「京都」と一致するもの

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『チャップリンからの贈りもの』グザヴィエ・ボーヴォワ監督インタビュー&トークショー@フランス映画祭2015
 

~「神を信じていないけれど、チャップリンは信じています。」

グザヴィエ・ボーヴォワ監督×ミシェル・ルグランが綴る

チャップリン遺体誘拐の顛末とほろりとする結末~

 
伝説の喜劇王、チャーリー・チャップリンは、いつも社会の底辺で生きる人たちに目を向け、その苦しみや歓びをユーモアと皮肉を絶妙なさじ加減で取り入れながら描き続けてきた。そんな偉大なチャップリンを思わぬ形で取り上げ、現在に”甦らせた“のが、実在のチャップリン遺体誘拐事件を題材にした、グザヴィエ・ボーヴォワ監督最新作の『チャップリンからの贈りもの』だ。
 
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<ストーリー>
1978年、スイスのレマン湖畔に住む、移民のオスマン(ロシュディ・ゼム)は、刑務所から出所したばかりの親友エディ(ブノワ・ポールヴールド)を離れのバラックに住まわせながら、娘サミラと共にギリギリの生活を送っていた。ある日、エディとテレビを見ていると、チャールズ・チャップリン逝去のニュースを目にする。妻の入院費が払えず窮地に陥ったオスマンのためにエディは、前代未聞のチャップリンの遺骨を誘拐し、身代金を奪う計画を立てるのだったが・・・。
 
チャップリンの遺族が本作へ全面的に協力し、作品中でもチャップリンの妻役やサーカス座長役で出演している他、なんといっても感動的なのは『シェルブールの雨傘』をはじめ、数々の素晴らしい映画音楽を手がけたミシェル・ルグランが、本作で久しぶりに音楽を担当していること。往年の名画を観ているような壮大な音楽に胸が熱くなる。
 
遺体誘拐事件の犯人側にスポットを当て、彼らが当時置かれていた状況や、誘拐事件を起こさねばならなかった理由、そして映画ならではの結末に希望が見える、グザヴィエ・ボーヴォワ監督流ファンタジー。ファンタジー要素をより高めたのが主役のブノワ・ポールヴールド演じるエディがサーカス座で職を得、二人組のパントマイムを演じるシーンだ。チャップリンの姿がかさなるようなエディの姿やラストシーンは、記憶に残ることだろう。
 
グザヴィエ・ボーヴォワ監督へのインタビューでは、チャップリンへの思いやサーカスシーンの裏話をお聞かせいただいた。
 

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―――チャップリンの存在の偉大さや、グザヴィエ・ボーヴォア監督が学ぶべきものを引き継いでいる偉大さを感じましたが、監督にとってチャップリンはどのような存在ですか?
私は神を信じていないけれど、チャップリンは信じています。チャップリンが語る言葉は、私の前作『神々と男たち』の修道僧に語らせても、ぴったりくるような台詞がありました。『チャップリンの独裁者』でのスピーチも修道僧に語らせても非常にしっくりくるもので、そういう意味でもチャップリンは偉大な存在だったと思います。
 
 
―――犯人が移民であることも、この事件や本作の脚本を書く上で大きな要素となっていたと思いますが、当時の社会的背景や移民たちの置かれていた状況について教えてください。
事件はスイスで起こっていますが、フランスとスイスで実は状況は違っていました。スイスは移民を街の中に溶け込ませ、住まわせていましたが、フランスの場合は移民を郊外に追いやり、ゲットーのようなところで住まわせていたのです。スイスは最初から移民に滞在許可を与えていましたが、フランスはなかなか滞在許可を与えませんでした。しかも当時フランスは労働力確保のために移民を来させておきながら、滞在許可や労働許可を与えなかったのです。これがそもそもフランスの間違いだったと思います。労働力として入国させたなら、スイスのように街の中に住まわせ、労働許可を出すべきでした。それが今フランスで起きている様々な事件の根源になっていると思います。
 
 

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―――サーカスのシーンで、ブノワ・ポールヴールド演じるエディの二人組の出し物(パントマイム)が素晴らしかったですが、このシーンはどのように作り上げていったのですか?
本当のサーカスの出し物を見て、それが素晴らしかったので映画に採用しました。ブノワは、最初は道化師の役は絶対にやらないと言い張っていました。赤い鼻をつけた、いわゆる道化師ではないと話をしても、DVDを見せようとしても断固拒絶されたのです。最終的には、一緒にサーカスを見に行って、生のサーカスのパントマイムを見て、ようやく「これだったら、やってみる」と快諾してくれました。
実際のサーカスでのパントマイムは、本番一回だけですが、映画の撮影時は20回、30回と同じことをやらなければならなかったので、翌日ブノワは「筋肉痛だ!」と大騒ぎしていました。
 
 
―――墓を掘り起こすシーンと、埋め戻すシーンの曲は少し楽しそうな雰囲気がありましたが、監督からはどのような指示を出したのですか?
お墓を掘り起こす奇妙で奇天烈な人がいたということで、ファニーな音楽を起用しました。刑事ものであれば暗い感じの音楽になりますが、そういうものは作りたくなかったのです。
 
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―――『ライムライト』をアレンジした音楽が使われていましたが、その意図は?
『ライムライト』をアレンジしたのは、ミシェル・ルグランです。この曲を使ったのは、お墓を掘り起こしたときに、チャップリンの魂がもう一度表舞台に現れたという感じを出したかったのです。そこで、『ライムライト』の曲で登場させたのです。執事が「こんな事件でももう一度表舞台に(チャップリンが)出てきたので、私はもう一度ここにいなくてはいけない」と最後に言いますが、そこでも掘り起こされたことにより、生き返りはしませんが、やはり“チャップリンは出てきた”のです。
(江口由美)
 

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フランス映画祭2015上映後に行われたトークショーでは、東京を気に入ってくださった監督の熱のこもった挨拶に続き、音楽について話が及んだときは、担当したミシェル・ルグランになんと生電話という、うれしいサプライズも。きっとチャップリンも微笑みながら見守ってくれていたであろう、最後まで盛り上がったトークショーの様子をご紹介したい。
 
ゲスト:グザヴィエ・ボーヴォワ監督
(2015年6月29日(日)@有楽町朝日ホール)
 

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――― 最初のご挨拶。
皆様こんにちは~。この場を借りてこの作品を公開して下さった関係者の方々にお礼を申し上げます。
私は、私の作品を紹介してくれるいろんな国へ行って「この国に来られて嬉しい」といつも言っていますが、それはウソで、心の中では「本当は家に居たかった」と思うことが多いです。ですが、今回は本当に本心から日本に来ることができて嬉しく思っております。私の友達の多くは日本が好きです。日本映画は勿論、家並みやファッション、和食や文化、特に注目したのは自分以外をリスペクトする姿勢です。東京はこんな大都会なのに、物音があまりしません。車も静かで、あまりに静かなのでびっくりしたくらいです。今回は皆様とお会いできて大変嬉しく思っております。
黒澤明監督は、「映画について語ることは余計なことだ」と仰ってたと思いますが、「見ればわかる」ということでが、私は私の映画についてひと言説明させて頂ければと思います。
 
 
――― この映画は実際に起きたチャップリン遺体誘拐事件を基に作られていますが、今なぜこれを題材にして作ったのですか?
家で妻と『ライムライト』を見ていて、その事件のことを思い出して妻に話したんです。すると、「冗談でしょ!?」と信じなかったんです。そこで、インターネットで調べて説明していたら、「チャップリンの遺体を盗むなんて、こんな奇妙奇天烈なことは映画にすべきだ!」と思って作ったのです。
 
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――― 音楽を巨匠ミシェル・ルグランが手掛けておられるのに、先ずびっくり! さらに、滑稽で間抜けなシーンにそれが使われていたのにまたびっくり!彼を起用した理由は?
映画は魂を持った人間のようだと思っています。映画を作るということは、魂に導かれるように創り上げていくことだと。先ず、その作品は音楽が必要かどうかを考え、必要だったら魂からの呼びかけがあると思っています。
ミシェル・ルグランの音楽は大好きで、『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』などずっと彼の音楽を聴いて育った人間ですので、「是非担当して欲しい!」とオファーしたら、OKして下さったのです。しかも、フランスにあるお城のようなご自宅に3週間泊めて頂いて、一緒に生活するという幸運に恵まれたのです。スタジオはハリウッドにあったのですが、フランス人女優の奥様がフランスに居たいと仰って、そうなったのです。
編集を担当していた私の妻は、編集機をルグランさんのピアノの横に置いて、ルグランさんはシーンを見ながら作曲するという共同作業ができたのです。彼は83歳ですが、若々しくてとても熱意のある方です。オーケストラのイメージも同時に出来上っていて、作曲も演奏もすべてやって頂きました。今思い出しても涙ぐんでしまうほど感謝しております。
 
(ここで突然携帯電話を取り出して、電話を掛けるボーヴォワ監督……相手はなんと、ミシェル・ルグラン!! 会場の大喝采を送ると、「日本の皆さんにカンパイ!」とミシェル・ルグランの元気な声でお返事が!―― 思わぬプレゼントに会場は大盛り上がり。)
 
 
――― 『ライムライト』を思わせるラストシーンが特に印象的でしたが、最初からそうするつもりでしたか?
社会の陰の部分で生きている人も光の方へ行ってほしい。人は立ち上がることができる。スイスで撮影したのですが、可能な限りの光を集めて撮影しました。刑務所から出所する時に「もう道化師は辞めろよ」と言われるのですが、結局サーカスで道化師をやることでエディは立ち直っていくのです。そこがとても重要なことだったのです。私の子供時代もとても大変なことがあり不幸でした。ですが、映画の力で光の方へ行けたのです。同じように立ち直ってほしいという願いを込めて撮りました。
 
 
――― 雨のシーンが多かったようですが、何か理由があるのですか?
チャップリンが亡くなったのはクリスマスで、必然的に冬のシーンが多くなって雨が多かったのです。自然の雨のシーンは好きで、よく撮ります。思い通りの気候を人工的に設定して撮影したい監督もいますが、私は自然に任せて撮る方です。
 
 

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――― 『神々と男たち』でも素晴らしい映像で魅了させてくれたキャメラマンのカロリーヌ・シャンプティエとの仕事について?
彼女とは5作品一緒に仕事をしています。彼女なしでは撮影は考えられない程です。言葉に出さなくても私の意図を素早く理解してくれます。私たちがよく考えていることはあまり美しくなり過ぎないようにすることです。俳優とのやりとりもよく理解してくれています。彼女は、半分はアーティストで、半分は「サムライ」だと思っています。芸術家としてのセンスも素晴らしく、モーターのような原動力があり、さらに確固たる意志を持った人なんです。体は小さいのですが、「サムライ」のような人だと思っています。
 
 
――― とてもユーモアのある作品でしたが、チャップリンの秘書の方や娘さんなどの身内の方はどう捉えていたのでしょう?
弁護士と検事のやり取りは実際の裁判記録から引用しています。結構、楽しんでいたのでは?と思われます。チャップリンの奥様は、最初「チャップリンは心の中で生きている」という理由で身代金は払わないと言っていたそうです。ですが、子供たちに危険が及ぶような脅迫をされ、それぞれにガードマンを付けたようなこともあったらしいです。ご家族にしてみれば不愉快な事件ですが、最後は粋な計らいで締めくくられましたので、今回の映画化にもとても協力して頂けたのです。チャップリンの偉大さは、亡くなってからもマスコミで大きく報道されて世界が注目し、死してなお二回目の生を生きた人なんだと思いました。
(河田真喜子)
 

<作品情報>
『チャップリンからの贈りもの』
原題:La rancon de la gloire  英題:THE PRICE OF FAME
・2014年 フランス 1時間55分
・監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
・脚本:グザヴィエ・ボーヴォワ/エチエンヌ・コマール
・出演:ブノワ・ポールヴールド、ロシュディ・ゼム、キアラ・マストロヤンニ、ピーター・コヨーテ他
2015年7月18日(土)~YEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸ほか、全国順次公開
公式サイト⇒ http://chaplin.gaga.ne.jp/
©Marie-Julie Maille / Why Not Productions
 

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『ボヴァリー夫人とパン屋』アンヌ・フォンティーヌ監督インタビュー
 

~小説『ボヴァリー夫人』に美しき隣人を重ねて・・・文学好きパン屋の危険な妄想~

 
フランスを代表する小説家ギュスターヴ・フローベールの傑作『ボヴァリー夫人』をモチーフに、小説好きの主人公が、美しく奔放な人妻に『ボヴァリー夫人』の悲劇のヒロイン、エマを重ねることで起こる物語を描いた『ボヴァリー夫人とパン屋』。
 
文学好きのパン屋、マルタンを演じるのは、『屋根裏部屋のマリアたち』『危険なプロット』の名優、ファブリス・ルキーニ。隣人の英国人人妻、ジェマを演じるのは『アンコール!!』のジェマ・アータートン。はまり役と言わんばかりの2人の演技が、物語にリアリティーを添える。『ココ・ヴァン・シャネル』『美しき絵の崩壊』のアンヌ・フォンティーヌ監督が、美しいフランス西部ノルマンディーの小さな村を舞台に、官能的かつ、ユーモアを交えて描き出した覗き見の恋物語は、ファンタジックであり、探偵もののような趣もあり、プラトニックラブもあり、妄想物語でもある。まさに味わい深いジャンルレスな作品だ。
 
女優業をされていたこともあってか、インタビュー後の写真撮影では「私は笑わないの」と、キリリとした表情でこちらを見つめてくださったアンヌ・フォンティーヌ監督。キャスティングの経緯や、本作で描いた「欲望」についてお話を伺った。
 
『ボヴァリー夫人とパン屋』アンヌ・フォンティーヌ監督トークショー@フランス映画祭2015 はコチラ
 
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  <ストーリー>
マルタンは出版社務めの後に、ノルマンディー美しい村でパン屋を営む文学好きな男。ある日、向かいに引っ越してきた英国人のチャーリーとジェマ・ボヴァリーを見て、愛読している『ボヴァリー夫人』の悲劇のヒロイン、エマを重ねるようになる。毎日パンを買いに来るジェマと少しずつ世間話をするような仲になるマルタンだったが、ある日、ジェマが年下の男のもとに向かう現場を目撃。小説のエマのように服毒自殺を図るのではと妄想が膨らんでいったマルタンは、ある行動に出るのだったが・・・
 

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―――本作の原作と出会ったきっかけや、本作を映画化するに至った経緯は? 
アンヌ・フォンティーヌ監督(以下監督):私がよく仕事をしているプロデューサーの机の上に偶然ポージー・シモンズさんの本が置いてありました。本のタイトル(『Madam Bovery』)や、表紙の絵がミステリアスで興味を惹かれました。本を借りて読んでみるとファンタジーに満ちており、とても面白い方法でフランス文学における伝説的人物である『ボヴァリー夫人』をモチーフとして扱っていました。ポージーが持つ描き方のトーンに惹かれ、ぜひ映画にしたいと思ったのです。 
 
―――パン屋という設定は原作でもあったのですか? 
監督:主人公がパン屋であること、ノルマンディーという舞台や、隣に引っ越してきたのが英国人夫婦なのは原作どおりです。他に映画の中で私が書き足したシーンもあります。 
 
―――具体的に、どんなシーンを書き足して物語を膨らませたのですか? 
監督:例えば、ファブリス・ルキーニ演じるパン屋のマルタンが、ジェマにパンをこねることを教える少しエロチックなシーンは、映画のために書きました。またラストも映画のために書いたシーンです。原作コミックの精神を踏襲し、書き加えていきました。 
 
―――主人公マルタンを演じたファブリス・ルキーニは、彼なくして本作はありえなかったというぐらい、まさにはまり役でしたが、キャスティングの経緯は?
監督:ファブリス・ルキーニとは旧知の仲で、映画を一緒に作ったこともありますし、演劇でもご一緒しているので、原作本を読んだときに、知的な文学狂のパン屋を演じられるのは彼しかいないと思いました。彼個人がフローベールの大ファンで、普段からもボヴァリー夫人のことを話していますから。彼はとても面白い人なので、即興などももちろん取り入れて演じてくれました。(トークショーでは、ルキーニが自分の娘をボヴァリー夫人の名前、エマと名付けたことや、初めて一緒に食事をしたときからボヴァリー夫人について熱く語っていたエピソードを披露) 
 
―――冒頭はファブリス・ルキニ演じる主人公のモノローグが挿入されていますが、その狙いは? 
監督:冒頭、ファブリス・ルキーニが観客に向かって語りかけるのは、彼がまるであの作品の映画作家であるような印象を与えたかったのです。映画において、あのようにカメラに語りかけるのは珍しいのですが、一つのスタイルとして選択しました。 
 

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―――ヒロインのジェマを演じたジェマ・アータートンさんも、艶やかで、とても魅力的ですが、起用理由は? 
監督:ジェマ・アータートンは、ポージー・シモンズさん原作の作品に出演経歴があるので、あえて起用は避け、他の英国人女優をオーディションしていたのですが、あまりしっくりきませんでした。ジェマは偶然ヒロインと名前も同じですし、役に合っていることは分かっていたので、最終的にはジェマと会いました。彼女が部屋に入ってきた一瞬にして、すごく官能的で、親しみやすく、モダンでありながらもクラシックな感じを抱いたのです。この役はエマ(『ボヴァリー夫人』のヒロイン)とジェマを両方演じられるようなモダンかつクラシックな素養が必要ですが、ジェマ・アンダーソンはまさにそれを体現している人物でした。 
 
―――わさびは芸者のように日本に関係あるものが登場しますが、監督は日本文化に関心があるのでしょうか?また影響を受けた映画監督は? 
監督:日本料理や日本文化も好きですし、ユーモアの一環で、今回(わさびや芸者を)使ってみました。今まで日本に関する作品を撮ったことはありませんが、東京は映画作家にとってインスピレーションを与える街だと思います。おすすめの日本を題材としたテーマがあれば教えてください。また影響を受けたのは、小津安二郎監督です。 
 
bovary-500-1.jpg―――本作はフランスですでに大ヒットしていますが、フランスの観客の心を掴んだ理由をどう分析していますか? 
監督:そうですね。コメディーですが、洗練されていることや、笑いの質としては残酷であったり、ブラックなところもあり、アングロサクソン的な笑いが評価されたのかもしれません。いずれにせよ、いい映画と思っていただいているからヒットしたのでしょう。 
 
 
―――『美しい絵の崩壊』も本作も「秘めたる欲望」を堂々と描いている印象がありますが、その意図は?
監督:欲望という点でいえば、本作はファブリス・ルキーニ演じるマルタンの欲望、投影による愛を描いています。ジェマはマルタンの妄想の人物でありながら、同時に現実に存在している人物です。現実とフィクションの間で心理学でいうトランスファー(転移)の状態にあるわけですが、その投影の愛はプラトニックで、それがマルタンの愛の構造です。 
 
『美しい絵の崩壊』はドラマツルギーで前代未聞の親友の息子に恋してしまうという、ありえない状況の愛や欲望の実現を取り上げています。両方の共通点をあげるなら、普段描かれない影の部分、人間のコントロールから外れ、難しい道に入ってしまう人々を描いているところにあると思います。 
 
―――次回作について、教えてください。 
監督:撮影が終わり、現在編集中の作品があります。1945年終戦前のポーランドの修道院が舞台で、32人の女優が修道女を演じています。赤十字で働く主人公にはルー・ドゥ・ラージュを起用し、彼女が修道院の女性たちと関わっていく物語です。他はポーランドの女優を起用していますが、『イーダ』で叔母役を演じたアガタ・クレシャも出演しています。 
(江口由美)

 
<作品情報>
『ボヴァリー夫人とパン屋』“Gemma Bovery”
(2014年 フランス 1時間39分)
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ファブリス・ルキーニ、ジェマ・アータートン、ジェイソン・フレミング、ニールス・シュナイダー
配給:コムストック・グループ 
公式サイト ⇒ http://www.boverytopanya.com/
7月11日(土)~シネスイッチ銀座、8月1日(土)~テアトル梅田、T・ジョイ京都、今夏、シネ・リーブル神戸ほか全国ロードショー
© 2014 – Albertine Productions – Ciné-@ - Gaumont – Cinéfrance 1888 – France 2 Cinéma – British Film Institute
 

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◆ゲスト:アナイス・ドゥムースティエ(クレール役)
(2015年6月27日(土)@有楽町朝日ホールにて)


『彼は秘密の女ともだち』

・(Une nouvelle amie 2014年 フランス 1時間47分)
・監督:フランソワ・オゾン
・出演:ロマン・デュリス、アナイス・ドゥムースティエ、ラファエル・ペルソナ
・配給:キノフィルムズ
2015年8月8日(土)、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、
8月15日(土)~シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次ロードショー!

公式サイト⇒ http://girlfriend-cinema.com/
・© 2014 MANDARIN CINEMA – MARS FILM – FRANCE 2 CINEMA – FOZ
 


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~“秘密の女ともだち”に魅せられた、ちょっと変わったラブストーリー~

 

男性の立場も女性の立場もよく理解できる(?)フランソワ・オゾン監督が仕掛けるラブストーリーは、性を超越した自由な魂に魅せられた女性の成長を通し、真実の愛に導かれていく幸福感にあふれている。

大親友のローラを病気で亡くしたクレールは、ローラの夫ダヴィッド(ロマン・デュリス)と赤ん坊の娘を死ぬまで守ると宣言。その後、ダヴィッドの意外な秘密を共有することで、二人の間に微妙な関係性が生まれる。優しくて誠実な夫のジル(ラファエル・ペルソナ)にも言えず、ダヴィッドを「ヴィルジニア」という女ともだちの名で呼び、クレールは次第にダヴィッドの中の「ヴィルジニア」に惹かれていく。

カレカノ-2.jpgあのヒゲの濃いロマン・デュリスが本気で女装しているではないか! 立ち居振る舞いからさり気ない仕草、優しい表情やエレガントな着こなしに至るまで、なんと女らしいこと! 特に、細くてセクシーな足にご注目。でも、ロマンの濃い顔からしてニューハーフのような完全な女装ではない。やっぱり男とすぐ分かる女装ゆえに、ダヴィッドに大きな悲しみが襲うことにある。

フランソワ・オゾン監督は、敢えて男性の部分を残した女装「ヴィルジニア」を仕立てたという。「ヴィルジニア」のセクシーさにも、ダヴィッドの男らしさにも、そして亡くなったローラへの恋慕の想いをミックスした感情をクレールに芽生えさせている。その複雑な感情の変化を表情だけで表現したクレール役のアナイス・ドゥムースティエが、《フランス映画祭2015》に際し来日。上映後のトークショーでは、製作現場での様子やオゾン監督の意図や共演者についてなど、どれも興味深いお話を披露してくれた。


FFF-カレカノ-T-5.jpg――― 最初のご挨拶
皆さんこんにちは!こんなに沢山の方に見に来て頂いて本当にありがとうございます。日本ではフランソワ・オゾン監督はとても愛されている監督だと思っていますので、こうして監督作品を携えて皆さんの前に登場できて光栄です。


――― アナイスさんは去年だけでも5本出演されて超売れっ子でいらっしゃいますが、この映画出演を決めた経緯は?
一つ目のモチベーションは、フランソワ・オゾン監督はフランスでもとても才能のある監督のおひとりですから、オファーを頂けたら女優にとっては大きな喜びでした。しかも女性を描くのが巧みな監督でもあります。
二つ目のモチべーションは、この物語がオリジナルでとても変わったラブストーリーだったことです。私が演じるクレールは、最初から最後までラブストーリーを通じて本来の自分自身に目覚めていくという素晴らしい人物造形に魅力を感じました。

――― アナイスさんはオゾン監督にどうして選ばれたのでしょうか?
オゾン監督は、表現豊かな眼差しを持った女優を探していたということを聞いたことがあります。確かにこのクレールという役は、セリフの少ない分、女優にとっては難しい役柄でした。クレールの目を通して物語を辿っていく役目もありましたから、細やかな表情でシリアスな場面やミステリアスな状況を表現する必要があったのです。クレールがどんな気持ちでいるのかを想像しながら演じるのは、とてもやりがいのある役でした。

FFF-カレカノ-T-2.jpg――― ヒゲの濃いロマン・デュリスさんを目の前にして吹き出すことはなかったですか?(笑)
この映画はちょっと変わったラブストーリーなので、クレールがそんなにイケメンではない男性に惹かれていくのが解らないかもしれませんが、ダヴィッドが完璧に女性になりきれていない男性の部分を残しているところがオゾン監督の狙いです。だからこそクレールが惹かれていくのが衝撃的で感動的になっていくのです。オーデションではもっと女装の似合う美しい男優さんもいたのですが、敢えてロマン・デュリスのような男っぽい男優を選んだ理由はそこにあります。

クレールがダヴィッドになぜ惹かれていくのか?それは彼のルックスとかフィジカルな部分ではなく、ダヴィッドが持っている自由なエスプリとか魂に惹かれていったのだと思います。クレールは、物語の最初の方では内気で自分の居場所を見出せないような女性でした。それがダヴィッドによって、自分を開放していき、本当の自分自身をダヴィッドを通じて見つけ出していくわけです。

――― 映画館の中でのシーンで、ヴィルジニアに痴漢するのはオゾン監督ですよね?
そうです!(笑)

――― アナイスさんがクレールと同じ立場になったらどうしますか?
勿論女装したいという人がいたら一緒に過ごしますよ。私はそうしたことに反対の意見は持っていません。この映画の素晴らしいのは、クレールの接し方が理解できるように仕向けているところです。時折クスクスッと笑ったり大笑いしたりすることもありますが、それは決してバカにして笑っているのではありません。ヴィルジニアに寄り添いながら楽しんでいる笑いなのです。オゾン監督は、このように遊び心のある軽やかなトーンでこの深刻になりがちなテーマを描きたいと思われたんだと思います。私もそう思って演じました。

FFF-カレカノ-T-3.jpg――― ロマン・デュリスさんも役作りが大変だったと思いますが、アナイスさんから見て如何でしたか?
ロマン・デュリスとの共演は素晴らしい体験でした。以前から女装する役をやりたい!と思っていたらしく、カツラを着けたりハイヒールを履いたりすると、子供のようにキラキラっと目を輝かせていました。私にとってもいい刺激になりました。
普通は女優の方が化粧に時間が掛かるのですが、ロマンは2時間位かけて化粧していましたから、私の方が男優待ちをしていました。


――― 彼の喜び様は素顔の時から伝わってきましたね?
だからオゾン監督はロマン・デュリスを選んだんだと思います。

――― クレールは、ダヴィッドの中の女性の部分に恋をしていたのか、それとも男性の部分なのか、あるいは亡くなった親友へのレズビアンのような恋情なのか、3つの想いが交差していたように感じたが?
クレールが恋したのはヴィルジニアです。ダヴィッドのことはどうでもいいと思っていたのです。確かに複雑なラブストーリーなので、親友のローラのような完璧な女性をヴィルジニアにも感じていました。また、ダヴィッドが創造したヴィルジニアにもセクシーさを感じていたのです。この撮影はとても微妙で不思議な感覚で過ごしました。他の映画で見るようなロマン・デュリスの視線を感じながら、女装した時にはダヴィッドの創造物であるヴィルジニアの視線にも対面しなければならない、というとても心が動揺するような撮影でした。
 

FFF-カレカノ-T-4.jpg――― クレールのファッションがとても素敵でした。ロマン・デュリスとラファエル・ペルソナという二人の人気俳優に愛されるお気持ちは?
本当に幸せでした。ラファエルとは2回共演したことがあってよく知っているのですが、今回ちょっと可愛そうな役でしたが、本当にいい人なんだなあと思わせる演技をしていたと思います。ロマン・デュリスは子供の頃から憧れていたので、今回共演できてとても嬉しかったです。
衣裳については監督と相談して、ストーリーの進行によってクレールが変化していくので、それに合せて衣裳もマニッシュで目立たないものから女性らしいフェミニンなものへと変化して行きました。自分の女性っぽいところを受け入れていく訳です。

――― オゾン監督が他の監督と違うところは?
とてもスピーディーに仕事をする方です。彼が1年に1本映画を撮っていて、現場でも彼のパッションを強く感じられます。子供ようにエキサイティングして、いつも楽しんで映画を作っています。技術上でも他の監督とは違う点があります。それは彼自身がカメラを覗いていることです。俳優との距離が近くなり、俳優にとっても見られているという快感があり、気持ちのいい関係です。

――― 7年後だという最後のシーンの意味は?
(アナイスさんから観客に質問)
皆さんはどう思いましたか? クレールが妊娠していましたが、相手がヴィルジニアだと思う人は?ジルだと思う人は?
不思議なラストシーンです。わざと疑惑を残した監督の狙いです。私も監督もヴィルジニアの子供だと解釈しています。ジルは捨てられてということです。親子3人のシルエットが夕焼けの向こうに映ることは監督が示す家族のアイロニーです。

――― 最後にご挨拶を。
今日は見に来て下さいまして本当にありがとうございました。もし気に入って頂けましたら、他の方にも勧めて下さい。
 


 映画の中では、フランス人女優にしては控えめなお胸のボーイッシュな感じでしたが、実際のアナイス・ドゥムースティエさんは、ふっくらホッペとくりくりっとしたお目々が可愛い女優さんでした。どんな質問にも正直にユーモアたっぷりに答えてくれて、その明るく親しみやすい人柄に益々魅了されてしまいました。覚えにくい名前ですが、これから彼女の出演作が続くと思われますので、頑張って覚えましょう。ドゥムースティエ、ドゥムースティエ・・・。

(河田 真喜子)

2015年8月8日(土)~シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、
8月15日(土)~シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次ロードショー!

 


◆フランス映画祭2015
◆6月26日(金)~29日(月)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京会場) にて開催・・・(終了しました)
◆フランス映画祭公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2015/


 

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『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』ジュリアーノ・リベイロ・サルガド監督トークショー
 
『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』“Le Sel de la terre”
(2014年 フランス=ブラジル=イタリア 1時間50分)
監督:ヴィム・ヴェンダース、ジュリアーノ・リベイロ・サルガド
出演:セバスチャン・サルガド
提供:RESPECT 配給:RESPECT×トランスフォーマー
2015年8月1日(土)~Bunkamuraル・シネマ、8月8日(土)~シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、8月15日(土)~シネ・リーブル神戸、8月22日(土)~京都シネマ他全国ロードショー
© Sebastião Salgado © Donata Wenders © Sara Rangel © Juliano Ribeiro Salgado
 

~息子とヴィム・ヴェンダースが紐解く写真家セバスチャン・サルガド、40年の旅路~

 
60年代から40年にも渡って、地球を旅し、虐げられた者、移動せざるを得ない者、労働する者、長きにわたって部族の伝統を守り繋いでいる者、そして人類の営みに惑わされることなく生きる動物や雄大なる自然を、真っ直ぐに撮り続けてきた写真家セバスチャン・サルガド。彼の人生の歩みを写真と共に振り返ると共に、彼の家族人としてのもう一つの物語も語られていく。
 
セバスチャン・サルガドの息子であり映像作家のジュリアーノ・リベイロ・サルガドとヴィム・ヴェンダースが、写真の奥にあるセバスチャン・サルガドの視点、そして彼の実体験に迫るドキュメンタリー『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』。セバスチャン自身の独白だけでなく、ジュリアーノ・リベイロ・サルガドやヴィム・ヴェンダースの語りが挿入され、セバスチャンの知られざる姿を多面的に浮かび上がらせる。
 
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撮影旅行に同行したときの映像では、セバスチャンの写真がなぜあれだけの力を持つのか、現地の人々と一体となっている様子からうかがい知ることができる。大虐殺の現場や、飢餓で亡くなっていく人々など、同じ人間のする残酷さに目を背けたくなるような写真もあるが、それも含めて、セバスチャンが今までカメラで捉えてきたものが今に伝えようとしていることは大きい。一方、セバスチャンが新たなる希望として掲げる「自然の再生」は、希望を失いがちないな現代を生きる私たちに力を与えてくれるのだ。
 
上映後のトークでは、ジュリアーノ・リベイロ・サルガド監督が登壇し、「映画の中でセバスチャンが持っている希望を皆さんと分かち合えたならうれしいと思います」と挨拶。映画でも触れられている父、セバスチャン・サルガドとの関係や、ヴィム・ヴェンダース監督の考えた仕掛けについて、たっぷり語って下さった。その内容をご紹介したい。
 

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―――どのようにして、この企画が始まったのか?
ジュリアーノ・リベイロ・サルガド監督(以下監督):2009年から企画が始まりました。セバスチャンは南アメリカインディアンのゾエ族の写真を撮りに行くことにしました。ゾエ族は女性が非常に重要な位置を占めています。当時の私と父との関係は非常にぎくしゃくしていて、なかなかコミュニケーションができない状況でした。ですから、当時は父の映画を作るなんて考えられませんでした。ただゾエ族は1万5千年前から同じような生活をしている人々に出会う機会はなかなかありませんから、取材旅行に同行することに決めたのです。ゾエ族の人たちは非常に温厚な人たちで、私たち親子にもいい影響を与えてくれました。
 
セバスチャンが仕事をしているときの映像を旅行中撮影していたので、パリに戻ってから編集をはじめると信じられないことが起こりました 映像を撮るときは、映像を撮る人の感情が映像を通して見えてきますが、セバスチャンは息子がどういう感情をもっているか初めて私が撮った映像を通じて見たのです。あまりにも感動して、ずっと涙を流していたのです。私と父の間の扉が開かれ、一緒に映画を作ることもそのとき可能になったのだと思います。
 

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―――写真家である父のどの部分をどういう視点で捉えようとしたのか?
監督:セバスチャンは写真家なので、彼が撮った写真はアルバムや展覧会で観れますが、写真の映画であってはいけない。また、彼の撮影の旅を題材にしてもあまり強いテーマのにはならない。むしろ、世界を40年間特別な視線で見てきた証人として、彼が見てきた世界を描こうとしました。
 
 
―――ヴィム・ヴェンダース監督はどのように映画制作に関わっていったのか?
監督:セバスチャンは非常に色々な人を見た経験がありますし、(映画を通じて)何か分かち合うものがあるのではと、1年間考えました。彼のことを語ることがとても重要で、若い頃世界と対峙していたのが、だんだん変わっていく部分が面白いし、セバスチャンが、世界を見る時の仲介役となって、カメラを通すことでより豊かに表現できた訳です。セバスチャンは、自分がとても耐えられない状況をエチオピアなどで見ることになりますが、彼はその中で自分なりの世界を作っていくわけです。そこで、ヴィム・ヴェンダース監督に連絡をとり、11年から彼に加わってもらいました。
 
 
―――原題の『地の塩』“The Salt Of the Earth”の意味は?1940~50年代にアメリカ映画で『地の塩』という作品もあったが、この作品と関連はあるのか?
監督:唯一関係を考えるとすれば、50年代の同作は鉱山で働く人たちを描いており、社会的なテーマを描いているという部分では通じるかもしれません。実際にはこのタイトルは聖書の一節です。セバスチャンは合理的で神を信じない人なので、少し矛盾がありますが、彼の写真はシンボリックなものを見出だすことができ、ある意味宗教的とも言えます。セバスチャンは人々を通して地球を好きになったのです。色々な人々と出会うことで、彼らの目線で写真を撮っていきました。ですから、人間について語った言葉が、非常に適切ではないかと考えました。
 
 

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―――セバスチャン・サルガドは、写真を撮る活動を辞めて、森に帰っているが、人類を愛する、信じることが今できているのか?
監督:94年、セバスチャンは、ルワンダの撮影から戻り、ルワンダで見たものに心を痛めていました。彼の写真の撮り方や取材旅行の仕方は、行った先の共同体と一体化し、人と人との人間関係を作りそこから、生まれる感動を写真にしていました。彼の写真は何か希望を持っていて、写真を撮ることや見ることで、人々の意識が変わるだろうと思っていました。しかし、ルワンダでは悲惨な状況があり、自分の写真は役に立たないと感じたのです。その時、彼の中で写真を撮ることに終止符が打たれたのです。
 
その後、セバスチャンは故郷の森に戻り、一時はまる裸になった畑に250万本の木を植えるプロジェクトを行いました。そうすると、生態系の頂点にあるジャガーが戻ってきたのです。以前のように絶対人間が前向きに進むという希望は失いましたが、この時彼は、別の希望を持ちました。私たちはゴリラのようにも、海のクジラのようにも、世界の一部になれると思えるようになったのです。彼が発表した13年に発表した『GENESIS』からも、それを感じていただけるでしょう。
 
 

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――――ジュリア―ノさんは子どもの頃、父、セバスチャン・サルガドさんのことをスーパーヒーローと思っていたそうですが、実際に父の仕事の現場を見た感想は?
監督:一緒に旅をしているときは、父のことを全く知ることができませんでした。彼は非常に集中していて、色々な動物や人と出会うことに完全に入り込んでいます。パプアニューギニアでは、2日間歩いてジャングルの森を上がり、村から1~2キロぐらいのところで畑を耕している人々を見つけると、お互い言葉は分からなくても10分間でその人たちと関係を築き、彼らの共同体に入っていくのを目撃しました。その場では、父のことを探求する余裕はないのです。
 
同行しての撮影が終わり、この映画をヴィム・ヴェンダースと仕事をするようになり、彼のおかげで父を見出しました。私は最初からこの映画をどう語ろうか、決めていました。セバスチャンが写真についての話をし、写真と話を結びつけることにより、若者だった彼が40年の経験の中で、どうやって『GENESIS』のセバスチャン・サルガドアーティストになっていったのか、その変容を語ろうと思っていたのです。
 
そこで、ヴェンダースが撮影にあたってとてもいい仕掛けを考えてくれました。セバスチャンをスタジオに座らせ、周りを黒い幕でかこみ、撮影チームも静かにしていて、何も見えない、聴こえない状態に置きます。彼の前に鏡を置き、マジックミラーで、鏡の後ろにはカメラを据えています。鏡には写真が映るようにし、ヴェンダースは写真を変えるだけでした。彼の物語はよく知っていましたので、写真は私が十分吟味して選んでいました。セバスチャンは、2、3枚写真を見ただけで、完全に写真を撮っている時に戻って語りだしたのです。撮影をしたあとに、事前編集をして、初めて他の人の目を通して父が語るのを見て、彼が精神的にどう成長していったのかを知りました。そこから私と父、セバスチャンとの関係は完全に変わり、友人になりました。
 
 
―――:素晴らしい音楽でしたが?
監督:サルガドが見た世界をどのような音楽を使って表現できるか考えました。サルガドの感情が表に出るように、控えめで抽象的な音楽をさりげなく使いたかったのです。ローレント・ピティガントはそれに応えた音楽を作ってくれました。
(江口由美)
 

 
フランス映画祭2015
6月26日(金)~29日(月)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京会場)…終了しました。
公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2015/
 
 
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6月26日17時20分から東京都千代田区の有楽町朝日ホールにて、今年で23回目を迎えるフランス映画祭2015オープニングセレモニーおよびオープニング作品『エール!』の上映が行われた。
 
オープニングセレモニーでは、主催のユニフランス・フィルムズ代表、イザベル・ジョルダーノさんが「本当にありがとうございます。世界中でこれほど関心を集めているフランス映画は独自性が魅力。まるでカンヌ映画祭が続いているかのよう、今晩はまさに映画の祭典です。多くのゲストも参加します。この4日間最高のフランス映画をお楽しみください」と挨拶し、1946年にユニフランスが制作したカトリーヌ・ドヌーヴの短編映像が特別上映された。
 

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次はいよいよゲストの登場。『ヴィオレット(原題)』主演女優で、フランス映画祭2015団長のエマニュエル・ドゥヴォスが客席通路から颯爽と登場し、満席の客席から大きな拍手が沸き起こった。引き続き、『ボヴァリー夫人とパン屋』のアンヌ・フォンティーヌ監督、フランソワ・オゾン監督最新作『彼は秘密の女ともだち』主演女優のアナイス・ドゥムースティエ、『EDENエデン』主演男優のフェリックス・ド・ジヴリ、同作のミア・ハンセン・ラヴ監督の実兄で脚本のスヴェン・ハンセン=ラヴ、『アクトレス』のオリヴィエ・アサイヤス監督、『ヴィオレット(原題)』のマルタン・プロヴォスト監督、『ティンブクトゥ(仮題)』のアブデラマン・シサコ監督、『セバスチャン・サルガド』のジュリアーノ・リベイロ・サルガド共同監督、『チャップリンからの贈りもの』のグザヴィエ・ボーヴォワ監督、そしてオープニング作品『エール!』の主演女優ルアンヌ・エメラとエリック・ラルティゴ監督の計12名が登壇。東京に集まったフランス映画人は檀上でも和やかな雰囲気で、この場を楽しんでいる様子だった。
 
 

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そして団長のエマニュエル・ドゥヴォスが「こんばんは。東京に来られてとてもうれしいです。仕事ばかりでちょっと残念です。東京を楽しみたいと思います」とチャーミングな日本語で挨拶。引き続きフランス語で「東京に皆で来ることができて光栄です。色々な映画祭がある中で、我こそが行きたいと名乗りを上げるのが、東京のフランス映画祭です。ありがとうございます。私たちにとってもみなさんにとってもいい映画祭になることを望みます」と挨拶し、観客からの大きな拍手に笑顔で応えた。
 
 
 
 
 

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まさに女優としての輝きに磨きがかかったエマニュエル・ドゥボス(6月28日『ヴィオレット(原題)』上映後に登壇予定)や、オゾン作品でロマン・デュリスを相手に揺れ動く女心を繊細に演じ、今後の活躍にも期待が高まるアナイス・ドゥムースティエ(6月27日『彼は秘密の女ともだち』上映後に登壇予定)、そして初出演作の『エール!』が本国で大ヒット、映画で披露した見事な歌声を生かし歌手としても活動中、本当にキラキラと輝く新星ルアンヌ・エメラと、フランス映画好きにはたまらない豪華ゲストがズラリと並び、華やかなオープニングとなった。
 
フランス映画祭2015は6月29日まで有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京海上)で全12本を上映する。会期中は、全ゲストが上映後のトークに登壇予定だ。
 
フランス映画祭2015公式サイト http://unifrance.jp/festival/2015/
 
 

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映画『ハーブ&ドロシー』の佐々木芽生監督が、クジラとイルカを巡る国際論争をテーマに、世界に向けて発信する長編ドキュメンタリー映画の制作に挑んでいます。クジラ・イルカ論争が再熱する中、佐々木さんを迎えての緊急トークイベントを6月25日(木) 奈良、6月26日(金) 大阪、6月28日(日) 京都で開催します。制作中のクジラ映画のダイジェスト版を上映します。
 

 
「佐々木芽生さん 映画にできることって何ですか?〜クジラを巡る世界的論争を描くドキュメンタリー映画のお話」
 
♦︎奈良:6/25(木)19:30〜 藝育カフェ Sankaku
 
♦︎大阪:6/26(金)19:30〜 スタンダードブックストア心斎橋
 
♦︎京都 :6/28(日) 15:00〜 チルコロ京都
 

★クジラの映画の資金をクラウドファンディングで調達中です。★ 
 
 
佐々木芽生監督のWAZA 勧告についての見解。
 

Laia-ivent.jpg青森から「触ると幸せが訪れる」100kgの合掌土偶が応援にやってきた!!
 

2015年6月13日(土)初日舞台挨拶レポート

ベストセラー作家・森沢明夫の同名小説を映画化した青森を舞台に描かれる感動作『ライアの祈り』が6月13日(土)より全国公開となり、有楽町スバル座にてキャスト・スタッフによる初日舞台挨拶が行われました。

Laia-1.jpg本作は人生に臆病になっていた女性・桃子が“人間本来の生き方”のエッセンスに満ちた“縄文時代”に触れ、自身の幸せのカタチを見出して一歩を踏み出していく姿を描く、優しさ溢れる感動作。主人公・桃子役にはドラマ・番組パーソナリティーと幅広く活躍する鈴木杏樹。本作が意外にも映画初主演となる。そして、縄文時代への情熱に燃える誠実で不器用な研究者・クマゴロウに宇梶剛士、映画『進撃の巨人』など今年出演作が多数公開される注目度上昇中の武田梨奈が桃子を慕う後輩・桜役で出演。その他にも秋野太作、藤田弓子、宅間孝行、村田雄浩、中本賢といった実力派演技陣が顔を揃えている。
 

 

本日、実施された初日舞台挨拶には武田梨奈をはじめ、藤田弓子、ライア役の水嶋仁美、黒川浩行監督、原作者の森沢明夫、製作総指揮の川阪実由貴が登壇。武田梨奈は本作で演じた役柄について「最初は難しい役柄だと思いましたが、演じている中で私が演じた女性の気持ちは特別なことではないと感じました。映画のキャッチコピーにもある“幸せのカタチは決して一つではない”に通じているものがあると思います。」と新境地を開拓した役柄について笑顔でコメント。主人公・桃子の母親役を演じた藤田弓子は客席で観客と一緒に映画を鑑賞し、「エンドロールで涙が出ました。子を思う親の気持ちを改めて強く実感して、自分のセリフで泣いてしまいました。」と本作への思い入れを語った。本作が映画デビューとなるライア役の水嶋仁美は「本編では顔が映っていないので、皆さんは“え!?”と思われたと思います(笑)」とコメントし、会場から笑いが巻き起こった。


そして最後のマスコミ向けのフォトセッションでは、本作の舞台でもある青森県・八戸市から日帰りで「触ると幸せが訪れる」という100kgの合掌土偶が登場!会場からは大きな歓声が巻き起こり、フォトセッション後、会場に設置された土偶の周りには一般客が撮影に集まるなど、舞台挨拶終了後も盛り上がりを見せた。5月30日(土)の青森県先行ロードショーを得て、いよいよ全国公開を迎えた映画『ライアの祈り』の盛り上がりに期待してほしい。

映画『ライアの祈り』は本日、6月13日(土)より有楽町スバル座ほかにて全国ロードショー。

 


 <映画『ライアの祈り』初日舞台挨拶概要>
■日程:6月13日(土)13:00~13:20
■場所:有楽町スバル座 (東京都千代田区有楽町1丁目10番1号有楽町ビルヂング内2F)
■出演:武田梨奈、藤田弓子、水嶋仁美(ライア役)、黒川浩行(監督)、森沢明夫(原作)、川阪実由貴(製作総指揮)


◎武田梨奈:最初は難しい役柄だと思いましたが、演じている中で私が演じた女性の気持ちは特別なことではないと思いました。映画のキャッチコピーにもある“幸せのカタチは決して一つではない”に通じているものがあると思います。皆さん、宜しくお願い致します。

◎藤田弓子:改めて、映画を一般のお客様と一緒に観て、エンドロールで涙が出ました。子を思う親の気持ちに強く共感して、自分のセリフで泣いてしまいました。本当に素晴らしい映画ができましたので、多くの人に観てほしいと思います。

◎水嶋仁美:映画デビュー作が縄文人の役で、しかも本編では顔が全く映っていないので、皆さんは「え!?」と思われたかもしれません(笑)。一生、心に残る役になりました。

◎黒川浩行:特に派手さがある作品ではありませんし、最近の若手が沢山出る作品でもありません。悲しくなくても、人が泣ける作品を目指しました。ぜひ、多くの人に見ていただきたいと思います。

◎森沢明夫:青森では原作を知らない方が多かったので、東京で原作を知っている方が多く、良かったです。  僕が伝えたかった「裕福」と「幸福」は違うということが映画で、きちんと表現されていると思います。一人でも多くの人に観ていただくために、広めていただければと思います。


 【STORY】
桃子(鈴木杏樹)は、明るく姉御肌のアラフォー女性。メガネ販売店の八戸店で店長を務め、後輩の桜(武田梨奈)達から頼られ慕われる存在だが、心の奥の深い傷を抱え人生を前に進ませる勇気が持てずにいた。そんなある日、遺跡発掘一筋の考古学研究員クマゴロウこと佐久間五朗(宇梶剛士)と出会う。彼と出会った瞬間に不思議な感覚を覚えた桃子は縄文時代に興味を抱いていくうちに、無骨で不器用だがまっすぐなクマゴロウに心引かれていくのだが……。 


 製作総指揮:川阪実由貴 監督:黒川浩行  脚本:寺田敏雄  原作:森沢明夫「ライアの祈り」(小学館文庫)
出演:鈴木杏樹、宇梶剛士、武田梨奈、水嶋仁美、大島蓉子、村田雄浩、秋野太作、藤田弓子
主題歌「Beloved」 WEAVER(A-Sketch)   企画・製作:エム・ケイ・ツー、制作プロダクション:TOブックス   
配給:アイエス・フィールド   ©2015「ライアの祈り」製作委員会 ©森沢明夫/小学館
2015年/日本/カラー/5.1ch/DCP/ビスタサイズ/119分/G URL:http://raianoinori.com/
 2015年6月13日日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー 
 


 (プレスリリースより)

 

 

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樹木希林は「怪物」。名演技を河瀬監督、永瀬正敏が絶賛『あん』舞台挨拶@梅田ブルク7(2015.6.6)
登壇者:河瀨直美監督、樹木希林、永瀬正敏、兼松若人、ドリアン助川 
 
第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品として大好評を博し、日本では5月30日(土)から全国公開されている河瀨直美監督最新作の『あん』。映画のヒットを記念して、関西出身の河瀬監督をはじめ、主演の樹木希林、永瀬正敏、大阪出身の兼松若人、そして原作者のドリアン助川が梅田ブルク7での上映後舞台挨拶に登壇し、映画の余韻に浸った満席の観客から、温かい拍手が送られた。
勇気を持って私たち自身が命を愛でてあげるような作品になれば『あん』河瀨直美監督インタビューはコチラ
 

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冒頭、「映画の中の千太郎たちの眼差しが皆さんに届いたであろうことを祈っています」(河瀬監督)、「物語を書きだしてから、今日まで20年かかりました。感無量です」(ドリアン助川)と感動的な挨拶が行われる中、映画さながらの「どら春」で働く割烹着姿で登場した樹木希林は「全生園から来ました徳江です」と挨拶し、一気に場を和ませた。

 
撮影中心に残るエピソードを聞かれた河瀬監督は、桜や秋の紅葉、月など人間ではないものも味方をしてくれ、「映画の神様が降りてきて、撮らせてくれたような作品」と表現する一方、役者たちの演技に対しては「俳優が演技として刻むのではなく、(役を)生きてくれた」と称えた。
 

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また、「どら春」にお客がこなくなり、徳江が去らなければならないシーンでは、徳江がさらりと出ていくテイク1を撮った後、樹木に「徳江さんは今日で最後かもしれないですよ」と話をし、二度と来れないかもしれない時にどう表現すればいいのかを考えてもらったのだとか。「テイク2で、希林さんは(去る前に)割烹着をゆっくりと丁寧にたたんだのです。(永瀬正敏演じる)千太郎の演技も相まって、本当に凄かった」と河瀬監督が絶賛すると、永瀬正敏も「凄かった。怪物です」と、現場での感動がよみがえった様子だった。また、登場シーンは少ないながらも関西弁で鮮烈な印象を残した兼松若人は、共演者の内田伽羅から本気で嫌われていたエピソードを河瀬監督から暴露され、「本番中に『もっと言って!』と横から監督が入ってきてビックリした」と逆暴露する一幕もあった。
 

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一方樹木が、一度は出版社に断られながらも、ポプラ社での出版を経て、今や10万部を突破するまでになった原作本の力を称えると、ドリアン助川は「徳江は聞こえない言葉を聞き、見えないものを見る人。希林さん以外にありえなかったし、見事に演じていただきました」と返し、原作の『あん』がフランス語、ドイツ語、韓国語、台湾語で出版されること、映画『あん』が40か国での上映が決定したことを報告。観客から大きな拍手が送られた。
 
 
また、樹木は「カンヌに行くときの(河瀬監督の)勢いがすごい。カンヌに行った結果、バイヤーたちがいて、(作品が)世界に飛び立てる。河瀬さんの押しの凄さのおかげです」とカンヌ映画祭での感想を述べながら、最後には「いいところだけ真似ましょう」と希林節で会場を沸かせた。
 
 
最後に「関西にやっと帰ってくることができたなと思っています。日本でいいものをと、一生懸命作り続けてきました。みなさんの大切な人に手渡しで伝えていただきたいです」と満席の観客を前に、撮影中キャストやスタッフと様々な差別についてディスカッションをしたエピソードも明かしながら挨拶した河瀬監督。退場時には、客席から花束を手に駆け出してきたファンと交流する場も見られ、映画同様、感動的な舞台挨拶となった。
(江口由美)
 

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<ストーリー>
訳あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長となった千太郎(永瀬正敏)は、桜の咲く季節に徳江(樹木希林)という女性から店で働くことを懇願される。最初は断っていた千太郎だが、徳江が持参した粒あんの味に惹かれ、徳江を採用。どら春は徳江の粒あんのおかげで大繁盛する。シングルマザーに放ったらかしにされる日々で、高校受験も諦めていた中学生のワカナ(内田伽羅)も、毎日店に訪れるうちに徳江と親しくなっていく。だが、徳江にまつわる心ない噂が広がり、千太郎も次第に窮地に追い込まれていくのだった。
 

<作品情報>
『あん』
(2015年 日本・フランス・ドイツ 1時間53分)
監督・脚本:河瀨直美 
原作:ドリアン助川『あん』ポプラ社刊
出演:樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、水野美紀、大賀、兼松若人、浅田美代子他
主題歌: 秦基博
2015年5月30日(土)~新宿武蔵野館、Tジョイ 梅田ブルク、シネマート心斎橋、OSシネマズ神戸ハーバーランド、イオンシネマ京都桂川他全国公開
※第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品
公式サイト⇒http://an-movie.com/
(C) 2015 映画『あん』製作委員会 / COMME DES CINEMAS / TWENTY TWENTY VISION / ZDF-ARTE
 
 
 
 

『ライアの祈り』オリジナル携帯ストラップ プレゼント!

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■ 募集人員: 3 名様

■ 締切:2015年6月26日(金)

2015年6月13日(土)~シネ・リーブル梅田、イオンシネマ京都桂川、109シネマズHAT神戸、MOVIX堺、ほか全国ロードショー
 
★公式サイト⇒ http://raianoinori.com/


 
『ライアの祈り』

永久のロマンを旅して見つけたものは、≪幸せ≫でした。

Laia-1.jpg物語の舞台は青森県八戸市。主人公・桃子は明るく姉御肌だが、恋や人生に臆病になっているアラフォー女性。実は不幸な離婚を経験し、心にはどうしても抜けない棘があった。そんな彼女は、ある時、縄文時代の遺跡発掘に情熱を傾ける男性、クマゴロウと出会う。それをきっかけに、遥かな昔、この場所で生きた生命があったことに想いを馳せた彼女は、悠久の時を経て自身へと繋がる絆を体感するのだった。果たして、桃子が見つけ出す幸せのカタチとは!?

痛みを隠して明るく日常を生きる等身大の、そして優しさを知る登場人物たちが、感動のドラマを織り上げる。悩みを抱えて迷い立ちすくんだとき、一万年以上もの間、平和に続いたという縄文時代のシンプルで心豊かな暮らしに想いを馳せ、未来へ何かを繋ごうとすれば、きっと人生に一歩踏み出す元気が湧いてくるはずだ。


製作総指揮:川阪実由貴 
監督:黒川浩行 脚本:寺田敏雄  
原作:森沢明夫「ライアの祈り」(小学館刊)
出演:鈴木杏樹、宇梶剛士、武田梨奈、水嶋仁美、大島蓉子、村田雄浩、秋野太作、藤田弓子

企画・製作:エム・ケイ・ツー、制作プロダクション:TOブックス  
配給:アイエス・フィールド 

2015年/日本/カラー/5.1ch/DCP/ビスタサイズ/119分/G
主題歌「Beloved」 WEAVER(A-Sketch) 
URL:http://raianoinori.co 
©2015「ライアの祈り」製作委員会 ©森沢明夫/小学館

2015年6月13日(土)~シネ・リーブル梅田、イオンシネマ京都桂川、109シネマズHAT神戸、MOVIX堺、ほか全国ロードショー

(プレスリリースより)
 

 

 

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~自由を奪われてきた老女が人生の最後にやりたかったことは・・・生きる勇気と知恵を与えてくれる感動作~

 
自然の中でひたむきに生きる人間を、ドキュメンタリーのようなリアルなタッチで描き、独自の世界感を築き続ける河瀨直美監督。最新作は、ドリアン助川さんの元ハンセン病患者徳江を主人公にした小説『あん』を原作に、ドリアンさんが「徳江を書くときにイメージしていた」という樹木希林、国際的な活躍も著しい永瀬正敏、そしてオーディションで役を射止めた内田伽羅らが結集し、心に深く染み入るヒューマンドラマを紡ぎあげた。
 

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訳あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長となった千太郎(永瀬正敏)は、桜の咲く季節に徳江(樹木希林)という女性から店で働くことを懇願される。最初は断っていた千太郎だが、徳江が持参した粒あんの味に惹かれ、徳江を採用。どら春は徳江の粒あんのおかげで大繁盛する。シングルマザーに放ったらかしにされる日々で、高校受験も諦めていた中学生のワカナ(内田伽羅)も、毎日店に訪れるうちに徳江と親しくなっていく。だが、徳江にまつわる心ない噂が広がり、千太郎も次第に窮地に追い込まれていくのだった。
 
 

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自由を奪われ生きてきた徳江、過去の傷を負って生きる千太郎、未来への希望を見いだせないワカナと、世代も生きてきた境遇も違う三人が心を通わせる様子や、自由に生きられるはずなのに、翼が折れてしまった千太郎に、人生の先輩として生きる知恵を与える徳江の姿など、人の中に息づく温かい気持ちが溢れ出る。人と出会うことが少なかった徳江が自然や小豆の声に耳を傾けている様子は、私たちが失ってしまった自然の声を聞く能力の扉を叩いてくれているかのようだ。元ハンセン病患者、徳江を演じる樹木希林の味わい深い中に初々しさも覗かせた演技、それに応えて生きる意欲をたぎらせていく千太郎を演じる永瀬正敏の生活感が滲む演技も素晴らしい。国立療養所多摩全生園でもロケを敢行。ハンセン病患者の方に対する理解も深まることだろう。桜の季節に始まり、桜の季節で終わる一年の物語は、変わらず巡り続ける季節の中で、成長し、年をとりそして消えていく人間の生を浮かび上がらせた。
 
河瀨直美監督に、新しいチャレンジに満ちた本作について、また準備で大事にしたことや、本作を通じて向き合った偏見や差別について、お話を伺った。
 

■元ハンセン病患者の方々の共感を得た原作『あん』。生きる意味を失うような出来事の中で、勇気を持って私たち自身が命を愛でてあげるような作品になれば。

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―――元ハンセン病患者を主人公にした物語で、通常よりも様々な苦労があったと思いますが、準備や役作りはどのように行っていったのですか?
河瀬監督:原作の『あん』を書かれたドリアン助川さんも、20年来の構想の末書かれたとおっしゃっていたのですが、一度は大手の出版社に断られたものの、ポプラ社の心ある編集者の方が出版化して下さったそうです。いざ出版されると、読者の方は純粋に物語に感動してくださり、一番良かったのは元ハンセン病患者の方が、この作品に共感されたことだったのです。他にも多くのハンセン病に関する書物や映像が世に出ていますが、当事者の皆さんにはどこか違和感があったのだと思います。『あん』に関しては、元ハンセン病患者の方々の共感を得たことが大きく、ドリアンさんから私に映画化したいからと、その監督のオファーをしてくださいました。 
 
ドリアン助川さんは、樹木希林さんを思って徳江さんを書いたということで、希林さんにまずアプローチし、快諾をいただいたのですが、その段階でまだ出資者は見つかっておらず、いつプロジェクトが動き出すのか分からない状態でした。 
 
永瀬さんも偶然ではありますが、ハンセン病を扱った映画のオファーを受けていたものの、なかなか出資者が見つからない壁にぶちあたっていたそうです。私も同じように断られることもありましたが、今回出資いただいたところは「ハンセン病の映画という訳ではなく、生きる意味が描けており、純粋に作品として素晴らしい」と賛同していただきました。ですから、ハンセン病だけを前面に押し出すのではなく、我々皆に起こってしまうような差別意識であったり、生きる意味を失うような出来事の中で、勇気を持って私たち自身が命を愛でてあげるような作品になればという思いを込めました。 
 
ですから、徳江さん自身の口から、自分がハンセン病患者であることを言わせないようにしました。周りの人間はそれを感じ、差別をする人もいれば、千太郎のように守れなかったと後悔する人もいます。でも徳江さん自身は、変わらず人生を全うした人という風に描いていきました。
 
 

■慣れ親しんだ自分のやり方を白紙に戻し、映画を初めて撮るときのようにコミュニケーションを重ねる。

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―――今までは新人を発掘されてきた河瀬監督ですが、今回は樹木希林さん、永瀬正敏さんと大物俳優を主演に迎え、また初めて原作ものに挑戦されています。他にも何か今回初めて取り組んだことはありましたか? 
河瀬監督:撮影監督はコマーシャルを撮ってきた方に初めてお願いしました。そういう意味では、慣れ親しんだ自分のやり方を白紙に戻して、映画を初めて撮るときのように、撮影監督や役者さんとコミュニケーションをとりながら、映画に昇華させていきました。いわばトリプルで新しいことに挑んだので、スタッフ間でもディスカッションを重ねなければいけませんでした。 
 
私はリアリティーを追求する撮り方をするので、いつスタートがかかり、いつカットがかかるのか分からない点も戸惑われました。また、こちらで撮影の準備をしていても、俳優の方がいい動きをしていたら、私はいい動きをしている方を選んで撮ろうとするのです。コマーシャルを撮っていると、準備にかける時間が大事なので、俳優はそこに合わせる感じになってしまいます。私は俳優の心模様が大事なので、そこで現場の混乱が起こることもありました。でも話し合って、改善を重ねていきました。
 
 

■撮影準備期間に、町の人たちと、ずっとその町に住んでいるような関係性を作る。

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―――撮影の準備も時間をかけたのでしょうか? 
河瀬監督:準備としては撮影の1、2ヶ月前から助監督が町に入り、町の人たちとコミュニケーションを取り、まるで自分たちがずっとその町で住んでいるかのような関係性を作りました。エキストラの方は町の人たちを起用しました。どら焼き屋も、美術部が先行して入って作り上げたお店に、千太郎演じる永瀬さんが撮影前に何日か入ってもらって過ごしながら、自然と買いに来られる一般の方にどら焼き屋として応対してもらいました。本当に接客してカンを掴むだけでなく、お昼もスタッフルームに戻るのではなく、コンビニに行って、午前中の売り上げをシミュレーションしてその範囲で買えるお弁当を買っていました。永瀬正敏の金銭感覚ではなく、千太郎の金銭感覚を体感してもらった感じです。 
 
―――オーディションでワカナ役を射止めた内田伽羅さんですが、一番惹かれた点は? 
河瀬監督:物怖じしないところですね。希林さんも、「伽羅は小さい頃から大舞台でも物怖じしなかった」とおっしゃっていました。撮影中もスタッフルームに誰もいなくなってからやってきて、黙々とお弁当を食べたり、誰ともしゃべらず静かに帰っていくので、緊張しているのかと思っていました。でも役が決まる前、私がパリにいたときに留学先のイギリスから家族で訪ねてくれたことがあったのですが、そのときも全く同じ様子で、ほとんど話さないけれど、目で弟の様子をみて世話をしていたのです。多弁ではないけれど、色々なことを見ている点も、まさにワカナにピッタリでした。 
 
 

■ずっと隔離された人生を送ってこられたにもかかわらず、前向きな方が非常に多かった療養所訪問体験。病んでいるのは私たちの方。

―――実際にハンセン病患者の皆さんと交流をされ、改めてこの作品に込めた思いが強まりましたか?

河瀬監督:『二つ目の窓』撮影中に、本作のお話をいただいていたので、奄美にある療養所に訪れ、元患者の方とお会いしました。最初お会いする前はずいぶん緊張しましたが、逆にお会いして、学ぶことがとても多かったのです。 ずっと隔離された人生を送ってこられたにもかかわらず、前向きな方が非常に多かったのです。施設はとても清潔ですし、多摩全生園では桜、奄美の療養所ではガジュマルの樹があり、それらがイキイキしていました。入所されている方が毎日きちんと掃除をされているので療養所の中はゴミひとつ落ちていませんし、製菓部や美容院、学校など必要なものは全てこの場所にあり、入所者がその仕事に従事しています。そういう情景を見ていると、もしかしたら私たちの方が病んでいるのかもしれないと思い、丁寧な生活ができていないと感じました。

 
 

■差別については知ることが大事、何が偏見なのか自分自身にも問い直す。

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―――劇中でも、風評被害で千太郎のどら焼き屋が窮地に追い込まれますが、撮影の準備段階で何か取り組まれたことはありますか?
河瀬監督:差別については、スタッフともだいぶん話し合いました。深く知らずに浅く知っている人たちが一番問題ではないかと。ですから、知ることが大事だと思い、今回は伽羅さんや大賀さんも撮影前に実際にハンセン病資料館に一日行って、全部勉強してもらってから現場に来てもらいました。全員で知ることから始め、何が偏見なのかを自分自身にも問い直しました。知らないうちに、誰かに言ってしまっていることが、偏見や差別につながっているのかもしれませんから。
 
実際、今でもハンセン病患者の方への差別は根強く、自分の村からハンセン病患者を出したと地域ぐるみの差別もあれば、実家にとっても消してしまいたい事実であることが多いのです。死んでもなお遺骨を引き取ってもらえないのは、国の責任だけでなく、私たちの感覚の中に差別が存在しているのでしょう。
 
 

■かけがえないからこそ美しい桜の花に、徳江の思いを託す。

―――河瀬監督はいつも「命」にこだわった作品づくりをされていますが、桜で始まり、桜で終わるのは命の生まれ変わりの象徴に思えます。
河瀬監督:桜は日本が世界に誇れる美の象徴です。なぜ日本人が桜の花に魅せられて集うのかといううと、一年を通してほんの少しの時間しか咲かないところに美しさを見出しているのです。永遠にあるものに対して、人はあまり心を向けません。かけがえがないからこそ、美しいと思えるのです。特に、徳江さんは二度と故郷の桜を見ることができませんでしたから、桜に託した一つ一つのセリフも、きっと故郷の桜を思いながら言っていたでしょうし、なぜ千太郎にそんなことを言ったのかも映画が進むにつれ分かってくるはずです。そこで感じてもらえることが、たくさんあるのではないかと思っています。
 
 

■かつて私たちが経験したようなリアリティーに連れ去る音にこだわり。

―――徳江さんは小豆の音や、自然の音を聞く人でしたが、徳江さんが聞いていた自然な音がスクリーンを通して伝わってきたのが印象的でした。
河瀬監督:音にはとてもこだわっています。小豆の音や春、夏、秋や冬に差し掛かる時の音、電車の音がどこで聞こえているのか、多摩全生園に入ったときの音など、細かいところまで音のデザインをしていきました。そのおかげで、かつて私たちが経験したようなリアリティーに連れ去ってくれると思うのです。この音響デザインをしたのはフランス人で、逆に言語が分からないからこそ、音を認識するかもしれません。言語ではないのだなと思いました。
 
―――カンヌで公開する際のタイトルは?
河瀬監督:1週間前ぐらいまで、悩み抜きました。最終的には「an」にしました。フランス語だと、「アン・ドゥ・トワ(1・2・3)」の「アン」になるのですが、ひらがなの最初の文字「あ」と最後の文字「ん」という意味で最初から最後につながるイメージと説明すると、納得していただけるのではないかと思っています。
(江口由美)
 

<作品情報>
『あん』
(2015年 日本・フランス・ドイツ 1時間53分)
監督・脚本:河瀨直美 
原作:ドリアン助川『あん』ポプラ社刊
出演:樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、水野美紀、大賀、兼松若人、浅田美代子他
主題歌: 秦基博
2015年5月30日(土)~新宿武蔵野館、Tジョイ 梅田ブルク、シネマート心斎橋、OSシネマズ神戸ハーバーランド、イオンシネマ京都桂川他全国公開
※第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品
公式サイト⇒http://an-movie.com/
(C) 2015 映画『あん』製作委員会 / COMME DES CINEMAS / TWENTY TWENTY VISION / ZDF-ARTE
 
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