

“シーツ”に胸キュン!? 岩田剛典&高畑充希『植物図鑑 運命の恋,ひろいました』舞台挨拶
(ゲスト:岩田剛典(EXILE、三代目J Soul Brothers)、高畑充希)
(2016年5月21日(土)なんばパークスシネマにて)
『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』
■2016年 日本 1時間52分
■原作:有川浩(「植物図鑑」幻冬舎文庫)
■監督:三木康一郎 脚本:渡辺千穂
■出演:岩田剛典(EXILE、三代目J Soul Brothers)、高畑充希、阿部丈二、今井華、谷澤恵理香、相島一之、酒井敏也、木下隆行、ダンカン、大和田伸也、宮崎美子
■公開:2016年6月4日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー
■作品紹介⇒こちら
■公式サイト: http://shokubutsu.jp/
■コピーライト:(C)2016「植物図鑑」製作委員会
「僕を拾って下さい」「6か月だけ置いて下さい」と謎の多い樹(いつき)との期間限定の同居は、さやかの渇いた日常に新鮮な風を吹き込む。樹が教える多様な植物への関心の高まりは、さやかの恋心を成長させていく。童話のようなシンデレラ・ストーリーだが、そこには「純粋な気持ちだけが本物の関係性を創り出す」という愛を生み出す秘訣を優しく教えてくれる。樹が作る野草を使った数々の料理を美味しそうに食べるさやかの素直な心根もまた、樹の秘めた志を後押しする。そんな二人を見ているだけで、リフレッシュするようだ。
6月4日公開の『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』の先行上映会がなんばパークスで開催され、上映後に樹(いつき)を演じたEXILE、〈三代目J Soul Brothers〉の岩田剛典と、さやかを演じたNHK朝の連続ドラマ『とと姉ちゃん』主演で大活躍の高畑充希が登壇。映画を観た直後とあって、まさにスクリーンから主役の二人が飛び出してきたような興奮と熱気に包まれた。
最初に、岩田が「今日は短い時間ですけれども、よろしくお願いいたします。」と挨拶し、岩田の一挙手一投足に黄色い歓声が上がった。それに対し、高畑は「すみません!今日はよろしくお願いいたします。」と、恐縮気味に挨拶した。また、大阪出身の高畑の「なんばパークスにはよく来てました」に対し、「お帰り!」という歓声が客席から上がった。岩田は大阪の印象について、「友人が大阪にいるのでよく来ています。大阪のお客さんの熱気は日本一ですね。圧が凄いし熱いですね」。
――― 初主演、初共演のお二人ですが、お互いの第一印象は?
岩田:高畑さんはテレビでよく拝見してましたので、「テレビによく出てる人!」という印象。テレビのイメージと同じ、明るくて楽天的でポジティブシンキングな人。最初は緊張していたのですがすぐに馴染めて、仲良く撮影させて頂きました。
高畑:私も「テレビで踊ってる人だ。本物?」と。テレビでバリバリに踊っている姿しか見てなかったので最初は身構えていたんですが、マイペースだし、天然だし…私もマイペースなので、スケジュールはタイトだったのですが、撮影はとてものんびりと進められましたね。
――― 撮影の合間にはどう過ごされていたのですか?
岩田:ずっと二人で喋ってましたね。この作品を観て頂ければお分かりだと思いますが、殆ど二人しか登場しないし、喋る相手が二人しかいない状態でした。他愛ない話をずっとしてました。
高畑:喋り倒して、喋ることもなくなってまた喋るという繰り返しでした。ロケ先では、笹船作ったり、シャボン玉で戦ったりして遊んでました。
岩田:自然と戯れてましたね。
――― キュンキュンくるシーンは?
岩田:逆に皆さんにお聞きします。一番キュンキュンしたシーンは?
観客: 「ひきがねのシーン!」「シーツのシーン!」などなど。
岩田:やっぱり「シーツ」か…納得です。
高畑:やっぱシーツですね。このシーンを撮った時は撮影も後半に入っていて、みんなあまり眠れてなくてナチュラルハイの状態でした。ですから、「恥ずかしい」という思いはあまりなかったです。でも、半年後に試写を二人並んで観たら、「どうしよう、このシーン」て急に心配になってきました。
岩田: 「これはオレじゃない」と思うようにしました。
高畑:かなり照れくさいので、私も「これは私じゃない」と思うようにしました。
――― 役作りは?
岩田:この役は、監督やプロデューサーの方たちと相談していろいろ決めていったのですが、最終的には「岩田君のままでいいよ」と仰って下さいまして、ほぼ僕のまんまで演じました。ただ、料理をするシーンは、普段あそこまで料理しないので猛特訓しましたね。フライパンや中華鍋に刻んだ発泡スチロール入れてフライ返しの練習してました。
――― 地道に努力されてたんですね?
岩田:撮影は去年の6~7月に行われ、当時はよく自炊してましたが、1年近く経って、元の僕に戻ってしまいました。
――― 食べるシーンも、とても美味しそうに食べておられましたが?
岩田:冒頭のお腹空かせて最初にカップラーメン食べるシーンでは、30分で5杯くらい食べましたよ!1日の塩分量を軽く超えてましたね。監督に「もっといって、もっといって」と言われ、麺が大きく映ってましたね。
高畑:岩田君の最初のカップ麺を食べる演技に感化されて、自分も本気で食べなきゃと、夜中の撮影でもガッツリ食べてました。それにお料理が美味しかったんです。
――― 特に美味しかったのは?
高畑: 「蕗ご飯」をお釜からしゃもじで直接食べるというのが、特に美味しかったです。
岩田:僕は「のびるのパスタ」です。
――― 関西でデートに行くならどこへ行きたいですか?
高畑:中崎町ですね。ちょっとレトロな雰囲気の中を手をつないで歩きたいです。
岩田:僕はUSJですかね。今年も友達と行ったんですが、男3人でミニオンズの恰好して、ミニオンズのポップコーン食べながら歩きました。ですから、ミニオンズの恰好してデートしたいですね。
ここでサプライズ! なんと観客にも撮影OKが出され、1分間の撮影タイムが設けられた。SNSなどでPR拡散を呼びかけられた。
最後に岩田から、「皆さん楽しんでくれましたか?」と問いかけられると、「イエーイ!」と大歓声。続けて、「初めての主演ということで人生のターニングポイントになる作品ができたと思っています。いろんな感想があると思いますが、先程撮って頂いた写真と共に一人でも多くの方に薦めて頂きたいです。今日は本当にありがとうございました。」と、舞台挨拶を締めくくった。
(河田 真喜子)
「阪本」と「藤山」で“SF映画”です!?『団地』爆笑記者会見
『団地』
■(2016年 日本 1時間43分)
■脚本・監督:阪本順治
■出演:藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工 ほか
■公開情報:2016年6月4日(土)~有楽町スバル座、シネ・リーブル梅田、TOHOシネマズなんば、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国ロードショー
■作品紹介⇒ こちら
■公式サイト⇒ http://danchi-movie.com/
■コピーライト: (C)2016「団地」製作委員会
ベストワンに輝いた傑作『顔』以来、16年ぶりに阪本順治監督と日本を代表する舞台女優・藤山直美がタッグを組んだ下町喜劇。直美のために阪本監督が書き下ろした絶妙の会話劇。さまざまな人間模様が織り成す団地で、平凡な夫婦が“普通じゃない”日常を描く。共演は岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工ほか。
公開(6月4日)を前に阪本順治監督と藤山直美が大阪・市内でPR会見を行い、映画顔負けの面白話を披露した。
――― まずお二人からご挨拶。
阪本順治監督:表現は悪いですが、長年たまりたまったものを排泄してスッキリした気分です。16年ぶりですが、16年経ったから出来たと思う。『顔』の直後では出来なかった。『顔』は直美さんとは最初で最後のつもりだった。年月が経ってもう一度出来るようになった。
藤山直美: 『顔』の時は40歳でした。17年経ってあと3年で還暦を迎える。人生後半になり、阪本監督にまた撮って頂くことが出来た。月日の流れは大事やなあと思います。
阪本監督: 『顔』の後、(直美の)舞台見たり、楽屋に行ったり、食事に行くなど普通にお付き合いさせてもらいましたが、もう一度映画を撮ることは予定してなかった。去年、スケジュールが空いている、と聞いて急いで脚本書きました。
藤山: (映画の予定は)まったくなかった。監督はお芝居を見に来てくれたけど、声かけてもらえなかったら、ズーっと映画に出ないままだった。
――― SFを撮りたかったということだが?
阪本監督:阪本と藤山でSFですよ。SMではありません(笑)。まあ、子供のころから、空想や妄想で宇宙のこと考えたり、そこに人の死も入ってくる。実家が仏具屋で人の死と向き合うことが自分なりの宿題と思っていて、答えを出してみたかった。人は死んだらどこへ行くのか、宇宙空間に行く。人の死の疑念をどこまでシリアスにやるのか?あるいはユーモラスに描くのか? 直美さんが主演だからやれた。藤山直美の「団地」だからやれたと思う。
藤山:仕事断るのに、「日程的に無理」というのと「作品が合わん」というのがあるけど、阪本監督やから“あんなんイヤヤからよすわ”とは言えん。頭おかしいのがマックスに来たんかなとおもた(笑)。監督に任さな仕方ないなあ、と…。
――― 厳しい反応だが…?
阪本監督:いやいや、これでもすごく手加減してくれている(笑)。『顔』は直美さんに“何これ?”と言われたくて書いた。今度は直美さんを出来るだけ遠くへ連れて行きたいと思った。キテレツな部分をどこまで見せるか。どこで寸止めにするかが大事でした。撮った直後は分からない。あとは映画館のお客さんにお任せします。久々のオリジナル(脚本)でハダカになれたんで(公開を)楽しみにしています。
藤山:先ほど、ラジオにも行って来ましたけど、宣伝は苦手です。撮影が無事済んでよかった、と思ってます。あとはお客さんがジャッジしてくれるでしょう。野田阪神あたりのおばちゃんが見て、どうか、チケット買うて来てもらってどうかです。その辺は舞台と変わりませんね。
――― やはり舞台と映画は違い、苦労が多かった?
藤山:舞台は午前11時から午後8時過ぎまでやけど、映画は終わって帰って2時間ぐらい寝て“次の日”というのが普通らしいですね。今回の撮影は真夏だったので、45度ぐらいになったことがありました。
阪本監督:暑い日がありました。監督や俳優さんは日陰に入ることも出来るけど、スタッフには水分補給のタイミングがなく、『闇の子どもたち』のタイでの撮影ではスタッフが倒れたこともありました。直美さんはスタッフをとても気遣っていました。
――― 直美さんの他は“阪本組”の常連さんですが、ひとり若手の斎藤工さんはいかがでした?
阪本監督:直美さんに台本渡した時、「この“サイトウ・エ”って誰?」 と聞かれました(笑)。でも斎藤君は同年の俳優に比べて気配りも出来、ひとりの人間としてやっていける人。演技力よりも考え方が出来る人。過去の先達俳優をリスペクトしている。直美さんにも可愛がられていた。
藤山:最初は印刷ミスかと思った(笑)。詳しく注目してなかったので知らなかった。いろいろナンバーワンになった人でしょう。“あんた凄いねえ”と言いました。映画が好きなので私は感心しました。
阪本監督:藤山さんが決まった時に常連の3人(岸部、大楠、石橋)を想定して脚本書いた。『大鹿村騒動記』みたいな熱を帯びた現場。こうあってほしいという思い通りの現場になった。岸部さんは「明日、脚本届くから」と電話したら「俺明日からパリ行くわ」だし、石橋さんは「阪本が何か企んでる」と知ってて、ちゃんと来てくれた。ただ石橋さんは入る前に「最後は逃げにならないよう気をつけろよ」と言ってくれて、それが生きましたね。
藤山:岸部さんには私が19歳の時から恋愛相談とかいろいろ相談に乗ってもらってますし、大楠さんとは子供時代、7つか8つの時に大映で勝さんの『座頭市』で共演しています。「その時は安田道代さんでしたが、それ以来です」とあいさつしました。最後に、石橋蓮司さんと一緒にやりたいと希望しました。
――― 監督が最初に言った、たまったものとは何か?
阪本監督:最近は日本映画が元気だと言うが、ちょっといびつになっているように思う。私の『どついたるねん』も『顔』もインディーズで、みんな自分でお金集めて作ったり、(作るのを)断念したりしている。今、すそ野は広がっているかも知れないが、こういう状況が続くと「もうこんな業界に自分はいなくていいか」というところまで来ている。万人に愛されなくてもいいが、一石投じることが出来るとすれば、こんなおっさんが奇妙奇天烈なことやった、とアピールすることかな。この後は居酒屋で言います(笑)。
藤山:おばちゃんに“見に来いや”とはよう言いませんが、長いことやってきて、かなり世間が五体で分かってくる。この映画は大人がまじめに作ってるんで、おっちゃんおばちゃんが喜んで来てくれるか、パンフレット投げつけるか、ですね。
――― 大阪で初日を迎える感想は?
阪本監督:怖いですよ。大阪は娯楽に対して厳しいところですからね。『顔』の時は、「梅田で立ち見出てる」と聞いて見に行ったら、受付で何かもめてるんですよ。聞いたら、「立ち見やったら300円まけて!」とお客さんがクレームをつけてる。黙って帰りましたよ(笑)。
藤山:お客さんが怖いから役者は育つんですよ。舞台で初日なんかは団体の招待客がいっぱいいます。その人たちは最初は座席にもたれて座ってはる。だけど、最後には身を乗り出させる。そうしないとアカンのや、とうちの父親(藤山寛美さん)が言ってました。大阪のお客さんは一番親切です。
◆阪本順治監督
1958年、大阪府生まれ。井筒和幸、川島透ら各監督の現場にスタッフとして参加。89年、赤井英和主演『どついたるねん』で監督デビュー。日本映画監督協会新人賞、ブルーリボン賞最優秀作品賞など多数受賞。以後『王手』『ビリケン』の“新世界三部作”で名を上げる。藤山直美を主演に迎えた『顔』(00年)は日本アカデミー賞最優秀監督賞など賞を総なめした。ほかに『KT』(02年)『魂萌え』(07年)『闇の子供たち』(08年)『座頭市THELAST』(10年)『大鹿村騒動記』(11年)『北のカナリアたち』(12年)など。
◆藤山直美
1958年京都府生まれ。初舞台は64年、坂本九主演「見上げてごらん夜の星を」。以後、舞台、テレビに多数出演。00年、初主演した阪本順治監督作品『顔』でキネマ旬報主演女優賞など多数受賞。
(安永 五郎)
「日本におけるイタリア年」をきっかけに2001 年の春に始まった「イタリア映画祭」は、今年で16 回目を迎えます。
ゴールデンウィーク恒例のイベントとなり、毎年1 万人を超える観客が訪れています。今回は、2015 年以降に製作された日本未公開の新作7本を5/7(土)~5/8(日)ABC ホールに於いて開催いたします。コメディーもあればシリアスなドラマもあり、エンターテイメント大作からアート系映画まで幅広いプログラムです。
◆会期・会場:5月7日(土)~5月8日(日) ABCホール(大阪市福島区福島1-1-30)
◆主催:イタリア映画祭実行委員会、イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
◆後援:イタリア大使館、イタリア総領事館 運営・宣伝協力:有限会社オフィス・リブラ 字幕協力:アテネ・フランセ文化センター
◆【公式サイト】:http://www.asahi.com/italia/
◆【一般の方のお問合せ】:050-5542-8600(ハローダイヤル:~5 月8 日)
◆前売り券販売は4月2日(土)10:00~5月6日(金)19:00まで
【前売り1回券】一般1,300円/学生・60歳以上1,200円(日時指定・全席指定)
【当日1回券】一般1,600円/学生・60歳以上1,500円(日時指定・全席指定)
◆会期:4月29日(金・祝)~5月5日(木・祝)
◆会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11 階)
■大阪会場・上映作品紹介■
★5月7日(土)
①12:30~ 『素晴らしきボッカッチョ』 (監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ) 120min
※上映後に野村雅夫さん(FM802 DJ)によるトークショー(約20 分間)があります。(入場無料)
②15:40~ 『俺たちとジュリア』 (監督:エドアルド・レオ) 115min
③18:15~ 『あなたたちのために』 (監督:ジュゼッペ・M・ガウディーノ) 110min
※上映後にジュゼッペ・M・ガウディーノ監督とプロデューサーと岡本太郎氏によるトークショーがあります。(入場無料)
★5月8日(日)
①11:00~ 『フランチェスコと呼んで-みんなの法王』 (監督:ダニエーレ・ルケッティ) 98min
②13:40~ 『私と彼女』 (監督:マリア・ソーレ・トニャッツィ) 97min
③16:00~ 『オレはどこへ行く?』 (監督:ジェンナーロ・ヌンツィアンテ) 86min
④18:05~ 『暗黒街』 (監督:ステファノ・ソッリマ) 130min
「日本におけるイタリア年」をきっかけに2001 年の春に始まった「イタリア映画祭」は、今年で16 回目を迎えます。
ゴールデンウィーク恒例のイベントとなり、毎年1 万人を超える観客が訪れています。今回は、2015 年以降に製作された日本未公開の新作7本を5/7(土)~5/8(日)ABC ホールに於いて開催いたします。コメディーもあればシリアスなドラマもあり、エンターテイメント大作からアート系映画まで幅広いプログラムです。
◆会期・会場:5月7日(土)~5月8日(日) ABCホール(大阪市福島区福島1-1-30)
◆主催:イタリア映画祭実行委員会、イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
◆後援:イタリア大使館、イタリア総領事館 運営・宣伝協力:有限会社オフィス・リブラ 字幕協力:アテネ・フランセ文化センター
◆【公式サイト】:http://www.asahi.com/italia/
◆【一般の方のお問合せ】:050-5542-8600(ハローダイヤル:~5 月8 日)
◆前売り券販売は4月2日(土)10:00~5月6日(金)19:00まで
【前売り1回券】一般1,300円/学生・60歳以上1,200円(日時指定・全席指定)
【当日1回券】一般1,600円/学生・60歳以上1,500円(日時指定・全席指定)
◆会期:4月29日(金・祝)~5月5日(木・祝)
◆会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11 階)
■大阪会場・上映作品紹介■
★5月7日(土)
①12:30~ 『素晴らしきボッカッチョ』 (監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ) 120min
※上映後に野村雅夫さん(FM802 DJ)によるトークショー(約20 分間)があります。(入場無料)
②15:40~ 『俺たちとジュリア』 (監督:エドアルド・レオ) 115min
③18:15~ 『あなたたちのために』 (監督:ジュゼッペ・M・ガウディーノ) 110min
※上映後にジュゼッペ・M・ガウディーノ監督とプロデューサーと岡本太郎氏によるトークショーがあります。(入場無料)
★5月8日(日)
①11:00~ 『フランチェスコと呼んで-みんなの法王』 (監督:ダニエーレ・ルケッティ) 98min
②13:40~ 『私と彼女』 (監督:マリア・ソーレ・トニャッツィ) 97min
③16:00~ 『オレはどこへ行く?』 (監督:ジェンナーロ・ヌンツィアンテ) 86min
④18:05~ 『暗黒街』 (監督:ステファノ・ソッリマ) 130min
映画『オマールの壁』主演俳優アダム・バクリ初日舞台挨拶レポート
パレスチナの今を生き抜く若者たちの日々をサスペンスフルに描き、第86回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた映画『オマールの壁』が角川シネマ新宿、渋谷アップリンクほかにて公開いたしました。本作の公開を記念して初来日を果たした主演俳優アダム・バクリの初日舞台挨拶が角川シネマ新宿で行われました。
【イベント概要】
日程: 4月16日(土) 12:10~12:35 (10:30の回上映後)
場所: 角川シネマ新宿 (東京都新宿区新宿3丁目13−3 新宿文化ビル)
登壇者: アダム・バクリ(オマール役)
聞き手:岡真理(京都大学大学院教授/現代アラブ文学)
坊主頭でパレスチナのパン職人を演じた劇中のイメージから一転、長めのカールした髪をまとめたヘアスタイルで登場したアダム・バクリは、聞き手のアラブ文学者の岡真理さんから「観客のオマールのイメージを壊したくない、と帽子を被っていたんですが、今のカールした素敵なヘアーのアダムさんをみなさんにみてもらいたいと思って」と紹介されると「撮影から3年経っているから」と笑い、満員の角川シネマ新宿のステージ上に感謝の言葉を述べた。
現在27歳のバクリは初主演作となるこの映画への参加について「この作品は僕を変えた。出演できた経験はこれからも残ると思う。今は観客としてこの作品を観ることができる」と感慨深げに回想。「初めてスクリーンで作品を観たときは緊張していて、自分の演技しかみていなかったけれど、とてもエモーショナルな体験だった。2回目にカンヌ国際映画祭で観たときも客席で父(俳優のムハンマド・バクリ)と兄が見ていたので、震えていた。感想は直接聞かなかったけれど、観終わった後の彼らの感動した目を見て、合格点をもらえたと確信した」と述懐した。
イスラエル出身のパレスチナ人で、現在はニューヨークを拠点に活動するバクリは、占領下にのパレスチナの市井の人々の暮らしを描く今作の役作りの難しさについて「大きな責任を感じた。主人公のオマールが経験したことを忠実に表現することが大切で、自分が経験しているように表現することが大事だと思った。この映画自体が、そしてこの壁自体がパレスチナの占領の暴力を象徴している」と撮影時の心情を吐露。パレスチナを分断する分離壁を前にしての撮影についても、「それまでも壁は遠くから見たことがあったけれど、映画を撮影したときにはじめて近くでみて、パレスチナの葛藤を象徴しているようで心を揺さぶられた。太陽が隠れてしまうほどの大きさに圧倒された」と強烈なインスピレーションを受けたことを明かした。
人間ドラマ、ラブストーリー、アクションと様々な要素が融合したエンターテイメント作品となっている要因として、分離壁を乗り越えたり、追手から逃れようと街中を駆けるシーンなどバクリのアクション・シーンについて岡さんが絶賛すると、「次は『スパイダーマン』とか『スーパーマン』いいですね(笑)」とアクション俳優への意欲ものぞかせ、「いろんな役に挑戦してみたいのでオープンですよ。今回もトレーナーと一緒にトレーニングしましたが、それでも危険なシーンはプロデューサーはやらせてもらえなかった。壁を登るシーンも準備していたけれど、途中までしかのぼれず、あとはスタントに任せなければいけなかった。あれはサーカスの団員しかできないですね」と答えた。
そして厳しい撮影をともにしたアブ・アサド監督についてバクリは「エンターテイメントとアートの双方があるのが監督の素晴らしいところ。より多くの観客に観てもらうために映画には両方の要素が必要だと思う。この『オマールの壁』は、パレスチナでは9歳や10歳の子供も知っているくらい知られている作品。そんなことは他の作品ではありえません」と賞賛を寄せた。
岡さんの「占領の暴力を象徴的に描いている。何度も繰り返し観ると、監督が込めた意味が見えてくる。占領下をしらない私たちもその痛みを知ることができた」という分析にも、「アブ・アサド監督の細やかなメッセージがあちこちにちりばめられていて、観れば観るほど微妙なニュアンスがみてとれる作品だと思う」と同意。そして「ラストシーンの意味など、観客の解釈にまかせるところが素晴らしいところだと思う」と、観た人それぞれがそれぞれの物語を膨らませられるところが今作の魅力だと強調した。
バクリはトークイベントの最後に「日本の方々とパレスチナの人々は親切で暖かくて寛容、という共通点がある」と目を輝かせた。
【プロフィール】
■ アダム・バクリ(オマール役)
1988年、イスラエル・ヤッファ生まれのパレスチナ人。父親は俳優で映画監督のモハマッド・バクリ。二人の兄とも俳優だったため、自然に俳優の道を志すようになる。テルアヴィヴ大学で英語と演劇を専攻。その後、ニューヨークのリー・ストラスバーグ劇場研究所で演技のメソッドを学ぶ。研究所の卒業式の翌日に、本作のキャスティング・ディレクターにオーディション・テープを送り、イスラエルで演技テストを幾度も経たのちに合格した。本作が長編映画デビューとなる。現在はニューヨークを拠点に活動中。第一次世界大戦のアゼルバイジャンを舞台にしたアジフ・カパディア監督の新作『Ali and Nino』(2016年)で、キリスト教徒の女性と恋に落ちるイスラム系アゼルバイジャン人役で主演を務める。
■ 岡 真理(おか・まり)
1960年、東京生まれ。現代アラブ文学研究者。東京外国語大学アラビア語科でアラビア語を学ぶ。在学中に、パレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニーの作品を読み、「パレスチナ問題」に出会い、以来、パレスチナに関わり続ける。パレスチナ難民をはじめ、種々の構造のなかでサバルタン化される者たちの生きられた経験を描いた文学作品を通して、パレスチナ問題や第三世界の女性たちの問題を現代世界に生きる人間の思想的課題として考察する。著書に『アラブ祈りとしての文学』(みすず書房、2008年)、『棗椰子の木陰で 第三世界フェミニズムと文学の力』(青土社、2006年)ほか。近年は学生・市民有志による朗読集団「国境なき朗読者」を主宰、朗読劇「The Message from Gaza ~ガザ希望のメッセージ~」の脚本、演出を担当、「文学」の力と「肉声」がはらみもつ可能性を実践的に追究。
★参考サイト⇒ https://www.kinokuniya.co.jp/c/20111003201815.html
【作品紹介】
分離壁で囲まれたパレスチナの今を生き抜く若者たちの日々を、切実に、サスペンスフルに描いた本作は、カンヌ国際映画祭をはじめ、多数の映画祭で絶賛され、2度目のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート(パレスチナ代表)となった。スタッフは全てパレスチナ人、撮影も全てパレスチナで行われ、100%パレスチナの資本によって製作されている。
◆ストーリー
思慮深く真面目なパン職人のオマールは、監視塔からの銃弾を避けながら分離壁をよじのぼっては、壁の向こう側に住む恋人ナディアのもとに通っていた。長く占領状態が続くパレスチナでは、人権も自由もない。オマールはこんな毎日を変えようと仲間と共に立ち上がったが、イスラエル兵殺害容疑で捕えられてしまう。イスラエルの秘密警察より拷問を受け、一生囚われの身になるか仲間を裏切ってスパイになるかの選択を迫られるが…。
◆作品情報
映画『オマールの壁』 ※『オマール、最後の選択』より改題
(2013年/パレスチナ/97分/アラビア語・ヘブライ語/カラー/原題:OMAR)
監督・脚本・製作:ハニ・アブ・アサド(『パラダイス・ナウ』)
出演:アダム・バクリ、ワリード・ズエイター、リーム・リューバニ ほか
配給・宣伝:アップリンク
2016年4月16日(土)~角川シネマ新宿、渋谷アップリンク、5月7日(土)~テアトル梅田、順次~京都シネマ、元町映画館 ほか全国順次公開
★【シネルフレ映画レビュー】は こちら
★【公式サイト】http://www.uplink.co.jp/omar/
★【公式Twitter】https://twitter.com/OmarMovieJP
★【公式Facebook】https://www.facebook.com/omarmovie.jp
撮りたいものを撮ってきた!『蜜のあわれ』石井岳龍監督インタビュー
(2016年3月29日 大阪にて)
『蜜のあわれ』
■2015年 日本 1時間50分
■原作:室生犀星「蜜のあわれ」
■監督:石井岳龍 撮影:笠松則通
■出演:二階堂ふみ、大杉 蓮、真木よう子、韓 英恵、上田耕一、岩井堂聖子、渋川清彦、高良健吾、永瀬正敏
■2016年4月1日(金)~梅田ブルク7、T・ジョイ京都、4月9日(土)~109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー
■公式サイト:http://mitsunoaware.com/
■コピーライト:(C)2015「蜜のあわれ」製作委員会
大正期の文学者・室生犀星が1959年(昭和34年)に発表した、自身を投影した小説「蜜のあわれ」に石井岳龍監督が挑んだ意欲作。犀星の“理想の女(ひと)”の結晶というべき「金魚の姿をした少女」赤子(二階堂ふみ)と老作家(大杉漣)の無邪気でエロティック触れ合いと、老作家への愛を募らせて蘇った幽霊(真木よう子)の三角関係を交えた幻想的な文学ドラマ。犀星の地元、石川県金沢市、加賀市を中心にロケを行い、小説世界を再現している。
石井岳龍(聰互改め)監督が室生犀星の小説を映画化した文芸ファンタジー『蜜のあわれ』のPRのため来阪した。老作家(大杉漣)の孤独な暮らしに、金魚の姿をした少女・赤子(二階堂ふみ)が現れ、無邪気でエロティックな戯れに浸る。老作家への愛を募らせて蘇った幽霊(真木よう子)も加わり幻想的なドラマを繰り広げる。デビュー以来、常に注目を集めてきた石井岳龍監督がまた新たな地平に立った。
―――『蜜のあわれ』は監督の作品の流れからは考えにくい作品だが?
岳龍監督:二階堂ふみさんが『やりたい』って言ってくれて成立しやすかった経緯は、室生犀星の詩が好きだった。(脚本の)港岳彦さんが文学青年でもあり書いてもらった。脚本は長くて泣く泣く切らなくてはならなかったけど、取捨選択は難しかった。
――― 二階堂ふみはじめ大杉漣、真木よう子、芥川龍之介役の高良健吾、金魚屋の永瀬正敏という豪華キャストに感心。
岳龍監督:適材適所というか、望んだ人がみんな出てくれた。しあわせな映画だった。でも楽しいばかりじゃない。映画はちょっとしたことでバラバラになってしまいますからね。撮影期間は3週間。原作の味を出すため、全編北陸ロケしました。
――― 二階堂ふみの丸いお尻のアップから始まる“老作家”の妄想映画。二階堂ふみが金魚になりきるファンタジーが魅力。
岳龍監督:室生犀星は70歳でこの小説を発表した。私はちょっと下になるけど、気分はこの主人公と近いというか、同じでしょうね。“丸いものは美しい”のは男の本能であり、世界の心理です。丸いものには力があるんです。
――― 二階堂ふみはただいま絶好調の女優さん。
岳龍監督:会った瞬間から、この人は(ヒロインの)赤子だと思った。彼女も原作を読みこんでいて出演を熱望していた。(二階堂は)大人の部分と自由奔放な子供っぽい部分を併せ持っている方。その意味でも幸せな映画でしたね」。
――― 石井監督は映画ファンにはデビュー作『狂い咲きサンダーロード』(80年)、『爆裂都市BURST CITY』(82年)、イタリアの映画祭で評価された『逆噴射家族』(84年)から突っ走ってきた“気になる監督”。若者映画のパイオニアにだった。
岳龍監督:若かったですね。学生時代に自主映画で『高校大パニック』を撮って『狂い咲き ~ 』は16ミリで撮ったのを35ミリにブローアップした。東京の東映映画館の支配人さんに認めてもらって、東映で全国配給して頂いた。その結果、大ヒット。天文学的な数字だった。あの頃はホント勢いだけでしたね。舞い上がってしまった。
――― その後も石井監督は注目される存在であり続けた。浮き沈みはどんな監督にもあるが、石井監督の40年は長かった?
岳龍監督:ひとつだけ言えるのは、これまでの作品全部、自分が撮りたくて撮ってきたということ。自分が責任持てない映画は撮ってない。映画は今の時代の会社、お客さんとの共同作業で、共闘でもある。独りよがりはダメだし、お客さんにコビを売ることもない。これまで、自分なりに精いっぱいに映画撮ってきて、自分のものになる可能性を求めて、ここまできた。
――― 石井監督にもスランプの時期があったのか“パイオニア時代”の初期ファンから見たら、アレッと思う映画もあった。時代劇大作『五条霊戦記 GOJOE』(00年)と『ELECTRIC DRAGON 80000V』(01年)あたりはしんどかった。それから10年たった2011年の『生きてるものはいないのか』で目覚ましい復活を見せた、と思うが?
岳龍監督:そうですかね? 『ELECTRIC DRAGON ~ 』はヨーロッパで大好評だし、94年の『エンジェル・ダスト』はアメリカで評判だし、イギリスで《バーミンガム映画祭グランプリ》を獲ってます。97年の『ユメノ銀河』は北欧で評価が高い《オズロ映画祭グランプリ》。逆に『生きてるものはいないのか』はなぜかさっぱりでしたね。評価が低かった。
――― 9・11東日本大震災→原発事故以降、それを題材にした映画はたくさん出たが、石井監督の『生きてるものはいないのか』が最高ではないか、と。
岳龍監督:そうですか。実は、この映画は大震災の起こる前、2010年に撮っていて、震災直後にはとても公開出来ない、と1年待った映画です。“予感の映画”? ウーン。
――― それまでの10年に石井監督に変化が?
岳龍監督:10年間に変化があったかもしれません。2010年に名前を聰互から岳龍に変えましたし、ちょうど、神戸芸術工科大学から教壇に立つ話をもらって、一から勉強やり直そうと思ったのもこのころ。(講師の依頼は)自分にとってドンピシャのストライクゾーンでしたね。この年になって勉強やり直せるなんて、素晴らしいことじゃないですか。教える立場でも勉強する側でも一緒ですから。
――― ちょっと変わった文芸ファンタジー『蜜のあわれ』を撮った後はどこへ?
岳龍監督:次はまた、まったく違うものをやりますよ。ぜんぜん違うものを。中身は秘密ですけども。
(安永 五郎)
◆石井岳龍監督
1957年1月、福岡県生まれ。日本大学芸術学部入学後、8㍉映画『高校大パニック』(79年)でデビュー。『狂い咲きサンダーロード』(80年)、『爆裂都市BURST CITY』(82年)で爆発的な支持を集め、ジャパニーズ・ニューウェーブの旗手に。84年の『逆噴射家族』がイタリアのサルソ映画祭グランプリ、94年の『エンジェル・ダスト』がバーミンガム映画祭グランプリ、97年『ユメノ銀河』はオスロ映画祭グランプリ。そのほか『五条霊戦記 GOJOE』(00年)、『ELECTRIC DORAGON 80000V』(01年)など。10年に聰互 から岳龍に改名。その後は11年『生きてるものはいないのか』、13年『シャニダールの花』、15年『ソレダケ/that's it』がある。現在、神戸芸術工科大学で教壇に立つ。