「京都」と一致するもの

HOKUSAI-ivent-550-1.jpg

 

「北斎の生き抜く強さは誰にでもあるはずです。」

柳楽優弥&田中泯 葛飾北斎役/ W主演が北斎生誕の地に登場!

更に世界的書家・紫舟がライブパフォーマンスで大浪披露!

 


■実施日時:5 月 13 日(木)13:00~13:40

登壇者(敬称略):柳楽優弥(葛飾北斎 青年期役)、田中泯(葛飾北斎 老年期役)、紫舟(ゲスト)

■実施場所:江戸東京博物館 大ホール (〒130-0015 東京都墨田区横網 1-4-1)



HOKUSAI-pos-1.jpg代表作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が新千円札のデザインやパスポートに採用されるなど、今なお愛され続ける世界的アーティスト 葛飾北斎。ゴッホ、モネなど名だたる印象派アーティストたちに大きな影響を与え、米 LIFE 誌「この 1000 年で偉大な功績を残した 100 人」に選ばれた唯一の日本人です。この度、そんな北斎の知られざる生涯を初めて描く映画「HOKUSAI」が 5 月 28 日(金)に全国公開いたします。本作は、その人生に関する資料がほとんど残されていない北斎の生涯を、史実や作品が生まれた年代などを繋ぎ合わせて生まれたオリジナル・ストーリーで、今までほとんど語られる事のなかった青年時代の北斎をも描きます。第 33 回東京国際映画祭のクロージング上映を経て、世界中から注目を集める本作。何があっても絶対にあきらめず、90 歳の生涯で 3 万点以上もの作品を描き切った絵師の生き様が、170 年の時を経てスクリーンに描き出されます。


そしてこの度、約 2 週間後と迫った本作の公開を記念して、5 月 13 日(木)に、「大波トークイベント」を実施いたしました!W主演として、葛飾北斎役を演じた柳楽優弥(青年期)と田中泯(老年期)が揃って、北斎生誕の地・東京・墨田区にある江戸東京博物館に登壇!二人は当日、江戸東京博物館所蔵の“あの波”(冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏)を含む貴重な北斎作品を鑑賞し、作品の持つ力強さや北斎が込めた想いを全身に感じながらトークイベントに登場致しました。


HOKUSAI-ivent-550.jpgさらには、世界に向けて日本の文化と思想を発信する活動を続ける書家/芸術家の紫舟がゲストとして登場!2014 年にフランス・ルーヴル美術館地下会場で開催されたフランス国民美術協会展にて「北斎は立体を平面に、紫舟は平面を立体にした」と評され、最高位である審査員賞金賞を受賞した他、アメリカやイタリア、スイス、スウェーデン、エジプトなど各国で作品を展示し、世界に向けて日本文化と思想を発信する活動を続けている紫舟は、本作を見て制作意欲が溢れ出たと話します。


当日は「HOKUSAI」をテーマに全長 2m を超える和紙に「大波」をライブパフォーマンスで披露!カンヌ国際映画祭の男優賞を史上最年少で受賞した柳楽優弥、そして国際的ダンサーとして知られる田中泯と共に、世界的アーティスト葛飾北斎をとことん語り尽くしました。
 


<レポート>

HOKUSAI-ivent-yagira-240-2.jpg

MC の呼びかけで、W 主演で葛飾北斎を演じた柳楽優弥と田中泯がステージに登場! 2019 年に映画の撮影を実施し、昨年 2020 年公開予定だった本作。約 1 年の公開延期を経ていよいよ公開まで一か月を切った本作ですが、北斎の青年期を演じた柳楽は「1 年越しではありますが、こうして公開することができたことを、嬉しく思っています。今まで経験したことのない延期という状況に戸惑いもありましたが、こういう時代の中であるからこそ、『HOKUSAI』という映画が持つ力強さ、生き方様、北斎自身の強靭なエネルギーをこの映画を通して皆さんに伝わると嬉しいです。」

北斎の老年期を演じた田中は「いよいよ公開ですが、まだ 2 年前の撮影の日々が体にしっかりと残っています。全力以上の時間を過ごしていました。今の日本の状況の中でどのように迎えていただけるか正直分からないですが、強烈な情熱が伝わるといいなと思っています。ドキドキしています。」と、思い思いに 1 年越しにいよいよ公開ができる喜び、そして映画への想いについてコメントを寄せました。


イベントの舞台は北斎の生まれ育った東京・墨田区にある江戸東京博物館ということで、現在は休止中ではありますが、特別展「冨嶽三十六景への挑戦北斎と広重」[~6 月 20 日(日)]を登壇前に特別に見てきた柳楽と田中。当時実際に刷られた貴重な浮世絵版画を観た感想について問われると柳楽は「これだけの名作の本物が集結しているという状況にただただ圧倒されてしまいました。1つの作品を描くのにものすごいプロセスや時間を経て描かれたものだということを知り、素晴らしい傑作を見ることができて、とてもパワーをもらいました。


HOKUSAI-ivent-tanaka-240-1.jpg本作のプロモーションでは葛飾北斎が残した様々な本物の作品を初めて見ることができ、とても嬉しいです!」と話し、田中は「とっても驚きました。小さい頃に、マッチ箱に全部印刷された『冨嶽三十六景』があって、一生懸命集めていたんですが、(実物は)マッチ箱の大きさと違って、小さい人が克明に掛かれていてやっぱり北斎はすごいと改めて思いました。」と興奮気味に語ります。


さらに、柳楽は「90 年という生涯を通して絵を描くことに没頭し続けて、70 歳になってもまだ満足していないという生き様をかっこいいと思いました。(田中)泯さんも 10 代から踊りをずっと続けられていて、1つのことに向き合い続けて活躍されている大先輩の方たちを見ると勇気をもらえます。」と北斎の作品を目の当たりにして、北斎の絵に懸ける情熱を感じとった様子を語った。それを受け、田中も「比較にはならないんですが、驚異的ですよね。『あと5年あったらもっといい絵がかける』と言っているけれども恐らく 5 年たっても同じことを言うと思う。果てしないものに立ち向かっているというか、想像を絶する情熱は本当にすごい力だと思います。」と、北斎の生き様に圧倒されたと尊敬の念を込めて語りました。


HOKUSAI-ivent-shishu-240-1.jpg続いて、本日の特別ゲストである書家、芸術家の紫舟が登場!映画を観た後に制作意欲が沸々と湧き、一気に大きな和紙に 70 もの作品を描いたことを明かし、「生きる力をたくさんもらえた映画です。」と北斎からエネルギーを得たとコメント。また、柳楽の演技について最も難しい所作が美しく、「プロになると呼吸と線が合ってくるんですが、柳楽さんの筆は呼吸をしているようでした。絵描きは手にも目がないと描けないのですが、柳楽さんの手には目がついていて美しい所作で見とれてしまいました。」と大絶賛!


東京藝術大学の方を講師につけて役作りをしたという柳楽は、それをうけて照れ笑いをする一幕も。田中のファンと語る紫舟は、劇中、田中が演じた老年期の北斎について「物理的に存在するものではなく、目では見えないものを描こうとしているんですが、風を見つけたときの狂気に満ちた(田中)泯さんの笑顔が頭に残っています。北斎が表現したいものに出会って、狂気の笑顔になったんじゃないかな。」と田中が演じた北斎の印象に残ったシーンについて語りました。


それを受け田中も「風は目には見えないです。自分のことになってしまうけど、踊りは目に見えるけど、目の前にないものを表現しようとしているので、踊りに対する目線に近いのかなと思います。」と北斎の絵と自身の踊りの共通点を明かしました。


HOKUSAI-ivent-shishu-500-1.jpg本作を観て創作意欲が湧き出たと話していた紫舟ですが、今回特別に『HOKUSAI』をイメージした作品をライブパフォーマンスで披露してくれることに!マスコミ陣が見守る中、“生き抜け”という文字とともに、北斎の作品「神奈川沖浪裏」を彷彿させるダイナミックな波に、カラフルな配色がされた絵が完成されました!紫舟は「私たちは非常に困難な中にいますが、この映画でもう一回立ち上がってみよう、踏ん張ってみようという気持ちになり、波を起こして、太陽のような光の色である赤や黄色を入れて“生き抜け”というメッセージをいれさせていただきました。」と絵について説明します。


HOKUSAI-ivent-yagira-240-1.jpg柳楽は「圧倒されました、生き抜けという言葉はこの時代に響く。北斎を通して生命力を感じます。」と語り、田中はただただ一言「いいですね。」と本日 1 番の笑顔を見せながら紫舟の生命力に溢れた絵にパワーをもらった様子だった。


最後に公開を待つ人々に向けて柳楽は「本当に大変な状況ではありますが、この映画を通して、北斎の様に強い生命力を持つことや「生き抜く」という力強さを感じることができました。北斎のメッセージは今の時代にとって必要なことであると今日のイベントを通して改めて実感しました。劇場でぜひご覧ください。」

 

HOKUSAI-ivent-tanaka-240-2.jpg

田中は「老年期から最後まで演じさせていただきましたが、北斎は特別なことをして過ごしたわけではなく、好きなことを精一杯やって、運良く全うできた人だと思います。生き抜く強さは人によって差があると思いますが、みんな同じように持っていると思います。うまく発揮できるかできないかは、私たちは考え続けていかなければいけない。北斎の生き抜く強さは誰にでもあるはずです。」とコメントを寄せ、本作と、本作で描かれる北斎の生き様の力強さをアピールしました。

 

 

※江戸東京博物館公式 HP:https://edo-tokyo-museum.or.jp
 


HOKUSAI-main-500-1.jpg

<STORY>

何があっても絶対に諦めず、描き続けた、その先にー。

腕はいいが、食うことすらままならない生活を送っていた北斎に、ある日、人気浮世絵版元(プロデューサー)蔦屋重三郎が目を付ける。しかし絵を描くことの本質を捉えられていない北斎はなかなか重三郎から認められない。さらには歌麿や写楽などライバル達にも完璧に打ちのめされ、先を越されてしまう。“俺はなぜ絵を描いているんだ?何を描きたいんだ?”もがき苦しみ、生死の境まで行き着き、大自然の中で気づいた本当の自分らしさ。北斎は重三郎の後押しによって、遂に唯一無二の独創性を手にするのであった。


ある日、北斎は戯作者・柳亭種彦に運命的な出会いを果たす。武士でありながらご禁制の戯作を生み出し続ける種彦に共鳴し、二人は良きパートナーとなっていく。70 歳を迎えたある日、北斎は脳卒中で倒れ、命は助かったものの肝心の右手に痺れが残る。それでも、北斎は立ち止まらず、旅に出て冨嶽三十六景を描き上げるのだった。そんな北斎の元に、種彦が幕府に処分されたという訃報が入る。信念を貫き散った友のため、怒りに打ち震える北斎だったが、「こんな日だから、絵を描く」と筆をとり、その後も生涯、ひたすら絵を描き続ける。描き続けた人生の先に、北斎が見つけた本当に大切なものとは…?

今だから、見えるものが、きっとあるー。
 


<CREDIT>

出演:柳楽優弥  田中泯  阿部寛  永山瑛太  玉木宏  青木崇高  瀧本美織  津田寛治
監督:橋本一 / 企画・脚本:河原れん
配給 S・D・P / コピーライト:©2020 HOKUSAI MOVIE
公式 HP:www.hokusai2020.com /
SNS:@hokusai2020 ハッシュタグ「#映画 HOKUSAI」

2021年5月28日(金)~全国ロードショー!!


(オフィシャル・レポートより)

 

 

FUNNY BUNNY初日オフィシャル (2).jpg

世界なんて、想像力で変えられる

【監督】飯塚健×【主演】中川大志

映画『FUNNY BUNNY』《4/29(木・祝) 

初日舞台挨拶レポート


2012年、青山円形劇場で上演され、大きな反響を呼んだ、飯塚健監督のオリジナル戯曲を映像化した映画『FUNNY BUNNY』が、4/29(木・祝)より全国の映画館とauスマートパスプレミアムにて同時に上映、および配信されました。本来、この日には東京都内3カ所の映画館で、主人公・剣持聡役の中川大志、剣持の親友・漆原聡役の岡山天音、そして飯塚健監督が登壇する初日舞台あいさつを行う予定でしたが、東京都の緊急事態宣言発令の状況等を鑑み、別会場での無観客イベントに切り替えて実施。この様子はイベント後、YOUTUBEにて配信予定となっています。



■日にち:4月29日(木・祝) 13:00~13:40 ※無観客での実施

■会場:スペースFS汐留 (港区東新橋1-1-16 汐留FSビル3F)

■登壇予定:中川大志、岡山天音、飯塚健監督(敬称略)
 



ステージに登壇した中川は「本当なら劇場で、お客さまの前で舞台あいさつの予定でしたが、こういう状況下ですので。このような形で初日を迎えることになりましたが、まずは作品を届けられることに感謝しています」とあいさつ。岡山が「こういった形での舞台あいさつは珍しいと思いますが、皆さんの目に届くということで、映画を楽しんでいただけたらと強く思っております」と続けると、飯塚監督も「この場に立つと、やはりお客さまの顔を観て、あいさつをしたかったなという思いもありますが、ようやく公開なので。よろしくお願いします」と呼びかけました。


メイン.JPG今回の、岡山との共演について中川は、「5~6年前にドラマのゲストでご一緒しまして。もちろん同じシーンもあったんですが、そんなにガッツリと絡むという役柄ではなくて。だからその時はほとんどしゃべることがなかった。だから僕にとって天音くんはベールに包まれた感じで。もちろんいろんなところで共通の知り合いがいて。今までは人を介して天音くんの話をいろいろと聞いていたんですけども、現場でガッツリと一緒にやらせていただくのは初めて。とにかく僕も大好きな役者さんなので嬉しかったですし、楽しかったですね」とコメント。


一方の岡山も「現場で、共演する俳優さんとガッツリ台本だったりお芝居について話すことって意外とないことなので。だから何かそういった意味でも貴重でしたし、最初に共演した頃から考えると、だいぶ近くなったなという感じがありますね」と返すも、中川は「でも今日、久々に会ったら若干距離を感じるというか。リセットされたというか。あんなに密な関係だったのに」とちゃかした様子でコメントを返した。


その言葉に、岡山も「忘れていないですよ。最初に共演した時は10代でしたが、その時から大志くんは世の中に認知されている方でした。本当にスマートな印象だったんですけど、今回は剣持をやられているからかもしれないですけど、剣持のお芝居に対して本当に愚直かと思えば、とてもピュアな部分もあって。前回(のドラマの撮影)が数日だったというのもあるんですけど、今回はそのイメージがものすごくひっくり返った印象ですね。大志くんがいないところで、大志くん大好き、という話をするくらいになりました。すごく恥ずかしいですけど、ファンです」とコメント。その言葉に中川も「僕も大好きです」と笑顔で返答。そんな二人の信頼関係を目の当たりにした飯塚監督も「よくぞこの二人がそろってくれたと思いますよ」としみじみ付け加えました。


サブ2.JPG本作の劇中では、剣持と漆原のエネルギーがぶつかり合うような、キスシーンがある。そのシーンについて「あのシーンの前はめっちゃ、うがいしましました。嫌われたくないと思って」と笑う岡山に対して、中川も「忘れられないですね、あの感触が。ちょっと目覚めそうになりました。いろんなものがパッと出ました」とコメント。ただし、お互いに感情的になっているというシーンだったため、「意識が吹っ飛んでいるような感じでしたね。何も覚えていないです」と中川が振り返ると、岡山も「キスシーンって緊張しますけど、あれだけ印象に残らないというか、感触を覚えていないキスシーンもはじめてですね」と述懐。飯塚監督も「あれはキスシーンというジャンルじゃないですね」と付け加えた。


そんな二人に対して、ファンからの「続編を希望します」という声が読み上げられると、中川は「映画『FUNNY BUNNY』は、図書館とラジオ局が舞台のエピソードですが、ほかにもエピソードがありますので、このメンバーで続編ができたら、どんなに楽しいだろうと。やっていく中でもそう思いましたし、完成した作品を観た中でもそう思いました。またやれたらいいなと思います」と続編に意欲的なコメント。岡山も「同じくですが、『FUNNY BUNNY』の舞台版の映像を見ていた当時は僕が参加するとは思っていなかったので、続編があるなら参加したいです」とこちらも意欲的なコメント。そんな二人の言葉に飯塚監督も「嬉しいですね。やれたらいいですね」と笑顔を見せた。
 


【あらすじ】 
WEB用チラシ表面.jpgとある図書館に「強盗」しに現れた二人の愛くるしいうさぎ。目的は「絶対借りられない本」を見つけること・・・はぁ!?だが、あっという間に形勢は逆転し、捕らえられてしまう。観念した剣持と漆原から事の真意が明かされる。「絶対に借りられない本の中に、宝の地図が隠されている」。そこに秘められた驚愕の真実とは!?月日は流れ、図書館で出会った五人は、またしても剣持からのとんでもないミッションをするハメに。それはラジオ局を「襲撃」し「電波」を盗むこと。剣持から語られたのは、まったく売れなかったバンドと幻の名曲に秘められた哀しい真実。果たして無事にクリアできるのか? DJブースのマイク前に立つバンドによる、最後の曲が流れ始めるー。


■出演」中川大志 岡山天音 / 関めぐみ 森田想 レイニ ゆうたろう / 田中俊介 佐野弘樹 山中聡 落合モトキ / 角田晃広 菅原大吉  
監督・脚本・編集:飯塚健  
2021年/日本/103分/カラー/ビスタ/5.1ch/
■公式サイト:  https://funnybunny-movie.jp
原作:舞台「FUNNY BUNNY -鳥獣と寂寞の空-」(演出・脚本 飯塚健 /青山円形劇場、 2012)
小説「FUNNY BUNNY」(飯塚健/朝日新聞出版)
製作:KDDI 制作プロダクション:ダブ 
配給:「FUNNY BUNNY」製作委員会
■(C)2021「FUNNY BUNNY」製作委員会

映画 & auスマートパスプレミアムにて公開中


(オフィシャル・レポートより)

ポスター画像.jpg
 

映画『ブータン 山の教室』✖ JICA関西 コラボ企画

 
ヒマラヤ山脈、標高 4800 メートルにある秘境ルナナ村に響くブータン民謡。都会から来た若い先生と、村の人たちと子どもたちの心の交流を描いた感動作が4月30日(金)に公開致します。公開を記念して、関西では中々味わえないブータン料理を兵庫県にあるJICA 関西食堂とのコラボ企画として提供します。「世界一辛い!」と言われるブータン料理を日本の味覚に合うように辛さをマイルドに調整しています。
 
さらに、本作の場面写真を JICA 海外協力隊のブータンに派遣時の活動写真とともにご紹介するパネル展を開催!ブータンの民族衣装などの展示も予定しております。
 
「食べて体験!」開発途上国のエスニック料理はいかがですか?JICA が招聘する途上国からの研修員のための食堂ですが、一般の方含め、どなたでもご利用になれます。
 


食堂の写真.jpg■実施店舗 JICA 関西食堂 (兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通 1-5-2)

■販売期間 4月26日(月)~5月31日(月)

■営業時間 ランチ 11:30~14:00 ディナー 17:30~

※ディナー営業については、政府の「まん延防止等重点措置」の適用を受け、時間を短縮して営業をしています。

 


映画 『ブータン 山の教室』

思いがけない場所で見つけた、 生きることの喜び 

メイン.jpg

教師のウゲンは、歌手になりオーストラリアに行くことを密かに夢見ている。だがある日、上司から呼び出され、標高
4,800 メートルの地に位置するルナナの学校に赴任するよう告げられる。すぐにでもルナナを離れ、街の空気に触れたいと考えていたウゲンだったが、少しずつ自分のなかの“変化”を感じるようになる。
 

4月30日より梅田・京都にて、5月7日 より神戸にて公開


コラボメニュー ブータン料理

ブータン料理.jpg

「世界一辛い!」ブータン料理を日本人が食べやすいようにマイルドにアレンジ!
映画の余韻に浸りながら
ホットな料理を堪能できます♪
 
 
〈メニュー〉
・紫黒米入りごはん
・パクシャパ(豚肉と大根のピリ辛炒め煮)
・プタ(焼きそば)
・ヘンツェジャジュ(唐辛子と青菜のチーズ風味スープ)
 

(オフィシャル・リリースより)

damashie-bu-550-2.JPG

◆4月9日(金)@大阪ステーションシティシネマ スクリーン1<客席50%>

登壇者:大泉洋 吉田大八監督(敬称略)

 

この映画のようなカッコいい大人になりたい!

大泉洋 史上最高の見せ場のオンパレード!

 

damashie-pos.jpg

大泉洋という俳優の底知れぬ多面性を「これでもか」と活かした作品。大泉洋が出演しているだけで、その作品の面白さを期待して観客は劇場へと足を運ぶ。アイドル顔負けの超人気俳優。「罪の声」の著者・塩田武士が、大泉洋を主人公にあて書きして小説を書いたなどと、前代未聞!役者冥利に尽きるというもの。それを、『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』など、俳優をキャラクターに活かした演出で存在感を引き出す吉田大八監督が実写映画化!


不況にあえぐ出版社の起死回生を、騙し騙されのどんでん返しで翻弄するが、それだけではない。大泉洋に負けないクセモノ揃いの俳優陣が、急展開を繰り返す物語を分かりやすく演じ分ける。演じる方も観る方も真剣勝負の騙し合いバトルの勃発である。先の読めない逆転連発エンターテインメントで、公開以来大好評を博している『騙し絵の牙』。そのヒット御礼として《ダマキバ感謝祭》と銘打って、大阪ステーションシティシネマにおいて舞台挨拶が行われた。登壇したのは、4月3日に48歳になったばかりの大泉洋と、吉田大八監督。新型コロナ感染拡大の折、徹底した感染対策で、観客の前に登場したゲストに惜しみない拍手が贈られていた。

以下は、舞台挨拶の詳細です。
 



――公開後初めての舞台挨拶となりました。ご挨拶をお願いします。

damashie-bu-oo-1.JPG

大泉:今日はご来場頂きましてありがとうございます。舞台挨拶といいますと東京でやりがちですよね。でも、私は大阪に行きたい!この感謝の気持ちを大阪の皆さんにお伝えしたい!今日はこのためだけに大阪にやってまいりました。(会場から笑い声が)実は、TEAM NACSのお芝居を大阪で公演中でして、大阪に居る訳ですが…(笑)

今日は映画をご覧頂いた後なので何を話してもいいということですが、マスコミの方がいらっしゃるのでネタバレになっちゃいませんか?このままずっと喋ってると、吉田監督が何しに来たのか分かんなくなっちゃいますので、この辺でご挨拶はお終いにしたいと思います。本日はよろしくお願い致します。

 

 

damashie-bu-yo-1.JPG

吉田監督:今日はどうもありがとうございます。コロナ禍の中でこうして観に来て下さったお客様を見ると、感謝の気持ちでいっぱいでございます。公開してからいろんな方から感想を頂いているのですが、「面白かった!」と熱烈な感想を多く頂いて、届くところには届いているな、と手応えを感じております。今日はよろしくお願い致します。

 

――大泉さんもいろんな反響を頂いてますか?

大泉:はい、沢山頂いております。関係者の方から直接感想を聞くことはあまりないのですが、この映画については「面白かった!」と仰って頂いております。取材を受けている時、本気で面白いと言ってるかどうか、何となくわかるんですよ。それが、心から面白いと思って下さってるなと感じます。後は、ウチの親父ですね。まず感想メールなんて寄こさないのですが、珍しく「大変面白く拝見いたしました」とメールが来たんですよ。あれね、最近スマホ換えたんで、メール送れるかどうか試しただけなんじゃないかな(笑)。母は、1作前の『新解釈・三国志』について怒りましてね、「何にも面白くない!なんであんなにふざけてんだ?」ってね(笑)。母には理解できなかったみたいで。でも、今回の映画は大変喜んでました。「こういう映画に出なさい」って言ってました。


damashie-bu-oo-2.JPG――Twitterのコメントで、「あっという間に、ラスト!」「洋ちゃん、カッコいい!」とか「髪の毛くるくるしてないし、氷魚くんと並んでも負けてなかった」と大絶賛なんですが?

大泉:こういうの書いちゃうと、〈どうせ大泉洋のファンが書いたんだろう〉と思われて、中々響かないんですよ。 「“洋ちゃん”って書いちゃダメ!ファンじゃないフリをして書きなさい!」ってね!(笑)


――吉田監督は、Twitterで何か気になるコメントはありましたか?

吉田監督:今回は俳優を褒めて頂くことが多くて、自分の映画でも一番手応えを感じる声ですね。


――ここで、松岡茉優さんからのお手紙を読ませて頂きます。

大泉:あら、茉優ちゃんから!? 宣伝部に「書け!」って言われたんでしょうね(笑)

(松岡茉優の手紙):ご来場の皆様、本日はお越し頂きまして誠にありがとうございます。「もう二度目だよ~」という方もいらっしゃるのではないのでしょうか。本作の見所は〈どんでん返しの騙し合いバトル〉ということで、二度目も三度目も楽しんで頂けるのでは、と思っております。そして、その後ロングラン大ヒット舞台挨拶で、大泉洋さんと北海道へ行きたいのです。大泉洋さんを北海道の大地がどう迎えるのか目撃したいのです。吉田監督も北海道へ行きたいですよね?


damashie-bu-oo-4.JPG――というお手紙を頂きましたが?

大泉:それは是非北海道へ行って美味しい物でも食べたいですねぇ。でも、茉優ちゃんが思ってるほど私は北海道で熱烈に迎えられる訳ではありませんよ。東京で活動し始めた頃に出演した映画の舞台挨拶で、他の会場ではワ~っと大歓迎だったので北海道ではどうなるのでしょう?と、いざ北海道へ行ってみたら、もの凄く会場が静かだったんですよ(笑)。北海道の人にしてみれば、私を見る“ありがたみ”というのがそんなに無いんですよね。ずっと見てますから。親戚の叔父さんみたいな感じで落ち着いて見守ってくれているという感じなんです。

――吉田監督も行きたいですよね?

吉田監督:はい、行きたいです。北海道に限らず、観て頂けるのならどこへでも行きたいです。


――実は、大泉洋さんは4月3日にお誕生日を迎えられました!

(観客から大拍手でお祝い!吉田監督からはお祝いの花束を贈られる)

吉田監督:48歳? 48歳は47歳とは大分違いますから、頑張って下さい。

大泉:はいはい、誰でも分かることです(笑)

damashie-bu-oo-3.JPG


――お誕生日には何をしておられましたか?

大泉:現在公演中のTEAM NACSのお芝居で大阪入りした日で、いつもの代り映えのしないバカな4人と一緒に稽古してました。

――皆さんから何かサプライズみたいなものはなかったのですか?

大泉:いや~、何も~、“おめでとう”すら聞いてないです。でも、スタッフが、リハーサル中の休憩の時に、いきなり私にスポットが当たりまして、リーダーが「古畑任三郎みたいだぞ!」って言うもんだから、任三郎の物まねみたいことやっていたら、♪ハッピーバースデー♪の曲がかかって、可愛らしいケーキを用意してくれましたので、皆で食べました。

――それでは、抱負だけお聞かせ願えませんか?

大泉:いいんですか?私はいろんな所で抱負だけを語る男なんでね(笑)

48歳ということでございまして、大概の方は大人になるのでしょうけど、私はいつまで経っても大人になり切れず、---------『騙し絵の牙』のような映画に出て、カッコいい大人になろうと思います!後ろ指を指されて笑われるような人間にならないよう、頑張りたいと思います。TV「水曜どうでしょう」に出てるから悪いんです。あの番組やめます!(笑)ありがとうございます!


damashie-bu-550-1.JPG――最後のご挨拶

大泉:公開されて何日か経っておりますが、こうして沢山の方に観て頂けて嬉しいです。本編は、「騙し騙されのストーリー」の面白さもさることながら、基本的に「一所懸命に働く大人の物語」かなという気がしております。男性も女性も必死に自分のやりたいこと、面白いことを探し出して、懸命に生きている大人たちの爽やかな映画だと思います。これから働こうという学生の皆さんも実にいい刺激を受ける映画でもあります。いろんな視点で楽しめる映画ですので、多くの方に楽しんで頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

吉田監督:今見て頂いたような面白い大泉洋さんではなく、「違う魅力の大泉洋さんを見られる映画だよ」ということを、周りの方に薦めて頂きたいと思います。今日はどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 


『騙し絵の牙』

damashie-550.jpg

 

【STORY】
~最後に笑うのは誰だ⁉ 全員クセモノ!仁義なき騙し合いバトル、遂に開幕!~

大手出版社「薫風社」に激震走る!かねてからの出版不況に加えて創業一族の社長が急逝、次期社長を巡って権力争いが勃発。専務・東松(佐藤浩市)が進める大改革で、雑誌は次々と廃刊のピンチに。会社のお荷物雑誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水(大泉洋)も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされる…が、この一見頼りない男、実は笑顔の裏にとんでもない“牙”を秘めていた!嘘、裏切り、リーク、告発。クセモノ揃いの上層部・作家・同僚たちの陰謀が渦巻く中、新人編集者・高野(松岡茉優)を巻き込んだ速水の生き残りを賭けた“大逆転”の奇策とは!?
 

■監督:吉田大八 ■脚本:楠野一郎 吉田大八
■原作:塩田武士「騙し絵の牙」(角川文庫/KADOKAWA 刊)
■出演:大泉洋 松岡茉優 宮沢氷魚 池田エライザ/斎藤工 中村倫也 佐野史郎 リリー・フランキー 塚本晋也 / 國村隼 木村佳乃 小林聡美 佐藤浩市
■コピーライト:©2021「騙し絵の牙」製作委員会
■配給:松竹
公式サイトmovies.shochiku.co.jp/damashienokiba/

2021年3月26日(金)~大阪ステーションシティシネマ/なんばパークスシネマ/MOVIX京都/神戸国際松竹/MOVIXあまがさき/MOVIX八尾/MOVIX堺 他全国絶賛公開中!


(河田 真喜子)

 

 

 
ブータン2.jpeg
 
「自然と一体化したブータンの伝統的な美しさを見せたい」
『ブータン 山の教室』パオ・チョニン・ドルジ監督インタビュー
 
 幸せの国として知られるブータンを舞台に、僻地のルナナ村に教師として赴任することになった青年、ウゲンと、村人や子どもたちとの交流を通じて改めて幸せの意味を考えたくなるヒューマンドラマ『ブータン 山の教室』が、4月30日(金)よりシネ・リーブル梅田、京都シネマ、5月7日(土)よりシネ・リーブル神戸、他全国順次公開される。
 
 監督は、本作が初監督作となるブータン王国出身のパオ・チョニン・ドルジ。数人の主役級俳優を除き、ルナナ村の人たちが映画に出演。映画を見たことのない村の子どもたちが、生徒役としてとても自然な表情を見せている。標高4800メートルのルナナ村への徒歩の旅路や、村の四季の情景の美しさ、氷河を抱く山々にこだまする、ヤクに捧げる歌の響きなど、騒々しい日常を忘れさせてくれる風情も大きな魅力の作品だ。オーストラリアで歌手の夢を叶えようと移住を計画しているウゲンがどのような成長を遂げるかにも注目してほしい。本作の脚本、プロデュースも務めたパオ・チョニン・ドルジ監督にリモートインタビューを行った。
 

 
―――大阪アジアン映画祭2017ではプロデュース作品『ヘマヘマ:待っている時に歌を』のゲストとして来阪されましたね。『ヘマヘマ〜』は非常に前衛的な作品だったので、初監督作の『ブータン 山の教室』は全くテイストが違うことに驚きました。本作は幸せについて考えさせられますが、ブータンが「幸せの国」と呼ばれることに対し、監督自身はどのように感じているのですか?
ドルジ監督:幸せとは非常に主観的なものですが、幸せになる理由や条件は変わり続けています。ブータンは多くの国から幸せと思われていますが、何が幸せなのか、私たちもブータンの人たちも分からなくなっている気がします。うつ病にかかる人や自殺率が多いのが実情ですし、おそらく世界で一番都会への流入率が高いのではないでしょうか。またウゲンのように若い人たちは自分が何をしたいのかわからず、答えはブータンの外にあると考えている人が多いです。
 
以前、私たちにとっての幸せはブータンの伝統文化や精神的な支えである仏教に基づいていました。ブータンは、何世紀にもわたって続いた鎖国状態が、まさに一晩にして開国したような変化を経験し、今の若い人たちが抱く幸せはテレビやインターネットに影響されています。モダンで西洋的な生活が幸せだと考えている人が多いのですが、そういう生活はブータンにはない。自国にないものを求めるので、幸せ度は減ってしまうのです。
 
 
ブータン5.jpeg

 

■プロデュース作の上映禁止を糧に、ユニークさと観客を喜ばせる内容を取り入れる

―――監督ご自身は世界中を旅されておられますが、ルナナ村との出会いについて教えてください。また、僻地での撮影は非常にチャレンジングですが、それを貫いた理由は?
ドルジ監督:『ヘマヘマ〜』はとても実験的な映画で、映画祭界隈では非常に評判が良く、有名な映画祭にも招待されましたが、ブータンでは上映禁止になってしまいました。批評家は物議を醸す作品を好むので、上映禁止により評価はさらに高まりましたが、私自身、非常に深く映画に関わっていたので、とても心が挫ける経験になってしまったのです。その時、自分が監督する映画は、海外の映画祭で上映されるユニークさは持ちつつも、観客を喜ばせる内容のもので、少なくともブータン政府から発禁処分を受けない作品を作ろうと心に決めました。そして色々な人々にアートの力、映画の力を見せたいと思った。それが『ブータン 山の教室』を作る最初の動機です。おかげで海外の映画祭をはじめ、上映後の評判も良く、ブータン政府も上映を許可しているのでその思いは遂げたと思います。
 
 
ブータン4.jpeg
 

■西洋的な価値観を持つ者を誘う正反対の僻地を探して

―――なるほど、前作の経験から作品の方向性が決まったのですね。
ドルジ監督:ブータンに限らず、世界のほとんどの人は西洋的な価値観をもとに幸せについて考えていると思うのですが、その反対を見せたいと思いました。ですから西洋的な価値観を持つ主人公をルナナへ旅させようと思ったのです。私自身も反対のものを見せるために僻地を探し歩き、ようやく出会ったのがルナナでした。ここはブータンの中で非常に伝統的な場所であり、ブータン人にとっても一番辺鄙な場所です。そこに行くために14日間歩き続けなければいけません。また、ルナナという名前は「暗い谷」という意味で、西洋的な価値観で幸せを求めている人が、反対の暗闇に行き、幸せの光の意味を知るという意図でこの場所を選びました。
 
―――僻地、ルナナでの撮影は相当大変だったのでは?
ドルジ監督:電気はなく太陽電池のみだったので、その電源は全て撮影と録音のために使い、ラフカットを作るまで自分たちが何を撮ったのか見ることができませんでした。アメリカでも仕事をしている撮影クルーからは、アメリカには組合があり、撮影クルーは徒歩15分圏外から出てはいけない決まりになっているのに、この撮影は14日間歩かなければ通りにも出ないような場所に連れてきて、ベッドもシャワーもないところで仕事をさせると冗談ぽく言われましたね。ブータンには組合がなくて良かったです。実際、クルー達はルナナでの生活をとても楽しみ、帰るときにはノスタルジックな気持ちになっていましたよ。
 
 
ブータン3.jpeg

 

■ブータンの伝統文化や知恵の美しさを思い出させる「ヤクに捧げる歌」

―――原始的な歌の誕生や、今につながる歌の継承も大きなテーマになっていますが、セデュが歌ったヤクに捧げる歌について教えてください。
ドルジ監督:文明や文化は様々な心情や信仰、伝統を持っていますが、だいたいそれは過去の話に基づいていますし、特に歌は過去を語っていると思います。ヤクに捧げる歌を映画の中心に据えたのは、我々のご先祖様たちが今、忘れられていると感じたからです。ヤクに捧げる歌はブータンの文化や伝統を表しています。カルマや輪廻転生というブータンの人にとても大切な考え方や、山、氷河、水とブータンの人が伝統的に抱いている周りの環境への敬意を歌っています。でも、今は過去のものとして忘れられ、多くの若者はウゲンのように自分が人生に求める答えはブータンの向こうにあると思っていますが、そんな彼らにブータンの伝統文化や知恵の美しさを思い出してもらいたいという狙いもありました。どうしても古臭い音楽と思われがちですが、映画に取り入れることで、むしろカッコいいと再発見してもらいたいという気持ちもあったのです。
 
―――セデュがウゲンに歌を教えるシーンや別れのシーンも印象的でしたね。
ドルジ監督:ウゲンはブータンの現代の若者の代表として描いています。彼はオーストラリアで歌手になり周りから認められたい、有名になりたいと幸せを外側に求めていますが、セデュはその真反対の立場をとる人物です。彼女は鳥のために歌うなど、歌は捧げ物だと思っており、それはブータンの伝統的な価値観を表しています。最後にウゲンは一緒に来ないかと誘いますが、セデュはルナナに居続けるということで、正反対のバランスを保ち続けるだけでなく、ウゲンはセデュからも人生に求めていることを学んでいるのです。二人の間にロマンチックな雰囲気をほんの少しだけ出していますが、それが余計にみなさんの想像を掻き立てているかもしれません。
 
 
ブータン1.jpeg

 

■教室にいるヤクのノルブ(宝)が、自然と一体化したブータン

―――ありがとうございました。最後にどうしてもお聞きしたかったのが、長老のヤク、ノルブのことです。教室で飼われているノルブは授業中の生徒たちと必ず一緒の画に収まっていましたが、この映画でノルブが果たした役割について教えてください。
ドルジ監督:学校の先生が、毎日火起こし用にヤクの糞を拾い回ることに疲れてしまい、ヤクを教室の中に入れたという実話を知り、それに基づいてこのシーンを考えました。ヤクが教室にいることで、ブータンの文化のとんでもないぐらいの美しさ、現代的概念がないぐらい自然と一体化しているところを見せたいと思ったのです。
 
ヤクはおとなしい動物ではないので、最初、私が教室にヤクを入れようとした時に、子どもたちはとても怖がっていました。壁を取り払い、2つの教室を1つの大教室にしたのですが、建物自体が大きくないので、もしヤクが暴れたら壊れてしまうのではないかと心配していました。ノルブを演じてくれたのは、白い斑点があるナカという名前のヤクで、ルナナで一番気が優しいヤクだったのです。高山病の人を下山させる仕事で、人の役にも立っている、とても気のいいヤクでした。だから、撮影が終わってナカを教室から出すとき、悲しい気持ちになりましたし、撮影が終わることを実感しました。ナカは、撮影の後老衰で亡くなってしまったので、映画の中でナカが生き続けていると思い、共に撮影ができたことを光栄に思うと同時に、とても感謝しています。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ブータン 山の教室』(2019年 ブータン 110分)
監督・脚本・プロデューサー:パオ・チョニン・ドルジ
出演:シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップ、ケルドン・ハモ・グルン
2021年4月30日(金)よりシネ・リーブル梅田、京都シネマ、5月7日(土)よりシネ・リーブル神戸、他全国順次公開
公式サイト→https://bhutanclassroom.com/
(C) 2019 ALL RIGHTS RESERVED

 

A4浪花千栄子表.jpeg

 

卓越した演技力と存在感で、巨匠たちから愛された名優・浪花千栄子。

数々の名作に出演するとともに、

喜劇からホームドラマまで、映画に欠かせない名脇役だった。

“大阪のお母さん”と親しまれた名優の15作品を一挙上映!

 

現在、大好評放送中の NHK 朝の連続テレビ小説「おちょやん」。“大阪のお母さん”と呼ばれた名優・浪花千栄子さんをモデルに、戦前から戦後の大阪で貧しく生まれた少女が女優を目指す生涯を描いた物語。あまりに過酷な生い立ちと人生でありながら、ひたむきに明るく生きる主人公に、「出演作品が見たい」という声が数多く寄せられ、この度、浪花千栄子さんが出演している代表作を集めた「浪花の名女優・浪花千栄子」を開催する運びとなりました。

浪花千栄子さんは、1907(明治 40)年生まれ。1926 年(昭和元年)、東亜キネマで銀幕デビュー、その後「松竹家庭劇」を経て、戦後の 1950 年代、40 歳半ばにして NHK ラジオ「アチャコ青春手帖」「お父さんはお人好し」で花菱アチャコと共演し、一躍人気者となり、その後は銀幕で出演が相次ぎ、関西弁を駆使した名脇役として活躍。圧倒的な演技力と存在感で、娯楽映画から日本映画の巨匠たちによる文芸大作まで、日本映画の黄金時代を支えた屈指の名優でした。


映画から、舞台・ラジオ・テレビで大車輪の活躍を見せ、「大阪のお母さん」として愛された浪花千栄子さんの銀幕の仕事を振り返り、代表作 15 作品を一挙上映いたします。
 


朝ドラ「おちょやん」記念 「浪花の名女優 浪花千栄子 」特集上映開催!

★ 開催時期/2021 年 5 月 8 日(土)〜28 日(金) 3 週間

★ 開催場所/シネ・ヌーヴォ(大阪・九条) 電話 06-6373-1211 
    地下鉄中央線・阪神なんば線「九条駅」徒歩 3 分(大阪市西区九条 1-20-24)

上映作品の詳細はこちら⇒



“大阪のお母さん” 浪花の名女優 浪花千栄子「私の半生は、人に、かえり見もされないどぶ川の泥水でございました。自分から求めたわけではありませんが、私という水の運命は、物心つく前から不幸な方向をたどらされておりました。しかし私は、子供のときから、泥水の中にでも、美しいはすの花が咲くことを信じていました…」(浪花千栄子著『水のように』から)

あまりに薄幸な子供時代を送りながら、必死の努力で大女優となった浪花千栄子さん。唯一の自叙伝『水のよいうに』では、想像を絶する半生を送りながらも「花や木を生きかえらせ、鳥獣の生活をうるおし、人のかわきをいやし、そしてかわいた地面へくまなくしみ通ってゆく、そんな役目の水になって、神仏から賜った残生を、静かにして強く生きていきたい」と「水のように」生きる心境が記されています。

浪花千栄子さんをモデルとした朝ドラ「おちょやん」で、過酷な少女時代を送った彼女の人生に関心が寄せられるとともに、その後も実の父親からの仕打ち、さらに夫からてひどい傷を心に負いながらも、ひたむきにひたすら努力と精進で生き抜き、映画になくてはならない存在感を持った大女優となった浪花千栄子さんの出演作に注目が寄せられています。


浪花千栄子さんは、1926 年(昭和元年)、東亜キネマで銀幕デビューし、その後、帝キネを経て、1930 年(昭和 5 年)に 23 歳で 2 代目渋谷天外、曾我廼家十吾らが旗揚げした「松竹家庭劇」に加わり、天外らが旗揚げした「松竹新喜劇」で看板女優として活躍。1952 年、NHK ラジオの「アチャコ青春手帖」に出演、同「お父さんはお人好し」でも花菱アチャコと共演し、一躍人気者となり、番組も後に映画化されています。

その後は、銀幕で出演が相次ぎ、関西弁を駆使した名脇役として活躍。圧倒的な演技力と存在感で、娯楽映画から日本映画の巨匠たちによる文芸大作まで、日本映画の黄金時代を支えた屈指の名優のひとりでした。溝口健二『祇園囃子』(53 年)でブルーリボン助演女優賞を受賞。終戦後の焼け跡から復興をとげた昭和の激動の時代、浪花千栄子さんは舞台・ラジオ・映画・テレビで大車輪の活躍を見せ、「大阪のお母さん」として愛される存在でした。

浪花千栄子さんの人生をモデルにした朝ドラ「おちょやん」公開を記念し、浪花の映画館=シネ・ヌーヴォで浪花千栄子さんの仕事を振り返り、15 作品を一挙上映いたします。


【浪花千栄子さん 略歴】
本名、南口キクノ(なんこう・きくの)、1907 年(明治 40)大阪府生まれ。4 歳で母が死別、8 歳で道頓堀に女中奉公に出される。18 歳で京都に出て女給となり、女優に誘われ村田栄子一座に入る。劇場主の推薦で東亜シネマ等持院撮影所に入る。その後、1927 年に浪花千栄子の芸名で舞台に立つ。1930 年(昭和 5)23 歳で、2 代目渋谷天外、曾我廼家十吾らが旗揚げした「松竹家庭劇」に加わり、天外と結婚、さらに天外らが旗揚げした「松竹新喜劇」でも看板女優として活躍する。1950 年、天外の浮気から離婚し、退団する。

1952 年、NHK ラジオドラマ「アチャコ青春手帖」での花菱アチャコとの掛け合いで注目を集め、「お父さんはお人好し」で人気を不動のものにした。同時に、映画出演も続き、溝口健二『祇園囃子』でブルーリボン助演女優賞を受賞して以来、溝口、小津安二郎、木下恵介ら巨匠たちに重用される。代表作に、豊田四郎『夫婦善哉』、黒澤明『蜘蛛巣城』、内田吐夢『宮本武蔵』、小津安二郎『彼岸花』など日本映画の名作に数多く出演。テレビドラマでも『太閤記』『細うで繁盛記』などで活躍。後半生は京都嵐山で料理旅館「竹生」を経営した。自叙伝に『水のように』がある。1973 年急逝、享年 66。没後、勲四等瑞宝章受章。


 

tarcois-inta-550.jpeg

(2021年3月13日(土) シネ・リーブル梅田にて)

ゲスト:柳楽優弥(主演)、KENTARO(監督)

 

「ありのままの自分を活かしてくれた監督に感謝」――柳楽優弥

「柳楽君は、役者にとって一番大事なものを持っている」――KENTARO監督

 

日本・モンゴル・フランスの合作映画『ターコイズの空の下で』は、自堕落な生活を送っていた青年がモンゴルの大草原を旅しながら成長していくロードムービーである。

同世代の俳優の中でも抜群の存在感を示す柳楽優弥が主演のタケシを演じ、『誰も知らない』以来となる即興的演出に手応えを感じたようだ。そして、タケシを案内するアムラを演じたのは、モンゴルのスーパースター、 アムラ・バルジンヤム 。遊牧民特有の大らかな逞しさでタケシを導き、その雄姿はモンゴルへの憧憬へと繋がっていく。さらに、俳優でもあるKENTORO監督は、大自然と対峙しながら生きる人々を悠然たる映像で捉え、“本当の幸せって何?”と現代人が忘れてしまった何かを思い起こさせてくれる。


tarcois_sub.jpg柳楽優弥は、約3週間半に及ぶモンゴルロケで、当たり前のように享受していた文化的生活から遮断され、「自分自身を見つめ直す時間が持てたことはラッキーでした。より前向きに仕事に取り組めている自分がいます」と述懐。KENTORO監督も、「携帯も通じない、物のない生活を送ると、本当に必要なものとは何かを考えました」と、映画の主人公同様に、撮影隊全員がテーマを追体験してきたようだ。

柳楽優弥は今年31歳。若手俳優の中でも16年以上のキャリアを持ち、あまり生活感を感じさせないが、他の人より濃厚な俳優人生を歩んでいるように見える。そんな異色ともいえる唯一無二の存在感は、KENTARO監督にも期待されているように、海外を視野にした今後の活躍ぶりが楽しみな俳優だと思う。


関西での公開に合わせて来阪したお二人にお話を伺うことができたので、下記にご紹介致します。


(以下はインタビューの模様です。)

turquoise-pos-2.jpg

――美しい映像でしたが、撮影で特にこだわった点は?

K監督:こだわった点?あり過ぎました(笑)。今はTVや小さい画面で観ている時代ですので、どうやったら映画っぽく作れるかという事にこだわりました。映画館で観る価値のある映像を撮るために8Kで撮る。今こそ違いを見せるために、美術や色彩・構図にこだわり、ハイレベルの技術を目指していました。所々、ヌーヴェルバーグへのオマージュを込めたところもあります。


――俯瞰・ロングでのショットなど人物と大自然との対比でよりスケールアップする構図に惹かれました。

K監督:そうですね、構図には強弱を付けました。顔のアップにも、顔のテクチャ―を表現として使いました。例えば、麿赤児さんの顔は最初からアップで撮ると決めていたんです。彼の顔には人生が滲み出ているので、あのマーキングされたような皺ひとつがモンゴルの山を連想させる。モンゴル人ではないけど、モンゴルをイメージさせる顔って、そう居ないですよね。素晴らしいあの声と顔と演技、麿さんはとてもユニークな俳優さんで、三郎の役はファーストチョイスでした。


――柳楽さんは、外国ロケは『星になった少年』以来15年ぶりだと思うのですが?

柳楽:あの時は、『誰も知らない』直後で、いきなり大作に出演することになって、まだどうやって演技したらいいのかよく分からず怖かったです。今回はウランバートルから車で9時間位の所での撮影でした。ラクダや羊や馬はいっぱい居ましたが、携帯も通じないような所で、自分自身を見つめ直す瞬間が沢山ありました。

今までは個性が強い役柄を演じることが多かったのですが、今回は即興演出的な感じもあり、より役者の力量が試されているようでした。でも、「こういうの好きだ!」と初心に戻れたようでした。今までいろんな役を演じてきて、自分でも分からなくなってきていたことに気付けた気がします。20代後半でこのことに気付くことができて、30代のプランみたいなものが見えてきました。それはとてもラッキーなことでした。今、より前向きに仕事に取り組めている自分がいます。

turquoise-550-2.jpg――柳楽優弥さんを起用した理由について?

K監督:役者にとって一番大事な「ピュアで素直」なところを感じたことと、「野性味」を持っているところです。それは俳優やミュージシャンには必要なことで、人間が忘れてしまった野性味を、歳をとってからも保ち続けることはとても難しいことなんです。柳楽君はまだ若いですけどね。

私が旅をして来た中で、モンゴルが一番カルチャーショックを受けた国です。モンゴルは儒教の国ではなく、チンギス・ハーンの国で、同じ東洋人でもプライドの持ち方や価値観などすべてにおいて違います。ましてや、文化的な生活に慣れている日本人にはその衝撃は大きいと思いますよ。アジアの文化圏でも違う文化を持っている国なんです。


――日本人にとってモンゴルに対してのイメージは、相撲界で活躍されている力士や、雄大な大自然への憧れがありますが、特別なシンパシーを感じるものなのでしょうか?

K監督:そうです。モンゴル人の男らしさも、日本のひと昔前の“男らしさ”というイメージかなと思います。モンゴル人も日本人に近いものを感じていると思います。


turquoise-500-4.jpg――撮影中、一番大変だったことは?

柳楽:大変なことが多かったです! 日本から持ってきていたカップ麺を、プレイリードッグに何個か食べられちゃいました(笑)。

K監督:それと必要な物はポン酢ね。ラム料理には欠かせないので、持って行くのをおススメします。

柳楽:大変でしたが、ある意味、心のデトックス効果があったように感じます。とにかく、物がない。でも、より精神的に学べることが多かったように思います。

K監督:世界がこのように大変な状況にある中で、ある意味、根源的な価値観を大事にすることが必要です。だからこそ、モンゴルの暮らしが尊く感じられると思います。

約3週間半の間、携帯電話が使えなかったのですが、私は最初から諦めて、使えなければ「何が大事か?」って他のことを考えました。いろんな国を旅行していますけど、社長と呼ばれるような人でも、モンゴルの風景を見て感動して涙を流していました。モンゴルには心を大きく揺り動かす何かがあるんです。そんな国って、他にはないように思います。

モンゴルは海抜が高く、雲がすぐそこにあり、プラネタリウムのような本物の星空を間近に眺めることができるんです。「この美しい瞬間を撮りたい!」という衝動に駆られました。アムラと出会ってこの話をしたら、「すぐやろう!」ということになって、この映画が稼働し始めたのです。


――今回の役は、祖父の若い頃の体験を追体験しながら成長していくような旅だったと思いますが、即興的演出の中でも、成長に繋がるような演技を意識されましたか?

柳楽:今までも自分の中では常にもっと良くしたいと考えながら演じていたのですが、この作品では、“放り込まれた感”というか、“これが自分の記録だ”なんて開き直った面もあれば、悩んでいた面もあり、すべてを記録してもらった感じです。役作りということはあまりなくて、もう“行って来ます!”という勢いでやりました。


――そんな柳楽さんを監督がしっかり受け止めて描いているのが、この映画の醍醐味ではないかと思うのですが?

K監督:ありがとうございます。この作品は、いい役者+いい役者、全く違う感覚を持った者同士がぶち当たった時に生まれるエネルギー効果が活かされています。それが本当の演技なのだと思います。それはとても難しいことですが、柳楽君はとてもいい役者なので、言葉ではなく役と本当の自分とが混じり合った瞬間を写し撮ったのです。10年後に同じことはできないと思います。この映画は、彼の記録であり、役になり切って本当の涙を流したのもすべて、演技に対するパッションなのです。


――ロードムービーとしていろいろご苦労されたと思いますが、「完成した」と実感した瞬間はありましたか?

K監督:なかったですね。全く「完成した!」という気持ちはなかったですが、いつかはケジメをつけなきゃならないし、映画祭に出品することが決まった時に完成させました。

柳楽:海外の映画祭では、監督が通訳なしで爆笑させるんですよ。これは凄いなと思いました。自分も監督のように、外国の方に直接アピールできるようになりたいと思っています。

 


『ターコイズの空の下で』

【解説】
turquoise-pos.jpg『誰も知らない』でカンヌ国際映画祭主演男優賞に輝き、以降も『許されざる者』、『ディストラクションベイビーズ』など意欲作に出演する柳楽優弥が、新たな挑戦として臨んだ初の海外合作。資産家の祖父を持ち、東京で自堕落で贅沢三昧の暮らしを送る青年タケシはある日突然、モンゴルに送り込まれる。目的は、第二次世界大戦終了時にモンゴルで捕虜生活を送った祖父と現地の女性の間に生まれ、生き別れとなった娘を探すこと。ガイドは、馬泥棒のモンゴル人アムラ。果てしなく広がる青い空の下、言葉も通じない、価値観も異なる二人の詩的でユーモラスな旅が始まる。監督は、『キス・オブ・ザ・ドラゴン』や『ラッシュアワー3』など多数の欧米作品への出演経験を持つKENTARO。


【STORY】
大企業の経営者を祖父に持つタケシ(柳楽優弥)は、祖父の三郎(麿赤児)からモンゴルへ人探しに行くように言われ、アムラ(アムラ・バルジンヤム)というちょっと得体の知れないガイドと共にモンゴルへ行く。東京で自堕落な日々を送っていたタケシにとって、携帯も通じない、言葉も分からない、迷子になって狼に遭遇するなど、カルチャーショックと共に死ぬほどの思いをしながら、物質的なものではなく精神的な豊かさの中で成長を遂げていく。

タケシの旅には、祖父の若き日の悔恨の想いが込められていた。第二次世界大戦後に捕虜としてモンゴルで強制労働に就かされていた祖父は、モンゴルの女性との間に娘を儲けていたのだが、帰国後行方知れずとなっていた。タケシにとって祖父の娘を探す旅は、祖父が辿った道を追体験する旅と重なり、雄大な大自然の中で暮らすモンゴルの人々の大らかさや逞しさに触れながら、人間として大きく成長していくのである。


■監督・脚本・プロテューサー:KENTARO
■出演:柳楽優弥 アムラ・バルジンヤム 麿赤兒 ツェツゲ・ビャンバ
■2020年製作 日本・モンゴル・フランス合作 上映時間:95分
■配給:マジックアワー マグネタイズ
公式サイト:http://undertheturquoisesky.com
■ (C)TURQUOISE SKY FILM PARTNERS / IFIPRODUCTION / KTRFILMS

■2021年2月26日(金)~新宿ピカデリー、3月12日(金)~シネ・リーブル梅田、アップリンク京都、MOVIXあまがさき、4月9日(金)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開


(河田 真喜子)

 

 

musico-ivent-500-1.jpg

musico-logo-2 (2).jpg

感情が溶け合い、心を震わせる珠玉の青春群像劇!

さそうあきら原作『神童』『マエストロ!』に続く音楽映画3部作が堂々完結!

映画『ミュジコフィリア』


井之脇海初主演(『サイレント・トーキョー』『俺の家の話』)
松本穂香ヒロイン(『この世界の片隅に』『みをつくし料理帖』)
 山崎育三郎天才作曲家(『イチケイのカラス』『エール』)

3/29(月) 映画『ミュジコフィリア』プレイベント実施!

musico-ivent-500-2.jpg~映画から現代音楽、ダンスまで オール京都アートイベント~


文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞の2度受賞、手塚治虫文化賞マンガ優秀賞など輝かしい実績と数多くのファンを持つ漫画家・さそうあきら。映像化された作品も多く、なかでもクラシックへの深い愛情と造詣に裏打ちされた『神童』『マエストロ!』は、<耳で観る映画>として現在でも高い評価を獲得。そして今回、その2作品に続く、音楽をテーマとした3部作の最終作『ミュジコフィリア』(第16回⽂化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作)が2021年秋、待望の映画化となります!

自然のなかの「音」を理解し、モノの形や色が「音」として聴こえる特殊な才能を持ちながら、著名な作曲家の父と若手天才作曲家として期待される異母兄へのコンプレックスから音楽を遠ざけてきた主人公・漆原朔を、若手実力派として活躍をつづけ本作が長編映画初主演となる井之脇海!朔と同じように自然にある音や物を理解し声で表現する能力を持ち、朔に想いを寄せる芸大のピアノ科生、ヒロイン・浪花凪を松本穂香が演じ、朔の異母兄で天才作曲家としての将来を期待される一方、父親の呪縛から逃れられないでいる貴志野大成をミュージカルからドラマまで幅広い活躍をみせる山崎育三郎が演じます!そして監督は、2010年『時をかける少女』で長編映画監督デビューし、「マザーズ」「人質の朗読会」などドラマでも国内外多数の受賞歴を持つ谷口正晃

京都の芸術大学に音楽へのコンプレックスを持って入学した主人公・朔が、ひょんなことから現代音楽の世界に身を投じ、さまざまな出逢いを経て自分の音楽を創りあげていくーー。



この度、公開に先立ち、329日(月)京都にてプレイベントを実施いたしました!主演・井之脇海、谷口正晃監督、原作者のさそうあきら氏が登壇し、本作への想いを語りました。

【日時】3月29日(月)19:00~20:30
【場所】ロームシアター京都(京都市左京区岡崎最勝寺町13)
【第一部】本作に登場する新作音楽のコンサート+パフォーマンス
【第二部】特別予告編の初上映+ティーチイン
 登壇:井之脇海、谷口正晃監督、さそうあきら氏(原作者) MC:大野裕之(脚本)


musico-ivent-500-3.jpg

冒頭の挨拶で、さそうは「自分の原作が映画になるのはとても光栄です」とニッコリ。谷口監督は「もうすぐ本編が完成しますが、京都市、そして京都市立芸大のみなさんの多大な協力があったことに改めて感謝いたします」と深々とお辞儀をし、大野は「キックオフとなる最初のイベントにふさわしい理想的なメンバーが集まりました!」と満足の様子。井之脇も「短い時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします」と柔らかな表情を浮かべ会場を見渡していました。


さそうにとって『神童』『マエストロ!』に続き、音楽をテーマにした三部作の最終作となる『ミュジコフィリア』がついに映画化。さそう自身『ミュジコフィリア』が映画になったらいいなと思っていた一番の作品としつつ、「(映画化に)たどり着くことができて、うれしい限りです」とよろこびを語った。さらに、本作の舞台、京都については「古い伝統と新しい創作が出る場所というイメージがあり、現代音楽を(描く)場所として本当にふさわしいと思っています」と解説した。


谷口監督は「音楽をメインに、ダンスなどのパフォーマンスも含めてすべて、出演者本人の体でやってもらいました。出演者が必ずしも音楽をやっている人というわけではないので、映画作りにかかる労力は結構なものと覚悟はしていました。もちろん、撮影はとても楽しみにしていましたが、正直、すごく大変そうだなという思いもありました。あともう一息で完成することにホッとしている段階です」と映画が完成間近であることを明かしていた。地元・京都での撮影は「慣れ親しんでいる場所だからこそ、大事に撮ろうと思いました。京都の良いところを大事に撮るけれど、観光的なものにならない、ご当地映画にならないよう意識しました。映画の中で活きる場所、物語の中で違和感がないようにきれいに撮影することを心がけていました」と思いを語った。


『トウキョウソナタ』(08)で、天才ピアノ少年を演じた経験を持つ井之脇は、音楽にまつわる作品は、自身のターニングポイントにもなっていると前置きし、「『トウキョウソナタ』のときは、12歳でお芝居の武器もまだあまり持ち合わせていない頃でした。唯一の武器が、小学生までやっていたピアノでした。作品が評価されたことで、役者の楽しさを知ることもできたすごく大きな経験です。今回は、音楽をテーマにした僕自身初めての主演映画なので、ピアノも出てくるし、きっとこれも転機になるのではと思っています。だからこそ、誠意を持ってチャレンジしなければいけない作品だと、お話をいただいたときに感じたことを思い出しました」と胸のうちを明かした。


musico-井之脇海.jpg朔との共通点について井之脇は「音楽が好きで、ピアノが好きだということ。音楽への愛情や感情は役作りの中にあったと思います」と説明。撮影中はホテルにピアノを持ち込み練習していたことに触れ「夜な夜な弾いていたので、隣の(部屋の)人は迷惑だったと思います」と気まずそうに微笑んだ。初主演映画へ心境について「この数年、いろいろなお仕事に関わる中で、役者として一歩成長できるような、転機になるような作品に出会いたいと思っていたところに、今回のお話をいただいて。大袈裟かもしれないけれど“運命”だと思いました」としみじみ。


「撮影中はプレッシャーも、不安もあったし、公開を控えた今でもそういう気持ちはあります。でも、ピアノという自分の武器を活かし、素敵なキャスト、スタッフのみなさんと一緒に映画を作ることができたので、完成前ですが、やれることはやり切ったという気持ちです」と清々しい表情を浮かべた。


俳優・井之脇海について谷口監督は「キャリアがあるにもかかわらず、良い意味で技術などが固まっていない。完成されたものに初々しさがあるのは最大の魅力だと思うし、朔役になるべき人がなってくれたと思っています」と絶賛。さそうは「僕の中では、(放送が終了したばかりの)ドラマ『俺の家の話』のイメージが強いです。『ミュジコフィリア』の完成版を観る前なので、この人が朔をやっているのかなんて思っていました」とドラマと朔とのギャップを楽しんでいたことを明かした。


井之脇の京言葉については、京都、関西にゆかりのある大野が「違和感のない京言葉だった」と絶賛。これに対し井之脇は「監督はそう思ってない気がします」と疑いの様子。「芝居に感情が入ってくると、イントネーションや音をうまく表現しきれない。イントネーションや音を優先しているときは、大丈夫なんですけどね。でも、監督は京言葉(の出来)よりも芝居を優先してくれたので、ありがたいと思いました。僕の疑問点や意見にも、きちんと答えを返してくれるので、監督のことを一番信じていればいいんだと思って撮影していました」と撮影時の心境を振り返った。


ここで、朔に思いを寄せるピアノ科生・浪花凪役の松本穂香と朔の異母兄の貴志野大成役の山崎育三郎からのビデオメッセージが到着。松本は「京都の自然に触れながら、気持ち良く撮影を乗り切ることができました。今まで挑戦したことのないギターやダンスにも挑戦しましたが、周りの方たちに支えながら最後までやることができました」と感謝し、山崎は「お芝居だけでなく、京都での滞在中、一番長く一緒の時間を過ごしたのが井之脇くんです。お酒を飲みながら、音楽について語り合った時間はとても楽しく、愛おしいです。音楽は言葉を超える瞬間がある、言葉以上に伝えられるものがあるというのを最後のシーンを演じて感じました。素晴らしい作品です」と自信を見せていた。


イベントでは本作の特別予告編が本邦初公開。さそうは「映像の断片が観れただけでも最高です。ピアノの下から凪が出てくる場面は、映像化できないと思っていました。最高だと思いました!」と最高を連発し大満足の様子。井之脇も「こうやって映像になると感慨深いです。個人的なことになりますが、15年ほど、今の仕事をしていますが、自分の名前が最初に出てくることのよろこびを噛み締めています。ようやくここまで来たという気持ちと、ここが新たなスタートかもしれないし、通過点かもしれない。いろいろ頭を過ぎるものはありますが、映画の公開はこれからなので、音楽のよろこびが溢れる作品を多くの人に観てほしいと改めて思いました」と心境を明かした。


プレイベントの締めはみんなで演奏をして終わりたいという大野の提案で、第一部、第二部の出演者が一緒に演奏をする場面も。『ミュジコフィリア』の世界観にふわさしい、第一部、第二部の出演者が“音楽で繋がる”瞬間を見ることができた。


イベント最後の挨拶で、谷口監督は「音楽、ものを作るよろこびを映画で感じ取ってください」と呼びかけ、さそうは「音楽がBGMのように使われていないのが特徴で、音楽のための映画だと思います」と見どころをアピール。井之脇は「不器用な人がたくさん出てきますが、彼らが大好きな音楽を通じて触れ合っていく姿が描かれています。音楽はもちろん、何か夢中になるものがある人の心に響く作品です。多くの方に観ていただきたいです」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。
 



映画『ミュジコフィリア』

<ストーリー>
京都にある芸術大学に入学した漆原朔は、思いがけず強引に現代音楽研究会にひき込まれる。だがそこには朔が音楽を遠ざけるきっかけとなった異母兄の貴志野大成と、朔が憧れる大成の彼女、小夜がいた。大成は天才作曲家として注目される存在であり、朔はそんな大成を一途に愛する小夜との間で苦悩する。子供の頃からモノの形や色が「音」として頭の中で鳴っていた朔は、やがてそれらが現代音楽を通して表現できることを知る。そして朔と同じように自然の音を理解する女性、浪花凪が現われて、朔は秘めた才能を開花させようとしていたー。
 


原作:さそうあきら(双葉社刊) 第16回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品
出演:井之脇海/松本穂香/山崎育三郎ほか
監督:谷口正晃『時をかける少女』「マザーズ」「人質の朗読会」  
脚本・プロデューサー:大野裕之『太秦ライムライト』『葬式の名人』
撮影期間:2020年10月末~11月中旬  撮影地域:京都市内全面ロケ
製作:「ミュジコフィリア」製作委員会  制作:株式会社フーリエフィルムズ
後援:京都市  特別撮影協力:京都市立芸術大学  
配給:アーク・フィルムズ

2021年秋 TOHOシネマズ日比谷 他 全国ロードショー(京都先行公開)


(オフィシャル・リリースより)

kudakechiru-550.jpg

 

『砕け散るところを見せてあげる』前売鑑賞券プレゼント!

kudakechiru-pre.jpg

《中川大志&石井杏奈ペアVer.》


※チケットには公開延期前の昨年の公開日が記載されていますが、4月9日より劇場でお使いいただけます。

 

■提 供:イオンエンターテイメント

■当選数: 2組 4名様

■締切日: 2021年 4月11日(日)

公式サイト: https://kudakechiru.jp/

 
2020年4月9日(金)~なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、MOVIXあまがさき 他全国ロードショー

 

 

kudakechiru-pos.jpg

アニメ「とらドラ!」「ゴールデンタイム」の原作で知られる竹宮ゆゆこの小説「砕け散るところを見せてあげる」。錚々たる表現者が破格の絶賛コメントを寄せ、「小説の新たな可能性を示した傑作」と称えられる本作の映画化がついに実現した。


主人公・濱田清澄には、『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』で日本アカデミー賞新人賞に輝き、NHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」で国民的人気を獲得した中川大志。ヒロイン・蔵本玻璃には、E-girlsとしても活躍しながら、『ソロモンの偽証』『ガールズ・ステップ』でブルーリボン賞新人賞を受賞した石井杏奈。また、北村匠海、井之脇海、清原果耶、松井愛莉など若者に絶大なる支持を得るキャストを、堤真一、原田知世、矢田亜希子、木野花ら豪華俳優陣が支える。


そして、中川と石井の二人から挑戦的な演技を引き出したのは、『天の茶助』『うさぎドロップ』『jam』を手掛けたSABU監督。ベルリンやモスクワなど海外の映画祭で高く評価される才能で脚本も執筆し、進化と深化を証明した。多くの人が自分の境遇に苦しむ時代でも、愛は必ず絶望から救ってくれる。今を生きる私たちに希望を与える物語。
 


【STORY】
どこにでもいる高校生の濱田清澄は、“学年一の嫌われ者”と呼ばれて孤立していた一年生の蔵本玻璃を、いじめの手から救い出そうとする。清澄は玻璃の愛らしさと心の美しさに気づき、玻璃は清澄に感謝と憧れの想いを抱き、二人は心の距離を縮めていく。だが、玻璃には誰にも言えない秘密があり、玻璃を守り抜こうとする清澄にも〈恐るべき危険〉が迫る─。

■出演:中川大志、石井杏奈、井之脇海、清原香耶、松井愛莉、北村匠海、矢田亜希子、木野花、原田知世、堤真一
■監督・脚本・編集:SABU 
■原作:竹宮ゆゆこ(「砕け散るところを見せてあげる」新潮文庫NEX)
■配給会社:イオンエンターテイメント
■2020年 日本 2時間7分
公式サイト: https://kudakechiru.jp/
■コピーライト:©2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会

2020年4月9日(金)~なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、MOVIXあまがさき 他全国ロードショー
 


(オフィシャル・リリースより)

 

natsujikan-550.jpg

『夏時間』は、30歳のユン・ダンビ監督の長編デビュー作である。

【STORY】
父が仕事に失敗し、母がいなくなって、インチョンの祖父の家に行くことになったオクジュとドンジュの姉弟。弟は新しい暮らしにすぐ馴染むが、十代のオクジュにはなんだか居心地がわるい。やがて父の妹であるミジョンおばさんもやってきた。おばさんはどうやら夫とうまく行っていないようだ。オクジュにはボーイフレンドがいて会いに来るがこの二人もうまくいかない。そんなある日、おじいちゃんが倒れた…。



韓国女性監督作品『はちどり』と『わたしたち』の間の年齢の少女が主人公で、彼女の気持ちがヴィヴィッドに映し出され、韓国映画界にまたひとり逸材が誕生したと思う佳作。今後の活躍が期待できるユン・ダンビ監督にインタビューした。

natsujikan-di-250.jpg
Q:この作品は、ユン監督の自伝的なものではないとのことですが、姉と弟と父、祖父、おばさん(コモ)の関係性は、どのような想像から生まれましたか?

A: 母親の不在が子どもたちにとって一番怖いことだと思います。そのことによって子どもたちが結束するのではないかと思いまして、この映画では母親がいないという設定にしています。そして、この姉弟と対照的な存在として、おじいさんを設定しました。

この映画では、まず少女オクジュが中心的な存在です。お父さんは、保守的で家父長的な存在ではない人として描きたいと思いました。おばさんのミジョンは、母親の代わりとしてではなく、一人の人間として、女性として描きたいと思いました。弟のドンジュはかわいらしくて純粋な世代の存在として描きたかったので、このような構成を考えました。

 


Q:監督は1990年生まれですが、インチョンで撮影されたということで、同じくインチョンを舞台にしたチョン・ジェウン監督作品『子猫をお願い』を思い出しました。2001年作品なので当時は見ていないと思いますが、どこかで見ておられますか?多くの女性監督がこの映画に影響を受けたと言っています。

A:『子猫をお願い』はもちろん見ています。あの作品からは当時(2000年ごろ)のインチョンの雰囲気がよく伝わりますし、20歳ごろの女性たちが誰しも迷う時期をうまく捉えており、シネフィルとして、映画を学ぶものとしては当然見るべき作品です。

『子猫』もインチョンの町をよく捉えていましたが、私もおじいさんの家がインチョンにあることを示すような場所が欲しいと思ってチャイナタウンでも撮影しました。


natsujikan-500-1.jpgQ:ユン監督は小津安二郎作品がお好きということですが、『チャンシルさんには福が多いね』のキム・チョヒ監督も小津監督が好きなようですね。ユン監督はどこで彼の作品を見ましたか?檀国大学院で?

A:キム・チョヒ監督に直接お会いした時に聞いたのですが、彼女は「小津安二郎監督のお墓にお参りした」そうです!(うらやましい)

私自身は、はじめて高等学校で小津監督の『お早よう』を見ました。大学で『東京物語』などを見て、小津監督の視角というか演出の方法、どのように映画を撮るべきかという手法について大いに影響を受けたと思います。


natsujikan-500-2.jpgQ:あの印象的な祖父の家の二階に上がる途中に扉がある造りは、よくある家屋なのでしょうか?独特なものでしょうか?螺鈿の家具があったり、そうとう裕福なおうちに見えます。

A: 私自身は、おじいさんの家がかつてとても裕福な家だったらいいなと思い、そんな環境を探しました。そして螺鈿の箪笥などもそのまま使いました。

あの階段の扉は実際にあるもので非常に珍しいのです。とても気に入って活用したいなと思いました。扉というものはいろんな感情の境界を指すものとして存在します。玄関の扉とか、ベランダに出る時の扉とか、登場人物の気持ちの変化を表すものとして使いました。


natsujikan-500-4.jpgQ:オクジュが整形手術のお金がほしいという話に関して、人権委員会の作ったオムニバス映画『もし、あなたなら〜6つの視線』の中のイム・スルレ監督作品『彼女の重さ』や、チャン・ヒソン監督の『和気あいあい?』でのエピソードなどを思い出しました。どちらも女性に外見の美しさを強制する韓国社会への批判がありました。ユン監督もそうでしょうか?

A: オクジュが二重瞼の手術をしたいというエピソードについて、私は特に韓国社会を批判するために作ったわけではではありません。オクジュは思春期なので、その年頃の少女によくある悩みですね。自分のルックスに対するコンプレックスとか、たとえば彼女はボーイフレンドとうまくいってないのはそのせいだと考えるとか。

ドンジュは末っ子なので、みんなにかわいがられるけど、それに比べると、自分はかわいがってもらえない、もっと愛されたいという欲求がそういった発言をしたと思われます。

実際にオクジュを演じたチェ・ジョンウンさんに、私たちスタッフは「そのままでかわいいから絶対整形しないで」と言いました。


natsujikan-500-5.jpgQ: 弟のドンジュの名前は尹東柱から取られましたか?

A:大学の後輩オクジュという名前の子がいて、今ではあまりつけられないちょっとダサい名前なのですが、私はそれが好きで、常々、ご両親はどうしてこの名前を付けたのかなと思っていたのです。それで今回、主人公の名前をオクジュにしました。弟は深く考えず姉のオクジュに合う名前としてドンジュにしただけで、尹東柱から取ったわけではありません。


Qお父さんが偽物の靴を売っている話はちょっとせつないですね。かつて、リーボックは韓国の工場で作られているから同じ製品でブランドマークなしを売っていると聞いたことがあります。その話は少し前の時代かと思うのですが、この映画の設定はいつ頃でしょうか?

A:時代設定については観客からもよく質問されます。たとえばこの映画ではケータイ(スマホ)はあまり使わないのです。オクジュがケータイをかけるシーンまで全然画面に出てこないので、ちょっと前の時代なのかと聞かれました。それに関して、私はケータイを見ているとかテレビを見ているという状態は家族の団らんにふさわしくないと考えるからです。それで個々人がバラバラな感じになる場面は意識的に避けました。家族の連帯感を描きたかったんです。

natsujikan-500-7.jpg

また夢がひとつのテーマにもなっているので、それもいつの時代かはっきりしないと言われましたが、そのへんは意図的にはっきりさせていません。

リーボック事件は私も知らなかったのですが、偽物の靴のエピソードは、私も個人的にすごく気にいっています。お父さんのビョンギが「工場はおなじだよ」と正当化するような言い訳します。またオクジュがボーイフレンドに偽物の靴をプレゼントしたことで恥ずかしい想いをするとか、自分でも好きなシーンです。

ビョンギが親(オクジュのおじいさん)の家を売ろうとしているのでオクジュが批判した時「おまえも靴を売ろうとしたじゃないか、同じことをしただろ」と自分を正当化するのはとてもビョンギらしいと思います。完成した映画を見て自分でも笑ってしまいました。

とある建築家の方がこの映画を見て「この映画は、いずれとてもいい記録映画になるのではないか」と言ってくれました。私自身も、ある時代の雰囲気を残したつもりなのでそうだといいなと思いました。

natsujikan-di-250-2.jpg
Q 言いにくいかも知れませんが、特に好きな監督とか作品は?

A:あえてひとりあげるならイム・スルレ監督です。彼女の短編『雨の中の散歩』と長編では『ワイキキ・ブラザース』が好きです。

女性監督ではもちろんチョン・ジェウン監督も好きです。


Q ダンビさんの名前は漢字でどう書くのですか?

A:漢字はありません。〈久しぶりに降る雨〉という意味です。父がつけました


                                 



現在、韓国映画界では、派手なアクションや、激しくドラマティックな事件が起こらない〈静かな〉映画が作られ、観客にも受け入れられている。女性監督たちの活躍はそういう状況と無縁ではない。ユン監督は東京で1週間、是枝裕和監督のワークショップに参加したことがあるそうだ。韓国の女性監督が好きな監督として小津安二郎監督や是枝裕和監督の名前がよくあがるのは、喜怒哀楽を大きく表す韓国映画にないものを、日本の監督作品に見出すからではないだろうか。
 


【キャスト】
姉オクジュ:チェ・ジョンウン
弟ドンジュ:パク・スンジュン(『愛の不時着』)
父ビョンギ:ヤン・フンジュ(『ファッションキング』)
叔母ミジョン:パク・ヒョニョン(『私と猫のサランヘヨ』『カンウォンドの恋』)
祖父ヨンムク:キム・サンドン

【スタッフ】
監督・脚本:ユン・ダンビ
制作:ユン・ダンビ/キム・ギヒョン(『わたしたち』)
撮影:キム・ギヒョン(『私たち』) 照明:カン・ギョングン
整音:ハン・ドンフン   編集:ウォン・チャンジェ
原題:남매의 여름밤 英題:Moving ON 
韓国/2019年/105分/DCP   (C)2019 ONU FILM, ALL RIGHTS RESERVED  
日本版字幕:三重野聖愛 
協力:あいち国際女性映画祭
配給:パンドラ (C)2019 ONU FILM, ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:http://www.pan-dora.co.jp/natsujikan/

 2021年2月27日(土)〜ユーロスペース、3月19日(金)~テアトル梅田、アップリンク京都、4月10日(金)~神戸・元町映画館 ほか全国順次公開


第24回 釜山国際映画祭韓国映画監督協会賞/市民評論家賞
NETPAC(アジア映画振興機構)賞/KTH賞
第49回ロッテルダム国際映画祭Bright Future長編部門グランプリ
第45回ソウル独立映画祭新しい選択賞
第8回ムジュ山里映画祭 大賞(ニュービジョン賞)


(夏目 こしゅか)

 
 
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76