「京都」と一致するもの

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『レ・ミゼラブル』

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皇太子殿下のご臨席たまわりました
『レ・ミゼラブル』特別チャリティ試写会
敬意を表し、ヒュー・ジャックマンらも
本試写会のためだけに緊急再来日!

12月21日(金)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
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本作は、初演以来、世界43カ国、21ヶ国語で上演され、各国の劇場観客動員数記録を塗り替えるとともに、27年間という驚異的ロングランと6千万人を超える動員数を達成した、伝説の大ヒット舞台ミュージカルの映画化『レ・ミゼラブル』。

第70回ゴールデングローブ賞にも作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)、助演女優賞、主題歌賞の堂々の4部門でノミネートされ、アカデミー賞候補呼び声高い超大作です。

12月21日(金)の日本公開を目前に控え、12月18日、皇太子殿下のご臨席をたまわり特別チャリティ試写会を行いました。それに敬意を表し、主演のヒュー・ジャックマン、トム・フーパー監督、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュが駆けつけ、本試写会のためだけに緊急再来日いたしました。


【イベント概要】
イベント実施日:1218日(火)
場所:イイノホール(東京都千代田区内幸町)
特別ご招待:皇太子殿下
出席者:ヒュー・ジャックマン、トム・フーパー監督、キャメロン・マッキントッシュ(プロデューサー)

【イベント内容】
皇太子殿下 ロビーにご入場〜お出迎え
「ヒュー・ジャックマンです。」と日本語で挨拶したヒューと、皇太子殿下が握手を交わされました。

皇太子殿下ホール内にご入場〜ご着席
満席の会場より温かい拍手。皇太子殿下はヒュー・ジャックマンと隣り同士でご着席されました。

ヒュー・ジャックマン舞台挨拶

※上映終了後は、鳴りやまない拍手の中、スタンディングオベーションでヒュー・ジャックマンらが見送られました。


舞台挨拶内容

ヒュー・ジャックマン:
コンニチハ!私は日本に来れてとてもうれしいです。(ここまで日本語)
トム・フーパー監督、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュと一緒に日本に来られたこと、また、皇太子殿下のご臨席をたまわり、とてもうれしく思っております。

私には日本で3つの夢があり、それを実現できました。
1つめは、12歳の息子と富士山に登頂できたことです。
2つめは、ミュージカル映画に出演できたこと、それもアカデミー賞監督の『レ・ミゼラブル』に参加でき、うれしく思います。
3つめは夢というより大変光栄なことになりますが、皇太子殿下とご一緒にこの映画を観られることです。
(日本語で)アリガトウゴザイマス。

上映終了後のコメント

Q.この本試写会のためだけに日本に来てくださったとのことですが、
出席されてみていかがでしたか?

ヒュー・ジャックマン:大変光栄なことです。
皇太子殿下とお会いでき、いっしょに本作品を観られたこと、また、皇太子殿下は慈善活動もされている素晴らしい方で、今日のことは本当に忘れられない経験になりました。

Q.上映前に皇太子殿下をお出迎えした際、また、上映後も皇太子殿下とお話された際、どのようなことを話されましたか?

ヒュー・ジャックマン:お出迎えさせていただいたときは、日本語でいくつか挨拶させていただき、皇太子殿下からも上手に話せているとOKをいただきました。
上映後、若いころ『レ・ミゼラブル』の原作を読んでいて、また舞台も観ておられたと話されていて、忙しくて映画をあまり観られないけれど「この映画は素晴らしく興奮した」と、おっしゃっていただきました。

Q.ゴールデングローブ賞主演男優賞ノミネートおめでとうございます!

ヒュー・ジャックマン:(日本語で)アリガトウゴザイマス!
この作品の一部としてノミネートされたことは本当にうれしい。
ハリウッドではミュージカル映画が成功することは難しいけれど、この作品がきちんと認知されてうれしいです。
これからもミュージカル映画がたくさん作られることを望みます。
そして、この作品は感動的な映画で、人の心を動かせる作品に出演できたことがうれしいです。

皇太子殿下より「素晴らしい映画を観させていただきました。感動いたしました。」
とのお言葉に、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュは「来年は舞台のほうも
ありますので、そちらもご覧ください。」と返していました。

皇太子殿下とトム・フーパー監督は、同じオックスフォード大学出身ということで、大学時代の思い出を長く語っていました。

                                                   


 【作品概要】

1985年の初演以来、世界43カ国、21ヶ国語で上演され、6000万人を超える観客を動員。
27年間休むことなく上演が続き、人々の心をつかんで離さないミュージカルの最高傑作。

「英国王のスピーチ」にてアカデミー賞(R)監督賞を受賞した名匠トム・フーパーと、唯一無二の豪華キャストが、映画の最高傑作へと昇華させる。

1862年の『レ・ミゼラブル』出版から150年。
ヴィクトル・ユゴーによる原作の壮大なスケールはそのままに、時を超えて、世界中の人々の心に訴えかけるメッセージが、映画に命を吹き込んだ。

スーザン・ボイルが歌って、その楽曲の素晴らしさが改めて広く知られることとなった
「夢やぶれて」(I Dreamed a Dream)をはじめ、「ワン・デイ・モア」(One Day More)、
「民衆の歌」(The People's Song)など、心揺さぶる数々の音楽に彩られ、偽りや飾り気のない人間のありのままの感情が、時には激しく、時には優しく、浮き彫りにされていく。

全編を通じて謳われるのは、愛と勇気、そして希望。
どんな逆境でもくじけずに、今日という一日を全力で“生きる”ことの尊さを教えてくれる登場人物たちの姿に、温かい涙を流さずにはいられなくなる。


 【ストーリー】

19世紀のフランスを舞台に描かれる、敗れた夢と叶わぬ恋の物語は、情熱、自己犠牲と再生といったテーマを盛り込みながら、決してくじけることのない人間の魂を感動的に謳い上げる。

元囚人のジャン・バルジャンは、保釈の条件を破って脱走したことから情け容赦ない警官ジャベールに何十年にもわたり執拗に追われる身となる。そんなバルジャンは、女工ファンテーヌに彼女の幼い娘コゼットの面倒を見ると約束する。
それが彼らを取り巻く運命を大きく変えていくことになるとは知らずに・・・。
 


■監督:トム・フーパー
■作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■原作:ヴィクトル・ユゴー
■脚本:ウィリアム・ニコルソン、アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク、ハーバート、クレッツマー
■作詞:ハーバート・クレッツマー
■作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■製作: キャメロン・マッキントッシュ
■出演:ヒュー・ジャックマン/ラッセル・クロウ/アン・ハサウェイ/アマンダ・セイフライド/エディ・レッドメイン/サシャ・バロン・コーエン/ヘレナ・ボナム=カーター

  2012年12月21日(金)~全国ロードショー  

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MA-s1.jpg『マリー・アントワネットに別れをつげて』ブノワ・ジャコー監督トークショー

(2012年12月1日 京都文化博物館にて)

原題:Les adieux a la reine

(2012年 フランス-スペイン 1時間40分)

監督;ブノワ・ジャコー

出演:レア・セドゥ、ダイアン・クルーガー、ヴィルジニー・ルドワイヤン、グザヴィエ・ボーヴォワ、ノエミ・ルボフスキー、ミシェル・ロバン他

2012年12月15日(土)~TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、OSシネマズミント神戸 他全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://myqueen.gaga.ne.jp/

© 2012 GMT PRODUCTIONS – LES FILMS DU LENDEMAIN – MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – EURO MEDIA FRANCE – INVEST IMAGE
 



~ブノワ・ジャコー流 ルポルタージュ フランス革命~
 

marie-1.jpg 12月1日~9(日)までの京都の各所(京都シネマ、京都文化博物館、東映京都撮影所、松竹撮影所)にて開催された『第4回京都ヒストリカ国際映画祭』は、世界の時代劇だけを集めた映画祭です。時代劇製作の本場である京都で、こうした国際映画祭を開催することは、今後の京都の映画産業を支える上でもその意義は大きい。初日に『大奥~永遠~右衛門佐・綱吉篇』と『マリー・アントワネットに別れをつげて』が上映され、それぞれ上映後にゲストによるトークショーが開催されました。

 30年ほど前に来日して日本にひと目惚れ…「こんなに日本を好きになったのも日本映画の影響」と語るフランスのブノワ・ジャコー監督。新作『マリー・アントワネットに別れをつげて』の上映後トークショーに登壇。独特の作風と新作について語ってくれました。NHKから京都の雅楽奏者のドキュメンタリー撮影を依頼されたのが、日本という国に想いを寄せるキッカケだったといいます。

MA-s2.jpg――― 特に京都でオススメの所は?
一言でどことは言えない。季節によって、気候によって、その日の気分によって変わりますから。

――― 時代劇を撮る魅力は?
どの映画でも、各々の時代を捉えたものは時代劇と言えます。時には時代を再現した作品の方が、現代を鏡のように反映していることが多い。本作でも、私が撮ったもので、宮廷人が撮ったものではない。今日は、宮廷人の恰好をして登場すればよかったですね~(笑)

――― マリー・アントワネットについて?
他国の見方より低いと思います。彼女の処刑については罪悪感があり、彼女を殺さなくても革命は成し遂げられたのではと。客観的に見て、人民が飢えているのにベルサイユをミュージックホールのようにしたのは罪深いと思います。私自身が彼女に興味を持ったのは、バスティーユ襲撃後の4日間だけに注目して、“悲劇の王妃”というそれまでの彼女のイメージが変化していく瞬間だったのです。

marie-2.jpg――― 歴史上登場しないシドニーについて?
誰もが知っている歴史ドラマを、シドニーという朗読係を主人公にすることによって、彼女の目を通して、今まさに起こっている事件をルポルタージュとして撮ろうとしました。シドニーを証言者として、当時のベルサイユ宮殿の中をガイドされているような感じでね。シドニーという想像上の人物を若い女性にしたのは、瑞々しい感性とイノセンスが必要だったからです。映画は彼女が目覚めるシーンから始まり、夜の闇に消えるシーンで終わっています。シドニー以外は歴史上の人物ですが、彼女だけは映画の中でしか存在していない人物なのです。

――― ベルサイユ宮殿について?
歴史の舞台であり、正に歴史の証人でもあります。ですが、宮殿の威容さを中心に据えず、召使たちがこそこそ噂話をしたり、貴族たちが革命の恐怖に狼狽する廊下とか、普段注目されない場所を選んで撮影しています。そう、タイタニック号が沈没するように、ベルサイユ宮殿を象徴とする貴族社会が徐々に崩壊していく様子を撮りたかったのです。

――― 若い女性を使うことについて?
カメラを通して彼女の視線を感じる。私自身は思い入れをもって追いかけていて、それをまた後から見ているのが観客という訳です。

MA-s3.jpg――― 監督の視線に愛情を感じるのですが、女優の演出法は?
映画の対照とするのは、思い入れや惹きつけるものが必要です。私の場合は、それが女性なんです。溝口健二監督の偉大さに比べれば、私など虫みたいな存在ですが(笑)

――― ドキュメンタリーっぽく撮る意味は?
映画の本質そのものを描き出すため。現実を取り入れて何かを語るとフィクションが生じます。女性というリアルな存在を、人物を演じることでフィクションが生じ、意外なものを創り出しているのです。

――― 若い女優とベテラン女優へのアプローチの違いは?
どちらにも共通していることもあります。若い女優へは、彼女が進むべき方向へと導きます。ベテラン女優へは、今までやったことのないところへ導くのです。イザベル・ユペールとは特殊な関係で、はじめは20代だった彼女とは5本も撮っています。仕事が終わると、暗黙の了解で「また会おうね」という感じです。

――― カトリーヌ・ドヌーヴやイザベル・アジャーニなどは、彼女ら自身の素の部分に触れているように感じることがあるが、それは意図的?
おそらく、彼女たちが全幅の信頼を寄せてくれているので、今までとは違う非凡なものが映像に表れているのかもしれません。勿論、彼女たちもそれを承知しています。

MA-s4.jpg――― 本能を解き放つという意味ですか?
そうですね。私との仕事の時はそういうことだと思います。そうならなければ、彼女たちはガッカリするでしょうねぇ。こうした話を皆さんの前でするのは、慎みがないと言われそうです。時として、深い関係になることもありますし、もう少し複雑かもしれません。
私が求めているのは、女としての境界線上をまたぐ様子を撮るのが好きです。抑圧というより、自分自身を解放し、限界を踏み越えることが核心になっていることが多いです。どの年齢の人も、大人になるという通過時期は、私にとっては進歩ではなく、失うものが多いという風に考えています。



 今年の京都ヒストリカ国際映画祭では、〈ブノワ・ジャコー監督特集〉として、『肉体の森』『イザベル・アジャーニの惑い』『トスカ』『発禁本-SADE』が京都シネマで上映されました。フランス映画界のミューズたちをスクリーンに開花させてきたブノワ・ジャコー監督の世界観や感性、美学について堪能できるプログラムとなっていました。

marie-3.jpg 溝口健二は勿論、小津安二郎、成瀬巳喜男、黒澤明などの巨匠から北野武と、予想以上に日本映画を見て影響を受けているようでした。特に、京都を舞台にした作品がお好きだとか。新作『マリー・アントワネットに別れをつげて』では、今まで見たことのないマリー・アントワネット像を目撃することになるでしょう。また、ベルサイユ宮殿とは別のトリアノン離宮での撮影にも注目して見て頂きたい。(河田 真喜子)

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 ロバート・ アルドリッチ 監督 の遺作 のリバイル 『カリフォルニア・ ドールズ 』の爆音上映 が 12 月 26 日(水)、27 日(木)に 神戸 アー トビレッジセンターにて 開催される。大音量・ 高音質 で楽しめる 「爆音上映 」で、 今後 おそらく 日本での 公開が 叶わないであろう 『カリフォルニア・ ドールズ 』の日本最終上映 をぜひ見届けてほしい。

また、あわせて 2012 年に急逝した トニー・ スコット 監督の 『アンストッパブル 』、ジャン= リュック ・ゴダール 監督 の『右側 に 気をつけろ 』の爆音上映 も開催 。まさに映画を体感できる爆音上映で、名作をしっかり胸に焼き付けてみて。


『カリフォルニア・ドールズ 』は 1982 年の初公開時、多く映画ファン心を掴んだが 、音楽著作権上の理由により未だDVD 発売されていない。しかも、今回の上映権は期間限定、2013 年以降に日本で鑑賞きるチャンスは現在のところなし。つまり今この時にスクリーンで観るしかないのだ!監督は、『攻撃』『何がジェーンに起ったか?』『ふるえて眠れ』『飛べ!フェニック ス』『特攻大作戦『』北国の帝王』『ロンゲト・ヤード』『合衆最後の日』など、数々名作で知られるロバート・アルドリッチ (1918 -1983)。その多くが男たち血と汗飛び散る戦い物語だった彼の遺作となったのが、女子プロレスラーたちの物語。女性ならではの美しさとタフな戦いがぶつかり合い、遺作というにはあまりに官能的でゴージャスなステージがそこに出現した。

12 /26 ・27 神戸アートビレッジセンタにて爆音上映 、1/19/19 より第七藝術劇場、 以降 は京都シネマにて公開
1981 年/ アメリカ映画/113 分/配給: boid/米国公開: 1981 年 10 月 16 日

神戸アートビレッジセンター上映紹介はコチラ



ouoku2-s550.jpg『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』合同記者会見

(2012年11月30日(金)大阪堂島ホテルにて)

ゲスト:堺雅人・菅野美穂

 

(2012年 日本 2時間04分)

原作:よしながふみ『大奥』

監督:金子文紀

出演:堺雅人、菅野美穂、尾野真千子、柄本佑、宮藤官九郎、西田敏行、要潤、三浦貴大、郭智博、満島真之介、永江祐貴、竜星涼

2012年12月22日(土)~丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://ohoku.jp/top.html

© 2012男女逆転『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』製作委員会

 

~”「草食系”というより”植物”」と菅野美穂にいわれた堺雅人って!?

 

ouoku2-2.jpg 大ヒットした2010年の映画『大奥〈男女逆転〉』(二宮和也・柴咲コウ)。将軍吉宗を演じた柴咲コウの颯爽ぶりが記憶に新しいが、姉妹篇として、2012年秋のTVドラマ『大奥~誕生~[有功(ありこと)・家光篇]』(堺雅人・多部未華子)に続いて、映画『大奥~永遠~[右衛門佐(えもんのすけ)・綱吉篇]』(堺雅人・菅野美穂)が公開される。史実の男女を逆転させた〈よしながふみ〉原作のコミック『大奥』の映像化は、江戸時代の将軍家大奥を舞台に、世継ぎをめぐる陰謀渦巻く世界で、男女逆転しているとはいえ、信頼と忠誠、そして真心と愛情という普遍的な情景を、豪華絢爛な時代劇として現代に甦らせている。

 

【STORY】
ouoku2-1.jpg 江戸時代に男性にしか罹らない赤面疱瘡という奇病で男性の割合が激減し、世の中の要職には女が就き、男は子種をもたらす希少な存在となってしまった。まさしく男女逆転の時代に、一人の女将軍のため、その希少な男性3000人を集めた江戸城大奥では、日々将軍に子種をもたらそうと勢力争いを展開していた。将軍綱吉(菅野美穂)の生母父・桂昌院(西田敏行)をけん制するように御台所(宮藤官九郎)は京都から公家の右衛門佐(堺雅人)を呼び寄せる。容姿端麗で学問に精通し品格を持ち合わせた右衛門佐を、綱吉は一目で気に入るが、側室としてではなく、大奥総取締に大抜擢する。綱吉に忠誠を誓い、愛情を抱きながらも、家臣として仕える右衛門佐。世継ぎを授かろうとする綱吉の苦悩をただ見守るばかりだったが……。

2012年12月22日(土)の公開を前に、主演の堺雅人と菅野美穂が来阪し合同記者会見が行われた。


 

――― 公開を前に今のお気持は?

堺:TVドラマの続編になりますが、ドラマの方も佳境に入り、映画の『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』に向かって盛り上がっているところです。ようやくこの日が来たかと嬉しく思います。

菅野:撮っている間はどんな作品になるのか期待でいっぱいでした。今は映画の楽しみをかみしめています。

 

ouoku2-s1.jpg――― 男女逆転の魅力については? 日頃男女逆転だなと感じることは?

堺:男女逆転ということだけがフィクションの時代劇です。肉食系の女子と草食系の男子という構図は現代にも繋がっているので、まるで日本の歴史を見つめ直す大きな合わせ鏡のようなお話だと思います。その面白さを伝えることができればいいなと。既に、世の中は逆転していると思うので、別に違和感なく日々細々と暮らしております(笑)

菅野:最初は大胆な設定だなと思いましたが、男女逆転にしても最後に残るのは、愛や純粋さだということが分かって面白いと感じました。そのままでも変わらないものは変わらない。今年の夏ブータンへ行って来たのですが、ブータンは女系国家でして、それでも国民は幸せだと感じて暮らしています。それがとても興味深いなと感じました。また、そうありたいと思いました。

 

――― 本作でスケール感を感じたところは?

堺:私が参加した時点では既にプロジェクトは動き出していて、プロデューサーたちの話を聴いているだけでワクワクしました。今でも続いている原作そのものがスケールが大きくて壮大な物語ですので、身震いするようでした。

菅野:衣裳合わせや現場の空気感が、自分が思っているのとは違うなと感じました。京都撮影所での撮影でしたし、スティール撮影を見せて頂いた時に、光明寺の吊りの豪華さに驚きました。

堺:元禄時代のお話ですから衣装も豪華で、菅野さんはそれを着こなしておられ、下から見上げた時、とても素敵に似合っておられるなと感じました。

 

ouoku2-sk1.jpg――― 男女逆転とはいえ、それぞれの立場で演じ分けた点は?

堺:私が演じた右衛門佐は上昇志向の強い男らしい役で、TVドラマの有功は女性的な人物と、自分としてはなんとなくイメージを分けて演じていました。

菅野:表では男性的な振る舞いを、でもプライベートでは女性的な面を見せるという、ひとつの人物ですが演じ分けていました。原作では天真爛漫で支離滅裂という、ある意味危ういというか、いつも反対側の要素を残して演じるようにしていました。

 

ouoku2-ss2.jpg――― 役作りについて?

堺:原作が面白いのでそのまま伝えたいと。右衛門佐の家系は「水無瀬」という公家の出で、その水無瀬家ゆかりの宮司さんをしておられる方とお話をさせて頂き、役のイメージが固まりました。

菅野:女性で将軍の役をやれるのは一生に一度しかないだろうと思ったが、でもどうやって演じればと考えると、ムリ!……そこで、理解しようとせず、自分とは別ものだと割り切ることが大事だと考えました。女性としては、子供を失った悲しみや、自分が次第に崩れていくところなどを表現しようと思いました。堺さんをはじめ西田さんや小野さんなど、共演の皆様が本当に素晴らしい方々ばかりで、皆さんの目を見て演じました。

 

――― お二人は初共演ということですが、お互いの印象は?

堺:菅野さんの作品はいくつか拝見しておりまして、何を考えているのかわからない、怖いイメージ(笑)。大竹しのぶさんとは違う天真爛漫さで、いろんな役を見ても、素でやっているのでは?と思えるくらい役に憑依しているようでした(笑)。
私の役はある意味綱吉に一本の矢を深く深く突き刺すような役なのですが、いくら突き刺しても堪えない。でも、ラストシーンでは、ちゃんと受け止めてくれていたことが分かる演技をして下さり、改めてよく分からない人だなと思いました。

菅野:堺さんは、どんな役の時もご自身でテーマをもって臨んでおられ、それが役に滲み出ているように感じました。私には、草食系というより植物のような人だなと思えて(笑)。研究熱心なのは想像以上でした。今回も、江戸時代のことなのに鎌倉時代まで遡って研究して、堺さんにそんなこと訊かれて監督が困っておられたくらいです。穏やかな中にもキビキビとして、時代劇では衣裳をつけるので心情表現は難しいのですが、それを自然体で演じておられ、素晴らしいと思いました。

 

ouoku2-s2.jpg――― 観客へのアピールを。

堺:男女逆転という特殊な物語ですが、本格的な普通の時代劇になっていると思います。京都撮影所のスタッフが丹精込めて作り上げた作品です。多くの方に楽しんで頂けると思います。TVドラマを見ておられない方も、男女逆転ということだけを知ってご覧になると楽しめると思います。

菅野:元禄時代なので、男性の衣装が艶やかなのは男女逆転ならではです。世界遺産の京都で撮影した見応え十分の時代劇です。お気軽に映画を見て楽しんで頂ければ嬉しいです。

 


 天然といわれる菅野美穂だが、質問に対しては言葉を選び、思慮深さを感じさせた。一方、研究熱心といわれる堺雅人の方は、役に対する理解度と、作品に対する責任感の強さを感じさせた。また堺雅人は、映画からTVドラマと京都撮影所での撮影期間も長く、時代劇のコスチュームの着こなしはピカイチ! これほど品良く時代劇に映える俳優もそうはいないだろう。男女逆転劇の中にも、菅野美穂は女将軍の苦悩を、堺雅人は凜とした品格のある男らしさを見せていた。(河田 真喜子)

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★堺雅人・菅野美穂の合同記者会見⇒こちら

takabahashi.jpg 今年7月に帰らぬ人となった映像作家、高林陽一の軌跡をたどる『追悼特集魂のシネアスト高林陽一』が12月8日(土)よりシネ・ヌーヴォ、シネ・ヌーヴォXで開催される。

 50年代から撮り続けている自主制作映画をはじめ、滅びゆく蒸気機関車を見つめた初の35ミリ作品『素晴らしい蒸気機関車』、名探偵・金田一耕助の第1作として大ヒットした『本陣殺人事件』から、三島由紀夫原作二度目の映画化となった傑作『金閣寺』、日活ロマンポルノに挑戦した『赤いスキャンダル・情事』など異色の才能を感じずにはいられない作品を一挙公開。さらに、2000年代に入り16年ぶりの作品となった京都で活躍する劇団「二人だけの劇場セザンヌ」企画・制作作品『愛なくして』や、遺作となった『虚空の淵で』初上映など、“永遠の個人映画作家”高林陽一生涯全28作品に迫る貴重な機会だ。


『追悼特集魂のシネアスト高林陽一』@シネ・ヌーヴォ 詳細、スケジュールはコチラ

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来日キャストスペシャルイベント開催
映画版と舞台版の一夜限りのコラボレーション
2500人の観客から「民衆の歌」大合唱プレゼント!!

LM-1.jpgイベント実施日:11月28日(水)
場所:東京国際フォーラム ホールA(東京都千代田区)
登壇者:ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、トム・フーパー監督、キャメロン・マッキントッシュ(プロデューサー)、日本版「レ・ミゼラブル」舞台キャスト

★作品紹介⇒ こちら

 ミュージカル界の金字塔とも評される「レ・ミゼラブル」が、12/21(金)の公開に先立ち、映画版と舞台版のコラボレーションという一夜限りのスペシャルイベントが実現。第一部は生オーケストラ演奏のもと舞台版キャストの歌唱パフォーマンスイベント、第二部に来日キャスト、スタッフ陣が登壇。当日朝到着したばかりの特別映像の上映や登壇ゲストのユーモア溢れるトークに会場は大いに沸きあがった。フィナーレは2500人による「民衆の歌」の大合唱が来日ゲストにプレゼントされた。その舞台挨拶と質疑応答の内容をご紹介したい。


◆舞台挨拶内容

LM-2.jpgMC:一言ずつご挨拶をお願いします。

トム・フーパー監督:みなさん、こんばんは。この場にいられて本当にうれしいです。実はこの映画の完成は先週の木曜日でした。最初にこの作品を携えて訪れた国が日本で大変うれしく思っております。

アン・ハサウェイ:日本のみなさんに温かい歓迎を受け、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。大変素敵なパフォーマンスを見せてくれた日本版舞台キャストのみなさんも本当にありがとう!

ヒュー・ジャックマン:アリガトウ!コンバンハ!ワタシはニホンにこれてホントウにウレシイです(ここまで日本語)。日本は本当に大好きです! 何度も日本を訪れていますが、この映画を携えての来日は特別なものです。この映画を可能にしてくれたトム・フーパー監督、キャメロン・マッキントッシュ、そしてこの会場に足を運んでくれたみなさま、ありがとう!
日本舞台版キャストも素晴らしい!(日本語で)アリガトウゴザイマシタ!

アマンダ・セイフライド: (ヒューみたいに)日本語が話せません(笑)。人生でいちばんエキサイティングな瞬間を迎えています!素晴らしいキャスト・スタッフとともにこの傑作をお披露目、PRできるからです。夢を叶えてくれたここにいるメンバーにも感謝の気持ちでいっぱいです! クールな日本にも来られて本当にうれしいです。

キャメロン・マッキントッシュ:この中で一人だけ歳とっています(笑)。25年前の舞台初演から今まで長きに渡って、この作品が日本でこんなに受け入れてもらえるとは夢にも思っていませんでした!さらにこの映画をたずさえてこの場にたてるなんて、プロデューサー冥利に尽きます。

LM-3.jpgヒュー:文学的にも舞台としても優れている作品に参加することができて、監督、キャメロン、そしてヴィクトル・ユゴーなど、すべての方に感謝をしています。私は実際、撮影現場に現れるだけで、監督がすべてのキャストを生かしてくれました。今の映像は自分で観るには辛いものがあるのですが、撮影したあとにこのシーンを観た私の妻が、私だと気づいてくれないぐらいでした(笑)。私にとってジャン・バルジャンという役は本当にまれな役だと思っています。マッキントッシュが27年かけて映画化してくださったことに感謝しています。なぜなら、この作品が生まれたとき、私はまだ3歳だった…いや、サバ読みすぎましたね(笑)。実際は18歳ぐらいでした。

アン:最初の映像、ヒューの素晴らしさに目が行ってしまって…。今の映像では工場で働いている女性がたくさん出てきていましたがとても素晴らしく、ファンテーヌをいちばん追い出そうとしている女性はロンドンのウエストエンドで大変有名な舞台女優さんでいらっしゃいます。この中に参加できたことは、本当に信じがたい思いです!ファンテーヌは本当に辛い、惨めな目にあいます。ファンテーヌの痛みというのも娘コゼットのために強いられるものであってそこに演じる苦労はありました。楽しかったという言葉は演じていて合わないけれど、毎日ヒューという素晴らしい俳優と共演できて現場はとても楽しいものでした。

アマンダ:この映像を観ながら、撮影がどんなに楽しかったか、その思い出ばかりが頭に浮かんできます。ここにいる監督、マッキントッシュに心より感謝しています。このミュージカルは11歳のときから大好きで大ファンで、自分が演じることは本当に夢でした。最初に撮影したのがアンと唯一いっしょに撮ったシーンで、そこで彼女が優しさを表現してくれてアン演じるファンテーヌから生まれた、私が演じるコゼットという女の子がどういう子なのかを示してくれたと思います。そういう意味で、本当にやりやすいスタートでした。

監督:キャメロンやキャストたちといっしょにここに座っていられることを本当にエキサイティングに思っています!私の旅は、本当に長い旅でした。先週の木曜日にやっとこの映画が完成しまして、みなさんにこうして観ていただくことができました。すべてライブで歌っているのですが、この「ライブで歌をやりたい!」という夢を叶えてくれたのが、今ここにいるキャストのみなさんです。舞台体験そのままに歌で演じることを、しかもクローズアップでできる素晴らしい才能を持ったキャストがいなければ実現しなかったことです。この高いレベルだからこそ、みなさんを素晴らしい旅に連れ出せるのだと信じています。

LM-4.jpgマッキントッシュ:25年前にブロードウェイ初演があり、その2ヶ月後に東京でも初上演いたしました。実はそのときに映画化のプランがありました。しかし、私が信じているのは「運命」というものが最高のプロデューサーだということです。当時は作ってはいけない時期だったんだと思います。というのも、25年前にはまだ生まれていなかったキャストもいますし、トム・フーパー監督もまだ中学生ぐらいでした。今が作られるべき時だったんですね。このパーフェクトなキャストが観られるのも今だからこそなんです!私、これがはじめての映画なので、「グリーンライト」という言葉を学びました。「ゴーサインが出る」という意味なんですが、25年前にこれが出ていても素晴らしいキャストが揃わなかったと思うんですね。40年間、ミュージカル界に身を置いておりますが、最高に誇れる映画ができました。ここにいるキャストも、他のアンサンブルもそうですが、ほとんどがミュージカルの経験があり、トムが描いたビジョンを反映し、すばらしい映画作品に作りあげてくれました。18ヶ月前、監督とNYでミーティングをしたとき、私は3分の1はセリフで3分の2は歌という構成の映画ができると思っていたんですが、監督はミュージカルの台本を持ち出してきてそれを一旦バラバラにして、そして再構築しましょうと言ってくれました。ほとんど歌のままの形に、彼の提案でなったわけです!これは奇跡のようなことで私は本当にこの映画を誇りに思っています。このように、トムというすばらしい人と出会えたことも私の人生の中でもっともハイライトなことになりました。ここにいるみなさんもそうですが、『レ・ミゼラブル』を支えてくださった世界中のファンがいてくださったからこそこの映画が出来ました。本当にありがとう!


◆質疑応答内容

LM-s2.jpgQ:生で歌を収録したことについて。

ヒュー:困難よりも良さのほうが上回っていました。生で歌えたことは、言ってみれば毎日生の舞台に立ってオープニングナイト(初日)を迎えているような気分でした。帰って就寝するときには、きっとこの歌を歌うことは二度とないんだろうという特別な思いで、いつも撮影に臨めました。オープニングナイトだけでなく千秋楽とも感じられ、よりよく自由に演じることができました。生で歌うことを可能にするためにリハーサルも2ヶ月以上十分にとってあり、素材を熟知することもできました。大変なこともありました。午前8時から夜8時まで歌い続けたり、マイナス2度の山の上で歌わないといけないときもありましたが、常に、この映画を実現してくださった監督に大変感謝しています。

Q:なぜそんなに歌が上手なんですか?秘密があったら教えてください。

アン:ありがとう!歌うというのは母に教わったものでもあります。とても美しい声を持っている母は実は『レ・ミゼラブル』アメリカの最初のナショナルツアーで、アンダースタディでファンテーヌを演じたこともあるんです。ですから、歌うことは自己表現のひとつとして思っていましたし、小さいころから大好きでした。ボイストレーニングは10年ほど続けていて、それだけに今回『レ・ミゼラブル』で歌う機会をいただけたことは自分は何年間も予習をしてきたんだなという思いがしました。こういう作品に出るときは朝起きて寝るまで歌のレッスンは必要ですし、同時にスタミナもつけないといけないですね。
アマンダ: アニー』のオーディションを受けるために歌の勉強をはじめまして、11歳?17歳まで歌のレッスンを続けてきました。俳優業が忙しくなったこともあり途中でやめてしまいましたが、『マンマ・ミーア!』でまた始めました。そのときはABBAの曲を楽しんで歌ったという記憶があります。本格的に歌のレッスンを再開したのは、この映画のオーディションのためですね。私にとって歌は一生の趣味であり、歌い続けていきたいです。
 ヒュー:20年前、もともと私は舞台俳優として仕事をはじめました。演劇学校を出たばかりだったんですが、『美女と野獣』のオーディションを受け、“STARS”を歌いました。そのときに「間違っても君はその舞台に出ることはないだろう」と言われました(笑)。そのあと歌のコーチをつけたほうがいいと言われ、マーティン・フロストという方を紹介されました。彼の歌があまりにも素晴らしかったので、彼の歌い方を5年ほど真似していました(笑)。今はアンと同じボイスレッスンを受けていて、長いこと歌の訓練は続けています。
マッキントッシュ:今のヒューの言葉に付け加えさせていただくと、『レ・ミゼラブル』シドニー公演の際に、ヒューは雇わなかったのですが、歌のコーチのマーティン・フロストは雇いました(笑)。

※アンが記者にマイクを渡すという、優しいハプニング!

LM-5.jpgQ:配役の決め手は?

監督:私のジャン・バルジャンの候補リストはとても短くて、一人しか名前が挙がっていませんでした。それはヒュー・ジャックマンでした。(会場より大拍手)もしヒューがいなかったら、今この時期にこの映画を作らなかったと思います。(さらに大拍手)映画スターで歌えて演技がきちんと出来る人、ジャン・バルジャンの思いやり、精神性を持っていて 人格者で…この人を置いてバルジャンは考えられないと思います。ヒューのオーディションをしたのが、去年の5月でNYでした。そのときは本当にエキサイティングでした。彼が自然にパワフルに歌っているのを聞いて、この映画の方向性を決めました。歌うことによって新しいヒュー・ジャックマン像を皆さんにご覧いただけると思っています。
アンもNYでオーディションをしました。ファンテーヌはありとあらゆる映画スターが欲していた役です。“I Dreamed a Dream”を歌ってくださったとき、吹っ飛びました! この役は彼女しかいないと思いました。彼女が見せてくれたのは、歌でファンテーヌを表現すること。物語を語れる女優さんです!コゼットには世界一美しい映画スターを探したいと思って、ここにお座りでございます(笑)。(ここでアンとヒューから「なんだって?(笑)」とツッコミ)いや、最も美しいブロンドの映画スターでした(苦笑)。真面目な話をすると、アマンダはコゼットに必要なものをすべて持っていました。明確な強さを秘め、強靭な知性を持っていて、加えて母性というものがこの役には必要でした。そして彼女は天使の声をお持ちです!

Q.役が決まったとき、どう思われましたか?

アマンダ:興奮しました。心待ちにしていたお返事がいただけたのはクリスマスの3日前でした。最高のクリスマスプレゼントでした!
ヒュー:スバラシイ!
アン:ここで監督のことを褒めちぎろうと思っていたんですが、さきほど最高に美しい映画スターをアマンダとおっしゃいましたので、もう私にとっては知らない人だわ(笑)。いつもは役をいただいたときは喜びでいっぱいで駆け回りたいぐらいなんですが、この役は違ったんです。自分の夢が叶ったという思いが強すぎて、そういう表現をすることもできなかったのです。人生において本当に重要なことが起こったとき、私は静かに心に触れる、心に染み込んでくるみたいです。時間が流れて今日になっても役が決まったときの喜びが続いています!本当に自分はなんて幸運なんだろう、人生は捨てたものではないという思いです。

※2500人の観客から来日ゲストに向けて「民衆の歌」の合唱プレゼント。

MC:それでは最後に日本の皆さんにメッセージをお願いします。

 ヒュー:アリガトウゴザイマス!スバラシイ!(日本語)ここにいる来日ゲストを代表して、日本のみなさんにお礼を申し上げます。
日本でとても愛されている『レ・ミゼラブル』という作品を、私たちが映画としてお届けするというのも意義があるものだと思っています。
みなさんと共有できることをうれしく思います。日本にまた来ることができてうれしいです。(日本語で)スバラシイ!

最後はサプライズとして、客席側の中通路を通ってファンサービスをしながら5人が退場!
2500人の観客と200にもおよぶマスコミが集まった会場の熱気は最高潮に達しました。

            


『レ・ミゼラブル』

■監督:トム・フーパー
■作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■原作:ヴィクトル・ユゴー
■脚本:ウィリアム・ニコルソン、アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク、ハーバート、クレッツマー
■作詞:ハーバート・クレッツマー
■作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■製作: キャメロン・マッキントッシュ
■出演:ヒュー・ジャックマン/ラッセル・クロウ/アン・ハサウェイ/アマンダ・セイフライド/エディ・レッドメイン/サシャ・バロン・コーエン/ヘレナ・ボナム=カーター

 12月21日(金)~ 全国ロードショー 

★作品紹介⇒ こちら

★公式サイト⇒http://www.lesmiserables-movie.jp/  

配給:東宝東和

 

miroku-s1.jpg『ミロクローゼ』石橋義正監督インタビュー
(2010年 日本 1時間30分)
監督・脚本・美術・編集・音楽:石橋義正
出演:山田孝之、マイコ、石橋杏奈、原田美枝子、鈴木清順、佐藤めぐみ、岩佐真悠子、武藤敬司、奥田瑛二
2012年11月24日(土)~シネクイント、12月1日(土)~シネマート心斎橋、テアトル梅田、2013年2月元町映画館、京都シネマ他全国順次公開
公式サイト⇒http://www.milocrorze.jp/
© 2012 「ミロクローゼ」製作委員会

『ミロクローゼ』関西公開記念 トーク三本勝負&ベッソンカー展示はコチラ

 とにかく強烈、とってもアート、音楽がめちゃくちゃカッコいい!山田孝之がファンタジーな世界の住人、おかっぱ頭のオブレネリ ブレネリギャー、毒舌、ワイルド、クールなダンスに目が釘付けの恋愛相談員熊谷ベッソン、そして驚異的な立ち回りを披露し時空を越えて恋人を捜し続ける浪人タモンの一人三役を熱演するマジカルムービー、『ミロクローゼ』。香港国際映画祭をはじめとして世界で熱狂的に迎え入れられた『ミロクローゼ』がいよいよ日本で劇場公開される。エッジの効いたキャラクターが繰り広げるマジカルワールド、脚本から編集・音楽まで手がけた石橋義正監督に、キャラクター誕生エピソードやこだわりの立ち回りシーン、美術・音楽の見どころ、聴きどころについてお話を伺った。


━━━一度見たら忘れられない個性的なキャラクター(オブレネリ ブレネリギャー、熊谷ベッソン、タモン)ですが、どうやってこれらのキャラクターを作っていったのですか?
 miroku-3.jpg いつもの作品の作り方としては、まずビジュアルのイメージや断片的なキャラクターのアイデアを先にいくつか出していき、形になりそうなものを広げていく形です。その中で、オブレネリ ブレネリギャーに関しては、絵本のようなお話で、かつ本人は特に大したことをしていないけれど、ナレーションでヒーローのように語り継がれていくような設定が面白いのではないかと思いました。タモンに関しては、長回しによる立ち回りのシーンを作りたかったので、男らしい一途な人物を作っていきました。(熊谷ベッソンは)コミカルながら男臭さがかっこよかった日本の70年代のキャラクターです。他の2人は恋に一途ですが、一途な人ばかり登場するではなく、恋の悩みをコミカルに相談に乗っていくような話が面白いのではないかと、最終的にこの3つで組み立てていきました。

━━━最初から3つのキャラクターを一人で演じてもらうつもりだったのでしょうか?
 もともと5つぐらいのエピソードがあって、女性が登場する話もあったのですが、今回は3つに絞って、すべての役を一人の俳優に演じてもらう様に最終的にまとめました。人間の様々な側面を3つの話で別々に描きながら、観終った時に一人の人間を想像できる様な新しい映画の作り方に挑戦しようと、山田孝之さんにお願いしました。 

━━━その3役を一人に演じてもらうと決めた段階で山田孝之さんのキャスティングは視野に入っていたのでしょうか? 
 早い段階でそれが演じられる人を考えていました。演技しすぎて、観終ったときに役者のイメージだけが残ってしまうと映画として成立しないので、表現力があり、自然に演じられる人ですね。タモンの役が一番しっくりくると感じて山田さんにお願いし、あと二つ全然別のキャラクターを演じられるか相談しました。彼自身も一つの映画で3つの役を演じられる仕事はなかなかないので、自分自身のチャレンジとしてもやりたいと快諾して下さいました。コミカルなキャラクターはあまり演じたことがないとおっしゃっていたので、ベッソンをどういう笑いにしたいのか割と細かく伝えましたが、タモンは本当に山田さんご自身で組み立てていらっしゃいましたね。(オブレネリ ブレネリギャーは)本人が一番悩んでいました。

━━━女性が非常に美しく描かれていますが、女性を撮る際のこだわりはありますか?
 美しく撮りたいと常に思っています。力強い女性像を好んで撮る傾向があり、メイクや衣装を含めて女性の色気があってかつ強いという感じです。ミロクローゼ自体もやさしい役ですが、完全にオブレネリより上の立場です。そういうイメージは自分の中で女性というものがいつまでたっても分からない。おそらく分かり合えないものだと思っていて、だからこそ神秘的で追いかけていけるような気がします。女性への憧れがあって撮っているつもりです。

━━━原田美枝子さんの起用の理由は?
 原田さんのファンだったので、やってもらえるならと壷振り師お竜の役をお願いしました。原田さんは最近悪役がないし、殺陣をやりたいが機会がなかったと今回喜んで参加していただけた上に、撮影現場でも一番楽しんでいただけました。結構刀は重たいのですが、それをスッと抜いて、サッと戻したりする動作など練習してきて下さり、非常によかったです。唐突にどんどんキャラクターが出てくる突飛な話の場合、演じている方に存在感がないと軽いものになってしまいますが、その中で原田美枝子さんや奥田瑛二さん、鈴木清順さんなどその人の存在感が際立って、映像の中にも効いてきますね。

━━━ビジュアルのこだわりに並々ならぬものを感じる一方で、日本人が作っているのにボーダレスな雰囲気があったり、70年代の男が色気のあった時代を見せたりされていますが、本作においてビジュアル的なものでテーマを決めたりされていたのでしょうか?
 miroku-1.jpg 特にテーマは決めていませんが、最初に映画のアイデアを考えたり、シナリオハンティングをしていく中で、自分が影響を受けたものがここに入ってきていますし、やりたかったことや、今まで溜めていたことが反映されています。例えばねぷたのような行灯の前に立っている岩佐真悠子さんのシーンは、初期の頃からイメージがありました。シナリオハンティングで弘前に行ったときねぷたを見て、行灯の前に立っている女性のイメージがふっと湧いたので、それをシーンに入れ込んだ形です。立ち回りのシーンも、7月半ばに開催される土佐の絵金祭りに行ったときに、歌舞伎絵の絵師・絵金の描写に触発され、長回しの殺陣シーンを思いつきました。

 このように、「こういうシーンを作りたい」というビジュアルイメージの集約になってくるのですが、その中で一つ一つのデザイン面でも細かい部分も出てきます。例えばタモンの着ている着物柄は茨(いばら)ですが、「茨の道を進む」というストレートな意味もありつつ、身体にまとわりつくものです。また岩佐さんが着ている着物は、蔦が絡まってくるようなデザインになっており、着物のデザインも身体との関係を持たせました。前面に出すことではありませんが、きっかけとしていくつかこだわって作った部分はあります。

━━━タモンの立ち回りシーンは観終わった後もジンと余韻が残るカッコ良さでしたが、どうやって撮影されたのですか?
  あのシーンを撮りたかったからこの映画を作ったというぐらい思い入れがあります。色々と段階を踏んで作っていきました。最初にイメージコラージュで写真を撮って、こういうレイアウトでやっていこうというイメージの絵巻物的なものを作り、次はどれぐらいの尺に収めるかという部分で写真を切り貼りしたムービーコンテを作りました。そこからアクション監督と話をしながら殺陣のアイデアを盛り込んでいき、完成したものをビデオに撮って、山田孝之さんに殺陣を習得してもらい、その上でリハーサルを繰り返して本番と、結構時間がかかりました。

 殺陣も大事ですが、この映像で一番こだわった部分は、いくつかのレイヤー(層)があり、手前だけではなく奥の方にも色々なドラマが起こっているようにしたかったのです。それぞれの層を別々に撮って、後で合成する方がコンポジションがうまくいきますが、それをやると臨場感がなくなり、前と後ろの人が絡み合わなくなってしまいます。役者さんには負担を強いましたが、何度か練習をしていいポジションでくるようにし、一発撮りしました。
とにかく奥の人が大事なので、手を抜かないようにと奥の人ばかり細かい指示をしていました。スローモーションですから、どの絵もいい絵になっていないといけないし、そうでなければ絵巻物は成立しません。どのコマも完璧にするには、常に全身に神経を行き渡らせなければいけないので、(山田さんは)かなり体力的に大変だろうと思いつつも、奥の人達の動きに指示を繰り返し出していました。

━━━立ち回りの音楽のカッコ良さがさらにシーンの迫力を増していましたが、音楽担当のmama!milkさんをはじめ、本作の音楽に対するこだわりをお聞かせください。
 miroku-2.jpg mama!milkは15年以上の付き合いで、バリエーションの多い音楽をお願いし、タイプの違う曲をたくさん作ってもらいました。ベッソンに使う音楽やタモンに使う音楽など、雰囲気を変えていきますから、そういう意味でかなり引き出しの多いミュージシャンだと思います。音楽のカッコ良さは、映像もそうだと思いますが、その人の持っている瞬間的に作り出すセンスやニュアンスにシビレる部分にあって、(mama!milkには)僕はグッとくる部分がたくさんあるんです。メロディーももちろんいいのですが、特に清水さんのベースの入り方とかカッコ良くて、普通じゃないです。

 立ち回りのシーンでベースがソロに入ってきて、タモンが手前にどんどん向かってくるところが一番カッコいいです。映像と音楽が何ともいえないぐらいマッチすると、頭に焼き付きますよね。映像と音楽を一緒に覚えて、思い出に残るのが映画の良さだと思います。
久保田修さんの曲もすごくいいですし、熊谷ベッソンのダンスミュージックは私が作曲しているのですが、すべて思い入れがあり、サウンドミックスもすごくこだわっています。5.1チャンネルサラウンドで体感してもらうとより一層ノリが良くなるので、DVDで観るよりも劇場で観てもらって音楽を楽しんでいただきたいです。エンドロールの主題歌がONE OK ROCKの書き下ろしですが、エンドまでノリ良く作っていますので、音楽と映像を同時に楽しんでもらえればと思います。

━━━香港映画祭から世界の映画祭を回られ、かなり熱狂的に受け入れられたそうですね。
 「好きだ」と言ってくれる人は、本当に気に入っていただいているみたいですね。例えばモントリオール国際映画祭のディレクターは「今年はとにかくこれがベストだ」と自分の作品のように大事にしてくれ、賞を取ると自分が取ったかのようにすぐに連絡をくれ、とにかく喜んでくれました。ありがたいです。
この映画は、観るというよりも体感するというか、「この映画に遊びに行こう」といった感じで劇場に来てほしいなと思っています。海外の方は元々そういう風に映画を楽しめる傾向があり、特に香港ではおおいに盛り上がりました。  

miroku-s2.jpg━━『ミロクローゼ』は今の日本映画に風穴を空けるような衝撃がある作品でしたが、石橋監督ご自身が今の日本映画に感じることは?  
 映画作りをされている方は、どの映画もすごい情熱を持ってやっていらっしゃいます。ただ全体的な流れとして、作りたいものがあるのになかなか作れないジレンマが、自分も含めて皆さんあるのではないかと思います。テレビドラマの映画化や原作マンガの映画化というような一つの流れができてしまっていることへの危機感や、それだからヒットするということに「それでいいのか」という気持ちがあります。その流れを変えていくには、時間がかかっても映画を作り、成立させていくことが大事だと思いますし、(『ミロクローゼ』が)一つのきっかけになってくれればと思います。見に来る人たちが少なくなっているので、それを変える方法を考えていきたいですね。 

━━━今まで影響を受けた監督や、お気に入りの作品を教えてください。 
 スタンリー・キューブリック監督はどの作品も好きなのですが、最近特に好きなのが遺作の『アイズ・ワイド・シャット』(99)です。キューブリック独特のエロシチズムや、色合いや、カメラワークがすごく出ていると思います。最近観た映画では『パフューム ある人殺しの物語』(06)がここ10年で一番です。匂いというテーマで映画を作っていて、観ているときに匂いがするわけではありませんが、匂いを感じさせようとする努力や手法、アイデアを使っています。非常に美しい映像で匂いを感じさせようとする試みが、新しい気がしますね。新しい試みをしている作品を観ると「やられた」と刺激になります。観るだけではなく、サウンドも大事ですし、五感を刺激するようなことは映像にはすごく大事だと思います。

━━━斬新な映像や個性的なキャラクターが繰り広げる物語は愛や恋に繋がっていきますが、直接異性に向き合うことが怖いという草食系男子が増えてきた今、あえて愛や恋を描いた意図は?
 恋をすることで、その先に大きな愛につながるのですが、きっかけは問わず、恋愛をすることはすごく大事だと思います。その話をこの間インドでもしたのですが、インドでも男の子たちが恋をしないでネットやゲームで満足してしまうそうで、全世界的にそういうことが起こっているようです。バーチャルなものだけでは、人との関係を薄くさせてしまう。やはり人のことが気になって、好きになって、はじめて大事に思ったり、それが大きな愛につながって、好きな人以外に対する優しさにも広がっていきます。しかも恋は楽しいし、とても自然なものですから。

━━━最後にこれからご覧になるみなさんにメッセージをお願いいたします。
 ストーリーを追いかけて観る映画ではなく、それぞれのシーンを楽しんでもらいたいです。このシーンが好きとか、このキャラクターが好きとか、アトラクション的な楽しみ方をしてもらえたらと思いますし、映像と合わせて音楽も楽しめる作品になっていますので、できるだけ多くの人に観ていただいて、日本映画の更なる可能性に繋げていけたらと思います。
(江口 由美)



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『カラスの親指』阿部寛合同インタビュー

 

(2012年 日本 2時間40分)
原作者:道尾秀介
監督:伊藤匡史
出演:阿部寛、村上ショージ、石原さとみ、能年玲奈、小柳友

2012年11月23日(金・祝)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、TOHOシネマズ西宮OS、ほか全国ロードショー

公式サイト⇒ http://crow-movie.com
(C)道尾秀介・講談社/2012「カラスの親指」フィルムパートーナーズ


 

 

~今度はサギ師に挑戦! 阿部寛の智略家ぶりに注目~

 

 今年だけでも主演作『麒麟の翼』や『テルマエロマエ』と大ヒットを連発している阿部寛。映画にTVドラマと超多忙の人気ぶりだ。男女の情愛には疎いが、冷静沈着で知的なクールさとコミカルさを併せ持つキャラクターで魅了する中、今回はサギ師に挑戦。しかも相棒は“いじられキャラ”の村上ショージという凸凹コンビ。そこに、不思議キャラ全開の石原さとみと期待の新人能年玲奈と小柳友が絡む。
 

 不幸な過去を持つ者同士が引寄せられる様に出会い、そして、真っ当な人生を歩むために最後の勝負に出るという。素人相手のサギからヤクザ相手の超ヤバいサギまで、そのダマシのテクニックの巧妙さと、各々が演じるキャラの変化が面白い。さらに、最後に映画全体に仕掛けられた大きなワナに気付くとき、きっと大きな愛に包まれていた幸福感で胸を熱くすることだろう。
 

【STORY】
karasu-1.jpg ベテランサギ師タケ(阿部寛)の元に、しがないおっさんテツ(村上ショージ)が弟子入りする。いろんな所でサギを働いては生計を立てるふたり。ある日、可愛い女の子がスリに失敗し捕まりそうになるところを助ける。それ以来、女の子とその姉と姉の恋人の3人がタケを頼ってやってくる。こうして始まった5人での共同生活は、忘れていた家族団らんのひと時を思い出させる。だが、タケが過去にしでかしたヤバい連中との因縁が、次第に彼らの平穏な生活を脅かしていく。そこで、5人のサギ(カラス)師は、過去を断ち切り未来へ進むために、一世一代の大勝負を仕掛ける!

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――― 本作の脚本を読んだ最初の印象は?
テツさんの方をやりたいと思いました(笑)。すごく魅力的な人物像で面白そうだなと思いました。

karasu-s1.jpg――― 原作については?
脚本を先に読んだのですが、映像化不可能と言われていたものをやれる喜びはありました。それに、原作者の道尾秀介さんがこの映画をとても気に入って下さって、現場にも2~3回お見えになりました。自分が書いたものを客観的に見られたのが良かったと言って下さったのが嬉しかったですね。原作と脚本と、ここまで映像化してくれた監督に感謝しています。

――― サギ師について、何か役作りは?
監督が詐欺の手口本を何冊か持っておられて、それを読んだのですが専門的すぎて、今回はそこまでは必要ないかなと感じてあまり参考にはしませんでした。普通の人間とサギ師と二重に演じることは面白かったです。しかも違う手口で数回詐欺を働いたのですが、其々に気持ちを変えて演じることが楽しかったです。

――― 村上ショージとの共演は?
それなりにプレッシャーを感じておられたようです。「これにかける!」なんて仰って(笑)。関西弁を封印した役柄でしたので、いい意味での緊張感があったように思います。今までの村上さんの生き方がテツという人物に表れていたので、安心して共演できました。

――― 村上ショージとの共演で、他の人と違うなと思ったことは?
ショージさんが持っているエネルギーが違うなと。そこにいるだけでキャラクターが成立していました。意外にも少し引けを感じるような哀感のある人物像で、しかも、人の心に伝えることについてはプロなので、空気を埋める役割を担っておられたように感じます。

――― 共演者に対して気を遣う方ですか?
よくマイペースと言われます。本人は気を遣っているつもりなんですが、なぜかそう言われます(笑)。舞台だと毎日同じ時間帯で行動していますので、べったり一緒にいることが多いです。それが映像だと、個別の撮影が多くバラバラの時間帯になるので、時間を合わせるのが難しい。でも、基本的には共演者やスタッフの方に気を遣っている方だと思います。

――― 家族ドラマとしても楽しめたが、タケの立場は?
まわりが濃いキャラクターの人ばかりなので、共同生活に入ってからは受けの立場で演じました。テツさんも同じで、周りの人の気持ちを吸収する役柄にしたいと思いました。

――― 「阿部さんからいい意見をもらった」と監督がコメントしていたが…?
大抵の監督は役柄の気持ちなどを聴くと嫌がられますので、「こんな風にするのと別なやり方とはどっちがいいですか?」という聴き方をしていたので、おそらくそのことを言われたのではないかと思います。
 

karasu-s3.jpg――― 現場でのエピソードは?
後半はスタジオで一緒にいましたが、各々好きなことをして過ごし気を遣わずに済みました。ショージさんは「やばい、やばい!」と言いながら助監督相手にセリフの練習をしていたし、若い人達とは会話についていけなかったし(笑)、とてもナチュラルな現場でした。

――― まひろ役の能年玲奈について?
おっとりしてましたね…最初はわざとかな?と思うくらい。可愛いだけでなく、役に入る段階からその意味を理解していたし、頑張りやさんだなと思いました。女優として将来成功していくのではないかと思います。

――― ラストの清々しいシーンへの思い入れは?
ほぼ受け身でした。ここが見所だと思うから、それ以前のシーンとは全く別物として演じていました。各々傷付いた過去を持つ者が集まっている物語ですので、根底には優しさが流れていて、それで清々しく感じて頂けたのでしょう。

――― 他の見所は?
全体的に人物が浮き出てくるような奥行きのある映像で、自分のやった演技以上のものがありました。共同生活しているシーンとかに監督の仕組んだワナがいくつもあるので、その辺りのことを踏まえて、最後まで楽しんで頂ければいいなと思います。


【あとがき】
 10年ほど前、阿部寛主演『熱海殺人事件~モンテカルロイリュージョン~』という舞台をかぶりつきで観たことがある。今は亡きつかこうへい演出、バイセクシャルな部長刑事役を阿部寛が熱演し、それまでの単なる二枚目役から完全に脱却したと言われる記念すべき演劇の再演だった。阿部寛のツバや汗が飛んで来るような席だったが、一心不乱に演じた彼の残り香がとてもいい匂いだったことを覚えている。終演後、場内一斉にスタンディングオベーションとなり、熱狂的歓声と拍手に包まれて、彼が感極まって泣き出してしまった。既に映画やTVなどで人気を博していたが、観客の絶賛の波に洗われた阿部寛の素顔を見たような気がして、忘れられない舞台となった。(河田 真喜子)

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