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『娚(おとこ)の一生』

 
       

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作品データ
制作年・国 2014年 日本
上映時間 2時間
原作 西 炯子(「娚の一生」小学館 フラワーコミックスα刊)
監督 廣木隆一
出演 榮倉奈々、豊川悦司/安藤サクラ、前野朋哉、根岸季衣、濱田マリ、木野 花/向井理
公開日、上映劇場 2015年2月14日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、イオンシネマ京都桂川、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー

 

~お祖母さんの元カレと恋!? あり得ない!
  でも、トヨエツならあり得るかも!~

 

恋に疲れた女が出会った男は、なんとお祖母さんの元カレというからびっくり!
深く傷ついた女が新しい恋を踏み出すのに慎重になるのは当然だが、そんな女性の不安を少しずつ解消していってくれる優しい映画が『娚の一生』だ。恋する条件として、まず「信頼できる人?」、「手料理を美味しく食べてくれる人?」、「自分にないものを持っている人?」、「一緒にいて安心できる人?」、「自分にしか見せない何かを秘めている人?」「責任感のある人?」――と、本気モードに至るまでのプロセスを分かりやすく物語ってくれる。何と言っても相手がトヨエツとあらば、より説得力があるというもの!
 

不倫の果て心身共に傷付いたつぐみ(榮倉奈々)は、仕事を辞め祖母の住む田舎へと帰ってくる。ところが、祖母が亡くなり、その葬儀の翌日、染色家だった祖母の教え子だったという海江田醇(豊川悦司)が現れる。祖母から離れの鍵を預かっていた海江田は、厚かましく屋敷に居着くようになり、つぐみが作った料理を食べ、勤務先の大学へ通う生活を送る。かつて祖母に憧れた海江田は未だに独身で、つぐみに祖母の面影を見出すと同時に、つぐみを失恋の痛手から救おうと懸命になる……。
 

otokonoishou-2.jpg『きいろいゾウ』や『100回泣くこと』で100回ムカついた私は、廣木隆一監督の映画はもうパスしようかと思っていたが、榮倉奈々と豊川悦司が歳の差カップルを演じるとあって、興味津々で拝見――もう文句なしの爽快ラブストーリーだ!地方を舞台にしていることもあって、絵になる長身の二人の美しい描写や、風情豊かな田園風景の中で常に風を感じさせる演出など、とにかく爽やか! 公開中の『さよなら歌舞伎町』は廣木監督の特徴が活かされた秀作だと思うが、本作はそれとは違った世界観で、落ち込んだ女性を掬い上げるようなユーモアと明快さで共感をよぶ。


ヒロインつぐみを演じたのは、『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』でオトコマエな片思い女性を好演していた榮倉奈々。上半身裸になる行水のシーンで見せた健康的だがイマイチ色気の足りない背中からは彼女のウブさが感じられる。それをフォローするに余りあるトヨエツの大人の色気に、つぐみならずともメロメロになりそうだ。厚かましいくらい押しが強いが、節度ある態度で順を追って彼女の心を解きほぐしていく。その包容力と、言うべき時にちゃんと言える毅然とした態度に、男らしい頼もしさを感じさせる。


何と言っても、関西弁を喋るトヨエツのカッコいいことこの上ない! 厳しい表情のハードな役も素敵だが、『今度は愛妻家』(‘10)のようなどこか肩のチカラの抜けたコミカルでスキのあるトヨエツが好きだ。52歳という海江田醇と同じ年齢のトヨエツが、細身の白シャツと黒のパンツに下駄履きというスタイルで魅了する。 特に後姿がいい。あの歳であんなにカッコよく背中で語れる人は他にいない。原作者の西炯子さん廣木監督も、「この役を演じられるのは豊川さんしかいない!」と思ったらしいが、誰もが納得するキャスティングだ。


otokonoishou-3.jpg後半、つぐみの不倫相手として向井理が登場するが、あの向井理をもってしても海江田醇ことトヨエツの方が素敵だと思わせる。これは、すっかり海江田醇への信頼を確かなものにした“廣木流マジック”のせいだろうか? 男を魅力的に見せる手腕に、まんまとはまってしまったようだ。 こんなトヨエツに魅了されるひとときこそ、至福の時と言えるだろう。ああ、また見たくなってきた!

(河田 真喜子)


★豊川悦司&廣木隆一監督の舞台挨拶レポート⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://otokonoissyou-movie.jp/

© 2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会

 

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