映画『はじまりのみち』日本映画界が誇る!! 原×細田×樋口3監督が映画への思いを語る
『はじまりのみち』
監督・脚本:原恵一 出演:加瀬亮 田中裕子 濱田岳 ユースケ・サンタマリア、宮﨑あおい 企画、制作、配給:松竹 2013年6月1日(土)~全国ロードショー
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★公式サイト⇒ http://www.shochiku.co.jp/kinoshita/hajimarinomichi/
(C)2013「はじまりのみち」製作委員会
『二十四の瞳』『喜びも悲しみも幾歳月』など数々の名作を生み出し、日本映画の黄金期を代表する木下惠介監督は、21才で松竹蒲田撮影所に入所し、31才で監督デビューするまでの下積み時代を、東京・蒲田で過ごしました。生誕100年を記念して製作された映画『はじまりのみち』は、木下監督の戦時中の実話をもとに母子の情愛を描いた物語。『河童のクゥと夏休み』『カラフル』といったアニメーション作品で高い評価を受け、同監督を敬愛する原恵一監督が初めて手がけた実写映画としても注目されています。
つきましてはこの度、映画『はじまりのみち』の完成を記念し、原監督をはじめ、『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』などで知られるアニメーション映画監督の細田守氏、実写や特撮、アニメなどの幅広い分野で活躍する映画監督の樋口真嗣氏をパネリストに迎えた本日のシンポジウムが開催されました。
【シンポジウム概要】
実施日:5月12日(日)15:25~ 場所:東京工科大学蒲田キャンパス3号館地下1階 片柳記念ホール(東京都大田区西蒲田5-23-22)
パネリスト:原恵一監督 細田守監督 樋口真嗣監督(以上3名予定) コーディネーター:濱野保樹(東京工科大学メディア学部教授)
【シンポジウム内容抜粋】※試写会終了後に実施 一般のお客様の前にて
濱野:細田さんと、樋口さんは原監督の初実写映画をご覧になっていかがでしたか?
細田:原監督のアニメのファンでずっと見ていたのですが、実写をやると聞いて若干不安に思うところもありました。アニメとは勝手が違うため、原さん独自のテイストが無くなってしまうと思ったからです。実際に出来上がった作品を見てみると、静かだけど力がある寸分違わぬ原恵一スピリットが作品全体に漂っていて、安心しました。
樋口:僕は撮影現場を見に行った時に安心しました。スタッフが監督を愛していて、みんなで支えている感じがしたからです。見学したとき、リヤカーが出発するところのシーンだったのですが、もう少し待つと日が射すから待とう、という時の現場がとても良い雰囲気でした。贅沢な製作環境では無かったと思うが、適格な画作りと芝居がリッチで、河原でのやり取りが特に好きです。あとは、宮﨑あおいさんがとても良かった。“学校の先生”という役での、望遠での横顔が雄弁に語っているな、と思いました。
濱野:初実写映画ですが、実写を撮りたいという思いは前からあったのですか?
原:前向きにどうしても撮りたい、という感じではありませんでした。ただ、木下監督に光を当てたいとずっと思っていた自分の想いに嘘をつきたくなくて、今回引き受けました。今回の映画は、当初脚本のみでの参加予定だったのですが、やるしかないなと思い、自信は無かったのですが、自ら監督をやってみようと手を挙げ挑戦しました。
濱野:実写映画を撮影するにあたってアニメと違った点、苦労された点はどこですか?
原:アニメは机に向かっての1カット1カット積み重ね。実写は大変な撮影のシーンの際に、スタッフからの要望があった時だけ画コンテを作成する、という感じでした。カット割りもカメラマンさんに頼っていました。実写はアニメと違って天候の影響も受けるので、そういう意味では大変でしたね。雨降らしも初めて体験したのですが、冬の山での雨降らしは俳優さんもブルブル震えながらの撮影で、現場は殺気立っていましたね(笑)撮り終えてからは、アニメーションと同じ作業でした。映画になっていない場合、アニメは画をイジれるけど実写ではできない。『はじまりのみち』は撮り足す必要もないくらい、ちゃんと映画になっていたので、良かったです。今回、実写とアニメの違いは本当に感じました。実写は撮影が終わるまでずっと走り続けている感じでした。
濱野:原監督は今後も実写を撮るのでしょうか?
原:そう簡単ではないので、調子に乗って実写にも!という気持ちはありません。
細田:原監督が実写にいくと、毎年原監督の作品が見られますね!(アニメの製作期間が実写よりも長いため。)
濱野:3人にとっての「はじまりのみち」、映画人としての挫折と再生を教えてください。
樋口:僕は、自分の仕事を俯瞰してみれないタイプ。本能で突き進む事が多いので、もう少し俯瞰してみた方が良いかなと。映画を監督するってこういう事なんだなとこの映画を見て気づかされました。映画を作るのは良い事だなと思いました。
細田:実は僕自身、劇中の映画の中と気持ち的には同じ体験をした事があります。作品を作っている最中に、母が倒れてしまい、更に諸事情で映画が出来なくなった事がありました。看病しろと言っていた母が、看病に戻ってみると一から全部無しにして実家に戻るのはありえない、と母に言われました。『はじまりのみち』の内容が自分の体験とそっくりで、当時の自分を見ているような気分になりましたね。
原:映画監督の話なので自身と重ね合わせて書いてた気もします。この仕事が出来た事も運命的。毎日ブラブラしている時にこの依頼が来ていなかったら関われていたどうかわからないですし。偶然なんだけど、違う何か運命めいたものも感じます。
濱野:『はじまりのみち』をご覧になった会場の皆様、これからご覧になる皆様へのメッセージをお願いします。
樋口:初めて見てから2か月、思い出してもじわじわ来る。田中さんのラストシーンで空を見上げて泣くシーン等を思い出すとグッときますね。10年後見たとしても良い映画。そして明らかに10年後、20年後に残る映画だと思います。会場にいる方は試写会でタダでご覧になったという事なので、最低でも5人以上に進めてください(笑)
細田:木下惠介監督生誕100年記念映画と聞いて、ビビッている人もいるかもしれませんが、気にしなくて良いと思います。若い人や生きている中で停滞感を感じている人、モヤモヤしている人がこの映画を見てまた「はじまりのみち」へ踏み出す事が出来るかもしれない。そういった意味で若い方がたくさん見て頂くと有意義じゃないかと思います。そしてご覧になることで、木下惠介監督の映画を見たくなる、という見方で良いのではないかと思います。
原:初めて実写で監督をして、この歳でこんなにたくさん初めての経験、プレッシャーを感じる事があると思ってなかったです。やれてよかった。出来上がった作品も似たような作品が思い当たらないので、木下惠介監督作品のような過激な作品に出来たのではないかと思っています。今日の話を聞いてもう一度確かめたいと思った方は、ぜひ劇場に足をお運びください。
【パネリストのプロフィール】
原恵一(はら けいいち)
1959年生まれ。群馬県出身。PR映画の制作会社を経てアニメ制作会社に入社し、「エスパー魔美」をはじめ数々のアニメの演出を手掛ける。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(01)、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(02)は、第6回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞や第57回毎日映画コンクール・アニメーション映画賞など多数の賞を受賞。その後も『河童のクゥと夏休み』(07)やアヌシー国際アニメーション映画祭で特別賞と観客賞を受賞した『カラフル』(10)など精力的に作品を作り続け、国内外で高い評価を得ている。『はじまりのみち』で実写初監督を果たした。
細田守(ほそだ まもる)
1967年富山県出身。91年東映映画(現・東映アニメーション)入社。アニメーターとして活躍後、演出家に転向。その後フリーとなり、『時をかける少女』(06)、『サマーウォーズ』(09)を発表。両作品とも国内外で多数の賞を受賞し、2010年ベルリン国際映画祭にも正式招待された。2011年には自身のアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立。自ら監督・脚本・原作を手掛けた最新作『おおかみこどもの雨と雪』(12)では、興行収入42.2億円、観客動員数344万人を超える大ヒットを記録し、第36回日本アカデミー最優秀アニメーション作品賞を受賞した。
樋口真嗣(ひぐち しんじ)
1965年生まれ。東京都出身。『ゴジラ』(84)に造形助手として参加。特撮監督を担当した『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)で日本アカデミー賞ほか数々の賞を受賞。以降『平成ガメラ3部作』すべてに携わり、絶大な支持を集める。『ローレライ』(05)で長編映画監督デビューし、大ヒットを記録。その他の監督作に『日本沈没』(06)、『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(08)。犬童一心監督と共同監督した最新作『のぼうの城』(12)で日本アカデミー最優秀監督賞を受賞した。
・日時:2013年6月3日(月)
今年もG.W.は イタリア映画が熱い!
『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』樹木希林、齊藤監督舞台挨拶
(2012年 日本 2時間)
仲代達矢が奥西を演じ、息子の無実を信じ続ける母タツノを樹木希林が演じた。製作陣は、ドキュメンタリー「司法シリーズ」を手がけてきた東海テレビ。事件発生当初から取材を続けてきた記録、証言を再検証し、みごたえのある作品となった。タイトルの約束とは、1987年から奥西の支援を始めた人権団体の川村(天野鎮雄)が、ようやく再審開始の決定がなされた2005年、面会室でガラス越しに奥西(仲代達矢)と手を合わせ「今度は晴れて、塀の外で握手しましょう、お互いしぶとく生きましょう」と約束をしたところからくる。このシーンで初めて見せる仲代の笑顔が印象的だ。
監督:
Q:
Q:
会場からの「希林さん、ぜひこれからも頑張ってください」とのエールの言葉に、樹木さんがにっこり微笑んで「そうもいかないのよね、病気を抱えて、もう70歳超えてね」とおどけて答えた後、「がんを告白してから、「大変ですね」とか「病気は大丈夫ですか」と言うわりには、皆さん、こきつかうんですよね(笑)。いい意味で生きていきたいと思います」と話されたのが印象に残った。作品についての感想をざっくばらんに観客に求め、意見交換しながら、当意即妙な答えで、会場の笑いをとったり、共感の輪を広げていく姿はさすがで、偉ぶらないお人柄がすてきだった。作品への深い理解に女優魂の懐の深さを感じ、印象深い取材になった。
妊娠を機に心が離れてしまった夫と別れを決意するまでの妻の心の軌跡を描いた『ベルヴィル・トーキョー』。冒頭、「他に好きな女がいる」と言い放った夫ジュリアンを駅のホームで悲痛な表情で見つめる妻マリー。夫婦という親密な時を過ごした2人の関係が破綻した瞬間である。その後男は心を入れ替え、「僕も父親になりたい」と言って女の元に戻るが、次第に大きくなるお腹と共に募る夫への不信感。愛が失せたと実感する瞬間、瞬間を細やかに捉えた映像は、グレイッシュな冬の光がマリーの孤独を際立たせるように美しく映えて秀逸。
お花見にはまだ遠い春の嵐が吹き荒れる3月半ば、キャンペーンのため来日したエリーズ・ジラール監督は、初来日ということもあって京都観光の前に来阪し、インタビューに応えてくれた。折り紙で鶴を折ってくれる11歳の息子がいるという。主演のヴァレリー・ドンセッリとジェレミー・エルカイムの息子と同じ歳だ。監督自身が妊娠している時もシングルだったそうだが、この映画の主人公マリーとは違って、「愛の決別」という切羽詰まった状況ではなかったという。それにしても、妻の元から逃げるように心が離れてしまう夫の様子が、マリーの目を通して実感できる、ある意味怖い映画である。
――― マリーがジュリアンとの決別を決意するまでを描いているが、マリーの心の変化をポイントポイントで表現したシーンが素晴らしかった。特にバス停のシーンとか、ベルヴィルで彼を発見するシーンとか。これらは経験から?
――― 映画館の事務所で、マリーがふて腐れて悪態ついているシーンがとても面白かったが、あのシーンは笑いを狙っていたのか?またその理由は?
――― 衣裳・カラーについて?
・日時:2013年4月11日(木)
・日時:2013年4月1日(月) 
・あなたが演じたカルビン・キャンディは、あなたにとって初の本格的悪役であることはもちろん、ハリウッド映画史上でも類を見ない芯からの悪人です。このような役、しかも主役ではない役を自分からやりたいと言ったと聞きましたが、どう興味もって、出演を決心されたのか、その経緯を教えてください。
・骨相学のシーンで実際に怪我をしたと聞きました。撮影中大変だったエピソードは?
<『フライト』作品紹介>

