「京都」と一致するもの

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『旅立ちの島唄 ~十五の春~』吉田康弘監督インタビュー
 

(2013年 日本 1時間54分)

監督・脚本:吉田康弘
出演:三吉彩花、大竹しのぶ、小林薫

2013年5月25日(土)~梅田ガーデンシネマ、神戸国際松竹、6月22日(土)~京都シネマ

公式サイト⇒  http://www.bitters.co.jp/shimauta/

(C)2012「旅立ちの島唄~十五の春~」製作委員会


 

~親が子を思い、子が親を思う気持ちが凝縮~


simauta-2.jpg 沖縄本島から東へ360キロ、那覇から飛行機で約1時間、船で13時間かかる南大東島。人口約1300人の島には高校がない。15の春を迎えた子ども達は、皆、家族と離れ、旅立たなければならない。“ボロジノ娘”は、島に実在する少女民謡グループ。毎年3月4日にボロジノコンサートが行われるが、中学を卒業する娘たちは、島の人達を前に「アバヨーイ(八丈島の方言で“さようなら”の意。卒業の春に父母へ贈る感謝の島唄)」という別れの唄を歌いきって、島を出ていく。主人公仲里優奈はボロジノ娘のメンバーの一人。島でさとうきび畑を営む父、優奈の姉や兄の高校進学とともに那覇に行ったまま島に帰ってこない母。15の春を迎えるまで1年間の優奈の成長を、父と娘の関係を軸に、家族の姿とともに描いていく珠玉の人間ドラマ。公開を前にキャンペーンで来阪した吉田監督からお話をうかがった。

 


 

◆映画づくりのきっかけ

simauta-s1.jpgQ:南大東島を舞台にした映画をつくることになったきっかけは?
A:プロデューサーから、南大東島のドキュメンタリー番組を観てほしいと言われ、観てみると、とても興味深く、番組の最後のコンサートで、女の子が島唄「アバヨーイ」を歌い、両親や島の人達がじっと聴いている場面があり、これは映画にできる題材だと思いました。言葉で説明しなくても伝わる、いいシーンがみえてきて、映画になるなと思い、自分で脚本を書きました。

◆主演の三吉彩花さんについて

Q:主人公の仲里優奈に三吉さんをキャスティングしたのは?
A:島の女の子ということで、繊細でナイーブな子、いまどきの子というよりは奥ゆかしく、内に秘めたタイプにしたいと思っていました。三吉さんは自分の内なる世界をきちんと持っていて、たたずまいといい、ぴったりでした。彼女が15歳の春になる瞬間の、今しかできない芝居を映したいと思い、撮影時期も、実際に彼女が中学を卒業したばかりの2012年GWになりました。

Q:ラストで島唄「アバヨーイ」を歌っている三吉さんの美しさは輝くようでした。いろんな経験を重ね、1年でどんどん美しくなっていきますが、その魅力はどうやって引き出されたのですか?
A:三吉さん自身が初めて主役をやるというプレッシャーを乗り越えていく過程と、主人公の優奈が成長していく過程がリンクしたと思います。「アバヨーイ」という唄に向き合うことがそのまま彼女にとっては役に向き合うことだったので、歌いきった時には、ひとつ壁を乗り越えたと思います。本人は、このシーンにすごくプレッシャーを感じていたようで、途中で悔し泣きをした時もあり、僕達も最後まで歌えるかなと思ったこともありましたが、十五歳なりに女優魂を発揮して、頑張ってくれました。三線(さんしん。沖縄の撥弦楽器。三味線。)も演奏して、あの独特な節回しの島唄もしっかり最後まで歌ってくれて、たいしたものだと思いました。

Q:「アバヨーイ」は一曲分丸ごと映像を使っていますね。
A:撮影の時は、1曲全部使うかどうか決めていませんでした。でも編集の時に、これは途中で切れないなと、島唄は歌詞が非常に意味深くて、一部だけを選択することはできず、全部使いました。

◆ベテラン俳優の小林薫さん、大竹しのぶさんについて

simauta-3.jpgQ:優奈の両親を演じた小林さんと大竹さんのキャスティングは?
A:小林さん、大竹さんとも、シナリオを書く前から想定していました。二人に出演を断られたら、企画自体を潔く諦めるくらいの覚悟で、シナリオがラブレターになればいいなと思って書きました。大竹さんとは前作の『キトキト!』(07年)に主演してもらいましたし、シナリオさえよければきっと出演してくれるというプロデューサーの言葉を信じて、シナリオを持って行って、感想を聞かせてくださいとお願いに行きました。

今回、僕達は、できるだけドキュメンタリーに近い、人間が匂い立つような、日々の暮らしを見つめる映画にしたいと考えていました。オーバーな表現のセリフは削除していこうという方針でやっていたのですが、役者さん向けについ見せ場を用意してしまっていて、そういうところをもっとそぎ落とせるんじゃないかと小林さんから指摘していただいたりして、僕達が目指すものをさらに背中を押してくれるような前向きなご意見をいただき、一緒に父親像をつくっていった感じです。

◆映画のテーマ「家族」について

Q:監督の前作『キトキト!』では母と息子、今回は父と娘です。監督にとって、家族は大きなテーマなのですか?
A:自分の手に届く範囲の題材として、家族というのは身近です。背伸びしたものをつくるよりは、自分が表現できるものということで、家族をテーマにした映画がたまたま続きました。今回、父と娘にしたのは、母と娘なら、母は娘に触れることができます。たとえば髪の毛を触ったり、言葉も交わしやすい。でも15歳という年頃の娘を持った父親は、娘とも距離ができ、気安く触ることもできません。そういう“言葉ではないもの”を切り取りたいと考え、父と娘の話になりました。

Q:父が娘を黙って見ているシーンが多く、心に迫ってきました。
A:言葉をできるだけ少なくして、目線とか表情で伝えることを、小林さんと一緒に模索していきました。作劇におちいらないよう、そこに父親が存在しているということを、表現できるよう徹しました。

simauta-s2.jpgQ:小林さんが、この映画について、父と娘、現代場小津安二郎を観ている気持ちになったとパンフレットでコメントされていますね。
A:全く意識していたわけではありません。でも、離島で生きている家族の姿は、家族の原点というか、今、忘れかけている家族の何かを感じさせることが多いとわかってきました。離島には、“別れ”という通過儀礼があるからこそ、相手への思いやりが極まる瞬間があります。今回、そういう家族の絆の純粋性、親と子が互いを思いやるということを題材に、描くことができました。それがたまたま、かつて日本の家族を撮った当時の映画の匂いに近かったのではないかと思います。家族への思いは、何かきっかけがないとなかなか芽生えません。今の日本でテーマにしづらいのは、今の家族にそういう場面がなくなってきているからかもしれません。

Q:大竹しのぶさんは出番が少なかったですが、母親として存在感がありました。
A:島を出たまま帰ってこれなくなった人達もいて、そういう島のネガティブな側面、「島の宿命」もきちんと描きたかったので、大竹さん演じる母親に体現してもらいました。映画の中では直接描かれてはいませんが、母親がこれまでに背負ってきた時間の流れというものも踏まえて演技していただき、難しい芝居で、大竹さんしかできる人はいないと思いました。

◆映画のもう一つのテーマ「距離感」について

Q:「距離」というのは?
A:高校生の子ども達がいる沖縄本島と、両親が暮らす島とは360キロ離れています。離島はまわりが海なので、さらに距離を感じると思います。でも、子どもが島を出て行ったことによって、逆に、親子の心理的な距離は近づいたと感じる家族もいます。毎朝、子どもにモーニングコールをしたり、なんでもない時に電話をかけて声を聞いたりしているのです。かたや、家の中にいて毎日顔をあわせても、なんだか距離のある親子、家族もあります。物理的な距離と、気持ちの上での距離とは、必ずしもイコールにはならないと思い直しました。この映画がそういう家族のあり方を見つめ直すきっかけになればいいと思います。

Q:優奈と初恋の少年とが少し距離を置いて向き合って挨拶する姿を、引いた画でとらえたショットが印象的でした。
A:あの距離感ですね。シネスコサイズの画面の端と端に人を立たせて、最初に出会った時の二人にはこんな距離感があるということを表現する意味で、そういう構図にしました。この構図のショットは、他にも何度も入れていて、姉が帰ってしまい、父と娘が台所に立っている時も、二人を画面の両端に立たせています。この映画のもう一つのテーマは“距離”です。だから、そういう構図は、意識的に使うようにしました。

◆島の風景について

Q:日本の昔の田舎の風景を観ているような感じがしました。
A:南大東島のパノラマ観をスクリーンで表現するために、できるだけ引きの絵、広い絵を見せていこうと思い、劇場で観た時に、わっと広がる感じを出したくて、シネスコサイズにしています。画面の半分は空、半分はさとうきび畑みたいなパノラマ観をできるだけ出したいと思いました。

Q:海をバックに優奈が三線を弾いている場面は、いろいろなことが煮詰まってきて初めて、優奈と海が一緒に映っているという感じがしました。
A:南大東島は地形がすり鉢状になっているので、島のまん中にいると海が見えません。どこまでも大地が続いているような錯覚がして、北海道にいるように見えます。でも、海側にいくと、北大東島は見えますが、それ以外は360度、海ばかりです。本土の沖縄と遠く離れていることを実感します。優奈が海に向かって一人で三線を弾きながら歌うシーンは、彼女がこの島を出て行くことを、卒業コンサートの直前になって、あらためて強く意識し出した頃と考えて、撮った場面です。

Q:本土の緑とは色が違うと思いましたが、島の風景は、実際にその季節に撮ったのですか?
A:南大東島は二毛作をやっているので、さとうきびの生長の違いで、一年を表現することができました。さとうきびが生い茂って高くなっている畑と、植えたばかりの丈が低い畑と、使い分けています。農家の方にお願いして、畑の一角を刈りとらずに、映画撮影のGWまで待ってもらいました。収穫時期は1月から3月初旬頃までで、早朝とともに仕事を始め日暮れた後まで、集中的に一気に刈ります。雨が降らない日はすごく忙しいです。

◆島の人達の協力について~島全体が“撮影所”~

simauta-s3.jpgQ:2週間で撮影されたというわりに、一年間がとても丁寧に描かれていて、驚きました。
A:南大東島に渡ってから、ロケ自体は2週間、那覇でもロケは5日間ほどやっています。大事なのは準備です。撮影が始まるまで、島の人達と何度もコミュニケーションを重ね、お酒も飲み交わし、一緒に映画をつくってくださいとお願いして、撮影にのぞみました。島の人達には、相当の負担をかけたと思います。

僕だけでなくプロデューサーや製作の人達も、撮影が始まる1か月前から島に住み始め、下準備をしました。僕も何度も取材を兼ねて、島にはできるだけ通わせてもらいましたが、やはり東京から来た人間ということで、最初は警戒されて、打ち解けるまでに時間がかかりました。でも、いざ味方になってくれたら、本当に心強い人達で、島の人達がいなかったら映画なんてつくれないと思いました。島全体が“ひとつの撮影所”みたいな感じでした。エキストラが急に要るとか、急に雨が降ったから家の中に入ると、その家の人も協力してくれたり、急に晴れたから屋外のシーンを撮ることになったら、エキストラの方々をもう一度電話で呼び集めてくれたり、村営放送で、予定を変更して何時から何番のシーンを撮影しますと流して、皆を集めてくれたりもしました(笑)。

Q:島を出て行く子ども達の乗った船を見送るシーンとか、島の人達に臨場感がありました。
A:毎年、島の人達が経験している場面ですから、皆よくやってくれました。島の婦人会や青年会といった人達にはできるだけシナリオをお渡しして、エキストラという扱いではなく、出演者、スタッフという考え方で接しました。島のエキストラの方々にしても、ただ座っているだけでなく、絶対何かやってくれます。というのも、映画で描いていることは、島の人達自身が経験したことのある場面ばかりだからです。実際に子ども達を見送ったことがある親御さん達は、子ども達が乗った船を見送るシーンでは本当に涙を流していました。今どういう場面を撮っているか、できるだけ説明して、ただ意味もなく座っている人は一人もいないよう、皆、主人公の仲里優奈の15年間を知っている島の人という設定ですから、島の人たちも自ら乗って演じてもらえるよう、できるだけ細かくシーンの説明をしました。撮影現場では気付けませんでしたが、編集の時になって、島の人達のいい表情にたくさん気付かされ、「このおばあ、こんな顔してたんだ」とか、「このおじい、こんなしみじみしたいい顔してくれてるな」というのがいっぱいあって、島で撮った甲斐があったと感じ入りました。

Q:島の方言そのままだと、観客にはわかりにくいですが、あえて字幕はつけなかったんですね。
A:島の方言をどこまでやるのか、字幕をつけるかつけないか、という問題は、最初にありましたが、わからなくても大丈夫、伝わるはずという自信過剰なところがあって(笑)僕は、字幕は要らないという考えです。

南大東島は、東京の八丈島からきた人達が開拓した島です。だから八丈の言葉が残っていて、それは、沖縄の人達もわかりません。島で普段しゃべっている言葉は沖縄の言葉ですが、南大東島ならではの単語が少し残っていて、そういう言葉は島唄に取り込まれて残っています。

◆「十九の春」について

Q:優奈が失恋に近いかたちで島に帰ってきたところに「十九の春」という歌が流れますね。
A:映画の副題は『十五の春』なので、「十九の春」という歌とも何かリンクするものがあり、観客の皆さんもきっとこの歌を思い浮かべるかなと思い、それならいっそこの歌を使おうということになりました。歌詞もわりと場面にリンクしていて、シナリオ段階から入れていました。「十九の春」は、元々女性と男性のデュエットの返し歌で、映画では、女性が歌う部分の歌詞しか使っていません。

Q:優奈が失恋して家に帰ってきて、お風呂に入るというのは監督の思いつきですか?
A:お風呂に入って、手の傷が水にしみて、「あぁ終わったんだな。もううまくいかないんだ、私達」と、優奈があらためて思う場面をつくりたかったんです。沖縄では、お風呂に湯をはって湯船に浸かることは滅多になく、ほとんどシャワーという家庭が多いです。沖縄の映画スタッフには、20数年間湯船に入ったことがないという人もいました。だから、浴槽に湯をはるということが、父親のさりげない優しさを伝える表現になればいいかなと思い、このシーンをつくりました。

Q:順撮りですか?
A:完全な順撮りではありませんが、たとえば、正月の初詣の帰りに、父と娘が二人並んでさとうきび畑を歩いてくるワンカットは、父親と娘の距離感を伝える大事なシーンなので、二人の間に距離感が生まれていないと撮れません。だから撮影の後半で撮りました。そういうなにげないけれど大事な場面こそ、雰囲気が出てしまうので、極力、撮影を後半に持っていきました。

Q:先行上映がされた沖縄本土の人達の印象はどうでしたか?
A:南大東島のことは、知っていても、行ったことがない人がほとんどで、沖縄でもどこか忘れられているような存在でした。他の島と比べて、地理的にも全然違う場所にぽつんとあるので、行きづらいようです。全く島のことを知らず、この映画を観て初めて知ったという意見も多かったです。

Q:最後に観客の皆さんにメッセージを一言、お願いします。
A:この映画では、沖縄の南大東島の離島で生きる小さな家族の生活を丁寧に描きました。離島で生きている人々の苦しみや喜びや葛藤を描くことによって、家族の絆を見つめた映画になっています。この映画をとおして、観客の皆さんご自身の家族のありかたを少し考えていただけるきっかけになればいいなと思います。


 娘は、島に一人で残す父のことを思い、父は、旅立っていく娘のことを思う。その思いが最後の島唄「アバヨーイ」で交錯し、凝縮する。近年、親子の関係をここまで率直にまっすぐ見つめ直した作品も、なかなかないと思う。なかでも小林薫がいい。思春期の娘を持ち、言葉をかけたくてもかけにくい。一定の距離を保ちながら、静かに娘を見守る父の深い愛情が、寡黙なありようからにじみ出る。優奈の淡い初恋、島を出た母を慕う気持ちと裏返しの嫌悪感、優奈を慕う男の子の不器用な恋、母が娘を大切に思う気持ち、いろんな人のいろんな感情が島の美しい自然の中で奏でられていく。

 親のない子はいない。親への感謝の気持ちは、誰もが抱く共通のもの。最後の「アバヨーイ」をぜひ劇場で聴いてください。吉田監督の脚本、演出の腕は見事で、今年公開予定の『江の島プリズム』も楽しみだ。

(伊藤 久美子)

 

hajimari-s550.jpg映画『はじまりのみち』日本映画界が誇る!! 原×細田×樋口3監督が映画への思いを語る

『はじまりのみち』
監督・脚本:原恵一
出演:加瀬亮 田中裕子 濱田岳 ユースケ・サンタマリア、宮﨑あおい
企画、制作、配給:松竹

201361日(土)~全国ロードショー 

★作品紹介⇒ こちら

★公式サイト⇒ http://www.shochiku.co.jp/kinoshita/hajimarinomichi/ 

(C2013「はじまりのみち」製作委員会

 『二十四の瞳』『喜びも悲しみも幾歳月』など数々の名作を生み出し、日本映画の黄金期を代表する木下惠介監督は、21才で松竹蒲田撮影所に入所し、31才で監督デビューするまでの下積み時代を、東京・蒲田で過ごしました。生誕100年を記念して製作された映画『はじまりのみち』は、木下監督の戦時中の実話をもとに母子の情愛を描いた物語。『河童のクゥと夏休み』『カラフル』といったアニメーション作品で高い評価を受け、同監督を敬愛する原恵一監督が初めて手がけた実写映画としても注目されています。

 つきましてはこの度、映画『はじまりのみち』の完成を記念し、原監督をはじめ、『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』などで知られるアニメーション映画監督の細田守氏、実写や特撮、アニメなどの幅広い分野で活躍する映画監督の樋口真嗣氏をパネリストに迎えた本日のシンポジウムが開催されました。



【シンポジウム概要】

 実施日:512日(日)1525 場所:東京工科大学蒲田キャンパス3号館地下1 片柳記念ホール(東京都大田区西蒲田5-23-22

パネリスト:原恵一監督 細田守監督 樋口真嗣監督(以上3名予定) コーディネーター:濱野保樹(東京工科大学メディア学部教授)



【シンポジウム内容抜粋】試写会終了後に実施 一般のお客様の前にて

濱野:細田さんと、樋口さんは原監督の初実写映画をご覧になっていかがでしたか?

hajimari-s3.jpg細田:原監督のアニメのファンでずっと見ていたのですが、実写をやると聞いて若干不安に思うところもありました。アニメとは勝手が違うため、原さん独自のテイストが無くなってしまうと思ったからです。実際に出来上がった作品を見てみると、静かだけど力がある寸分違わぬ原恵一スピリットが作品全体に漂っていて、安心しました。

樋口:僕は撮影現場を見に行った時に安心しました。スタッフが監督を愛していて、みんなで支えている感じがしたからです。見学したとき、リヤカーが出発するところのシーンだったのですが、もう少し待つと日が射すから待とう、という時の現場がとても良い雰囲気でした。贅沢な製作環境では無かったと思うが、適格な画作りと芝居がリッチで、河原でのやり取りが特に好きです。あとは、宮﨑あおいさんがとても良かった。“学校の先生”という役での、望遠での横顔が雄弁に語っているな、と思いました。

濱野:初実写映画ですが、実写を撮りたいという思いは前からあったのですか?

原:前向きにどうしても撮りたい、という感じではありませんでした。ただ、木下監督に光を当てたいとずっと思っていた自分の想いに嘘をつきたくなくて、今回引き受けました。今回の映画は、当初脚本のみでの参加予定だったのですが、やるしかないなと思い、自信は無かったのですが、自ら監督をやってみようと手を挙げ挑戦しました。

濱野:実写映画を撮影するにあたってアニメと違った点、苦労された点はどこですか?

hajimari-s1.jpg原:アニメは机に向かっての1カット1カット積み重ね。実写は大変な撮影のシーンの際に、スタッフからの要望があった時だけ画コンテを作成する、という感じでした。カット割りもカメラマンさんに頼っていました。実写はアニメと違って天候の影響も受けるので、そういう意味では大変でしたね。雨降らしも初めて体験したのですが、冬の山での雨降らしは俳優さんもブルブル震えながらの撮影で、現場は殺気立っていましたね(笑)撮り終えてからは、アニメーションと同じ作業でした。映画になっていない場合、アニメは画をイジれるけど実写ではできない。『はじまりのみち』は撮り足す必要もないくらい、ちゃんと映画になっていたので、良かったです。今回、実写とアニメの違いは本当に感じました。実写は撮影が終わるまでずっと走り続けている感じでした。 

濱野:原監督は今後も実写を撮るのでしょうか?

原:そう簡単ではないので、調子に乗って実写にも!という気持ちはありません。
細田:原監督が実写にいくと、毎年原監督の作品が見られますね!(アニメの製作期間が実写よりも長いため。) 

濱野:3人にとっての「はじまりのみち」、映画人としての挫折と再生を教えてください。

樋口:僕は、自分の仕事を俯瞰してみれないタイプ。本能で突き進む事が多いので、もう少し俯瞰してみた方が良いかなと。映画を監督するってこういう事なんだなとこの映画を見て気づかされました。映画を作るのは良い事だなと思いました。

細田:実は僕自身、劇中の映画の中と気持ち的には同じ体験をした事があります。作品を作っている最中に、母が倒れてしまい、更に諸事情で映画が出来なくなった事がありました。看病しろと言っていた母が、看病に戻ってみると一から全部無しにして実家に戻るのはありえない、と母に言われました。『はじまりのみち』の内容が自分の体験とそっくりで、当時の自分を見ているような気分になりましたね。

原:映画監督の話なので自身と重ね合わせて書いてた気もします。この仕事が出来た事も運命的。毎日ブラブラしている時にこの依頼が来ていなかったら関われていたどうかわからないですし。偶然なんだけど、違う何か運命めいたものも感じます。 

濱野:『はじまりのみち』をご覧になった会場の皆様、これからご覧になる皆様へのメッセージをお願いします。 

hajimari-s2.jpg樋口:初めて見てから2か月、思い出してもじわじわ来る。田中さんのラストシーンで空を見上げて泣くシーン等を思い出すとグッときますね。10年後見たとしても良い映画。そして明らかに10年後、20年後に残る映画だと思います。会場にいる方は試写会でタダでご覧になったという事なので、最低でも5人以上に進めてください(笑)

細田:木下惠介監督生誕100年記念映画と聞いて、ビビッている人もいるかもしれませんが、気にしなくて良いと思います。若い人や生きている中で停滞感を感じている人、モヤモヤしている人がこの映画を見てまた「はじまりのみち」へ踏み出す事が出来るかもしれない。そういった意味で若い方がたくさん見て頂くと有意義じゃないかと思います。そしてご覧になることで、木下惠介監督の映画を見たくなる、という見方で良いのではないかと思います。

原:初めて実写で監督をして、この歳でこんなにたくさん初めての経験、プレッシャーを感じる事があると思ってなかったです。やれてよかった。出来上がった作品も似たような作品が思い当たらないので、木下惠介監督作品のような過激な作品に出来たのではないかと思っています。今日の話を聞いてもう一度確かめたいと思った方は、ぜひ劇場に足をお運びください。



【パネリストのプロフィール
原恵一(はら けいいち)
1959年生まれ。群馬県出身。PR映画の制作会社を経てアニメ制作会社に入社し、「エスパー魔美」をはじめ数々のアニメの演出を手掛ける。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(01)、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(02)は、第6回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞や第57回毎日映画コンクール・アニメーション映画賞など多数の賞を受賞。その後も『河童のクゥと夏休み』(07)やアヌシー国際アニメーション映画祭で特別賞と観客賞を受賞した『カラフル』(10)など精力的に作品を作り続け、国内外で高い評価を得ている。『はじまりのみち』で実写初監督を果たした。

細田守(ほそだ まもる)

1967年富山県出身。91年東映映画(現・東映アニメーション)入社。アニメーターとして活躍後、演出家に転向。その後フリーとなり、『時をかける少女』(06)、『サマーウォーズ』(09)を発表。両作品とも国内外で多数の賞を受賞し、2010年ベルリン国際映画祭にも正式招待された。2011年には自身のアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立。自ら監督・脚本・原作を手掛けた最新作『おおかみこどもの雨と雪』(12)では、興行収入42.2億円、観客動員数344万人を超える大ヒットを記録し、第36回日本アカデミー最優秀アニメーション作品賞を受賞した。
樋口真嗣(ひぐち しんじ)
1965年生まれ。東京都出身。『ゴジラ』(84)に造形助手として参加。特撮監督を担当した『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)で日本アカデミー賞ほか数々の賞を受賞。以降『平成ガメラ3部作』すべてに携わり、絶大な支持を集める。『ローレライ』(05)で長編映画監督デビューし、大ヒットを記録。その他の監督作に『日本沈没』(06)、『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(08)。犬童一心監督と共同監督した最新作『のぼうの城』(12)で日本アカデミー最優秀監督賞を受賞した。

 


 

『エンド・オブ・ホワイトハウス』試写会プレゼント(5/26〆切)

eow-4.jpg・日時:2013年6月3日(月) 
    18:00開場/18:30開映
・会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
・募集人数: 10組 20名様
・締切:2013年5月26日(日)

★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://end-of-whitehouse.com/ 
 
2013年6月8日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー


 

  世界の中枢、地球上最強のセキュリティを誇る ホワイトハウス 陥落  

7月5日独立記念日の翌日、テロリストの陸空同時の奇襲により占拠され、そこは敵を守る【難攻不落の要塞】と化す。

一瞬にして世界の平和と人類の命が人質になった時、たった一人の男が、侵入に成功する-----

3月22日に全米公開され、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』を凌ぐオープニング成績、2013年公開のアクション映画としては週末興行収入第1位の大ヒットスタートを記録。世界で最も安全だったはずの建物を舞台に、かつて類を見ないリアル感と臨場感をもって描かれる奇襲と攻防、そして宿命の救出。それが『トレーニング デイ』のアントワーン・フークア監督、『300/スリーハンドレッド』『オペラ座の怪人』のジェラルド・バトラー主演最新作、スペクタクル・エンタテインメント『エンド・オブ・ホワイトハウス』だ。

【鉄壁の要塞】ホワイトハウスが、たった13分で占拠され、15分後には敵を守る【難攻不落の要塞】となった。前代未聞のテロを遂行したアジア人テロリストの要求は二つ。「日本海域からの米国第七艦隊の撤収」「核爆弾作動コードの入手」。

大統領を人質に取られたうえ、特殊部隊の突入も失敗、ペンタゴン最高司令部は絶望的な苦境に立たされる。
 誰もが諦めかけたその時、一人の男が内部への侵入に成功する。かつて大統領専任のシークレット・サービスとして活躍していたが、大統領夫人の命を守れず、今やデスクワークになり下がっていたマイク・バニング。
彼に託せるのか?逡巡するペンタゴンにバニングは告げる---「必ず、救出する」“タイムリミット”が刻一刻と迫る中、ただ一人、巨大な要塞の“深部”へと向かう。テロリストに隠された真の目的がある事を知らずに・・・。


監督:アントワーン・フークア (『トレーニング・デイ』『ザ・シューター/極大射程』) 

出演:ジェラルド・バトラー(プロデューサー兼任)(『300 スリーハンドレッド』『オペラ座の怪人』)、モーガン・フリーマン (『ダークナイト ライジング』)、アーロン・エッカート( 『世界侵略/ロサンゼルス決戦』)、アンジェラ・バセット、メリッサ・レオ、アシュレイ・ジャッド、 リック・ユーン、ラダ・ミッチェル

2013年/アメリカ/原題:OLYMPUS HAS FALLEN  
©OLYMPUS PRODUCTIONS,INC

 

 

Itaria2013-500.jpg今年もG.W.は イタリア映画が熱い!

~日本劇場未公開の最新のイタリア映画13本を一挙上映!~
いよいよ開幕、今年も約20名の来日ゲストが決定!

★座談会の模様は⇒こちら
★開会式と作品紹介は⇒こちら

★『赤鉛筆、青鉛筆』ジュゼッペ・ピッチョーニ監督トークは⇒ こちら
★『それは息子だった』ダニエーレ・チプリ監督トークは⇒ こちら


会期:4月27日(土)~29日(月・祝)
5月3日(金・祝)~ 6日(月・休)
会場:有楽町朝日ホール(千代田区有楽町2-5-1 マリオン11階)

<イタリア映画祭2013大阪>~日本劇場未公開作品7本を上映~
会期:5月11日(土)~12日(日)  
会場:ABCホール(大阪市福島区福島1‐1‐30)

「日本におけるイタリア年」をきっかけに2001年春に始まった「イタリア映画祭」は、今年で13回目を迎えます。多くの映画ファンやイタリアファンの皆様に支持され、毎年1万人を超える観客が訪れるゴールデンウィーク恒例の大きな映画祭に成長しました。この映画祭での上映をきっかけに、『人生、ここにあり!』『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』『ゴモラ』『ポー川のひかり』『湖のほとりで』など多くのイタリア映画が日本で一般公開され、ヒットしてきました。
今回は2011年以降に製作された新作13本を上映、『司令官とコウノトリ』出演俳優のジュゼッぺ・バッティストンや『素晴らしき存在』のフェルザン・オズペテク監督など、総勢約20名の来日ゲストが登壇して開会式や舞台挨拶、座談会を予定、イタリア文化を満喫出来るイベントになります。
俳優と監督は、4/29(月・祝)の座談会に出席するほか、座談会終了後にはサイン会も予定。また、4/27(土)~4/29(月・祝)まで、それぞれの作品の上映後に質疑応答を予定しています。

★来日ゲスト(予定)★
◎『司令官とコウノトリ』出演:ジュゼッぺ・バッティストン Giuseppe Battiston
一度見たら忘れられない大柄な体で、ありとあらゆる役を難なくこなすイタリア映画界きっての名脇役。本映画祭で上映された『ラ・パッショーネ』『考えてもムダさ』などで、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の助演男優賞を3回受賞している。

◎『それは息子だった』監督:ダニエ―レ・チプリ Daniele Ciprì
2004年に本映画祭でも上映された『カリオストロの帰還』以降は、主に撮影監督として活躍し、『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』でイタリアの主要な賞を総なめにする。本作で、満を持して長編劇映画に久々に復帰した。

◎『綱渡り』監督:イヴァーノ・デ・マッテオ Ivano De Matteo
俳優やドキュメンタリーの監督を務める一方で、劇映画でも前作「La belle gente」が高い評価を受け、着実にステップを踏んできた。現代のイタリア社会の深刻さを真っ向から見すえた本作は、ヴェネチア国際映画祭で称賛された。

◎『日常のはざま』監督:レオナルド・ディ・コスタンツォ Leonardo Di Costanzo
本作は初の劇映画になるが、今まで活動してきたドキュメンタリーの経験が色濃く反映されている。映画の舞台となるナポリの子どもとワークショップを重ねたことで、思春期特有の心の揺れを捉えることに成功している。

◎『家の主たち』監督:エドアルド・ガッブリエッリーニ Edoardo Gabbriellini
『ミラノ、愛に生きる』でティルダ・スウィントンと恋仲になるシェフ役をはじめ、俳優としてのキャリアが長い。本作は、カンヌ映画祭の批評家週間に選ばれた初監督作から約10年ぶりとなる第2作で、豪華キャストが息の合った演技を見せる。
 


■上映作品■
A 『家への帰り道で』エミリアーノ・コラピ監督/2011年/83分/Sulla strada di casa (Emiliano Corapi)
B 『天国は満席』カルロ・ヴェルドーネ監督/2012年/119分/Posti in piedi in paradiso (Carlo Verdone)
C 『素晴らしき存在』フェルザン・オズペテク監督/2012年/105分/Magnifica presenza (Ferzan Ozpetek)
D 『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督/2012年/129分/Romanzo di una strage (Marco Tullio Giordana)
E 『家の主たち』エドアルド・ガッブリエッリーニ監督/2012年/90分/Padroni di casa (Edoardo Gabbriellini)
F 『それは息子だった』ダニエーレ・チプリ監督/2012年/90分/È stato il figlio (Daniele Ciprì)
G 『ふたりの特別な一日』フランチェスカ・コメンチーニ監督/2012年/89分/Un giorno speciale (Francesca Comencini)
H 『日常のはざま』レオナルド・ディ・コスタンツォ監督/2012年/90分/L’intervallo (Leonardo Di Costanzo)
I 『綱渡り』イヴァーノ・デ・マッテオ監督/2012年/100分/Gli equilibristi (Ivano De Matteo)
J 『赤鉛筆、青鉛筆』ジュゼッペ・ピッチョーニ監督/2012年/98分/Il rosso e il blu (Giuseppe Piccioni)
K. 『来る日も来る日も』パオロ・ヴィルズィ監督/2012年/102分/Tutti i santi giorni (Paolo Virzì)
L 『司令官とコウノトリ』シルヴィオ・ソルディーニ監督/2012年/108分/Il comandante e la cicogna (Silvio Soldini)
X 『リアリティー』マッテオ・ガッローネ監督/2012年/115分Reality (Matteo Garrone) 特別上映作品

会期・会場:4月27日(土)~29日(月・祝)、5月3日(金・祝)~ 6日(月・休)
有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン11階)
主催:イタリア映画祭実行委員会、イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
特別後援:イタリア共和国大統領 後援:イタリア大使館 協賛:シティカードジャパン株式会社、フィアット クライスラー ジャパン、
フェラガモ・ジャパン株式会社、株式会社紀尾井コーポレーション 協力:バリラ ジャパン株式会社、アリタリア-イタリア航空
公式サイト:http://www.asahi.com/italia/2013/

一般の方のお問合せ:050-5542-8600(ハローダイヤル:~4月26日、4月30日~5月2日)/03-3213-0339(会場、会期中のみ)
※ 前売り券販売開始は3月20日(水・祝)10:00から
※ 前売り一般1,400円/学生・60歳以上1,300円、当日一般1,600円/学生・60歳以上1,500円

<イタリア映画祭2013大阪>~日本劇場未公開作品7本を上映~
会期:5月11日(土)~12日(日) 会場:ABCホール(大阪市福島区福島1‐1‐30)


■関連情報■ 今年は、過去のイタリア映画祭で上映された作品が数多く公開されます。
・『ある海辺の詩人-小さなヴェニスで-』アンドレア・セグレ監督/3月16日から、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
・『海と大陸』エマヌエーレ・クリアレーゼ監督/4月6日から、岩波ホールほか全国順次公開
・『ブルーノのしあわせガイド』フランチェスコ・ブルーニ監督/4月13日から、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
・特集上映「Viva !イタリア」6月29日から、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
『最後のキス』ガブリエーレ・ムッチーノ監督/『もうひとつの世界』ジュゼッペ・ピッチョーニ監督/『ハートの問題』フランチェスカ・アルキブージ監督

 

 天使の分け前-550.jpg

『ルート・アイリッシュ』、『麦の穂をゆらす風』、『エリックを探して』のケン・ローチ監督の笑えて泣ける人生応援ムービー、『天使の分け前』が4月13日(土)から公開されるのに合わせて、うれしいキャンペーンが行われる。

タイトルとなっている『天使の分け前』とは、「ウイスキー醸造樽で毎年2%ほど蒸発して失う」ことを意味するウイスキー用語。この物語では、人生の敗北者になりかけた若い主人公が、ウイスキーの利き酒の才能を見い出されたことから、思わぬ大勝負に出る様子が描かれ、ウイスキー醸造所でのエピソードや樽ごとオークションのシーンも登場する。

日本バーテンダー協会ほかのご協力で、下記リスト掲載店舗で配布中の店名ハンコ入りチラシをシネ・リーブル梅田の窓口に持参すると、一般のみ当日料金より200円割引で鑑賞できる(1枚で2名様まで)。ウイスキーの魅力がいっぱい、そして人生の大逆転劇に感動の『天使の分け前』をたっぷり楽しんでほしい。

<ストーリー>
スコッチウイスキーの故郷スコットランド。ケンカ沙汰の絶えない若き父親ロビーは、刑務所送りの代わりに社会奉仕活動を命じられる。そこで出会ったのが指導者でありウイスキー愛好家であるハリーと、同じ境遇の仲間たち。ハリーにウイスキーの奥深さを教わり、これまで眠っていた“テイスティング”の才能に目覚めたロビーは、100(・・・)万ポンド(・・・・)以上もする樽入りの超高級ウイスキーに人生の大逆転を賭け、仲間たちと一世一代の大勝負に出る!

監督:ケン・ローチ『ルート・アイリッシュ』『麦の穂をゆらす風』『エリックを探して』
脚本:ポール・ラヴァティ
出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショー『エリックを探して』、ガリー・メイトランド『明日へのチケット』、ウィリアム・ルアン『SWEET SIXTEEN』『明日へのチケット』、ジャスミン・リギンズ
2012年/イギリス・フランス・ベルギー・イタリア/1時間41分/英語/原題:The ANGELS’ SHARE/日本語字幕:太田直子
提供:角川書店、ロングライド 配給:ロングライド 宣伝:ムヴィオラ 後援:ブリティッシュ・カウンシル
2013年4月13日(土)~銀座テアトルシネマ、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、4月20日(土)~京都シネマ ほか全国順次公開
公式サイトはコチラ
作品レビューはコチラ


★チラシ配布店舗

店名 住所 電話
BAR CADBOLL 大阪市中央区石町2丁目2-20 近松ビル1F 06-6944-2918
DramHouse THE ROOT 大阪市天王寺区上汐3-1-3 1F 06-6773-6331
BAR 中村 大阪市北区堂島1-2-25谷安フォースビル2階 06-6342-6342
BAR the monarch 大阪市都島区片町2−7−25アンシャンテビル南側入り口 06-6358-8210
BAR PREMIER 大阪市北区曽根崎新地1丁目2-20 ノースタウンビル2F 06-6343-8611
BAR Hardi 大阪市北区曽根崎新地1丁目10-22 ミヤプラザ6F 06-6343-2100
THE BAR ELIXIR K 大阪市北区堂島1丁目2-9 06-6345-7890
OPEN DOOR B2 大阪市北区梅田1丁目3-1 大阪駅前第一ビルB2F 06-6341-8601
BAR Leigh 北新地 大阪市北区曽根崎新地1丁目3-28 谷安レジーナビル6F 06-6348-1007
Bar CENDRILLON 大阪市北区豊崎5-2-18 ワークビル北梅田 B1F 06-6376-0077
BAR AUGUSTA 大阪市北区鶴野町2-3アラカワビル1F 06-6376-3455
BAR BLOSSOM 大阪市北区曽根崎2-1-6太洋ビル1階 06-6311-6530
BAR ALBA 大阪市北区天神橋4丁目 10-22千寿ビル2階 06-6881-5123
BAR K 大阪市北区曽根崎新地1-3-3  好陽ビル B1F 06-6343-1167
HARBOUR INN 大阪市北区芝田1丁目3-7 マルシェ芝田3F 06-6371-8009
Dining Bar Beso 大阪市北区曽根崎新地1丁目2-12 橘ビル4F 06-6345-3838
THE BAR OSAKA 大阪市北区曽根崎新地1-7-9 エスパス北新地11-1F 06-6341-2319
ザ・テンプルバー 大阪市北区曽根崎新地1-1-17、バーボンストリートビル1F 06-6344-0996
わか屋 大阪市北区曽根崎新地1-7-5、三友ビル4F 06-6341-2133
Bar みとう  大阪市中央区東心斎橋1-18-2、心斎橋山本ビル1F 06-6245-1358
Bar Whiskey 東心斎橋 大阪市中央区東新s内橋1-8-13、ブラビビル1F 06-6251-2530
IRISH BAR GATBY 大阪市西区京町堀2-3-4、サンヤマトビル2F 06-6447-8133
ギルビヰ 大阪市北区曽根崎新地1-14-7、小西ビル1F 080-5356-6959
スタンドバー洋燈 大阪市西区京町堀2-13-5、Proto2 2F 06-6447-5699
メジャーカップ 大阪市西区2-3-4、サンヤマトビル2F 06-6447-1538
クルラホン 大阪市北区曽根崎新地2-2-5 06-6344-8879
BAR JURA  大阪市北区兎我野町12-15丸一ビル1F 06-6361-1158
Kokon(バー ココン) 大阪市北区堂山町7-16喜多八ビル1F 06-6362-1158
Whisky Cat 堺市北区中百舌鳥3丁358-1 ライフステージ村田Ⅷ 1F 072-259-8667

 

 

yakusoku-s550.jpg『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』樹木希林、齊藤監督舞台挨拶
 (2013年3月30日(土)第七藝術劇場にて)

yakusoku-1.jpg(2012年 日本  2時間)
監督・脚本:齊藤潤一 
出演:仲代達矢、樹木希林、天野鎮雄、山本太郎
ナレーション:寺島しのぶ 
3月30日~第七藝術劇場、4月13日~神戸アートビレッジセンター、5月18日~京都シネマ
★公式サイト⇒http://www.yakusoku-nabari.jp/
(c)東海テレビ放送

1961(昭和36)年に三重県名張市で起きた「名張毒ぶどう酒事件」の犯人として投獄され、獄中から無実を訴え続けている奥西勝死刑囚の半生を、ドキュメンタリー映像を交えながら描いたドラマ。
 村の懇親会で、毒入りぶどう酒を飲んだ女性15人のうち5人が死亡。奥西は、三角関係を清算するため、ぶどう酒に農薬を入れたと一度は犯行を自白するものの、逮捕後、一貫して警察に自白を強要されたと主張。一審は無罪、二審で死刑判決、1972(昭和47)年最高裁で死刑が確定。事件から51年余り、奥西は、何度棄却されても諦めることなく再審請求を続ける…。

yakusoku-2.jpg仲代達矢が奥西を演じ、息子の無実を信じ続ける母タツノを樹木希林が演じた。製作陣は、ドキュメンタリー「司法シリーズ」を手がけてきた東海テレビ。事件発生当初から取材を続けてきた記録、証言を再検証し、みごたえのある作品となった。タイトルの約束とは、1987年から奥西の支援を始めた人権団体の川村(天野鎮雄)が、ようやく再審開始の決定がなされた2005年、面会室でガラス越しに奥西(仲代達矢)と手を合わせ「今度は晴れて、塀の外で握手しましょう、お互いしぶとく生きましょう」と約束をしたところからくる。このシーンで初めて見せる仲代の笑顔が印象的だ。
関西での公開初日、樹木希林さんと齊藤監督が舞台挨拶に立った。上映後には、樹木さんが「どんな感じでしたか」と満席立ち見の客席に問いかけ、次々と手が挙がり、興味深い質疑がなされたので、併せてご紹介したい。


【上映前】
yakusoku-s1.jpg監督: 「名張毒ぶどう酒事件」といっても、ご存知でない方が多いと思います。事件から52年になり、奥西さんは未だ獄中にあります。冤罪だと確信して、この作品をつくりはじめました。こういう一人の男の生き方があるというところを観てほしい」
樹木: 「この作品では、奥西さんのお母さん、タツノさんが(ドキュメンタリー部分で)出てきます。本当の母親を観ていただいた時、いかに役者の力量がないかが歴然とわかり、役者としては、恥をさらすような仕事でしたが、事件のもつ意味合いを考えると、やはり関わらせていただいてよかったと思います。15歳になる孫、男の子ですが、初回の上映を観て、今までたくさん映画を観てきたけれど泣いたことはなく、初めて泣いたそうです。いいものかわるいものかわかりませんが、何かに心打たれたんだと思います。作品は押し付けるものではありません。ただ、こういう現実があると観ていただければと思います」
監督:「ドキュメンタリーとドラマを融合した少し変わった映画だと思います。仲代達矢さんと樹木希林さんと、日本を代表する大御所俳優の演技を観て、たっぷりいろんなことを感じて観終わってほしいです」
樹木: 「撮影前に、インフルエンザA型にかかって、もう撮影現場の名古屋には行けないんじゃないかと思いましたが、大勢のスタッフが困りますし、インフルエンザを隠してマスクをして行きましたが、誰にも移りませんでした(笑)。この事件に関わった人たちの本当の顔をぜひ観てください」

【上映後の観客との質疑】
yakusoku-s2.jpgQ: 「人の命がかかっていることについて、裁判所は何をみているのか、憤りを感じました」
樹木: 「私がもし裁判官で、病気の子どもを抱えてたりしたら、出世とかいろいろ考えた時、どうするのか。自分が同じ立場に立ったとしたら、ちゃんと生きれるのか、自分自身が問われているような気がしました。村の人達も証言をころころ変えていますが、もし自分がその立場だったらどうなのか。齊藤監督らが、高みに立ってつくっていないからこそ、人に伝わっていくんじゃないかと思います」

Q:「奥西さん本人も含めて、あの状況で頑張って生きておられることに感心しました」
監督:「奥西さんは名古屋拘置所にいましたが、今は体調を崩して八王子の医療刑務所にいます。再審開始の取消しが決定された2012年5月以降、一口も食べることができず、点滴だけで生きている状態です。でも、なんとか生き続けて冤罪をはらしたいという気持ちは持っておられると聞いています」
樹木: 「時期を逸しても生き続けるというか、結果がすべてOKとはならなくても、奥西さんが生きたということによって、そこに関わった人達や、映画を観てくださった方々が、学んだり、成長したり、何かを受け止める、大きなメッセージになったのではないかと思います。冤罪をはらしたいという、ただその一念だけになってしまうと、まわりも当人も苦しくなります。だから、とにかく生きたことの意味はあるというふうに私は受け止めるように考えています」

yakusoku-s3.jpgQ:「奥西さんには子どもが二人いて、息子さんは62歳で亡くなられたとテロップにありましたが、取材はされたのですか」
監督:「死刑囚の息子と娘ということで、本当につらい人生をずっと送ってこられたと思います。だから、もちろん父親に対する思いというのはあるのですが、面会を重ねることで、今度はご自分の家族が石を投げられたりすることがあり得るので、父親とも距離を置かれているようでした。私も取材を申し込みましたが、『家族のいる身なので、取材は受けられない』とのことでした」
樹木: 「お墓でさえ疎外されたのですから、映画に子どもの映像や意見が出てこないというのは、それだけで、関係者として生きていくのがどんなに大変なことか、おしはかれますよね」

Q:「事件があった村の慰霊碑を訪れましたが、よそ者は立ち入れない雰囲気がありました。この映画が、まわりの方々の心をほぐし、奥西さんを助けてほしいと思いました。まだ何人か生きている村の方々のうち誰かが…と願いました」
樹木: 「この映画を観た私達も、事件当時、ああいうふうにせざるを得なかった、誰かを犯人にしてどうにか解決せざるを得なかったという、村の人達の気持ちをはかるようにしていくしかないんだなと思います」


yakusoku-3.jpg会場からの「希林さん、ぜひこれからも頑張ってください」とのエールの言葉に、樹木さんがにっこり微笑んで「そうもいかないのよね、病気を抱えて、もう70歳超えてね」とおどけて答えた後、「がんを告白してから、「大変ですね」とか「病気は大丈夫ですか」と言うわりには、皆さん、こきつかうんですよね(笑)。いい意味で生きていきたいと思います」と話されたのが印象に残った。作品についての感想をざっくばらんに観客に求め、意見交換しながら、当意即妙な答えで、会場の笑いをとったり、共感の輪を広げていく姿はさすがで、偉ぶらないお人柄がすてきだった。作品への深い理解に女優魂の懐の深さを感じ、印象深い取材になった。
(伊藤 久美子)

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『ベルヴィル・トーキョー』エリーズ・ジラール監督インタビュー

(原題:BELLEVILLE TOKTO)
(2011年 フランス 1時間15分)
監督:エリーズ・ジラール\
出演:ヴァレリー・ドンセッリ、ジェレミー・エルカイム

★東京:渋谷シアター・イメージフォーラム⇒2013年3月30日~5月10日
『フレンチ・フィーメイル・ニューウェイブ』上映スケジュール⇒http://mermaidfilms.co.jp/ffnw/schedule.html

★大阪:梅田ガーデンシネマ⇒2013年4月20日田ガーデンシネマサイト⇒ http://www.kadokawa-gardencinema.jp/umeda/
『フレンチ・フィーメイル・ニューウェイブ』公式サイト⇒ http://mermaidfilms.co.jp/ffnw/

★5月16日(土)~京都みなみ会館にて公開

(C)Paolo Woods


 

~男の嘘を見抜く時、女は空っぽの心と決別する~

 

bel-2.jpg 妊娠を機に心が離れてしまった夫と別れを決意するまでの妻の心の軌跡を描いた『ベルヴィル・トーキョー』。冒頭、「他に好きな女がいる」と言い放った夫ジュリアンを駅のホームで悲痛な表情で見つめる妻マリー。夫婦という親密な時を過ごした2人の関係が破綻した瞬間である。その後男は心を入れ替え、「僕も父親になりたい」と言って女の元に戻るが、次第に大きくなるお腹と共に募る夫への不信感。愛が失せたと実感する瞬間、瞬間を細やかに捉えた映像は、グレイッシュな冬の光がマリーの孤独を際立たせるように美しく映えて秀逸。

 主演は、昨年公開の『私たちの宣戦布告』で、自らの体験を基に、子供の難病に向き合った夫婦をスタイリッシュでパワフルに描いたヴァレリー・ドンセッリとジェレミー・エルカイム。元夫婦ということで、これ以上はないキャスティングである。監督は、“シネフィル”を尊重するエリーズ・ジラール監督。本作が長編デビュー作となる。


 

 bel-s1.jpgお花見にはまだ遠い春の嵐が吹き荒れる3月半ば、キャンペーンのため来日したエリーズ・ジラール監督は、初来日ということもあって京都観光の前に来阪し、インタビューに応えてくれた。折り紙で鶴を折ってくれる11歳の息子がいるという。主演のヴァレリー・ドンセッリとジェレミー・エルカイムの息子と同じ歳だ。監督自身が妊娠している時もシングルだったそうだが、この映画の主人公マリーとは違って、「愛の決別」という切羽詰まった状況ではなかったという。それにしても、妻の元から逃げるように心が離れてしまう夫の様子が、マリーの目を通して実感できる、ある意味怖い映画である。


 

――― 劇中『イノセント』が使われているが、ルキノ・ヴィスコンティは好き?
大好き! 彼のエレガントな世界観で描かれる人間ドラマが好きです。

――― 『イノセント』には子供を殺すシーンがあったが、夫ジュリアンが意図的に選んだのか?
それほどはっきりと意図したものではないが、彼は子供は要らないという気持ちであることを表現したかったのです。

bel-4.jpg――― マリーがジュリアンとの決別を決意するまでを描いているが、マリーの心の変化をポイントポイントで表現したシーンが素晴らしかった。特にバス停のシーンとか、ベルヴィルで彼を発見するシーンとか。これらは経験から?
それらのシーンは、映画が持っている大きな特質だと思って下さい。何を描くか、その意図が濃密に集約しているのが映画のシーン作りだからです。だらだらと流れる日常を集約すると、こうしたシーンが生まれたのです。映画が成功するかどうかは、場面にメリハリを付けることが大事です。転換シーン毎に濃密なシーンを表現することが映画の基本だと考えています。

――― 監督と女優としての視点の違いは?母親としての仕事のやり方に違いは?
監督としても女優としてもビジョンの違いはそうは無いように思います。自分が母親になって何が変わったかというと、まず時間効率を考えるようになりました。子育てはとても時間がかかるので、以前より物事をダイナミックに効率良く動くことを考えるようになりました。

――― ヴァレリーさんも子供のスケジュールに合わせて仕事をするようになったと仰ってましたが?
私自身も子供の時間割に合わせて自分の仕事を調整するようになりました。以前は、シナリオを書くにしてもインスピレーションが浮かんだらいつでも書くというようなライフスタイルでしたが、今では子供が8時半に学校へ行くので、8時45分からシナリオを書く、という時間割を決めています。その分エネルギッシュになってきて、子供に時間をとられる分、どこかで時間調節しなければならないので、効率的になってきました。

bel-3.jpg――― 映画館の事務所で、マリーがふて腐れて悪態ついているシーンがとても面白かったが、あのシーンは笑いを狙っていたのか?またその理由は?
あのシーンは笑ってもらおうと考えいてました。悲劇的なシリアスドラマであっても「笑い」という味付けがあってもいいと思います。電話が鳴っても誰も出ない。あのぶっきら棒な態度がいい。従順な人より、そうでない人の方が好きなんですよ(笑)。

――― 曇り空などの光の具合がとても美しいと思ったが…デジタル化についてどう思う?
撮影監督がレナート・ベルタという世界でもベストテンに入るような人で、最も信頼できるキャメラマンです。初めてデジタルを取り入れた人でもありますが、彼が撮るデジタル映像は素晴らしく、私自身はデジタルは大嫌いですが、彼の映像は大好きなんです。フランスではもうフィルム上映できる映画館がないので、仕方なくデジタルを使用しています。デジタル映像は完璧すぎて、画像としての魅力に欠けます。フィルム映像はデジタルとは比較にならない程素晴らしいと思っています。

bel-s2.jpg――― 衣裳・カラーについて?
最初は衣裳係に依頼して揃えてもらったのですが、実際には現場で私が選んでいました。主人公マリーにはあまり目立つような恰好は合わないと思ったので、衣装だけが浮いて目立つようなことはしたくなかったのです。そこで、主人公マリーの心情とヴァレリーとの統一感を出すために、ヴァレリーと私のワードローブの中から選んで着たものもあります。エレガントでちょっとファッショナブルな感覚が出せたらいいなと思ってそうしました。


 

 桜色のスカーフをプレゼントしたら、早速首に巻いて、ニコニコしてインタビューに応えてくれたエリーズ・ジラール監督。そのキュートなイメージとは違って、表面的なスタイルより、「何を描くか」という本質を踏まえた、厳しい映像作りをしている。無駄なものを削ぎ落としたような人物像は、心情を端的に捉えて分かりやすい。シンプルな造形の中にも、彼女ならではのこだわりの映像美学が見て取れる作品となっている。パリはカルチェラタンにある名画座系映画館で働いていた経験もあり、とにかく世界中の映画をよく見ている映画ツウでもある。

(河田 真喜子)

『藁の楯 わらのたて』試写会プレゼント(4/3〆切)

wara-1.jpg・日時:2013年4月11日(木) 
    18:00開場/18:30開映
・会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
・募集人数: 5組 10名様
・締切:2013年4月3日(水)

 ★大沢たかお、三池崇史監督完成披露試写舞台挨拶⇒ こちら
公式サイト⇒ http://wwws.warnerbros.co.jp/waranotate/index.html

 
2013年4月26日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー


 

【STORY】

前代未聞の新聞全面広告に、日本中が揺れた! 広告主は巨額の資産を持つ財界の大物・蜷川。
幼い孫娘を惨殺した男、清丸の首に懸賞金を懸けたのだった。命の危険を感じた清丸は、潜伏先の福岡で出頭する。全国民の殺意が向けられる中、48時間以内に清丸の身柄を警視庁に移送するため、5人のSPと刑事が選ばれた。護衛対象は“人間のクズ”。命懸けの移送が始まる…。一般市民、警察官、機動隊員までもが執拗に命を狙ってくる。見えない暗殺者から逃げる為、護送車、救急車、新幹線と次々と移動手段を変えても、なぜか、ネット上のキヨマルサイトには移送チームの居場所が更新されてしまう。
いつ?誰が?何処から襲い掛かってくるか分からない、誰が裏切り者がわからない極限の緊張状態が続く・・・。
はたして、人間のクズを命懸けで守る事に価値はあるのか?それが“正義”なのか?SPチームは無事に清丸を警視庁に移送することが出来るのか?物語は誰も予測出来ない衝撃のクライマックスを迎える!

【キャスト】 大沢たかお ・ 松嶋菜々子 ・ 岸谷五朗 ・ 伊武雅刀 ・ 永山絢斗 ・ 余貴美子 ・ 藤原竜也 ・ 山﨑努
【監 督】 三池崇史                      
【原作】 木内一裕「藁の楯」(講談社文庫刊) 
【主題歌】 「NORTH OF EDEN」 氷室京介       【配 給】 ワーナー・ブラザース映画
【公式サイト】 www.waranotate.jp                       【キヨマルサイト】 www.kiyomaru-site.jp

『舟を編む』試写会プレゼント(3/23〆切)

funeamu-1.jpg・日時:2013年4月1日(月) 
    18:00開場/18:30開映
・会場:御堂会館
〒541-0056 大阪市中央区久太郎町4-1-11
    TEL(06)6251-5820(代表)
    FAX(06)6251-1868
    地下鉄御堂筋線本町駅8号出口南へ200m
    地下鉄中央線本町駅13号出口南へ50m  
・募集人数: 5組 10名様
・締切:2013年3月23日(土)

 公式サイト⇒ http://fune-amu.com/

 
2013年4月13日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー


【作品紹介】
~2012年本屋大賞第1位! 58万部突破!~
ベストセラー早くも映画化!

  
言葉と人への愛を謳う、感動エンタテインメント、誕生!

原作は「まほろ駅前多田便利軒」で第135回直木賞を受賞、今もっとも新刊が待ち望まれる作家のひとりである三浦しをんの同名小説。現在発行58万部を突破、今年一番売れた文芸書となりました。人と人との思いをつなぐ“言葉”というものを整理し、意味を示し、もっともふさわしい形で使えるようにするもの――辞書。本作はその辞書【舟】を編集する=【編む】人たちの、言葉と人への愛を謳う、感動エンタテインメントです。

<ストーリー>
出版社・玄武書房に勤める馬締光也は、営業部で変わり者として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える能力を買われ、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書「大渡海」を編む仲間として。
定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、次第に辞書作りに愛着を持ち始めるチャラ男。個性派ぞろいの面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。
そして出会った、運命の女性。だが言葉のプロでありながら、馬締は彼女に気持ちを伝えるにふさわしい言葉がみつからない。問題が山積みの辞書編集部。果たして「大渡海」は完成するのか?そして、馬締の思いは伝わるのだろうか? 


出演:松田龍平 宮崎あおい オダギリジョー 黒木華 渡辺美佐子 池脇千鶴 鶴見辰吾
   宇野祥平 又吉直樹(ピース) 波岡一喜 森岡龍 斎藤嘉樹 /  麻生久美子
   伊佐山ひろ子 八千草薫 小林薫 加藤剛
原作:「舟を編む」三浦しをん(光文社刊)  脚本:渡辺謙作
監督 石井裕也
製作:「舟を編む」製作委員会
製作プロダクション:リトルモア フィルムメーカーズ 特別協力:株式会社三省堂 三省堂印刷株式会社  
配給:松竹 アスミック・エース     fune-amu.com   (C)2013「舟を編む」製作委員会 

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『ジャンゴ 繋がれざる者』レオナルド・ディカプリオ緊急来日記者会見

《概要》
日 程:3月2日(土)
会 場:東京ミッドタウン ホールA(港区赤坂9-7ミッドタウン・イーストB1F
登壇者:レオナルド・ディカプリオ 

 

《マスコミ》
ムービー:20
スチール:60
記者:200

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《イベントの模様》
クエンティン・タランティーノ監督初の西部劇にしてラブ・ストーリー=『ジャンゴ 繋がれざる者』。今週日本時間の25日(月)に発表されたアカデミー賞で、脚本賞(クエンティン・タランティーノ)、助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)の2部門に輝いた本作ですが、アメリカでは昨年1225日に公開、タランティーノの前作『イングロリアス・バスターズ』の記録を超えるタランティーノ史上最大のヒットとなりました。そして、日本では昨日31日に公開され、大ヒットを予感させる好スタートを切っています。日本でのそんな大ヒッもちろん『レザボア・ドックス』以降20年来のタランティーノファンからの支持はもちろんですが、今回初の悪役に挑戦したこの方の熱演を観たいというファンも数多く劇場に駆けつけてくれたからです。それでは、さっそくお呼びいたしましょう。レオナルド・ディカプリオさんです!

 

・日本のファンへ一言ご挨拶を
レオ:日本に戻れて嬉しいです。日本が大好きです!

Django-4.jpg・あなたが演じたカルビン・キャンディは、あなたにとって初の本格的悪役であることはもちろん、ハリウッド映画史上でも類を見ない芯からの悪人です。このような役、しかも主役ではない役を自分からやりたいと言ったと聞きましたが、どう興味もって、出演を決心されたのか、その経緯を教えてください。
レオ:僕は常に革新的な仕事をしている監督と仕事をしたいと思っている。だからタランティーノとはずっと仕事がしたいと思っていたんだ。たとえどんな役柄でも。タランティーノとは過去に何度か話す機会があったけれど、この作品は南北戦争直前の、アメリカ人が触れたくない時代を描いている。脇役といっても南部の腐敗の象徴のようなキャラクターで、社会的な影響も含めて、色んな側面を描いているんだ。そしてタランティーノはまるで脚本から飛び出してくるようなキャラクターを書いている。ハリウッドでこの脚本が回ったとき、とにかくみんなショックを受けた。こんなの読んだことない!ってね。ぜひともその一部になりたいと思ったし、これはアメリカが過去に振り返って鏡を覗くような大事なプロジェクトだと思ったんだ。

・タランティーノ監督のアカデミー脚本賞おめでとうございます。本当に強烈なキャラクターとディカプリオさん始め彼らが放つセリフに圧倒されました。あなたが初めて脚本を読んだときのことと、タランティーノ監督との初仕事がどんなものだったかお聞かせください。
レオ:タランティーノは監督であると同時に脚本家でもある。カルビン・キャンディというキャラクターに対してどういう方向付けにするのか色々とやりたいことが生まれてきて、彼には早いタイミングでアイディア出しをしたんだけれど、それに対して信じられない程素晴らしいモノローグをたった数日間で書き上げてくれたんだ。スティーブンという黒人に育てられているにも関わらず、彼らを人間として扱わない。カルビンは当時の環境や時代の産物とも言える嫌な奴だけれど、何か正当化する理由がないといけないと思って、そこで「骨相学」提案したよ。無知なのにえせ科学者のように物を言う、2ページに及ぶモノローグだったけれど、あれはタランティーノが天才である証だね。

Django-k2.jpg・骨相学のシーンで実際に怪我をしたと聞きました。撮影中大変だったエピソードは?
レオ:自慢をしているように思われたくないのだけれど・・・質問をされたので言います。先ほど話した2ページほどのモノローグという長いシーンは23日かかったのだけれど、他のキャラクター達を威嚇するためにテーブルをバンバンたたいていたんだ。するとあるときシェリーグラスの上に手が当たって柄の部分が手に刺さってしまったです。そのとき思ったのは、まず第一に「痛い」、そして次に「このシーンを使ってもらえたら最高だなぁ」。そのまま演技は続けたから、柄の部分が手に入ったままで、テーブルも血に染まっていって、ジェイミー(・フォックス)の顔は「ええー」となっているし、タランティーノもレンズから目を離して大丈夫かなとちらちらと見ていたよ。後で数針縫わなければいけなかったけれど、実際に使われたんだ。ある意味俳優としてはハッピーだったね。血だらけの手でブルームヒルダの顔を触るという画が撮れたし、後には包帯を巻くということもリアルに出来たしね。

・ナイスガイなディカプリオさんですが、この悪役を演じる上でどのように役と向き合った?
レオ:この役は非常に酷い、憎むべき人物だ。今まで演じたどのキャラクターより忌むべき人物だね。だからこそやりたいというのが半分。それからここまで大胆不敵な人物だと人の気持ちを考えなくても良いし、自己陶酔してその時の勘で自由に演じられるから、ある意味開放感を感じるんだ。そういう意味では楽しかったよ。よく俳優は一番楽しい役柄は悪人と言うけれど、そういう理由ですよね。

・今回の来日でやりたいことは?
レオ:京都には5回行っているんだけれど、日本に来るのは本当に楽しみ。以前両親を連れて行ったんだけど、とにかく大好きな街で、両親は僕のことを寺院マニアと呼んでいるよ。ガイドがヘトヘトになるくらい、一日に5箇所くらい寺院に行くんだ。日本の文化が大好きで、もう中毒のようなものだね。京都のような古い街に行くと映画の中に入ってタイムスリップしたような気持ちになるんだ。現実世界とは完全に離れて、そういう気持ちになれるのはすごく楽しいね。

・『リンカーン』への出演を迷っていたダニエル・デイ=ルイスの背中を押したのはあなただと伺いました。俳優同士にはそういった関係があるものかと思うのですが、あなたにも仕事を選ぶ上で頼りにしている友達はいらっしゃいますか?
レオ:俳優同士でのそういった会話は確かにありますね。ダニエルには・・・これを話すとマーティン・ルーサーキングかと言われると思うけれど、、、ある夢を見たんです。「あそこにリンカーンがいると思って近づくと・・・ダニエルだった。見るととても役に入りきっているから声をかけないほうがいいな、と思いそもまま僕は去った」という内容の。その夢を見たことを彼に話してそれがきっかけになっているようなんだけど、だから誰かが演じるのならば彼しかいないと思うし、そのために生まれてきたといっても良い人だと思う。僕は芸能界で育ってきたので相談できる友達はたくさんいます。トビー・マグウワイアもその一人。それに夢とかちょっとした昼寝をきっかけに行動することも多いんです。『ウォール街の狼』もスコセッシと映画を撮っている夢をみて、それを彼に話したところ本当に演じることになりました。

・好きな悪役は?
レオ:いっぱいいますね。うーーん。。選ぶのは難しいな。参考にしたのは『トゥルー・ロマンス』のゲイリー・オールドマン、『トゥームストーン』のバル・キルマーのふたり。今まで観てきたいろんな悪役を凝縮したのがキャンディかもしれない。好きな悪役は・・・あまりにも多すぎて難しいけれど、一人挙げるとするならば『羊たちの沈黙』のアンソニー・ホプキンスかな。でも彼はある意味ヒーローだね。

・休業されることが話題になっていますが、今後はどのように活動されるのでしょう?
レオ:ちょっとしたことを言っただけなのに、印刷されると時に違う意味にとられてしまうことがあります。あのとき僕が言ったのは、2年間で3本出演したのでちょっと休憩するというつもりだったんだ。大好きな俳優業をやめるつもりは全くないよ。休んでいる間は、情熱を注いでいる環境問題や慈善事業をやっていきたいと思っています。象牙のための象の乱獲を止められるよう、政府に象牙の売買をやめさせるよう訴えたり、自分が貢献できることならやりたいと思っているよ。トラブルにならないで、良い意味で時間を使える自分にとっても良い時間の過ごし方なんだ。みなさんもぜひ興味をもってくれたら嬉しいです。

 

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