共に募る夫への不信感。愛が失せたと実感する瞬間、瞬間を細やかに捉えた映像は、グレイッシュな冬の光がマリーの孤独を際立たせるように美しく映えて秀逸。

 主演は、昨年公開の『私たちの宣戦布告』で、自らの体験を基に、子供の難病に向き合った夫婦をスタイリッシュでパワフルに描いたヴァレリー・ドンセッリとジェレミー・エルカイム。元夫婦ということで、これ以上はないキャスティングである。監督は、“シネフィル”を尊重するエリーズ・ジラール監督。本作が長編デビュー作となる。


 

 bel-s1.jpgお花見にはまだ遠い春の嵐が吹き荒れる3月半ば、キャンペーンのため来日したエリーズ・ジラール監督は、初来日ということもあって京都観光の前に来阪し、インタビューに応えてくれた。折り紙で鶴を折ってくれる11歳の息子がいるという。主演のヴァレリー・ドンセッリとジェレミー・エルカイムの息子と同じ歳だ。監督自身が妊娠している時もシングルだったそうだが、この映画の主人公マリーとは違って、「愛の決別」という切羽詰まった状況ではなかったという。それにしても、妻の元から逃げるように心が離れてしまう夫の様子が、マリーの目を通して実感できる、ある意味怖い映画である。


 

――― 劇中『イノセント』が使われているが、ルキノ・ヴィスコンティは好き?
大好き! 彼のエレガントな世界観で描かれる人間ドラマが好きです。

――― 『イノセント』には子供を殺すシーンがあったが、夫ジュリアンが意図的に選んだのか?
それほどはっきりと意図したものではないが、彼は子供は要らないという気持ちであることを表現したかったのです。

bel-4.jpg――― マリーがジュリアンとの決別を決意するまでを描いているが、マリーの心の変化をポイントポイントで表現したシーンが素晴らしかった。特にバス停のシーンとか、ベルヴィルで彼を発見するシーンとか。これらは経験から?
それらのシーンは、映画が持っている大きな特質だと思って下さい。何を描くか、その意図が濃密に集約しているのが映画のシーン作りだからです。だらだらと流れる日常を集約すると、こうしたシーンが生まれたのです。映画が成功するかどうかは、場面にメリハリを付けることが大事です。転換シーン毎に濃密なシーンを表現することが映画の基本だと考えています。

――― 監督と女優としての視点の違いは?母親としての仕事のやり方に違いは?
監督としても女優としてもビジョンの違いはそうは無いように思います。自分が母親になって何が変わったかというと、まず時間効率を考えるようになりました。子育てはとても時間がかかるので、以前より物事をダイナミックに効率良く動くことを考えるようになりました。

――― ヴァレリーさんも子供のスケジュールに合わせて仕事をするようになったと仰ってましたが?
私自身も子供の時間割に合わせて自分の仕事を調整するようになりました。以前は、シナリオを書くにしてもインスピレーションが浮かんだらいつでも書くというようなライフスタイルでしたが、今では子供が8時半に学校へ行くので、8時45分からシナリオを書く、という時間割を決めています。その分エネルギッシュになってきて、子供に時間をとられる分、どこかで時間調節しなければならないので、効率的になってきました。

bel-3.jpg――― 映画館の事務所で、マリーがふて腐れて悪態ついているシーンがとても面白かったが、あのシーンは笑いを狙っていたのか?またその理由は?
あのシーンは笑ってもらおうと考えいてました。悲劇的なシリアスドラマであっても「笑い」という味付けがあってもいいと思います。電話が鳴っても誰も出ない。あのぶっきら棒な態度がいい。従順な人より、そうでない人の方が好きなんですよ(笑)。

――― 曇り空などの光の具合がとても美しいと思ったが…デジタル化についてどう思う?
撮影監督がレナート・ベルタという世界でもベストテンに入るような人で、最も信頼できるキャメラマンです。初めてデジタルを取り入れた人でもありますが、彼が撮るデジタル映像は素晴らしく、私自身はデジタルは大嫌いですが、彼の映像は大好きなんです。フランスではもうフィルム上映できる映画館がないので、仕方なくデジタルを使用しています。デジタル映像は完璧すぎて、画像としての魅力に欠けます。フィルム映像はデジタルとは比較にならない程素晴らしいと思っています。

bel-s2.jpg――― 衣裳・カラーについて?
最初は衣裳係に依頼して揃えてもらったのですが、実際には現場で私が選んでいました。主人公マリーにはあまり目立つような恰好は合わないと思ったので、衣装だけが浮いて目立つようなことはしたくなかったのです。そこで、主人公マリーの心情とヴァレリーとの統一感を出すために、ヴァレリーと私のワードローブの中から選んで着たものもあります。エレガントでちょっとファッショナブルな感覚が出せたらいいなと思ってそうしました。


 

 桜色のスカーフをプレゼントしたら、早速首に巻いて、ニコニコしてインタビューに応えてくれたエリーズ・ジラール監督。そのキュートなイメージとは違って、表面的なスタイルより、「何を描くか」という本質を踏まえた、厳しい映像作りをしている。無駄なものを削ぎ落としたような人物像は、心情を端的に捉えて分かりやすい。シンプルな造形の中にも、彼女ならではのこだわりの映像美学が見て取れる作品となっている。パリはカルチェラタンにある名画座系映画館で働いていた経験もあり、とにかく世界中の映画をよく見ている映画ツウでもある。

(河田 真喜子)

『藁の楯 わらのたて』試写会プレゼント(4/3〆切)

wara-1.jpg・日時:2013年4月11日(木) 
    18:00開場/18:30開映
・会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
・募集人数: 5組 10名様
・締切:2013年4月3日(水)

 ★大沢たかお、三池崇史監督完成披露試写舞台挨拶⇒ こちら
公式サイト⇒ http://wwws.warnerbros.co.jp/waranotate/index.html

 
2013年4月26日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー


 

【STORY】

前代未聞の新聞全面広告に、日本中が揺れた! 広告主は巨額の資産を持つ財界の大物・蜷川。
幼い孫娘を惨殺した男、清丸の首に懸賞金を懸けたのだった。命の危険を感じた清丸は、潜伏先の福岡で出頭する。全国民の殺意が向けられる中、48時間以内に清丸の身柄を警視庁に移送するため、5人のSPと刑事が選ばれた。護衛対象は“人間のクズ”。命懸けの移送が始まる…。一般市民、警察官、機動隊員までもが執拗に命を狙ってくる。見えない暗殺者から逃げる為、護送車、救急車、新幹線と次々と移動手段を変えても、なぜか、ネット上のキヨマルサイトには移送チームの居場所が更新されてしまう。
いつ?誰が?何処から襲い掛かってくるか分からない、誰が裏切り者がわからない極限の緊張状態が続く・・・。
はたして、人間のクズを命懸けで守る事に価値はあるのか?それが“正義”なのか?SPチームは無事に清丸を警視庁に移送することが出来るのか?物語は誰も予測出来ない衝撃のクライマックスを迎える!

【キャスト】 大沢たかお ・ 松嶋菜々子 ・ 岸谷五朗 ・ 伊武雅刀 ・ 永山絢斗 ・ 余貴美子 ・ 藤原竜也 ・ 山﨑努
【監 督】 三池崇史                      
【原作】 木内一裕「藁の楯」(講談社文庫刊) 
【主題歌】 「NORTH OF EDEN」 氷室京介       【配 給】 ワーナー・ブラザース映画
【公式サイト】 www.waranotate.jp                       【キヨマルサイト】 www.kiyomaru-site.jp

『舟を編む』試写会プレゼント(3/23〆切)

funeamu-1.jpg・日時:2013年4月1日(月) 
    18:00開場/18:30開映
・会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
・募集人数: 5組 10名様
・締切:2013年3月23日(土)

 公式サイト⇒ http://fune-amu.com/

 
2013年4月13日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー


【作品紹介】
~2012年本屋大賞第1位! 58万部突破!~
ベストセラー早くも映画化!

  
言葉と人への愛を謳う、感動エンタテインメント、誕生!

原作は「まほろ駅前多田便利軒」で第135回直木賞を受賞、今もっとも新刊が待ち望まれる作家のひとりである三浦しをんの同名小説。現在発行58万部を突破、今年一番売れた文芸書となりました。人と人との思いをつなぐ“言葉”というものを整理し、意味を示し、もっともふさわしい形で使えるようにするもの――辞書。本作はその辞書【舟】を編集する=【編む】人たちの、言葉と人への愛を謳う、感動エンタテインメントです。

<ストーリー>
出版社・玄武書房に勤める馬締光也は、営業部で変わり者として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える能力を買われ、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書「大渡海」を編む仲間として。
定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、次第に辞書作りに愛着を持ち始めるチャラ男。個性派ぞろいの面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。
そして出会った、運命の女性。だが言葉のプロでありながら、馬締は彼女に気持ちを伝えるにふさわしい言葉がみつからない。問題が山積みの辞書編集部。果たして「大渡海」は完成するのか?そして、馬締の思いは伝わるのだろうか? 


出演:松田龍平 宮崎あおい オダギリジョー 黒木華 渡辺美佐子 池脇千鶴 鶴見辰吾
   宇野祥平 又吉直樹(ピース) 波岡一喜 森岡龍 斎藤嘉樹 /  麻生久美子
   伊佐山ひろ子 八千草薫 小林薫 加藤剛
原作:「舟を編む」三浦しをん(光文社刊)  脚本:渡辺謙作
監督 石井裕也
製作:「舟を編む」製作委員会
製作プロダクション:リトルモア フィルムメーカーズ 特別協力:株式会社三省堂 三省堂印刷株式会社  
配給:松竹 アスミック・エース     fune-amu.com   (C)2013「舟を編む」製作委員会 

Django-k1.jpg

『ジャンゴ 繋がれざる者』レオナルド・ディカプリオ緊急来日記者会見

《概要》
日 程:3月2日(土)
会 場:東京ミッドタウン ホールA(港区赤坂9-7ミッドタウン・イーストB1F
登壇者:レオナルド・ディカプリオ 

 

《マスコミ》
ムービー:20
スチール:60
記者:200

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ こちら
 


《イベントの模様》
クエンティン・タランティーノ監督初の西部劇にしてラブ・ストーリー=『ジャンゴ 繋がれざる者』。今週日本時間の25日(月)に発表されたアカデミー賞で、脚本賞(クエンティン・タランティーノ)、助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)の2部門に輝いた本作ですが、アメリカでは昨年1225日に公開、タランティーノの前作『イングロリアス・バスターズ』の記録を超えるタランティーノ史上最大のヒットとなりました。そして、日本では昨日31日に公開され、大ヒットを予感させる好スタートを切っています。日本でのそんな大ヒッもちろん『レザボア・ドックス』以降20年来のタランティーノファンからの支持はもちろんですが、今回初の悪役に挑戦したこの方の熱演を観たいというファンも数多く劇場に駆けつけてくれたからです。それでは、さっそくお呼びいたしましょう。レオナルド・ディカプリオさんです!

 

・日本のファンへ一言ご挨拶を
レオ:日本に戻れて嬉しいです。日本が大好きです!

Django-4.jpg・あなたが演じたカルビン・キャンディは、あなたにとって初の本格的悪役であることはもちろん、ハリウッド映画史上でも類を見ない芯からの悪人です。このような役、しかも主役ではない役を自分からやりたいと言ったと聞きましたが、どう興味もって、出演を決心されたのか、その経緯を教えてください。
レオ:僕は常に革新的な仕事をしている監督と仕事をしたいと思っている。だからタランティーノとはずっと仕事がしたいと思っていたんだ。たとえどんな役柄でも。タランティーノとは過去に何度か話す機会があったけれど、この作品は南北戦争直前の、アメリカ人が触れたくない時代を描いている。脇役といっても南部の腐敗の象徴のようなキャラクターで、社会的な影響も含めて、色んな側面を描いているんだ。そしてタランティーノはまるで脚本から飛び出してくるようなキャラクターを書いている。ハリウッドでこの脚本が回ったとき、とにかくみんなショックを受けた。こんなの読んだことない!ってね。ぜひともその一部になりたいと思ったし、これはアメリカが過去に振り返って鏡を覗くような大事なプロジェクトだと思ったんだ。

・タランティーノ監督のアカデミー脚本賞おめでとうございます。本当に強烈なキャラクターとディカプリオさん始め彼らが放つセリフに圧倒されました。あなたが初めて脚本を読んだときのことと、タランティーノ監督との初仕事がどんなものだったかお聞かせください。
レオ:タランティーノは監督であると同時に脚本家でもある。カルビン・キャンディというキャラクターに対してどういう方向付けにするのか色々とやりたいことが生まれてきて、彼には早いタイミングでアイディア出しをしたんだけれど、それに対して信じられない程素晴らしいモノローグをたった数日間で書き上げてくれたんだ。スティーブンという黒人に育てられているにも関わらず、彼らを人間として扱わない。カルビンは当時の環境や時代の産物とも言える嫌な奴だけれど、何か正当化する理由がないといけないと思って、そこで「骨相学」提案したよ。無知なのにえせ科学者のように物を言う、2ページに及ぶモノローグだったけれど、あれはタランティーノが天才である証だね。

Django-k2.jpg・骨相学のシーンで実際に怪我をしたと聞きました。撮影中大変だったエピソードは?
レオ:自慢をしているように思われたくないのだけれど・・・質問をされたので言います。先ほど話した2ページほどのモノローグという長いシーンは23日かかったのだけれど、他のキャラクター達を威嚇するためにテーブルをバンバンたたいていたんだ。するとあるときシェリーグラスの上に手が当たって柄の部分が手に刺さってしまったです。そのとき思ったのは、まず第一に「痛い」、そして次に「このシーンを使ってもらえたら最高だなぁ」。そのまま演技は続けたから、柄の部分が手に入ったままで、テーブルも血に染まっていって、ジェイミー(・フォックス)の顔は「ええー」となっているし、タランティーノもレンズから目を離して大丈夫かなとちらちらと見ていたよ。後で数針縫わなければいけなかったけれど、実際に使われたんだ。ある意味俳優としてはハッピーだったね。血だらけの手でブルームヒルダの顔を触るという画が撮れたし、後には包帯を巻くということもリアルに出来たしね。

・ナイスガイなディカプリオさんですが、この悪役を演じる上でどのように役と向き合った?
レオ:この役は非常に酷い、憎むべき人物だ。今まで演じたどのキャラクターより忌むべき人物だね。だからこそやりたいというのが半分。それからここまで大胆不敵な人物だと人の気持ちを考えなくても良いし、自己陶酔してその時の勘で自由に演じられるから、ある意味開放感を感じるんだ。そういう意味では楽しかったよ。よく俳優は一番楽しい役柄は悪人と言うけれど、そういう理由ですよね。

・今回の来日でやりたいことは?
レオ:京都には5回行っているんだけれど、日本に来るのは本当に楽しみ。以前両親を連れて行ったんだけど、とにかく大好きな街で、両親は僕のことを寺院マニアと呼んでいるよ。ガイドがヘトヘトになるくらい、一日に5箇所くらい寺院に行くんだ。日本の文化が大好きで、もう中毒のようなものだね。京都のような古い街に行くと映画の中に入ってタイムスリップしたような気持ちになるんだ。現実世界とは完全に離れて、そういう気持ちになれるのはすごく楽しいね。

・『リンカーン』への出演を迷っていたダニエル・デイ=ルイスの背中を押したのはあなただと伺いました。俳優同士にはそういった関係があるものかと思うのですが、あなたにも仕事を選ぶ上で頼りにしている友達はいらっしゃいますか?
レオ:俳優同士でのそういった会話は確かにありますね。ダニエルには・・・これを話すとマーティン・ルーサーキングかと言われると思うけれど、、、ある夢を見たんです。「あそこにリンカーンがいると思って近づくと・・・ダニエルだった。見るととても役に入りきっているから声をかけないほうがいいな、と思いそもまま僕は去った」という内容の。その夢を見たことを彼に話してそれがきっかけになっているようなんだけど、だから誰かが演じるのならば彼しかいないと思うし、そのために生まれてきたといっても良い人だと思う。僕は芸能界で育ってきたので相談できる友達はたくさんいます。トビー・マグウワイアもその一人。それに夢とかちょっとした昼寝をきっかけに行動することも多いんです。『ウォール街の狼』もスコセッシと映画を撮っている夢をみて、それを彼に話したところ本当に演じることになりました。

・好きな悪役は?
レオ:いっぱいいますね。うーーん。。選ぶのは難しいな。参考にしたのは『トゥルー・ロマンス』のゲイリー・オールドマン、『トゥームストーン』のバル・キルマーのふたり。今まで観てきたいろんな悪役を凝縮したのがキャンディかもしれない。好きな悪役は・・・あまりにも多すぎて難しいけれど、一人挙げるとするならば『羊たちの沈黙』のアンソニー・ホプキンスかな。でも彼はある意味ヒーローだね。

・休業されることが話題になっていますが、今後はどのように活動されるのでしょう?
レオ:ちょっとしたことを言っただけなのに、印刷されると時に違う意味にとられてしまうことがあります。あのとき僕が言ったのは、2年間で3本出演したのでちょっと休憩するというつもりだったんだ。大好きな俳優業をやめるつもりは全くないよ。休んでいる間は、情熱を注いでいる環境問題や慈善事業をやっていきたいと思っています。象牙のための象の乱獲を止められるよう、政府に象牙の売買をやめさせるよう訴えたり、自分が貢献できることならやりたいと思っているよ。トラブルにならないで、良い意味で時間を使える自分にとっても良い時間の過ごし方なんだ。みなさんもぜひ興味をもってくれたら嬉しいです。

 

flight-s1.jpg

デンゼル・ワシントン、アカデミー賞受賞したら、日本語で「ありがとう!」を約束!
ロバート・ゼメキス監督はデンゼル・ワシントンの熱演を大絶賛!
オスカー受賞者同士の「強い信頼の絆」で完成した映画「フライト」

デンゼル・ワシントン、アカデミー賞受賞したら、日本語で「ありがとう!」を約束!
ロバート・ゼメキス監督はデンゼル・ワシントンの熱演を大絶賛!
オスカー受賞者同士の「強い信頼の絆」で完成した映画「フライト」

 

名匠ロバート・ゼメキスと名優デンゼル・ワシントンの最強のタッグが贈る、衝撃と感動の物語『フライト』。公開に先立ち、本年度アカデミー賞<主演男優賞>にノミネートをはたし、3度目の受賞に期待の高まる主演のデンゼル・ワシントンと名匠ロバート・ゼメキス監督が緊急来日しました。
 

 ・2月20日(水) 11:00~11:50
・会場:ザ・リッツカールトン東京2Fグランドボールルーム(東京都港区赤坂9-7-1 東京ミッドタウン)
・登壇者:デンゼル・ワシントン(58)、ロバート・ゼメキス監督(61)、ウォルター・F・パークス(プロデューサー/61)、ローリー・マクドナルド(プロデューサー/59)

<取材来場> スチール40台、ムービー20台、記者・マスコミ関係250人 合計310

 

主演のデンゼル・ワシントンは4日後に発表されるアカデミー賞で3度目の受賞へ期待が高まる中、4年ぶり5度目の来日。巨匠、ロバート・ゼメキス監督も4年ぶりで久々の来日となりました。さらに、ハリウッドを代表するヒットメイカーでプロデューサーのウォルター・F・パークスとローリー・マクドナルドも参加。ハリウッドの名優と最高のフィルムメーカーによって完成された注目作「フライト」について熱い質問が飛び交いました。

4年ぶりの来日の感想を尋ねられ、デンゼル・ワシントンは「4年経ったと知らされ、(来日が)とても久々だと感じています。日本に戻ってこれて嬉しいよ。」と笑顔で回答。4日後に控えたアカデミー賞の発表で、受賞したら日本語で「ありがとう!」というよと約束してくれました。

本作では、心に問題を抱え葛藤に悩むパイロットを演じているが、“オスカー俳優”には「役作り」に関する質問が相次ぎ、デンゼル自ら、解説しながら実演も。「脚本が素晴らしく、非の打ち所がなかったのでアドリブもしなかった。」と撮影エピソードも披露。
「日々、演技を研究する毎日であり、慢心することなく鍛錬を積んでいるので、これまでに自分が演じた役に満足してきたことはない。」と役者としての信念を述べると記者たちから感嘆の声が漏れました。

それに、応えるようにロート・ゼメキス監督は、「(デンゼル・ワシントン)とは撮影中、彼の演技に驚き興奮が収まらなかった。私の演出など全く必要なかったよ。」とデンゼル・ワシントンの演技を称賛。

プロデューサーのウォルター・F・パークスも「(デンゼル)は脚本に忠実に敬意を持って演じてくれた。彼が演じるウィトカー機長はとても難しい役だが、敬意を持って演じてくれたことに本当に感謝している。」

ローリー・マクドナルドは「誰でも持ち合わせている“人間の弱さと強さ”を演じ分けており、デンゼルは本当に素晴らしい。」と大絶賛だった。

 一方、デンゼル・ワシントンは「ロバート・ゼメキス監督は、撮影現場で演技に関してさまざま模索させてくれた。不安を感じることなく懐が深く信頼できる監督。」とゼメキス監督との強く深い絆を感じさせた。

また、ゼメキス監督からは、本作の一番の見どころでもある冒頭30分からの“飛行機の背面飛行での不時着”シーンについて、「時間のかかるシーンだったが、素晴らしいチームワークで撮影した。想定できる技術を全て駆使し、実際に30人ほどのエキストラを逆さ吊りにして撮影したんだ。」とアクロバティックな撮影の様子も明かしてくれました。

公開が待たれる、『フライト』は3月1日(金・映画ファーストデー)より全国公開です。

<補足情報> デンゼル・ワシントンは過去アカデミー賞2度受賞し、3度目に期待高まる。
 (受賞歴→『グローリー』(1989)助演男優賞、『トレーニングデイ』(2001)主演男優賞)

 

flight-1-1.jpg<『フライト』作品紹介>
多くの命を救った、高度3万フィートからの奇跡の緊急着陸。彼は英雄か、犯罪者なのか?アカデミー賞最有力、衝撃と感動の話題作。
男は一夜にして、ヒーローになった。フロリダ州オーランド発アトランタ行きの旅客機が原因不明の急降下、ウィトカー機長は草原への緊急着陸に成功し
多くの乗客の命を救う。それは、どんな一流パイロットにも不可能な、まさに奇跡の操縦だった。マスコミがウィトカーの偉業を称え、彼は一躍、時の人となる。
ところが、ある疑惑が浮上する。彼の血液中からアルコールが検出されたのだ。ヒーローは一夜にして地に堕ちた。あの時、機内で何が起きたのか?様々な人の人生を巻き込みながら語られる、衝撃の事実とは?
人生の闇にのみ込まれた男が、本当の栄光とは何かを見出すまでの魂の軌跡を描き出す。デンゼル・ワシントンの圧倒的な演技力が光る感動のドラマ。

201331日(金・映画ファーストデー)より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー!

★作品紹介⇒こちら
★公式サイト⇒ http://www.flight-movie.jp/

 

lemon-s1.jpg『たとえば檸檬』片嶋一貴監督インタビュー
(2012年 日本 2時間18分)
監督:片嶋一貴
出演:韓英恵、有森也実、綾野剛、古田新太、室井滋、内田春菊、伊原剛志他
2013年2月23日(土)~第七芸術劇場、3月2日(土)~京都みなみ会館、3月9日(土)~元町映画館、他全国順次公開
公式サイト⇒http://www.dogsugar.co.jp/lemon
(C) 2012 DOGSUGAR

~境界性人格障害を鮮烈な演技で表現、見たこともない痛切な母娘物語~

lemon-1.jpgこんなに痛切な母娘物語は観たことがない。男を作って出ていくくせに、過干渉で全てを奪っていく母親(室井滋)から逃げたくて仕方がなかった20歳のカオリ(韓英恵)。引きこもりの娘を抱え、大手企業の秘書を務める一方、万引き常習犯でセックス依存症の40歳の香織(有森也実)。万引きで捕まったとき、現場にいた刑事の河内(伊原剛志)から境界性人格障害を指摘された香織と、野心家の石山(綾野剛)に彫金の才能を見いだされながらも、母親の邪魔が入り、精神が混濁していくカオリが思わぬ形で交錯していく。前作『アジアの純真』で鮮烈な印象を与えた片嶋一貴監督が、バブル時代と現代の2つの時間軸で、二人のカオリ/香織他、登場人物を対比させて描く衝撃の母娘物語『たとえば檸檬』。関西公開を前にキャンペーンで来阪した片嶋監督に、本作の狙いや撮影の舞台裏についてお話を伺った。


―――前作『アジアの純真』とは一転して、個人にフォーカスしたストーリーですが、構想のきっかけは?
脚本の吉川次郎さんとは前々作の『小森生活向上クラブ』(古田新太主演)で一緒に仕事をしたのですが、前作『アジアの純真』を撮った後に、「また一緒にやろうぜ」といった話になったんです。『アジアの純真』のときは政治的な要素が強かったので、海外の映画祭に行って政治的なスタンスや、世界をどう見るかといったことを色々語ってきたのですが、そういう広い見方というよりはむしろ、人間関係の最小単位である親子関係、それも母娘の関係をきっちり描くことによって、世界につながっていくのではないか。そういったきっかけで本作に着手し始めました。

―――母と娘の話ですが、実は母娘ではないと分かったときの衝撃は大きかったです。このような構造をどうやって組み立てていったのですか?
吉川さんも僕も男兄弟なので、母娘の関係性なんて夢にも考えたことがなかった世界ですが、それがおもしろいのではないかと話し合いました。僕が企画の時に投げかけたのは、まずタイトルは『たとえば檸檬』でいくということ。檸檬のようなものは一つの象徴なので、話が作りやすくなります。もう一つは母と娘の配役についてです。韓英恵は『アジアの純真』の主役ですし、有森さんは『小森生活向上クラブ』に出演いただいたり、一緒に呑んだりすることもありましたので、この二人を主役に据えました。そして時間が交錯するものを作ろうということで、最初は母と娘の話を考えていたわけです。

けれど、実は(母と娘とは)違うというのがおもしろいのではないかと思い始めました。そのとき吉川さんが、自分の友達の境界線人格障害の人の話を聞かせてくれたのです。調べてみると、境界線人格障害というのは幼少期の母の抑圧的な行動などから生じやすいと分かって、今回の物語の核に据えられるのではないかと考えました。有森さん演じる香織が万引きした後寿司屋へ行ったり、愛人と会ったり、刑事に暴言を吐くとか、あれは皆モデルになった人の実話を元にしています。

―――有森さんは『東京ラブストーリー』のイメージがまだ残っているので、本当にびっくりしました。本当に凄味のある演技です。
 lemon-2.jpg30代の頃の有森さんを知らない方が多いですね。20代だった『東京ラブストーリー』からいきなり飛んで『たとえば檸檬』を見たら、それは驚きますよね。16歳ぐらいからこの世界で活動されていますから、時代の傷跡みたいな形で有森さんを捉える世代もいるわけです。『東京ラブストーリー』もバブル期でしたし。

 

―――本作でも現在と並行してバブル期を描いています。最初は気づかなかったのですが、一度気づくとバブルの傷跡が意図的に映し出されていますね。
それぞれの時代の人物が最後になって結びつく構造になっています。例えば昔は「愛じゃない、尊敬だ」と言っていた奴が、今では「愛ですよ、愛」と言い続けていたり。

―――普段、母が娘を虐待したというニュースを耳にすると、母親への批判的感情が沸き上がってしまいますが、伊原さん演じる河内の「表現の仕方が普通とは違うんだ」という言葉に、愛情表現がいびつなだけという新しい認識をさせられました。
みんな壊れた人たちばかりなんですよ。みんな何かに依存しているという意味では、「この物語はあなたの物語ですよ」という展開で、非常に重層的な色々なキャラクターがでてくる形にしたかったのです。 

―――母娘の血からは逃れられないいう、血縁の絆の深さも現れています。 
最後に檸檬のレリーフがでてきたとき、自殺はやめようと思うのですが、その後香織が何十年か生きたとしても幸せにはなれそうにないんです。救いってどこにあるのだろうと考えたとき、やはりそれは自分で探していくしかないということなのかもしれません。

―――母娘を実際に描いてみて、苦労した部分はありますか?
 lemon-3.jpg二つの時代の物語を作って、合体させるわけですが、こちらの世界でやっていることを、もう一つの世界でもやっていように意識的に見せたり、時代が違うことを地続きのように見せることで、サスペンスを作りだし物語を構成するという試みを、きっちり本にしてからは現場に臨みました。現場は役者さんが体当たりの演技をみなさん見せてくれました。有森さんはこれでもかというぐらい(役を)作ってきて下さるので、こちらもだんだんサディスティックになって、さらにもっとと(笑)

この撮影中に震災があったんですよ。3月の頭から撮影して、有森さんと伊原さんの最後のラブシーンを撮っているときにグラッときたんです。やはり震災があると、お金のある作品の現場は次々と撮影を延期されたのですが、こういうローバジェットの作品は一度止めたら終わりで、一度スタッフを解散したら二度と映画はできません。ガソリンはないし、停電にはなるし、晴れた日にやっていたら計画停電のアナウンスは入るし、本当にこれで出来るのかなと思いました。被災者の方のことを考えましたが、そのとき自分たちに出来ることは「この映画を最後までがんばること」だと、皆必死になりましたね。

―――全てを奪う母の存在が強烈で、その後のカオリの人生にトラウマのような影響を与えてしまいますね。
今まで被害者と思っていたカオリが、急に加害者になってしまうシーンがあります。それは非常にやりきれないことであって、ああいうことが20年後の境界性人格障害につながるのでしょうね。 

―――自ら起こした事件がきっかけで、香織を見守るようになる刑事、河内もかなり辛い設定でした。 
自首することも、自殺することもできず20年間経ってしまう訳ですが、二度と会うこともないと思った香織に会うことによって、ますます心の傷が深まってしまう。伊原さんが最後になぜ死ぬのかという質問を受けることもあるのですが、それは死ぬしかないだろうと。もしあそこで香織と幸せになってしまったら、この映画は違う映画になってしまいます。

―――最初からタイトルにと決めていた「檸檬」ですが、冷蔵庫の腐りかけの檸檬など、いろいろな檸檬が登場します。本作の「檸檬」はどんなイメージで使ったのですか?
この映画の中でいろいろな檸檬がでてくるということは、いろいろな象徴になっています。若い頃の檸檬というのは、自分たちの周りの困難を乗り越えようとする気持ちであったり、腐ってくると自堕落の象徴となったりします。英語のスラングで檸檬は「壊れもの」という意味があり、欠陥品という意味で使われるのですが、まさに欠陥品ばかりのキャラクターがでてきますから。 

―――殺したいと思っても、やはり母親は好きだという非常に複雑な心境を描ききっていますね。 
lemon-4.jpg母親も辛いんですよね。今は母性愛神話が崩壊していると言われています。母は子どもを愛さなければいけないというしがらみがありますが、愛せない人や不器用な人もいるはずです。でも、社会がそれを許さないので、子どもを愛せない人は辛いのです。社会に規律があった時代ではなくなっている今、弱い人はどんどん依存せざるをえなくなっています。

 

―――若松監督の助監督のご経験もおありですが、若松監督から影響を受けたことは? 
若松監督は本当に面白い方で、いい加減なところもたくさんありましたが、やはり自分のお金でちゃんと映画を作って、最後に自分の力で公開までもっていくということをやってきた監督なので、映画を作る覚悟を切に学びました。演出とかそういうレベルの話ではないですね。

―――これからはどんな作品を手がけていきたいですか?
本作がきっかけで、『完全なる飼育』シリーズをやってみないかと声をかけていただきました。シリーズ一本目は新藤兼人脚本、和田勉監督と一番有名なのですが、その後若松監督も撮っていて、好き勝手なことをやっているんです(笑)シリーズもののエンターテイメント作品に声をかけてもらったのは初めてだったので、うれしいです。今までは自分の企画として自力でこぎつけたところがありましたから。観ている側をエンターテイメントとして引っ張れる映画を作っていきたいですね。一方で、インディペンデント系のものをやっていける二本立てで考えられれば幸せです。

―――最後にこの作品で一番の見せ場は?
本当に役者の方々が体当たりの演技をしていて、役者の才気と意欲で成り立っている映画だと思います。それを観てほしいですね。


万引き、セックス依存症、アルコール依存症と、様々な症状に陥る人間や、バブルの栄光をひきずった人間など、人間動物園さながらのきわどいキャラクターが勢揃いの本作を観ていると、人間は何かに依存しなければ壊れてしまう生き物なのかという想いが胸をよぎる。本作で描かれる、様々なトラウマから依存バランスが保てず壊れてしまった人たちは時に観るのが辛くなるが、そこを剥き出しにするのが片嶋流なのだろう。インタビュー中でも話題にのぼった有森也実や、二作連続主演となる韓英恵の鬼気迫る演技は言うまでもなく、今、一番旬の俳優、綾野剛がライブシーンも披露しながら、バブル時代の寵児となる石山をナルシスト度満点で演じ、新しい一面を垣間見ることができる。母親の愛に気付かずに育った女が、死の間際に見たものは何か、ぜひ劇場で確かめてほしい。(江口由美)

 garo2-ss1.jpg

『牙狼〈GARO〉~蒼哭の魔竜~』通天閣ヒット祈願レポート

garo2-ss2.jpg(2013年2月8(金) 大阪通天閣5F展望台にて)

ゲスト:松坂慶子、雨宮慶太監督

 

(2012年 日本 1時間36分)
監督:雨宮慶太
出演:小西遼生、久保田悠来、蒼あんな、蛍雪二郎、奥田ゆかり、渡辺裕之、松坂慶子

2013年2月23日(土)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T-ジョイ京都、109シネマズHAT神戸、他全国ロードショー

公式サイト⇒ http://garo-project.jp/SOUKOKU/

(C)2012 雨宮慶太/東北新社

 


 

~『牙狼〈GARO〉』に華やぎの魔法をかけた松坂慶子!~

 

garo2-2.jpg 大阪は通天閣5階にある展望台で、『牙狼〈GARO〉~蒼哭の魔竜~』通天閣ヒット祈願が開催された。雨宮慶太監督と松坂慶子さんが、寒風吹きすさむ2月のキャンペーンにもかかわらず、まるで春の温もりを感じさせるような風をもたらしてくれた。雨宮監督の独創的世界観で活躍する黄金騎士を主人公にした『牙狼〈GARO〉』は、TVシリーズを含め8年のロングランを続けるヒット作品。本作は、劇場版第二作となる。


garo2-ss3.jpg――― ご挨拶を。
雨宮:こんにちは。『牙狼〈GARO〉』の監督、雨宮慶太です。通天閣は初めてなんですが、凄く眺めがいいので、緊張しています。
松坂:皆様お忙しい中ありがとうございます。今回私は女王ジュダムというチャーミングな役をやらせて頂きました。どうぞよろしくお願いいたします。

――― 通天閣のイメージは?
雨宮:こんなに高いとは思わなかったです。
松坂:久しぶりです。お昼に来たのは初めてで、とても綺麗ですね。それに金色がキラキラしていて、今年は蛇年なんで金運がアップするように感じます。

――― 松坂さんが演じられたジュダムという役は美しいものが大好きということですが、何か気になるところはありますか?
松坂:文字にも服とかとても興味ありますので、ジュダムとしてはもうここに住みたいと思っちゃいます♪

――― 松坂さんは個人的に集められているものはありますか?
松坂:可愛いものが好きですね。通天閣のミニチュアのネックレスがあればいいのですが(笑)

garo2-ss5.jpg――― 監督は独特の世界観で作品を創って来られましたが、何かインスピレーションを受けるようなところはありませんか?
雨宮:和の感じがあるので、居心地がいいですね。

――― ホラーに松坂さんを起用されたのは?
雨宮:今回はホラーではなく、ファンタジックな作品です。美しいものが大好きという女王ですので、これは松阪さんでなければ演じられないと思いまして、何度かお願いして出演して頂きました。

 

 

 

garo2-ss4.jpg――― 監督からの熱烈なオファーに対して?
松坂:とても光栄なことです。映像の化身のようなイメージもあり、いろんな映画に出演した女優に演じてほしいという監督の思いがありまして、素敵な原作を頂きました。人々に忘れ去られた物、もう一度ぼくたちの事を思い出してという国の女王なんですが、監督にいいことを教わりまして、それは、今まで大事にしてきたものをもう一度思い出してあげようということと、自分の仕事でも幼い頃からでも愛されてきたことを風化させては勿体ないなと。自分はいろんな出会いに恵まれてきたんだな、その想い出も時々宝箱から出して思い出そうと。そうすることでとても幸せな気持ちになれました。本当に出会えて良かったと思える作品です。

――― とても素敵なコメントですね?
雨宮:そう言って頂けて感無量です。この役は、第一線で活躍された人でないとダメだと思っていましたので、実現できて本当に嬉しかったです。また、いろいろ相談させて頂きながらこのジュダムという役を創り上げていきました。松坂さんのアイデアも随所で活かされていますよ。例えば、ホクロとかアクセサリーとか衣裳とか。
松坂:毎朝6時くらいに撮影所に入って、4時間くらいメイクと衣装にかけるんですが、ああやっと支度が終わった~!と思ったら、撮影はこれからですよ!と言われました(笑)監督自らアイラインを付け加えることもありました。それくらい細かいディテールにこだわって丁寧に作れたことは楽しかったですね。

――― 役柄としては新たなチャレンジですよね?
松坂:今回は、人ではなく物なんですよね。初めての役柄ですが、どこか無機質で、人に裏切られて歪んだ愛や悲しみを抱えている複雑な役柄でした。でもどこか少女のような無邪気さのある怖い女王。監督に自分の中の新たなものを引き出して頂いて、また、監督のデッサンの女王に次第に似てきたのが嬉しかったですね。

――― それはジュダムに同化されていったのでしょうか?
雨宮:デッサンのジュダムが正解ではなく、カメラの前に存在する松坂さん演じるジュダムが正解なんです。それが毎日演じていくうちに揺るぎないものになっていったのだと思います。

garo2-ss6.jpg――― 今回松坂さんはアクションに挑戦されてますが?
雨宮:アクションは初めてだと仰るのびっくりしたのですが、それでもワイヤーアクションや立ち回りをやって頂きました。
松坂:緊張しましたが、現場に入ると「やってみたい!」という気持ちの方が勝っちゃいました。コツや着地方法などを教えて頂きながら、以前から憧れていたワイヤーアクションができて嬉しかったです。

――― 事前に柔軟体操とかされたのですか?
松坂:ストレッチだけはするように言われました。でも、あまり体力がないので、練習し過ぎると本番で動けなくなるので、ほどほどに。
雨宮:元々柔軟な体をしておられて、以前社交ダンスで優勝されたとかで、足も他の人より高く上がってびっくりしました。

――― 出来栄えは?
雨宮:見て頂ければお分かりだと思いますが、迫力あるアクションに仕上がっています。
松坂:愛と悪の表裏一体のような役で、しかもCGを駆使した作品ですので、より心情を大切にして演じました。



 ここでヒットを祈願して絵馬に願い事を書いてもらう。ビリケン像を挟んでポーズ。その後、通天閣の守り神幸運のビリケン像の前で、記念撮影。黄金騎士〈GARO〉も登場して、よりパワーアップ!!!

春らしいピンクのワンピースに白いシフォンのストールを羽織った松坂慶子さん。3年前『大阪ハムレット』でおおさかシネマフェスティバルで主演女優賞を受賞された時よりほっそりされて、益々美しくなられたようだ。

(河田 真喜子)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71