「京都」と一致するもの

『くちびるに歌を』試写会プレゼント(2/13〆切)

kuchibiru-550.jpg■ 提供:アスミック・エース
■ 日時:2015年2月20日(金) 
    18:00開場/18:30開映
■ 会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
■ 募集人数: 5組 10名様
■ 締切:2015年2月13日(金)


★公式サイト⇒ www.kuchibiru.jp

2015年2月28日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー


kuchibiru-550-2.jpg誰にも言えない悩みを抱えて【合唱うた】に生きる、離島の先生と生徒たち.―――
日本中がきっと涙する、世紀の感動作、映画『くちびるに歌を』が2015年2月28日(土)全国公開となります。
原作は、本屋大賞にノミネートされ読書メーターおすすめランキング第一位にも輝いた、中田永一のベストセラー小説「くちびるに歌を」。

全国学校音楽コンクールの課題曲で、今も愛され続けている合唱曲「手紙 ~ 拝啓 十五の君へ~」の作者アンジェラ・アキが、五島の中学を訪ねるテレビドキュメンタリーをもとに書きおろされた感動作です。

主人公の柏木に、映画・TVドラマ・CMと大人気の新垣結衣。合唱部員を演じるのは、オーディションで選ばれたブレイク間違いなしのフレッシュな俳優陣。さらに、豪華で個性的な実力派が脇を固めます。青春映画の名手・三木孝浩監督が、オール長崎ロケに挑み、雄大な自然を背景に、温かく力強い人間ドラマを描きます。

【STORY】
長崎県・五島列島の中学校。ある日、天才ピアニストだったと噂される柏木ユリが臨時教員としてやってくる。合唱部の顧問となった柏木は、コンクール出場を目指す部員に、“15年後の自分”へ手紙を書く課題を出す。そこには、15歳の彼らが抱える、誰にも言えない悩みと秘密が綴られていた。その手紙は悲しい過去からピアノを弾けなくなっていた柏木の心を動かして……。

 


原作:中田永一(「くちびるに歌を」小学館刊)
監督:三木孝浩『陽だまりの彼女』『ホットロード』
主題歌:アンジェラ・アキ「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」(EPICレコードジャパン)出演:新垣結衣 木村文乃 桐谷健太/恒松祐里 下田翔大 葵わかな 柴田杏花 山口まゆ 佐野勇斗 室井響/渡辺大知 眞島秀和 前川清 木本武宏 石田ひかり(特別出演)/木村多江/小木茂光/角替和枝 井川比佐志

音楽:松谷卓  脚本:持地佑季子 登米裕一
製作:『くちびるに歌を』製作委員会(アスミック・エース、ポニーキャニオン、小学館、電通、レプロエンタテインメント、巖本金属、KDDI、GYAO!)  
配給:アスミック・エース  
(c) 2015 『くちびるに歌を』製作委員会 (c) 2011 中田永一/小学館
2015年2月28日(土)~大阪ステーションシティシネマ、全国ロードショー
公式サイト⇒ www.kuchibiru.jp

 
(プレスリリースより)

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『トレヴィの泉で二度目の恋を』シャーリー・マクレーン インタビュー

外見なんか気にしない!? 生涯女優
シャーリー・マクレーンが語る人生を楽しむ秘訣とは!?

シャーリー・マクレーン&クリストファー・プラマーという2大アカデミー賞俳優がイタリアを舞台に贈る最高にチャーミングなラブストーリー『トレヴィの泉で二度目の恋を』が1月31日(土)よりBunkamuraル・シネマほかにて全国順次ロードショーとなります。

★作品紹介は⇒ こちら
★公式サイト⇒  www.torevinoizumide.com
 


 
trevi-550.jpg最悪な出会いから始まるとびきりチャーミングなエルサと、とびきり頑固なフレッドの恋。しかし、エルサのチャーミングで素敵な嘘をつく?という魅力も存分に発揮し、妻を失い心を閉ざしていたフレッドは次第に笑顔を取り戻していく。エルサの夢は夜な夜な観ているフェリーニの傑作映画『甘い生活』のヒロインのように愛する人とトレヴィの泉に行くこと。果たしてフレッドはその夢を叶えることができるのか?人生黄昏時に再び全てが輝き始める瞬間が凝縮し、人生はいくつになっても楽しむ事が出来ると教えてくれるだけではなく、二人の一筋縄ではいかない恋の行方に笑って泣いてときめく、珠玉のハートフルムービーです。


本作が映画デビュー60周年の記念映画となるシャーリー・マクレーン。映画デビュー作『ハリーの災難』(55)でゴールデングローブ賞新人女優賞受賞を皮切りに、『走りくる人々』(58)、『アパートの鍵貸します』(60)、『あなただけ今晩は』(63)、『愛と喝采の日々』(77)で4度アカデミー賞主演女優賞の候補に挙がり、『愛と追憶の日々』(83)で遂に受賞を果たした。近年では、ゴールデングローブ賞の最優秀助演女優賞にノミネートされた『イン・ハー・シューズ』(05)や『ココ・シャネル』(08)、『バレンタインデー』(10)、『バーニー/みんなが愛した殺人者』(11)、『LIFE!』(13)などに出演。さらに「Glee(シーズン5)」(13)や「ダウントン・アビー ~貴族とメイドと相続人~(シーズン3)」(12)など、大ヒットTVシリーズにも出演するなど精力的に活動している。また、米女性団体として初の中国訪問団を組織し、その様子をおさめたドキュメンタリー映画『The Other Half of the Sky: A China Memoir』(75)では監督を務め、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。さらに、スピリチュアルな思想を持つことでも知られ、自身の神秘体験を基にした「アウト・オン・ア・リム」(83)が世界的なベストセラーとなった他、数々の著作を発表するなど、80歳ながらも精力的に現役バリバリで活躍できる秘訣を聞いた。
 


 
「正直に、率直に生きなければいけないわ。ありのままの自分にウソをつかないことが大切よ。私は、いつも今の瞬間を生きているから。私は、1日1日を生きていくだけ。過去や未来に心をとらわれることなくね。ただ、今を生きるの。」と語る。また、女優という職業については、「私は撮影現場が好き。撮影現場独特の親密な雰囲気が好きなの。現場でいろいろ工夫を凝らすのも、他の俳優たちとコラボレーションするのも。他に、やることを思いつかないの」と女優という仕事に熱中していることがシャーリー・マクレーンの人生を楽しませているようだ。さらに「やればやるほど、外見を気にしなくなったわね。もう鏡なんか全然見ないし、自分がスクリーンでどう見えるかなんて、気にしない。」と断言!外見を気にしないというのは、どれほど楽で心地よいのだろうか。。。。。

生涯女優でいる限り、彼女自身はずっと輝き続け、さらに私たちを楽しませてくれるに違いない。誰が見てもとびきりチャーミングなエルサを魅力たっぷりに演じている映画『トレヴィの泉で二度目の恋を』を観て、生涯女優のシャーリー・マクレーンにさらに期待してほしい。
 


 監督:マイケル・ラドフォード 
出演:シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー、マーシャ・ゲイ・ハーデン、クリス・ノース 
2014年/アメリカ/英語/STEREO/シネスコ/97分/
原題:ELSA&FRED (C)2014 CUATRO PLUS FILMS, LLC
提供:リヴァーサイド・エンターテインメント・ジャパン 
配給:アルバトロス・フィルム www.torevinoizumide.com

2015年1月31日(土)~Bunkamuraル・シネマ、2月7日(土)~テアトル梅田、京都シネマ、2月14日(土)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開

(プレスリリースより)

trevi-di-1.jpg『トレヴィの泉で二度目の恋を』マイケル・ラドフォード監督インタビュー

シャーリー・マクレーン&クリストファー・プラマーという2大アカデミー賞俳優が贈る、

最高にチャーミングなラブストーリー『トレヴィの泉で二度目の恋を』2015年1月31日㈯からBunkamuraル・シネマほかにて全国順次ロードショーいたします!

公開に先立ちまして先日、マイケル・ラドフォード監督のインタビューを行いました!

撮影の舞台裏や現場でのシャーリー・マクレーン&クリストファー・プラマーの様子、さらには村上春樹さんとの意外なエピソードなど、貴重なお話を伺うことが出来ました。

★作品紹介は⇒ こちら
★公式サイト⇒  www.torevinoizumide.com 



trevi-550-2.jpgQ:主演のエルサを演じるシャーリー・マクレーンについて?
彼女はとてもタフな女性だ。映画ではやわらかさみたいなものを演じて欲しいと伝えた。彼女は驚いた、ケンカになったし口論もした。しかし真剣に役に向き合ってくれた。
シャーリーはムービースターのカリスマ性、スター性がある。

Q:フレッドを演じるクリストファー・プラマーについて?
彼はとても才能がある。85歳の今でも一人舞台をしているんだ!

Q:クリストファー・プラマー、シャリー・マクレーンの魅力はなんですか?
二人の間にはケミストリーがあった。それはとても運が良かったよ!
クリストファー・プラマーはとても若い。そして若い女性にモテるんだ!古典的な作品にでる俳優さんだね!シャーリー・マクレーンは真のムービースター!直観的、本能的に演じていて、自分がどう映っているか知っている。タイプは真逆の二人だよ。 

Q:脚本はなぜまた「イルポスティーノ」のアンナ・パヴィニャーノなんですか?
最適だった。彼女は文化的にイタリア的なんだ。脚本はまず、スペイン語をイタリア語にそれを僕が英語にしたんだ!

Q:リメイクにあたって意識したことは?
(リメイク)とても難しかった。正直もうリメイクはしない。
自分の気に入っている部分はキープした。南米ではヒットしたのに世界的にはダメだった、そこを考えた。オリジナルに比べフレッドのキャラクターを掘り下げた。自分なりにユーモアを付与した。

Q:オリジナルのどこに惹かれたのですか?
とても人間的でユーモアがあり感動的、センチメンタルなとこもいい!自分が好きなタイプの映画。名優たちと仕事ができるのも嬉しかった。ユーモア、ロマンス、感動を伝えられると思ったんだ!

Q:オリジナルとの違いは?
核になるアイディアは同じ。オリジナルに比べ、フレッドを掘り下げた。

Q:この作品を撮ってて一番楽しかったことは?
助演も含めて最高のキャストを集められた!主演二人のカリスマ性は凄かった!

Q:奇跡的だと思ったシーンは?
二人がはじめて夜を過ごすシーンが心配だった、シニアのSEXを匂わすからね!そんなの見たくないと思う人がいるかもしれない!でもいざ撮影してみると凄いなと思った。

Q:イタリアに思い入れは?
息子も生まれたし、結婚もした。なぜか逃れられない運命。イタリアが大好きだし、人生の一部。深いところでイタリアが好き。映画を作るにあたっては深く文化に入り込まなくてはいけない。イタリアが舞台だと作りやすい。 

Q:映画の中で、なぜあんなにもアニタ・エクバーグ(フェリーニ監督作品『甘い生活』のヒロイン)にエルサ(シャーリ・マクレーン)は思い入れがあったのですか?
セリフでもあるが、エルサは若いころにアニタに似ているといわれていた。エルサはずっとニューオリンズにいたから、(「甘い生活」の中のアニタは)エルサの中で異国情緒あふれる夢になった。

Q:フェリーニを意識しましたか?
映画のスタイルについては色々あるがフェリーニ風にはできなかった。フェリーニの作品とは逆で親密な小さい世界観にした。役者がいいので、長回しをやった。

Q:「甘い生活」のアニタの死について?
ロンドンのテレビで知った。ローマのホスピスで亡くなったと聞いた。とても悲しい。撮影中にホスピスにいると知っていて悲しかった。元旦那はアニタにベタぼれだったんだよ。シャーリー・マクレーンが22,23歳くらいの頃にアニタと撮った写真を見せてくれた。どこかのシーンで使おうかと思ったよ。シャーリー・マクレーンがトレヴィの泉でコスプレするシーンはシャーリー・マクレーンの提案だったんだ。

Q:アニタとの面識は?
会ったことはない。

Q:アニタへの追悼のメッセージなどはしましたか?
やっていない。アニタのニュースはイギリスではあまり放送されなかったんだ

Q:アニタを一言で言うと?
アイコンである。彼女はイメージなんだ、映画的なイメージ!フェリーニは彼女の資質を捉えたんだ。演技はイマイチだったけど!

Q:シニアにむけて作ったのですか?
時間もお金もあるから、今は世界的にシニア向けの作品が増えている。観ててフィールグッドな作品があってもいいんじゃないかと思ってね!

Q:日本にはシニアの恋の映画はありません。それについてどうですか?
すごく残念(5回くらい)!アメリカ、イギリスではシニアの恋の映画は増えています

trevi-550.jpgのサムネイル画像Q:若い読者に向けて
若い人のリアクションよかった。実際にトレヴィの泉に行ったと、映画を見てくれた若いカップルが言ってくれた。恋する気持ちはいくつになっても変わらない。人生は常にサプライズなんだ。(この作品は)リアルなラブストーリーなんだ。
年を重ねたら人生楽しくないというのは違う。それを伝えたい。年齢を重ねても恋をするってことをみてもらえたら

Q:日本について、そして今後日本の原作の映画化は考えていますか?
村上春樹とは親交があり「国境の南、太陽の西」の映画化の話があった。
村上春樹は「アメリカで撮ってくれ」と言ったが、僕は日本的な映画で日本的なフィーリングがあると思った、いろいろあって実現はしなかったんだ。日本の小説も文化も好き。吉本バナナも好き!いい本があれば映画化したい!
黒澤明、溝口健二、小津安二郎、大島渚などの作品が好き。最近のものよりは昔の作品が好き。宮崎駿の作品は好き。残念だけど(邦画)の公開本数は減っている。ぜひ作りたい、日本で撮影したい。日本的な要素に惹かれている。
 

 


 監督:マイケル・ラドフォード 
出演:シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー、マーシャ・ゲイ・ハーデン、クリス・ノース 
2014年/アメリカ/英語/STEREO/シネスコ/97分/
原題:ELSA&FRED (C)2014 CUATRO PLUS FILMS, LLC
提供:リヴァーサイド・エンターテインメント・ジャパン 
配給:アルバトロス・フィルム www.torevinoizumide.com

2015年1月31日(土)~Bunkamuraル・シネマ、2月7日(土)~テアトル梅田、京都シネマ、2月14日(土)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開

(プレスリリースより)
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~森川葵と菅田将暉が表現する青春のさすらいと映画愛~

 
『劇場版零~ゼロ~』や宮藤官九郎脚本ドラマ『ごめんね青春!』で見事な存在感をみせた新星森川葵と、『そこのみにて光輝く』、『共喰い』といったシリアスドラマから、ファンタスティックな女装を披露した『海月姫』まで作品ごとに様々な顔を見せて我々を魅了する菅田将暉。この2人だからこそできる独特の空気感を楽しみたいのが、青春ロードムービー『チョコリエッタ』だ。大島真寿美の青春小説『チョコリエッタ』を、風間志織監督が約10年の構想を経て映画化した。作品中には巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の『道』が様々な角度から取り上げられ、名画ファンなら思わずニンマリしてしまうようなシーンも盛り込まれている。
 
東日本大震災を経験することで、空想と近未来のリアルが入り混じる物語へ昇華させた風間監督に、主役二人のことや、10年もかけたという制作の経緯、全編に渡ってさりげなく滲む放射能の描写や関西と関東反応の違い、風間監督ご自身の映画原体験についてお話を伺った。
 

■知世子役の森川葵と政宗役の菅田将暉について

―――今、最も旬な二人のキャスティングですが、森川さんが知世子役に選ばれた経緯を教えてください。
原作では知世子がムシャクシャして髪を切って坊主頭になるところから始まるので、坊主頭になってくれる人を探す必要がありました。事務所に「坊主頭にしてくれる女の子はいますか?」と声をかけてオーディションをしたのですが、なかなか人数が集まらず10人ぐらいの中から選考していきました。お会いした中で、森川さんは「この子が知世子だ」と思うような不思議な雰囲気を持っていましたね。他の子は知世子役をするために髪を切ろうとします。「髪の毛切るのは大丈夫です。頑張ります!」という人がほとんどである中、森川さんは「一回坊主にしてみたかったんですよね」という感じで、全く気負いがなかったです。
 

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―――なるほど、オーディションでもかなり独特の雰囲気を放っていたとのことでしたが、撮影中はいかがでしたか?
森川さん演じる知世子が面白いので、そこから映画が出来てきました。最初リハーサルをしたときに「森川さんはできるな」と思っていましたが、そんなにすぐに役作りができるとは思っていなかったのです。森川さんだけ先にリハーサルをしていると、ものの数十分で彼女の中からすっと知世子が出てきたのです。「それだ!」と私が言ってから、すぐに知世子が出来上がっていきました。こんなことがあるのかと思うぐらいの速さですね。森川さんは猫を飼っているのですが、本作では犬の鳴きまねをしなくてはならなくて、最初はうまくできなかったんです。初日は「犬ってどうやって鳴くんですか」と聞いてきましたが、二日目は自分で研究してきたようで、「鳴けますよ」と。
 
 
―――菅田さんのキャスティングはどのような形で実現したのですか?
男の子も同時にオーディションをしたのですが、なかなかいい子が見あたらなかったのですが、キャスティングに関する情報が事務所にも流れるようで、菅田くんの事務所の方から「この期間だったらスケジュールが空いてるけれど」と打診してくれました。
 
 
―――正宗演じる菅田君は知世子を輝かせる役どころですが、見事に受け身の役に徹していました。何か監督から演出されたのですか?
自由にやっていましたね。菅田君はしっかりしていて、自分が違うと思えば「僕は違うと思う」とはっきり言ってくれました。私はそういう役者の方が好きなので、やりとりをしているときは面白かったですね。菅田君が着用していたアロハシャツは、おじいさんの服という設定でビンテージものばかりを集め、その日の気分で菅田君に選んでもらって決めていました。役作りの一環ですね。正宗は結構文語的な言葉を話しますが、それもキャラクター作りに役立ちましたし、菅田君だから違和感なく自然に演じられる。それは非常に大きいと思います。
 
 
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■フェデリコ・フェリーニの名作『道』と『チョコリエッタ』の関係について

―――二人の空想めいた世界が見事にフェリーニの『道』とリンクしていました。
自分の子どもの頃を思い出してみると、辛いときには空想していました。空想の世界が一番居心地が良かった時代が自分にあったので、その感じを知世子と正宗の二人に対しても非常にスムーズに当てはめることができたのでしょう。20歳前の年代の人たちにとって、フェリーニや小人の世界に入っていくことは、ごく自然だと思います。
 
―――風間監督は、若い頃からフェリーニがお好きだったのですか?
フェリーニは好きでしたが、『道』という映画はよく分からなかったというのが正直なところです。ただ、『道』は『チョコリエッタ』には絶対的に必要なので、たくさん使用しています。「『道』にオマージュを捧げる」とよく言われますが、原作に登場するから使用しているのが本当のところで、個人的にはおこがましいと思っています。原作でも「私は、前は死にたいと思っていたわ」という『道』での台詞が出てきますし、(『道』でジェルソミーナを演じた)ジュリエッタ・マシーナから愛犬の名前を取っているので、この物語を語るのに『道』は絶対にはずせません。ただ、本物の映像も音楽も一切使用を許可してもらえなかったので、テレビで『道』を鑑賞しているシーンは合成ではなく、一から作り込んでいきました。きちんと作らないと、それこそフェリーニに申し訳ないですから。名作だからこそ遊んでいいのではないかと思って、まじめに遊びました。
 
―――森川さんと菅田さんは、『道』を観たことがあったのですか?
二人とも最初は『道』のことを全然知りませんでした。『道』製作60周年でブルーレイのニュープリントをイマジカさんが焼いたこともあり、主要な役者さんを集めて試写に行かせてもらいました。今回高校生役の子たちは全員観ています。森川さんは「私、全然分からなかったです。でも知世子って分からなくていいんじゃないですか?」といった感想でした。確かに、『道』を好きなのは知世子の両親ですから、知世子自身が理解する必要はありませんよね。 菅田くんは「すごく良かった。俺、昔女の子にザンパノみたいなことをしたことがある」と言っていました。
 

■『チョコリエッタ』映画化のきっかけと、大きな影響を与えた東日本大震災/原発事故について

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―――10年近くの構想を経て作られたそうですが、『チョコリエッタ』を映画化しようとしたきっかけや、それだけ時間がかかった理由についてお聞かせください。
原作に惚れ込んだ知り合いのプロデューサーから、この作品を映画化しようという話が出たのは2007年~2008年頃です。原作者の大島真寿美さんと私は偶然知り合いで、大島さんが『それでも彼女は歩き続ける』という映画監督が主人公の作品の取材で私に声をかけてくださり、取材がひと段落したときに「『チョコリエッタ』を映画化したいという話があるのだけど、監督が決まっていないのよね」「それって私じゃないの?」「この作品は風間さんよね」ということで映画化に向けてのプロジェクトが始まったのです。そこからすぐに脚本を書き始め、資金集めを始めたのですが、なかなか思うように集まらず、企画をしばらく寝かせておくことになりました。
 
―――企画を寝かせていた間に東日本大震災が起きた訳ですが、作品を見ているとその影響が色濃く感じられます。
震災が起こったときに最初は自分の子どもを守ることを考えはじめていました。ただ時間が経つにつれて、日本が変な方向に来ている気がして、「おかしいな、これは。全てを隠そうとしている」と思うようになりました。東京には確実に放射能が降っているのに、そんなことを微塵も感じさせないようなふりをしている。福島の人を政府の人たちが誰も守ろうとしないことがすごく気持ち悪かったのです。でも、これは昔からあることがはっきり見えてきただけで、ずっとこのような世界であることが震災後はっきり分かっただけなのだと悟りました。そこで映画を撮る人間として何を撮るのかと考えたときに、『チョコリエッタ』のことをふと思い出したのです。『チョコリエッタ』は若い少年少女が自分の中で感じていたぐちゃぐちゃした悩みや憤りを、映画を撮ることで解消していくというお話です。これからの子どもの未来は私たちが子どもの頃より見たくない、辛いものになる可能性がある中で、そういう辛いものや若者の憤りを3.11以降の時代に置き換えてもすんなりくるのではないか。それが自分の中でカチッと合わさった感じで、脚本を書き直し、絶対に撮ると決めて動いていきました。
 

■『チョコリエッタ』に対する関東と関西の反応の違いについて

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―――教室の後ろに置かれた生徒の遺影がある風景や、寂れた商店街など、福島をどこか感じさせるような表現がいたるところに見られますが、本作の時代設定は?
2010年夏の原爆事故が起こる前から物語は始まります。それから11年後、千代子が高校生になった2021年のお話で、少し近未来ですね。このままではどこで地震が起こっても原発が爆発する可能性があるわけです。前から指摘されていたし、さらに実際に事故が起こっても何も変えようとしないですよね。福島とは限定しないけれど、放射能のイメージをちりばめていますし、近未来の設定にしたのも「どこでもありうる」という意味が込められています。
 
―――政治的な方向で表現するのではなく、映像に凝るところから入っていますね。
政治的なことを匂わせはしようと思って、周りに配置していますが、それに関しては一言も言わずに感じさせるということをやりたかったのです。今の世の中って、そんな感じですよね。どれだけ不安はあっても、普段は何も言わないで暮らしている。そういう人多いから、匂わせる表現で分かってもらえるかと思ったのです。
 
―――東京のマスコミから、放射能の描写に関する質問は来ましたか?
全くこないです。大阪の記者の方は皆放射能に関する部分を聞いてくるので、とても健全だなと(笑)。東京国際映画祭のQ&Aでも、1日目に司会者との話でも、なぜ撮ろうとしたのかと聞かれ「3.11があったのでどうしても撮らなければならないという思いがありました」と答えると、「ああ、そうですか」でさらっと終わってしまいました。2日目にようやく客席から(放射能に関する)質問があったのですが、「こんな場所でこんなことを聞いていいか分からないのですが、この表現は放射能を表しているんですよね」と。質問してはいけないことだと皆が自己規制しているのかと思い、ビックリした覚えがあります。言わない方が逆にリアルだと思い、映画で雰囲気だけ映し出そうと思ったのですが、それすら言及しないぐらい東京はひどい状況だったのだと、大阪に来てようやく気づきました。分かりやすく表現したつもりなのに誰も質問しないので、「こんなに分かりにくい映画を撮ったのか」と実は悩んでいたのですが、大阪では普通に皆が質問してくれたのでホッとしました。
 

■風間監督が高校時代の映画にまつわる原体験について

―――風間監督ご自身は、知世子ぐらいの年頃の時にどんな映画を観ていたのですか?
フェデリコ・フェリーニ、鈴木清順、スタンリー・キューブリックに最初の衝撃を受けました。フェリーニは『サテリコン』というローマの貴族が酒池肉林するようなメチャクチャ狂った作品、鈴木清順さんは白黒の『殺しの烙印』、そしてキューブリックの『時計じかけのオレンジ』。映画ってなんだか分からないけれどすごい!という言葉では言い表せられない衝撃ですよね。
 
―――高校時代から映画を撮り始めたのですか?
クラスの文化祭の出し物用で、劇をするぐらいなら映画にしないかと提案したのが最初でした。ある女の子が白血病になったと同時に未来が見える能力を持ってしまうという設定で、今を楽しむしかないと学校をムチャクチャにして死ぬというストーリーでした(『お楽しみは悲劇から』)。ただ学校をムチャクチャにするくだりで、台本にたばこを吸ってお酒を飲むと書いていたら、先生にチェックを入れられてしまうし、家で編集作業を頑張ったために学校を休んだりしたため呼び出され、文化祭での上映は却下されてしまったのです。結局クローズドで上映を許可されたところ、最終的には文化祭での上映も許可されたことを今思い出しました。意識はしていなかったけれど、そういう自分の経験があったからこそ、『チョコリエッタ』を撮ったのだと思います。
 

■「だって映画は永遠だから」

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―――映画研究会のメンバーが作った短編アニメの中のセリフ「だって映画は永遠だから」。そして知世子が自宅で途中からフェリーニ作品を見ようとしたときに父親が言ったセリフ「初めてはもっと大事なものだ」。どちらも非常に印象的でした。
この2つのセリフは、原作にあったもので、一言も変えていません。原作の中に入っている言葉は、変える必要のないものはそのままやりたいし、そういう日本語で自然に演じたてもらいたいという意図で作っています。「だって映画は永遠だから」は小説『チョコリエッタ』で絶対に言わせなければいけないセリフです。そこが良かったと言ってもらえるのは、とてもうれしいですね。
 
―――風間監督ご自身も「映画は永遠だ」という気持ちで、撮っているのですか?
私はそうでもないですよ(笑)「永遠だったらいいな」ぐらいの気持ちですね。高校生の子が「映画は永遠だ」と信じていることがいいのだと思います。私自身はそこまで純粋でもないし、「フィルムもなくなるし、どうするんだ」という気持ちが強いです。フィルム時代は永遠に保存されるのかもしれませんが、これからデジタル化していくとデータを書き換え続けなければいけないので、永遠かどうかはこれから実証されていくでしょうね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『チョコリエッタ』
(2014年 日本 2時間39分)
監督:風間志織
原作:大島真寿美『チョコリエッタ』角川文庫
出演:森川葵、菅田将暉、市川実和子、村上淳、須藤温子、渋川清彦、宮川一朗太、中村敦夫
2015年1月17日(土)~新宿武蔵野館、1月31日(土)~テアトル梅田、2月以降、元町映画館、京都シネマ他全国順次公開
©寿々福堂/アン・エンタテインメント
※第27回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門出品作品
※第39回香港国際映画祭正式出品
メイン-セデック・バレの真実.jpg
 
近年非常に勢いのある台湾映画。新しい才能が続々誕生する中、今一度押さえておきたい台湾のみならず世界の映画人に大きな影響を与え続けている巨匠の傑作を一挙集めた『台湾巨匠傑作選~ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、アン・リー、ウェイ・ダーションの世界~』が、1月17日(土)より第七藝術劇場、1月31日(土)より京都みなみ会館、2月7日(土)より元町映画館で上映される。
 
『悲情城市』(89)、『百年恋歌』(05)と台湾の歴史から現代台湾までを描き続けるホウ・シャオシェン監督作品は、今回が劇場初公開となる長編デビュー後に発表したオムニバス映画『坊やの人形』(83)、台湾ニューウェーブの代表としてその名を知らしめした『童年往事 時の流れ』(85)、90年代に発表された日本と合作の2作品『憂鬱な楽園』(96)の3本が上映される。
 
2007年に惜しまれつつ亡くなったエドワード・ヤン監督作品は、遺作であり、カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した家族ドラマの秀作『ヤンヤン 夏の想い出』(00)を上映。
 
『ブロークバック・マウンテン』(05)、『ラストコーション』(07)、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(12)と今や“ハリウッドで最も成功を収めたアジア人監督”として意欲的な作品を発表し続けているアン・リー監督作品からは、商業映画デビュー作『推手』(91)、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『ウェディング・バンケット』(93)、『推手』『ウェディング・バンケット』に連なる“父親三部作”最終章『恋人たちの食卓』(94)の3本を一挙上映。
 
そして1月24日より最新プロデュース作『KANO〜1931 海の向こうの甲子園〜』が公開、現在の台湾映画界で一番のヒットメーカーであり、日本と台湾の関係を描き続けているウェイ・ダーション監督作品は、1930年、日本統治下の台湾で起きた原住民族による武装蜂起「霧社事件」を描いた、二部構成の歴史大作『セデック・バレ(第一部/第二部)』(11)の2作品を上映する。
 
また、新作特別上映としてウェイ・ダーション監督が製作を務めた『セデック・バレ』2部作の製作過程で集められたエピソードや、生存する遺族たちの証言、歴史学者へのインタビュー、セデック族発祥の地と言い伝えられている巨石《プスクニ》を探す旅を捉えた興味深いドキュメンタリー、『セデック・バレの真実』(13)もラインナップ。1本たりとも見逃せない必見特集上映だ。
 
各劇場上映スケジュールはコチラ
 
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~安藤サクラが全身全霊を注ぐ!時価百円の女“一子”のイタくて痛いパワフル再生劇~

 
伝説の映画俳優、松田優作の出身地である山口県で毎年開催されている「周南『絆』映画祭」。2012年に創設された脚本賞の松田優作賞において栄えあるグランプリに輝いた『百円の恋』を、『イン・ザ・ヒーロー』の武正晴監督が映画化した。オーディションによりヒロイン一子役を射止めた安藤サクラ、一子が恋するボクサー狩野役の新井浩文をはじめ、個性豊かなキャストたちが揃い、笑いを交えながら人間の可笑しさや弱さ、そして強さを描き出す。
 
32歳で実家に引きこもり、だらけきった生活を送っているヒロイン一子。百円ショップでアルバイトをし、一人暮らしを始め、ボクサーに恋をし・・・と気が付けば自分がボクシングを始めているのだから、「人間は気持ち次第でいつでも変われる」と大いに勇気づけられる。ジャージ姿から脇腹のはみだした贅肉が目を引く自堕落な一子や、引き締まった身体、獣のような鋭い目で一心不乱にパンチを繰り出す一子を、安藤サクラが見事に表現。仕事も恋もパッとしない、イタイだけの女、一子が、痛いパンチを喰らいながら、人間として大きく成長する。まさにボクシングを通して安藤サクラ=一子が放つ爆発的なエネルギーにノックアウトされそうな、しびれるぐらいカッコいい作品だ。
 
本作で一子を演じた主演の安藤サクラに、一子役に対する思いや、非常に難しかったという役作り、死ぬ気で練習を積んだというボクシング、そして新井浩文との共演についてお話を伺った。
 

■もし一子を演じられるのであれば、自分のやれることは全てやろうと思った。

―――脚本を初めて読んだ時、一子に対してどんな印象を抱きましたか?また、「一子役を演じるのは自分しかいない」と思えるぐらいオーディション段階から役に入り込んでいたのでしょうか。
安藤:とても素敵な脚本だったので、自分以外のキャスティングも頭の中で考えたりしました。どんな人が演じたら面白いのだろうという風に考えてしまうほど、すごく魅力を感じる役で、「この役を絶対に勝ち取ってやる」という気持ちとはまた違いますね。もちろん、やりたいと素直に思いましたし、私自身この映画で一子のように闘ってみたい。また、自分がそのように思える作品のオーディションを受けられることにも幸せを感じました。オーディションを受けるときも、「もし受からなければ、それでもいい」というふっきれた気持ちでした。それは受かる、受からないという次元を超えて、この作品がとても好きだったのです。
 
―――オーディションにはどういう心意気で臨みましたか?
安藤:もし一子を演じられるのであれば、自分のウンコみたいなものを全部出そうと思っていました。私は割と醜い女性の役や、だらしない女性の役を演じることが多く、オファーされる役が偏っていることを、気にした時期もありました。でもオーディションでこの役が決まったら、今まで演じてきただらしなさや醜さを全部出してやろうと思ったのです。逆に「ウンコでも何でも、ケツの穴でも映しやがれ!」というぐらいの気持ちで臨みました。
 

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■この作品に臨んだことは「人生最大のわがまま」

―――見事一子役を射止めてから、どのように役作りをしていったのですか?
安藤:自分のやれることは何でもやろうと思いました。一子は最初すごくだらしがない女です。私はそのだらしない部分に説得力がないとイヤなのです。見た目の説得力があるかないかで、この作品の面白さは違ってくると確信していました。たとえ監督が「いいよ、そこまで汚くならなくても」と言ったとしても、自分がもっとやりたいという気持ちが大きかったです。
 
ボクシングに関しても妥協したくはなかったです。「ウンコも出す」と決めたのだから、どんなに過酷なことでも出来てしまう。この作品で「死ぬ気でやる」という言葉の意味が分かったというぐらい、ボクシングの練習は過酷でした。
 
ただ、難しかったのは身体のコントロールです。ボクサー体型に絞らなければならないし、その一方で前半の一子はできるかぎり太らせたい。その部分は本当に苦労しました。でも撮影を終えて、この作品に臨んだことは「人生最大の幸せなわがままだった」と思いましたね。
 
―――撮影期間はどれぐらいでしたか?
安藤:撮影期間は2週間です。順撮りではなかったですし、下着姿の時は太っていたいので、それまではとにかく食べて太った体型をキープして、下着シーンの撮影が終わり、試合シーンまでの10日間で身体を絞りました。
 
―――一日の中で、太っているシーンと身体を絞り込んだ後のシーンの両方を撮影することがあったそうですね。
安藤:不思議なもので人間の顔つきは、気の持ちようで変わるみたいです。冒頭の一子は全く筋肉を使わないような生活をしていますから、顔の筋肉からはじまって全身の筋肉を全て弛緩させました。次に絞り込んだ後のシーンをいきなり撮るときは、1ラウンドぐらいミットを打ちました。格闘技をすると顔つきが変わりますし、むくみも取れて、それでどうにか乗り切りました。
 

■新井さんと俳優としての妥協しない部分は同じ気持ち。『百円の恋』の武組は、皆一緒に闘ってくれた。

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―――狩野を演じた新井さんとの共演はいかがでしたか?
安藤:身体を絞るという点で、新井さんが一緒だから頑張れた部分は大きいです。新井さんはプロのボクサーと同じメニューを撮影中も続け、身体を絞っていました。撮影の試合の日を本当の試合の日と想定して、水すら一滴も飲まないぐらい過酷なメニューをこなしていたのです。ボクシングを題材にした映画の中でも、なかなか男女2人ともボクサーで、身体を絞るようなケースはないので、私はとても心強かったです。お互い俳優としての妥協しない部分は同じ気持ちだったので、本当に一緒に頑張れたと思います。新井さんと一緒の現場はとても心地よくて、一緒に作品を作っている感じがとても強く、素直な、シンプルな気持ちで居られます。武監督も新井さんも、スケジュールや減量や身体の作り込みなど、肉体的にはきつい現場でしたが、精神的にはとても満たされていて、「なんて幸せな現場だろう」と感じていました。『百円の恋』の武組は、皆で一子のように一緒に闘っていました。
 

■「いつかボクシングと映画を一緒にできたら」中学時代抱いていた憧れに近づく。

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―――安藤さんはボクシング経験があったそうですが、ボクシングをはじめたきっかけは?
安藤:ボクシングがちょっとカッコいいなと思ったのは、中2の頃です。不良になりたくて始めたのですが、すごく真面目にボクシングをやってしまいました。新井さんに最近、「ボクシングをやっているから不良ではなくて、不良が更生するためにボクシングを始めるんだよ。逆だよ」と指摘されて、やっと勘違いに気づきました(笑)。
 
―――中学生でボクシングを始めた頃は、女優になろうと思っていたのですか?
安藤:ボクシングに出会ったときと、映画の現場を初めて経験した時期が同じだったのですが、今回私が『百円の恋』で一子を演じたような職業を女優と呼ぶのであれば、そういうことをしたいと思っていました。肉体的なことを除いても一子という役柄はとても難しかったけれど、周りのキャラクターも本当に素敵で、そこにも惹かれました。ボクシングを始めた頃に、『ガールファイト』というボクシング映画が公開され、自分が熱中しているボクシングと映画が一緒になっているのを観て、いいなと思う反面、少し悔しかったのです。その頃女子でボクシングをしている人がとても少なかったので、それからずっと「いつかボクシングの映画ができたら」ということが頭の中にありました。だから、ここまで一子という役に執着したのでしょう。『百円の恋』に出演したことで、当時抱いていた憧れに近づけた気がします。
 

■ボクシングというスポーツに感謝。「映画だから」「俳優がやる程度だから」と見られないように、プロになるつもりで練習。

―――安藤さんの人生において、ボクシングは映画と同じぐらい大切なのでしょうか?
安藤:私はボクシングというスポーツに感謝しています。私が生きてきた28年間の中のたった1年だけど、ボクシングを習っていたことの影響ってとても大きいんです。だから、ボクシングの関係の方々が「映画だから」「俳優がやる程度だから」と見られないようにと思いました。一子のキャラクター的にはそこまでのレベルは必要なかったかもしれませんし、実際最初の脚本段階ではもっとへなちょこでした。でも、思っていたより、10数年ぶりでも身体がボクシングを覚えていたことで、監督の中でもここまで上手くなればという制限がなくなったようです。上手くなれば上手くなるほどいいという感じでした。自分はプロになるつもりで練習しました。それは過酷なトレーニングでしたが、最終的に本当にプロテストを受けないかというお誘いをいただけたのでホッとしました。少し心は揺らぎましたけれど。
 

■2014年は私にとって節目であり、本当に大切な年になった。

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―――現在公開中の『0.5ミリ』でみせた安藤さんの顔と、『百円の恋』の安藤さんの顔を観ていると、全て出し切った感がありますね。
安藤:『0.5ミリ』は宇宙で一番自分のことをみてきた人(姉・安藤桃子)が監督をしているので、自分が28年間家族の中で見せてきたすべての表情が引っ張り出されています。『百円の恋』は残った肉体とすべての排泄物が出た感じですね。オーディションを受ける前から覚悟を決めていたので、私自身、ボッコボコになりました。両作品とも続けて公開されますし、2014年は私にとって節目であり、大切な年になったと本当に思います。
(江口由美)


<作品情報>
『百円の恋』(2014年 日本 1時間54分)
監督:武正晴 
出演:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平、坂田聡、根岸季衣他
2015年1月3日(土)~シネ・リーブル梅田、1月17日(土)~元町映画館、京都シネマ他全国順次公開
公式サイト⇒http://100yen-koi.jp/
(C) 2014 東映ビデオ
※「第一回松田優作賞」グランプリ受賞
※第27回東京国際映画祭<日本映画スプラッシュ部門>作品賞受賞
 

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~7人のおばちゃんが主人公、あるあるオンパレードのリアルさに共感!~

 
本当に勇気のある作品だ。出演者は映画初出演もしくは演技初経験のおばちゃんたちばかり。一方ロケ地は深い山の中。わざわざおばちゃんを集めて映画を撮るなんて、日本中どこを探してもこの監督しかいないのではと思わせるのが、『南国料理人』『横道世之介』の沖田修一監督。「40歳以上の女性、演技経験は不問」というオーディションで選ばれた7人のおばちゃんが主人公の映画『滝を見にいく』が、東京で絶賛公開中だ。幻の滝を見に行くツアーに参加した年齢も境遇も違う7人のおばちゃんが、山中でまさかの遭難に見舞われてしまう。非日常の中それぞれが少しずつ自分を解放していく様子やバラバラだった7人が力を合わせていく様子を、少し遠くから覗き見るような目線で温かくとらえている。脚本も手がけた沖田修一監督に、オーディションの様子や撮影で感じたおばちゃんの魅力、そして合宿生活のようだった撮影エピソードについてお話を伺った。
 

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■「人間はこんなもんだよな」ということが滲む、生活感があるのは“おばちゃん”

━━━登場人物がほぼ全員おばちゃんという映画を作るにいたったきっかけは?
プロデューサーから「ワークショップで映画を撮りませんか。監督の好きな題材で構いませんので」というお誘いを受けたのがきっかけです。3人のおばちゃんがハイキングでずっとグチをいい続けながら歩き、滝を見るというのが面白いなと思ったのですが、普通に考えたらこんな話は映画になりません。でも、このワークショップの話のときにやれるのではないかと感じました。ワークショップによる映画づくりは何度か経験していますが、普通は俳優を目指した若い男女が応募してきます。今回は違う層を狙ってみようと思い、「40歳以上の女性なら誰でも応募できます」と銘打ったオーディションにしました。3人より人数を増やし、ツアーみたいな感じで話を展開すればいいのではないかと、どんどん話が膨らんでいきましたね。
 
━━━以前から、おばちゃんを撮りたいと思っていたのですか?
僕は「人間こんなものだよな」ということが滲むような生活感のあるものを撮りたくて、そうなるとおじちゃんやおばちゃんの方が絵になるのは確かです。おじちゃんやおばちゃんが飯を食っている光景は、生活臭しかしないですから。つい癖で年上の俳優さんに出演してもらいたくなりますね。
 

■湯あたりならぬ“おばちゃんあたり”に!?40人分の半生をじっくり聞くオーディション。

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━━━オーディションから始まり、撮影中もずっとおばちゃんと一緒だったわけですが、沖田監督がその中で感じたおばちゃんの魅力とは?
僕は「おばちゃん」という呼び方をあまりせずに、最初は「女性」と呼んでいました。今回オーディションで40名弱の方にお会いして、一人一人かなり時間をとってお話を聞き、7人に絞っていきました。三日間で朝から晩まで、オーディションに来られた方の人生を聞かせていただいて、湯あたりならぬ、”おばちゃんあたり”になっていました。脚本にも取り入れようと思っていたので、40人分の半生をじっくりと聞かせていただきましたが、やはり皆さん色々あるのだなと実感しました。そういうニュアンスが画面でもどこかにでればいいなと思っています。オーディションで選ばれた皆さんは、年下の若造監督をバカにするわけでもなく、皆が新人俳優のようでした。小道具一つとっても、「おばちゃんは大体こういうものを持っているわよ」と等身大で教えてくれるので、とてもやりやすかったです。
 
━━━今回映画に出演した7人が選ばれた理由は?
最初は演技経験がない人の方がいいのではないかと思っていましたが、試しに演技経験のある人と組んでお芝居をやってもらうと、それはそれでどちらも映えて面白い化学反応が起きました。最終的には演技経験のある人とない人を半分ずつぐらいにし、絡みがある場面は双方ペアになるようにしました。後は、俳優経験がある人でも家庭の部分のウェイトが大きいかどうかが重要でした。色々なことを聞き、嫌いな家事の話を聞いてどういう生活をしているか何となく探ったり、台本を自分の好きなように変えてもらったりしながら、バランスを見てオーディションで選んでいった形ですね。
 
━━━脚本はどのように作り上げていったのですか?
話の骨格は決めておいて、あとはそれぞれのキャストに合わせて役の詳細を決めていきました。本当は素性が全く分からないキャラクターを作りたかったのですが、それを演じられる人が全くいなかったので、スミスを演じた渡辺さんにそれを一任したりもしました。ワークショップと台本書きが同時進行でしたね。昼は稽古をして、持ち帰って台本を書き、翌日はその台本を演じてもらってと試行錯誤しながら何日間か繰り返しました。
 
━━━撮影期間はどれぐらいでしたか?
ワークショップは5日間で、撮影は11日間プラスアルファぐらいです。普通はワークショップの中から7人に絞り込んだりするのですが、体力を使いそうだったので、オーディションに時間をかけて7人を選び、ワークショップは稽古の時間にしました。皆さんまじめなので、一生懸命やってしまって、演技をしたことのない人が演じるという良さが失われていくような気がしたので、本人が出てくる意味を考えたときにはあまり稽古をしてほしくはなかったのです。ただ、皆が顔見知りになっておくのはいいなと思い、もはや仲良くなるための時間になっていました。『南極料理人』の女バージョンみたいな感じもやりましたね。撮影では、助監督が今回はどうしても順撮りがいいと主張し、僕もそれがいいと思っていたこともあり順撮りにしたのですが、初日に雨が降ったりして不安にもなりました。結局助監督が順撮りを貫いてくれたので、決行できました。
 

■面白いことをやっているという意識と、きちんと面白いものにしたいという空気が流れていた現場。

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━━━本作の撮影はこれまでの撮影と違う部分が多かったと思いますが、楽しかったところは?
合宿生活だったので、役者とスタッフとの垣根がなかったのは楽しかったですね。コミュニケーションが非常にとりやすかったです。最後に一組ずつ歩いてきて、最初と同じ台詞が繰り返されるのは、現場の美術担当が思いついたアイデアで、みんなで「これ、面白くない?」と言いながら、試して、採用することもありました。みんなで作っている感じが良かったです。今回は面白いことをやっているという意識と、だからきちんと面白いものにしたいという空気が現場に流れていた気がします。
 
後は衣装を自前とこちらで用意するものと半々にしました。普通は衣装担当が嫌うと思いますが、今回は本人と役柄が半分クロスする設定だったので、本人が日頃着ているものを持って着てもらう方が馴染みます。最年長の徳納さんは本当に稽古に着てきた格好です。
 

■この旅は何の人生の解決にもなっていない。山から戻ったとき少し後ろ髪を引かれるだけで十分。

━━━最後に見た滝が、「これ?」って感じでしたしね。
それが狙いですから。確かにこの旅は、みなさんにとって何の人生の解決にもなっていないですよね。今回は山で迷子になったということで、それが楽しくなってしまう人たちの話なのです。山から戻ってきたときに少し後ろ髪を引かれてしまう、それで十分なのです。主人公の根岸さんもどこにでもいるような、「説明しなくても知ってるでしょ」という感じだったので、あまり事細かに説明せずとも想像通りなのだろうなと。
 

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━━━キャンプファイヤーの時に、皆で『恋の奴隷』を歌っている姿は非常にインパクトがありました。なぜあの曲を選んだのですか?
なんか面白かったんですよね。美しい歌よりも『恋の奴隷』のようなヒット曲の方が、みなさんの少女時代を連想させる何かがある気がして。「悪いときはどうぞぶってね」という歌詞も面白かったです。昭和の雰囲気が出ますし。ワークショップの時に、『恋の奴隷』を歌ってもらったら、サビの「あなたごのみの~」という部分を皆さんで絶唱しているのがすごく絵になるなと思いました。
 
━━━ある意味サバイバル物語でもありますが、おばちゃんたちがそれぞれ持参していた食べ物やアウトドアグッズはどのようにしてアイデアを出していったのですか?
美術部のスタッフと食べ物は何を持参するかを一緒に考えるのが楽しかったですね。タッパに梅干しを入れて持っていこうとか。そこからゆで卵の話になり、アルミホイルに塩だけ包んで持っていくというアイデアから、バスで食べちゃおうとか。色々なことを考えながら、脚本にないところでアイデアを膨らませていくのに、道具は重要でした。お菓子もチョコレートならと言っていると「ルマンド」と具体名が出てきて。僕はあまり良くわかっていなかったので「ルマンドってそんなに有名なお菓子なんですか?」と聞くと、キャストのおばちゃんたちが皆、口を揃えて「えっ、ルマンドよ!」となぜ知らないのかという勢いで返されました。
 
━━━太極拳をやっている人がいたり、それぞれ好きなことをやっているシーンがありますが、全部脚本に書かれている通りですか?
全部脚本どおりです。あの場面がメインだと思っていますから。楽園っぽいというか、今までの生活とはかけ離れた状況ですね。遊んでいる部分は、「小学校6年生の気持ちでやってください」と言いましたが、それ以外のシーンでもみなさん若く見えますね。
 
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■脚本は根性で書くもの。自分が書いた脚本でないと、演出できない。

━━━脚本を書くときに心がけていることは?
脚本は根性で書くものですね。書く途中で1回や2回ぐらいは「もうダメだ」と投げ出したくなるときがあるのですが、そこで諦めないことです。脚本根性論ですよ。脚本を書くのは本当にキツいのでやりたくないのですが、他の人が書いた脚本で撮るぐらいなら、頑張って書こうと思ってしまいます。自分が書いた脚本でないと、演出できないんですよ。せめて最初と最後は書かなければと思っています。『キツツキと雨』や『横道世之助』は中間部分を何こうか書いてもらいましたが、最終的には自分で書かないと役者に説明できないのです。よく「間がいい」と言われることがありますが、全く間を計ったことはありませんし、役者さんご自身がこちらの方が面白いだろうと勘でやっているケースが多いです。
 
━━━おばちゃんたちと一緒に森林浴をしたり、夜を明かしたような気分になりました。
本作は88分でしたが、出ているキャストもずっと皆同じですし、ずっと山の中の話なので飽きるのではないかと、少し怖かったです。東京ではもう公開しているのですが、劇場の客層も割とおばちゃんが多くて、僕と同い年ぐらいの友人が見に行くと「客席周りまで演出されているみたい」と言われました。「一緒に森林浴をしたような気分になる」とよく言っていただいています。普段映画を見ないような人でも興味を持ってもらえたらと思います。(江口由美)
 

『滝を見にいく』
(2014年 日本 1時間28分)
監督:沖田修一  
出演:他
2015年1月17日(土)~シネマート心斎橋、1月24日(土)~京都シネマ、2月21日(土)~元町映画館他全国順次公開
※第27回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門スペシャルメンション受賞
公式サイトはコチラ
(C) 2014「滝を見にいく」製作委員会
 
 
 

『マエストロ!』試写会プレゼント(1/12〆切)

maestro-550-2.jpg■ 提供:アスミック・エース
■ 日時:2015年1月19日(月) 
    18:00開場/18:30開映
■ 会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
■ 募集人数: 5組 10名様
■ 締切:2015年1月12日(月・祝)

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://maestro-movie.com/

2015年1月31日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー



『マエストロ!』

元名門オーケストラの復活コンサートに隠された秘密とは!?
笑いと涙の感動オーケストラ・エンタテインメント! 

原作は第12回文化庁メディア芸術祭にて優秀賞受賞、第13回手塚治虫文化賞ノミネート作品された「マエストロ」(双葉社刊)。 となります。
『毎日かあさん』でヒットを飛ばした小林聖太郎が監督を務め、舞台に映画にと精力的に活動している実力派、松坂桃李と、日本映画界の顔、西田敏行が初共演!それぞれが初めてとなる楽器演奏、指揮に挑戦し、演奏シーンでも演技派ぶりを発揮!そして、多彩な魅力で人気を誇るシンガーmiwaが天才フルート奏者あまね役で映画初出演することで話題の本作。

【STORY】
maestro-3.jpg若きヴァイオリニスト香坂のもとに、解散した名門オーケストラ再結成の話が舞い込む。だが、練習場は廃工場、集まったメンバーは再就職先も決まらない「負け組」楽団員たちと、アマチュアフルート奏者のあまね。久しぶりに合わせた音はとてもプロとは言えないもので、不安が広がる。
そこに現れた謎の指揮者、天道。再結成を企画した張本人だが、経歴も素性も不明、指揮棒の代わりに大工道具を振り回す。自分勝手な進め方に、楽団員たちは猛反発するが、次第に天道が導く音の深さに皆、引き込まれていく。だが、香坂は名ヴァイオリニストだった父親が死んだ裏には天道が関係していた事を知り、反発を強めてしまう。あまねのひた向きに音楽に取り組む姿勢を目の前にしながらも素直になれない香坂。
そして迎えた復活コンサート当日、楽団員たち全員が知らなかった、天道が仕掛けた“本当”の秘密が明らかになる------。

 


 
出演:松坂桃李 miwa /西田敏行ほか
監督:小林聖太郎 脚本:奥寺佐渡子
原作:さそうあきら「マエストロ」(双葉社刊)漫画アクション連載
配給:松竹=アスミック・エース
(C)2015『マエストロ!』製作委員会 (C)さそうあきら/双葉社

(プレスリリースより)

★ 映画『KANO~1931海の向こうの甲子園~』
 オリジナルリストバンド プレゼント!

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■ 提供:ショウゲート 
■ 募集人員: 5 名様
■ 締切:2015年1月31日(日)

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://kano1931.com/

2015年1月24日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、イオンシネマ京都桂川、OSシネマズミント神戸 ほか全国ロードショー

 


台湾国内歴史的大ヒット!歴史に埋もれていた甲子園感動の実話、日本凱旋上陸!
日本統治時代の台湾から甲子園に出場し決勝まで勝ち進んだ「嘉義農林学校」の感動の実話を、
台湾映画最大級の2億5,000万台湾ドル(約7億円)をかけて映画化した超大作エンタテインメント。

kano-550.jpg台湾では、2014年2月27日から公開され、球児の奮闘に涙し絶賛する声が広がり、公開1ヶ月で3億台湾ドル(約10億円)を超える空前のヒットを記録。本作は、同じく台湾で大ヒットした『海角七号君想う、国境の南』(‘08)、『セデック・バレ』(‘11)を監督したウェイ・ダーションがプロデューサーを務め、マー・ジーシアン監督による長編デビュー作となる。主演は、野球部監督・近藤兵太郎役の永瀬正敏。さらに、台湾の農業発展に大きな貢献をした水利技術者・八田與一役に大沢たかお、近藤兵太郎の妻役に坂井真紀ら、日本人キャストが出演している。

<ストーリー>
1929年に台湾で誕生した日本人、台湾人台湾原住民(※)による嘉義農林野球部が、新任監督の近藤兵太郎を迎え、スパルタ式訓練で「甲子園進出」を目指すことになった。近藤の鬼のような特訓を受け、連敗続きだった野球部員は、次第に勝利への強い想いが湧き上がり、甲子園出場の夢を抱くようになっていく。そしてついに1931年、台湾予選大会で連勝を続け、常勝チームだった台北商業を打ち負かし、南部の学校で始めて台湾代表大会での優勝。台湾代表チームとして日本への遠征へと赴き、夏の甲子園で戦った嘉義農林チームの、一球たりともあきらめないプレイは、5万5千人の大観衆の胸をつかみ、次第に日本中に広まっていった。
(※台湾の先住民族の正式な呼称)

(ショウゲート リリースより)

 



[出演]永瀬正敏坂井真紀ツァオ・ヨウニン/ 大沢たかお
[監督]マー・ジーシァン[脚本]ウェイ・ダーションチェン・チャウェイ[製作総指揮]ウェイ・ダーション[音楽]佐藤直紀
[主題歌]Rake 中孝介ファン・イーチェンスミンルオ・メイリン「風になって~勇者的浪漫~」(EPICレコードジャパン)
2014年/台湾/カラー/185分/原題:KANO/配給:ショウゲートkano1931.com (C)果子電影

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(写真:左から『悪戦』のウォン・ジンポー監督、『暮れ逢い』のパトリス・ルコント監督、阿部勉京都ヒストリカ国際映画祭実行委員長、山下晃正京都府副知事)
 
第6回京都ヒストリカ国際映画祭 オープニングセレモニー&トークショー
(2014.12.6 京都文化博物館)
登壇者:パトリス・ルコント(映画監督)
    滝本誠(編集者、映画評論家)
  

~来年で監督生活40周年を迎える名匠パトリス・ルコント、創作意欲の源やこだわりに迫る~

 
12月6日(土)から京都で開催中の第6回京都ヒストリカ国際映画祭。オープニングにパトリス・ルコント監督の最新作『暮れ逢い』が上映され、上映後オープニングセレモニーと、パトリス・ルコント監督(以下ルコント監督)を迎えてのトークショーが開催された。
 
オープニングセレモニーでは、主催者を代表して実行委員長阿部勉氏が「世界中から集まった300本の作品から、今この時代、この映画祭で観ることに価値ある作品を選んだ。歴史を切り口に文化や人間を描くところに迫りたい」と挨拶。引き続き、京都府副知事の山下晃正氏が「京都は今も映画を作っており、作り手が街にいることも映画祭にとって大変大事な視点。京都ヒストリカ国際映画祭は歴史劇を作る人々と観る人々との思いが交差する場なので、できるだけ多く作品をご覧いただき、楽しんでほしい」と映画の街京都発信の映画祭であることをアピールした。
 
DSC01438_r1_c1.jpg海外からのゲストとして登壇したルコント監督は、「私のこの作品で映画祭のオープニングを飾れたことを本当に光栄に思います。実は車で撮影現場にいくとき、僕は時代劇を作っているのではないと言い聞かせて撮影現場に向かっていました。とても矛盾していると思われるでしょうか、時代劇がとても興味深くなるには、現代人の心と通じるものがあるから。過去ではなく、現在を生きている人を語ったつもりです」。続いて、明日上映される香港映画『悪戦』のウォン・ジンポー監督は、「この映画祭に『悪戦』を選んでいただき、本当に感謝している。監督という立場でありながら、非常にカジュアルな服装であることを申し訳なく思っています。明日はもう少しましな格好をします」と茶目っ気たっぷりに挨拶した。
 
引き続き行われたルコント監督のトークショーでは、映画評論家の滝本誠氏が司会を務め、ルコント監督若き日の驚愕エピソードや、ルコント監督作品に通じるこだわりまでがユーモアたっぷりに語られた。その主な内容を観客との質疑応答も交えてご紹介したい。
 

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■映画学校時代の伝説的エピソードについて

 
―――映画監督になろうと思った動機は?
パトリス・ルコント監督(以下ルコント監督):父親はシネフィルで映画を観るのが大好きでした。地方に住んでいましたが、父親によく映画館へ連れて行ってもらい、映像で物語を語れるのはなんてすばらしいだろうと思っていました。子どもの頃は夢のまた夢であった映画監督ですが、当時住んでいたトゥールでは短編映画祭があり、短編映画を観ながら、手が届くのではないかと感じたのです。その後、パリの映画学校に行きましたが、学校では何も学ばず、むしろ映画館に行って映画を観て学ぶことの方が多かったですね。低予算で短編映画を撮ったことも勉強になりました。最初の長編はコメディーでした。みなさんに笑ってもらうことが好きだったからですが、興行的には失敗作で、以降3年間はほとんど何も撮れず辛い時期でした。そこを耐えて2本目を撮ると大ヒットし、それを気にすべてが滞りなくノンストップで撮り続け、今に至るわけです。来年は、私が映画監督になってから40年目となります。
 
―――学生時代にクロード・シャブロル監督作品を観て、あまりのくだらなさからシャブロル監督へ批判の手紙を書いたというエピソードを聞きましたが。
ルコント監督:シャブロル監督の超駄作『DOCTEUR POPAUL(邦題:ジャン=ポール・ベルモンドの交換結婚)』を観て、なんとかして指摘しなければと住所を調べたのです。文面はこんな感じでした。「親愛なるムッシュ、もしリュミエール兄弟が、あなたが『DOCTEUR POPAUL』を撮ることを知っていたら、映画を発明しなかったでしょう」 実名を添えて書き、返事も期待していたのですが・・・その後、私が監督になったときにエージェントが同じだったので、マネージャーに声をかけられシャブロル監督に会わせてもらいました。映画学校時代に手紙を送ったのは私だというと「すばらしい。額縁に飾ってあるよ」 そして郵便局に行くのを忘れ、出せなかったという手紙には、「ムッシュ、もし万年筆を発明したウォーターマンが、あなたがこんなに辛辣な手紙を書くことを知っていたら、万年筆を発明しなかっただろう」と書いたのだそうです。
 
―――ルコント監督とシャブロル監督のユーモアの応酬ぶりが素晴らしいですね。
ルコント監督:もし、ジャン・ピエール・メルビル監督に同じ手紙を送っていたら、殺し屋を送り込んでいたでしょう。メルビル監督は全くユーモアがありませんから。映画学校時代にメルビル監督が来校すると聞き、ワクワクして待っていると、アメリカの外車で学校の中に乗り付け、お馴染みのトレンチコートスタイルに、おきまりの帽子と真っ黒のサングラス姿でした。我々が大階段教室で待っていると、メルビル監督がコートも脱がず、帽子やサングラスもとらずに入ってきて、とても行儀の悪い人だと思いました。勇気のある学生がインテリジェントな質問をすると、「その質問はあまりおもしろくない。次どうぞ」 その後誰も質問できず、学生たちが静まり返っていると、メルビル監督は「質問ないですね」と起立して立ち去りました。たった5分だけの滞在でした。その日以来、メルビル監督の全作品が大嫌いになりましたね。
 

■ルコント作品の音楽と、レコードをかけるシーンについて

 
―――ルコント監督の音楽といえば、マイケル・ナイマン氏ですが、ナイマン氏を知ったきっかけは?
kureai-di-2.jpgルコント監督:ピーター・グリーナウェイ監督作品は毎回音楽がいいなと思い、サントラを買って何度もナイマンさんの音楽を聞きました。『仕立て屋の恋』 でも、ナイマンさんの『数に溺れて』を使わせてもらっています。はじめてナイマンさんがそのことを知ったとき「グリーナウェイ作品より、君の作品の方が私の音楽が生きている」と語っていたそうです。のちに、その時期ナイマンさんがグリーナウェイさんと喧嘩をしていたのだと知りました。
 
そのように、ナイマンさんの作曲家としての仕事ぶりが大好きで、プロデューサーに音楽担当のことを聞かれたとき、夢としてはマイケル・ナイマンと仕事がしたいと答えました。最初は、ナイマンさんはイギリス人で、ロンドンに住んでいるので難しいと言われたのですが、僕が直接ナイマンさんとコンタクトをとり、ロンドンに出向いて交渉し、快諾をいただきました。どんな分野においても同じですが、無理だといわれてもトライすることです。Ouiといわれたら儲けものですよね。結果、『仕立て屋の恋』や、『髪結いの亭主』で一緒に仕事ができましたから。
 
―――ルコント監督作品といえばレコードがよく登場しますね。
ルコント監督:ほとんどの作品で少なくとも一度はレコードをかけるシーンがあります。『仕立て屋の恋』や、『髪結いの亭主』では常にクローズアップのカットを挿入しています。実は、次回作でもレコードに針をおとす瞬間のクローズアップシーンあるのですが、撮影監督は僕がレコードプレーヤーにカメラを近づけているのを観て「またルコントショットを撮るんだね」と笑っていました。
 
音楽は好きですが、映画における音楽がとても好きで、音楽なしの映画は作れません。レコードに針を落とすシーンを入れるのは、これから音楽がはじまることをみなさんに知らせる意図があります。アメリカ映画は終始音楽が流れたり、観客が気づかない感じで流れていますが、そういう投げやりな感じは好きではないのです。
 
 

■最新作『暮れ逢い』について

 
―――『歓楽通り』では、パリにおける娼館システムが終わり、そこから女性がどう生活していくのかというフランスのシビアな時代が背景となっていました。主人公男性の人物造詣に驚かされましたが。
ルコント監督:主人公のプチ・ルイは娼館の雇われ人で、レティシア・カスタ演じる娼婦マリオンに恋をします。プチ・ルイは絶対マリオンが自分の彼女にならないとわかっているので、彼女が幸せになれるような男を捜してきます。無償の愛ではあるけれど、実は代理恋愛ともいえます。そう考えてみると『歓楽通り』の三角関係は、『暮れ逢い』の三角関係にも似ています。青年フリドリックはすごく恋をしているけれど、それは許されない恋です。相手の女性は自分のパトロン(実業家ホフマイスター)の妻であり、社会的地位もあり、叶わぬ恋なのです。一方で「どんな恋も不可能ではない」と原作者のシュテファン・ツヴァイク自身は言っています。
 
kureai-1.jpg―――『暮れ逢い』では青年フリドリックがホフマイスター邸に来て、彼の若妻ロットに出会います。2階から降りてくる彼女を仰ぎ観る初対面のショットが二人の関係を象徴していました。
ルコント監督:後半、フリドリックがメキシコに行くまでは、ずっとフリドリックの視点で描いています。出会いのシーンは、階段上にいるのが、階層が上のロットという意味もあります。でも、ロットは階級が上だからといって、それを利用せず、ちゃんと階段を降りてフリドリックと同じ目線になるのです。恋愛のプロセスも対照的で、フリドリックは一目惚れです。ロットの場合はもっと緩やかで、恋に至るプロセスが長いです。夫のホフマイスターの方が、ロットが自分の気持ちに気づく前に彼女の中に芽生えた恋心に気づいています。
 
―――第一次世界大戦前後のハンブルグが舞台であり、メキシコの革命とその後の鉱山開発も描かれていましたが、ロケ地や歴史的背景について教えてください。
ルコント監督:フレデリッヒがメキシコにいくのは、できるだけドイツから離れた場所に遠ざけるという意味で原作の小説にもある部分です。大事なのは第一次世界大戦が勃発して、帰れなくなる場所であることです。恋する女性(ロット)にとって本当に耐えられない距離ですから。フランスとベルギーの合作なので、撮影はベルギーで行われました。フランスでは理想的な場所がなかなか見つけられなかったのです。
 
―――『暮れ逢い』で新たに自分の表現として挑戦したことは?
kureai-3.jpgルコント監督:「挑戦」という言葉はあまり好きではないですが、新しい冒険という意味では、英語でイギリスの俳優と一緒に仕事をしたことでしょうか。僕にとって初めての経験でしたが、みなさんの想像を超えるぐらい楽しみました。ツヴァイクの短編小説は時代が背景ですが、今の人間に通じるエモーションを伝えたいと思い英語にしました。時代劇でありながら、現代の感情とフィットする映画を作ろうと思っていたので、オリジナルなことを今回の撮影で取り入れました。毎朝撮影現場に俳優が到着し、今日撮影するシーンの動線を普段着のままで確認します。うまくいけばようやく控え室で衣装に着替える訳です。その間に技術的な準備を進めます。時代の衣装で演じるのではなく、Tシャツとジーンズでやってみる。それはとても大切で、役者にとってだけでなく僕にとってもすごく重要でした。普段着で演じ、感情が伝わるのなら、このシーンはうまくいくという確信がもてるのです。生の、むき出しのままで、衣装や光などが機能しなくてもちゃんと伝わるかどうか。これは今までしなかったことです。将来的に時代劇を撮ることがあれば、このエクササイズをまた採用しようと思います。
 

  

kureai-di-1.jpg■ルコント監督の次回作、人生で一番大事に思っていることは?

 
―――次回作について教えてください。
ルコント監督:12月31日にフランスで公開される『Une heure de tranquillité』です。フランスでの宣伝があるので、京都からとんぼ返りしなくてはなりません。そして私の一番大好きな脚本書いて撮影する時期に入るのです。
 
ずっと私のキャリアでは色々なことをやってきましたが、色々なことにチャレンジするのはいつも覚醒状態にいたいからです。監督が退屈していたら、観客はもっと退屈するはずですから。次回作は『Une heure de tranquillité』は『暮れ逢い』と真逆で、とても軽やかでスピーディーな作品です。一人の主人公はレアものレコードのコレクターで、ある日レコード屋でずっと昔から探していたレコードに出くわし、家に戻ってレコードを聴こうとするのですが、たった1時間レコードを聴くだけの時間をなかなか見つけられないのです。映画のタイトルの邦訳は「1時間の休息」で、現代社会はスピーディーに流れていて、レコードを聴くほんの1時間もとれないことを揶揄しています。
 
―――ルコント監督が人生の中で一番大事だと思うことは何ですか?
ルコント監督:私が思う世界で一番大切なことは他者を尊重する、リスペクトするということです。それ以上大事なことはありません。もし世界中の人々がそのことを心にとどめて生きていれば、戦争もテロも飢えで死ぬ人もおらず、バイオレンスにあうこともないでしょう。
 
(江口由美)
 
★第6回京都ヒストリカ国際映画祭 公式サイトはコチラ
★『暮れ逢い』は、2014年12月20日(土)~シネスイッチ銀座、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次公開
★公式サイト⇒ http://www.kure-ai.com/
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