「京都」と一致するもの

闇金ウシジマくん2_プレゼント画像_r1_c1.jpg

■ ツイン 提供

■ 募集人員:3名様

■ 締切:2014年6月8日(日)

★公式サイト⇒ http://ymkn-ushijima-movie.com/movie/

2014年5月16日(金)~TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSほか全国ロードショー! 

 

 


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クズどもに、終止符を打つ! 最強のヤミ金再始動!!

 
ギラギラした欲望に衝き動かされた、キャラ立ち過ぎの登場人物たちによる、駆け引きや裏切り、愛憎そして絆。
闇金 VS ヤンキー VS 暴走族 VS 女闇金 VS 極道 VS ホスト VS 風俗嬢 VS ストーカー VS 情報屋
問答無用!ウシジマをめぐる八つ(やつ)巴(どもえ)の生存競争、サバイバル・バトルが冒頭からラストまでノンストップ!! スピーディで重量感のあるアクションとバイオレンス、特濃の人間ドラマと悲喜劇、すべてがハンパなくスケールアップ。究極の“ウシジマ・ワールド”がここに開幕する――。
ヘタを打ったら、そこでゲームセット、人生おわり―。
生き残るのはいったい誰だ?!
 
=================================
■出演者:山田孝之 綾野剛 菅田将暉 中尾明慶 窪田正孝 やべきょうすけ
■監督 山口雅俊 
■原作 真鍋昌平『闇金ウシジマくん』(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
■企画・プロデュース 山口雅俊  ■脚本 福間正浩  
■製作 「闇金ウシジマくん」製作委員会
■配給 東宝映像事業部=S・D・P 
(C)2014真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん2」製作委員会
 

『ラストミッション』特製“ケヴィン”コースター プレゼント!

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■ ショウゲート 提供

■ 募集人員: 5名様

■ 締切:2014年6月21日(土)

★公式サイト⇒ http://lastmission.jp/

2014年6月21日(土)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズ神戸ハーバーランド109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー! 

 


『ラストミッション』

ケヴィン・コスナー待望の主演最新作は『チャーリーズ・エンジェル』マックG監督×『Taxi』リュック・ベッソン脚本の豪華タッグによる、エキサイティングなアクション・エンターテインメント大作!

lastmission-550.jpg余命宣告されたベテランCIAエージェントのイーサン(ケヴィン・コスナー)は、残された時間を別れた家族と過ごそうとパリに行く。しかし、久しぶりに会う思春期の娘ゾーイ(ヘイリー・スタインフェルド)とは溝が深まるばかり。そんな中、女エージェントのヴィヴィ(アンバー・ハード)が、病の特効薬を餌に現役最後の危険な仕事を持ちかけてくるが…。悪人どもの扱いはうまいが自分の娘には手を焼くベテランエージェントに扮したケヴィン・コスナーが、パリの街を舞台に同時進行不可能な究極の<ラストミッション>に挑む!

出演:ケヴィン・コスナー、アンバー・ハード、ヘイリー・スタインフェルド、コニー・ニールセン

監督:マックG 原案・脚本:リュック・ベッソン共同脚本:アディ・ハサック

2013年/アメリカ・フランス/カラー/スコープ/5.1ch/117分/原題:THREE DAYS TO KILL/字幕翻訳:戸田奈津子/配給:ショウゲート

Lastmission.jp   © 2013 3DTK INC

2014年6月21日(土)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズ神戸ハーバーランド109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー! 

『her/世界でひとつの彼女』試写会プレゼント 

HER-550.jpg・日時:2014年6月20日(金) 
    18:00開場/18:30開映
・会場:御堂会館
・募集人数: 5組 10名様
・締切:2014年6月10日(火)

 

 ★公式サイト⇒ http://her.asmik-ace.co.jp/

 2014年6月28日(土)~大阪:大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー
 


本年度アカデミー賞・脚本賞受賞!スパイク・ジョーンズ最新作

ありえないはずの“一人とひとつ”の恋は、奇跡の展開へ―!
映画で感じたことないほどの愛しさと切なさ。観たことないラブストーリー。

≪ストーリー≫
HER-4.jpg近未来のロサンゼルス。セオドア(ホアキン・フェニックス)は、他人の代わりに想いを伝える手紙を書く“代筆ライター”。長年一緒に暮らした妻キャサリン(ルーニー・マーラ)と別れ傷心の彼はある日、人工知能型OSの“サマンサ”(スカーレット・ヨハンソン)に出会う。出会うといっても実体をもたない彼女は、コンピューターや携帯画面の奥から発せられる“声”でしかない。けれど“彼女”は、驚くほど個性的で、繊細で、セクシーで、クレバー。次第にセオドアは“彼女”と一緒に過ごす時間を誰といるより幸せに感じるようになり、”彼女“に魅了されていく―

原題:her
監督&脚本:スパイク・ジョーンズ 
出演:ホアキン・フェニックス エイミー・アダムス ルーニー・マーラ オリヴィア・ワイルド スカーレット・ヨハンソン
音楽:アーケイド・ファイア オーウェン・パレット 主題歌:カレンO 「The Moon Song」 
配給:アスミック・エース
2013年/アメリカ/カラー/126分/配給:アスミック・エース/her.asmik-ace.co.jp
コピーライト:Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

2014年6月28日(土)~大阪:大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、ほか全国ロードショー

 

『イヌミチ』万田邦敏監督インタビュー

inumichi-di-1.jpg(2013年 日本 1時間12分)
監督・編集:万田邦敏
脚本:伊藤理絵
出演:永山由里恵、矢野昌幸、小田篤ほか
映画美学校2012年度高等科コラボレーション作品

2014年 5/3(土)〜5/16(金)第七藝術劇場、5/16(土)〜5/30(金)立誠シネマプロジェクト(京都)、6/6(金)〜6/10(火)神戸映画資料館      

公式サイト⇒ http://inu-michi.com/
©2013 THE FILM SCHOOL OF TOKYO

 


 
~“犬”と“飼い主”の関係を経て…~


 人は生きていくことの重みから逃れることはできない。仕事にも恋にも倦み疲れた30歳間近のOLの響子は、見知らぬ男、西森の家にころがりこみ、四つん這いになって「イヌ」の真似を始める。飼い主と犬という関係を通じて女はどう変わり、二人はどこへ向かうのか…。

 独特の映像世界で私たちを魅了し、映画を観ることのおもしろさと深さを教えてくれた万田邦敏監督。『UNLOVED』(02)では三角関係に揺れる女、『接吻』(08)では殺人犯に恋した女と、さまざまな男女のありようを映画にしてみせてきた監督が、5年ぶりに映画美学校の学生たちとともに撮ったのは、一風変わった男女の姿。この風変わりなお話が、映画としてどう立ち上がり、作品となっていったのか、PRのために来阪された万田監督に率直にうかがった。
 


 【STORY】 (公式サイトより) 
inumichi-1.jpg 仕事や恋人との生活において選択する事に疲れている編集者の響子はある日、クレーマーや上司に簡単に土下座をする男・西森と出会う。プライドもやる気もない西森の、無欲な「イヌ」の目に興味を持つ響子。
出来心から訪れた西森の家で、二人はおかしな「イヌ」と「飼い主」という遊びを始める。
「イヌ」としての盲目的な生活に浸る響子と、その姿に安らぎ「飼い主」になる西森。
ほの暗い家の中で、決して交わることのない身勝手な愛を垂れ流す二人の遊びはどこへ向かうのだろうか。



■キャスティングについて~何を考えてるのかわからない怖さ~

inumichi-4.jpg―――西森を演じる矢野昌幸さんはユニークな感じですが、どんなところから役が決まったのですか?
万田邦俊(以下万田) 今回は、映画美学校高等科の1期の学生をキャスティングすることになっていました。ほぼ全員出てもらったんですけれども、11人か12人くらいを全員オーディションして、スタッフになる学生と一緒に役の割振りを決めました。矢野君には、脚本を呼んだだけだとイメージできないような面構えと、何考えてるのかわからないような怖さみたいなのがあって、おもしろいな、この子に西森をやらせると『イヌミチ』というタイトルから普通に連想するようなイメージとは違う西森像になるのかなと思って、キャスティングしました。

―――横顔とか特徴的で、怖い時と普段とすごく落差がありますね?
万田 そうなんですよ、怖いんですよ、あの人は(笑)。本人は全然怖い人じゃなくて、コメディアン、芸人志望で芝居を始めたみたいなんですけど、そこはおもしろいなと思ったんです。もともと彼は眼鏡をかけていて、ただ伊達眼鏡だと思うんですけど、そのまま眼鏡ありでいきましたね。

―――響子を食事に誘うカメラマンの高梨はいかにもイケメンという顔ですが、どんな感じでしたか?
万田 彼については、もらった脚本そのままなんですけど、やはり学生が演じました。演じた学生がもともと持っているキャラクターがちょっと微妙に変な感じの子で、それがおもしろかったですね。役のキャラが随分たちました。彼自身が持っているもののおかげで。


■犬を演じること~自主練で膝小僧が痣だらけに…~

inumichi-2.jpg―――響子を演じた永山由里恵さんですが、脚本を読んで自分が犬を演じるって、結構、抵抗があると思うんですが、そのあたりはどうだったんですか?
万田 大変だったと思います。僕も最初に脚本を読んだ時に、犬になるってことですから、「ええ、これってどうやって撮るの?」って思いましたよ。「犬になる、四つん這いになるって、絵になるのか。画面になるのか。難しいな」というふうには思いましたね。

―――永山さんが犬として座っているのがちゃんと絵になっていましたが、かなり練習とかされたんですか?
万田 練習してくれました。僕が知らないところで。彼女だけでなく、矢野君と二人が自主練をしてて、それで、彼女は、撮影に入る前には、膝小僧がもう痣だらけになってたみたいですね。僕、知らなかったんです。彼女も学生だったので、素人というか。プロだったら、サポーターをつけますから、そんなこと絶対ないんです。現場に入ってからは、サポーターさせましたけれども、二人で勝手に自主練している時には、そんなことも思いつかず、タオルかなんかはそれでもまいてたって、言ってたかな。でも、ずれてきちゃいますからね。それで、撮影に入ってから、ある日ふっと控室に行って、ちょうど膝小僧が出てた時で痣だらけになっていて、僕も驚いて「ええっ、なんで?」って言ったら「自主練やってて」と、「ああ、そうだったんだ」って言って。すごく頑張ってくれましたね。二人でいろいろやってくれたようです。

―――今回、美学校の学生さんたちが演じたということで、プロの役者と違っての苦労はありましたか?
万田 それは特になかったですね。主演の二人に関しては、撮影に入る前にリハーサルみたいなことをやったんですが、その時はあんまりうまくなかったんですよね。で、これは大変だな、どうしようかな、と思ったんですけど、その後、リハーサルを何回かやったり、現場も始まってきて、ものすごくよくなってきて、だから、それで苦労したっていうこともほとんどなかったです。
リハーサルは何回かやりました。撮影前に、確か2日くらい、シーンを決めて。家屋に行ってやったシーンもあれば、映画美学校の広いスペースで、見立ててやったのもありました。矢野君と永山さんも自主練を始めていたみたいなので、初めよりは、随分身体が、動きが慣れてきたというか、役者の動き、役者の身体になってきたんだなというふうに思いました。


■脚本づくり~モノローグを削る~

―――この脚本は映画美学校の先生方の評価が高かったんですよね?監督も脚本を選ぶところに参加されたのですか?
万田 脚本コースの3人の講師で選んだもので、僕は選ぶところには参加していません。「これでやってください」と言われたかたちで、決められたものをどうやっておもしろくするのか、ということでした。 

―――脚本は最初の形からだいぶ変わったのですか?
万田 直しはしました。最初、モノローグがものすごく多い脚本だったんです。主人公の女性と、途中から男の西森のモノローグも入ってくるんですけど、「ちょっとモノローグが多いから、これは削っていこうね」というところから直しの打合わせをやっていって、でも、話の構成そのものは、そんなに大きくは変わってないです。仮にモノローグを全部はずしてみて、どうしても残さないと気持ちが伝わらないところとか、これは残した方がむしろいいというところだけは、残して、それ以外は全部落としていきました。

―――響子だけでなく、西森のモノローグが入ってくるところがおもしろいと思いました。
万田 そうなんです、そこがおもしろい。「おまえは犬」と言うところだけが西森のモノローグが残っているんですけれども、あれはもっといっぱいモノローグがあったんです。ちょっと心理を説明しすぎているとか、モノローグが入ってくることでその映画のテイストが決まっちゃうみたいなところがあったので、それは避けたいと思って、なるべくモノローグなしで、少なくしていく方向で書き直してもらいました。

inumichi-3.jpg―――飼い主になるのが、初めて出会った見知らぬ人という設定がおもしろいです。心理はよくわからなくても、観ているうちに引き込まれてしまいました。
万田 そういうふうに観てもらえれば、それは嬉しいですよね。僕は、そこがなかなかちょっと自分でも、どうおもしろがっていいのか、実はよくわかってなかったんです。彼女が見知らぬ男の前で犬になるって、結構ハードル高いじゃないですか。そこをどうやって見せるんだろう。どういうふうに持って行くんだろう。映画を観ている人が、そこでひいちゃうと、そこから先、映画についてこなくなっちゃうので、そこをどうやってみせればいいんだろう、というのは、結構難しかったんですよ。でも、脚本を書いている伊藤理絵さんは、そのことにあまり難しさを感じてなくて、それは犬になっちゃいますよ、みたいな(笑)ことだったと思うんですよね。そこが、僕がちょっとわからなかったところで、難しかったんです。ただ、観てくださって、そういうふうにそこがおもしろかったというふうに言ってもらえれば、それはこの映画のもともと持っていたおもしろさということなのかな、と思いますね。


■ロケーション~日本家屋の部屋と廊下をどう撮るか~

―――西森の住んでいる古い家はどうやって見つけられたのですか?
万田 あそこはロケハンです。学生が見つけてきたところで、すごくいい場所でしたね。とても不思議な日本家屋で、特に洋間(応接間)、犬がいつも寝ているあの部屋が、おもしろい部屋で、それから、全くそことは違うニュアンスの居間、西森が布団で寝ている畳の部屋ですね。板張りのキッチンもあって、そこを廊下がつないでいるというすごくおもしろい空間で、演出のしがいがありました。

―――公園のシーンもいい感じですよね。
万田 もともとの台本では、携帯ショップのバックヤードみたいな場所だったんですが、いい場所がなくて、「代わりに近くに公園がありますよ」、「じゃ、そこを使おうか」と言って、公園にしましたね。公園にして、より良くなったんじゃないかと思いますけどね。

―――公園に西森を呼びに来た男性店員も、意味なく滑り台を滑ったりしますよね。
万田 あれもその場で思いつきました(笑)。ロケハンした時かな。公園だし、滑り台もあるし、じゃあ使おうかなということですね。

―――いわゆる動線は現場で考えられるのですか?
万田 現場で、その場で、どういうふうにしていこうか、考えましたね。

―――うまくいったシーンとか、監督が気に入っておられるシーンがあれば、教えてください。
万田 記憶にあるかどうかわかりませんが、最初に犬になった日に、西森がこちらで着替えをしてて、彼女が応接間からトコトコ出てきて、西森を噛む。西森が「なんだよ」と言って、そのあと、台所に行きますよね。それを彼女がトコトコ、トコトコって、四つん這いになりながら追っかけるところの廊下のカットが好きですね。あそこがいいなと思ってます。なんか知らないけど。後ろから撮ってるんですけどね、トコトコ、トコトコって、四つん這いになってる感じがすごくいい。後姿が好きですね。

―――逆に、ここは苦労したというシーンはありますか?
万田 シーンで苦労したというのは、そんなにはないんですけれども、なんせやっぱり撮影時間が短かったんでね。そこが一番苦労といえば苦労ですね。結果的に撮れなかったシーンも幾つかあって、とばして、落とすっていうんですが、落とすしかなかったというのが出ちゃったんです。そういう意味では、撮影日数が6日と極端に短くて、大変といえば大変でしたね。特にスタッフをやってた学生にとっては、かなりハードな現場になってたはずですから、大変でしたね。僕はもう、大変というよりは、現場の雰囲気はものすごくよかったので、今回現場はおもしろく楽しくできましたね。


■演出~立っている人と四つん這いの人との位置関係~

―――高さの映画という感じがします。しゃがんだり、立ったり…。犬と人間は高さが違うので、画面に足だけ映ったり、人間がしゃがんで同じ高さになったりとか、おもしろいと思いました。
万田 ええ、いいですよね。あそこは僕もおもしろいなと思いました。四つん這いを撮るってすごく難しいなと思いましたけれども、一方で、立っている人との位置関係ができるので、それはおもしろいなと思って演出もしたし、撮りましたね。

 ―――響子の動きとして、立ち上がったら人間という感じですか?
万田 そういうルールになりましたね。四つん這いの時は犬ごっこしてる、立ったら人間に戻ってるということにしました。

―――西森の恋人が家にやって来て、犬の響子が彼女にかみついて、珈琲をかけられ、台所て一人ぼうっとしている顔がすごくいいなと思いました。
万田 あそこは物語上も、一つのピークというか、見せ場ですから、そういうつもりで撮りました。二人(響子と西森)の距離が近づきましたね。

―――恋人が帰っていく音が画面オフで聞こえて、誰もいない廊下が映った後、西森が現れるというシーンの展開とかは、撮影の時点で、イメージがあったのですか?
万田 芝居をつくった時には、まだ画面のことは何も考えてなかったんですけれども、芝居を見ながら、これは、誰もいない廊下で、オフで音がしてるというふうに画面をつくっていった方がいいんだなと思って撮影していきましたけどね。最終的には、編集の時に細かいところはつめていきました。

―――アドリブのセリフとかはあるんですか?
万田 僕は全然ないですね。『ありがとう』(06年)で、芸人さんたちにアドリブでやってもらったりもしましたが、基本的に僕はアドリブは撮らないですね。


■犬と飼い主の関係~いじわるをしてみせる~

―――西森が、犬の響子に与えるご飯を、あえて牛乳と混ぜてまずくするところが印象に残りました。
万田 西森が急に残酷になるんですね。いじめるみたいなことをやりだすというか。あれも彼女を犬にさせる試練というか、そこを超えていくところを見せないと、彼女がどこから犬になって、どこまでが人間で、というのがきっとわかりにくかったと思うんですよね。だから、あれを犬食いすることで、彼女がひとつ、犬になった、という設定になっていますよね。犬になって、これを四つん這いのまま食べること。それを見て、西森も、犬になったんだなって言って、喜ぶという。

―――飼い主と犬との、守る、守られるという関係でしょうか?
万田 どうなんでしょうか。僕は大昔にしか犬を飼ったことがないんですが、飼い主って優位に立っていますから、ちょっと、いじわるしたくなりますよね。そういうことなんじゃないですかね。小さい子どもでも、わけもなく、わざといじわるするってことがありますけど、なんかそういう気持ちなんでしょうね。ちょっといじわるしてみせる。それに逆らわずに、自分の与えたいじわるを、試練を乗り越えて、こっちに来たので喜ぶという関係があるんじゃないでしょうか。

―――響子がゴミ箱を振り回してふざけたり、二人の距離が段々近づいていって、なんだか愛みたいなものを感じました。
万田 うーん、愛とかあんまり思ってなかったですかね。

―――絆みたいな感じですか?
2014_0503万田3人_r1_c1.jpg万田 絆……、そうですよねえ、やっぱりセックスがないですよね。それだけで男女の関係は、不思議な関係で、片方犬で、片方飼い主で、それでセックスがないっていう。セックスしたいという思いも一切ない。そこは全く描かないということ自体、かなり異様といえば異様だし、変なところなので…。その上で、さらに愛とかいうと、難しいですよね。ほとんどプラトニックなものになってくると、それともまたちょっと違う。はたして、お互い、愛とか、好き合っていたのかどうかも、ちょっとわかりづらいところはありますよね。お互い都合のいい相手を見つけて、ごっこ遊びをしてました、というふうにも思うので。
むしろ、愛情を感じたのは、きっと別れてからですよね。家を出てから、なぜか彼女はもう一度、携帯ショップに戻ってくるわけですよね。なんとなく家を出たけれども、ふらふらと、もう一回、西森のところに来て、そのあと、公園のシーンがあって…。多分、愛情を感じたのは、ごっこが終わってから、ということでしょうか、きっと。


■物語の結末

―――響子が流産するのは、何もかも失わせるという感じなんでしょうか?
万田 何があったわけでもなく、急に流産するんですが、普通そう思うんですよね。僕もそう思ったんです。でも、脚本家に聞いたら、失うってことよりも、つまり、それまで、選んで決めて選んで決めてやってきたことが、自分が全く選べない、選択権のないことが自分の身体に起こったということが、彼女にとっては、何か一つの転機、ショックになった、と脚本家は最初言ってましたね。その感じは、ちょっとわかりづらかった。それにしては流産という出来事が大きすぎる感じがしたんです。でも、「妊娠の初期に、流産って、起こる時は結構起きますから、普通に」って言うんで、「うーん、そんなものかなあ」って。流産しちゃうって、女の人にとって、普通、そう簡単に起きますからじゃ、済まないんじゃないかと思いもしたし、言ったんですけど、それが、犬になることも平気で犬になるという感覚と同じなのかな、流産も別にそんなに重たいことではないという世界をつくりたいというふうに脚本家は思ってたのかな、ということですね。すごく微妙なところだと思いますけど。

 ―――響子は同棲していた恋人ともあっさり別れてしまいます。そんなに仲悪そうにはみえなかったんですが
万田 結局、彼にも全く連絡もせず、4日間全く別の場所にいて、心配かけて戻ってきて、彼としては怒るし、何考えてんの、しかも流産したっていう話を聞かされて、いよいよわけがわかんなくなって、別れるしかないよねという。初稿は、彼女の方から「別れよう」と言ってたんですよ。直しの段階で、一回、彼の方から言う形に戻して、もう一回、彼女に戻ったかな、どっちが言うかってのが、なかなか決着がつかなかったんです。最終的に、彼の方から言うということに落ち着いたんですけど。何校か試行錯誤しました。

―――最後、僕も犬になりたいと西森が言うのも、脚本の最初からですか?
万田 それも最初からなんで、そこが不思議な脚本でしたね(笑)。変な展開でしたね。

―――彼も犬になりたいということで、関係をやめるというか?
万田 彼も、人間をやめて犬になって楽したいから、「じゃ、今度、ごっこの順番逆ね」と言って、響子に「僕が犬だから、飼い主やって」ということだと思うんですよ。それを響子が嫌がったという。「犬は私なんだから、あんた飼い主続けてよ」ということでしょうね。その発想もおもしろいですね。

―――西森が一人で床の上にぼうっと座って、犬みたいにボールで遊んでいると、響子が首輪やボールを全部捨ててしまいます。西森にも、犬であることをやめなさい、ということですね?
万田 この関係はもう終わったから、これはありえない関係だったんだから、お互い、別々に、もう犬になるのはやめようねってことですよね。


■映画の初めと終わり~日活映画のテイスト~

―――映画の最初、電車の音から始まって、最後も電車の音で、響子が歩道橋を上がって登場し、最後も同じ場所ですよね。歩いてくる感じとか音楽は、昔の日活映画のイメージですか?
万田 日活のロマンポルノの感じとかね?(笑)はい、そうですよね。それはねらって、というか、はい、そういうふうにねらって撮りました。

―――映画のトーンでしょうか?
万田 はい、テイストを決めているんですけど、あれは。多分それは、脚本の伊藤さんが望んでいたことではないと思います。あれは、僕が勝手にそうしたいと思って、そういうふうにしたところです。

―――響子が犬になった時のしょんぼり座りこんだ姿があるから、最後、人間として立って歩いている姿が颯爽として、最初の登場シーンとは違って見えると思いました。
万田 そうですね、きっとそれは、ねらって撮ってたと思いますね。四つん這いになることと、もう一回立って歩くことと、その対比みたいなものを、映画の中で見せるっていうのは考えてたんでしょうね、きっと。

―――会社で、カメラマンの高梨と響子がすれちがうところも階段でしたね。
万田 まあ、そのへんはね(笑)。階段を見つけたら撮りたいと思う人間ですからね、僕は。なるべく階段のあるところで撮りたいって思ってるんで…そうでした。


■ごっこ遊びのおもしろさ

inumichi-bu-2.jpg―――映画を観た方の反応はどうですか?
万田 二つに分かれてるんですかね。おもしろいっていうのと、ある種リアリズムがなさすぎる、っていう。こんな女の人いないよねとか、こんな簡単に楽しちゃいけないよねとか、やりたいことだけやって、ただ、西森の家で骨休みして帰ってきて、男とも別れて、しがらみ全部なくして、それは都合よすぎないとかね(笑)。そういう反応もありますよね。一方で、やっぱり、本来なら乗り越えなきゃいけないハードルみたいなものを、平気で乗り越えていく、女の人の今の生き方みたいな、これはこれでわかる、という人もいますし、結構分かれますね、評価が。

―――観客の皆さんに向けて、どういうところを観てほしいとかありましたら、お願いします。
万田 『イヌミチ』というタイトルで、男が飼い主になって、女が犬になるという映画なんですけれども、そうすると、やはりどうしても男女のセックスみたいなものが普通、介入しますよね。イメージもそういう感じで、ああ、またそんな映画っていうふうに思われがちだと思うんですけど、この映画が本当に不思議なのは、そこにセックスが介在しないという飼い主と犬の関係ですよね。その関係が、一体、どんな話になっていくのか、それでどういう話が展開していくのか、というところに、ぜひ興味を持って観に来てもらいたい、ということですね。
それと、おとぎ話だと思うんですけどね。仕事にも疲れたし、人間関係にも疲れた人が、犬になったら、楽になれる。なら、ちょっと犬をやってみようっていうことですよね。しかもセックスもないから、なお楽だっていうことですよね(笑)。セックスの関係があると面倒くさい、それもなくてもいいんだって、犬になれるんだっていうおとぎ話なんでね。ただ、なったらなったで、それなりに、何か失うもの、最終的には失った、その上で、もう一度、生き直してみようという結末にはなってると思います。おとぎ話のおもしろさみたいなものも観てもらいたいなと思います。


(取材・構成・文責 伊藤 久美子)

 

sokonomi-s550.jpg『そこのみにて光輝く』呉美保監督、主演池脇千鶴さんインタビュー
(2014年 日本 2時間)
監督:呉美保
原作:佐藤泰志『そこのみにて光輝く』河出書房新社刊
出演:綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、火野正平、伊佐山ひろ子、田村泰二郎他
2014年4月19日(土)~テアトル新宿、テアトル梅田、なんばパークスシネマ、シネ・リーブル神戸、京都シネマ他全国ロードショー
公式サイト⇒
http://hikarikagayaku.jp/
(C) 2014 佐藤泰志 / 「そこのみにて光輝く」製作委員会

 

~ “そこのみにて光輝く”男と女に射した一筋の光~

久しぶりに何度も繰り返し観たくなる映画に出会えた。89年に発表された佐藤泰志(『海炭市叙景』)の長編小説『そこのみにて光輝く』を、呉美保監督(『オカンの嫁入り』)が映画化。夏の函館を舞台に、綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉ら俳優陣が、どこか昭和の香りがする、底辺を生きる人間が真の愛を求める姿を、狂おしくも愛おしく演じ抜いている。まさに深淵なラブストーリーだ。

主人公達夫(綾野剛)は、仕事で仲間を事故死に追いやったことがトラウマとなり、引きこもり状態になっている。粗暴だが人なつっこい青年、拓児(菅田将暉)との出会いや、拓児の姉千夏(池脇千鶴)との出会いが、停滞していた達夫の人生を静かに動かしていく。達夫を演じる綾野剛の焦燥しきった男の色気、拓児演じる菅田将暉の無垢さと危なっかしさなど、一筋縄ではいかない男たちが絡み合う一方、様々なものを背負った千夏自身の葛藤が非常に細やかに描かれている。池脇千鶴が、どこかで幸せを渇望しながら、そこでしか生きられない千夏を体当たりで演じ、まさに目が離せない。

呉美保監督と主演の池脇千鶴さんに、原作を現代に置き換えた脚本のポイントや、底辺を生きる女性として生々しく描かれる千夏の役作り、主人公のキャスティング、そしてタイトルを象徴するラストシーンについてお話を伺った。


sokonomi-550.jpg■一人の人間として千夏を肯定したい。(呉監督)

――――原作以上に千夏の人物像が豊かに描かれ、物語を引っ張っていく大きな存在感を示しているが、脚本作業ではどのように原作を膨らませていったのか?
呉美保監督(以下監督):24年前に発表された原作の千夏は、映画の千夏よりも饒舌で、ぐいぐいと積極的に達夫に語りかけていく印象を受けました。バブル絶頂期の、皆が前に向かって進んでいる時代の中、千夏はある種、格差社会の底辺に生きる人です。この物語を現代に置き換えて描くにあたっては、職にありつけなかったり、介護の問題を抱えていたりと、生きにくいと思っている人はたくさんいるであろう「今」の格差社会を描くべきだと思いつつも、24年前よりは世の中はクールダウンしている気がするので、そのテンションをちゃんと作りたいと考えました。

特に千夏は自分の体を使って商売をし、パートタイマーもし、家族の面倒も見ています。父親の介護、酒浸りの母親、何をするかわからない弟を一手に引き受けて生きているのです。だからといって、あからさまに同情されるようなひとりよがりなヒロインにしたくはありませんでした。今回はラブストーリーということもあり、観客の男性には千夏という女に惚れてもらいたい、同時に一人の人間として、千夏を肯定したいと考えました。

 

■映画は視覚で惹かれるインパクトがとても大事。千夏が最初に登場するときの “スリップ”をどうするかから取り組んだ。(池脇)

――――千夏を演じるにあたり、精神面や外見面でどんな準備をしたのか?
池脇千鶴さん(以下池脇):精神的な面では、脚本が優れていたので、何の疑問もなく、その通りにやれればいいと思いました。実はそれが一番難しいことでもあるのですが。人物描写にブレがなかったので、書いていないト書きのことですら浮かんできました。脚本のとおり忠実に自分を出せれば、難しく掘り下げる必要はなく演じられると思いました。

外見面では、映画は視覚で惹かれるインパクトがとても大事だと思います。最初に監督と二人で話し合いの場を設けていただき、監督とも「(千夏の視覚面は)すごく大事だよね」と意見が一致しました。千夏が最初に登場するインパクトは結構強烈なものを持っているので、ト書きに書かれている“スリップ”をどうするかから取り組んでいきました。今は“スリップ”だけとは限らないので、今に置き換えてみたり、現代の千夏年代の人たちはどんな格好をして夜の仕事をし、家の普段着としても着用しているのかも考えました。監督がおっしゃった千夏のテーマカラー、黒を大事に衣裳合わせをしましたし、生地一つとっても、すごく時間をかけて合わせていきました。

――――千夏の台詞はどれも非常に印象的だが、台詞に対するこだわりは?
池脇:台詞という点でいえば、今回は方言が最大のネックでした。監督からは「方言がダメだったらカットする」というお話もありました。方言は本当に難しく、役者が変な方言を使うと、(観客が)そちらに気を取られてしまいます。なるべく(現地の人が話す方言に)忠実に、自然と耳に入って邪魔にならないアクセントになるように、訓練しました。音楽のように丸覚えをして撮影に臨んだので、アドリブという即座のことはあまりできないぐらいでしたね。 千夏は大事なことだけでなく、大事でないことも結構ブツブツ言っているので、それがみなさんにどう届くか、それだけだと思います。

 

■綾野剛さん、池脇千鶴さんがお互いを包み込むイメージができた。二人の立ち姿も想像しながらのキャスティング。(呉監督)

――――達夫役の綾野剛さんは、どういう部分に惹かれてキャスティングしたのか?
監督:綾野さんに関しては5年程前にオーディションでお会いし、最後の2人に残っていただいたものの、最終的には別の方を選びました。でも他の人にはないお芝居をやってくださったり、また綾野さんでしかない独特の空気を感じたので、すごく強烈に覚えていたんです。その後ドラマや映画で活躍されているのを拝見して、またお会いできればと思っていました。
実は、今回達夫役を考えたとき、山で働いていた男なので、最初はもっとゴツゴツした感じの人を想像していました。でも、これは男と女のラブストーリーなので、「色気や陰があり、女が放っておけない男を演じられるのは綾野剛さんしかいないよね」とプロデューサーさんと話し合い、綾野さんのキャスティングを決めました。それと同時に達夫と千夏が二人並んだ時の背のバランスや、体格のバランスを想像したときに、池脇さんとなら綾野さんはぴったりだと思いました。綾野さんが池脇さんを包み込む姿はもちろん、また池脇さんがもっている母性で綾野さんを包み込むという、お互いを包み込むイメージができたんですよね。どちらか単体でキャスティングというよりは、二人の立ち姿も想像しながらのキャスティングでした。

――――千夏役の池脇千鶴さんについて、キャスティングの経緯は?
監督:池脇さんとも2年程前に広告のお仕事でご一緒したことがありました。もともと池脇さんのことが大好きでしたのでとてもうれしかったですし、広告はその時だけの放送になってしまうので、次はちゃんと残るものでご一緒したいとも思いました。池脇さんにも「映画をやりましょう」と声をかけさせていただいた記憶があります。
池脇:言われましたね。
監督:勇気を出して言いました。池脇さんって現場では非常に無口で「はい」しか言わないんですよ。それだけにこちらは言葉を選ばなければいけないので大変なのですが、そのときも「はい」とだけ言われました。実は「いやだ」と思われていたらどうしようと思っていましたが(笑)、池脇さんに受けていただいたことで、またひとつ私の夢が叶いました。

――――監督からの本作のオファーを受けたときの感想は?
池脇:私にとって新しい監督やスタッフ、キャストの方と出会うことも意味のあることですが、再び(現場に)呼ばれる、再び出会うということはどれほど大事で深い意味があるかをいつも思っているので、すごくうれしいことです。もちろん最初は台本をいただいて、すごくおもしろかったので出演しようと思ったのですが、それが呉監督だったので「また会えるんだ」と思い、すごくうれしかったです。

 

■久しぶりにこんなにすばらしい台本に出会えた。私の境遇とも全然違う過酷さを持っているのに、千夏の悩みや苦しみ、そこに生まれるちょっとした歓びもわかってしまう。(池脇)

――――作品で惹かれたポイントは?
池脇:あまり私は映画やドラマに出演していないのですが、台本を読む機会はよくあります。その中でも、久しぶりにこんなにすばらしい台本に出会えたと思いました。すごくイキイキとしていて、何も疑問が浮かばなかったです。みんなの軸がしっかり決まっていて、物語がきちんと進んでいき、いろいろ膨らませてくれ、ビジョンが浮かんでくるような、掻き立てられるものでした。ですから、余計に心揺さぶられる内容になっていて、「間違いなくおもしろいものになる。だから出よう。」と思いました。

――――千夏は自分の体で家族の生計を立て、寝たきりの父親の面倒も見る難しい役どころだが、どのような気持ちで演じたのか?
池脇:台本を読みながら、「こういう家族もいるよね」と思っていました。実際に(千夏のような家族が)いると思います。私の日常の傍にいるわけでもなければ、私の境遇とも全然違う過酷さを持っているのに、千夏の悩みや苦しみ、そこに生まれるちょっとした歓びもわかってしまうのです。「うれしいんだ、今」とか、「苦しい家族を支えていて、すごいな」とか。惹きこまれる小説は、ト書きの説明でどんどん入り込んでいくのですが、今回の千夏はその感覚に似ているのかもしれません。

 

■池脇さんは衣裳合わせに、「千夏」になって現れてくれた。(呉監督)

――――この作品を通して、池脇さんのどういう面を引き出したいと思ったのか?
監督:儚く放っておけない女というのはもちろん、30代の女が放つ大人の艶っぽさ、また「その町」でしか生きられない女の土着感、池脇さんはその全てを出してくれる人だと思いました。綾野さんとの肉感的な愛や、高橋和也さん演じる中島を放っておけない情、女の全てを出してほしいとお願いしました。また、30代女性を演じるにあたり、声をワントーン下げようと提案しました。
池脇: 「声を低く」とおっしゃっていましたね。すぐに高くなってしまうので、意識して低くしていました。
監督:どうしたら(池脇さんの)新しい部分が観られるのかと思い、これまでの映画など、とにかく池脇さんを探求しました。お会いする前に、スタイリストさんと「どんな服が似合うか」と打ち合わせしてから池脇さんとの顔合わせに臨みました。今回はラブシーンもあったので、衣裳合わせの前に二人きりで話をさせてもらう機会があり、その時に千夏のある程度のイメージを伝えました。「千夏は黒が似合うはず」とか、「髪は自分で染めていて、しかも海の潮で汚く抜けている」とか、具体的な話をしました。その数日後、池脇さんが衣裳合わせで登場したとき、黒い服を着て、髪を染めてきてくれ、「千夏がきた」と思わず泣きそうになりました。この物語は達夫目線で千夏を見ていくので、彼女がひとりよがりになってしまうと物語に感情移入できないし、ラブシーンにもついていけないという不安がありました。でも池脇さんのおかげで、そんな不安はいつの間にか消え去りました。

 

■決してハッピーエンドではないけれど、最後に“救い”を。(呉監督)

――――感動的で美しいラストシーンだが、最初からこのようなエンディングを決めていたのか?
監督:ラストシーンについては、色々なパターンを話し合いました。この作品は決してハッピーエンドではないけれど、ただ、だからこそ“救い”が必要だと考えていました。決して大きな“救い”ではないけれど、その瞬間、千夏は罪を犯さなくて済んだという「安堵」という意味での“救い”。千夏は、達夫のおかげで暗い夜を乗り越え、朝を迎えることができた。だから今日を、生きられる。まさにそれが『そこのみにて光輝く』というタイトルに結びつくのではないかと思っています。

 

■『そこのみにて光輝く』というタイトルを象徴するラストは、恥も何もない魂のシーン。(池脇)

――――池脇さんはどのような気持ちでラストシーンを演じたのか?
池脇:このラストは、「これが『そこのみにて光輝く』というタイトルを象徴しているな」と解釈しています。救いですよね。でも「そこでしか輝けない自分」というのも正直あり、私自身は恥も何もない魂のシーンだと思っています。たまに千夏は自分を卑下する癖があり、そうやって周りに対してバリアを張るのですが、あそこもまたひとつ「ね、バカでしょ」という千夏がいます。そこに抱きしめることもできない達夫がいて、二人が表れていたのかなと思います。
監督:タイトルの『そこのみにて光輝く』は千夏のことを言っているのではないかと思っています。「光輝く千夏」を見つめる達夫がいて、“そこ”というのは“底辺”という意味もあるのではないのでしょうか。
(江口由美)

tomodachito-550.jpg虫のオーディションまでした!?『友だちと歩こう』緒方明監督インタビュー

(2013年 日本 1時間29分)
監督:緒方明  脚本:青木研次  音楽:Coba
出演:上田耕一、高橋長英、斉藤陽一郎、松尾諭、山田キヌヲ、水澤紳悟、野沢寛子、林摩耶

2014年3月22日(土)~テアトル新宿、4月26日(土)~シネ・リーブル梅田、5月24日(土)~京都シネマ、近日~元町映画館、ほか全国順次公開

公式サイト⇒ http://www.tomodachito.com/
(C)「友だちと歩こう」プロジェクト

 



~「人が二人いたら友だちになれるし、歩けばそこが道になる」緒方明監督が照らし出す希望の道~

 地を這う虫にも追い越されるほど歩みの遅いジイさん二人と、人生に行き詰まり感のあるおバカな30代の男二人の道行を、軽妙なコメディ仕立ての小品4篇にまとめた映画『友だちと歩こう』。本作は、『独立少年合唱団』『いつか読書する日』『のりちゃんのり弁』など丁寧な人物描写で定評のある緒方明監督が、自らプロデューサーも務めた自主製作作品である。生涯脇役を自負していた上田耕一を始め、高橋長英、斉藤陽一郎や松尾諭などの名バイプレイヤーを起用して、誰かと共に歩くことの楽しい広がりを感じさせてくれる逸品となっている。

tomodachito-d1.jpg 最初は年に1本の短編を撮って後で短編集としてまとめるつもりが、本編第一話「煙草を買いに行く」を作ったら、上田耕一と高橋長英の芝居があまりにも面白かったので、もっと見たくなり続編を作ることにしたという。しかも1年も間をおいての撮影だったので、上田耕一も「短編だというから出演したのに、こんなに出番が多いなんて!」といつの間にか主役になっていた事に驚いたらしい。

 脚本家の青木研と相談して人物像を深めようとしたが、「一緒に道を歩くこと」にこだわり、それを基軸に友情を育んでいく物語に仕上げている。登場人物の多くを説明しなくても、会話の中でどんな人生を歩んできたか、人物像を浮かび上がらせる辺りはさすがに巧い。特に、力の抜け加減と的外れのツッコミで笑いを誘う斉藤陽一郎の存在がいい。上田耕一や高橋長英も同様だが、「もっとポテンシャルの高い、もっとセンターステージに立ってもらいたいと思う俳優さん」と緒方監督が認める役者たちの絶妙な間合いが、何とも心地いい。


  【STORY】
tomodachito-2.jpg第1話「煙草を買いに行く」
同じ団地に住む富男(上田耕一)と国雄(高橋長英)は、脳卒中の後遺症から不自由になった体を一所懸命動かしながら今日も一緒に煙草を買いに行く。歩く速度は虫に追い抜かれるほど遅い。途中自殺未遂をして松葉杖姿になった若い女性に出会い、連れもって歩く。若い女性のお尻を眺めながらニヤニヤするジイさんたちの姿が何とも微笑ましい。女性との別れ際に、「人類愛で言うけど、あんたのこと好きだよ~!」と声を掛ける。それとなく励ます富男の優しさがいい。

tomodachito-3.jpg第2話「赤い毛糸の犬」
喫茶店で店員に呆れられるほど稚拙な会話をするトガシ(斉藤陽一郎)とモウリ(松尾諭)。モウリは何を思ったか、トガシを連れて10年もほったらかしにしていた元妻サツキ(山田キヌヲ)に会いに行く。するとモウリが買ったという家には半年前から住んでいるという見知らぬ男(水澤紳吾)と7歳になる娘が居て、一緒にカレーを食べることになる。かつての夫婦らしく「あ・うん」の呼吸で動くモウリの姿が奇妙な空気を生み出す。

tomodachito-4.jpg第3話「1900年代のリンゴ」
いつものように一緒に煙草を買いに行こうと富男を待っていた国雄は、富男が部屋で倒れているのを発見する。代わりに一人で買い物に出掛けた国雄は、富男のなけなしの千円で煙草ではなくカップ酒を買ってしまい、土手で飲もうとして転げ落ちてしまう。翌朝草むらの中に埋もれていた国雄を発見した富男は、助けようと自分も土手の下へ行こうとするが……。死を覚悟して念仏唱えたり戒名を考えたりと、草むらの中の二人を捉えたシーンが面白い。

 

tomodachito-5.jpg第4話「道を歩けば」
久しぶりに年金が入った富男は、喫茶店で国雄にコーヒーをご馳走する。そこへモウリからの手紙を抱えたトガシがやってくる。だが、モウリの遺書ではないかと恐れて開封できない。それを見兼ねた店員が開封すると、手紙の中には……。

 

 
 


 老人と若者の関わり方が面白いが、その対比には手のクローズアップや歩く速度やそれぞれのエピソードなど、かなり意識的に工夫して撮ったようだ。「青木さんの脚本を基に、リハーサルを重ねて、一挙手一投足を決めて撮影に臨みました。特に、青木さんの脚本は文学的でかなりの想像力を要するので、スタッフ一同で声に出して読み込みました」。

tomodachito-d2.jpg 他にこだわりを感じたのは、「虫だけの担当を決めて、“命懸けでやれ!”というと、日本中の虫愛好家や研究所に問い合わせて、3月頃に道端を這うような虫を調べてきました」。さらに「虫愛好家に依頼して採集した虫をオーディションまでしたんです!?」(笑)。また、「脳梗塞の後遺症についても担当を決めて歩き方のリサーチをしました。この映画はお金はかかってないが、手間暇はかかっている!」と言うだけあって、こだわって撮ったシーンの濃さがはっきりと映像に現れているようだ。

 波の音について論議するファーストシーンから浜辺のラストシーンにつながる辺りも、「最後は海にしてほしい」という監督のリクエストからそうなったようだ。「浜辺は道がない。歩いた所が道になる。人が二人いたら友だちになれるし、歩けばそこが道になる。二人が歩いていく先には絶望があるかもしれないが、希望があるかもしれない。とにかく、二人で探しにいくことの意味を象徴したかった。」と、本作はシンプルな構成ながら不思議な余韻が残る映画となっている。

 低予算の自主製作映画、キャストやスタッフの熱意がなければ完成しなかっただろう。それでも細部にこだわり、役者の個性を活かして存在感を引き出す。30代の頃10年ほどドキュメンタリーを撮っていた時期があった緒方監督は、その頃培った撮影技術と映像で何を表現するかの基本的なものがその後役立ったという。「観客に、ちょっといい話だな、何となく得したな、と思って頂けるような1本になっていたら嬉しいです。」と、強面ではにかみながら語る様子は、まさに劇中「人類愛で言うけど、あんたのこと好きだよ~!」と自殺未遂した若い女性に声を掛ける優しい富雄に似ていた。

(河田 真喜子)

chisuru1.JPG『チスル』オ・ミヨル監督、コ・ヒョッチンプロデューサーインタビュー
(2012年 韓国 1時間48分)
監督:オ・ミヨル
出演:ヤン・ジョンウォン、イ・ギョンジュン他
2014年3月29日(土)~ユーロスペース、シネマート心斎橋、4月19日(土)~シネ・ヌーヴォ、4月12日~京都シネマ、元町映画館他全国順次公開。
公式サイト⇒http://www.u-picc.com/Jiseul/

※2013年サンダンス映画祭ワールドシネマ・グランプリ受賞
 2013年仏ヴュソル国際アジア映画祭 ゴールドサークル賞受賞
 2012年釜山国際映画祭4部門受賞
(C) 2012 Japari Film

「被害者の方が高齢化する中、被害を共有することは今しかできない。」オ・ミヨル監督
「国家権力による住民虐殺という事件が再び起こらないようにという想いを伝えたい。」コ・ヒョッチンプロデューサー

韓国現代史最大のタブーと言われた、南北に分断された朝鮮半島の済州島で起きた「済州島4・3事件」。済州島出身のオ・ミヨル監督が、1948年に3万人を超える島民が犠牲になった事件を独自の視点で描き出した『チスル』は、全編モノクロの映像で、時には滑稽さすら滲ませながら、洞窟にもぐりこみ軍人の攻撃から逃れて、ひたすら耐え続ける島人の姿をリリカルに綴る。

派手な戦争映画とは真逆のアプローチで、事実を露呈するというよりも、鎮魂の意味合いを込めて「済州島4・3事件」を描こうとしたオ・ミヨル監督。韓国の祭事方式に乗っ取り、4つのシークエンスで描かれており、特にラストの遺体や荒らされた家屋の後にハラハラと舞い落ちたお札が燃えて消えていく様子は、神聖さすら漂わせた。あってはならない無差別虐殺の悲劇を独特の表現で提示し、戦争映画を超えた静かな怒りを刻み付けたオ・ミヨル監督とコ・ヒョッチンプロデューサーに、本作制作の意図やその想いについて、話を伺った。


<最初のご挨拶>
オ・ミヨル監督(以下監督):今回『チスル』という映画の宣伝のため来日しました。『チスル』は韓国の済州島で起きた4・3事件を扱った映画で、まだ韓国の中では完全に解決をみていないテーマです。当時難を逃れて済州島から大阪に逃れてこられた方がたくさんおられるので、大阪で上映されるのは意味があることではないでしょうか。 

――――韓国内でもタブーだったということですが、済州島以外の人は4・3事件のことを今までほとんど知られていなかったのでしょうか? 
監督:歴史的な事実として、学校現場で教育を受けた経験がないので、そういう問題について関心を持ち、自分で探さない限りは4・3事件のことは分からないような状況です。

――――監督が4・3事件を描こうとしたきっかけは何ですか?
監督:今までの作品は全て済州島に関わるものを作ってきました。私にとって、当然いつかは扱わなければならない問題だと自分の中でずっと温めていたので、今回作ることになったのです。

――――インディペンデント系の作品でありながら韓国国内でもヒットを記録し、今まで事件のことを知らなかった人にも作品を観ていただけたと思いますが、どのような反響がありましたか?
監督:映画によって4・3事件の事実を知るようになった人は非常に多かったと思います。今でも独立映画系の中では色々な分野で賞をいただいています。理念を超えて、作品として肯定的な評価をいただいていると思います。

chisuru3.jpg――――被害者の方が高齢化し、証言を聞くのが難しい状況だからこそ、残していかなければいけない使命のようなものを念頭に置いていたのですか?
監督:まさにその通りです。被害者の方が高齢化する中、被害を共有することは今しかできません。そういう点でもこの作品を撮ることは意味がありました。韓国で被害に遭われた象徴的な方います。銃撃であごの骨がくだけてしまい、下あごの骨がなくてダランと下がってしまう。だから絶対に人前でご飯を食べないで、木綿のてぬぐいで顔を保護していたおばさんが数年前に亡くなったのです。恨みを抱いたまま亡くなっていく木綿のおばさんを見て、芸術家として何かできないかという想いも一つありました。

――――はじめて映画で4・3事件を描くにあたって、難しかった点はありましたか?
コ・ヒョッチンプロデューサー(以下ヒョッチンP): 『チスル』には「終わらない歳月2」という副題がついています。実は、本作の前に私の先輩にあたるキム・ ギョンリュル監督の『終わらない歳月1』という作品があったのですが、全てを描ききれぬままギョンリュル監督は5年ほど前に亡くなったのです。本作は、その遺志を継ぐ形で作りました。ギョンリュル監督が作ったパート1は韓国社会ではあまり受け入れられず、非常に敗北感を味わった経緯があったので、パート2を作るにあたっては、それをどのように乗り越えるのかが大きなテーマでした。
監督:キム・ギョンリュル監督を本作の総製作者と呼び、ギョンリュル監督は亡くなった者としての立場で、そして私たちは生きている者としての立場で映画を作るという、両者が協力しあうという形にしました。
ヒョッチンP:韓国社会はイ・ミョンバク大統領になってから非常に右翼化し、4・3事件が非常に肯定的な評価になってきたことに危機感を抱くようになりました。なんとかしなければということ想いから、オ・ミヨル監督と意気投合し、パート2でもある『チスル』を作ったのです。

――――今回は済州島出身の方でキャストやスタッフを揃えたそうですが、それは本作のこだわりでもあるのでしょうか?
監督:軍人だけは陸地の人が演じていますが、今回の映画の重要な部分は済州島の方言なのです。この方言は本土の人はほとんど使えません。陸地の人と済州島の人の大きな違いは4・3事件に対する見方です。陸地の人は映画を作るためにこのテーマを取り上げますが、済州島の人は4・3事件の意味のためにこの映画を作る。陸地の俳優と済州島の俳優ではどうしても想いがちがうので、済州島の俳優にこだわりました。

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――――実際に虐殺から逃れるため島人が逃げ込んだ洞窟を使って撮影している印象的なシーンでは、島人たちの滑稽にも見えるやり取りや、演劇的な見せ方をするなど、かなりオリジナリティーを感じる演出がされているように見えました。
監督:本来私は台本に頼らず、その時の空間の雰囲気で場面を設定するような手法をとっています。撮影当日洞窟に入ってみると、あちこちに石ころがあったのです。その石ころがちょうど村人が座っているかのように見え、台本を全部作り変えてあのシーンを撮影しました。住民たち役も今まで練習したのと全く違うことをしたので、ワンシーンを撮るのに一日かかりました。

――――長廻しでアドリブのような演出をしていますね。
監督:私は出演者に対し、台本を持ってこないように言っています。その日自分が何をするのかだけを頭に入れておけばいいのです。出演者に任せて、トラブルがあれば修正したりしながら、会話は出演者のその場の流れに任せています。出演者たちが自らの言葉で語れるように仕向けています。

――――韓国映画で戦争を扱ったものといえば、派手な銃撃戦やむごたらしい風景を観る前は想像していましたが、本作は逆に映像の美しさに圧倒されました。
監督:韓国でも怖がる人は多いです。感情の表現が怖いと感じる人もいるようです。戦争を扱うにあたって、視覚的な描写よりも感情的な描写に重きを置きました。風景が美しいというのは、美しく撮るというより済州島そのものが美しいのです。

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――――悲惨なことを描くときにフルカラーで見せた方が迫力を出せる気がしますが、白黒のあえて抑えたトーンにこだわったのはなぜですか?
監督:済州島に来る観光客は、済州島は美しいと思って訪れるわけですが、そういう人たちの心を一度消してしまいたいという想いで、あえてカラーを使わず白黒にしました。祭事を進行する形式で映画を作っているので、黒い服を着て行うという点でモノトーンが重要なテーマとなっているのです。

――――韓国では複数回鑑賞されている方が多いそうですね。
監督:済州島に関する詩集を書いている韓国で非常に有名な詩人、イ・センジンさんが6回観てくれました。そして映画を観た所感を何編もの詩にしてくれました。映画で登場した洞窟も訪れています。その方々が何度も本作を観るのは、4・3事件という事実を共有できなかったという心の痛みがあり、その事実を埋めるために何度も観に訪れているのではないでしょうか。

――――最後にメッセージをお願いいたします。
ヒョッチンP:済州島で実際に起きた事件を扱った映画ではありますが、戦争についても語っており、共感していただける部分もあると思います。国家権力による住民虐殺という事件が再び起こらないようにという想いが伝わればうれしいです。
監督:私は劇団の公演でよく日本に来ており、日本人は大好きです。日本政府や韓国政府にはちょっと違った感情を持ってはいますが。この映画は人間を扱ったドラマですので、国と国の境を越えて、同じ人間として観ていただければと思います。
(江口由美)

wow-ivent-550.jpgファン騒然!マスコミ殺到! 金吹雪が舞う熱狂のジャパンプレミア!!
レオナルド・ディカプリオ、マーティン・スコセッシ監督、ジョナ・ヒルが登場!

本年度アカデミー賞主要5部門ノミネート!
作品賞・主演男優賞レオナルド・ディカプリオ・監督賞・助演男優賞・脚色賞
本年度ゴールデン・グローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)レオナルド・ディカプリオ

 本年度アカデミー賞主要5部門にノミネート、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞受賞のレオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督が5度目のタッグを組む『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(1月31日(金)公開/パラマウント配給)の公開に先駆け、主演のレオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マーティン・スコセッシ監督が緊急来日し、いずれもアカミー賞にノミネートされている3人がそろったジャパンプレミアを開催いたしました。ハリウッドで今一番ホットな3人が揃うとあって、ファングリーティングに200人、舞台挨拶に640人との駆け付けたファンが真冬の寒さを吹き飛ばすような熱狂的な盛り上がりを見せました。


 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』ジャパンプレミアイベント
◆日程:1月28日(火) ◆会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズ
◆ゲスト:レオナルド・ディカプリオ(主演・製作)、ジョナ・ヒル、マーティン・スコセッシ(監督・製作)


wow-ivent-3.jpg企画・製作から完成までおよそ8年という長い年月をかけ全力で挑んだ本作を最後に、しばらくの休業に入ると発表しているディカプリオの姿を一目見ようと、本作をイメージしたイエローカーペットには約200名のファンがつめかけた。特製の黄色いウルフ・オブ・ウォールストリートTシャツや黄色い横断幕など手作りしたグッズを持ったファンの姿も。いずれもアカデミー賞にノミネートされているディカプリオ、ジョナ・ヒル、スコセッシ監督が登壇すると、待ちわびたファンの「レオー!ウェルカムジャパーン!!」という掛け声や歓声で埋め尽くされました。レオやジョナ・ヒル、スコセッシ監督は寒空の下ずっと待っていたファンたちに丁寧にサインをしながらファンサービスを行い大いに盛り上がりました。

 

wow-ivent-2.jpg続く舞台挨拶では満席の約640名のファンが作品名の書かれた黄色いスティックバルーンを両手に盛大にお出迎え!さらには近年まれにみるほどの約250名という多数のマスコミが舞台前で待ち構え、彼らが登場するやいなや無数のフラッシュが檀上を照らしました。黄色に染まった会場の大きな歓声に笑顔で応えたディカプリオは、本作がアカデミー賞の主要5部門にノミネートされていることについて「本当に光栄だよ!僕自身とても情熱を注いだ作品だから、アカデミーがこの作品を認めてくれたという事だけでも十分満足だ。この作品を作れたというだけでもう賞を取ったような気分さ!」とコメント。さらに、貯金ゼロから年収49億円を稼ぎ、“ウォール街のウルフ”と呼ばれた主人公の役どころついて「僕の演じるキャラクターはとても下劣なキャラクターだ。この人物は時代の産物だからこそ、独創的でユニークなものにしたいと思って演じたよ」と語りました。ディカプリオの相棒役で、今回が初来日のジョナ・ヒルは日本での印象を「日本のファッションも芸術も日本食も大ファンだったから、今回の来日をすごく楽しみにしていたんだ!博物館や美術館や京都にも行ってみたいし、次郎の寿司も食べたいな!」と大興奮。本作で、映画化を熱望したディカプリからの説得を受け監督を引き受けたというスコセッシは「レオも私もキャラクターを自由に表現するということにこだわっていたよ。何でもアリなキャラクターを自由に表現することで、演技のうえではさらに高いレベルを目指すことがでたと思っているよ。」と語り、映画界最強タッグの関係をみせつけました。最後は客席をバックにフォトセッション。客席に移動する最中も終始ご機嫌のレオは、歓声を上げるファンを自らの携帯カメラで撮影しながらファンに握手などで応えました。最後にはファンの掛け声とともに大きなキャノン砲の演出が!ウルフカラーの金吹雪が会場内に舞い上がり、ディカプリオが演じた、どんちゃん騒ぎが大好きな破天荒キャラが開くパーティさながらの大盛りあがりとなりました !
今まさにアカデミー賞にノミネートされている3人が日本の公開前に駆けつけるという2度とない絶好の機会に、集まったファン640名がディカプリオらとの時間に酔いしれました !


 WOW-2.jpgダイナミックな成功とセンセーショナルな破滅を描く、仰天人生エンタテインメント!
貯金ゼロから26歳で証券会社を設立、年収49億円(4900万ドル)を稼ぎ出し、誰も思いつかないアイディアと一瞬にして心をつかむ話術で成功。常識を超えた金遣いで世間の度肝を抜き、ダイナミックな成功と同じくらいセンセーショナルな破滅をたどった男、<ウォール街のウルフ>と呼ばれたジョーダン・ベルフォートの実話。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 原題:THE WOLF OF WALL STREET 全米公開:12月25日 公式サイト:www.wolfofwallstreet.jp
監督:マーティン・スコセッシ 製作:マーティン・スコセッシ 、レオナルド・ディカプリオ 原作:ジョーダン・ベルフォート著 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(ハヤカワ・ノンフィクション)
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マシュー・マコノヒー、マーゴット・ロビー、ジャン・デュジャルダン、ロブ・ライナー、ジョン・ファヴロー、カイル・チャンドラー
※レイティング: 18歳以上がご覧になれます © 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
1月31日(金) 全国ロードショー!

 

「おおさかシネマフェスティバル2014」開催~ 映画ファンのための映画まつり ~
◆主演女優賞に赤木春恵さん(出席)
◆ 『ペコロスの母に会いに行く』(主演女優賞)受賞記念上映
◆『旅立ちの島唄~十五の春~』(脚本賞)受賞記念上映

春恒例の「おおさかシネマフェスティバル2014」を今年も3月2日(日曜日)に大阪歴史博物館にて開催される。前身の「おおさか映画祭」以来の恒例行事であり、当フェスティバル最大のイベント「2013年度ベストテンおよび個人賞」が下記の通り発表された。

赤木春恵.jpg主演女優賞に、芸歴75年に及ぶ日本映画界の大ベテランにして『ペコロスの母に会いに行く』で映画初主演を果たした赤木春恵のほか、主演男優賞に『横道世之介』『武士の献立』『千年の愉楽』など6本(アニメ含む)に出演し大車輪の活躍を見せた高良健吾、助演女優賞にベストテン1位の『凶悪』で印象的な演技を見せたほか、5作品に出演した演技派・池脇千鶴、『ペコロスの母に会いに行く』の原田貴和子、助演男優賞には『旅立ちの島唄~十五の春~』『舟を編む』などに出演のベテラン小林薫、新人賞には『少年H』でタイトルロールを務めた吉岡竜輝、大阪映画『ソウル・フラワー・トレイン』で鮮烈な印象を残した咲世子らの豪華な顔ぶれが勢ぞろい。

監督賞には東映京都撮影所で格調高い時代劇『利休にたずねよ』を撮った田中光敏監督、脚本賞に『旅立ちの島唄~十五の春~』の吉田康弘監督、撮影賞に『許されざる者』『人類資金』の笠松則通、音楽賞に異色の音楽映画『フラッシュバックメモリーズ 3D』のGOMA、新人監督賞には『ソウル・フラワー・トレイン』の西尾孔志ら、活躍著しい大阪および関西ゆかりの映画人、アーティストがそろった。
また、受賞記念上映として午前中に脚本賞に輝いた『旅立ちの島唄~十五の春~』を、表彰式後には主演女優賞を受賞したベストテン2位作品『ペコロスの母に会いに行く』を上映予定だ。浜村淳さんによるベストテン表彰式の受賞者とのトークも人気の、大阪・関西の映画ファンが集う春の映画祭り。授賞式も特別上映も楽しめる貴重な機会だ。チケットは2月8日(土)10:00より、チケットぴあにて販売される。詳細は以下のとおり。

●おおさかシネマフェスティバル2014開催概要
ベストテン発表&表彰式および受賞記念作品上映、多彩なゲストを迎えて開催する映画のお祭り!
■日時:2014年3月2日(日)10時スタート(9時30分開場)
■会場:大阪歴史博物館4階講堂(大阪市中央区大手前4-1-32 TEL 06-6946-5728) 
   地下鉄谷町線・中央線「谷町四丁目駅」2号・9号出口(NHK大阪放送会館隣)
■料金:1日通し券 前売2800円/当日3000円(※全指定席)
■チケット発売:2月8日(土)10時~/Pコード552-506
(電話予約:0570-02-9999 HP:
http://pia.jp/t/oaff/
■映画祭公式ホームページ:
http://www.oaff.jp
■スケジュール
09:30~ 開場
10:00~ 開演(委員長あいさつ)
10:05~ 脚本賞受賞記念『旅立ちの島唄~十五の春~』(監督・脚本:吉田康弘)上映(114分)
     (休憩60分)
13:00~ ベストテン発表&表彰式(~14:20予定)
     (休憩20分)
14:40~ 主演女優賞受賞記念『ペコロスの母に会いに行く』(監督:森﨑東)上映(113分)

     (終了16:35予定)


【ベストテンおよび受賞結果】

■日本映画部門
1位 凶悪
2位 ペコロスの母に会いに行く
3位 舟を編む
4位 かぐや姫の物語
5位 横道世之介
6位 永遠の0
6位 さよなら渓谷
8位 風立ちぬ
8位 そして父になる
10位 藁の楯

■外国映画部門
1位 ゼロ・グラビティ
2位 愛、アムール
3位 ジャンゴ 繋がれざる者
4位 ザ・マスター
5位 ゼロ・ダーク・サーティ
6位 セデック・バレ
7位 嘆きのピエタ
8位 シュガーマン 奇跡に愛された男
9位 終戦のエンペラー
10位 キャプテン・フィリップス
10位 パシフィック・リム
※日本映画は6位と8位が同得票、外国映画は10位が同得票

■個人賞(外国映画部門)
監督賞 アルフォンソ・キュアロン(『ゼロ・グラビティ』)
主演女優賞 サンドラ・ブロック(『ゼロ・グラビティ』)
主演男優賞 ホアキン・フェニックス(『ザ・マスター』)
助演女優賞 ニコール・キッドマン(『ペーパーボーイ 真夏の引力』)
助演男優賞 クリストフ・ヴァルツ(『ジャンゴ 繋がれざる者』)

■個人賞(日本映画部門)


 主演女優賞 赤木春恵 (『ペコロスの母に会いに行く』)
【受賞の言葉】おおさかシネマフェスティバルにおいて主演女優賞を頂けましたこと心から嬉しく思っております。70数年前京都で映画女優としてスタートし、ラジオ、試験放送の時代のテレビと、大阪の地には思い出がたくさん溢れるほどです。
『ペコロスの母に会いに行く』は私の原点である映画に再びめぐり逢うことのできた作品でした。映画の現場を愛する気持ちが、映画の神様に届いたのかしら!と思います。

【略歴】1924年、旧満州生まれ。40年、松竹にニューフェースとして入社、43年に大映、48年東映移籍、59年森繁劇団に参加するとともにフリーとして活動。舞台、テレビ、映画と幅広く活躍。87年、第13回菊田一夫演劇賞受賞。93年、紫綬褒章、98年、勲四等寶冠章受章。99年橋田文化財団特別賞。テレビの代表作は「3年B組金八先生」「渡る世間は鬼ばかり」など。映画は61年『宮本武蔵』、73年『野良犬』、80年『二百三高地』。昨年の『ペコロスの母~』は初主演映画。11年に舞台からの引退を公表。


 高良健吾.jpg主演男優賞 高良健吾 (『横道世之介』『武士の献立』『千年の愉楽』ほか)
【受賞の言葉】今回おおさかシネマフェスティバルで主演男優賞をいただけると聞き、嬉しいです。横道世之介で演れた事、武士の献立で演れた事、もちろんその逆も。一つ一つの現場でしか感じられない事を大切にしていきたいなと思います。やっぱ。僕は本当に役に気づかされる事が多く、役に感謝っす。横道世之介、武士の献立に関わったみんなのおかげです。代表してもらいまーす。の気持ちです。日々、精進します。ありがとうございます。

【略歴】1987年11月12日、熊本県熊本市出身。06年公開の『ハリヨの夏』で映画デビュー。07年の『M』で第19回東京国際映画祭〝日本映画・ある視点〟部門特別賞受賞。以降、映画を中心に数々の作品に出演。10年に『ソラニン』『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』『おにいちゃんのハナビ』で第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞受賞。11年『軽蔑』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞、12年『苦役列車』では同賞助演男優賞受賞。昨年は『きいろいゾウ』(声)『横道世之介』『県庁おもてなし課』『千年の愉楽』『潔く柔く』『ルームメイト』『ジ・エクストリーム、スキヤキ』『かぐや姫の物語』(声)『武士の献立』とさまざまなジャンルに出演。今後の公開作品に『私の男』『まほろ駅前協奏曲』がある。
 

池脇千鶴.jpgのサムネイル画像助演女優賞 池脇千鶴 (『舟を編む』『爆心 長崎の空』『凶悪』『くじけないで』『潔く柔く きよくやわく』)
【受賞の言葉】今回、このような賞をいただき、うれしく、そしてとても驚いています。助演賞という名に値する程の印象を残せたのだろうか? いえ、きっと違います。素晴らしい作品たちに恵まれたこと。そしてそれによって、地味だけれど大切な仕事を忘れないでいて下さったのだと思います。新人賞の時のことはさっぱり覚えていませんが(笑)、また、おおさか映画祭に行けることを楽しみにしています。本当にありがとうございます。
【略歴】1981年11月21日、大阪府出身。97年三井のリハウスガールオーディションで、市川準監督に見出され芸能界デビュー。99年、市川監督の映画『大阪物語』で沢田研二、田中裕子が演じる夫婦漫才師の娘役でキネマ旬報新人女優賞など数多くの賞を受賞。04年犬童一心監督『ジョゼと虎と魚たち』で演技派女優として高く評価され、日本映画になくてはならない存在になっている。昨年はジャンルの異なる5本の映画に出演した。2014年は『神様のカルテ2』と『そこのみにて光輝く』の公開が控えている。

 

原田貴和子.jpgのサムネイル画像助演女優賞 原田貴和子 (『ペコロスの母に会いに行く』)
【受賞の言葉】私の故郷長崎で生まれた映画『ペコロスの母に会いに行く』。たくさんの方々に共感して頂いたことをとても嬉しく思います。私自身原作を読んで、たくさんの愛と勇気をもらいました。どんなことがあっても生きていくことの大切さや命の尊さを、あらためて感じました。頂いた賞を励みにこれからも心を磨いていきたいと思います。

【略歴】長崎県長崎市出身。1986年、大林宣彦監督の角川映画『彼のオートバイ、彼女の島』で映画主演デビュー。本映画祭前身の第12回おおさか映画祭主演女優賞を受賞したほか、第8回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞などを受賞する。妹の原田知世とも87年馬場康夫監督『私をスキーに連れてって』、93年鈴木清順監督『結婚』で共演、本映画でも20年ぶりに姉妹での共演をしている。近年の出演作品に89年長崎俊一監督『誘惑者』、06年、奥田瑛ニ監督『長い散歩』、08年、岩松了監督『たみおのしあわせ』などがある。

 

小林薫.jpg助演男優賞 小林薫 (『旅立ちの島唄~十五の春』『舟を編む』『夏の終り』)
【受賞の言葉】南大東島っていう耳慣れない島での撮影でした。絶海の孤島で船は港に接岸できません。日本三大貧乏プロデューサーの一人は「昨年度NO1の映画やで」と誉めてくれました。どちらにしても、吉田監督の人柄と執念で完成した作品です。ぜひご高覧下さい。

【略歴】1951年9月4日、京都市生まれ。71~80年まで唐十郎主宰の状況劇場に在籍。退団後、映画、ドラマ、舞台、CMなどで幅広く活躍。85年森田芳光監督『それから』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、99年、滝田洋二郎監督『秘密』で同賞主演男優賞、07年松岡錠司監督『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』でも同賞助演男優賞を受賞。昨年は石井裕也監督『舟を編む』、熊切和嘉監督『夏の終り』に『旅立ちの島唄』と立て続けに出演した。

 

咲世子.jpg新人女優賞 咲世子 (『ソウル・フラワー・トレイン』)
【受賞の言葉】とてもとても驚いてます。こんな素敵な賞を頂けたこと、本当に光栄に思います。気付けば女優を夢見て大阪から上京し5年が経ちました。お芝居に対して悩んで立ち止まることも沢山ありました。悩みながら進んだ一つがこの作品でもあり、監督や共演者の方々と話をして悩みを埋めていき、作品を作るという楽しさを知った機会でもありました。この作品に出会えたことに心から感謝します。

【略歴】1990年7月4日生まれ。大阪府出身。10代の頃にティーンファッション誌のモデルとして活躍。上京後は女優業を軸として活動。主な出演作品は、映画『クローズZEROⅡ』(09年)、『ランウェイ☆ビート』(11年)、『ツナグ』(12年)。ドラマ「サムライハイスクール」(NTV系)、「私が恋愛できない理由」(CX系)、「ネオ・ウルトラQ」(WOWOW)ほか。清潔感あるキャラクターでのCMも活躍も目立つ。今作はオーディションでヒロイン役を射止め、自身の代表作となる。
 

吉岡竜輝.jpg新人男優賞 吉岡竜輝 (『少年H』)
【受賞の言葉】この様な栄誉ある賞をいただけてとてもうれしいです。この賞をいただけたのは、僕の力だけではなくいろいろな方々に助けていただいたおかげです。これからも、これでよしとせずに前へ一歩一歩踏み出して行きたいと思います。僕は、この映画で多くの事を学び、そして多くの初めてを体験しました。初映画、初海外、初めてクランクアップで泣いた事。これからもいろいろな初めてを体験して、成長して行きたいです。そのチャンスを僕に下さい!!(笑)

【略歴】2000年10月15日、兵庫県出身。松竹芸能所属。子役としてデビュー。舞台では07年京都・南座の「義経千本桜 すし屋」をはじめ、大阪・松竹座で09年「実盛物語」、12年「さよなら御園座 五木ひろし公演(御園座)」、13年「吉本百年物語3月公演(なんばグランド花月)」に出演。NHK朝ドラ「カーネーション」に、主人公の幼なじみ安岡勘助の少年時代を演じて注目され、翌年「浪花少年探偵団」にも出演。映画『少年H』では主役の水谷豊、伊藤蘭夫婦の息子というタイトルロールで主演。第38回報知映画賞新人賞を獲得。第87回キネマ旬報ベスト・テン。新人男優賞。第37回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞も決まっている。

 

監督賞 田中光敏(『利休にたずねよ』)
【受賞の言葉】市川海老蔵さん、中谷美紀さんをはじめとする素晴らしい役者の方々、そして歴史を持つ京都東映撮影所のスタッフの皆さんたちと一緒に仕事をすることができ、幸せでした。素晴らしい原作と出会い、素晴らしい役者の方々、スタッフ、そしてこの映画を観て下さった多くの方々に見守られていただいた賞だと思っています。本当に嬉しい賞を有難うございました。

 【略歴】1958年、北海道出身。大阪芸術大学卒業後、電通映画社(現在電通テック)、テレビマンユニオンCMを経て、’84年(株)クリエイターズユニオンを設立。CMディレクターとして数多くの作品を手がけ、ACC賞、日本放送連盟賞など多数受賞。01年「 化粧師 」で映画監督デビュー。03年さだまさし原作「 精霊流し」で日本映画復興賞・奨励賞を受賞。09年「 火天の城」第33回日本アカデミー賞美術賞優秀賞受賞。第4作目の第140回直木賞受賞作(山本兼一著)「利休にたずねよ」を監督し、第37回モントリオール世界映画祭最優秀芸術貢献賞、第30回山路ふみ子文化賞、第37回日本アカデミー賞優秀作品賞受賞。

脚本賞 吉田康弘(『旅立ちの島唄~十五の春~』)
【受賞の言葉】映画を図るスケールが大小だけではなく、強弱もあると信じて、強い気持ちで挑みました。シナリオ創りの過程で、取材に応えて下さった南大東島の皆さまに改めて感謝します。これからもオリジナル作品に挑戦していきたいです。6年前に新人監督賞を頂き、今回は脚本賞を頂けたので、次は作品賞を目指して頑張ります。

【略歴】1979年大阪府出身。同志社大学卒業後、なんばクリエイターファクトリー映像コースで井筒和幸監督に学ぶ。同監督作品『ゲロッパ!』(03)の現場に半ば押しかけるように見習いとして参加し、映画の世界へ。助監督しての経験を積んで、07年、石田卓也、大竹しのぶ主演の『キトキト!』で監督デビューし、型破りな母子の物語として話題になった。昨年は、三吉彩花主演、大竹しのぶ、小林薫出演の『旅立ちの島唄~十五の春~』と、福士蒼汰主演の『江ノ島プリズム』を続けて公開。今年は野村周平主演『クジラのいた夏』を春に控えている。脚本家としても活躍しており、井筒和幸監督作品『ヒーローショー』(10)、『黄金を抱いて翔べ』(12)では脚本を担当している。

撮影賞 笠松則通(『許されざる者』『人類資金』)
【受賞の言葉】この度は名誉ある賞に選んで頂いてありがとう御座います。『許されざる者』は北海道の晩秋から初冬にかけての厳しい自然と戦いながら、スタッフキャストが一丸となって撮り切った感があります。決して勝ち戦ではなかったかもしれませんが、自分としてはキャメラマンとして本分を全う出来たと思っています。『人類資金』は私にとって初となるデジタルカメラでの撮影と、ニューヨーク、ロシア、タイそして国内と4カ国をほぼひと月で撮りきるという強行軍でしたが、内外の優秀なスタッフのお陰で撮影完遂出来た事を改めてこの場をお借りして感謝致します。

【略歴】1957年愛知県生まれ。80年『狂い咲きサンダーロード』(石井聰互監督、現在は岳龍)でキャメラマンデビュー。その後82年『爆裂都市』(石井岳龍監督)89年『どついたるねん』(阪本順治監督)90年『バタアシ金魚』(松岡錠司監督)では第16回おおさか映画祭撮影賞受賞。その他の作品に『夜がまた来る』(石井隆監督)『顔』『KT』『闇の子供たち』『大鹿村騒動記』(以上阪本順治監督)『青い春』(豊田利晃監督)『赤目四十八瀧心中未遂』(荒戸源次郎監督)『いつか読書する日』(緒方明監督)『東京タワー、オカンとボクと、時々オトン』(松岡錠司監督)『悪人』(李相日監督)など

音楽賞 GOMA(『フラッシュバックメモリーズ 3D』)
【受賞の言葉】映画が完成するまでの僕は人生を諦めかけていました。しかし最近はあの日があったからこそ今があるんだと人生2回目のスタート台に立つ自分がいます。大阪人としてこの賞を頂けた事本当に誇りに思います。これを励みに諦める事なくチャレンジを続けたいと思います。ありがとうございました!

【略歴】1973年大阪府生まれ。オーストラリアアボリジニの管楽器ディジュリドゥの奏者・画家。98年アボリジニの聖地アーネムランドにて開催された「バルンガディジュリドゥコ ンペティション」にて準優勝。ノンアボリジニープレイヤーとして初受賞という快挙を遂げる。09年交通事故に遭い高次脳機能障害の症状が後遺し外傷性脳損傷と診断され活動を休止。事故後まもなく突然描き始めた緻密な点描画が評価され2010年夏に初の個展を開催。2011年フジロックフェスティバ ルにて再起不能と言われた事故から苦難を乗り越え音楽活動を再開。2012年GOMAを主人公とする映画『フラッシュバックメモリーズ 3D』が東京国際映画祭にて観客賞を受賞。2013年全州国際映画祭でNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞 www.gomaweb.net

新人監督賞 西尾孔志(『ソウル・フラワー・トレイン』)
【受賞の言葉】大阪生まれの大阪育ちに見えないと言われるほど、大阪への反抗期が長く続きましたが、30代も終りに来てコテコテ笑いと浪花節を素直に受け入れられるようになりました。この賞を頂けた事で、やっと大人の大阪人の仲間入りができた気がします。ほんまに誇りに思います!めっちゃ嬉しい!

【略歴】1974年大阪生まれ、映画監督。10代の頃に京都の撮影所で録音見習いとして働き、深作欣二ら黄金期の監督たちの現場を体験。20代からビジュアルアーツ大阪で学び、自主制作映画『ナショナルアンセム』が映画監督・黒沢清や作家の中原昌也らから高い評価を得て、シネアスト・オーガニゼーション・大阪エキシビション(略称CO2)で第一回シネアスト大阪市長賞(グランプリ)受賞。その後、数本の短編映画を撮るかたわら、CO2の運営ディレクターを4年間務め、全国的映画祭へと成長させる。現在も監督をしながら、大学や専門学校で講師を務め、関西映画シーンの育成にも情熱を傾ける。

  

hikarinifureru-b550.jpgホアン・ユィシアンによる生演奏♪『光にふれる』心洗われる舞台挨拶

  2014年1月17日(金)20:30~梅田スカイビル36Fスカイルームにて

原題:逆行飛翔(英題:TOUCH OF THE LIGHT)
(2012年 台湾・香港・中国 1時間50分)
監督:チャン・ロンジー
出演:ホアン・ユィシアン、サンドリーナ・ピンナ(『ヤンヤン』『ミャオミャオ』)、リー・リエ(『インターネット・ラブ・レターズ』、『モンガに散る』をプロデュース)、ファンイー・シュウ

2014年2月8日(土)~シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 ほか全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら

★公式サイト⇒ http://hikari-fureru.jp/

(C)2012 Block 2 Pictures Inc. All rights reserved.


~ホアン・ユィシアンが奏でる優しい音色に包まれる幸福感~


 

hikarinifureru-1.jpg台湾の視覚障害者のピアニスト:ホアン・ユィシアンが、家族の元から旅立ち、トラウマをのり越え夢を実現するまでを描いた感動作『光にふれる』が、2月8日(土)から全国で公開される。ウォン・カーワイが見出した台湾の期待の星:チャン・ロンシー監督の瑞々しい感性が、まさにホアン・ユィシアンという純粋なアーティストの放つ光を余すところなくスクリーンで輝かせている。なんと言っても、ホアン・ユィシアン本人が主演しているのが驚きだ。

母親役のベテラン女優リー・リエの、目の不自由な息子の自立を心配しながらも背中を押す母心に、この作品の持つ謙虚な心情の温もりが滲む。また、厳しい現状からダンサーとしての夢を諦めずに挑戦するシャオジェを演じたサンドリーナ・ピンナの、しなやかな美しさと、ホアン・ユィシアンの音楽に共鳴する表現力に魅了される。この映画のために書き下ろしたホアン・ユィシアンが作曲した音楽にも心洗われるようだ。

hikarinifureru-b3.jpgそのホアン・ユィシアンが、公開を前に来日。ここ大阪でも、試写会後の舞台挨拶の際にピアノ演奏をプレゼントしてくれた。1曲目は『光にふれる』組曲、そして、2曲目は、この日が阪神・淡路大震災の19年目ということで、追悼の意を込めて坂本九のヒット曲「上を向いて歩こう」を演奏。「一緒に歌って下さい」というホアン・ユィシアンの声に応じて、会場から歌声が響いた。「元気を出して下さい」という優しい励ましの気持ちが嬉しくて、思わず熱いものがこみ上げた。会場全体が、感動的映画と共にホアン・ユィシアンというピアニストの優しさにふれて、幸せな気分に包まれた。

以下は、ホアン・ユィシアンの挨拶の模様を紹介しています。


 

――― はじめに。
初めて大阪に来ました。みなさんにお会いできて嬉しいです。私が主演した映画を日本でも見て頂けてとても嬉しいです。気に入って頂けたら光栄です。

hikarinifureru-b2.jpg――― 自分を演じた感想は?
私の人生を基にしていますが、かなりの部分がフィクションです。例えば家族と一緒にいるシーンなど、特に母親役のリー・リエさんとのシーンでは緊張して演じました。初めての経験で難しかったのですが、いい勉強になり収穫もありました。

――― 昨年7月には東北でチャリティコンサートをされましたが?
私の音楽で被災地の皆さんを少しでも元気にできるのではと思いました。東北地方はとても美しい所だと聞いています。再び美しい故郷に自信が持てるように、復興が順調に進むことを願っています。

――― 映画は「夢をあきらめないで」がテーマですが、ホアンさんのさらなる夢は?
人間の一生は絶えず学ぶことだと思います。これからも学んでいき、さらに音楽の道をつき進み、いい音楽を創り上げたい。そして、皆さんとその喜びを分かち合いたいです。


hikarinifureru-b1.jpg(あとがき)
この日のMCはFM-COCOLOのMEMEさん。19年前、阪神・淡路大震災の際に外国人への情報発信ラジオとして立ちあがったFM局の経緯や当時の想いを語ってくれた。私も当時、神戸市中山手通に住んでいて被災したひとりだったので、MEMEさんのひとつひとつの言葉が心に沁みた。

また、演奏中も撮影OKということだったが、ホアン・ユィシアンさんの柔らかく優しいピアノの音色が聴こえてくると、シャッターを切る気にはなれなかった。たちまちその音色に吸い込まれ、心が幸福感で満たされ、静かにそのひとときを過ごしたい、と体がそう反応したのだ。映画『光にふれる』にふさわしい感動的なイベントに参加できて、本当にラッキーだった。

(河田 真喜子)

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