
★2014年9月28日(日)なんばパークシネマにて
★ゲスト:楳図(うめず)かずお監督(78)、片岡愛之助(42)、舞羽美海(まいはねみみ)(27)
『マザー』
(2014年 日本 1時間23分)
監督・脚本:楳図かずお、共同脚本:継田淳
出演:片岡愛之助、舞羽美海、中川翔子(友情出演)/真行寺君枝
2014年9月27日(土)~全国ロードショー
公式サイト⇒ http://mother-movie.jp/
(C)2014「マザー」製作委員会
楳図かずお先生のせいで、子供の頃“ヘビ女”や“クモ女”のように美しい顔が急に豹変する化け物が恐くて堪らなかった。(今でもホラーは苦手だ)「おろち」「洗礼」「漂流教室」などの恐怖マンガの巨匠かと思えば、シュールなギャグで大ブレイクした「まことちゃん」の生みの親でもあり、“グワシ!”は社会現象ともなった楳図かずお。満を持して77歳にして初監督作品となったのは、母親と息子の歪んだ愛情関係が恐怖を生むという、彼自信にしか書けない自伝的要素を多く含むオリジナル本の「マザー」の映画化である。
深い愛情故に母親イチエの亡霊に襲われる楳図かずおとさくらを演じた片岡愛之助さんと舞羽美海さん、そして監督初挑戦の楳図かずお監督の3人が、公開2日目の〈なんばパークスシネマ〉に登場して舞台挨拶が行われた。3人とも関西出身とあって和やかな雰囲気で悲しくて恐い映画をPRしようとするが、どうしても笑いのノリになってしまう。
――― 最初のご挨拶を。
楳図監督:ご一緒に、“グワ~ッシ!”(いきなりのアクションに会場騒然!)満を持して監督しましたが、ようやく公開に辿り着くことができました。恐かったでしょう?(拍手)ありがとうございます。恐くないホラーというのはどうかな?と思いますので、恐いシーンをしっかり入れました。どうぞお楽しみ下さい。
愛之助:その「楳図かずお」を演じました片岡愛之助です。本日はどうもありがとうございます。「まことちゃん」で育ってきましたので、楳図先生の作品に出られて本当に嬉しいです。現場でもこの調子で和やかな雰囲気だったのですが、これでホラーになっているのか心配だったのですが、最後には「うわっ!」と叫ぶほど恐い映画になっていて安心しました。
舞羽:楳図先生と謎の怪奇現象に立ち向かう編集者の役を演じております舞羽美海です。エンドロール最後まで「ウメズ・ワールド」全開の映画に出演できて本当に楽しかったです。ありがとうございました。
――― 「14歳《FOURTEEN》」(‘90)以来のオリジナル作品ということですが?
楳図監督:そうなんです。やっと「マザー」に辿り着くことができました。辿り着いたら大阪なんばの劇場だったと…(愛之助:ここ笑うとこですよ!)(笑)
――― 監督デビュー作ですが、公開したという実感は?
楳図監督:ここで公開したという後悔はしてませんで…(笑)公開したという喜びに満ち満ちておりますので、ここで失敗して堪るか~!という感じです。
――― とてもホラー映画の舞台挨拶とは思えない雰囲気ですが…?
愛之助:ホントですね。こんなに和気あいあいとして笑って「どうでしたか?」なんて訊くことはあまりないと思うんですが、これも監督の人柄でしょう。撮影中もいつも監督はムードメーカーでした。監督と私の共通点は、「楽しんで仕事をする」。つまりいい意味の遊びの延長で仕事ができたので、本当に楽しかったです。
この作品のマンガ本に、お風呂に入っている楳図先生の所にさくらが素っ裸で入って来るページがあって、「このマンガ、結構キワドイね。本番で出てきたらびっくりするよね?」なんて話していたら、映画の終盤でマンガを書いている僕の後ろから舞羽さんが寄って来て「あっ、私と同じ名前!」というシーンがあるのですが、その時たまたまめくったページがそのお風呂のページだったんです!二人ともびっくりしました(笑)。
舞羽:とても生々しい表情になりましたが…。
楳図監督:微妙なテンションの上がり方が面白いね!(笑)
舞羽:その時の愛之助さんの表情も見てほしいです。
――― 1回見ただけでは分からないシーンがこの映画にはいっぱいあります。他にも思いつかれることは?
舞羽:さくらが初めて楳図先生のお宅に伺うシーンで、部屋の中に「まことちゃん」グッズがあちこちに飾ってあることです。人形やマグカップや隠れまことちゃんがいっぱいで、きっとマニアックな方には堪らないのでは?
――― 舞羽さんは宝塚歌劇の娘役トップでいらっしゃいましたが、ホラーは初めて?
舞羽:初めてです。意外とアクションシーンが多くて、真行寺さんをいろんな物で殴ったり、崖から落ちたりと、走り回ったり、転んだりと。
楳図監督:結構体力要る役でしたね。
――― 愛之助さんは、気付かれた所はありますか?
楳図監督:愛之助さんが気付いたとこ?
愛之助:いえいえ、僕のコーナーです(笑)。僕のボーダーの幅が変わったのを気付かれましたか?赤と白のボーダーは楳図かずおのトレードマークですが、「いざ、やるぞ!」という強気の時には幅が太く、弱気になると幅が小さくなるんです。
楳図監督: (愛之助さんのストールを持って)今日は弱気という訳ではありませんが(笑)。
愛之助:今日は若干控え目という感じですね(笑)。
――― 今日お越し頂いた皆さん関西ご出身の方ですよね?
楳図監督:そうなんです!それでどうしても関西のノリになってしまうんです。
――― 関西のノリで明るかったんですか?
楳図監督:そうですね、多分そんな気がします(笑)。舞羽さんは暗いシーンなのに明るい感じに喋ってしまい、音声さんに注意されてました。関西ということがバレてましたね。
――― 楳図監督が奈良県で、愛之助さんが大阪府、舞羽さんが兵庫県ご出身ということですが…?
楳図監督:今回関西パワーも影響したのですが、血液型も影響していたんです。僕がO型、愛之助さんがB型、舞羽さんがA型、真行寺さんがAB型と、4人ともバラバラなところが面白い。特に真行寺さんは、今まで綺麗な役が多かったのですが、AB型なので綺麗な反面崩れた役もできるのでは?と考えました。あの綺麗で優しそうな表情が恐かったでしょう?
(会場シーン)
楳図監督:はい!
愛之助:監督、自問自答してるじゃないですか?(笑)
楳図監督:人間の実態を見てしまったようで、余計に恐くなると思います。
――― 撮影場所は監督の実際のお家なんですって?
愛之助:そうなんです。よく知られている赤白のボーダーの家ではでなく、監督は沢山のお家をお持ちなんで…
楳図監督:家を建てるのが趣味なんです。家も僕の作品だと思っています。赤と緑のお皿も置いてますよ。
愛之助:緑が多い素晴らしい環境の、とても素敵なお家です。
――― 楳図かずおのプライベートも垣間見れる映画にもなっているんですね?
楳図監督:そこをベースにして物語を作っていくんです。フィクションだけでなく、真実の部分も多いんですよ。例えば、愛之助さんが掌にペンを突き刺すシーンがあるのですが、本当に掌に傷があるんです。経歴や育った場所もすべて本当なんですが、全部足すとウソになってしまうんです(笑)。
――― 是非次回作も撮って下さいね。
楳図監督:ありがとうございます。そのためには皆様の後押しが必要だと思いますので、是非応援して下さい。
――― 最後のご挨拶を。
舞羽:何度見ても楽しい映画だと思います。真行寺さん演じるマザーの深い部分にある愛情のゆがみ方とか、見れば見る程味が出てくる楽しいホラー映画だと思いますので、是非何度でもご覧頂きたいと思います。
愛之助:ホラー映画を見終えた後の舞台挨拶とは思えないほど和気合いあいとしていますが、監督、次は喜劇を作ったらどうですか?
楳図監督:あ~それはいいね!その時は愛之助さんはお笑いの役になっちゃうよ。
愛之助:勿論!喜んで頑張らせて頂きます(笑)。先程からお話に出てきておりますような見落とされた部分を何度でもご覧頂きたいと思います。
楳図監督:恐いだけじゃなくて、人間の心理、普段隠れている奥深い部分とか、人生の中の本能による苦悶などがしっかり裏に張り付いています。是非、ご近所、お友達などともう一度ご覧頂きたいと思います。そして、最後に「うわ~っ!」と脅かしてあげて下さい。
【STORY】
楳図かずお(片岡愛之助)の生い立ちを本にしようと担当編集者のさくら(舞羽美海)は初めて楳図家を訪れ、独特な「ウメズ・ワールド」グッズで囲まれた自宅の中で、母親イチエ(真行寺君枝)の不思議なパワーを感じる。調査のため楳図かずおの生まれ故郷を訪れ、イチエに関する忌まわしい過去が明らかになると同時に、楳図かずおの近親者やさくらの身辺で次々と恐ろしいことが起こっていく……。
大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹など、全国絶賛公開中!
(河田 真喜子)
(2014年 日本 51分)
―――認知症のケアですが、内科、脳外科ではなく精神科の先生が登場しますね。
―――名護での撮影を経て、ご自身に変化はありましたか?
『バツイチは恋のはじまり』主演のダニー・ブーン トークレポート《フランス映画祭2014》
(2014年6月30日 東京有楽町・朝日ホールにて)
《フランス映画祭2014・観客賞受賞作》
(Fly Me to the Moon 2012年 フランス 1時間44分)
監督:パスカル・ショメイユ
出演:ダイアン・クルーガー、ダニー・ブーン、アリス・ポル、ロベール・プラニョル、ジョナタン・コアン
2014年9月20日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、11月~京都シネマ 他全国順次公開
★公式サイト⇒ http://www.batsu-koi.com/
(C)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH'TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN
★ダニー・ブーン、コメディアン本領発揮!
こんなダイアン・クルーガー見たことない!クール・ビューティも破顔の爆笑コメディ!!
家系的に1度目の結婚は必ず失敗するというジンクスを抱えたイザベル(ダイアン・クルーガー)は、10年も同棲中の恋人との結婚を成功させるため、誰でもいいから偽装結婚してバツイチになろうとする。そこで選んだ相手がツアーガイドのジャン=イヴ(ダニー・ブーン)だったが、中々離婚できずに悪戦苦闘するという物語。お話に無理があるだろうと思って見たら、とんでもない!パリからデンマークへ、さらにケニアやモスクワへとワールドワイドのロケも魅力的だが、何と言ってもお人好しジャン=イヴを演じたダニー・ブーンの美女イザベルに翻弄されまくる“困ったチャン”ぶりが可笑しい!
特に、ケニアでのライオンに遭遇するシーンや歯医者さんでのシーンや脱毛のシーンなどは傑作!行く先々で繰り広げられる二人の珍道中を見ているうちに、いつしか「自分にとっての本当の幸せとは何か」を考えさせられる。イザベルのどんな嫌がらせにも寛大に応えるジャン=イヴの一途さがいい。「気持ち良く心の底から笑えるのが一番!」というダニー・ブーンの品のいいコメディセンスが心に響く、傑作コメディだ。
2014年6月30日、東京有楽町にある朝日ホールにて開催された《フランス映画祭2014》のクロージングを飾った本作は、上映後に主役のダニー・ブーンが登壇して、増々会場は大盛り上がり! 観客の質問にもジョークで切り返すあたりは、さすがだ!
――― オープニングセレモニーに登壇されなかったので、来日できないのかと心配しましたが?
フランスから日本へ車で来たものですから、ちょっと時間が掛かってしまいました(笑)
――― コメディの王様と言われているダニー・ブーンさんですが、本作への出演理由は?
やっぱダイアン・クルーガーでしょう!? 他にどんな理由があると言うんです?(笑)
とにかくシナリオが面白くて!ラブコメも好きですが、パスカル・ショメイユ監督の作品へのアプローチの仕方や映画の撮り方が好きでしたので、出演したいと思いました。それに、今回シネマスコープによる撮影だったり、フランスだけでなくケニアやモスクワへ行ったりととても大変でしたが、素晴らしく美しい映像や、エレガントなユーモアで綴られているころが良かったです。
――― お好きなシーンは?
面白かったのは歯科院でのシーンですね(笑)。顔にいっぱいメイクされましたが。ワンマンショーでは体を使って笑わせることが多いので、それを映画に取り入れることができました。それと、髪の毛を失くしてしまうシーンです(笑)。
――― ジャン=イヴみたいに、女性にどんな身勝手なことをされても平気ですか?
もし私の妻が脱毛剤を使ったら、やはり怒るかな?20年前だったら、彼みたいに優しかったけどね(笑)。
――― 理想とする笑いのとり方とは?
心からくる笑いが一番好きです。言葉による笑いと体によるものとを結び付けるのが重要だと思います。リアリティのある状況を演じないと心から笑えません。そのためには、心のこもった人間味を出していかなければなりません。そのシチュエーションをリアルに生きることが笑いに繋がると信じています。下品なことを言って笑いをとるのは好きではありません。子供が笑ってくれるかどうかが私の基準です。
――― ライオンが登場するシーンは?
最初ライオンと一緒に出演して下さいと言われましたが、ライオンが「イヤだ!」と言ったので別々に撮影しました(笑)。いくら調教師が優秀でも、もしもの事が起きると、テイクの度に交代の俳優を用意しなければなりませんからね(笑)。
ケニアのセレンゲティ国立公園での撮影でした。宿泊していたロッジの近くにヒョウの家族が住んでいるので注意するよう言われていたので、ダイアンにもその事を伝えたのですが、彼女は「また冗談ばっかり言って!」と本気にしなかったんです。ところが、夜ダイアンがシャワーを使おうとしたら、そこにヒョウが待っていたんです。「ヒョウに会ったら叫ばず、背中を向けるな」と教えられていたので、彼女はそのまま後ずさりして無事でした。ヒョウの方も、裸のダイアンに興味なかったようです(笑)。ボクもヒョウの前を通ったのですが、大きなネコだと思って気付きませんでした(笑)。
その後も、サファリカーが火事になったり、灌木の中で道に迷ったりと、いろんなことが起こって、大変なロケでした。
――― マサイ族の人たちについて?
セリフのあるマサイ族の酋長役の人は、フランス語ができる弁護士で、演劇学校へ行って勉強した人なんですが、彼が一番NGを出していました。言葉の通じない他のマサイ族の方が上手に演じていました(笑)。
――― 監督もされていますが、製作意欲は?また、役者として出演する時のポイントは?
監督として大切なことはアイデアを出すことです。そのためにはシナリオに時間をかけること。1年~2年ぐらいは物語やアイデアをずっと考えて温め続けています。
役者と監督との違いは、シナリオの読み手として面白いかどうかを判断できることです。自分の出番が何ページあるかと数えたりはしません、他の俳優さんのようにね(笑)。出番は少ないのにポスターでは一番前にしてくれとか、そんなことを言う俳優さんを後で教えますね(笑)。
物語が感動を与えられるか、笑えるか、監督がそれまでどんな作品を作ってきたかなどを考え、監督とシナリオの読み合いをして決めます。今まではいい監督と作品に恵まれてラッキーでした。これからも続くかどうか分かりませんが(笑)。
――― 監督経験のある役者は、物分かりが良く使いやすいとジャン=ポール・サロメ監督が仰ってましたが、ご自身は如何ですか?
監督をしてみて分かったことは、待機時間が長い理由です。待たされるからいい椅子を選んでおいた方がいいよと言われました。監督の経験があるので、自分の身を監督に任せようという気持ちになれます。さらに、編集の重要性を分かっているので、シーンとシーンの繋がりを重要視するようにもなるのです。
――― アドリブはどの程度入れるのですか?
割と沢山入れます。ジャン・ピエール=ジュネ監督の『ミックマック』の場合は、アドリブを制限されていました。クローズアップのシーンで、涙を流して下さいと言われたので流したら、監督が「反対側の頬で」と言われました(笑)。
終始冗談ばかり言って会場を沸かせていたダニー・ブーン。ダイアン・クルーガーが「ヒョウに気を付けろ」と言われても本気にしなかった理由がよくわかる。きっと撮影中もこの調子だったのだろう。毒舌で他者をけなしたり、下品なことを言ったりして笑いをとるのではなく、チャップリンのような悲哀を秘めた人物像で喜劇を演じられる役者のように感じた。心の底からこみあげる笑いで人々を魅了し、《フランス映画祭2014・観客賞》に輝いたのもうなずける作品だ。
(河田 真喜子)
『イヴ・サンローラン』主演のピエール・ニネ待望の初来日レポート
(2014年 フランス 1時間46分)
監督:ジャリル・レスペール
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ 、シャルロット・ル・ボン、ローラ・スメット、ニコライ・キンスキー
2014年9月6日(土)~角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、T・ジョイ京都 他全国ロードショー
★作品紹介⇒ こちら
★ジャリル・レスペール監督トークレポートはこちら
★公式サイト⇒ http://ysl-movie.jp/
(C)WY productions - SND - Cinefrance 1888 - Herodiade - Umedia
21世紀フランスを代表するイケメン、ピエール・ニネ待望の初来日!
世紀の天才デザイナー、イヴ・サンローランを完璧に演じ、美貌と実力を兼ね備えたスターの誕生にヨーロッパが騒然!
揺るぎなき地位を築いた一流ブランドの創始者にして、世界で最も有名な伝説のファッションデザイナー、イヴ・サンローラン。彼の輝かしいキャリアと人生の、その光と影を描いた感動作『イヴ・サンローラン』は、今年1月本国フランスで公開するや、アカデミー賞を賑わせた『ゼロ・グラビティ』や『あなたを抱きしめるまで』を抜いて、初登場NO.1の大ヒットを記録しました。その主役となったのが、完璧な演技でイヴ・サンローランになりきったピエール・ニネです。
また、本作はイヴ・サンローラン財団所有のアーカイブ衣装の貸し出しの許可も得て制作された、ブランド初公認の本格伝記映画としても話題となっております。
サンローラン役に抜擢されたのは、国立劇団コメディ・フランセーズ在籍のピエール・ニネ。卓越した演技力で酷似した容姿と繊細なキャラクターを見事に再現し、フランスの全国民を圧倒させました。目を見張る演技力にプラスして美しい容姿をもつ彼の人気は沸騰し、いまや大スターに!日本の女性誌もこぞって取り上げるなど、いま最も注目を浴びている若手俳優です。
この度、日本初来日になるピエール・ニネを囲み、サロン会見を開催致しました。超満員のマスコミの熱気に感動したピエール・ニネは「監督に、こんなにたくさん取材に来てくれたよ!と写真を送りたいので、皆さんの写真を撮ってもいいですか?」と25歳らしい無邪気な面もみせ、場を和ませる一面も。多くの質問が飛び交い。会見は予定の1時間をオーバーし、大盛況の中終了致しました。
【イヴ・サンローラン』 ピエール・ニネ サロン会見 概要】
実施日:2014年8月8日(金) 14:20~
会場:ザ・ペニンシュラ東京(東京都千代田区有楽町1-8-1)
登壇者:ピエール・ニネ
【サロン会見 内容】
■ピエール・ニネからの挨拶
「皆さん今日はお集まりいただいてありがとうございます。この映画に皆さんが興味を持ってくださってとても嬉しいです。世界中をプロモーションで回りましたが、僕にとっても日本は大切で、美しいものについての美学がある国だと思いますが、生前のイヴ・サンローランが愛した国でもありました。今日はよろしくお願いします」
■初来日の日本の印象は?
「日本の人たちは互いを重んじて、リスペクトする国、礼儀正しい国だと聞いていたのですが実際に来てみると、本当にそうで、皆さんのふるまいにエレガンスがあって感動しました。サンローランにとってもエレガンスはテーマでしたが、日本にもそれを感じます。僕はしばらく東京に滞在してあと、日本の伝統も見てみたいと思っていますので、京都に行きます」
■イヴ・サンローラン役を演じたきっかけは?
「僕にとって思いもよらないオファーだったんです。僕はコメディ・フランセーズに所属しているのですが、パリで舞台の稽古中にジャリル・レスペール監督から電話が来て、ビールを飲まないかと誘われてかけて行ったら、『世紀のラブストーリー、世紀のクリエイションについての映画を撮る、イヴ・サンローランの映画を撮るんだ』と言うので、僕はもちろんすぐに出演をお受けして、『ところで僕は誰を演じるの?』 と聞いたら『イヴ・サンローランだ!』と。こんなに伝説的で鮮烈で魅惑的な役のオファーがあることはないので、自分はとても幸運だと思いました。そして準備することがたくさんあったので、すぐに準備に入ることになりました」
■映画の世界的ヒットについてはどう思いますか?
「フランス国内で興行的に成功したことで、様々な国が興味をもって下さり、プロモーションでベルリン、ニューヨーク、ブラジルなど様々な国に行きました。世界的にグローバルに受け容れられたのですが、皆さんが興味をもってくださるのは、イヴ・サンローランというブランド帝国の背後にいたのは誰なのか、それはどういう人物だったのか、ということに対する興味なのではないかと思います。映画はイヴ・サンローランという偉大な人物の裏側も描いていますが、サンローランという人は、時代を先読みする鋭い感受性を持っていたがゆえに心が痛み、極端な行動に走る一面もあったのです」
■今回の役作りについて教えてください。
「撮影前に5ケ月の期間があったのですが、ipodに彼の本当の声を入れて、1日3、4時間くらい聞いて勉強したほか3人のコーチにもついて勉強しました。1人目のコーチはデッサンで、2人目はフィジカルコーチで、経年によって変わる体のシルエットについてコーチを受けました。3人目はデザインとファッションのコーチで、ファッション業界の様々な専門用語などや布の遣い方触り方、クチュールのアトリエでの仕事の仕方を学びました。実際に練習して撮影現場ですぐに使えるまでもっていきました。役を作りにあたり、僕は最初自分とサンローランの共通点を探そうとしました。聖人のような人物を演じるわけですが、彼だって人間なのだから、と自分との公約的な部分を探したのですが、結果的には全く違う人物なのだと思い至りました。唯一の共通点を言えば、スケールは全く違いますが若くしてクリエイションの道に入った、若くして自分の道が定まったというところだけは共通しているかもしれませんね。ですから役作りはとても必要でした。」
■まだ25歳のあなたにとって生まれていない時代のことを演じるのは大変だったのではないですか?
「僕の世代が直接知らないことを学ぶこは大変面白かったです。イヴ・サンローランの歴史はフランスの歴史に通じるんです。彼は時代を先取り先読みしていた人でしたから、ミリタリーを洋服として着る人がいなかった時代に、ミリタリー・ルックを打ち出したりしましたし、70年代のヒッピー文化の時代については僕自身歴史を再体験するようで面白い経験でした。」
■この映画はイヴ・サンローラン財団の初公認映画ですが、彼の衣装を目にした時の印象は?
「彼は時代を先読みするビジョンと頭脳の明晰さを行使して、人々は何を好きになるかということを先取りして読むことができる能力がありました。とても印象的だったは、撮影現場モンドリアンのドレスが運び込まれてきた時でした。係員の方が、美術品を扱うように手袋をして触っていたのです。もちろん着用したモデルさんは座っても駄目、食べ物や飲み物も駄目という制限の中で撮影しました。最後に手袋なしでこのドレスを触ったのは、イヴ本人だったのかもしれないと考えたら、とても感銘を受けました。」
(角川映画リリースより)
『イヴ・サンローラン』ジャリル・レスペール監督トークレポート
《フランス映画祭2014》
日時:2014年6月27日(土)16:50~17:30/場所:有楽町朝日ホール
登壇者:「イヴ・サンローラン」ジャリル・レスペール監督、「エルジャポン」塚本香編集長、東京国際映画祭プログラミングディレクター矢田部吉彦氏
(2014年 フランス 1時間46分)
監督:ジャリル・レスペール
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ 、シャルロット・ル・ボン、ローラ・スメット、ニコライ・キンスキー
2014年9月6日(土)~角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、T・ジョイ京都 他全国ロードショー
★作品紹介⇒ こちら
★ピエール・ニネ来日レポート⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://ysl-movie.jp/
(C)WY productions - SND - Cinefrance 1888 - Herodiade - Umedia
★フランスモード界の寵児イヴ・サンローラン、財団初公認の本格伝記映画
日本でも大人気ブランドの創始者、イヴ・サンローラン。若くしてモード界のトップに立ち、時代が大きく変わろうとした50年代後半から70年代にかけて、時代を先取りしたデザインで社会変革をファッション界から推進した先駆者でもある。それまでの女性のスタイルを根本から変えたパンツスタイルを生み出し、女性の社会進出と地位向上に貢献した。本作は、その天才的ファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華麗なる人生の光と影を、公私共にパートナーだったピエール・ベルジェの視点から描いたラブストーリーである。
今回の映画製作には、ピエール・ベルジェ氏が全面協力し、イヴ・サンローラン財団所有の貴重なデザイン画や衣装が使用された、財団初公認作品ということにも注目が集まっている。また、イヴ・サンローランを演じたピエール・ニネは、持ち前のエレガントさと熱意が認められて起用され、ミステリアスな天才の人生を繊細に体現している。さらに、今回天才へのアプローチ役となったピエール・ベルジェを演じたギョーム・ガリエンヌ。二人とも国立劇団コメディ・フランセーズ在籍する俳優だが、ギョームの役者として人生の先輩としての貫録ある演技が、作品のクオリティを高める要因となっている。
《フランス映画祭2014》で来日したジャリル・レスペール監督が登壇し、会場の観客からの質問に答え、制作秘話や撮影の裏話などを披露。この上映会では、前売チケットが真っ先に完売する売れ行きを見せ、当日は有楽町朝日ホールが満席となった。
(敬称略)
――― 塚本さんにとって、イヴ・サンローランとはどのような存在?
塚本:20世紀を代表するデザイナーの一人であると同時に、洋服のデザインだけでなく、女性や社会の意識を変えた重要な人です。それまで男性の服だったスモーキング・スーツを女性が身に着けることは、女性解放という時代の空気を生み出した重要な事件だったと思います。
―――「イヴ・サンローランに、ソックリ!!」ですが、俳優ピエール・ニネは「つけ鼻」?
レスペール監督:映画の冒頭は彼自身の鼻のままですが、晩年病気とアルコールの影響で老化した姿の最後のシーンは特殊メイク(つけ鼻)を使用。ニネの素顔はイヴ・サンローランに似ている訳ではなく、むしろ天性のエレガンスと立ち振る舞いが似ていたのです。この役を演じるには、若くて、準備が大変なので仕事熱心、舞台経験があり演技の基礎がしっかりしている俳優が条件でした。
ピエール・ニネとの出会いで「彼しかいない!」と思いました。5カ月の準備期間には、数々の記録映像を参考に、振る舞いや声、話し方のボイストレーニングを受けたり、デッサンのコーチについてマスターし、サンローランの現デザイナー、エディ・スリマンのスタジオに行き実際のクチュリエの仕事を体験したり、ショーのバックステージを見学したりしました。
――― イヴ・サンローラン財団から貸し出された、大量の本物の衣装と圧巻のファッションショーはどうやって実現!?
レスペール監督:私は最初からオリジナルのデザインやデッサンを使いたいと思っていましたので、ピエール・ベルジェ氏に会って協力して頂くことが最優先でした。そこで、1年位の準備期間中、アドバイザーとして、さらに、財団が保管する美術品のような衣装を使わせてもらえるという、全面的な協力を得ることに成功したのです。
ピエール・ベルジェ氏は、「バレエ・リュス」のショーの撮影で、当時を思い出したのかモニターの前で号泣していました。その時、現場に遊びに来た僕の3歳の娘が、ベルジェの膝の上に乗って彼を慰めていたのが、何とも感動的でした。
でも、モデルのウォーキングを注意したり、色々とダメ出ししたりしてきたので、次のカットでは、バックステージで彼が当時やっていたようにショーを取り仕切ってもらったんです。
――― 主演ピエール・ニネが、あまりに似すぎて、サンローランの飼っていた犬が懐いたというのは本当!?
レスペール監督:それは本当です。映画の撮影前に写真撮影をしにイヴ・サンローランのアトリエを訪れた際、サンローランが飼っていた犬がたまたまアトリエにいて、ピエール・ニネに大興奮で飛びついてきたんです。ただ私は犬の言葉がわかりませんので、サンローランだと間違えて懐いていたのか、犬の本当の気持ちはわかりませんが(笑)。
――― ギョウム・ガリエンヌ起用については?
レスペール監督:50~60年代のピエール・ベルジェ氏はそんなに有名な人ではなかったので、肉体的に似せる必要はありませんでした。ただ、とても教養のある文化人でしたので知性面を体現できて、さらに、カッとしたり暴力的になったりと感情的な面もあったので、そうしたものを秘めた演技ができることが重要でした。また、ピエール・ニネがとても若いので、役者としても成熟したピュアなもの持った人を選考しました。
ギョーム・ガリエンヌは、感動的な存在感を示せるとても優秀な役者です。今フランスでは彼が監督主演した『不機嫌なママにメルシィ!』という映画が大ヒットしていますが、それは彼が持つマルチな才能の証明だと思います。
――― ヴィクトワールとの関係性については事実ですか?
レスペール監督:それは史実です。どんなカップルにも波乱はあります。特に、ヴィクトワールの存在が大きく成り過ぎて、三角関係が危うくなってきたのです。彼女はブランド立ち上げにも全面的に協力した功労者の一人でしたが、会社はあくまでもイヴ・サンローランとピエール・ベルジェの二人のものであって、3人目のヴィクトワールは余計な存在となってきたのです。それであのように強引な方法で彼女を追放してしまったのです。
――― 塚本さんはイヴ・サンローランの史実についてはご存知でしたか?
塚本:彼の人生については大体知っていました。ルル・ド・ラ・ファレーズやベティ・カトルーとの関係も知っていました。ですが、ジャック・ド・バシェールがカール・ラガーフェルドの恋人だったなんて、全く知らなかったので驚きました。カール・ラガーフェルドはこの映画を見てどう思ったのか?それを知りたいです。
レスペール監督:カール・ラガーフェルドの所で働いている人を通じて聞いた話だと、この映画の公開時にカール・ラガーフェルドは戦々恐々としていたが、映画を見に行った人から「君のことを侮辱して描いているシーンは一つもないよ」と聞いて、とても安心したようです。
――― ドキュメンタリー映画『イヴ・サンローラン』が公開されているので、今回ドラマを製作する際に気を遣った事とは?
レスペール監督:それは障害にはなりませんでした。監督というものは、なぜだか分からないが撮りたくなる。それはどこへ行くか分からない夜行列車に乗るようなものだ(フランソワ・トリュフォーの言葉)。イヴ・サンローランとピエール・ベルジュのラブストーリーは、私の心の琴線に触れたので描きたかったのです。今まで撮ってきた3本の映画全てがそうですが、愛の中でパートナーと一緒にいることの必要性、一人ではできないことでも二人なら生きていけるということを常に描いてきました。理想のカップルが様々な困難を乗り越えて、人生を共に過ごすことは可能なんだということを示しています。それこそが、人生に意味を与えていることを描きました。
<STORY>
1957年、パリ。クリスチャン・ディオールの死後、21歳の若さでディオール社の主任デザイナーに就任したイヴ・サンローランは、一躍世界の注目を集める。その若き天才は、初めてのコレクションを大成功させ、センセーショナルなデビューを飾る。その後、芸術家の支援をしていた26歳のピエール・ベルジェにディナーの席で出会い、二人は恋に落ちる。デザイナーとしての才能と、エレガントで美しい容姿のイヴにベルジェが一目惚れ。兵役に行ったイヴが精神的に病んで苦境に陥ったところをベルジェが助け、デザイナーとして独立させたり、イヴ・サンローラン社を設立したり、公私共にパートナーとなる。そして、運命を共にするふたりは、世界のファッション界を変えるほどの影響力を発揮していくことになる。
しかしその一方で、繊細すぎる天才肌のイヴは、次々と新作を発表しなければならないクリエーターとしてのプレッシャーに耐えられなくなり、薬物やアルコール、セックスに依存するようになっていく……。
(河田 真喜子)