「京都」と一致するもの

kuroneko-1.jpg『くろねこルーシー』主演:塚地武雅さんインタビューはコチラ

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【舞台挨拶のお知らせ】
主演の塚地武雅さんの舞台挨拶があります!
10月8日(月・祝)
シネマート心斎橋、梅田ブルク7、T・ジョイ京都にて。
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kuroneko-s550.jpg『くろねこルーシー』主演:塚地武雅さんインタビュー
(2012年10月1日(月)シネマート心斎橋にて)

~ダメ男に共感しまくり、塚地武雄の好転のキッカケとは?~

kuroneko-1.jpg(2012年 日本 1時間47分)
監督:亀井亨
出演:塚地武雅、安めぐみ、大政絢、濱田マリ、山本耕史、京野ことみ、佐戸井けん太、生瀬勝久
2012年10月6日(土)~シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、梅田ブルク7、シネマート心斎橋、T・ジョイ京都、109HAT神戸 ほか全国ロードショー
公式サイト⇒ http://kuroneko-lucy.info/
© 2012「くろねこルーシー」製作委員会
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【舞台挨拶のお知らせ】
主演の塚地武雅さんの舞台挨拶があります!
10月8日(月・祝)
シネマート心斎橋、梅田ブルク7、T・ジョイ京都にて。
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 人生、何がキッカケで好転するかわからない!“甲斐性なし、オーラなし”のダメ男の起死回生のキッカケは、なんと魔女の使いと忌み嫌われる黒猫だった。リストラをキッカケに子供の頃から憧れていた占い師の道を選ぶ。妻と息子とは別居、一人わびしく暮らす男は、占い師としてのオーラもなく、店も閑古鳥がなく始末。しかも、迷信深く気が小さい上に頑固ときているから余計始末に悪い。そんな男の元に、二匹の黒い仔猫が棲みついたことから、男の運気が変わっていく。
 黒猫が幸運をもたらしてくれた、と単純に喜べるファンタジックな映画ではない。確かに、それはひとつのキカッケではあるが、気まぐれな猫の面倒をみながら、家族や他人と向き合う姿勢や思いやる気持ちが芽生えたことなど、彼自身の成長と周囲の変化が、見る者を勇気づける要因となる。やはり一人より家族と一緒がいい、その温もりと可愛い仔猫たちに心なごむ作品だ。

 愛くるしいネコちゃんと愛情を通わせる不器用な男を演じた塚地武雅さん。共通点が沢山あって他人ごとではなかったという。作品に込めた思いやネコとの共演についてなど、気さくに語って頂きました。


kuroneko-s2.jpg――― 今回の役について?
台本頂いた時点ではうだつの上がらないダメなイメージでしたが、頑固で人付き合いが下手なところとか、次第に共感の嵐でした。自分そのものみたいな気がしてきて……家庭を持っている分だけ、この主人公の方がマシですけどね(笑)

――― 結婚されるご予定は?
いや、まったくないですよ~! 

――― 妻役が安めぐみさんでしたが、アズマックスさんから何か言われましたか? 
よく共演をキッカケに結婚されるケースもあるので、僕もそれを目指していましたが、安さんは既に結婚が決まっていましたので、がっかりしました。アズマックスさんもこの映画を見て下さったようで、「良かったよ」と仰っていたと安さんから聞きました。ということは、二人で見てたんだ~と、逆にのろけられたようでした(笑)。

kuroneko-2.jpg――― ネコとの共演は?
ネコも犬も飼ったことがなくて、最初はどう対処したらいいのか分かりませんでした。嫌いじゃないけど、抱き方も分からなかったのですが、撮影が進む速度と同じリアルタイムで仲良くなっていきました。ネコは気まぐれなので、誰かと喋っていると寄って来たり、ヤキモチやいたり……クランクインの時は抱いても暴れてましたが、クランクアップの時はなついて、抱いても落ち着いてました。

――― ネコを飼いたいとは?
飼いたいけど、面倒見きれないし、出会いの場にも行けないし……。

――― ネコを飼うと恋人できないといいますけど・・・?
犬みたいに散歩させられないので、散歩中の出会いにも期待できないし、せいぜいネコがいなくなってネコ探しの時くらいに、同じようにネコ探している人と出会えるくらいでしょうか(笑)。

kuroneko-s3.jpg――― 鮫島家からの帰り、雨宿りするシーンで泣けました。
ありがとうございます。あのシーンでは、最初はもっと強い男らしい口調でネコを励ます予定だったのですが、それがネコと一緒にわびしさを共有しているような感じになりました。

――― この主人公のように、何かのキッカケで運が上向いた経験は?
中学生の時、“ちびっこ漫才師”みたいなもので有名になった同級生がいたのですが、「おまえの方がおもろいで」と言ってくれた友人がいて、その後、高校、大学、就職してからもずっとその言葉が心に引っかかっていました。友人のその言葉がキッカケで、こうしてお笑いの世界に入った訳です。

――― どんな“おもろい子”だったのですか?
いつも明るく朗らかという訳ではなく、何か凝ったことで笑いをとったり、授業中には先生に大喜利的な返しをしてみたり、ちょっと変わっていたかも知れません。

kuroneko-4.jpg――― そこも商業的な占いを拒む主人公と似ているのでは?
確かにそうですね。

――― “甲斐性なし、オーラなし”なんて、特に芸人には堪える言葉では?
芸人をやり始めた頃は、本当にお金に困ってましたね。借金しても利子しか払えなくて、芸人として食べていける日がくるのか、と心配していました。

――― 監督の演技指導は?
細かい演技指導はありませんでした。撮影に入る前に飲みに行ってお話したら、監督と共通していることが多く、ちゃんとリンクしていたので安心しました。

――― ファンタジーなお話のようだが、妙に現実感のある舞台でしたね。ロケ地は?
木更津です。何となく懐かしさの残る、空気もこの作品にバッチリはまっていたようです。服装もムリしてないような感じで作風に合ってはいましたが、あまりにも普通過ぎて、家の中のシーンの服装のままオフしてたり、ドテラにジャージですからね~和み過ぎてましたね(笑)。

kuroneko-3.jpg――― 大政絢さんとの共演は?
本当に可愛らしく、ナチュラルな感じの人でした。あんな綺麗な人でも、ペットショップの制服着るとそれになりきっていましたから、さすが女優さんですね。

――― 濱田マリさんは?
急にアドリブで来られるので、もうこちらはナチュラルに応えるしかなくて、ホント驚かされました。面白い方でした。

――― 迷信は信じる方ですか?
全部信じています(笑)。特にスポーツ選手や芸人はゲン担ぎしますので、世の中で知れ渡っている迷信は殆ど気にしていますね。舞台に出る直前、ここよりもっと大きなホールを想像するんです。実際出てみると小さいので、ホットする…緊張をほぐすための私の迷信です。

kuroneko-s4.jpg――― 『ももいろクローバーZ』の大ファンですって?
はい!ライブにも行ってます。最初はじっとして聴いていたんですが、途中で、周りはノリノリなのにカッコ付けている自分に気付いたんです。こんなに元気もらってるんだから申し訳ない、と思い直し、今では最初っからガンガン応援しています(笑)。

――― 今後やりたい役は?
NHK大河ドラマ『平清盛』で悪い公家役をやったのですが、それが楽しくって、結構受けてたみたいです。またあのような悪役をやってみたいです。

――― この映画で一番伝えたいことは?
自分で言いながら納得していたのが、「人間ってキッカケなんだな~」というセリフです。苦手意識のある人や物でも何でも、実際当たってみないと分からない。何かのキッカケで苦手でなくなることもある訳ですから、決めつけないで、積極的に行動することが大事。この映画が、正に背中を押してくれるキッカケになってくれたらいいなと思います。家に帰る道筋でも、ちょっと違う道を歩くと、新たな発見があるかもしれませんし。(河田 真喜子)

kagimeso-ss550.jpgkagimeso-1.jpg『鍵泥棒のメソッド』大ヒット御礼レポート
(2012年9月30日(日)、TOHOシネマズ西宮OSにて)
ゲスト:堺雅人、内田けんじ監督

(2012年 日本 2時間08分)
監督・脚本:内田けんじ
出演:堺雅人、広末涼子、香川照之、荒川良々、森口瑤子
2012年9月15日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸 他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://kagidoro.com/
 © 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
★第15回上海国際映画祭にて最優秀脚本賞を受賞!

作品レビューはコチラ

 9月15日より大ヒット公開中の『鍵泥棒のメソッド』。筆者も初日に難波のシネコンへ見に行ったところ、満席、満席! 舞台挨拶でもないのにこんなに活気ある満席状態は超珍事! しかも、結末分かって見てもその満足度は120%!くるくると急展開する場での俳優たちの微妙な表情の変化を見るがまた楽しい! 細部に至る無駄のない動きは監督のこだわりのたまもの。笑って、ハラハラドキドキして、胸がキュ~ンとなるラブコメに、誰しも夢中になれるはずです。
 この度、ムビチケ売上日本一となったTOHOシネマズ西宮OSに、主演の堺雅人さんと内田けんじ監督が御礼のご挨拶にと、台風17号大接近の暴風雨の中、東京から馳せ参じた。ゲストは勿論、観客の皆さんも取材陣も、帰りの交通機関の状況を案じながらのイベントだったが、西宮中央商店街のゆるキャラ「ふくみみ福ちゃん」も応援に駆け付け、台風に負けないくらい笑いの旋風を巻き起こしていました。


kagimeso-ss1.jpg【最初のご挨拶】
堺:いや~大変な日にお出で下さいまして誠にありがとうございます。皆さん大丈夫ですか?帰りの足は――。我々も東京から無事に来ることができましたが、これも西宮えびす様のお蔭ではないかと感謝しております。作った映画が皆さんの手に渡って、こうして上映直後の熱気ある雰囲気に浸れ、また皆さんの上気したお顔を拝見できて、役者としてご褒美を頂いたような気分です。この作品に参加できて本当に良かったなと思っております。
監督:今日はとんでもない日にどうもありがとうございます。今、劇中の櫻井とは全く逆のしっかりした挨拶をした堺さんですが、そのギャップを楽しんで頂きたいと思います。ちなみに、今日2回目だという方はいらっしゃいますか?

――― ほう、結構いらっしゃいますね~。
監督:本当にありがとうございます。

――― 櫻井という人はホントにダメダメな人ですが、この役の最初の感想は?
堺:案外“素”だったりして…いろんな人に「下手なお芝居が絶妙で…」と言われて、一番柔らかい部分が傷付いたりもするんですけど、売れない役者という致命的な弱点があり、またこの場所に居なくちゃならないという変な思い込みもありますが、純粋で、楽観的に物事を捉えられる面白い人物だと思いました。また、共通する部分もあって好きな役でした。

kagimeso-ss2.jpg――― この役を堺さんにと思った理由は?
監督:確かに、最後の方で自分の演技に酔うようなシーンがあるのですが、締めるときには締める演技も必要な役ですので、そんな役は堺さんしかやれないだろうと思いました。また、前半車の中で泣くシーンがあるのですが、「櫻井ってこんなにバカなヤツだったんだ~」と初めて櫻井というキャラを掴んだ気がしました。
堺: 『アフター・スクール』の時より偏差値を30下げてくれと言われたんです。
監督:そしたら35下がってましたけど(笑)。衣装合わせの段階から香川さんが面白かったですね~。
堺: (櫻井用のダサい服を選ぼうとしても香川さんが何でも着こなしてしまうので、)役者として反則ですよね、あれは。
監督:そのバカさ加減を合わせるのに、あの写真の櫻井とぴったしでしたね。

――― 体を張るシーンが多かったようですが?
 kagimeso-ss3.jpg堺:冒頭の銭湯のシーンは1日かかりました。キャストは皆裸で待機。エキストラの人たちは半日湯船に浸かったりして。でも僕等は湯船にも浸かれず、泡立てるだけだけでしたが・・・
監督:香川さんが前ばりひとつで、アスリートみたいに構えて・・・
堺:スタート前のハイジャンパーのようでした。
監督::ジャンプしてバランスが崩れる感じとか凄かったですね~(笑)。

――― 後半になると、堺さんは香川さんと一騎打ちになるようでしたが、よく撃たれてましたね?
堺:あの撃たれるシーンは、ガンの調子が悪くて、本当に芝居にならない位痛い時もありました。
監督:面白かったので、6回くらいやってもらいました(笑)。

kagimeso-ss4.jpg―― 殺されるシーンも香川さんにメソッド受けてましたね?
堺:あのシーンでは、「笑いを堪えるが大変だった」と香川さんに言って頂いて嬉しかったです。
監督: 「てめぇ~」と言って香川さんに掴み上がろうとするのは、唯一のアドリブでしたね。あそこは、スタッフも皆グッと笑いを堪えてました。稽古の時はなかったので、香川さんも驚いたんだと思います。

――― あの部分はアドリブだったのか~と思いながらもう一度見て頂けたら、もっとお楽しみ頂けるのではないかと思います。

kagimeso-ss5.jpg(ここで西宮商店街のゆるキャラ「ふくみみ福ちゃん」の登場。ところが、大きな福耳の頭でっかちの福ちゃんは、動作が鈍く介助が必要。細い階段も恐る恐る上がって、見てる方もハラハラドキドキ。ところが、3人でポーズをとろうとすると、狭い壇上から後ろに落ちそうになり、思わず堺さんに支えられる。)
堺:福ちゃんコケて、ボクが福ちゃんになったりして!?

(喜んでいるのか、ゲストに遠慮しているのか、後ずさりする福ちゃんを堺さんが支える。)
 ―――堺さんに気い遣わせてどうすんねん!
(と、福ちゃん怒られる。)

kagimeso-ss7.jpg――― このボードはもっとヒットしますようにと願かけてあります。
(福ちゃんだけ先に退場。でも、その危なっかしい足元に皆が福ちゃんの行方に注目。)

――― はい、主役はこちらですので、中央にご注目! それでは最後にご挨拶を。
 堺:全国で一番映画を楽しみにして頂いた所ということでこうして伺いましたが、その言葉に違わず皆様の温かいお気持ちを頂きました。他のキャストやスタッフにも伝えたいと思います。実は、私は神戸市舞子の生まれでして、2歳くらいまで過ごしていました。神戸の記憶は殆どないのですが、何か機会があれば訪れたいと思っていましたので、本日こうして来られたのもご縁があったからかなと思っております。また伺いたいと思いますので、その時はよろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました。
監督:皆さん外の様子がどうなっているのかご存知ないのですよね? このような日にお出で下さいまして、本当にありがとうございます。またこのキャラクターたちに会いに来て頂けたらなと思います。細かい所、例えば、香川さんが面白い顔している端で堺さんが微妙な表情していたり、あるいはその逆だったり、編集していても飽きなかったくらいですから、是非何度でもその表情を見に来て下さいね。
堺・監督:皆さん、お気を付けて!


 撮影現場でも和やかな雰囲気だったとか。しっかりとしたコンテンツを示し、練りこまれた脚本のお蔭で、演じる方も迷いなく楽しく演じられた様子。はっきりとした個性をうまくブレンドして出来上がった極上のサスペンス調ラブコメ。大ヒット御礼の舞台挨拶がここ西宮で実現して嬉しい限りだ。出演作目白押しの堺雅人さんと、オリジナル脚本をじっくり練り上げる映画監督らしい内田けんじ監督。この最高のコラボレーションを是非ご高覧あれ!(河田 真喜子)

 

 

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 10月2日(火)より祇園会館、東映京都撮影所第一試写室、京都文化博物館で開催される第8回京都映画祭。「閉塞をぶち破る!」をキーワードに、多彩なゲストを交えて映画の作り手たちが何をしてきたか、これから何をすべきかを見つめるプログラムとなっている。

5_あヽ同期の桜c.jpg祇園会館では、「京都1970 若き監督たちの戦い―中島貞夫を中心に」と題して、中島貞夫監督作品を中心とした特集上映を開催。鈴木則文監督、梶芽衣子、夏八木勲、富士純子ら豪華ゲストが連日トークショーを繰り広げる。14_唐獅子警察c.jpg

高倉健、鶴田浩二主演の戦時中青春群像劇『あゝ同期の桜』(写真左)や、渡瀬恒彦の無鉄砲ぶりが必見の『唐獅子警察』(写真右)など、この機会でしか見られない往年の活劇は見逃せない。

東映京都撮影所第一試写室では、「京都2012新進気鋭の監督たち」と題し、「映画の上映と配給~その将来的展望」(10/6開催)、「映画製作について~関西そしてインディペンデント」(10/7開催)の2つのシンポジウムと期待の若手監督作品を一挙上映。『へんげ』、『先生を流産させる会』、『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』、『シグナル~月曜日のルカ~』、『細川中立売』、『毎日かあさん』など監督の舞台挨拶も合わせて楽しめる絶好の機会だ。

特筆すべきは、京都文化博物館で開催されるプレミア上映、「幻の『一殺多生剣』発見!」 無声映画の演奏つき上映や、活弁つき上映など、京都初お目見えの戦前の名作を是非堪能してほしい。


第8回京都映画祭 公式サイトはコチラ

 

ousama-s550.jpg『王様とボク』舞台挨拶レポート(12.9.22シネマート心斎橋にて)
 登壇者:前田哲監督、菅田将暉、松坂桃李、相葉裕樹

ousama-1.jpg(2012年 日本 1時間24分)
監督:前田哲
原作:やまだないと『王様とボク』イースト・プレス刊
出演:菅田将暉、松坂桃李、二階堂ふみ、相葉裕樹、松田美由紀
2012年9月22日(土)~シネマート新宿、シネマート心斎橋、10月20日(土)~京都みなみ会館他順次公開
公式サイト→http://www.o-boku.com/index.html

© 2012「王様とボク」製作委員会

6歳から12年間昏睡状態だった青年は、18歳で奇跡的に目覚めたが、心は6歳のままだった・・・。大人になることへの不安や揺れ動く心を描く青春ファンタジー『王様とボク』。シネマート心斎橋公開初日の舞台挨拶に、前田哲監督をはじめ本作が映画初主演となるミキオ役の菅田将暉、ミキオの幼なじみミキヒコ役の松坂桃李、同じく幼なじみトモナリ役の相葉裕樹が登壇した。立ち見も出たライブハウスのような熱気溢れる客席を前に、大阪出身の前田監督、菅田将暉の漫才のような絶妙のトークがさく裂した舞台挨拶の模様を紹介したい。


━━━初日のご挨拶をお願いします。
菅田: (立ち見満員の客席を見て)すごいですね。菅田将暉です。挨拶は短めに、今日はよろしくお願いします。
松坂:これぐらいの広さっていいですね。結構好きです。今日は来てくださってありがとうございます。よろしくお願いします。
相葉:こんばんは。相葉裕樹です。今日は楽しんでいってください。お願いします。
監督:こんばんは。今日はこんなに来ていただいて。今までずっと広い劇場だったので、これぐらいの距離で、近くてちょっと圧迫感がありますけど(笑)楽しんでいってください。よろしくお願いします。

ousama-s2.jpg━━━管田さんと前田監督の生まれ故郷、大阪での舞台挨拶はいかがですか?
菅田:それはうれしいですよね。
監督:僕は大阪で生まれて、ロンドンで育ちましたから。<会場爆笑>
菅田:(心斎橋アメリカ村は)普通に遊びに来てたところですから。
~観客より「おかえり」と声がかかって~ ただいま!
監督:彼は全然関西弁が抜けてないですからね。僕なんて全然関西弁がでないですから。<会場爆笑>
松坂:そんなにでないですか?
監督:「(標準語風に)でませんよ」

━━━ずばり大阪の印象はいかがですか?
相葉:熱気というか、笑顔で迎えてくれてありがとうございます。
松坂:何度か来させてもらっているんですけれど、「551」肉まんの・・・
菅田:だから、シュウマイを食べてほしいって何回も言っているんですけど!<会場爆笑>
松坂:(お客さまとの)距離が近いせいか、暖かいというか。菅田将暉が空港に着いたときに「よし、我慢、我慢しよう」と言ったんです。多分地元だから舞い上がってしまうので、ちょっと我慢しようと、自分の中でブレーキをかけていた感じはありました。
菅田:いま、関西弁禁止令が出ていまして。映画の撮影で今博多弁の役なんですが、監督に「おまえ普段から関西弁をしゃべっているから、方言が出ないんだ」と言われてずっと(関西弁を)抜いていたせいで、ここで舞い上がったら戻ってこれないだろうなという「よし」だったんです。

━━━監督はどのようなイメージでこの作品を作ったのですか?
監督:10年以上前にこの原作に出会って、「大人になるってどういうことだろう」という人が生きていく上でどうしてもぶつかる問題にトライしてみたかったんです。いろいろ失っていくことや、悲しみを知っていくことという負の要素も多分にあるので、そういうちょっと寂しい、悲しいものを描きたかったです。そのときにしか感じ得ない思いや感情を、台本を超えて三人の実際感じているものを出してもらいました。だから、映画がもし面白かったら3人の力ですし、つまらなかったら僕のせいです。

ousama-s3.jpg━━━監督の演出はいかがでしたか?
菅田:正解がなく、一つ一つの動きが試行錯誤です。計算してもダメだし、無意識でもダメというところで、毎回監督がシーンのイメージを伝えてくれました。監督がすごく良くて僕の中で超えられないぐらいです。
監督:僕も6歳で止まっていますので(笑)
松坂:役と僕本来のものをすり合わせて、引き出してくれるという感覚がすごく強かったです。頭ごなしに考えず、ニュートラルに自分が18歳だった頃をどこか隅に置きながら現場に参加した形ですね。
相葉:ぼくはこの現場は本当にフラットな状態で臨めました。シーン数が少ないですから、ワンカットワンカットを大事にしていきたいと思って相談しながらやっていきました。すごく居心地のいい現場で、楽しく過ごすことができました。

━━━(役者の演技を)引き出すコツはあるんですか?
監督:今の(舞台挨拶)も褒めるようにと、これも演出で。<会場爆笑> コツではなくて、同じ目線でどう立つことかだと思うんです。10代の役で、つい最近まで10代だった訳ですから。
菅田:僕まだ10代ですよ!
監督:まだ10代?一番年上かと思ってた。桃李くんはお兄ちゃんって感じなんですね。現場でも暖かい感じで、人を包み込むような感じがあって。相葉くんは、「こういう友達いるよね」といった感じでやってもらったんです。ちょっと近寄りがたいけど実はいい奴といった感じで、色々話しましたよね。そんなとこですかね。
菅田:ミキオは?
監督:一番大事なところを(笑)6歳を演じるのは非常に難しい。やりすぎたら、みんなが「さむー」といった感じになるし、今の現実的な6歳を演じても大人びていてシラッとしてしまう。前々から連ドラを見ていて、「この人はしっかり芝居を考えてできる人だな」と思っていたのですが、考えるということを一回捨ててもらって、いかに無心で演じてもらうか。現場に入ったときから6歳で、演じているとき以外も6歳だったんですね。だからみんな迷惑していました。桃李くんも本当に迷惑だったと思います。<会場大爆笑>
松坂:あー本当に現場に入ってからも6歳を相手にしている感じなので、ギャップを感じましたよ。
 

ousama-s1.jpg━━━(サポーターズイベントから選ばれたファンによる花束贈呈後)花束をいただいて、今の気持ちを一言お願いします。
菅田:花束をもらえると思っていなかったので。また地元でというのが!
監督:大阪で火を付けてもらわないと。
菅田:口コミでね。広げてください!
監督:(菅田に耳打ちして)家族に広めてください。
菅田:家族に広めてください!

━━━最後に一言お願いします。
菅田:自分たちがどうこう言うよりも、映画を観ていただけでうれしいですし、分かりやすいゴールのある映画ではないので、何回も観てほしいです。僕自身がこの映画にかかわってすごくいろんなことが変わったので、何かそういうきっかけになればうれしいです。今日は本当にありがとうございました。


大人になることは子どもの心を失うこと、大事なものを喪失するという恐怖感を主人公たちは抱えている。何がやりたいことなのか分からない、大人になることの責任や、自分で道を切り開かなければならないのに道が見えない不安に支配されている若者たちの姿は現代を象徴するかのようだ。一方、6歳の心を持つモリオは「大きくなったら王様になる」と目を輝かせている。ファンタジーの要素を交えて「大人になるとは」という永遠の命題を表現した前田監督の意欲作。期待の若手俳優たちが等身大で表現した希望と葛藤の青春物語は、どこかほろ苦く切ない後味を残した。(江口由美)

新通提供

『ペンギン夫婦の作りかた』試写会プレゼント!

pengin-1.jpg・日時:2012年9月27日(木)18:30開場 19:00開映
・会場:ユナイテッド・シネマ岸和田
          大阪府岸和田市港緑町3-1
岸和田カンカン ベイサイドモールWEST3F
アクセス⇒ http://www.unitedcinemas.jp/kishiwada/about-theater.html

・募集人数: 5組 10名様
・締切:2012年9月22日(土)
・公式サイト⇒ http://www.penguinfufu.jp/


「ペンギン夫婦の作りかた」 
★第1回中之島ごはん映画祭(10/6~14) プレミア招待作品に決定!

pengin-2.jpgアナタの心を満腹にしてくれる〈とってもオリジナルな幸せ〉 流行語にもなった大ヒット商品「食べるラー油」の原点である“辺銀食堂の石垣島ラー油”誕生秘話の実話映画化。

フリーライターとして東京で働いていた歩美(小池栄子)は、中国で出会ったカメラマン(ワン・チュアンイー)と国際結婚。しかしその後、夫の会社が倒産し職を失ってしまう・・・。歩美は落ち込む夫を気晴らしに石垣島へ連れていく。そこで出会った大自然、温かい心、そして美味しい食材にすっかり二人は魅了され、移住することに!職のアテもない二人は共通の趣味である“食”を活かし、石垣島の食材で全く新しいラー油を作ろうと思い立つ!苦労しながらも気持ちを込めて作ったラー油。しかし一つも売れない。それでも前向きな二人に新たなチャンスが舞い込んだ!国際結婚、離島への移住、帰化申請。これは食べるラー油誕生の裏に隠されたとってもあったかい絆の物語。

pengin-3.jpg監督・脚本:平林克理 脚本:アサダアツシ
原案:辺銀愛理「ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし」(マガジンハウス刊)
出演:小池栄子、ワン・チュアンイー、深水元基、山城智二(FEC)
(C)2012「ペンギン夫婦の作りかた」製作委員会

10月20日(土)公開テアトル梅田、ユナイテッド・シネマ岸和田、MOVIX京都、ユナイテッド・シネマ大津ほか

tarukofu.jpgロシアを代表する映像作家、アンドレイ・タルコフスキー。自由を求めて辿りついたパリにて54歳で客死したタルコフスキーの全作品を一挙に上映する「タルコフスキー生誕80周年記念映画祭」が9/8(土)より梅田ガーデンシネマで、以降元町映画館、京都シネマで開催される。水、雨、光など自然を駆使した抒情的な作風により映像の詩人と呼ばれるタルコフスキーの世界を是非スクリーンで体感してほしい。

<上映作品>

『ローラーとバイオリン』(1960年/カラー)
1960年ニューヨーク国際学生映画コンクール第一位

『僕の村は戦場だった』デジタルリマスター版 (1962年/モノクロ)
1962年ヴィネツィア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞
サンフランシスコ国際映画祭監督賞

『アンドレイ・ルブリョフ』(1967年/モノクロ&カラー)
1969年カンヌ国際映画祭批評家連盟賞

『惑星ソラリス』デジタルリマスター版(1972年/モノクロ&カラー)
1972年カンヌ国際映画祭審査員特別賞他

『鏡』(1975年/カラー)

『ストーカー』デジタルリマスター版(1979年/カラー)

『ノスタルジア』(1983年/カラー)
1983年カンヌ国際映画祭創造大賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニック賞

『サクリファイス』(1986年/カラー)
1986年カンヌ国際映画祭審査員特別大賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニック、芸術特別貢献賞


「タルコフスキー生誕80周年記念映画祭」公式サイトはコチラ

「タルコフスキー生誕80周年記念映画祭」梅田ガーデンシネマ上映スケジュールはコチラ

kagimeso-s500.jpg『鍵泥棒のメソッド』合同記者会見レポート(2012年7月24日(火)大阪市内)
ゲスト:堺雅人、広末涼子、内田けんじ監督

~堺雅人危うし!! 吊し上げ会見の行方は?~

kagimeso-1.jpg(2012年 日本 2時間08分)
監督・脚本:内田けんじ
出演:堺雅人、広末涼子、香川照之、荒川良々、森口瑤子
2012年9月15日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸 他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://kagidoro.com/
© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
★第15回上海国際映画祭にて最優秀脚本賞を受賞!

 3年かけて脚本を練りこんだ内田けんじ監督と、主役の堺雅人と広末涼子の3人がキャンペーンのため来阪。合同記者会見では終始和やかな雰囲気で、広末涼子の素直な言動に堺雅人がツッコミを入れ、監督がそれをフォローするような形で笑いを誘っていた。

 『運命じゃない人』(2005年)や『アフタースクール』(2008年)では、ごく普通の男があり得ないシチュエーションに巻き込まれ、それを複数人物の視点から、もしくは時間軸をズラしながら事件の核心に迫るという大変ユニークな手法でサスペンス・コメディに仕上げ、観る者を楽しませてくれた内田けんじ監督。ところが、最新作では今までの手法とは異なり、展開の鍵として登場人物のキャラクターを明確に性格付けて、引き寄せられるように絡み合う人間模様が豊かな情感を醸し出している。これまで以上に、軽妙なストーリーテリングの面白さと深みのある人間ドラマで魅了する。

kagimeso-2.jpg【STORY】 ルーズな生活の果てに自殺未遂の35歳の売れない役者・桜井武史(堺雅人)が、銭湯で転んで記憶を失った羽振りの良さそうな男・コンドウ(香川照之)のロッカーの鍵を盗んだことから、危険な歯車に巻き込まれていく。そこに、ある理由から突然結婚宣言をした雑誌編集長の水嶋香苗(広末涼子)が絡む。香苗はバイト募集条件も結婚相手の条件も同じ、「健康で努力を惜しまない人」。そんな香苗が、記憶を失ったコンドウと出会い、シンパシーを感じる。コンドウと入れ替わった桜井の命運は ?コンドウの記憶は? 香苗の婚活の行方は?


【最初のご挨拶】

kagimeso-s2.jpg監督:今日は大好きな役者さんと大阪に来られて嬉しいです。
堺:とても素敵なラブストーリーができたと思っています。よろしくお願いいたします。
広末:本当に楽しくて実力のある役者さんと、それに、しっかりとしたイメージのできている監督とお仕事ができてとてもいい経験になりました。沢山の方に見て頂きたいです。

━━━内田監督の作品は脚本の面白さがクローズアップされる事が多いが、現場での監督の様子や演出は?
堺:現場での監督の様子が語られないのは、あまりにもスムーズ過ぎて我々の記憶に残らないからではないかと。監督はイメージに沿って的確な指示を出されるので、それに従っていけば順当に進んでいく。特にこれというトラブルもなく、とてもスムーズな印象で、いつも楽しそうにされていました。
広末:監督には迷いがない。理性的で、形容詞など使わず具体的な比喩を用いて演出されることが多く、それが面白くて、さすが本を書かれる人だなあと思いました。初日に香川さんと焼き鳥を食べに行った時とても嬉しそうにしておられ、その理由は「お二人が喋ってくれてますねぇ。3年かけて練りに練った脚本を役者さんが喋ってくれると、こんなにも嬉しいものなんだ」と。監督するだけでなく脚本も手掛けると、作品に対する愛情も違ってくるようです。
堺:僕には何の比喩もなかったよ!
監督:若干ひいきしてました(笑)。

━━━3人の出演配分やキャラクターの吸引力については、最初から計算していた?
 監督:私自身がわくわくするかどうかが問題。キャラクターのデフォルメ感はかなり意識しました。具体的には、香川さんがお風呂場で転ぶシーンの、香川さんのお尻の位置の高さに全てのキャラクターのデフォルメを込めました(笑)。『少林サッカー』ほど高く上がってませんが、現実ではあり得ないほど高い位置にしました。

kagimeso-s3.jpg━━━前作に続いての出演だが?
堺: 『アフタースクール』の時は脚本を読んでも訳が分らなかったのですが、今回は1回読んだだけで意味が分かったという安心感がありました。3年かけた脚本は、技巧を凝らしながらもミステリーの部分を残し、ラブストーリーという筋が1本通っています。それは監督ご自身の変化だと思うし、前2作を見ておられる方もその変化を楽しんで頂ければいいなと思います。今回は何分にも香川照之さんとの共演ですから、演技合戦になるのも不利だと思い、肩の力を抜いて「あなたと張り合う気はありませんよ~」とアピールして現場に入りました(笑)。

kagimeso-s4.jpg━━━内田けんじ作品について?
広末:私も一気に読みました。楽しくてわくわくしながら現場に入りました。初めて堺さんと香川さんの3人で撮影があった日の会見で、「大人のシュールな笑いあり、監督の沢山の肉付けの末に最後はドンデン返しがある作品ですが、ピュアなラブストーリーですよね」と言ったら、お二人が「えっ!ラブストーリー?」と驚かれたのです。お二人は自分たちの性格が入れ替わる部分に大きなイメージを抱いていたようですが、監督に確認したら「これはラブストーリーですよ!」と仰って下さいました。読み方や視点によって大きく変わっていくようで、きっとご覧になる方も、内田監督らしいなとか、キャラクターの誰かと共感するとか、感情移入の仕方によって全然違って見えてくるのではないかと思います。
 堺:広末さんは最初から「素敵なラブストーリーができました!」と言ってました(笑)。
 監督:合同会見だとバレてくるね(笑)。 

━━━後半、堺雅人さんの絶妙な演技力が問われるシーンがあったが? 
 堺:あれは本気でやって、結果、下手になってしまった!
 広末:香川さんも驚いてましたよ。どうしたらあんな演技が出てくるんだと。
 監督:下手というか、浅はかなんだよね(笑)。自分に酔っている感じがあったね。
 堺:でも、あれは監督の口真似ですよ。
 監督:違う、違う!僕、あんな浅はかな演技しない!(笑)
 広末:見ていて恥ずかしくなるような演技をするシーンがあって、あの演技プランはどうなってるんだろうと?
 堺:え~っ!? これって、ある意味吊るし上げだよ!?(笑) 確かに刑事ドラマに憧れてたので、あれはちょっと考えたよ。そうした浅はかな役を本気でやらせるんだから……それにしても、見ていて恥ずかしくなるような演技とはね~(笑)

kagimeso-s5.jpg━━━香川さんの面白さは?
 広末:ワンテイクは少なくて、何回も撮り直すのを楽しんでおられました。「もう1回できるんだ~!」と。みんなで構築する芝居を楽しんでおられたようです。
 堺:「役者が現場でできることはそんなに無いんだよね~生き様が出て来るんだよね」と、常に全力投球されていました。記憶を失った部分で香川さんが着る服をわざと似合わないような服ばかり選んだのに、どんどん着こなしていって、ガッカリしました(笑)。何でも似合うんです!
 広末:Tシャツのロゴが面白かったですね。
 監督:そう!「WANDER NIGHT」(ワンダー ナイト)、それがタイトル候補にもなったよ。

━━━広末さんは今回笑わない役でしたが……?
広末:とにかく笑わないように、感情を出さないように、常にテンションを低くしていたので、怒っているように見えないかと、その辺のさじ加減が難しかったです。でも監督に「大丈夫!」と言われ、不思議と違和感なく、新しい経験をさせて頂きました。
 監督:撮影合間に見せる表情豊かな笑顔が素晴らしく、これを封印するんだと思うと申し訳なくて……こぼれおちる情感がそこにあったからこそ、美しく見えたと思います。
広末:周りの人にも今までの役の中でも一番好きだと言って頂けて、とても愛すべきキャラクターだと思いました。


kagimeso-s6.jpg 無計画でルーズな男を絶妙な力の抜き加減で特有の存在感を示した堺雅人、記憶を失い貧しくうだつの上がらない男と狡猾でシャープな男を繊細に演じ分けた香川照之、何事も計画的で几帳面な女性を可愛い笑顔を封印して好演した広末涼子。この3人のパワーバランスが、かつてないほどのスリルに満ちたコミカルで温もりのある“ラブストーリー”を奏でる。そして、前向きに努力する姿勢こそ幸せへの“鍵”であることを実感し、勇気付けられるに違いない。またしても“内田マジック”にはまってしまった! (河田 真喜子)

 

B&W1-s500.jpgB&W1-1.jpg「ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1」ジャパンプレミア
(BLACK & WHITE EPISODE1:THE DAWN OF ASSAULT)

(2012年 台湾 2時間8分)
監督:ツァイ・ユエシュン
出演:マーク・チャオ、ファン・ボー、アンジェラ・ベイビー、DEAN FUJIOKA
2012年9月8日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸 他全国ロードショー
提供:アミューズソフト 配給:東映
公式サイト⇒ http://www.bw-movie.jp/
(c) 2012 Hero Pictures Corporation Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

ドラマ「ブラック&ホワイト」(09年)の監督を務めた台湾ドラマ界のヒットメーカ、ツァイ・ユエシュン監督が、同作で主演を果たしたマーク・チャオを再起用し、「ドラマの3年前」という設定で映画化した「ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1」。公開前に先立って行われたジャパンプレミアに、マーク・チャオとツァイ監督、台湾で活動中の日本人俳優DEAN FUJIOKAが登場し、スペシャルゲストとして日本語吹き替えを担当した寺脇康文も登壇。男だらけの熱い舞台挨拶の模様をお届けします。


B&W1-s2.jpg(最初のご挨拶)

マーク・チャオ:皆さんコンニチハ、マーク・チャオです。 ヨロシクお願いいたします(日本語)。このような形で日本に帰ってこられて嬉しいです。ドラマをご覧になった方も、(今回の映画で)新たな回答を得られると思いますのでお楽しみ下さい。

DEAN FUJIOKA:リー捜査官を演じたディーン藤岡です。 はじめまして、…ですかね? 「ハーバークライシス〜」で戻ってこられて嬉しいです。映画を是非楽しんで下さい。

ツァイ・ユエシュン監督:皆さんコンニチハ(日本語)。 ここで皆さんにお会いできて幸せです。 映画を気に入っていただけると嬉しいです。

B&W1-4.jpg―――ドラマの映画化を知った時の気持ちはいかがでしたか?
マーク・チャオ:実は監督とは仲が良いのに「映画に出ますか?」と一度も話がなく成り行きで出演することになったんです(笑)。アクションシーンも「スタントマン入りますか?」とも言われず成り行きで全て自分でアクションシーンを行いました。毎日ケガしてどのシーンも大変でしたね。

――― 特に大変だったシーンは?
マーク・チャオ:(ビルの)3階建て位の橋から橋の下を通るトラックに飛び降りるシーンでは、19テイクも撮りました。なかなか監督からOKがでなく我慢できなくなって「まだやるんですか?」と聞いたら監督から「これぐらいで疲れたんですか?」と言われました(笑)

B&W1-s4.jpg――― 色んな国の俳優が出演したグローバルな映画の現場の雰囲気はいかがでしたか?
DEAN FUJIOKA:それぞれの国の違いを乗り越えてコミュニケーションを取って、色々な意見が飛び交って楽しかったです。日本語吹き替え版では自分の役を自分の演技を見ながら吹き替えたのが面白い経験でした。人名とか地名とか、中国語の発音を日本語にする時、発音がおかしくなってしまい吹き替えの監督に何度も直されました。声優の仕事は初めてでしたが、まさか自分を吹き替えることになるとは思いませんでしたね(笑)。

――― 映画にしようと思ったのはいつごろだったんでしょうか?
ツァイ・ユエシュン監督:最初から、ドラマを2シリーズ撮って、映画を撮って完成、という企画が有りました。ところが、ドラマの一作目にお金がかかり過ぎてしまい、ドラマの続編を作るのが厳しくなってしまったんです(笑)。幸い評判は良かったので、予定を前倒して映画を撮ることになりました。

B&W1-2.jpg――― 現場でのマークさんとFUJIOKAさんの様子はいかがでしたか?
ツァイ・ユエシュン監督:マークはインタビューでは愚痴ばっか言ってるけど、現場では、何かを頼むと、最初「えっ…」と言いつつも5秒後には文句を言わずにやってくれましたね。先程高い橋から飛び降りた話が出ましたが、あれはまだ高くない方なんです。7階建て位の高さからも、スタント無しで落ちてくれています。マークのおかげでリアルな映像を撮ることができました。 彼は、現場では「大人しい俳優でしたね」笑。DEAN FUJIOKAは、非常にプロフェッショナルです。どんなに難しい台詞も完璧にやろうとする姿勢が素晴らしい。インターナショナルの作品には共通の言語が必要ですが、彼は素晴らしかったです。

B&W1-s3.jpg――― (日本語吹き替え版を担当した)寺脇康文が登場してご挨拶
寺脇康文:ニホンの皆さんコンニチハ。 寺脇康文です。もう日本語ワカリマセーン。(外国人風な口調で)吹き替えのお話をいただき、てっきりマークさんの役かと思ったら違いました。年齢的に駄目だったようです(笑)。でも私が担当したファン・ボーさんは素晴らしい俳優です。役者からみると悔しいくらいです。「ハーバークライシス〜」は面白くてジェットコースターのような、全編クライマックスという感じの作品です。またアクションだけじゃなく人間味もあるのもいいんですよね。

マーク・チャオ:日本ドラマの『相棒』は、台湾でも放送されていて、誰もが知っています。そんな重鎮に、今回吹き替えを担当していただき、嬉しく思っています。 

B&W1-3.jpg――― 寺脇さんは吹き替えをやって、何か思い出はありましたか? 
寺脇康文:マークさんの役は落ち着いていて、うろたえる事なんて無いんですが、僕がやったダーフーは悲鳴が多いんです。「ウワァー! 」とか、車で飛んでいくところでも、「ウワァァーーーッ!」って悲鳴ばかりで大変でしたね。吹き替え版と比べて観ても面白いと思いますね。

――― 印象的なシーンは?
寺脇康文:個人的にはダーフーが登場するエレベーターのシーンに注目してほしいですね。映画の色、ダーフーというキャラクターの全てがわかると思います。一瞬のシーンなので、見逃さないで下さい。

B&W1-s1.jpg(最後の挨拶)
マーク・チャオ:今晩はこのような形で、皆さんと過ごせて嬉しいです。この映画をどうぞ好きになってください。これからも努力を続け、いつか日本のクルーと仕事ができれば長く日本に滞在できると思うので願っています。
ツァイ・ユエシュン監督:まずは、このような機会を作って下さったアミューズと東映に感謝いたします。そして、ここにいらして下さった皆さんもに感謝いたします。どうぞ良い晩をお過ごし下さい。


B&W1-pos.jpg次回作のため、口ひげを携えて登場したマーク・チャオ。ドラマ「ブラック&ホワイト」で俳優デビューを果たしたのち、ニウ・チェンサー監督やチェン・カイコー監督など、そうそうたる名監督に愛され、12年だけでも4本の映画に出演し着実に俳優の地位を確立している彼の輝かしいキャリアの裏には、妥協を許さない演技に対する姿勢があってこそだと、舞台挨拶での監督の言葉、劇中のあらゆるシーンで理解することができるだろう。「こんなこと本当にスタントなしでやっちゃうの!?」というくらいの迫力満点、かつ危険度満載のシーンは息つく暇もないくらい観客を魅了することに成功している。
マークを発掘した生みの親でもあるツァイ・ユエシュン監督と再タッグを組んで臨んだ今作は、劇中同様「男の友情」「信頼」から誕生した、今までにない新しい台湾映画の風を吹き込んでくれた一作、と言っても決して大げさではないだろう。 (木村 友美)

torasan-s500.jpgtorasan-1.jpg『山田洋次の軌跡』山田洋次トークショー

ゲスト:山田洋次監督、浜村淳
2012年8月18日(土)、京都・南座にて

名匠・山田洋次監督(80)のすべてが見られる「山田洋次の軌跡」が8月18日、京都・南座で始まった。山田監督の監督生活50周年企画で監督作品全80本をすべてフィルムで上映する貴重なレトロスペクティブ。開幕初日には浪速の名司会者・浜村淳さんとトークショーを行い、48本続いた寅さんシリーズの裏話などを山田監督が披露、詰め掛けた満員の観客は大喜びだった。


浜村:伝統ある南座での全作上映は意義深いですね。
山田洋次監督: (南座は)海外で言えばオペラ座やスカラ座に匹敵するようなところ。こんな場所で僕の映画をやることがうれしい。観客として来たことはあるし、秋には新派の舞台で『麦秋』を上演するので最近はよく来ている。京都は映画、とりわけ時代劇発祥の地。伝統は絶やしたくない。
 
浜村:南座の舞台上に懐かしい寅さんの「くるまや」のセットが作られてますね。
山田洋次監督:寅さんシリーズは28年間、48本やったが、第1作で“くるまや”のセットを作って、バラして次に使う、毎年大事に使っているうちに愛着がわきましたね。みんなそんな思いでやってきた。衣裳も同じ。セットも年季が入っている。自然とそうなっちゃったのがこのシリーズです。

torasan-s1.jpg浜村:今回は全作フィルム上映だが、これが最後になるかもしれない。
山田洋次監督:映画はサイレントからトーキーになり、カラーになり、今はCG全盛時代。デジタル化は表現の幅を広げたというよりも主に経済的な理由が大きい。110年間、続いてきたフィルムが消えるのは大事件で、大変な変化の時期を迎えている。これから何が起こるか…。デジタルは50年間、ちゃんと保存出来るかどうか。フィルムなら大丈夫なんですがね。デジタルで撮っても保存はフィルムということになるでしょう。今のシネコンはデジタル上映で、映写機は要らなくなっている。フィルムの陰影を映すのが映画。劣化はするが、デジタルと違ってフィルムを通した映像は微妙な味わいが違う。音もスクリーンを通して出す。今回はそのために専門の業者に頼んで音響も満足出来るものになっています。何よりも大きな空間、高い天井、巨大スクリーンで見るのが本来の映画。この上映が最後のチャンスになるかも知れない。

浜村:映画館で見ることが大事ですね。
山田洋次監督:今はハリウッド大作がいっぱいあるが、お客さんは客席でシーンとして見ている。僕はお客さんがざわざわして、くすくす笑ってくれるのが理想的。お客さんが「オレもああいうところがあるかな」と親近感を感じてもらえたら、と思う。

浜村:山田監督作品もそうですが、かつては1 ~ 2分見たら監督が分かる、そんな監督さんがいました。
山田洋次監督:そうですね。黒澤(明)、小津、溝口(健二)監督たちは夜中のテレビで見ても、1 ~ 2分で誰の映画か、分かります。僕もそうなりたい、と思ってますが。

浜村:監督になって50年、最初から監督志望だったのか?
山田洋次監督:松竹に入ったころ、映画は最高の娯楽だった。ほかに遊び道具もなかった。映画館に行くだけでウキウキした。映画界に入るのは手続きが大変だし、コネもなかった。あちこち受けたがたまたま通ったのが松竹だった。最初は野村(芳太郎監督)さんの助監督をやったが、自分では監督は無理だろうから脚本家になりたかった。

torasan-s2.jpg浜村:野村芳太郎監督はあまり教えない人だそうだが、監督から学んだことは?
山田洋次監督:人間を客観的に見る、ということでしょうか。それは小津(安二郎監督)さんはじめ、松竹の伝統かも知れませんね。客観的に見たら人間はこっけいで面白いもんです。ただ、(野村さんは)作る作品ごとストライドを変える人なので“教えない”という評判になったんでしょう。

浜村:撮影現場では声を荒らげることもあった?
山田洋次監督:長い間やってるうちには大声を上げることもあったが、僕の理想は、静かだけど和やかな撮影現場。和気あいあいで楽しい雰囲気が大事ですね。渥美(清)さんの演技でみんな笑い転げてなかなか本番にいけないことがたびたびあって“いいかげんにしてくれよ”ということも何度かありましたけどねえ。『おとうと』では(笑福亭)鶴瓶さんが点滴に酒まぜるシーンがあって、僕が吹き出すこともあった。監督が吹き出すのは大事なこと。

浜村: 『男はつらいよ』はよく48本も続いた。それも失敗作などは1本もない。どうしてあんなに続けられたのか?
山田洋次監督:ある程度続き始めると、普段の生活、映画や小説などみるものすべてが(寅さんに)結びついていく。2 ~ 3本、もう出来ない、大変なことになった、と思ったこともあるが、どちらかと言えば楽しんで作ったという気持ちが強い。ラクに作れる方が楽しいものができますね。

浜村:寅さんではいしだあゆみマドンナの「 ~ あじさいの恋」が忘れられません。いしださんの演技も最高だった。いしださんに「頑張りましたね」と聞いたら、「私は監督のおっしゃる通りにやっただけです」と言ってましたが。
山田洋次監督:女優さんは皆さん、それなりの人生を歩んで来ていてその魅力が第一です。“そのままでいい”というのが第一歩。小津さんの映画でも、あれほど存在感があった笠(智衆)さんが「私は小津さんの映画では演技をした記憶がない。ただ人形のようにいわれる通り演技した」と言っておられました。

浜村:監督は「愛とは」「家族とは」、そして「幸せとは」というテーマをずっと貫いてきた。そこに落語的なテイストを感じさせた。
山田洋次監督:そうですね。噺家の立ち位置で話しかける、私の映画はそうありたいと思います。ユーモアは作って出来るものじゃない。武田鉄矢に渥美さんが「青年」と呼ぶだけでお客さんはドッと笑う。『男はつらいよ』で森川信さんが「バカだねえ」というとドッと笑いが来る。森川さんに「磨き抜かれた芸ですね」と言ったら「天賦の才ですよ」と言って笑ってましたが。


torasan-pos.jpg★『山田洋次の軌跡』全作上映は前半が9月23日まで。後半は10月6日から同24日まで3か月のロングランイベント(月曜休館、月曜祝日の時は翌火曜休館)。
日替わり上映は1作品500円。午前11時から「男はつらいよ」シリーズ、午後4時からは他作品上映。特別編2作品上映もある。
ほかに南座内ミニシアターで特別編集映像「京都から見た日本映画の歴史」と「男はつらいよ南座特別編集版」も上映される(300円)。「くるまや」セット体験コーナー(500円)など。(安永 五郎)

『監督生活50周年 The Work of Yoji Yamada 山田洋次の軌跡 ~フィルムよ、さらば~』公演情報はコチラ

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