「京都」と一致するもの
映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』公開記念イベントレポート
草刈民代、ポルーニンを絶賛!!
「最初、彼の才能を疑っていたが、YouTubeを観て本物だと確信した」
2017年7月15日(土)よりBunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほかにて公開中の『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』。公開初日より連日満席が続出するなど、大反響をいただいております。本作の公開を記念し、女優の草刈民代さんと舞踊評論家の乗越たかおさんが登壇、満席のBunkamuraル・シネマにてトークが繰り広げられました。
【イベント概要】
■日時:2017年7月17日(月・祝)10:30の回上映後
■会場:Bunkamura ル・シネマ(東京都渋谷区道玄坂2丁目24−1)
■ゲスト:草刈民代(女優) [聞き手]:乗越たかお(舞踊評論家)
女優の草刈民代が17日、都内・Bunkamura ル・シネマで行なわれた映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』の公開記念イベントに出席。「こんな天才ダンサーが現れたことがあっただろうか」と熱いコメントを寄せた草刈が、自身のバレリーナ時代の経験を重ねながら、ポルーニンへの思いを語った。なお、この日は、舞踊評論家の乗越たかおが聞き手を務めた。
本作は、孤高の天才ダンサー、ポルーニンの知られざる素顔に迫るドキュメンタリー。19歳で名門・英国ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルに選ばれるが、人気絶頂期に電撃退団。果たしてその真意とは?全身にタトゥーを纏い、決して型にはまらないバレエ界きっての異端児ポルーニンの生き様を、本人や家族、友人、関係者らのインタビューを交えながらひも解いていく。
映画の予告編でポルーニンの美しい舞に魅せられ、YouTubeで彼のパフォーマンスを何度も観たという草刈。「小さい画面で観てもその凄さがわかった。若いダンサーで素晴らしい人はたくさんいますが、その中で群を抜いている。ミハイル・バリシニコフやルドルフ・ヌレエフに次ぐ才能」と絶賛し、本作を観てさらにその思いは確信へと変わったという。
ポルーニンに才能を持て余す危うさがあるのでは?という指摘に対して草刈は、「危ういというよりも、出来上がるのが早過ぎたのでは?もともとのポテンシャルが高い上に、努力も群を抜いていたので、スタートラインが全く違う。だから、子供の頃からバレエだけをやってきた彼が、『踊ることに何の意味があるのだろう?』とふと気付いたところから、自分自身の模索が始まったのだと思う」と分析。
中でも印象に残っているのが、本番前、楽屋で大量の薬を飲むシーンを挙げる。「痛み止めの薬を飲むとか、注射をするとか、栄養剤で気合いを入れるとか、私も何度も経験がありますが、心臓の薬まで飲んでいるのには驚きました。普通、怖さが先に立つものですが、彼は、そこまでやらないと自分の納得した踊りができないから平気で飲める。現在は危険だからやめたそうですが、踊りと身体のバランスを取るために自問自答する時間が必要なんでしょうね。モーツァルトと同じ、あまりにも早熟過ぎたがゆえの悩みですね」
また、時代の違いにも触れた草刈は、「昔のダンサーは、国を背負って踊っていたので、『やめる』という選択肢はなかったと思う。ところが、ポルーニンの時代はロシアも自由になり、才能があれば中学生や高校生でもロイヤル・バレエ団に留学することもできる。彼の苦悩は、自由の中で育ってきたからこその模索のように思います。私の時代もそうでしたが、身体が衰えて、本当に踊れなくなる時期が来て、初めて踏ん切りがつく。それが普通だと思うんですよね」
「僕はダンサーであるよりは、1人のアー ティストでありたい」とポルーニンは語っているが、早くも12月公開の映画『オリエント急行殺人事件』に出演し、俳優としての活動をスタートさせている。現役時代、『Shall we ダンス?』で映画デビューを果たした草刈にとって、そんな彼の活動はどう映っているのだろうか?「『Shall we ダンス?』に出演する前は、バレエ以外のお仕事はノイズでしかなかったけれど、主人(周防正行監督)に、『たくさんの人に知ってもらうことの大切さ』を教えられ、考え方が180度変わりました。ただ、私の場合、現役時代はあくまでもバレリーナを貫きましたが」と述懐する。
ダンサーとして、あるいはアーティストとして、10年後のポルーニンが楽しみだと言う草刈。「1度映画に出たからといって芝居がわかるわけでもない。映画を経験して、そこに何を見出だして、何を目指していくのか。あるいは芝居ではなく、やはり自分には踊りしかないと思って、バレエをさらに深めていかもしれない。10年後、彼がどの立ち位置にいるのかをぜひ見届けたい」と、最後は期待を込めて締めくくった。
【草刈民代(くさかり・たみよ)プロフィール】
1984年に牧阿佐美バレエ団に入団。以降同バレエ団の主役を数多く務める。国立モスクワ音楽劇場、レニングラード国立バレエなど海外のバレエ団へのゲスト出演も数多い。'81年頃から広告、TVCMなどにも起用されるようになり注目を浴びていたが、'96年に映画「Sall Weダンス?」(周防正行監督)に主演。社会的現象になるほど話題作品となり、女優として数々の賞も受賞した。'99年、故ローラン・プティ氏により「若者と死」死神役に選ばれ、プティ氏から厚い信頼を受ける。これ以降プティ作品は最も得意なレパートリーとなり、その数は11作品に及ぶ。'09年、自ら企画・構成・プロデュースした舞台を最後にバレリーナを引退。日本のバレエを一般に広めることに大きく貢献し、日本人バレリーナに新たな可能性を示した。2009年以降、本格的に女優として活動。最新作は2017年10月公開、映画『月と雷』が控えている。
【映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』作品情報】
<ヌレエフの再来>と謳われる類まれなる才能と、それを持て余しさまよう心――
19歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、人気のピークで電撃退団。バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。
ウクライナ出身で、19歳の時、史上最年少で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとなったセルゲイ・ポルーニンは、その2年後、人気のピークで電撃退団。そのニュースは国内メディアのみならず、世界中に報道された。
スターダムから自滅の淵へ――様々な噂が飛び交う中、彼が再び注目を集めたのは、グラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲『Take Me To Church』のMVだった。写真家のデヴィッド・ラシャペルが監督し、ポルーニンが踊ったこのビデオはyoutubeで2,000万回以上再生され、ポルーニンを知らなかった人々をも熱狂の渦に巻き込んだ。
<ヌレエフの再来>と謳われる類い稀なる才能と、それを持て余しさまよう心。本人や家族、関係者のインタビューから見えてくる彼の本当の姿とは…?
監督:スティーヴン・カンター
『Take Me To Church』演出・撮影:デヴィッド・ラシャペル
出演:セルゲイ・ポルーニン、イーゴリ・ゼレンスキー、モニカ・メイソン他
配給:アップリンク・パルコ
(2016年/イギリス・アメリカ/85分/カラー、一部モノクロ/16:9/DCP/原題:DANCER)
★公式サイト⇒ http://www.uplink.co.jp/dancer/
★作品紹介⇒ こちら
★セルゲ・ポルーニン インタビュー⇒ こちら
2017 年7 月15 日(土)~Bunkamura ル・シネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、7/22(土)~シネ・リーブル神戸、8/19(土)~京都シネマ、9/30(土)~豊岡劇場 ほか全国順次公開
(オフィシャルレポートより)
『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン世界一優雅な野獣』セルゲイ・ポルーニン インタビュー
「自分の心に正直になった時、出てきたことが“アーティスト”になりたいってことだった。」
7 月15 日(土)よりBunkamura ル・シネマ、新宿武蔵野館ほかにて公開となる映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』。
映画の公開を記念し4 月に、5 年ぶりに来日を果たしたセルゲイ・ポルーニンは、日本テレビ朝の人気情報番組「スッキリ!!」への生出演や、瞬く間にチケットが完売してしまったジャパンプレミアイベントのパフォーマンス披露など大きな話題をよびました。公開に先駆け行われた、先行試写会での感想も「こんなにも切なく苦しく心かきむしられる作品は初めて!」「いつまでも踊る姿をみていたいと思った」「言葉が追いつかない。踊ることでしか伝わらない言語があるのだと感じた」と熱い感想が続出いたしました。この夏、セルゲイ・ポルーニン旋風が巻き起こること間違いなし!
――ご自身のドキュメンタリーをご覧になって、いかがでしたか?
正直に言えば、最初は見たくなかった。ロサンゼルスでデヴィッド・ラシャペルと一緒にいた時に、彼が「これからあの映画を観ることになっている」と言ったんだ。僕はビールを9本も飲んで、彼の隣に座った。本当に緊張して、彼の脚を蹴ってしまったよ。自分を客観的に見てみたかったんだけど、できないね。画面に映し出された自分を見るとそのときの感情が蘇るし、自分の素の部分を呼び覚ましてしまう。まるで感情のジェットコースターに乗ってるような気分だったよ。
――映画の中で『Take Me To Church』をダンスとの惜別と考えていると言っていました。なぜ続ける気になったのですか?
『Take Me To Church』をラストダンスのつもりで踊った。あの時はダンスが好きじゃなかったし、バレエ界に腹も立ててたから、とにかく終わらせたかった。これで何もかも終わりなんだという気持ち――臨終の感覚のような中で踊っていると、自分の中のもやもやとした霧のようなものが少しずつ晴れていくような気がしたんだ。空っぽになって、感情の赴くままに踊った。すると、僕が捨て去ろうとしているもののことばかりが頭に浮かんで、とても悲しかった。それで思ったんだ、僕は何かを見失っているのかもしれない、と。
撮影が終わって、すぐにゼレンスキーに話したんだ。「ギャラはいらない、ダンスが好きだから踊りたい」とね。“ダンスを愛しているから踊りたいんだ”ということを、僕はきちんと自覚しなくてはならなかったんだ。その後のYouTube の反響を見て、すごく驚いたよ。子供が僕の真似をして踊ってくれたり…バッドボーイでも人々に受け入れてもらえるんだ、僕の踊りは人々になにかを与えることができるんだと改めて感じたんだ。
それに、このMV を監督した写真家のデヴィッド・ラシャペルは素晴らしいアーティストで、楽曲、振付、環境、ビジュアル…すべてが整った、これこそ新たなものを作り出す体験だと思ったよ。もちろんクラシックバレエ(古典)はとても大事なもので、伝統は保たなければならないと思っている。その一方で、創造性をもってただ踊る道具になるのではなく、生み出すことができるアーティストにならなければいけないと思ったんだ。
――“プロジェクト・ポルーニン”を始められたきっかけを教えてください。
ダンスを通して現状を変えたい、という思いが今の僕を動かしているんだ。自分のためだけなら、僕はもうバレエを続けていなかったと思う。だけどこのプロジェクトで、ダンサーたちに発言権を与え、踊りに集中できる環境を整えたい。スポーツ選手にはエージェントがついているけれど、バレエにはそれがない。やったことがないことを始めるのはとても怖いもの。一人きりでそんな思いをする必要はないと思う。みんなが助けてくれるようなチームを構築することで、若いダンサーが道を間違えることなく進めるシステム、チームをつくっていきたいんだ。
バレエは常に誰かが誰かのポジションを狙っているような境遇にある。誰かが怪我をしたらデビューできる、というようなね。つねに競争なんだ。だから喜びや聴衆のためという大切なものが置き去りになってしまう。若いダンサーの中には、紆余曲折してそのまま引退してしまう人もいっぱいいる。だからエージェントや広報や収入に関しても交渉してくれる人がいるチームがあれば、ダンサーは演技だけに集中できる。航空券やホテルのブッキングなど、雑務に邪魔されずにダンスだけに集中できる環境にしたい。だから僕らはダンサーを支援する“プロジェクト・ポルーニン”という組織を作ったんだ。
資金提供者や法律家が協力してくれたおかげで、取締役会を作って組織を拡大できた。これからファションや映画や音楽といった他の分野とダンサーをつなぐ役目もする。ダンサー全員に参加してほしいな。僕らの旅は始まったばかりなんだ。
――『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』はあなたの人生のターニングポイントを描いていますね。ロンドンにバレエを学びに行って、ロイヤル・バレエを辞めて、ロシアに移り住んで…。そういった決断で後悔されていることはありますか?
だいたい僕は後悔をしない人間なんだ。良くても悪くても、あらゆることを楽しんでいる。ただ、もし可能だったのなら、あんな風に壊すんじゃなくて、作り上げられればよかったなって。誰かアドバイザーや良き指導者がいたら、違ったのかもしれない。あれは僕の僕だけの考えだったんだ。壊さずにやれたらよかったと思うよ。
――映画で描かれているように、多くの練習をして、バレエに人生を捧げて、世界有数のダンサーになったわけですが、そこにたどり着いた先では「次は何をする?」ということになりますよね。今もそんな気持ちですか?
自分の心に正直になった時、出てきたのがアーティストになりたいってことだった。自分自身に「僕はダンサーじゃない。僕は俳優じゃない」と言った途端、自由になれて何でもできるようになったんだ。自分を駆り立てないで、何も怖がらないで、「時間がない」とか、「あれとかこれをやらない」なんて言わずにね。
アーティストとして、選択権は自分にあるんだ。だからやりたいことをやる自由が生まれる。1日中踊ることもできるし、映画に出たり、振付をしたり、またいろんな写真家とファッションの写真を撮ったり、別のアーティストと仕事をしたりね。途方に暮れることはない。別のレベルに行くんだよ。何でも吸収するんだ。自分を閉じちゃダメさ。何でも試さないとね。僕はまた子供になったような気分なんだ。アーティストは子供なんだ。6才児の気分かな。
<ヌレエフの再来>と謳われる類まれなる才能と、それを持て余しさまよう心――
19 歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、人気のピークで電撃退団。バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。
途方もない才能に恵まれ、スターになるべく生まれたセルゲイ・ポルーニン。しかし彼はその運命を受け入れなかった。バレエ界のしきたり、天才ゆえの重圧、家族の関係。スターダムから自滅の淵へ――様々な噂が飛び交う中、彼が再び注目を集めたのは、グラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲『Take Me To Church』のMV だった。写真家のデヴィッド・ラシャペルが監督し、ポルーニンが踊ったこのビデオはYouTube で2000 万回以上再生され、ポルーニンを知らなかった人々をも熱狂の渦に巻き込んだ。<ヌレエフの再来>と謳われる類い稀なる才能と、それを持て余しさまよう心。本人や家族、関係者のインタビューから見えてくる彼の本当の姿とは…?
監督:スティーヴン・カンター/『Take me to church』演出・撮影:デヴィッド・ラシャペル
出演:セルゲイ・ポルーニン、イーゴリ・ゼレンスキー、モニカ・メイソン他
配給:アップリンク、パルコ (2016 年/イギリス、アメリカ/85 分/カラー/16:9/DCP/原題:DANCER)
★作品紹介⇒ こちら
★草刈民代 ポルーニンを絶賛!!⇒ こちら
2017 年7 月15 日(土)~Bunkamura ル・シネマ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、7/22(土)~シネ・リーブル神戸、8/19(土)~京都シネマ、9/30(土)~豊岡劇場 ほか全国順次公開
(オフィシャルレポートより)
『東京喰種トーキョーグール』
カネキマスク(ぺーパークラフト)プレゼント!
■提供: 松竹
■プレゼント人数: 3名様
■締切日:2017年8月6(日)
■公式サイト: http://tokyoghoul.jp/
2017年7月29日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー
世界累計発行部数3000万部突破、世界的大ヒットコミックスがアニメ、舞台、ゲーム化を経て、衝撃の実写映画化!食物連鎖の頂点とされるヒトを狩るものたち、人はそれを喰種(グール)と呼ぶ。両者の衝突が激化する中、いま一人の青年が立ち上がる―。この夏必見の壮絶なバトルアクションエンタテインメントが誕生しました。
そしてこの度、カネキが着用するマスク型のペーパークラフトをご用意いたしました!これであなたも喰種(グール)になれる!?
【STORY】
人の姿をしながらも人を喰らう怪人〈喰種(グール)〉。水とコーヒー以外で摂取できるのは「人体」のみという正体不明の怪物たちが、人間と同じように暮らしている街、東京。ごく普通のさえない大学生の金木研(カネキ/窪田正孝)は、ある日、事故に遭い重傷を負ってしまう。病院に運び込まれたカネキは、事故の時一緒にいた喰種の女性・リゼ(蒼井優)の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまう。自分が喰種化したことで苦悩するカネキは、以前から通い詰めていた喫茶店あんていくで働き始め、そこでアルバイトをしている女子高生・霧嶋董香(トーカ/清水富美加)と出会う。あんていくは喰種が集まる店で、トーカもまた喰種なのだった。トーカはぶっきらぼうな態度を取りつつもカネキを助ける存在となっていく。喰種たちのことを深く知ることで、カネキは大切な仲間や友人とどう向き合うか葛藤する。そんな中、喰種を駆逐しようとする人間側の捜査官・CCGとの熾烈な戦いに巻き込まれていくのだった…。
映画『東京喰種 トーキョーグール』
出演:窪田正孝 清水富美加 鈴木伸之 蒼井優 大泉洋
原作:石田スイ 「東京喰種 トーキョーグール」 集英社「週刊ヤングジャンプ」連載
監督:萩原健太郎 脚本:楠野一郎 配給:松竹
©2017「東京喰種」製作委員会 ©石田スイ/集英社
公式サイト⇒ http://tokyoghoul.jp/
2017年7月29日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、他全国ロードショー
『彼女の人生は間違いじゃない』廣木隆一監督インタビュー
■2017年 日本 1時間59分(R-15)
■原作:廣木隆一 「彼女の人生は間違いじゃない」(河出書房新社)
■監督:廣木隆一(『ヴァイブレータ』『さよなら歌舞伎町』) 脚本:加藤正人 撮影:鍋島淳裕
■出演:瀧内公美、光石 研、高良健吾、柄本時生、篠原篤、蓮佛美沙子
■公開情報:2017年7月15日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国順次ロードショー
■公式サイト: http://gaga.ne.jp/kanojo/
■コピーライト:(C) 2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会
■配給:ギャガ
「福島だけでなく今の日本が抱えている矛盾を描きたい」
~未来が見えず、満たされない想いに光を~
東日本大震災後、被災地を題材にした映画やTVドラマやドキュメンタリーが沢山作られてきた。そんな中、家族や仕事を失った喪失感や未来の見通しもつかない虚無感に苛まれながら、それでも日々の暮らしを慎ましく生きる人々の現状を、これほど濃密な映像で表現した作品はあっただろうか。物語の背後には原発事故後の福島の現状が数多く映しこまれている。それをも豊かな情景として、徐々に前進しようとする人々の精いっぱいの生き様を浮き彫りにしている。その静かだが力強い捉え方に惹き付けられる。
年に2~4本の新作が公開されている日本で一番忙しい映画監督、廣木隆一監督、63歳。今年だけでも『PとJK』『彼女の人生は間違いじゃない』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が公開、来年早々には『伊藤くん AtoE』の公開が控える。あらゆるジャンルの作品を手掛け、日本映画界になくてはならない存在である。そんな廣木監督が、東日本大震災後の原発事故により、復興の目途さえつかない福島に生きる人々を主人公にした小説を書き上げた。福島県出身の廣木監督にとって、「整理しきれない気持ち」を小説に書いて映画化したという。他の被災地より復興が長期に渡り、「再生」という一言では済まされないより一層の忍耐を強いられる現状。福島だけではなく誰にでも起こりうる普遍的試練がそこにはある。まさに廣木隆一監督の渾身作である。
仮設住宅で父親と二人暮らしのみゆき(瀧内公美)は、市役所に勤務しながら毎週日曜日になると高速バスで東京へ行きデリヘルの仕事をしている。母親は津波にさらわれ遺体も発見されず、父親(光石研)は酒が入ると母親とのなれ初めを語り、「助けてあげられなかった」と嘆く。放射能汚染で農業ができなくなり、その補償金でパチンコの日々。同じく市役所務めの新田(柄本時生)は、変なカルト教にはまり家庭放棄した祖母と母に代わり、小学生の弟の面倒をみている。スナックで知り合った女子大生に無神経な質問をされて、ひと言では語れない想いが沸き上がり言葉を詰まらせる。一方、大切な思い出の地を写真に収めたいというカメラマン・紗緒里(蓮佛美沙子)との出会いは、新田だけなく多くの人々に思わぬ光をもたらすことになる。
早朝のバスに乗って東京へ向かうみゆきの目に、福島原発からの巨大な送電線やスカイツリーが見えてくる。暗く停滞したままの福島から、明るく何事もないような東京の風景。みゆきを演じた瀧内公美の、風景に溶け込む福島での素朴な顔と、デリヘルの仕事をしている東京での顔の違いに、身の置き所を求めようとする心の隙間に悲哀を滲ませる。デリヘル嬢の送迎担当の三浦を演じた高良健吾の爽やかな眼差しが救いとなる。
それぞれの俳優は役作りのために取材したという。役になりきらなければ臨めないという緊張感のある現場を仕切った廣木監督。常連の役者が殆どだが、主演の瀧内公美は初参加とあって、その緊張たるや如何ばかりか。どんどん痩せていく彼女をスタッフが心配したほどだったとか。だが、その期待以上に実物大の“みゆき”を生きていたように思う。
廣木隆一監督に作品に込めた想いや現場での様子などについてお話を伺った。詳細は下記の通りです。
――年に2,3本は撮っておられるようなお忙しさですが?
新しい企画が出てきた時に僕が撮ったらどうなるか、と言ってくれるプロデューサーたちがいるので、この歳になってもオファー頂けるのはとてもありがたいことだと思っています。
――福島を扱った作品が多い中、物語の背後に映しこまれた情景の豊かさに驚きました。その濃密な映像について?
最初自分で小説を書いている時に、漠然とですが福島の情況について聞いていました。それらをうまく映像化して、2016年に撮った福島の風景を記録できればいいなと思いました。
――誰もいない桜並木や海上から捉えた福島第一原発のシーンだったり、さらには登場人物の背景に汚染土壌置場があったりと、かなり危険な状況の中で生きている現状がリアルに迫ってきましたが?
原発は絶対撮りたいと思っていたところ、禁漁区域になっている海域に漁船を出して下さる地元の人々の協力もあって、ある程度の近さで撮影することができました。それより危険な場所は、入場時間制限のある帰還禁止区域の町でした。桜並木もその町の一部で、住民の皆さんは未だに仮設住宅などで避難生活をされています。
美術監督の丸尾さんがいわき出身でその人脈にかなり助けられ撮影できてます。
――未来を見出せずにいる人々の情況が痛い程滲み出ていましたが、みゆきがデリヘルの仕事を選んだ理由が今一つよく理解できませんでした?
三浦との関係は恋愛でも何でもなく、ただ“いい人”という存在です。原作では説明しているのですが、映画では特に説明はしていません。ただ、彼女の“決意”が見えればいいかなと思いました。
――「内面に悩みを抱える女優を選びたかった」といって、瀧内公美さんを選んだ理由は?
瀧内さんはいろんな映画に出ていて、自分の年齢や役の大きさなど役者としての悩みを抱えていました。単純に芝居が巧いとかの理由ではなく、そういう内面性を持った女優がいいなと思ったのです。みゆきの気持ちを理解して役になりきってくれればいいなと。
――みゆきの日常を描くのにお料理するシーンが多かったようですが?
瀧内さん自身はそんなまめに料理するようなタイプではないかも知れませんが(笑)。でも、みゆきが食事をきちんと作るような娘だと思ってもらえるよう理解して演技してくれました。
――父親が補償金をパチンコにつぎ込んだり、霊感商法に騙されそうになったり、ネガティブな題材が多いように感じましたが?
すべて小説を書いている時に聞いた事柄です。
――それまでパチンコばかりしていた父親がトラクターで畑を耕しているシーンに込めた想いは?
補償金をパチンコにつぎ込んで一見愚かに見える父親ですが、彼にも前向きに生きようと思うまでの時間が必要だったということを理解して頂ければいいなと思います。
――新田がスナックで出会う女子大生とカメラマンの沙緒里との対比が面白いと思いました。他所から来た者の無神経さが示されていたようですが?
震災後のドキュメンタリーやニュースなどで「今のお気持ちは?」と被災者に普通に訊いて聞いているのを見て、「それはどうかな?」と疑問に感じていました。シナリオライターの加藤正人と相談しながら被災者と温度差の違いを描いていきました。
――東日本大震災の被災者の皆さんは地域によって復興の仕方が違いますね。特に、福島の場合、放射能汚染という問題を抱え、即復興に踏み切れない特別な事情があります。現実問題として本作を通じて特に見てほしい点は?
全部です。福島で静かに生活している人々の生活の中に、今の日本の様々な矛盾や問題を含む現状が表れていると思うのです。どこにいても起こりうる問題として読み取ってほしいです。
――福島県郡山出身の廣木監督はずっと福島の映画を撮りたいと思っておられたのですか?
そんなことはありません。津波や原発事故が起きなければ福島の映画を撮りたいとは思わなかったでしょう。自分の中で整理しきれない気持ちを小説に書き、映画化するに当たっては客観的な見方を取り入れるために脚本は他の人にお願いして、そして自分で監督したのです。
――福島を描き切った感はありますか?
僕自身、そんなに映画で描き切ったとは思っていません。映画監督をやる上で作品のひとつとして、メッセージ性の強いものを撮ってみたいなと思いました。映画を撮る限り、「生きていくこととは?」をテーマにした作品を創り続けたいと思っています。
――“廣木監督らしい”と言われることについて?
自分らしさを目指している訳ではなく、むしろそれを無くしたいと思っています。サンダンスに留学している時に「廣木が好きなものを撮っているのだから、廣木らしいと言われるのは当たり前でしょう」と言われたことがあり、普通に意識せずに撮っています。映画は、「自分らしさ」より「何を伝えたいか」が重要だと思いますので。
――キャストについて?
高良健吾とは久々だったのですが、役者としての存在感が出てきて凄いなと思いました。撮影中は緊張感を持ってやってもらわないといけないので、特に今回初めてだった瀧内公美は厳しく感じたのではないでしょうか。柄本時生は、彼が14歳の時から公私共に交流がありましたが、近年の成長は著しいですね。光石研さんとは、彼がデビューの頃から知っていますが、今までの人生を役に反映できるいい役者さんだなと思っています。
――役柄になりきらせるための工夫は?
現場で自分の考えが変化するかもしれないので、自分の考えを理解してくれる役者さんがいいと思いました。東京から新幹線に乗ってやって来てタイトな時間で演技するのではなく、なるべく現場で過ごして、役柄の意味を汲み取ってほしい。ですが、僕は打ち合わせや相談などはしません。現場で悩んでいても仕方ないので、取りあえずやってもらいます。台本読んでイメージ膨らませて演技するのがプロの役者さんなんですよ。
(河田 真喜子)

~第二次世界大戦後のポーランド、悲劇を乗り越え、新しい命のため一つになる女性たちの絆~
■ポーランドでは、悲しい歴史を引きずっている雰囲気を感じた。
■女性に対する暴力は戦時中も今も起こっている。その状況下で女性たちがどのように再生していくかが大事。
■マチルド役の演出は、とにかくクールに。
「目の前の状況、戦争や修道院の悲惨な状況に飲み込まれてはいけない」

■マチルドと修道女たちは違う世界にいるように見えても、「命を大事にする」という同じ目標に向かっていた。
■根っこの部分で命の大事さや愛という信念があれば、考え方が違っても相互理解できる。
“だまされたいオトコNO.1!”ディーン・フジオカ主演映画『結婚』舞台挨拶
ゲスト:ディーン・フジオカ(36) 、西谷真一監督(57)
(2017年6月13日(火)なんばパークスシネマにて)
『結婚』
■2017年 日本 1時間58分
■原作:井上荒野「結婚」(角川文庫刊)
■監督:西谷真一 ■脚本:尾崎将也
■主題歌:DEAN FUJIOKA「Permanent Vacation」(A-Sketch)
■出演:ディーン・フジオカ、柊子、中村映里子、松本若菜、安藤玉恵、古舘寛治、萬田久子、貫地谷しほり
■公式サイト: http://kekkon-movie.jp
■©2017「結婚」製作委員会
■2017年6月24日(土)~テアトル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、109シネマズHAT神戸 他全国ロードショー
きらめく満面の笑顔で登場!
ディーン・フジオカの完璧な美しさこそ、罪だ。
すべてをトロけさせるよなディーン・フジオカの笑顔に、大阪の街はひときわ明るくきらめいた。NHK朝の連続小説「あさが来た」(2014年~2015年)で、ヒロインに大きな影響力をもたらす五代友厚役を演じ一躍“時の人”となったディーン・フジオカ。それまで台湾や香港などアジアを中心に活躍してきた逆輸入タイプのスターだ。今後、語学力や音楽など多方面の才能を活かして日本での活躍が期待されている。そんな完璧なビジュアルと才能を持つディーン・フジオカが結婚詐欺師役に挑戦!・・・「そりゃダマされるでしょう?いや、ダマされたい!」と思えるようなストレートなキャスティングだが、古海健児(うるみけんじ)という結婚詐欺師の悲哀をスタイリッシュな役作りで浮き彫りにしていく。
現代劇でありながら、どこか昭和の雰囲気のするメランコリックな感覚で表現したのは、「あさが来た」の演出を手掛けた西谷真一監督。ディーン・フジオカとは3回目のコラボ。結婚詐欺師とはいえ、女たちを最高に幸せな気分にさせて一律100万円をせしめるという手法。騙された女たちは、お金の問題より、古海健児を愛するあまりその真意知りたさに彼を追い駆ける。男も魅了されるというディーン・フジオカの色気が、女優陣がかすむほどの美しさでスクリーンを駆け抜ける。
6月24日(土)の公開を前に開催されたなんばパークスシネマの先行上映会では、主演のディーン・フジオカと西谷真一監督が舞台挨拶のため登壇。超満員の会場は割れんばかりの歓声に包まれ、すっかり「五代様」が板についたディーン・フジオカに、「おかえり~!」の声援が上がった。詳細は以下の通りです。(敬称略)
――ハードな撮影だったのでは?
監督:撮影期間は予備日なしの2週間でした。ディーンさんからもアイデアを頂きながら撮影を進めました。
ディーン:監督とは3回目のコラボとなりましたが、ディスカッションしながらアイデアを出していきました。
――最初に結婚詐欺師という役を聞いてどう思いましたか?
ディーン:犯罪者か…? でもやりましょう。どんな作品でも監督が選んで下さるのならやりたい。
監督:原作の主人公・古海健児は40代半ばの背の低い男なんですが、それをディーンさんがされたら、古海健児というキャラクターが引き立つのではと思いました。
――撮影終わってどんな気持ちでしたか?
ディーン:不思議な感じでした。2週間「古海健児」として生きて、とても密度の濃い日々でした。今回主題歌も担当させて頂いたので、すべてがひとつの作品に仕上がったときには、感無量でした。
――ディーンさんのアイデアも色々取り入れられたとか?
ディーン:シャインマスカットは僕の好物なんで、提案しました。シャインマスカットの美し過ぎる色や形、まるで人工物みたいに甘くて美味しい、食べ終わった後の茎のシュールさもいいなと思ったんです。
――ピアノを弾くシーンではとてもエレガントに弾いておられましたね?
ディーン:ただピアノを演奏するだけなら練習すればある程度はできると思います。今回は、ピアノを弾きながらセリフを言い、さらに相手の松本さんのセリフに呼応するという、とても難易度の高いシーンでした。普通は予め音を録っておいて、それを聴きながら演技をするケースが多いのですが、まるでミュージカルの舞台をやっているようでした。
――ディーンさんがNHK朝の連ドラ「あさが来た」(2014~2015)に出演されていた頃に比べて凄いなと思われた点は?
監督:元々凄い人だなと思ってましたが、さらに大きくなっていかれる方だと感じています。
――監督から見たディーンさんの魅力は?
監督:僕が言うのもなんですが、「色気」ですね。男でもコロッといくような色気は、他の俳優さんには無いものです。
――どのシーンでそう感じましたか?
監督:全部です。観る方によって感じ方も違うと思うので、全部のシーンが凄いです。
――撮影中“びっくりぽん!”のような出来事はありましたか?
ディーン:アイデアを出したりディスカッションする中で予定外のシーンを踏み込んで撮影したり、その場でいろんなことを試して、すごくライブ感のある撮影現場でした。
――今回の役は多くを語らず目線や動きで表現していますが?
ディーン:そうですね、ジェスチャー表現は多かったですね。ひとつひとつの動作に意味を持たせることに監督と相談しながら演じました。例えば、手で髪の毛を触るにしても繰り返していると法則性ができ、そこに情緒が生まれます。ポケットに手を入れる立ち方にしても、グラスの持ち方やコスチューム・小道具など、シンボルとなるものにこだわりました。
――この映画を通じて、結婚っていいものだなと感じることは?
ディーン:普段一緒に住んでいないので、家族が居る所が僕の帰る場所だと実感できたことでしょうか。
――主題歌について?
ディーン:最初から主題歌を担当させて頂くことは聞いておりました。リフを刻むことが古海健児のうごめいている心情を表現できるように、歌詞も彼の日常をもとにテーマを込め、言葉を突き抜けていく音みたいで手応えを感じました。NHK連ドラ「あさが来た」から始めようと思い、言葉遊びになるように「あさが来てからスタート」というスタンスで作りました。当時の連ドラの関係者の方にも聴いて頂きたいとメッセージを込めました。監督さんからも映画を〆るような歌になるようにとのオファーを受けておりましたので、作品の内容をちゃんと受け止めてもらえるように、物語を引っ張っていけるような曲を作りました。
――ディーンさんの今後に期待することは?
監督:できれば続編を作りたい。あるいは、「やすらぎの郷」ではありませんが、高齢の女性とのラブストーリーも作りたい。
――大阪はどこがお気に入りですか?
ディーン:北浜の証券取引所の前を車で通るだけでも、「五代友厚」と心の中で対話をしてしまいます。大阪に着く度に思うのですが、風水を考えて作った街というのはエネルギーを感じて元気になれます。歩いているだけでも気持ちいいです。
――お好きな関西弁は?
ディーン:お気に入り・・・?(「そやな~」「すきやで~」「ほんまやで」等々と会場から声がかかる)
監督:大阪は独特です。大阪は東京と違って情がアツイ。住めるもんなら住みたい!
(最後のご挨拶)
監督:1回目はストレートに観て頂いて、2回目は古海健児の気持ちで、3回目は女優陣の気持ちで観て頂きたいです。できれば3回観て頂きたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
ディーン:3回と言わず、何回でも観て頂ければ嬉しいです。古海健児がこの後どうなっていくのか?主題歌が流れる最後までじっくりと観て頂きたいです。本日は本当にありがとうございました。
これほど笑顔を絶やさないゲストは初めて。会場のお客様の声援にも笑顔で応え、司会者の質問にも言葉を選びながら慎重に答え、西谷監督への敬意を欠かさず、取材する側もこんなに気持ちのいい取材は珍しい。周囲の人々すべてをハッピーにするディーン・フジオカに、改めて魅了されてしまった。
(河田 真喜子)
『こどもつかい』オリジナル 「ウェストポーチ」プレゼント!
■提供: 松竹
■プレゼント人数: 3名様
■締切日:2017年6月30(金)
■公式サイト: http://kodomo-tsukai.jp/
2017年6月17日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー
『呪怨』シリーズをはじめ数々のヒット作を生み出した清水崇監督が、完全オリジナルストーリーで贈る最新作。“こどもつかい”役には、本作が映画初主演となる滝沢秀明。“こどもの霊”を操り、こどもに怨まれたオトナの命を奪うミステリアスなキャラクターを怪演。特殊メイクにも挑戦し新境地を開く!
共演には、連続不審死事件の謎に迫る記者・駿也役に有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、駿也の恋人で、ふとしたことからこどもに怨まれてしまう尚美役に門脇麦とフレッシュなキャストが揃い、体当たりの演技で“こどもつかい“と“こどもの霊“に立ち向かい、恐怖の限界へ挑戦!
【STORY】
新人記者の駿也は、郊外で起こった連続不審死事件を追ううちに奇妙な偶然に辿りつく。小さなこどもが失踪した3日後に、その周りの大人が死んでいるのだ。死んだ大人たちはこどもに怨まれていたという。街の人々の間に広がる、“こどもの呪い”の噂。これは、事件なのか?呪いなのか?そして、駿也の恋人・尚美がふとしたことでこどもに怨まれ、“こどもの呪い”が現実に迫りくる。尚美を守るため呪いの核心に近づこうとする駿也だが、2人の前に現れたのは、謎の男“こどもつかい”。男の笛の音と共に、物影から、廊下の奥から、そして背後から、次々に“こどもの霊”が現れ、襲い掛かる・・・!“こどもつかい”とは何者なのか?果たして2人は、この“呪い” と“怨み”から逃れることができるのか―。
・出演:滝沢秀明 有岡大貴 門脇麦 尾上寛之 河井青葉 田辺桃子 中野遥斗 玄理 山中崇 吉澤健 西田尚美
・監督:清水崇 ・脚本:ブラジリィー・アン・山田 清水崇 ・音楽:羽深由理
・製作:「こどもつかい」製作委員会
・企画・配給:松竹 製作プロダクション:松竹撮影所 ©2017「こどもつかい」製作委員会
2017年6月17日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、他全国ロードショー
「すべての人々へのラブレター」『光』舞台挨拶
登壇者:永瀬正敏(50歳)、河瀬直美監督(47歳)
(2017年6月3日(土)梅田ブルク7にて)
『光』
■(2017年 日本 1時間42分)
■監督・脚本:河瀨直美
■出演:永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、小市慢太郎、早織、大塚千弘、大西信満、堀内雅美、藤竜也他
■作品紹介⇒ こちら
■公式サイト⇒ http://hikari-movie.com/
■ (C) 2017 “RADIANCE” FILM PARTNERS / KINOSHITA、COMME DES CINEMAS、KUMIE
■2017年5月27日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー
第70回カンヌ国際映画祭 エキュメニカル審査員賞受賞
5月29日(日本時間)に閉幕した第70回カンヌ国際映画祭から帰国したばかりの河瀨直美監督と主演の永瀬正敏さん。カンヌの常連でもある河瀨監督は、人間の内面を豊かに描いた作品に与えられる《エキュメニカル審査員賞》を日本人女性監督として初受賞。視力を失ったカメラマンとボランティア女性との心の触れ合いを通して、不安や悲しみ、絶望の先に生きる光を見出していく感動作『光』は、日本でも5月27日に公開されたばかり。河瀨監督と永瀬正敏さんのお二人は初日の舞台挨拶には間に合わなかったものの、作品に込められた思いやカンヌでの興奮と感動の日々について、各地の劇場をまわって伝えようとしています。
この日開催された大阪の梅田ブルク7では、カンヌ国際映画祭エキュメニカル賞受賞のお祝いに観客から花束が贈呈されました。詳細は以下の通りです。(敬称略)
(最初のご挨拶)
河瀨監督(以降、「監督」と表記):観て頂いたばかりで雅哉と美佐子の想いを噛みしめて頂いていると思いますが、私達もカンヌから帰って来たばかりです。ただいま!(会場から拍手)
永瀬正敏(以降、「永瀬」と表記):こんにちは、永瀬です。本当は私達の方が皆様に花束を差し上げたいくらいです。本日は誠にありがとうございます。
――カンヌ国際映画祭での上映後の反応は如何でしたか?
監督:最高でした!エンドクレジットが流れると共に2300人が心からの拍手をしてくれました。永瀬さんも私も言葉が発せられず涙が止まりませんでした。カンヌ滞在中、どこへ行っても声を掛けられ、一人一人の心の中に沁み込むものがあったことを実感しました。お陰で35か国での上映が決まりました。
永瀬:街中でも国籍が違う方々が立ち止まって、手をグッと握り締めて熱く語って下さいました。今回のカンヌは今までとは違いました。「伝わっている!」と実感できました。
――永瀬さんは上映後立ち上がれなかったとか?
永瀬:すみません。もっとカッコ良く立ち上がりたかったのですが…。
監督:そんな永瀬さんを拍手で励ましてくれて、こんなにも映画が人々を熱くさせるとは・・・映画のチカラを再認識しました。
――エキュメニカル賞を受賞されましたが、最初にこの報せを聞いたのは永瀬さんだったとか?
永瀬:はい。監督とは連絡がつかないので、私に電話を回してきたんです。もうびっくりしましたよ~。映画祭では最初に発表される賞で、4時間後には授賞式に出なければならなくて、慌てました。
――監督はどこへ行っておられたんですか?
監督:グラースという香水で有名な所へ観光に行ってました。審査員全員一致で決まったということで、何とか間に合うように帰りました。この賞は、キリスト教文化の根強いヨーロッパの作品が受賞することが多いのですが、宗教の壁を乗り越えて、人間として深いところに届く作品として評価して頂いたようです。
――永瀬さんもカメラマンとしてご活躍ですが、主人公の雅哉とリンクすることが多かったのでは?
永瀬:祖父もカメラマンをしていたのですが、戦後の混乱の中、途中で辞めざるを得なくなり、その胸中を思いやることはありました。
監督:雅哉が使っていたカメラにはこだわりました。上からのぞくタイプで、被写体が緊張せずにすむ、人と人が向き合う時の柔らかな表情を捉えられるポートレートに適しているとカメラです。
――様々な表情を捉えられていますが、撮影時意識したことは?
永瀬:意識せずに雅哉として完全になりきらないと監督に叱られますので(笑)。
監督:雅哉の内面に触れていたいと美佐子に思わせる必要があったので、表情の細かな変化も捉えていきました。
――現在、小豆島で永瀬さんの写真展が開催されているとか?
監督:永瀬さんの未発表の作品を雅哉の部屋に飾っていたので、それが完全に復元されているようです。8月まで開催されています。
――心と心が出会う瞬間の人間関係について?
監督:この映画のキッカケは、前作『あん』に音声ガイドを付けることから始まりました。セリフの少ない私の作品に音声ガイドを付ける上で特に大事なことは繊細さです。それを見事に表現されていて、映画への愛を感じました。今度はそんな人を主人公に据えて、人と人が繋がり合えることをテーマにしようと思いました。さらに、カメラマンが視力を奪われる過程で、見ることへの執着心を放棄した時に、新しい光を見出せる。混沌とした時代だからこそ、生きるための光輝くものを見せたいと思ったのです。
(最後のご挨拶)
永瀬:カンヌであるスペインの方に、「この映画は特定の人にだけでなく、すべての人々に対するラブレターだ」と言われた言葉に感動しました。是非このラブレターをリレーにして頂いて、沢山の方に劇場に来て頂ければ嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
監督:そんな“ラブレター”を作って良かった!カンヌのクロージングでジュリエット・ビノシュが、「映画は光、映画は愛」と言ってくれたのが、もうパルムドールに値するほど嬉しかったです。愛とか光とか輝ける方向へ自分たちの心を向けていくことが次の原動力になると思うので、この映画を皆さんと共有していきたいです。
また河瀨監督は、「奈良市を中心に京都・大阪でロケした作品なので、関西の方にもっと沢山観てほしい」と締めくくった。
(河田 真喜子)




