「京都」と一致するもの

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「京都は時代劇を撮るためのプロがいる場所」無声映画時代に活躍した活動弁士の悲喜こもごもを描く周防正行監督最新作『カツベン!』で、第11回京都ヒストリカ国際映画祭開幕!
(2019.10.26 京都文化博物館)
登壇者:桝井省志氏(『カツベン!』企画)、片岡一郎氏(活動弁士)
  
 今年で第11回を迎える京都ヒストリカ国際映画祭が、10月26日(土)京都文化博物館にて開幕した。今年は、従来のヒストリカスペシャルに加え、特別企画として、「今こそ語り合おう京都アニメーション、そして京都がアニメ文化史に刻んだ足跡を深掘りする」と題し、アニメーション草創期から京都アニメーションまでの京都発アニメを文化史の中で検証する上映&トークも開催される。
 
 

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 オープニングには、周防正行監督の最新作『カツベン!』が上映され、上映後オープニングセレモニーが開催された。まずは主催者を代表し、実行委員長阿部勉氏が「京都ヒストリカ国際映画祭は、映画の発祥といわれる京都で作られる映画の活性化が大きな目的で、時代劇映画を中心として、京都が積み上げてきた伝統の継承、人材育成を行なってきました。(過去)10年間の積み重ねが今年のプログラムに反映されていますし、京都がアニメ文化史に刻んだものを深掘りしています」と挨拶。引き続き、京都府副知事の山下晃正氏が「作り手の方にフォーカスしてきた我々からすれば、京都アニメーションの事件は、本当に大きなショックを受けました。京都アニメーションは非常にクリエイターの方を大事にし、クオリティの高いアニメーションを作りたいと、わざわざ京都を選び、そこでアニメーションを作ってきた。そのことが世界に広がり、映画の持っている力、人の持っている力を改めて感じました。きちんとしたものを、きちんとやり続けることが、いかに大事かを胸に刻み、これからも取り組んでいきたい。ヒストリカの中で一番思い出に残る映画祭になると思いますので、京都の映画人を叱咤激励していただきたい」と語った。
 

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左:桝井省志さん、右:片岡一郎さん
 
 ゲストによるフォトセッションの後、桝井省志さん(『カツベン!』企画)、片岡一郎さん(活動弁士)を迎えてのトークショーが開催された。ヒストリカの中で、時代劇の企画を活性化させるプロジェクト、京都映画企画市の企画コンペティションで選ばれた1本が『カツベン!』のシナリオだったという桝井さんは「京都で映画の企画が具体的になり、京都の撮影所で昨年撮影し、今日こちらでお披露目できたことを、大変嬉しく思っています」と今の気持ちを語った。
 
 常にオリジナル脚本を自ら執筆してきた周防正行監督は、長い監督人生の中でも他人の脚本(監督補でもある片島章三さん)で監督するのは初めてだったという。桝井さんは「周防監督は、自分が脚本を書く時、脚本家であることを引きずり、演出家として監督する切り替えに時間がかかっていました。今回は出来上がった脚本に対し、具体的な提案をするということで、書き手の呪縛から解き放たれ、監督業に徹することができた。撮影は楽しくできていたようです」と撮影の様子を明かした。
 

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 活動弁士役の指導にあたった片岡一郎さんは、活動弁士としての活動のみならず、活動写真研究家としても有名であることに話が及ぶと、「戦前の活動弁士のレコードを3000枚ぐらい集めていたのですが、日本は地震もあり、安全に保管する責任が持てないので、きちんと保管し、公開してくださる機関を探したところ、ドイツのボン大学が全て引き受けて下さいました。今年、国から5年間で5000万円のデジタル化予算がついたそうです」と、今や国を超えて日本の活動弁士の記録を遺すことに尽力しているエピソードを披露。実際に活動弁士活動をしていても、なかなか脚光を浴びることが少ない中、「大きな仕事が来た時は、協力して(活動写真や活動写真弁士のことを後世に伝える)大きな流れを作っていくべきだと思いました」と、本作協力時の心境を語った。
 
 また片岡さんは、活動写真小屋の看板弁士、茂木貴之役を演じた高良健吾さんへの指導を振り返り、「一線で活躍されている方の吸収力の速さには恐れ入りました。伴奏音楽と一緒に喋るわけですが、僕は弁士を始めた数年、それを聞く余裕はなかった。でも高良さんに生演奏で一度やってもらうと、なんと5分で対応されていました。本当に恐れ入りました」一方、活動弁士を夢見て、先輩弁士の真似をしながら自分流の弁士スタイルをみつけていく主人公染谷俊太郎を演じた成田凌も、撮影ですっかり活動弁士に魅了されという。「成田さんは、映画のサントラで自分の活動弁士ぶりを音にしたいということで、先日スタジオに入り、片岡さんに指導していただいて、新録音しています」と桝井さんがサントラ情報も披露した。
 

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 劇中で登場する無声映画は、全て実在の作品を、本作用に改めて撮り直し、上白石萌音、草刈民代他豪華キャストが無声映画の登場人物を演じている。桝井さんは「先輩たちのリスペクトも込めて、『十戒』『金色夜叉』『椿姫』を事前に撮影。東映のスタッフと、当時の無声映画はどうやって作られていたかを検証しながら、楽しんで作りました。それを撮り終わってから、本編の撮影に入っています」と、撮影の裏話を語った。さらに「京都は時代劇を撮るためのプロフェッショナルがいるので、東京から来た我々が時代劇を撮るといえば、極端な話、明日からでも撮れる。周防監督もまた京都で時代劇を撮りたいと言っていました」と、時代劇のプロが揃った京都での撮影に強く感銘を受けた様子。
 
 最後に「現在のアニメの吹き替えのように、一人一役で声色掛け合い説明の活弁を再現したのは、映画初。『カツベン!』が間違いなく面白いということはご理解いただけたと思います。12月13日公開ですので、どうぞ宣伝、よろしくお願いいたします」(片岡)
「活動弁士は日本独特の文化であることを知り、日本人は本当に話芸が好きだなと思います。アニメーションの世界でも、話芸が現代につながっていると感じます。片岡さんたち(現在活動中の活動弁士)が頑張ってこられたからこそ、映画『カツベン!』ができました。カツベンは略語で正式には「活動写真弁士」と、勉強することはたくさんありますが、京都発の映画を是非応援していたただければと思います」(桝井)と観客に呼びかけた。
 

第11回京都ヒストリカ国際映画祭は、11月4日(月・祝)まで、京都文化博物館(3Fフィルムシアター/別館)にて開催中。


(文:江口由美 写真:河田真喜子

 
第11回京都ヒストリカ国際映画祭 公式サイトはコチラ
https://historica-kyoto.com/
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ロンドン版『The King and I 王様と私』 オリジナルグッズ

 《 ペン&しおり セット》

 

◎提供:東宝東和

オリジナルグッズ【しおり】_r2_c1.jpg

◎プレゼント数:3名様

◎締切日:2019年11月15(金)

◎『The King and I 王様と私』 公式サイト

◎『The King and I 王様と私』 公式Twitter

 

【ロンドン版『The King and I 王様と私』 2019年9月27日(金)より全国順次公開!】

TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ 日本橋、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、TOHOシネマズ ららぽーと横浜、大阪ステーションシティシネマ、イオンシネマ茨木、イオンシネマ京都桂川、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ 西宮OS、TOHOシネマズ 名古屋ベイシティ、札幌シネマフロンティア
※中州大洋劇場(10/4(金)~全国順次公開


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トニー賞4部門受賞作品

喝采を受けてロンドンからの舞台をスクリーンで

 
 
第69回トニー賞4部門受賞に輝きミュージカルの2大聖地の観客を虜にした、渡辺謙、ケリー・オハラ主演の2015年版伝説のプログラム『The King and I 王様と私』。この度、最新のロンドン公演を映像に記録したロンドン版『The King and I 王様と私』が全国順次公開中です!

2015年4月16日、バートレット・シャーの演出でブロードウェイ19年ぶりのリバイバル上演を果たした『The King and I 王様と私』。開幕と同時に批評家の絶賛を浴びた本作は、トニー賞9部門の候補になり、ミュージカル部門のリバイバル作品賞はじめ4部門を受賞。チケット入手困難な人気作品としてロングランを記録しました。その評判は、もうひとつのミュージカルの聖地ロンドンにも波及し、2018年7月3日(プレビュー開始は6月21日)から約3カ月間、ウエストエンドのパラディウム劇場で上演されると、ブロードウェイ公演に勝るとも劣らない人気を博し、ローレンス・オリヴィエ賞にも4部門にノミネートの快挙を果たしました。2月22日に東京&大阪での3日間限定プレミア上映の反響の大きさと、8月4日に大絶賛の嵐で幕を閉じました東急シアターオーブでの、主演の渡辺謙とケリー・オハラの来日公演を受けまして9月27日(金)より全国にて凱旋公開が決定いたしました。

The King and I-500-2.jpg王様を演じるのに欠かせないカリスマ性と威厳を演出家バートレット・シャーに見初められ、シャム王役に抜擢されたのは、2003年の『ラストサムライ』でアカデミー賞(R)候補になった日本が誇る国際派スター渡辺 謙。その王に反発しながら惹かれていくアンナ役は、本作でトニー賞ミュージカル部門の主演女優賞を受賞したケリー・オハラ。またトニー賞助演女優賞に輝いたルーシー・アン・マイルズもチャン夫人役で存在感を発揮。さらに日本からはミュージカル『ファントム』やTVドラマ「Jin-仁-」でおなじみの大沢たかおが、シャム王の忠実な家臣であるクララホム首相役で参加し、迫力ある演技を披露します。

超豪華キャスト陣の演技で、ミュージカルの2大聖地でも高く評価されている2015年版伝説のプログラムをお見逃しなく。
 

 
<『The King and I 王様と私』作品情報>
【あらすじ】1860年代初頭のシャム(現在のタイ王国)。英国人女性アンナは、シャム王の夫人たちと子供たちの家庭教師をするために、息子を連れてバンコクにやって来る。すぐに子供たちと仲良くなるアンナだが、専制君主の王とは事あるごとに衝突。しかし英国公使の接待にアンナが一役買ったことをきっかけに、王とアンナの心は通いあっていく…
 
【作曲】リチャード・ロジャース
【脚本・作詞】オスカー・ハマースタインⅡ
【演出】バートレット・シャー
【出演】王様:渡辺謙、アンナ:ケリー・オハラ、チャン夫人:ルーシー・アン・マイルズ、クララホム首相:大沢たかお
【配給】東宝東和 
【協力】Trafalgar Releasing 
【コピーライト】cMatthew Murphy
※本作品は2018年8月 ロンドンのパラディウム劇場にておこなわれた公演の生中継映像を収録した作品になります。

(オフィシャル・リリースより)
 

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(2019年10月19日(土)@なんばパークスシネマ)

ゲスト:新津ちせ、坂井真紀、滝藤賢一、橋本直樹監督(敬称略)



9歳になった新津ちせ、座長の貫禄十分!

「亡くした大切な人やペットを静かに思い出す映画です」と

アピールする姿がいじらしい。

 

マイク片手に手を大きく振りながら作品を語る姿はミュージカル女優のようだ。2歳からドラマやCM、映画に舞台と大活躍の新津ちせ。10月18日から全国公開された映画『駅までの道をおしえて』で初主演を果たし、両親役の坂井真紀と滝藤賢一に橋本直樹監督らと共に、東京に続いて大阪でも舞台挨拶を行った。質問者の方へ顔を向けて大きくうなずき、体全体で語る姿は座長の貫禄十分!1回でセリフを覚えたり、シーンの心情を的確に捉えたりと、天才子役の名をほしいままに、この日も観客の心も掴んでいた。

eki-550.jpg伊集院静原作の「駅までの道をおしえて」を橋本直樹監督が脚色・監督。可愛がっていた白柴のルーを亡くした少女サヤカが、思い出いっぱいの原っぱで不思議な犬ルースを連れたおじいさん(笈田ヨシ)と出会う。少女が悲しみを乗り越えて成長する姿を、長期に渡る撮影で丁寧に綴った感動作。白柴の仔犬を探す間にサヤカ役のオーディションを行い、第4次審査を勝ち抜いたのが新津ちせ。仔犬だったルーとは1年半も一緒に暮らして役作りしただけあって、愛犬との相性もぴったり。


「大切な人や大切なペットを静かに思い出す映画です。皆さんの大切な記憶に残る映画になったら嬉しい」と舞台挨拶の最後を締めくくった新津ちせ。可愛らしい顔立ちや立ち居振る舞いとは対照的な大人顔負けのしっかりとした受け答えに、共演者も観客もすっかり魅了されてしまった。

以下は、上映後の劇場にて舞台挨拶の詳細について紹介しています。



ekimadeno-chise-240-1.jpg新津:皆様に観て頂いてとても嬉しいです。今日はよろしくお願い致します。

坂井:大阪に来られてとても嬉しいです。

滝藤:マキタスポーツです!(笑)東京でもしっかり滑ってきました。今日はお忙しい中観に来て下さいましてありがとうございます。

橋本監督:本日は遅い時間まで、どうもありがとうございます。


――サヤカを演じてみて楽しかったですか?

新津:この映画の撮影はとても楽しかったです。


――大阪へはよく来られますか?

新津:舞台のお仕事でよく来ています。たこ焼きもお好み焼きも大好きです。

坂井:たこ焼きが大好きで、今回は食べて帰れるかどうかドキドキしています(笑)。

滝藤:僕はあまり大阪には来ないんですけど、串カツは大好きです。それと551の肉まんとかも。通天閣や梅田へも行ってみたいですね。


――おススメのシーンは?

新津:どのシーンも楽しかったのですが、ルーと一緒に駆け回った冬の雪の原っぱのシーンが特に印象に残っています。ルーとは1年半一緒に暮らしていました。


ekimadeno-takitou-240-2.jpg――「犬を飼いたい」とサヤカが言った時の両親の反応がとても印象的でしたが?

滝藤:親子3人の最初のシーンでは、午前中3人だけにして頂いて、3人でいろいろ話したり遊んだりしました。お陰で割と自然に家族として入っていけました。その時はまだちせちゃんはまだ“ザ・コドモ”だったのですが、9か月後に会ったらまるで別人のように成長していました。その間、監督とは密に語り合っていたようで、いいものを身に付けて豊かな表情になっていました。お父さんのような立場で見守る感じでしたね。

 


――オーディションで4次選考の末選ばれたちせちゃんですが、その魅力は?

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橋本監督:う~ん、あまり褒めたくないんだよね~(笑)。

坂井:褒めてあげて下さいよ。

橋本監督:オーディションには最初200人位しか集まらず、「一般オーディションもしなきゃいけないのかな」と思いました。僕は書類選考で落とすということはしないので一人一人と会っていたのですが、ちせに会って、「やはり“出会い”ってあるんだな」と思いました。

――何かお褒めの言葉が欲しいですよね?

橋本監督:観て頂いたお客様が彼女の演技で何かを感じて頂けたら、それが答えだと思っています。僕は身内なので自分の娘が「可愛い」とか言うのは気が引けますが、皆さんに褒めて頂く分については凄く嬉しいです。勿論そのことは分かっていますが、それを言うと調子に乗っちゃうんで…(笑)。


――犬のルーとルースはどうやって決まったのですか?

橋本監督:ルーはちせより先に決まっていました。白い柴犬はとても珍しくて仔犬を探してもらって、その間にオーディションをして、2か月後にちせとルーと会わせてみました。名前もまだなかったので「ルー」と名付けられたのです。ルースの方は、野犬だったのを保護されていた犬で大阪出身です。最初に預けられていた所を2回も脱走したようで、今いる所に落ち着いてからトレーニングを受けた犬なんですが、何となく雰囲気のある犬だなと思って決めました。

新津:ルーとルースは(どちらもメス)撮影の時にとても仲良くなって、このまま別れさせるのは可哀そうだということで、今は一緒に飼われています。


ekimadeno-sakai-240-1.jpg――両親役の滝藤さんと坂井さんから見たちせちゃんは?

坂井:可愛さが詰まっていますよね。見た目も性格も本当に可愛らしくて、ちせちゃんがママと思ってくれたから、私もお母さんになれたような気がします。ありがとうございました。

滝藤:凄くしっかりしている。挨拶もしっかりしているし、キャンペーンでも「こんな事言うとネタバレしちゃうから言わないでおこう」とか、ウチの次男坊と同じ小学3年生ですけど、全く違う!ウチの次男坊は、今朝なんか「ババ抜き」トランプで負けて泣いてましたからね(笑)全く別の生き物のようですよ。さすが女優さんだなと思います。


――自分がサヤカと似ている点は?

新津:サヤカが原っぱで走り回るシーンがよく登場するのですが、私も走るのが大好きなので似ているかなと。それと、ルーもよく走り回るので、よく「飼い主によく似る」と言われますが、私に似たのかなと思います。


――もう一度観て欲しいシーンは?

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新津:マキタスポーツさんと滝藤さんと3人で犬小屋を作るシーンはホントに面白かったです。ペンキを塗るシーンは全部アドリブで、イラストも描きました。ルーの絵は勿論、叔父さんの家はお豆腐屋さんだったので、おからや冷奴やねぎを描きました。


――脇役の俳優さんたちも豪華ですが?

橋本監督:大手の大作でなくても脚本が良ければ出演して下さる俳優さんは大勢いらっしゃいます。今回もそんな俳優さんたちに恵まれたと思っています。


――最後のご挨拶。

新津:この映画は大切な人や大切なペットのことをゆっくり思い出す映画だと思います。観て下さった方の大切な記憶になれたらとても嬉しいです。本日は観に来て下さって本当にありがとうございました。

 


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【出演者と監督について】

◆新津ちせ(主人公のサヤカ役):映画『3月のライオン』のモモ役や、米津玄師がプロデュースした「パプリカ」を歌うユニット Foorin の最年少メンバーとしてブレイク中。オーディションで受かった直後から愛犬ルーとの特別な絆を表現するため、自宅でルーとの共同生活を開始。その後、一年にわたる丹念な撮影を通してサヤカの心身の成長をカメラに刻み付けた。


◆笈田ヨシ(サヤカの友人となるフセ老人役):約半世紀にわたってヨーロッパの演劇界で俳優・演出家として活躍し、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙—サイレンス—』など映画でも強烈な印象を残してきた。


その他、サヤカの両親に坂井真紀と滝藤賢一、伯父夫婦にマキタスポーツと羽田美智子、祖父母に塩見三省と市毛良枝、医療関係者に柄本明と余貴美子が扮し、あたたかくヒロインを見守る。また 10 年後のサヤカを有村架純がモノローグ(声)で表現。


◆橋本直樹(監督と脚色):『トニー滝谷』『そこのみにて光輝く』をはじめ数多くの秀作を送り出してきた制作プロダクションウィルコ代表。『臍帯』に続く長編監督第2作となる本作は、15年前に原作を読んで以来、映画人としてのキャリアを全てつぎ込んだ渾身作。


【出演】 新津ちせ 有村架純/坂井真紀 滝藤賢一 羽田美智子 マキタスポーツ /余 貴美子 柄本明/市毛良枝 塩見三省/笈田ヨシ
【原作】:伊集院静「駅までの道をおしえて」(講談社文庫)
【脚色・監督】:橋本直樹 
【主題歌】:「ここ」コトリンゴ
【企画・製作】:GUM、ウィルコ
【配給・宣伝】:キュー・テック  シネマスコープ/ 5.1ch/DCP/125 分
©2019 映画「駅までの道をおしえて」production committee
【公式サイト】:https://ekimadenomichi.com/

2019年10月18(金)~なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー!


(河田 真喜子)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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長編映画『薄氷の上のゼン』ペアチケット プレゼント!
        (終映後ゲストトークあり)

 
◆上映日時:11月3日(日)10:30開映
 
◆提供:イタリア文化会館-大阪
 
◆募集人数:3名様
 
◆締切:2019年10月27日(日)
 
◆『薄氷の上のゼン』サイト: https://historica-kyoto.com/films/venice/venice1/

◆京都ヒストリカ国際映画祭公式サイト: https://historica-kyoto.com/
 
 


ヴェネチア国際映画祭提携企画

 
京都ヒストリカ国際映画祭の人材育成プログラム「京都フィルムメーカーズラボ(KFL)」、ヴェネチア・ビエンナーレの映画部門によるプロジェクト「ビエンナーレ・カレッジ・シネマ」、イタリア文化会館-大阪の連携を記念した特別上映プログラム。
(協力:イタリア文化会館-大阪)
 
『 薄氷のゼン 』★日本初上映
イタリア | 2018 | 94 分
監督:マルゲリータ・フェッリ
出演:エレオノーラ・コンティ、スザンナ・アッキアルディ、ファブリツィア・サッキ
海外セールス:Media Luna
 


historica2019-margherita_ferri.jpg『薄氷の上のゼン』トーク ゲスト

 

【マルゲリータ・フェッリ(監督)】
監督・脚本家 。 UCLA、イタリア国立映画実験センターローマにて学ぶ。手がけたドキュメンタリーや短編映画が多くの国際映画祭にて 上映される。これまでの10年間で、ドキュメンタリーTV番組に撮影スタッフとして入り、後に監督として製作に携わるようになる。2016年、中東の放送局 MBCで、アラブ社会に変化をもたらす女性たちについてのドキュメンタリーシリーズの脚本を手がけた。『 薄氷の上の ゼン』でヴェネツィア・ビエンナーレ -ビエンナーレ カレッジシネマに参加し、2018年に開催された第75回ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映を行う。同作は、後に世界中の映画祭で上映された。
2019年には、スリラー・ホラー長編映画『The Nest』の脚本に携わる。コロラド・フィルム製作、Visionとユニバーサル・ピクチャーズ 配給。2019年、第72回ロカルノ国際映画祭にてプレミア上映が行われた。
 
 
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【エレオノーラ・コンティ(主演女優)】
1997年、ボローニャ生まれ。常に芸術と映画の世界に関わる。ボローニャ芸術高校で修業の後、マルゲリータ・フェッリ監督の『 Zen in the ice rift』のマイヤ/ゼン役のオーディションに合格。その演技により、2019年バーリ国際映画祭で最優秀新人女優賞を獲得。同作のクランクアップ後、学業の第二段階として、ボローニャの映画学校に通い始め、2019年末に卒業予定。年末に自身が脚本・監督をつとめたショートフィルムを発表し、女優業とともに監督業にも力を入れていく。
 
 
 
 
 
 
 


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<入場 無料>

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『 IN THE CAVE 』★日本初上映
イタリア | 2018 | 15 分 | VR
監督:イヴァン・ジェルゴレット
出演:マルシア・マイエル、ブルーノ・セルバン、クラウディア・スフェテズ

11月4日(月・祝)11:30-17:30
★無料試写[当日受付順]こちらの作品はVR上映となっております。

 

VR作品『 In the cave』トークゲスト

【イヴァン・ジェルゴレット(監督)】
1977年生まれ。 2000年代初め、短編映画とドキュメンタリーでキャリアをスタート。 90歳のアルゼンチンダンサーを追った初長編作品『 Dancing with Maria』は、ヴェネチア国際映画祭 2014の国際批評家週間に出品。本コンペに選出された初めてのドキュメンタリー作品となる。また、ヨーロピアンフィルムアワード 2015では最優秀ドキュメンタリー賞にノミネート。
 

(オフィシャル・リリースより)
 

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『ホームステイ ボクと僕の100日間』

タムくん書き下ろしオリジナルステッカー プレゼント!

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日本でも大人気のゆるキャラ「マムアンちゃん」の作者である漫画家ウィスット・ポンニミットが書き下ろし た映画オリジナルステッカーです。

 

◆提供:ツイン

◆プレゼント数:10名様

◆締め切り:2019年11月3日(日)

◆公式サイト: http://homestay-movie.com/


2019年10月25日(金)~テアトル梅田、11月1日(金)~京都みなみ会館、11月9日(土)~神戸元町映画館 ほか全国順次公開 
 




『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』製作チームが贈る青春ファンタジー! 

直木賞受賞作家・森絵都の大ヒット小説「カラフル」 

タイに舞台を移して映画化! 


第 14 回大阪アジアン映画祭で上映され話題となった『バッド・ジーニア ス 危険な天才たち』の製作チームが贈るタイ発の青春ファンタジー『ホームステイ ボクと僕の 100 日間』が 10 月 5 日(土)より新宿武蔵野館、10 月 25 日(金)よりテアトル梅田ほかにて順次ロードショーいたします。 


「当選しました」その声で、死んだはずの“ボク”の魂が、自殺した高校生ミンの肉体に“ホームステイ”することになった。ミン の自殺の原因を 100 日間で見つけ出さないと、“ボク”の魂は永遠に消えると告げられ、新生“ミン”としてボク”はもう一度人生 をスタートさせる。ある日、1 台のパソコンの存在を知り、自殺したミンを苦しめた残酷な現実と対峙することになる・・・。 運命のいたずらで人生を RE:スタートすることになった“ボク”が、ミンを通して新たに見る世界は、驚きと発見に満ちていた。家 族、友達、初恋の女の子と出会い直す経験を経て、誰かを大切にすること、大切にされることを知り、高校生活はキラキラと色鮮やかに輝きだす。初めて生きる歓びを感じた“ボク”を待ち受ける結末とは・・・ 

 


 
<STORY> 
 僕は死んだ。天国からのプレゼントは、タイムリミット 100 日間の新しい人生。


homestay-pos.jpg「当選しました」その声で、死んだはずの“ボク”の魂が、自殺した高校生ミンの肉体に“ホームステイ”することになった。ミンの自殺の原因を 100 日間で見つけ出さないと、“ボク”の魂は永遠に消えると告げられ、新生“ミン”として“ボク”はもう一度人生をスタートさせる。初めて訪れた街 で見知らぬ家族や同級生に囲まれ、違和感だらけの学校生活を送る “ミン”。誰にも気づかれないように謎解きを始めるうちに、秀才の美少女パイと 出会い一瞬で恋に落ちる。ある日、1 台のパソコンの存在を知り、自殺したミンを苦しめた残酷な現実と対峙することになる・・・。 
 

◆監督・脚本:パークプム・ウォンプム 
◆出演:ティーラドン・スパパンピンヨー、チャープラン・アーリークン(BNK48)   
◆2018/136 分/タイ/タイ語/シネスコ/5.1ch  原題:HOMESTAY
◆原作:森絵都「カラフル」(文春文庫刊)
◆日本語字幕:高橋彩 字幕監修:高杉美和
◆配給:ツイン
◆後援:タイ王国大使館 タイ国政府観光庁
◆(C)2018 GDH 559 CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED  
◆公式サイト: http://homestay-movie.com/


2019年10月25日(金)~テアトル梅田、11月1日(金)~京都みなみ会館、11月9日(土)~神戸元町映画館 ほか全国順次公開 


(オフィシャル・リリースより)

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『ガリーボーイ』オリジナルグッズ

「本音を“ガリガリ”書きだせ。『ガリ-ボーイ』オリジナルメモ帳」プレゼント!

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◆提供:ツイン

◆プレゼント数:3名様

◆締め切り:2019年10月27日(日)

◆公式サイト: http://gullyboy.jp/

 

2019年10月18日(金)~シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ MOVIX京都、神戸国際松竹ほかにて “本音開放”ロードショー! 


 




“言葉 ラップ ”で運命を変えた青年!驚きの実話。


インドのスラムで生まれ育ったある青年がラップと出会い、それまでの人生が一変、フリースタイルラップの大会で優勝を目指す、 実話を基にしたサクセスストーリー『ガリーボーイ』が10月18日(金)より新宿ピカデリー他にて全国公開となります。 


インド最大のスラム街ダラヴィに住むムラドは、ラップと出会い人生が一変、ラップバトルで優勝を目指す!その道のりで、親からの反対、友や恋人との絆を通して成長していく。実在するアーティス トの驚きの半生を描き、世界中で喝采を浴びた注目作が日本公開!主演は、次世代のキング★オブ★ボリウッドと目されるランヴィール・シン!メガホンを取るのは、北インド映画界の実力派女 性監督ゾーヤー・アクタル。プロデューサーは US ヒップホップ史に燦然と輝く数々の名曲で知られる ラッパーNAS。ムラドはなぜ、ラップにのめり込むのか?背景には、インド社会が抱える格差、宗 教的差別から解放されたいと願う若者の現実が潜んでいるー。 2019年インド世界興収第2位!世界 No.1 映画批評サイトロッテントマト満足度100%!の 注目作!(2019.6.5 時点)心震わす実話。 
 


 
<STORY> 言葉で気持ちに火を付けろ! 

gully-pos.jpgインドのムンバイにあるスラム出身のムラド(ランヴィール・シン)は、雇われ運転手の父を 持つ貧しい家の青年。両親はムラドがまっとうな仕事に就くことができるよう、彼を大学 に通わせる為に一生懸命働いていた。しかしムラドは、親の想いを知る由も無く、地 元の悪友と車上荒らしに手を染め、内緒で身分の違う医者の父を持つ恵まれた家庭出身の彼女まで作っていた。俺の人生はこの先も並み、何も変わらない…そう思っていたムラドだが、ある日大学構内でフリースタイルラップのパフォーマンスをしていた学生MC シェール(シッダーント・チャトゥルヴェーディー)と出会い、ラップの世界にのめり込んでいく―親からの反対、友情、恋、様々な経験をし、フリースタイルラップの大会で優勝 を目指す。 


◆主演:ランヴィール・シン(『パドマーワト 女神の誕生』)
◆監督: ゾーヤー・アクタル(『慕情のアンソロジー』)
◆出演:アーリア-・バット、シッダーント・チャトゥルヴェーディー、カルキ・ケクラン
◆2018/インド/154 分/5.1ch/ビスタ/原題 Gully Boy
◆日本語字幕:藤井 美佳/字幕監修:いとうせいこう
◆配給:ツイン 

◆公式サイト: http://gullyboy.jp/

2019年10月18日(金)~シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ MOVIX京都、神戸国際松竹ほかにて “本音開放”ロードショー! 


(オフィシャル・リリースより)


saenai-550.jpg冴えない彼女の育てかた Fine』
「冴えカノ・クリアファイル」プレゼント!

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◆ 提供:アニプレックス

◆プレゼント数:5名様

◆ 締め切り:2019年11月3日(日)

◆公式サイト: https://saenai-movie.com/

 

2019年10月26日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズ(梅田、なんば、西宮OS他)、T・ジョイ京都、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー

 

 


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新生 blessing software 始動!
ある春の日、少年が抱いた想いはどこまでも駆け上っていく。 


『冴えない彼女の育てかた』は丸戸史明が執筆し、深崎暮人がイラストを担当する人気ライトノベルシリーズ。富士見ファンタジア文庫(KADOKAWA)より2012 年から本編全13 巻+短編集・ファンブック 6 巻で刊行された。2015 年にアニメ第一期『冴えない彼女の育てかた』が放送され、2017 年にはアニメ第二期『冴えない彼女の育てかた♭』をオンエア。制作を A-1 Pictures 高円寺スタジオ(現 CloverWorks)が担当。ドキドキするほどかわいらしいヒロインたちの描写とキャスト陣の弾けた演技、そして原作者・丸戸史明自らが書き下ろしたシナリオにより、作品は話題となり、劇場版の制作が決定した。 

劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』は TV シリーズのスタッフ、キャストが集結し、新たに送りだす完全新作。安芸倫也は、理想のメインヒロインを描いた同人ゲームを作ることができるのか。恋のフラグのラプソディー最終楽章が始まる。 
 

【ストーリー】
ある春の日、安芸倫也は桜舞う坂道で運命的に出会った少女・加藤恵をメインヒロインにした同人ゲームを制作することを思いつく。美術部に所属していながら、同人イラストレーターとして活動する澤村・スペンサー・英梨々と、学年一位の優等生でありながら、ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、blessing softwareを結成。 やっとのことで一作目を発表した──。 
 
英梨々と詩羽は大作ゲーム『フィールズ・クロニクル』を開発するために、人気クリエイターの紅坂朱音のもとへ。blessing software 代表の倫也はサークル活動を継続し、副代表の恵とともに新作の開発を開始した。イラストレーターに後輩・波島出海を起用、プロデューサーを出海の兄・伊織へ依頼し、 氷堂美智留と彼女のバンド icy tailとともに新作の開発を進めるが……。  
 
英梨々と詩羽の大作はどうなるのか? 倫也と恵の関係に異変が?  はたして blessing software の新作の行方は? 冴えないヒロインをめぐる青春グラフィティ、グランドフィナーレ
 

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■原作:丸戸史明(ファンタジア文庫/株式会社 KADOKAWA) 
■キャラクター原案:深崎暮人
■総監督:亀井幹太
■脚本:丸戸史明
■キャラクターデザイン:高瀬智章
■制作:CloverWorks
■配給:アニプレックス
■コピーライト:Ⓒ2019 丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/映画も冴えない製作委員会
◆公式サイト: https://saenai-movie.com/


2019年10月26日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズ(梅田、なんば、西宮OS他)、T・ジョイ京都、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー
 


(オフィシャル・リリースより)

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~時代劇の聖地・京都で開催する“京都発、歴史映画の祭典”~ 

 
映画祭で「京アニ」追悼…。《第11回京都ヒストリカ国際映画祭》の概要が1日、京都市中京区の京都文化博物館で発表された。歴史にちなんだ京都にふさわしい映画祭、今年は10月26日(土)から11月4日(月・祝)まで。様々なセクションに分かれて全26本を上映する。会場は京都文化博物館

中でも今年は、京都独自のアニメ文化をテーマに先ごろ、凄惨な事件があった京都アニメーション作品『涼宮ハルヒの消失』など4本をはじめ、アニメ草創期の『煙突屋ぺろー』(1930年)など3本。「時代劇文化がTVアニメを変えた」と題して『アンデルセン童話 人魚姫』(75年)など3本を特集上映する。

「京アニ」作品は事件後、同博物館がオファーしたが、事件直後で実現しなかった。「京都アニメーション作品の魅力」と題して『涼宮ハルヒ』のほか、『映画 けいおん!』『たまこラブストーリー』の4作品上映は追悼の意味と、未だに募金が途

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絶えることなく続く海外からの反響も呼びそうだ。

「時代劇文化」~では『白蛇伝』『少年猿飛佐助』『わんわん忠臣蔵』『太陽の王子 ホルスの大冒険』『長靴をはいた猫』などカルト的な名作ぞろい。

historika2019-katuben.jpg①【ヒストリカ・スペシャル】 オープニング上映は周防正行監督の最新作、成田凌主演の『カツベン!』。サイレント時代のメロドラマ『祇園小唄絵日傘 舞の袖』現役の現役の活動弁士を招き、トークショーもある。

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②【ヒストリカ・ワールド】 世界の最新歴史映画で米映画『ダムゼル とらわれのお嬢さん』、フィリピン映画『ミステリー・オブ・ザ・ナイト』、英映画『カーミラー 魔性の客人』、インド映画『トゥンバード』。4作品とも日本初上映。
 
 
 
 

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③【「子連れ狼」まつり】
「劇画から妄想する時代劇」 として大映映画のヒット作「子連れ狼」シリーズを4作品、特集する。

④ヴェネチア国際映画祭提携企画
『薄氷の上のゼン』、『IN THE CVE』。どちらも監督が来場する予定。

⑤京都フィルムメーカーズラボ スクリーニング
仏映画『シャトー・イン・パリ』セドリック・イド監督が来場予定。1983年今村昌平監督作品『楢山節考』デジタルリマスター版。
 
公式サイト⇒ https://historica-kyoto.com/
 
 
 
 
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「自分の思いを言葉で伝える勇気が出る映画になれば」
『WALKING MAN』ANARCHY監督インタビュー
 
 関西出身の人気ラッパーANARCHYが、自身の体験を盛り込みながら、吃音症でうまく話せない青年の成長を描いた初監督作『WALKING MAN』。ラップバトルを交えながら、少しずつ、でも確実に、声をあげたくてもそれができなかった主人公アトムが変わっていく様子を、丁寧に描写。川崎市を舞台に、日常にある差別にも目を向けながら、殺伐とした現代社会に希望の灯をともす感動作だ。不用品回収業のアルバイトで生計を立てる主人公アトムをANARCHYと親交のある野村周平が演じる他、アトムの妹ウランを優希美青が演じ、柏原収史、伊藤ゆみ、冨樫真、星田英利、渡辺真起子、石橋蓮司と多彩な俳優陣が脇を固めている。自分が伝えたいことは何なのか、どうやってそれを伝えるのか。変わらない日常生活の中、時間を見つけて言葉を探し、アルバイトで手にした通行量調査のカウンターでリズムを自分に刻み込むアトムの、少しずつ、でも確実に手ごたえを掴んでいく表情にも注目したい。
 
 
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<物語>
 極貧な母子家庭で育ったアトムは、うまく言葉が喋れないことで、自分の思いや怒りを伝えられず、周りとうまくコミュニケーションが取れない。入院している母の保険料が払えないと、ソーシャルワーカーから「自己責任」と言われ、誰も救いの手を差し伸べてくれない中、彼はラッパーの遺品から、ラップが吹き込まれたウォークマンと、言葉がびっしりと書かれたノートを見つける。一方、兄の真意が読み取れず、学校のお金も払えないウランは、友達の家に行ったきり帰ってこなくなってしまう。
 
10月11日(金)から梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランド、T・ジョイ京都他で全国ロードショーされる本作のANARCHY監督に、作品に込めた思いを伺った。
 

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■言いたいことが溜まり、音楽で伝えたいことがいっぱいあった中学生時代

――――最初に、ANARCHYさんがラッパーになった動機を教えていただけますか。
ANARCHY:父がミュージシャンだったので、音楽の近くにいることができたのは、自分にとっていい環境で育ったと思いますし、どこか音楽をやるだろうなという気持ちはありました。父子家庭でしたし、育った街の環境が必ずしもいいとは言えず、言いたいことが溜まっていて、音楽で伝えたいことがいっぱいあったんです。また、当時見たラッパーがとても格好良かった。Zeebraさん、RHYMESTERさん、KING GIDDRAさん、SHAKKAZOMBIEさんなど、僕は全てのラッパーさんが好きで、ラッパーが一番カッコいい職業だと思う中学生でした。サッカーを始める子が、いつの間にかボールを蹴っているように、僕もいつの間にかラップを始めていましたね。
 
――――映画も昔から観るのがお好きだったそうですね。
ANARCHY:子どもの頃はずっと家で一人だったので、『ホーム・アローン2』が大好きでした。何回も観た作品ですね。「一人でも楽しめるやん」と結構勇気付けられたのです。
 
 

■コンプレックスは、僕が好きなラップやブルースにとって一番重要なこと。

――――初監督作品ですが、ご自身の経験も反映されているのですか?
ANARCHY:逆境やコンプレックス、例えば良いとは言えない家庭環境や貧困もそうですし、この主人公アトムで言えば吃音症で他人とうまく話せないということが全て武器になるのが、ヒップホップという音楽なんです。僕が子どもの頃、母親がいないことで寂しかったり、強がったりしていたことを武器にできたのはラップで、母子家庭のアトムにも同じ部分があると思います。「なんで俺だけ辛い思いをしなければいけないんだ」とアトムは思っていますが、そのコンプレックスはラップやブルースなど、僕が好きな音楽にとっては一番重要なことです。その、一見マイナスに捉えてしまうものを武器にしてほしいという思いをアトムに込めていますね。
 
――――主人公のアトムとその妹ウランという名前は『鉄腕アトム』と同じで、一度聞いたら忘れられないインパクトがありますね。
ANARCHY:これは漫画家の高橋ツトム先生(本作の企画・プロデュース)の案で、名前でイジられてしまうという設定にも生かされています。
 
 
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■上手く喋ることができないアトムが、言いたいことがありあまりすぎて、ようやく口から絞り出た言葉、それ自体がラップ。

――――ヒップホップと映画の融合という点で、特に心がけた点は?
ANARCHY:自分の人生やライフスタイルを何かの形で表現するというのが、僕の中でのヒップホップです。例えばアトムがウォークマンを見つけたり、言いたいことが見つかる。それ自体がヒップホップなので、その部分をきちんと保ったままストーリーをつなげていきました。最初、アトムが可哀想に見えますが、その彼が成長していく様をきちんと描きたいと思って作ったので、ANARCHYが映画を作るということで、例えば銃が出てきたりするようなもっと派手なものを想像される方がいるかもしれませんが(笑)、できるだけ余分なものを省いています。上手く喋ることができないアトムが、言いたいことがありあまりすぎて、ようやく口から絞り出た言葉、それ自体がラップなんです。アトムが喋る一言一言が、歌う前からラップであるという映画にしたかったのです。
 
――――アトムがウォークマンと同時に見つけた、びっしりと書き込みされているノートも、その後のアトムが自分のラップを紡ぎ出す大きな手助けとなります。ANARCHYさんの自筆ですか?
ANARCHY:僕が書きました。(ラッパーの歌詞ノートは)自分でしか読めないような書き込みノートになるんですよ。今は携帯で思いついた歌詞を書く子もいますが、アトムのルーツは三角という中年ラッパーで、アトムは三角のノートを真似し、自分もノートに言葉を書き始めたわけです。言いたいことがない人なんていないですから。僕の若い時も、誰にも読めないような、字の上に字が重なっているようなノートでしたね。
 
――――ラップは基本、自分で書いた言葉とリズム、曲で歌うのでしょうか?
ANARCHY:いわゆる一般的な歌とは違い、ラッパーはどんな奴が、どんなことを経験して、どんなことを歌うかが一番大事なんです。それが大げさだったり、嘘だったりすると、絶対相手に響かない。僕がラップで好きなところはそこで、言葉はすごく大事です。
 

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■アトムの成長を、ラップで、彼の言葉で表現できなければ、ラッパーの僕が作った意味がない。

――――今回、アトムが歌ったラップをANARCHYさんが作ったそうですが、自分が歌うのではない曲を作ることは難しかったですか?
ANARCHY:難しいなとも思いましたが、脚本を書いているときから、アトムの気持ちになって梶原阿貴さん(脚本)や高橋ツトム先生と作ったつもりなので、自然とアトムの気持ちは僕の中に入っていました。あとはアトムになって書くことに専念しました。今まで何もしゃべれなかった分、アトムが人生で体験したこと全てを書きましたし、僕が今まで経験したことも全て込めようと思いました。ラッパーが作った映画でそこをきちんと表現できなければ、僕が作った意味がない。そこを失敗したら、この映画は失敗してしまう。それぐらいの意気込みでしたね。
 
 
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――――アトムを演じたのは、ANARCHYさんがプライベートでも懇意にされているという野村周平さんですが、俳優としての野村さんの魅力は?
ANARCHY:野村さんは俳優としても有名ですし、人気者です。でも普通の、その辺のスケーターと変わらない部分、ピュアに自分の好きなことをして楽しむという感覚が僕たちと一緒で、そういう部分がとても好きですね。今回僕が映画を撮ると話すと、会社の制約など様々なことがある中でも「僕にやらせてください」と言ってくれ、その人間味や男気にも惚れました。撮影に入ってからは、アトムという喋る言葉が少ない役の中で、表情や歩き方ひとつで変わるアトムを自分の中にしっかりと入れて、現場に来て、演じてくれました。そういう彼を見ていると、リスペクトと感謝、あとカッコいいなと思いましたね。
 
――――ANARCHYさんが作ったラップをアトムが歌うクライマックスシーンを撮るために、だいぶん準備をされたのでしょうね。
ANARCHY:実際には1日でライブシーン全てを撮らなければならなかったので、野村さんにも3テイクぐらいしか歌ってもらっていません。クランクインする前に、クラブを借し切って二人で練習しましたが、もともと彼はヒップホップが好きで、やれるポテンシャルは持っていたので、後はステージの上で、お客さん役のエキストラがいる中で、立って歌う。そこはさすがにやりきってくれました。アトムが堂々と歌うことで、それを見守る家族の中に思いが込み上げた。それを見せることができただけで、もう成功だと思っています。
 
 

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■言わなければ伝わらないし、相手の思いも分からない。自分の思いを言葉で伝える勇気が出る映画になれば。

――――なかなか思う言葉を発することができないアトムの葛藤が最後までじっくりと描かれる中、中華料理店でアルバイトする韓国女性が罵声を浴びせられた時、彼女に告げようと絞り出した言葉にアトムの優しさを感じました。
ANARCHY:アトムは優しすぎて言いたいことが言えない。僕の目の前にアトムがいたら、「おまえ、言いたいことがあるなら言えよ。歯がゆい奴だ」と思うかもしれません。でも一番そう思っているのはアトム自身です。「ありがとう」とか「愛している」とか、妹に対する気持ちとか、どれだけ表情で表しても、言わなければ伝わらない。自分の気持ちだけでなく、他人の気持ちも分からないですから、そんな思いが言葉で伝えられたり、伝える勇気が出る映画になればというのが、この映画に込めたメッセージの一番大事なところだと思っています。
 
 
 

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■自分がやると決めたこと、言葉には責任を持つという「自己責任」が一つのメッセージ。

――――映画では何度か「自己責任」という言葉が登場します。家庭環境に関係なく自己責任で済まされ、厳しい状況でも誰も手を差し伸べない現在社会がリアルに描かれていますね。
ANARCHY:映画に出てくるような、自己責任論を振りかざす人たちは、現実社会ではそこまで多くないでしょう。そこは映画的な表現なのですが、「自己責任」について伝えたかったのは、自分がやると決めたことに対して、自分が歌うことや発する言葉に自己責任を持てということ。それが最後に分かればいいと思いました。途中まで映画で言及されている自己責任は、アトムのせいではないことばかりです。それは様々な状況に置き換えられると思うのですが、後半に同僚の山本が「ラップで歌ったり、自分がこれをやると決めたなら、それは自己責任だ」というのは、若者に限らず、全ての人に対するメッセージを込めています。
 
――――現代の若者に向けた応援歌のような映画だと思いますが、ANARCHYさんからみて彼らはどのように映っているのでしょうか。
ANARCHY:若いから何にでもなれるし、何でもできるということに気づいていない人が多いような気がします。ラッパーは今増えて、面白くなってきているのですが、一般的に選択肢が多くなりすぎた分、何になりたいのか迷っているのかもしれません。失敗した時のことを考えるよりも、自分の直感を信じてやってみて、転んでも経験を積み、魅力的な人間になることは誰でもできると思います。そういう勇気が出るきっかけになるような映画になればと思っているので、この映画を観てもらい、お客さんの反応を僕も確かめたいですね。僕自身もこの作品を撮って、音楽に対して、人生に対して初心に帰れたという気がしましたし、これから音楽を作るにしても映画を作るにしても、この作品やアトムが僕に影響を与えてくれると思っています。
(江口由美)
 

 
『WALKING MAN』(2019年 日本 95分)
監督:ANARCHY 
出演:野村周平、優希美青、柏原収史、伊藤ゆみ、冨樫真、星田英利、渡辺真起子、石橋蓮司
2019年10月11日(金)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランド、T・ジョイ京都他全国ロードショー
(C) 2019 映画「WALKING MAN」製作委員会
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9月27日(金)より、シネ・リーブル梅田でドキュメンタリー映画『アートのお値段』が公開されるのを記念し、 9月28日(土)に公開記念トークショーが開催される。ゲストとして登壇するのは、TEZUKAYAYAMA GALLERY ディレクターの松尾良一氏と、802メディアワークス プロデューサーの谷口純弘氏。誰もが抱く、アートとお金の関係に迫るドキュメンタリーとトークで、アート市場の舞台裏を覗けること間違いなしだ。
 
■日程: 9月28日(土) 14:00の回上映後 15:45(上映後)~16:15 
■場所: シネ・リーブル梅田 
 梅田スカイビルタワーイスト3F・4F 
※映画をご覧いただいた方がご参加いただけます。
※9/20(金)より先売り座席指定が可能です。
 
<トークショー登壇者> 
 
松尾良一 (TEZUKAYAYAMA GALLERY ディレクター)
1992年より大阪帝塚山を拠点にウォーホル、ジャスパー・ジョーンズなど国内外の現代美術を紹介するギャラリを運営。2008年より日本の若手アーティストのプライマリーギャラリーとしての運営も行い、2010年に現在の南堀江に移転後も積極的に海外のフェアに出展して日本現代美術を紹介。
 
谷口純弘 (802メディアワークス プロデューサー)
802Mediaworks/digmeout プロデューサー。若手アーティストの発掘プロジェクト「digmeout」プロデューサー。FM802のビジュアルにアーティストを起用し、ソニー、日産、りそな銀行、ナイキなどの企業プロモーション、アートブックの発行、国内・海外での展覧会を手掛けるなど「街」と「アート」と「人」をつなぐ活動を進める。2011年5月アートギャラリー「DMO ARTS」をオープン。2015年よりアートフェア「UNKNNOWN ASIA」を企画・主催。10月26日、27日には5回目となる「UNKNOWN/ASIA」がグランフロント大阪で開催される。
 

<作品情報>
『アートのお値段』 
(原題: THE PRICE OF EVERYTHING)
 
監督:ナサニエル・カーン
出演:ラリー・プーンズ、ジェフ・クーンズ、エイミー・カペラッツォ、ステファン・エドリス、ジェリー・サルツ、シモン・デ・プリ、ジョージ・コンド、ジデカ・アクーニーリ・クロスビー、マリリン・ミンター、ゲルハルト・リヒター他
2018年/アメリカ/98分/英語/DCP/カラー/英語題:THE PRICE OF EVERYTHING/配給:ユーロスペース
 
9月27日(金)~シネ・リーブル梅田、10月5日(土)~京都シネマ、10月19日(土)~元町映画館にて順次公開
 
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