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原題 | Django Unchained |
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制作年・国 | 2012年 アメリカ |
上映時間 | 2時間45分 |
監督 | 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ |
出演 | ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン、ケリー・ワシントン |
公開日、上映劇場 | 2013年3月1日(金・映画の日)~ 丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ 他全国ロードショー |
★第85回アカデミー賞受賞 おめでとう!!!
助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)・脚本賞(クエンティン・タランティーノ監督)
~異色コンビが放つ濃厚なマカロニ・ウエスタン~
冒頭、銀幕からはみ出しそうなバカでかいタイトルを目にした瞬間、もうメロメロになった。有無を言わせず、1960年代の懐かしきマカロニ・ウエスタンの世界に引きずり込む、その強引さが憎たらしいほど心地よい。単純に正義がまかり通るハリウッドの純正西部劇を踏襲せず、“変化球”で一級の娯楽映画に仕上げたタランティーノ監督に敬意を表したい。
黒人奴隷のジャンゴ(フォックス)がすご腕のガンマンに変身していく物語である。黒人を主人公にしたブラック・ウエスタンはこれまで何作か撮られたが、元歯科医というドイツ人の賞金稼ぎシュルツ(ヴァルツ)を絡ませたことで異色さと面白さが倍増した。奴隷制度に反対する、智謀・智略に長けたこのインテリ男がこれぞ慇懃(いんぎん)無礼といった言動をまき散らすにつれ、物語が光り輝いてくる。しびれるほどに魅惑的な人物だ。ジャンゴとシュルツ。西部劇史上、最強のコンビだと思う。せやけど、何でドイツ人やねん!?
もう一組、白人と黒人のコンビが登場する。こちらは極悪非道だ。暴君丸出しの大農園主キャンディ(ディカプリオ)と農園の黒人執事スティーブン(ジャクソン)。この年老いた執事がクセ者。不気味さとヘビのような執念深い目つきで存在感を際立たせる。嫌らしさは群を抜いている。復讐劇に留まらず、ジャンゴが奴隷に売られた愛妻を取り戻すというピュアなラブストーリーへとドラマが昇華し、その頂点で両コンビが激突する。ルール無視のハチャメチャなデスマッチだ。そこに至るまでの得も言われぬ緊迫感が効いている。
南部を舞台にした不朽の名作『風と共に去りぬ』('39年)の裏に秘められた過酷な黒人の歴史を浮き彫りにし、あえて差別用語の「ニガー」(黒人の蔑称)を連発させた。映画の基本はリアリズムと思えば、納得できる。そしてジャンゴと言えば、ミスター・マカロニ・ウエスタンことフランコ・ネロ。この人をさり気なく登場させるだから、ニクイですわ。
(武部 好伸)