「京都」と一致するもの

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上の写真、前列左から、
団塚唯我(DANZUKA YUIGA)(23)『遠くへいきたいわ』
道本咲希(MICHIMOTO SAKI)(24)『なっちゃんの家族』
後列左から、
藤田直哉 (FUJITA NAOYA)(30)『LONG-TERM COFFEE BREAK』
竹中貞人(TAKENAKA SADATO)(28)『少年と戦車』



~日本映画の次世代を担う若き4人の監督の作品紹介とコメント紹介~


ndjc2021-pos-500.jpg次世代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的とした《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》は、文化庁からNPO法人 映像産業振興機構(略称:VIPO)が委託を受けて2006年からスタート。昨年公開された、『あのこは貴族』の岨手(そで)由貴子監督や、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』の堀江貴大監督、『ずっと独身でいるつもり?』のふくだももこ監督、他にも『湯を沸かすほどの熱い愛』で数々の賞に輝いた中野量太監督や、『トイレのピエタ』の松永大司監督などを輩出して、映画ファンも業界人も注目するプロジェクトです。


今回も、学校や映画祭や映像関連団体などから推薦された中から4人の監督が選出され、第一線で活躍中のプロのキャストやスタッフと共に本格的な短編映画(約30分)の製作に挑戦。コロナ禍で厳しい撮影環境の中でも完成度の高い作品が揃いました。作品紹介と共に、彼らがテーマとしたものや作品に込めた想いなどをご紹介したいと思います。
 


ndjc2021-『なっちゃんの家族』-500.jpg■監督: 道本咲希(MICHIMOTO SAKI)(24)
■作品名: 『なっちゃんの家族』

■作家推薦: PFF
■制作プロダクション: アミューズ
■CAST: 上坂美来 白川和子 斉藤陽一郎 須藤理彩 山﨑 光 
<2022年/カラー/ビスタサイズ /30分/©2022 VIPO>


【STORY】
いつもと同じ平日の朝。小学4年生のなつみは登校中に突然思い立ち家出する。ランドセルをコインロッカーに預け一人遠くに住むおばあちゃんの家に向かうなつみ。突然の訪問に驚くおばあちゃんだが、なつみの心境を察して温かく迎え入れてくれる。なつみは両親の不仲がストレスとなり疲れ切っていたのだ。おばあちゃんや気取らず楽しそうに暮らす隣人と接しながらなつみの心はほぐれていくが、翌日両親が連れ戻しにやってきて・・・


【感想】
なつみを通してしか話さない家族の異様さを端的に示したイントロと、なつみを演じた10歳の上坂美来の端正な顔立ちに先ず惹きつけられた。辟易とした様子や、一人でおばあちゃん家へ向かう不安そうな様子、そしておばあちゃん家で家族の思い出に浸る様子など、終始子供目線で捉えた映像に魅入ってしまった。白川和子演じる寛大で包容力のあるおばあちゃんは、作品全体をも優しく包み込んで、こちらまで癒されるようだ。それから、バドミントンの使い方がいい。ラリーを続けるには、二人の根気強い協力が必要だからだ。人物描写やセリフ、小物に至るまで、映像で語る要素に無駄がなくセンスがいい。


ndjc2021-michimoto.jpg【コメント】
子供が子供らしくいるべき時に周囲の環境によって子供らしくいられないというのはとても悲しいこと。分かりやすいネグレクトではなく、家庭で親が喋らないという苦痛は他人には伝えにくく、そうした中途半端に仲の悪い家族を描いてみたいと思った。

物語よりなっちゃんが生きている様子を撮りたかったので、カメラの距離感や編集の繋ぎにこだわった。現場では、俳優さんたちから出されたものと自分の考えを擦り合わせてから後はお任せした。なっちゃん役の美来ちゃんは10歳だがとても頭のいい子で、こちらの要望にちゃんと応えてくれて助かった。手の動きで心情や性格などを捉えるのが好きで、今回もなっちゃんの心情を表現するのに活かされていたと思う。

(映画製作を目指したキッカケは?)親と違うことをしたかったのと、映画を観て救われたことがあったから。ダルデンヌ兄弟や是枝裕和監督のような表現の積み重ねで物語れるような作品創りを目指したい。


【PROFILE】1997年、徳島県生まれ大阪府育ち。ビジュアルアーツ専門学校・大阪を卒業。

映画予告篇の編集を経て映像プロダクションのエルロイに制作として入社。CM などの現場に携わる。その後独立し、映像作家・横堀光範氏に師事。映画・CM・MVなど幅広い映像制作に携わるべく、日々活動中。学生時代に制作した映画『19 歳』がPFFアワード2018・審査員特別賞を受賞。
 


ndjc2021-LTCB-500.jpg■監督:藤田直哉(FUJITA NAOYA)(30)
■作品名:『LONG-TERM COFFEE BREAK』

■作家推薦:SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 
■制作プロダクション:ジャンゴフィルム
■CAST:藤井美菜 佐野弘樹 福田麻由子 遊屋慎太郎 小槙まこ
<2022年/カラー /ビスタサイズ / 30分/©2022 VIPO>

 

【STORY】
大手企業に勤めるキャリアウーマンの優子は、ある日、直樹という男にナンパされる。職業は俳優、しかも自身の家を持たず、他人の家を転々と居候しながら暮らしているという、これまで出逢ってこなかったユニークなタイプの男・直樹に惹かれ、優子は一年後、彼と結婚する。結婚後、優子と直樹を取り巻くカップルたちに様々なトラブルが発生。優子の会社の後輩・みゆきは、上司との不倫が会社にバレて面倒なことに。直樹の親友・将太もまた、真希子という妻が居ながら不倫している様子。そんな中、直樹に対する優子の感情も徐々に変化していく…。


【感想】
まず優子のクールな人物像に魅了された。不倫や人事などの社内の雑音に振り回されることなく淡々と仕事をこなし、整然とした高級マンションで暮らしている優子。そこへ、自分とは真逆の風来坊のような若い男が現れ、意外性からか一緒に暮らすようになるという、そのギャップが面白い。情感より二人の関係性の変化を距離感のある描写でシンプルに描いているのが特徴。コーヒーにこだわりを持つ男に対し、明らかにある想いを膨らませていく優子の変化を捉えて、実にスリリングなのだ。優子を演じた藤井美菜の不気味なくらいの落ち着きと、思いを秘めた眼差しが作品に深みを出していたように思った。


ndjc2021-fujita.jpg【コメント】
普遍的な男女の関係をポップに撮りたかった。男性が女性を主人公に描くのにどう表現するかを特に考え、6人のキャラクターそれぞれの考え方、捉え方の違いを映画として多面的に描いた。観る人が誰に共感できるのか?というところに関心がある。

俳優さんたちの既に持っている佇まいがキャラクターに近い人を選んだ。意外とテーマ性に繋がる見え方が抑制や矯正に繋がっていたと思う。

(ラストの驚きのセリフの意味は?)それまで彼女の本心が見えてなかった部分を露出することで、意外性を狙った。

(落ち着いた映像については?)カメラを動かすのはあまり好きではなく、FIXで作った構図の中で動かすのにこだわった。

(映画製作を目指したキッカケは?)映画少年ではなかったのですが、大学に入ってからたまたま今村昌平監督の『神々の深き欲望』を観て、その凄みに魅了されて映画に興味を持ち始めた。最初は独学で実験映画を作っていたが、松本俊夫監督の『薔薇の葬列』などの作品を見始めてから本格的に始動。視覚的技術による感動、ストーリーテラーには興味がなくて、独自の映像表現が好き。アングラな実験映画を観たのがキッカケかな。


【PROFILE】1991年、北海道生まれ。明治大学法学部卒業。

大学時代より独学で実験映画を中心に自主映画制作を始める。芳泉文化財団より助成を受け制作された『stay』(2019)がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020短編部門にてグランプリ受賞。2021年には短編映画でありながら、単独でアップリンク渋谷をはじめとした全国の映画館で上映。同年ドイツの映画祭、ニッポンコネクションに参加。ALPHABOAT合同会社所属。
 


ndjc2021-『少年と戦車』-500.jpg■監督: 竹中貞人(TAKENAKA SADATO)(28)
■作品名: 『少年と戦車』

■作家推薦:東京藝術大学 大学院 映像研究科
■制作プロダクション: 東映東京撮影所
■出演:鈴木 福 黒崎レイナ 笠井悠聖 林 裕太 松浦祐也
<2022年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2022 VIPO>

 

【STORY】
中学二年生の田崎は鬱屈とした田舎町に息が詰まりそうだった。
内弁慶な友人、江田と過ごす退屈な日常やクラスメイトの滝口から受けるいじめにより、田崎の生活はとても窮屈なものになっていた。時々言葉を交わす少女、咲良に想いを馳せる事だけが彼の唯一の楽しみだった。そんなある日、湖に旧日本軍の戦車が沈んでいるという情報を手に入れる。田崎は戦車があればこの窮屈な日常を破壊できるのではないかと思い、捜索の旅に出る。そこで彼を待ち受けていたものは、自分自身の思春期と向き合う壮大な精神の旅だった。


【感想】
あの“福くん”がいじめられっ子!? (映画『KAPPEI カッペイ』(3/18公開)で特攻服着たヤンキー中学生の鈴木福を観たばかりだったので笑ってしまった)。執拗な暴力に耐えながらも「何とかしたい」と思う田崎が葛藤する姿をシリアスに演じている。“松本人志”に憧れる友人の江田が「学校なんて面白くなくても10年後には笑える」と励ます姿は健気。それとは対照的に、自分の中のイヤな気持ちを助長する妄想の中の美少女との最後の対峙に、弱い自分との訣別を示していて痛快だった。思春期らしいハチャメチャな妄想の中で、伝説の戦車を登場させたのは効果的だったと思う。


ndjc2021-takenaka-500.JPG【コメント】
実体験を基に、スクールカーストの底辺にいる人たちの友情をテーマにした。自分の学生時代を描きたいという気持ちと、浜名湖に戦車が沈められているという話を聞いて、これらを組み合わせて作品を作りたいと思った。

空想シーンは、夢とは違って色彩に濃度があると思うので、濃淡が徐々に変わっていくあたりにこだわった。空想の中と現実の主人公との違いを見せるために、主に照明でその変化を付けていった。

鈴木福君は年下だが大ベテランなので、沢山ディスカッションを重ねながら主人公のキャラクターを深めていった。俳優さんたちと色々話し合いながら作っていくのは初めてだったので、とても貴重な体験となった。

イタリア映画が好きだが、日本人の生活に根付いたものがしっかり映っている作品であれば、それはそれでグローバルな映画になると思う。日本人の映画を芸術として捉えるイメージが少ないのは寂しいと感じている。

(映画製作を目指したキッカケは?)小学生の頃に、周防正行監督の『ファンシーダンス』『シコふんじゃった』『Shall weダンス?』を母から勧められて観たのがキッカケ。今後目指したい作風でもある。


【PROFILE】1993年、三重県生まれ。大阪芸術大学卒業。

卒業制作である『虎穴にイラズンバ』が第28回東京学生映画祭 観客賞を受賞。その後、東京芸術大学大学院へと進み、藤田弓子を主演に迎えた『羊と蜜柑と日曜日』を監督し2021年劇場公開を果たした。
 


ndjc2021-『遠くへいきたいわ』-500.jpg■監督: 団塚唯我(DANZUKA YUIGA)(23)
■作品名: 『遠くへいきたいわ』
■作家推薦:なら国際映画祭
■制作プロダクション: シグロ
■出演: 野内まる 河井青葉 フジエタクマ 津田寛治 金澤卓哉
<2022年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2022 VIPO>

 

【STORY】
アルバイト先へ面接にやってきた竹内(39)をひと目見て動揺を隠せなくなる紗良(21)。自転車で帰宅する道すがら、同僚で恋人の悠人から、目を瞑って車道の真ん中に立つ竹内の姿を先日目撃したことを告げられる。怒りを露わにした紗良は去ってしまい、訳も分からず取り残される悠人だった。竹内の勤務初日、開店作業を終えたふたりはオープンを待つばかりのはずだったが…。互いに亡くしてしまった母 / 娘の面影を見出し合うふたりは、束の間の逃避行に何を求めるのか。


【感想】
母親の自死という喪失感に捉われた若い女性が、現実を受け入れ、心の折り合いをつけていく様子を冷静な眼差しで描いている。沙良を演じた野内まるの演技の硬さはあるものの、竹内に母の面影を見出そうとする一途な想いの強さは伝わってくる。一方竹内を演じた河井青葉は、突拍子もない沙良の言動に戸惑いながらも、彼女の喪失感を受け止める大人の優しさを示していた。一歩先に踏み出すようなラストは再生の可能性を感じさせたが、共感するまでには至らなかった。


ndjc2021-danzuka.JPG【コメント】
テーマは喪失。作品に込めた想いは、喪失感とどう折り合いをつけながら生きていくかということ。

本格的映画製作は初めてだったので気合を入れて撮ったが、正直きつかった。見て欲しいところをひとつに絞るのは難しい。主役の野内まるさんとは本読みしたりリハーサルを重ねたりして演じてもらった。俳優さんを信頼するのが大前提だと思っている。他のスタッフの方々とも、協力してもらうという関係性ではなく、一緒に作品を作っていくという感覚だった。

好きな監督は、レオス・カラックス監督、塩田明彦監督、黒沢清監督。それぞれの作品に共通するような緊迫感のある作品を撮って行きたい。


【PROFILE】1998年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部中退。映画美学校フィクションコース22期修了。

修了作品として制作した『愛をたむけるよ』が、なら国際映画祭、下北沢映画祭、TAMA NEW WAVE、うえだ城下町映画祭 等の映画祭で入選、受賞。
 


【上映劇場】

2/25(金)~3/3(木) 東京・角川シネマ有楽町

3/4 金)~3/10(木)大阪・シネ・リーブル梅田

3/18(金)~3/24(木)名古屋・ミッドランドスクエア シネマ


(河田 真喜子)

 

 
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 『害虫』『抱きしめたい -真実の物語』の塩田明彦監督が、前作『さよならくちびる』に出演した元さくら学院のメンバー、新谷ゆづみと日髙麻鈴を主演に書き下ろした最新長編作『麻希のいる世界』が、3月18日(金)より出町座、京都シネマ、シネマート心斎橋、3月19日(土)より元町映画館で公開される。
 
 重い持病を抱え、ただ「生きる」ことを求められてきた高校生、由希(新谷ゆづみ)は、海岸で、学校でほとんど見かけることのない同級生、麻希(日麻鈴)と運命的な出会いを果たす。麻希の歌声とその才能に魅了された麻希、由希と義理のきょうだいになるかもしれない不安を抱え、麻希に傾倒する由希に嫉妬心を覚える祐介(窪塚愛流)、そして自己肯定感を持てず、男や周りの人間を振り回してしまう麻希の3人が、孤立を恐れず、相手への自分の気持ちをぶつけ、自分の愛にまっすぐな姿は、破滅的である一方、清々しく、そして羨ましくもある。かけがえのない10代を全力で生きる彼らの姿は、自粛を強いられる今の学生たち、そしてわたしたちに強烈なメッセージを伝えているかのようだ。
強い眼差しで、映画を引っ張る新谷ゆづみ、周りを翻弄するキャラクターを歌とともに表現する日麻鈴、そして映画では本格出演作でありながら、ジャックナイフのような繊細さをみせる窪塚愛流。3人がみせる青春のひたむきさや輝きは、その強さとともに近年の青春映画の中で群を抜いている。
本作の塩田明彦監督にお話を伺った。
 

 

 

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■『さよならくちびる』でのふたりの演技に「もう一歩先に進んでもいいのではないか」

――――本作は、『さよならくちびる』のワンシーンで共演した新谷ゆづみと日麻鈴を主演に塩田監督が脚本を執筆したオリジナルストーリーですが、そこまでしたいと思わせたふたりの魅力とは?
塩田:ふたりが以前在籍していたアイドルグループ、さくら学院はその活動から派生したバンドユニットBABYMETALが生まれているので、面白そうな人たちがいると注目していたのです。演技に関しても何かいいものを持っているのではないかという直感から、新谷さんと日さんを『さよならくちびる』でキャスティングしました。小さな役ではありましたが、自分の見る目が間違っていないことを証明したかったという作り手の欲求もあったのでしょう。現場では、日さんが脚本にないのに突然歌い出したり、即興があり、それが確実に映画を面白くしてくれたという手応えがありました。
 
――――なるほど、見る目は間違っていなかったと。
塩田:そうなんです。それならばもう一歩先に進んでもいいのではないかと思ったのが動機の一つでした。もう一つは、様々な若手の女性監督から、僕の初期作で10代の若者を描いた『月光の囁き』や『害虫』が好きで、映画を撮るきっかけになったと言われることが度々あったこと。とても嬉しいし、それならば僕も歳を重ねたけれど、もう一度、今の自分に何がやれるかをふたりと共に試してみたい。そういう僕のチャレンジ精神がふたりと出会ったことでピタリと重なりました。
 
――――本作の脚本を書かれたのは、緊急事態宣言が最初に発出された2020年の春だそうですが、おそらく全ての仕事がなくなった状況下、そのことが脚本にどんな影響を与えたのでしょうか?
塩田:新谷さん、日さんを主役にした物語を書こうと思ったものの、他の仕事もあり、脚本を書くきっかけがないまま時間が過ぎていたところに、緊急事態宣言が発出され、本当に全ての仕事がストップしてしまった。何にもやることがなくなり、この先どうなるかわからない状況の中、いい機会だから懸案だった10代の少年少女たちの話に取り組もうと1ヶ月ぐらい集中して書き上げました。
 
 
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■コロナ下で考えた、人間が生きる意味

――――新谷さんが演じる主人公、由希は、病を抱え、無理をしないように医者からも釘をさされます。彼女の置かれた状況は、コロナ下で生きるわたしたちの状況ともどこか重なる気がしましたが、今だからこそ込めたキャラクターに対する設定はあるのですか?
塩田:命を大事にして生きなさいと言われている女性が、それを理由に自分の手足で色々なことを経験する機会を奪われているというのは、コロナ下の小中高校生たちの有り様そのままですよね。緊急事態宣言の時に、社会がどうあるべきかという議論があり、様々な有識者が持論を語るなかで、わたしが一番しっくりきたのは、イタリアの哲学者の方の言葉でした。イタリアでは、コロナに感染したら、亡くなって埋葬されるまで家族は患者と会うこともままならない。そんな極端な状況に異議を唱え、生きるためには感染しない生き方を第一にしていると、人間が生きる意味を失ってしまうので、そうではない道を模索するべきだと。僕も正にその通りだと思うし、その考えが本作に大きな影響を与えていますね。
 
 
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■振り回される由希は、徹底的に強い人物

――――今の若い世代は共感世代とも呼ばれ、周りと違うことを恐れる傾向にあるなか、本作では登場人物たちそれぞれが、自分の想いを全力で相手にぶつけていきます。破滅的である一方、どこか憧れを抱く部分もありました。セリフも強いものばかりですが、演じたおふたりに対して、どのような演出を行なっていったのですか?
塩田:麻希はファムファタールで、彼女の美しい歌声が、いつの間にか周りを惑わせ、破局へと導くような人です。日さんもファムファタールという言葉をご存知だったので、「すごく精神の強いファムファタールですよね」と意見が一致しました。一方、麻希からひどい目に遭いながらも彼女に食らいついていく由希を演じる新谷さんには「麻希に振り回されているからとか、病弱だからといって、弱い人では決してない」とお話ししました。
 由希が麻希と出会うことで呼び覚まされた力は、彼女が本来持っていたとても強い力であり、それは生きる力であったり、生きる手応えを掴む力かもしれない。今、自分を生きている証を掴むという意志は麻希以上に強いんです。設定的には過度なストレスで急激に健康状態が悪化してしまう人ですが、エモーションも強いし、いまどきこんな人はいないというぐらい、徹底的に強いという人物像にしました。
 
 
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■ふたつの眼差しの物語

――――眼差しの強さ、セリフの強さに圧倒されました。一度決めたことに揺らぎがないという精神面での強さですね。

塩田:ふたりに敢えて伝えなかったけれど、眼差しがとても大切だということは、脚本を書くときから映画が完成するまでずっと自分の頭のなかにありました。特に新谷さんは彼女の眼差しの奥に垣間見える感情がとても豊かで、些細な眼差しで感情表現が上手いことは『さよならくちびる』の芝居から伺い知ることができました。由希にはその眼差しが必要なのです。一方、麻希は人を吸い寄せるような眼差しで見るけれど、その瞳の奥では何を考えているのかわからない。ミステリーを感じさせる瞳なんです。日さんご自身はおっとりした方ですが、ミステリーを感じさせるルックスを持っておられる。そのふたつの眼差しの物語ですよね。
 
――――そのふたつの眼差しのなかに入ってくるのが、窪塚愛流さんが演じた祐介です。強い個性を放つふたりと関わる人物ですから、よほどの存在感がなければ食われてしまいかねない。キャスティングは難しかったと思いますが、窪塚さんをキャスティングした決め手は?
塩田:主演ふたりと祐介の父役で井浦新さんが先に決まっていて、祐介はなかなか決まらなかった。そこで窪塚愛流さんが本格的に俳優活動を始めたという情報を掴み、一度会うことになりました。もう会ったら、まさに一目惚れで、この人しかいないと思いましたね。僕としてはすごくうまくいったと思っています。祐介はマッチョなタイプではなく、繊細な心の持ち主である一方、ストイックに何かを求めている。由希は一途な眼差しですが、それとは少し違う真剣な眼差しを持っているんです。自分を律している人が持つ真剣さですね。
 
 
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■向井秀徳に託した、社会に対する情念の音楽

――――本当に、真剣さゆえの狂気も感じる、見事な存在感でした。最後に麻希の歌声が物語を大きく動かしていきますが、本作の音楽について教えてください。
塩田:脚本を書きながら、自分が思っている以上に世の中に対する静かな、言葉にならない怒りがこみ上げている気配がそこここに漂っていたので、社会に対する情念の音楽といえば、向井秀徳さんだろうとオファーを考えていました。書きあがって映画を作る段階で、すぐにメールを送りましたね。
 
――――劇中歌の「排水管」は、『さよならくちびる』のハルレオの曲とはまた違う野太さというか、突き上げる感情がありましたね。
 
塩田:『さよならくちびる』の設定は、かつて向井秀徳さんのバンド、ナンバーガールが急遽解散が決まったものだから、発表をしてから解散全国ツアーをやったときの記憶から生まれたものでした。映画が仕上がったらナンバーガールも再結成したので、映画とリンクしている気がしたのです。『さよならくちびる』のハルレオの音楽と、向井さんの音楽は違う気がしたので、あいみょんさんや秦基博さんにお願いしたのですが、今回は向井さんだろう!と。
 
――――麻希の辿ってきた人生と重なり、そして力強い曲でしたね。そして麻希の歌声と同様に由希が流す一筋の涙も美しかったです。
塩田:中森明夫さんから、「塩田さんの映画は、いつも美しい叫びなんだ」と言っていただき、とても感動したのですが、美しいのはそこに愛が込められているからなのです。麻希の歌声もある種、呪いのように響いているかもしれないけれど、それは美しい叫びです。それに応える由希の涙もまた、美しい叫びだと言いたいですね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『麻希のいる世界』(2022年 日本 89分)
監督・脚本:塩田明彦
出演:新⾕ゆづみ、⽇⿇鈴、窪塚愛流、鎌⽥らい樹、⼋⽊優希、⼤橋律、松浦祐也、⻘⼭倫⼦、井浦新 
2022年3月18日(金)よりシネマート心斎橋、京都シネマ、出町座、3月19日(土)より元町映画館にて公開
公式サイト https://makinoirusekai.com/
(C) SHIMAFILMS
 

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(2022年2月11日(金・祝)大阪、梅田ブルク7にて)

ゲスト:甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督



名バイプレイヤー甲本雅裕、映画初主演

「この日が待ち遠しかった。感謝しかない!」

ほか戸田菜穂・錦織良成監督 登壇


公開延期から2年を経て、本日2月11日(金)に全国公開を迎えた映画『高津川』東京はバルト9に続いて、大阪は梅田ブルク7で、甲本雅裕、戸田菜穂、錦織良成監督による初日舞台挨拶が開催された。
 

一級河川としては珍しいダムが一つも無い日本一の清流「高津川」を舞台に、人口流出に歯止めのかからない地方の現実の中、歌舞伎の源流ともいわれる「石見神楽」の伝承を続けながら懸命に生きる人々を力強く描いた本作。コロナ感染拡大による緊急事態宣言を受け2020年4月に公開延期を強いられていたが、約2年を経て念願の全国公開を迎えた。

 


takatsugawa-bu-240-4.jpgこれまで名バイプレイヤーとして活躍し、錦織監督作品の常連でもあり、監督との兼ねてからの約束通り本作で映画初主演を果たした甲本は、「この日を待ち望んでおりました。世の中の状況はまだ大変ですが、僕はベストな日に公開ができたと思っています。感謝しかありません。頭や心が大変な思いでパンパンになって困っておられる方に、我々は一体何ができるだろうか?そう考えたら、少しでも心に隙間を空けて頂いて、楽しいことだけを詰めて差し上げることができればと思っております」と、公開を迎えた歓びを語った。



 


takatsugawa-bu-240-3.jpgまた、NHK大阪局制作の朝ドラに出演していた戸田は、「大阪でも公開されて本当に嬉しいです。あの頃が思い出されて懐かしい。この映画は、いつ観ても心に響く、心の豊かさとは?自分の幸せとは?本当に大切なものとは?といろんな想いを馳せられる作品だと思います。今日はこの映画を選んで下さいまして、心が響き合えるようです。」と初日を迎えて嬉しそうに語った。


地元・島根県で撮影を行った錦織監督は、「この2年間は長かったです。またしても感染拡大となりましたが、これも運命!キャストを始めスタッフや皆で丁寧に想いを込めて撮った作品です。本日は『スパイダーマン~』や『ウエスト・サイド・ストーリー』ではなく、この地味なタイトルの映画を選んで観に来て下さいまして本当にありがとうございます!舞台は島根ですが、日本全国津々浦々どこにでもある話です。勝手な思い込みですが、皆様の物語として少しでも勇気を持って頂けたら嬉しいです。」と本作への思いを語った。


takatsugawa-550.jpgのサムネイル画像1か月以上に及ぶ撮影期間でじっくりこだわり抜いて撮られたシーンの数々は殆どが現地の方の家や山林や田畑でのロケーションが中心。中でも牧場主を演じた甲本は、「衣装も道具も全て実在の牧場主の方が実際に使っておられる物をそのまま使わせて頂いて、食事のシーンでもそこの奥さんが作って下さった料理を食べさせてもらいました。普通、”消え物“はスタッフが用意するでしょう!? こんな現場ないですよ!」と当時の驚きを語った。


takatsugawa-bu-240-2.jpgそれに対して監督は、「そうなんです!ありのままの状態がいいんです。せっかく綺麗にお掃除して撮影隊を迎え入れて下さったのに、わざわざまた汚したりしてね。戸田さんが演じる役の実家のシーンも、地元のお菓子屋さんの店内や看板をそのまま使わせて頂きました。この映画はフィルムで撮っています。デジタルよりクオリティが高いことは皆様もご存知だと思いますが、細部までこだわろうと、丁寧に撮りました。」と自信をのぞかせた。


監督に地元に馴染むようにと言われた戸田は、「撮影があまりにも居心地がいいので、撮影が終わってほしくなかったです。特にスタッフの皆さんのエネルギーが凄くて最高でした。青々とした山、美しい川や田んぼがあって…」と言いかけると、甲本が、「土手に錦織監督が座ってると、まるでプーさんみたいで!」と場内を笑いの渦に巻き込んだ。確かに、恰幅のいいにこやかな錦織監督はプーさんのイメージにぴったし!


takatsugawa-bu-240-1.jpg最後に、戸田は、「この映画はこれから全国順次公開されますが、それぞれの土地で生きる人々の心の灯になれば嬉しいです。是非ロケ地巡りをしてみて下さい!」。錦織監督は、「少しでも気に入って頂けたらSNSなどで拡散して、皆さんのお力をお借りできれば嬉しいです」。甲本は、「面白かったと思って頂けたなら、観た後に誰かと話すキッカケにして下さい。こんな時期ですが、マスクをしてどんどん出掛けて、誰かとお話をして繋がりましょう!」と締めくくった。


錦織監督のお人柄からさぞかし和やかな現場であったことは容易に想像できる。過疎化が進む地方での暮らしの中で、人と人との繋がりの温もりや、本当の幸せについてなど、忘れてはならない大切なものを思い出させてくれる感動作。今どきこれほど身につまされて心揺さぶられる映画も珍しい。
 


【STORY】

~これはきっとあなたの物語~

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斎藤学(甲本雅裕)は山の上の牧場を家族で経営している。歌舞伎の源流ともいわれる「神楽」の舞いは地元の男たちの誇りだった。だが、息子の竜也は神楽の稽古をさぼりがちであまり興味がなさそうなのだ。多くの若者がそうであるように自分の息子もこの地を離れて行ってしまうのではと心配している。そんな時、学の母校である小学校が閉校になることを知らされ、各地に散った卒業生に連絡して、最後の同窓会を開催することを計画する。

 

■原作・脚本・監督:錦織良成  音楽:瀬川英史
■出演:甲本雅裕、戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英、奈良岡朋子
■2020年 日本 1時間53分
■配給: ギグリーボックス  
■© 2019「高津川」製作委員会 ALL Rights Reserved.
■公式サイト:https://takatsugawa-movie.jp/

2022年2月11日(金・祝)~梅田ブルク7、2月25日(金)~京都シネマ ほか全国順次公開


(河田 真喜子)

 

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(2020年3月11日(水)大阪にて)

 

身につまされながらも清流のような優しさに癒される至福の映画

 

島根県西部の石見地方を中国山地から日本海へ流れる「ダムが一つもない一級河川・高津川」を舞台にした映画『高津川』が、2年間の公開延期を経て2月11日(金・祝)よりようやく公開される。中国地方では2019年11月から翌年の3月までロングランヒットを飛ばした作品の満を持しての全国公開となる。


takatsugawa-550.jpg高津川の清流沿いの豊かな自然の恩恵を受けながら、地元の産業や伝統芸能を大切に守り、そして継承しようとする人々の想いを、柔らかなタッチの映像とストレートに心に響く言葉で綴られている。今どきこれほど激しく共感できる映画も珍しい。「親心、子知らず」と言われるが、まさに我がことのように身につまされ、改めて故郷への想いがつのり心苦しいほど胸を打つ感動作なのである。


takatsugawa-inta-240-1.jpg本作を手掛けたのは、『渾身 KON-SHIN』(13)、『RAILWAYS-49歳で電車の運転手になった男の物語-』(10)や『白い船』(02)など、自身の出身地・島根県を舞台にした作品が多い錦織良成監督。本作では、「古事記」や「日本書紀」などの神話の郷でもある出雲の国の今を、自然の美しさや歌舞伎の源流ともいわれる伝統文化「神楽 KAGURA 舞」などを盛り込みながら、希薄になりがちな人と人との繋がりを今一度取り戻すことに成功している。


この錦織監督インタビューは、2020年3月に、翌月からの公開を前に大阪市内にある島根ビル内で行われた。「コロナ禍は今ここにある危機、『高津川』は20年後の危機。高齢化が進む地方を舞台にした映画ですが、カテゴリーに拘らず、若い人にも観てほしい。そして皆さんに考えて頂きたい。」と本作にかける熱い想いを語った。


takatsugawa-500-1.jpg「親の心、子知らず」、改めて親の心情に触れて、愛されていた自分の至福に気付いて、情けないほど心がかき乱されてしまいましたが――?

地方で生まれ育った若者は、そのまま地元に残る者は少なく、都会へ出て行く者の方が多い。次第に高齢化が進み、先祖伝来の山野や田畑の維持も難しくなりつつある。子供の希望を大事にするあまり、子供に家を継がせたくても言い出せない親。子供の幸せを一番に願う年老いた親の背中がいつの間にか小さくなっていく。進学のため苦労して仕送りし、生活の足しにと愛情いっぱい詰まった物資を送る。でも、卒業したらいつの間にか帰ってこなくなり疎遠になってしまい…「親はつまらん」とこぼしながらも、常に子供のことを心配する親。

そんな親の想いを感じて、たまには田舎に帰ろうかなとか、親に電話してみようかなとか、田舎の家を修理しようかななどと、少しでも思って頂ければ、それだけで嬉しいです。


今回島根の独自性を盛り込みながら家族愛を描いておられますが、地方を舞台にした映画を撮る事について――?

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よく「島根の映画を撮っている人」とか言われます(笑)。島根は「古事記」や「日本書紀」などの伝説の郷として知られていますが、映画は表現のためのコンテンツなので、誰かのためとか宣伝目的で作るものではなく、あるテーマを表現している作品でなければならないと思っています。島根で開催している映画塾でも、「本当に島根のための映画を撮りたいのなら、先入観を壊すような、人の心を動かすような映画を撮るべき」と教えています。YouTubeの時代だからこそ、フィルム撮影でしか出せないものを、じっくり時間をかけて、奇をてらわずふりきって撮りました。若い人も含めて映画の良さを再認識して頂くためにも、是非映画館で観てほしいです。


ストレートなセリフに心を鷲掴みされました。特に甲本雅裕さんと高橋長英さんのシーンに一番泣かされましたが――?

俳優さんたちにも「大丈夫かな?クサくならない?」と確認しながら脚本を書いてました(笑)。甲本さんには7本の作品に出てもらっていて、10年前に「いつか主役で撮りたいね」と言っていたので、今回は甲本さんあてがきにしました。寡黙な父親役ですが、台本変えなくてもキャラクターを理解して演じられるのも甲本さんの才能。高橋さんも3本目ですが、さすがにベテランの妙です。奈良岡朋子さんには、『RAILWAYS - 49歳で電車の運転手になった男の物語 -』(2010年)に出てもらった時、「今後も全部の作品に出るわ」と仰って頂いて、今回実年齢(91歳)より20歳も若い郷土料理が上手なおばあちゃん役を自然体で演じて下さいました。

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演出について?

今さら言うことではないのですが、俳優さんは皆さん素晴らしいので、俳優さんたちの力を引き出すのが僕の仕事だと思っています。才能以上のものを出してもらうための現場作りをするのが監督の役目です。今回は地味なタイトルで勝負しておりますが、WEBなどでいくら便利な世の中になっても、最後はアナログというか、直接心に響くものが伝わると信じて演出しています。
 



■原作・脚本・監督:錦織良成  音楽:瀬川英史
■出演:甲本雅裕、戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英、奈良岡朋子
■2020年 日本 1時間53分
■配給: ギグリーボックス  
■© 2019「高津川」製作委員会 ALL Rights Reserved.
■公式サイト:https://takatsugawa-movie.jp/

2022年2月11日(金)~梅田ブルク7、2月25日(金)~京都シネマ ほか全国順次公開


(河田 真喜子)

 

 

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アカデミー賞®受賞製作チーム『ジュディ 虹の彼方に』『クィーン』
×
ロジャー・ミッシェル監督『ノッティングヒルの恋人』


オスカー俳優 ジム・ブロードベント『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
×
ヘレン・ミレン『クィーン』


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知られざる名画盗難事件の背景を、徹底解剖!

 

ロジャー・ミッシェル監督長編遺作となる映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』(2月25日(金)全国公開)。この度、本作の公開に先立ち、2月1 日(火)都内で先行上映を実施し、上映後に評論家・山田五郎さんと、ウェブ版「美術手帖」編集長の橋爪勇介さんが登壇しトークイベントを開催致しました。


◆日程:2022年2月1日(火)

◆会場:ユーロライブ(東京都渋谷区円山町1-5)

◆登壇:山田五郎(評論家)、橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)



オスカー俳優ジム・ブロードベントとヘレン・ミレン共演の映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』公開記念イベントが2⽉1⽇(火)都内で開催され、評論家・山田五郎さんと、ウェブ版「美術手帖」編集長の橋爪勇介さんが登壇した。


goyadoro-pos.jpg本作は、ロンドン・ナショナル・ギャラリー史上唯一にして最大の事件、1961年に起きたフランシスコ・デ・ゴヤの肖像画<ウェリントン公爵>盗難事件の知られざる真相を描いた衝撃の実話。犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。TVに社会との繋がりを求めていた時代、孤独な高齢者のために盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。橋爪さんから映画の感想を聞かれた山田さんは「本作の面白いポイントは台詞。夫婦のやりとりも面白いけど、特に裁判のシーンのセリフ回しは、イギリスらしくユーモアにあふれている」と語り、本作で主人公を陰ながら支える妻役のヘレン・ミレンのことも「実にイギリスらしい女優。エリザベス女王から、スパイ役、本作ではニューカッスルという田舎の労働者の奥さん役まで演じられる。役柄が幅広く、大好きな女優さんです」と語った。


まず、映画に登場するロンドン・ナショナル・ギャラリーについては「ヨーロッパの美術館は王室コレクションがベースとなった美術館が多いが、ここは個人コレクションから始っているのが珍しくて異色。銀行家であるジョン・ジュリアス・アンガースタインの個人コレクションがベースになっていて、その後国が買い上げて市民のために運営していっているので、非常に開かれた美術館であること。イギリスはヨーロッパ全体においてターナーが登場するまで、絵画の分野で美術後進国と言えるので、ナショナル・ギャラリーが美術史を教えようとしている教育的配慮があり、西洋美術史を俯瞰するようなコレクションになっている」と語った。


goyadoro-ivent-500-1.JPG自身の留学時代、パスポートを盗まれ再発行のために1カ月ほど思いがけずロンドンに滞在することになった思い出を語り、「大きすぎない、ちょうどいいコンパクトさで見やすく回りやすい美術館で、自分が一番勉強になった美術館だった。毎日のように大英博物館とナショナル・ギャラリーに通った。当時は地下にあった、今までナショナル・ギャラリーが買ってしまった偽物を展示している贋作の部屋が、本当に勉強になった。そういった絵を展示している美術館は、懐が深いというか、すごいと思った」と語った。


goyadoro-500-8.jpgまた、イギリスの英雄である絵画〈ウェリントン公爵〉のアメリカへの流失を防ごうとする映画のいくつかのシーンについては、「海外では自国の貴重な絵画が流出することに対して世論が高まり、その絵画を国として買い戻そうとした例がいくつかあるが、日本では驚くほどそれがない。さらっと流失して、里帰りして戻ってくることもある」と語った。


「『ウェリントン公爵』の表情については、無表情だ、冷たい顔をしている、と評されることがあって、ゴヤはウェリントン公爵に反感をもっていたのではないかと言われるが、そんなことはない。彼は数多くの戦勝を上げて公爵までスピード出世した軍人であり、ナポレオン率いるフランスからスペインを救った英雄なので、ゴヤは宮廷画家としてきちんと描いた。ゴヤは本当に絵が上手い人で、実際にウェリントンさんは戦争続きで本当に疲れた顔をしていたんだと思う(笑)。トーマス・ローレンスというイギリスの宮廷画家が描いたウェリントンも疲れているから、本来この顔なんだよ(笑)」と山田さんが語り、会場を沸かせていた。


goyadoro-500-7.jpg最後に、「60年代のロンドンが忠実に表現された、時代を感じる映画だと思う。おそらく当時の映像も使用されているんじゃないかな。主人公は労働者だけど、戯曲を書いたり本を読んだり、昔の労働者階級は教養があったんだなと思った。かつての日本も同じだったと思う。この事件が起こった1961年は、ガガーリンが月に行った、ケネディが大統領になった、日本ではトリスを飲んでハワイに行こう、と言っていた時代だった」と懐かしく語った。
 


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【STORY】

世界中から年間600万人以上が来訪・2300点以上の貴重なコレクションを揃えるロンドン・ナショナル・ギャラリー。1961年、“世界屈指の美の殿堂”から、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。孤独な高齢者が、TVに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が・・・。当時、イギリス中の人々を感動の渦に巻き込んだケンプトン・バントンの“優しい嘘”とは−!?
 

監督:ロジャー・ミッシェル(『ノッティングヒルの恋人』『ウィークエンドはパリで』)
出演:ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィオン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グード
後援:ブリティッシュ・カウンシル 
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2020年/イギリス/英語/95分/シネマスコープ/5.1ch/原題:THE DUKE /日本語字幕:松浦美奈
©PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020

公式HP:happinet-phantom.com/goya-movie/ 
公式Twitter:
@goya_movie

作品紹介はこちら⇒

2022年2月25日(金)~TOHOシネマズ シャンテほか全国公開


(オフィシャル・レポートより)

 

 
 

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『プレゼントラフター』プレスシート(マスコミ向け非売品)プレゼント!

(ブロードウェイ版の演出家、モリッツ・フォン・スチュエルプナゲル氏の貴重なインタビューが掲載されています。)

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◆提供:松竹

◆プレゼント数:3 名様

◆締め切り:2022年3月11日(金)

公式HP: https://broadwaycinema.jp/

 

2022年3月11日 (金)~なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹にて全国公開

 


 

“お相手の本音、おしえますー。”

ブロードウェイが熱狂した恋愛アカデミー!?

ケヴィン・クライン、トニー賞 演劇主演男優賞受賞作品!

人間は、いくつになっても恋をする。役者魂、ここにあり。

 

アカデミー賞&トニー賞をW受賞したキング・オブ・アクターであるケヴィン・クラインが主演し、第71回トニー賞演劇主演男優賞を受賞した記念すべき作品であり、英国の劇作家・俳優・音楽家として大成功を収めたノエル・カワードが、“ミドルエイジの危機と悲哀”に陥った大人気喜劇俳優の姿を描いた極上のコメディがブロードウェイシネマとして登場!

大ヒット映画『アベンジャーズ』シリーズのマリア・ヒル役を演じ、本作がブロードウェイ・デビュー作となるコビー・スマルダーズにもぜひご注目ください。
 

【STORY】

舞台はイギリスのロンドン、1900年代前半。ギャリーはミドルエイジの大人気喜劇役者。腐れ縁の(元?)妻、自分の事を親よりも知っている秘書、恋仲の女流作家と、ギャリーに好意を持つ男性作家に若い女性―。今日も個性的な面々に囲まれながら、本心を言い出せないギャリー。

果たして、ギャリーは最後まで“プレゼント・ラフター(今の笑い)”を演じきることが出来るのか!?


【キャスト/制作】

ノエル・カワード 作『プレゼント・ラフター』
出演:ケヴィン・クライン、ケイト・バートン、クリスティン・ニールセン、コビー・スマルダーズ
装置デザイン:デビッド・ジン
衣装デザイン:スーザン・ヒルファーティ
照明デザイン:ジャスティン・タウンセンド
音響デザイン:フィッツ・パットン
ブロードウェイ版制作:ジョーダン・ロスほか
映画版制作:スチュワート・ F・レーンほか
エグゼクティブ・プロデューサー:スチュワート・ F・レーンほか
ブロードウェイ版演出:モリッツ・フォン・スチュエルプナゲル
シネマ版監督:デヴィッド・ホーン
配給:松竹  ©BroadwayHD/松竹
〈米国/2017/ビスタサイズ/136分/5.1ch〉 日本語字幕スーパー版

公式HP: https://broadwaycinema.jp/

2022年3月11日 (金)~なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹にて全国公開
 


(オフィシャル・リリースより)

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イタリア初の長編映画『インフェルノ』、記念碑的作品の製作&復元舞台裏を明かす。
@第13回京都ヒストリカ国際映画祭
動画コメント:カルメン・アッカプートさん (チネテカ・ディ・ボローニャ財団) 
 
 
1月22日から開催中の第13回京都ヒストリカ国際映画祭。2日目となる1月23日は、今回新たに加わったボローニャ復元映画祭連携企画で、ダンテ没後700年にちなみ、2007年に復元、2021年に同映画祭で再び紹介された無声映画『インフェルノ』(1911)が、楽士、鳥飼りょうさんのピアノ伴奏付きで上映された。
※1月24日(月)~1月30日(日)までオンライン上映配信中。
 
 黒いアップライトピアノが置かれた京都文化博物館3Fフィルムシアターでは、本企画の立ち上げから交渉、実現まで尽力されたイタリア文化会館-大阪の山本慶子さんによるご挨拶の後、鳥飼さんの情緒豊かな演奏と共に、イタリアを代表する詩人、ダンテ・アリギエーリの「神曲」第1篇地獄篇を原作にした、地獄のイメージが折り重なる本作が110年前の作品とは思えないほどの鮮やかさでスクリーンに映し出される。私利私欲に蝕まれると、どんな恐ろしい獣の餌食になってしまうのか。映画誕生黎明期において、当時の最先端だった特撮技術や、山岳ロケ、そして幻想的なモンタージュを駆使し、当時の知識人や高階級の人々を虜にした圧巻の65分を多くの観客と共に味わい、京都ヒストリカ国際映画祭の新たな歴史の1ページが刻まれる1日となった。
 
 上映後は、『インフェルノ』の復元にあたったチネテカ・ディ・ボローニャ財団カルメン・アッカプードさんによる動画コメントが上映され、『インフェルノ』製作の舞台裏や、当時格下と見なされていた映画が文化としての地位を確立し、知識人に支持され、海外にまで広げる戦略、そして2年がかりの復元作業について細部まで詳しく説明してくださった。その内容をかいつまんでご紹介したい。
 
 
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■知的な観客層を獲得するための挑戦的な企画

 イタリア無声映画史上最重要作の一つである『インフェルノ』は、当時300mが通常だったフィルムの長さが一気に1000mを上回り、イタリア初の長編となった。長さだけでなく、かけた製作費、宣伝費も破格で、イタリアで初の映画賞を受賞した作品としても歴史に名を残しているという。
 
 もう一つ忘れてはいけなのが、演劇や文学と同様に、イタリア映画で初の著作権認定を受けた点だとアッカプードさん。当時、まだ生まれたての映画産業は、歴史のある演劇や知識人の集まる文化サロンと比べて、低俗な見世物とみなされていたが、徐々に映画が産業として確立され、1905年にミラノ在住の投資家グループが設立したサッフィ・フィルム社は、記録映画の技術者として有名なルーカ・コメーリオと提携し、知的な観客層を獲得する作品の製作を模索していったという。そのような文脈の中で挑戦的な企画として浮上したのが、ダンテ・アリギエーリの『神曲』最初の詩篇[『地獄篇』;インフェルノ]の映画化だった。監督には、ダンテ作品を専門とする文学者、アドルフォ・パドヴァン、
ダンテ研究の第一人者、フランチェスコ・ベルトリーニ、そして監督経験のあるジュゼッペ・デ・リグオーロの3人が招集され、映画の特殊効果の専門家に加え、芸術家や舞台美術家、さらに作品をより充実させるためのアドバイザーまで参加。書籍として出版された『神曲』の挿絵を描いたギュスターヴ・ドレの作品が、地獄篇を視覚的に物語るモデルとして採用されたという。
 
 
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■世界で大ヒットを果たしたことで、復元用の素材が残っていた

 撮影開始後、野外撮影で膨大なコストがかかり、1909年夏の終わり、地獄篇の冒頭が出来上がった時点で、サッフィ社幹部はミラノ初開催の映画祭に「ダンテの詩篇に関する試論」(仮題)で出品。未完成ながら大賞を受賞したことで、『インフェルノ』は大きな注目を浴び、完成版への期待度が高まったという。最終的に経営が圧迫したサッフィ社は倒産、新たな資本が入り、ミラノフィルム社が映画を引き継ぎ、1911年3月1日、ナポリのメルカダンテ劇場において『インフェルノ』は初上映された。当時から世界中でイタリア文化の振興に影響力のあったダンテ・アリギエーリ協会による助成の力も大きかったと語るアッカプードさん。以降 各地の協会支部がイタリアの主要都市での上映実現に尽力し、海外配給も実現。映画と共に、ダンテ文学の世界普及、さらにイタリア文化の振興役ともなった。数多くの上映用フィルムが複数の再編集を経て、様々な時代に作られていた『インフェルノ』は、フィルム復元に向けての素材調査の結果、14本ものフィルムが世界各地で残っており、「世界の無声映画の約80%が失われているので探すのはとても困難、こんなに残っているのは稀です」とアッカプードさんは力を込めた。
 

■2年がかりの復元作業、「物語としての完成度と見た目の美しさ」を目指して

 14本の素材のうち9本は不燃性の白黒フィルムに焼き付けられた複製物、残りの5本は可燃性フィルム(ナイトレート)で着色されたポジフィルムで、その中の1本が製作当時のものと特定されたという。
 
 復元にあたって大事な「物語としての完成度と見た目の美しさ」にのっとり、1911年の上映版(イタリア版)を製作者の望んだ通りの正しい順番のバージョンとして採用。美学的視点からは、作品の編集に使える最も画質の良い素材を探すのが復元者の仕事で、復元における最終的な色彩の決定も行うのだ。
 
 緻密に比べる作業を続ける一方で、トレントのダンテ像が最終カットに使われていたバージョンを見つけた時は、ほかのフィルムでは見つからなくても当時のパンフレットを調べ、物語の最後にダンテ像があったことを推測。また、題字やインタータイトルなどの
文字の復元では『インフェルノ』の直後にミラノフィルム社が製作した作品『オデッセイ』のタイトル装飾と照合し、正しいバージョンを推測する作業を行っていたとアッカプードさんは説明。欠損した箇所も調査研究により仮説を立て作業にあたるというアッカプードさん。「私たちに教える全ての材料を突き詰めて研究することで、復元者の疑問に対する答えは必ず見つかるのです」
 
 
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■ボローニャ復元映画祭と“未来のシネフィルを育てる”

 国際フィルムアーカイブ連盟FIAFに参加し、アーカイブでの保存という根本的な活動の
さらに先を見据え、保存する貴重な映画遺産を誰もが利用したり、鑑賞できるための復元を専門のラボ、リンマージネ・リトロヴァータで行うのが、チネテカ・ディ・ボローニャ財団の取り組みの中心になっている。今やパリ、香港にも新拠点が作られており、世界の映画祭でのクラッシック部門での上映だけでなく、イタリアの地元、ボローニャで毎年夏に開催される「ボローニャ復元映画祭」では、多くが35mmフィルムで500本ものクラッシック作品が上映され、期間中のべ10万人の観客が参加するという。中でも中心部にあるマッジョーレ広場の野外上映は市民に広く開放されており、まさに『ニュー・シネマ・パラダイス』さながらだ。また、小学生向けの上映付きセミナーの講師をチネテカ・ディ・ボローニャの技術者が担当することで新世代のシネフィルの育成も行なっている。また、チネテカ・ディ・ボローニャが復元した旧作や名作のプログラムを作り、イタリア国内約70スクリーンで月に1本ずつ再上映をするという試みも興味深い。
 
「60年代にボローニャ市の小さな映画担当部署として組織されたチネテカは、長年に渡り
映画文化の普及と広報、そして復元活動を通じて着実に成長を続けた結果、今では映画を評価するための基準として世界中が参考にするに至っています」
行政が映画文化の普及や復元活動を支援し、地道に人材育成を続けた結果、世界からもその取り組みが注目され信頼が置かれている様子が伝わってくる、とても貴重なトークだった。
©️Cineteca di Bologna
(江口由美)
 
第13回京都ヒストリカ国際映画祭はコチラ http://www.historica-kyoto.com/
 
「西成ゴローの四億円」(シネルフレ江口).jpg
 
 2020年よりロングラン上映を記録した『ひとくず』、赤井英和とタッグを組んだ『ねばぎば 新世界』の上西雄大監督が、黒社会に手を染めながら娘のために奮闘する壮大な二部作『西成ゴローの四億円』『西成ゴローの四億円-死闘篇-』を完成させた。2021年10月に開催された京都国際映画祭でワールドプレミア上映された同作が、いよいよ2022年1月28日(『西成ゴローの四億円』)と2月4日(『西成ゴローの四億円-死闘篇-』)より関西で先行公開される。
 記憶を失い、刑期を終えた今は西成の日雇い労働者の土師晤郎(上西雄大)、人呼んで「人殺しのゴロー」が、自分が政府の諜報機関員であったこと、難病の娘の手術代を工面するため妻が苦境に陥っていることを知り、治療に必要な4億円を稼ごうと闇社会で奮闘する人情あり、アクションありのクライムエンターテインメント。後篇となる『西成ゴローの四億円-死闘篇-』では、新型ウイルスを題材に、石橋蓮司、奥田瑛二、木下ほうかが演じる各組織のフィクサーたちが大きく動き出し、数々の死闘が繰り広げられる。『ひとくず』を彷彿とさせる親子愛は健在、さらに毎作パワーアップしている徳竹未夏、古川藍が今回は姉妹役を演じ、アクションに恋にと奮闘する様子も見どころだ。そして、一番の見せ場と言える加藤雅也が演じるアサシンヘッド、ゴルゴダとゴローの死闘は、アクションだけでなく、関西弁のボケ・ツッコミ対決も存分に楽しめる。色とりどりな西成の住人たちが、上西作品ならではの味わい深さを醸し出している。
 本作の監督・脚本・主演を務める上西雄大さん、出演の木下ほうかさん、加藤雅也さんにお話を伺った。
 

 
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――――今回、西成を舞台にした意図は?
上西:前作の『ねばぎば新世界』は実在する新世界をモチーフにしていますが、『西成ゴロー〜』の舞台となった西成は、『バッドマン』シリーズで言えばゴッサムシティのようなものです。ただ西成というキーワードは関西人にとってある種のイメージがあるので、その傍に生きる人間を描き、そこで生きるヒーローを描いています。
 
加藤:実に面白い街だし、あり得ないことがあり得ると思わせる街というのは、それだけで映画なんだよね。
 
 

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■上西組初参加の加藤雅也が語る上西監督の才能と、日本映画界の問題点

――――木下さんは『ひとくず』の時、まだ映画監督としては無名だった上西さんの脚本を読んで出演を快諾し、木下さんが出演されていることがその後映画を広めて行く際にも大きな力になったと思います。あっという間に、本作のようなビックバジェットのエンターテイメント大作を手がけられるようになりましたね。
木下:当時は、こんな大作を撮ることになるとは思わなかったです。僕自身は見ず知らずの若い監督の卒業制作に出演することもあるし、中には撮影したけれどお蔵入りになってしまう作品もたくさんある。そんな中の一つぐらいと思っていました。初めて夜中のファミレスで上西さんに出演を打診された時は、本当に映画ができたらいいなという感覚でした。
 
――――加藤さんは『ひとくず』や上西さんが映画を撮られていることを以前からご存知だったのですか?
加藤:主演作『影に抱かれて眠れ』に上西さんも出演されていて、僕に「映画を作ったんですけど、観てくれませんか」とDVDを渡してくれたのですぐに拝見しました。『息もできない』のような、本当に釜山で育った人がそこで作った釜山の映画という匂いがあり、すごく面白いと伝え、当時はまだ監督として無名だったけれど、僕は「絶対に面白いからやりな!」と、応援コメントを書いたりもしました。上西さんは最初からすごい才能だと思っていたし、誰でも最初は小規模の作品から始まりますが、ハリウッドなどでは才能が認められるとすぐにビックバジェットの映画を撮れる。『西成ゴロー〜』のような作品を撮ったことへの驚きがあるということは、日本の現状がそうはなっていないからで、僕にとってはナンセンスですね。日本映画は300万円で撮った映画が素晴らしいから、次は倍の600万円で作ってみろという発想だから発展せず、ダメになってしまう。全ては因果応報です。本当なら次は1億円、その次は10億円出さないと。上西さんはまだまだ伸びる余地はあると思うので、あとは製作費をどう調達するかですね。
 

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■関西弁をしゃべる加藤のカッコよさから生まれた、ゴローとゴルゴダの名シーン

――――加藤さん演じるゴルゴダは、ゴローの敵ではあるけれど、二人のやりとりや対決を見ていると、どこか通じ合うところも感じられ、男子高校生のケンカみたいな愛らしさも感じられました。あのアクションやセリフの応酬はどのように作り上げていったのですか?
上西:加藤さんとは、フジテレビの終戦ドラマでご一緒させていただいたのが最初でしたが、こんなにカッコいい人間がいるんだと感動しました。お話をさせてもらうと、関西弁をしゃべる加藤さんがまたカッコよくって、ゴローとも渡り合えると思ったので、脚本も加藤さんは当て書きにして、関西弁でやり合えるようにしました。映画では描いていませんが、ゴルゴダは戦場で育ち、子どもの頃から機関銃を持っていたところを百鬼万里生(なきりまりお)に拾われてアサシンヘッドになったという生い立ちを設定し、ジュリアーノ・ジェンマのくだりではそのイメージを受け渡し、共有し合いました。
 
加藤:「知らんけど」の応酬は、上西さんが言っているのに被せてみたら、それでGOサインが出ましたし、最後ももう少しカッコよくしたいねと試行錯誤したんです。単に殺すとかやっつけるというのではない、殺し屋同士しかわからない世界観を出したくて、ジュリアーノ・ジェンマがなぜか出てきて打ち合う。生まれる場所が違っていたら逆の立場になっていたかもしれないし、友達になっていたかもしれない。そういう感覚が出せればいいなと思いましたね。

 

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■名ラスボスを演じた木下ほうか、「純粋な関西のノリを作品に残せた」

――――今回は奥田瑛二さんや石橋蓮司さんなど、錚々たる俳優が個性的なラスボスを演じる中、木下さんが演じる秘密結社テンキングスの百鬼万里生は異彩を放っていましたね。超高速瞬きなど、不気味さと可笑しさが表裏一体でした。
木下:最初はこんなでっかい帽子を被って大丈夫かなと、抵抗がありましたね。馴染むまでに少し時間がかかりましたが、映画館で観るともっと帽子のツバが大きくてもよかったと思います。僕たちの主観で見ているものはアテにならないですね。杖もカッコつけ過ぎじゃないかとか。「杖、持つ?」と思いましたね。
 
上西:死闘篇に来ていただいたラスボスの皆さんは、衣装が被らないように、それぞれに合わせた印象深いものにしようと、すごくこだわりました。ゴルゴダの紫のロングコートもオーダー品ですし、百鬼万里生もずっとスーツ姿です。逆に石橋蓮司さんは、ずっとヤクザの衣装ですね。
 
木下:このキャストの中だとよほど頑張らなければ印象が薄れてしまう。とはいえ、我々は見せかけだけ作り込んでもバレるのです。発する言葉が重要ですから、今回、それはうまくいったこともありますね。関西弁の微妙なリズムで脅してみたり、関西人しかやり合えないパチパチ瞬き合戦とか、純粋な関西のノリを作品に残せたことがうれしいです。ただ、それが観客に伝わるかどうかは別ですが。東京の先行公開では何も聞こえてこなかったな…。
 
加藤:例えばアメリカで言えば『プリティ・ウーマン』のリチャード・ギアは彼しかできない演技をしているけれど、普通の人を演じているのでアカデミー賞には届かない。普通の人を演じることの難しさがなかなか認知されないんです。ほうかさんが演じた百鬼万里生は他の人には演じられない。よくわからない人物を、ほうかさんが演じて「普通にあるな」と思わせたのが面白いんです。脚本では百鬼万里生が突然ブチ切れて標準語で話すところを、アドリブで関西弁にてまくしたてたのは、名シーンですよ。
 
――――新種のウイルスという設定も登場しますが、コロナと重なるウイルスを映画の中にも入れようとした狙いは?
上西:まさにコロナ禍の真っ只中で脚本を書いていましたが、その当時映画を作っていた人は、世界にコロナがあるのかないのかを選ばざるをえない。全くなくすのも不自然だし、描いても描ききれない。だから国際陰謀論的なコミックの世界を取り入れながら、擬似的に描いています。
 
 
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■関西のリズムがある、関西発信の映画

――――加藤さんは奈良、木下さんは大阪とお二人とも関西出身、特に加藤さんは久しぶりの大阪ロケ作品ですね。
加藤:かつては「ミナミの帝王」など関西発のドラマに呼んでもらいたいと思ったことがありましたが、関西出身というイメージがないせいか、オファーがなかった。それは、僕がデビュー後自ら外国に行ってしまったからで、原因を作ったのは全て自分、因果応報なんです。だから、こうやって関西弁の映画ではなく“関西の映画”に出演できるのはうれしいです。
僕の出演作で『彼女は夢で踊る』は広島、『ココロ、オドル』は沖縄で撮っているのですが、それぞれにその場所の空気感があり、時間の流れなのか何かがやっぱり首都圏で撮るのとは違うんです。それが面白いので、今後も関西のリズムがある、関西発信の映画を作ってほしいし、出演したいですね。
 
木下:僕は大阪出身なので、めちゃくちゃトクしましたね。上京して、標準語の次に多い言語を使う劇が関西弁なんです。Vシネのレギュラーもやらせてもらいましたし、つくづく関西人で良かったと思っています。
 
上西:関西人だからこそ手渡せるニュアンスがあるんですよ。
 
木下:それは関西人の間とノリなんです。これはなかなか(関西人を演じようとする人に)伝えにくい。
 
――――ありがとうございました。最後に、これからご覧になるみなさんに、メッセージをお願いいたします。
上西:ロングラン上映の『ひとくず』からずっと映画を作り続けていますが、『西成ゴロー〜』は監督として作った最新作であり、今の集大成が『西成ゴローの四億円-死闘篇-』です。『西成ゴローの四億円』と2本合わせて、ぜひご覧いただければと願っております。
(江口由美)
 
 

<作品情報>
『西成ゴローの四億円-死闘篇-』(2021年 日本 124分)
監督・脚本・プロデューサー:上西雄大
出演:上西雄大、津田寛治、山崎真実、徳竹未夏、古川藍、笹野高史、木下ほうか、阿部祐二、加藤雅也、松原智恵子、石橋蓮司、奥田瑛二
2022年2月4日(金)よりイオンシネマ シアタス心斎橋、2月5日(土)より第七藝術劇場、2月11日(金・祝)より京都みなみ会館、2月18日(金)よりアップリンク京都他全国順次公開
 
『西成ゴローの四億円』(2021年 日本 104分)
監督・脚本・プロデューサー・編集:上西雄大
出演:上西雄大、津田寛治、山崎真実、徳竹未夏、古川藍、波岡一喜、奥田瑛二
2022年1月28日(金)よりイオンシネマ シアタス心斎橋、京都みなみ会館、1月29日(土)より第七藝術劇場、2月11日(金・祝)よりアップリンク京都他全国順次公開
 
公式サイト →  https://goro-movie.com/
 
(C) 上西雄大
 

akaikoinu-bu-550.jpg愛する家族がある日突然、愛情の分だけでっかくなっちゃった!?

笑顔と涙に包まれた、和気あいあい&感動のファミリー試写会で花澤香菜が 2022 年に“でっかくしたい”野望を告白!

“でっかくなっちゃった”といえばこの人、マギー審司もペット(?)を連れ登場!

 


■日 時 : 1 月 16 日(日)

■会 場 : スペース FS 汐留(東京都港区東新橋 1 丁目 1−16)

■登壇者 : 花澤香菜(主人公・エイミー役)、マギー審司(応援インフルエンサー)


出会った時は、赤くてちっちゃい可愛い子犬ちゃん。

一夜明けたら、子犬のままでっかくなっちゃった!?


akaikoinu-pos.jpgアメリカの児童文学作家ノーマン・ブリッドウェルが 1963 年に発表し、今なお世界で愛されている児童文学作品を原作に実写映画化。『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』が、東和ピクチャーズ配給にて、1 月 21 日(金)より全国公開となります。

昨年 11 月 10 日に公開を迎えた全米ではコロナ以降の“ファミリー映画”では最高のスタートとなるオープニング 5 日間で2,200 万ドルを記録、早くも続編の製作も決定するというでっかいスタートを切りました!


日本語吹替版キャストには、たしかな人気・実力と、犬への大いなる愛を兼ね備えた、ワンダフルな豪華声優陣が集結!チャーミングで憎めないクリフォードに大きな愛情を注ぐ、大切な相棒となる主人公の女の子・エミリー役には、「鬼滅の刃」や、『劇場版 呪術廻戦 0』など超話題作へ次々に出演、目覚ましい活躍を続けすっかりお茶の間でもお馴染みの花澤香菜!エミリーに好意を寄せ、困ったときには手を差し伸べてくれる同級生オーウェン役には、三森すずこ、さらに金丸淳一、諏訪部順一がでっかい大騒動を彩ります。


この度、映画の公開にさきがけ、1月16日(日)に”でっかいヒット”を願って、ファミリー試写会を実施いたしました!日本語吹替版で主人公のエミリーを演じた花澤香菜とさらに、“でっかくなっちゃった”といえば、日本でこの人しかいない!?本作の予告編ナレーションを務め、応援インフルエンサーとしても活動中のマギー審司が登壇!映画の魅力をたっぷり語り合いながら、2022年”でっかくしたい”ことを明かすなど、元気いっぱいの子どもたちの、大きな笑いと涙あふれるあたたかな試写会イベントとなりました!


<以下、レポート>

akaikoinu-bu-500-1.jpg

映画『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』(1月21日(金)公開)のファミリー試写会が1月16日に行われ、主人公エミリー役の日本語吹替えを担当した花澤香菜、本作の予告編ナレーションを担当した”応援インフルエンサー”のマギー審司が登場。天候に恵まれた休日とあって、元気いっぱいの子どもたちとファミリーが映画を楽しんだ直後の会場に2人が姿を現すと、大きな拍手と笑顔で迎えられました。


akaikoinu-bu-240-3.jpgマギーがさっそく「でっかくなっちゃった、のタイトルと、しかも赤いジャケットと赤い子犬、これだけでお仕事をいただきました!みんな予告編見てくれたのかな?喋ってたのおじさんだよ?おじさんは実は手品ができる人だから、あとでYoutubeで見てみてね!(笑)」と盛り上げ、続いてクリフォードのぬいぐるみを手にした花澤が「皆さんこんにちは!映画、面白かったかな?」と呼びかけると再び大きな拍手が巻き起こりました。実力と人気はもちろんのこと、犬好きなことから今回の役のオファーが届いた花澤は、「大好きなんですけど、わたし犬猫アレルギー持ちなんです…小さい頃にワンちゃんを飼っていたんですが発症して、おじいちゃんのところへ預けることになって。でも、こんなにでっかいワンちゃんがいたらモフモフしたいですよね・・・切ないんです…!」と吐露、「アレルギーの方のワンちゃん欲も満たしてくれる作品だと思います!」と力説。


するとマギーが「今日実は、うちのペットを連れてきてるんですよ!」と、ポケットから「いるのよ、ここに…ほら!」とお馴染みのラッキーが登場!ダンス、催眠術と次々に繰り出す絶妙なラッキーの芸に子どもたちからも大喝采、花澤も生ラッキーとの遭遇には「最高ですね!動かなくなる催眠術もシュールで!(笑)」と興奮の様子で会場が沸き立ちました。


akaikoinu-bu-240-2.jpg映画を振り返りながらマギーが「この映画を一言で言うなら”可愛い”ですよね、もう本当に可愛すぎて!公開されたら、犬派・猫派はほとんどが犬派になるんじゃないでしょうか」と話すと、花澤も「犬派、増えそうですね!でっかいのにあれだけ愛くるしいギャップや、笑いどころもたくさんあって、大人もクスっと笑えるんです」と共感した様子で、さらに「すごく素敵な言葉が出てきて、勇気をもらえるんです。エミリーは学校で馴染めていなくて、でも周りで支えてくれている大人たちがユニークなキャラが多くて、エミリーちゃんが言う『世界を変えるのはいつもユニークな人たちなんだ』って言葉はとても勇気づけられますね。


それぞれで輝ける場所があるんだよ、と育っていて、クリフォードと一緒に成長していくのもすごく素敵です。一緒に暮らすのは大変そうではありますが…食費が大変そう!」と作品の魅力を語り、マギーも「動物が大きくなる映画って襲われたり怖いイメージが結構あったんですけど、こんなに大きくなっているのに可愛いまま、みんなに大好きになってもらえるなんて今までにない映画だなと思います」とアピールしました。


作品タイトルにちなみ、2022年に<でっかくしたいこと>に話が及ぶと、マギーが「コロナ禍でマジックの仕事が少し減っていて、趣味で食パンを作り始めたんです。小麦粉から練って3~4時間かけて、動画とかをアップしながらやっているので、今年は”耳まで美味しいパン”として売り出そうかなと!手品がんばれよ(笑)って話なのですがコロナ禍で機会がなかなか少ないんです」と新たな分野への進出をにらむと、花澤は「今回、吹替でエミリーちゃんと同じように幸せな気持ちにさせてもらったので、まだまだ吹替のお仕事をでっかくやりたいです!お母さま方、韓国ドラマとかお好きですよね…?ベタですが『愛の不時着』からハマりまくっていまして、この吹替できたら楽しいだろうな~と。ちょっと振り回す系とかやってみたいですね!」と心の願いをのぞかせながらの野望を告白して会場を沸かせました。


akaikoinu-500-2.jpg最後にいま一度、マギーが「今日たくさんお越しいただいているようにご家族の皆さんから、カップルでもいいし、どんな年齢層でも楽しめて観終わった後にニンヤリといい気持ちで帰れると思うので、ぜひ大切な人と観てほしいです!」と呼びかけると、花澤も「新年早々から、本当に笑って幸せな気持ちになって劇場を出られる作品です。この作品は絵本から生まれていて、もっとクリフォードのことを知りたくなったら是非絵本も楽しめますし、子供も大人も、お友だちも誘って観に来て欲しいです」と力を込めてイベントが終了。参加したファミリーには、大きな笑いと涙がそこかしこで見られ、和気あいあいとしたトークの盛り上がりが、翌週末に迫った本作の日本公開への弾みとなる笑顔あふれる試写会となりました。
 


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【ストーリー】

僕の名前は、クリフォード。実は、大きな問題を抱えてまして…。

僕まだ正直右も左もわからない子犬なんですけど、朝起きたら、でっかくなっちゃってたんです!

どうやら僕をニューヨーク・マンハッタンの公園で拾ってくれた寂しがり屋のシティガール・エミリーの愛情の分だけでっかくなっちゃったらしいのです。それだけでも僕の人生、大問題なんですが、さらになぜか大企業の社長さんが僕のことをさらおうとするんです…。しかもかなり手荒く。でも、エミリーも、友達のオーウェンも、そしてエミリーのおじさんケイシーも、さらに変わりものの近所の人たちも僕を守るのに大奔走してくれて。果たして、これからどうなっちゃうんでしょうか、僕…。
 

■キャスト:ダービー・キャンプ、ジャック・ホワイトホール、アイザック・ワン、トニー・ヘイル
■吹替キャスト:花澤香菜(エミリー)、三森すずこ(オーウェン)、金丸淳一(ケイシ-)、諏訪部順一(ティエラン)
■監督:ウォルト・ベッカー『アルビン4 それゆけ!シマリス大作戦』
■原作:ノーマン・ブリッドウェル「クリフォード おおきなおおきなあかいいぬ」
■製作:ジョーダン・カーナー、イオル・ルッケーゼ
■音楽:ジョン・デブニー『グレイテスト・ショーマン』
◆邦題:『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』
◆原題:『Clifford the Big Red Dog』
◆北米公開:2021 年 11 月 10 日
© 2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
■公式サイト: https://deka-koinu.jp/

■公式 twitter:https://twitter.com/ParamountFamJP
■公式 Instagram:https://www.instagram.com/ParamountFamJP/

2022年1月21日(金) より TOHO シネマズ日比谷ほか 全国ロードショー!


(オフィシャル・レポートより)

第 13 回 京都ヒストリカ国際映画祭 提携企画

①1/23(日)16:10~『インフェルノ』(1911 年 ミラノ・フィルムズ)

②1/26(水)18:30~『小さな聖女』(2021 年 レイン・ドッグズ)   

①②の特別上映会の招待券をプレゼント!

 

★提供:イタリア文化会館ー大阪

プレゼント数:①3組6名様

          ②3組6名様

★会場:京都文化博物館フィルムシアター(https://historica-kyoto.com/join/

★締切日:2022年1月15日(土)必着

★京都ヒストリカ国際映画祭 公式サイト:https://historica-kyoto.com/schedule/

 



Inferno-500-1.jpg【チネテカ・ディ・ボローニャ提携企画】

『インフェルノ』L’Inferno

日時:1 月 23 日 (日)16 時 10 分~ 
会場:京都文化博物館フィルムシアター

ダンテの『神曲』完成から 700 年、
映画草創期の特撮技術を駆使して地獄の暴力と恐怖を表現する


この映画は 2007 年にチネテカ・ディ・ボローニャ財団のラボラトリーであるリンマジーネ・リトロヴァータで修復されました。

ダンテ・アリギエーリの「神曲」第 1 篇地獄篇が原作。薄暗い森で迷子になった詩人ダンテ、煉獄山の頂の救いの光に向かう彼に貪欲、傲慢、色欲の獣が立ちはだかる・・・。地獄のイメージ、恐怖とバイオレンスを当時最先端の特撮技術と幻想的なモンタージュを駆使して表現した記念碑的作品。本作は 2007 年にチネテカ・ディ・ボローニャがデジタル復元し、ダンテ没後 700 年にあたる 2021 年にボローニャ復元映画祭で上映された。


●ピアノ伴奏:鳥飼りょう
●ビデオアフタートーク:カルメン・アッカプート(チネテカ・ディ・ボローニャ)
●日本語字幕付き

監 督:フランチェスコ・ベルトリーニ、ジュゼッペ・デ・リグォーロ、アドルフォ・パドヴァン
出 演:サルヴァトーレ・パパ、アルトゥーロ・ピロヴァーノ、ジュゼッペ・デ・リグォーロ
(1911 年 ミラノ・フィルムズ製作/2007 年 チネテカ・ディ・ボローニャ修復/68 分)
© Cineteca di Bologna
 


LSP-500-1.jpeg【ヴェネツィア・ビエンナーレ、ビエンナーレ・カレッジ・シネマ提携企画】

『小さな聖女』La Santa Piccola

日時:1 月 26日 (水)18 時 30 分~
会場:京都文化博物館フィルムシアター

美、エロス、神聖、卑俗 全てを飲み込んで、二人の進む道は・・・


住民皆が互いを知っている、ナポリの日当たりの良い地区。マリオとリーノは離れがたい友人同士。彼らは変わらぬ日々を過ごしていたが、リーノの妹が奇跡を起こし地区の守護聖女となってから、二人に新しい世界への扉が開き・・・。ナポリの貧しい若者たちの、永遠に変わらないと思われた日常と友情にひずみが生じていく過程を、エロティシズムと神聖さを混濁させつつ、瑞々しく描いた LGBTQ 作品。


●シルヴィア・ブルネッリ監督ビデオメッセージあり
●日本語字幕付き

監 督:シルヴィア・ブルネッリ
出 演:フランチェスコ・ペッレグリーノ、ヴィンチェンツォ・アントヌッチ、ソフィア・ グアスタフェッロ
(2021 年 レイン・ドッグズ/97 分)

※ 詳細は添付の京都ヒストリカ国際映画祭公式リーフレットをご覧ください。
※ 本状に記載されている内容は発表時点の情報です。予告なしに内容が変更となる場合もあります。あらかじめご了承ください。

© Rain Dogs


(オフィシャル・リリースより)
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