「京都」と一致するもの

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~自由を奪われてきた老女が人生の最後にやりたかったことは・・・生きる勇気と知恵を与えてくれる感動作~

 
自然の中でひたむきに生きる人間を、ドキュメンタリーのようなリアルなタッチで描き、独自の世界感を築き続ける河瀨直美監督。最新作は、ドリアン助川さんの元ハンセン病患者徳江を主人公にした小説『あん』を原作に、ドリアンさんが「徳江を書くときにイメージしていた」という樹木希林、国際的な活躍も著しい永瀬正敏、そしてオーディションで役を射止めた内田伽羅らが結集し、心に深く染み入るヒューマンドラマを紡ぎあげた。
 

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訳あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長となった千太郎(永瀬正敏)は、桜の咲く季節に徳江(樹木希林)という女性から店で働くことを懇願される。最初は断っていた千太郎だが、徳江が持参した粒あんの味に惹かれ、徳江を採用。どら春は徳江の粒あんのおかげで大繁盛する。シングルマザーに放ったらかしにされる日々で、高校受験も諦めていた中学生のワカナ(内田伽羅)も、毎日店に訪れるうちに徳江と親しくなっていく。だが、徳江にまつわる心ない噂が広がり、千太郎も次第に窮地に追い込まれていくのだった。
 
 

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自由を奪われ生きてきた徳江、過去の傷を負って生きる千太郎、未来への希望を見いだせないワカナと、世代も生きてきた境遇も違う三人が心を通わせる様子や、自由に生きられるはずなのに、翼が折れてしまった千太郎に、人生の先輩として生きる知恵を与える徳江の姿など、人の中に息づく温かい気持ちが溢れ出る。人と出会うことが少なかった徳江が自然や小豆の声に耳を傾けている様子は、私たちが失ってしまった自然の声を聞く能力の扉を叩いてくれているかのようだ。元ハンセン病患者、徳江を演じる樹木希林の味わい深い中に初々しさも覗かせた演技、それに応えて生きる意欲をたぎらせていく千太郎を演じる永瀬正敏の生活感が滲む演技も素晴らしい。国立療養所多摩全生園でもロケを敢行。ハンセン病患者の方に対する理解も深まることだろう。桜の季節に始まり、桜の季節で終わる一年の物語は、変わらず巡り続ける季節の中で、成長し、年をとりそして消えていく人間の生を浮かび上がらせた。
 
河瀨直美監督に、新しいチャレンジに満ちた本作について、また準備で大事にしたことや、本作を通じて向き合った偏見や差別について、お話を伺った。
 

■元ハンセン病患者の方々の共感を得た原作『あん』。生きる意味を失うような出来事の中で、勇気を持って私たち自身が命を愛でてあげるような作品になれば。

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―――元ハンセン病患者を主人公にした物語で、通常よりも様々な苦労があったと思いますが、準備や役作りはどのように行っていったのですか?
河瀬監督:原作の『あん』を書かれたドリアン助川さんも、20年来の構想の末書かれたとおっしゃっていたのですが、一度は大手の出版社に断られたものの、ポプラ社の心ある編集者の方が出版化して下さったそうです。いざ出版されると、読者の方は純粋に物語に感動してくださり、一番良かったのは元ハンセン病患者の方が、この作品に共感されたことだったのです。他にも多くのハンセン病に関する書物や映像が世に出ていますが、当事者の皆さんにはどこか違和感があったのだと思います。『あん』に関しては、元ハンセン病患者の方々の共感を得たことが大きく、ドリアンさんから私に映画化したいからと、その監督のオファーをしてくださいました。 
 
ドリアン助川さんは、樹木希林さんを思って徳江さんを書いたということで、希林さんにまずアプローチし、快諾をいただいたのですが、その段階でまだ出資者は見つかっておらず、いつプロジェクトが動き出すのか分からない状態でした。 
 
永瀬さんも偶然ではありますが、ハンセン病を扱った映画のオファーを受けていたものの、なかなか出資者が見つからない壁にぶちあたっていたそうです。私も同じように断られることもありましたが、今回出資いただいたところは「ハンセン病の映画という訳ではなく、生きる意味が描けており、純粋に作品として素晴らしい」と賛同していただきました。ですから、ハンセン病だけを前面に押し出すのではなく、我々皆に起こってしまうような差別意識であったり、生きる意味を失うような出来事の中で、勇気を持って私たち自身が命を愛でてあげるような作品になればという思いを込めました。 
 
ですから、徳江さん自身の口から、自分がハンセン病患者であることを言わせないようにしました。周りの人間はそれを感じ、差別をする人もいれば、千太郎のように守れなかったと後悔する人もいます。でも徳江さん自身は、変わらず人生を全うした人という風に描いていきました。
 
 

■慣れ親しんだ自分のやり方を白紙に戻し、映画を初めて撮るときのようにコミュニケーションを重ねる。

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―――今までは新人を発掘されてきた河瀬監督ですが、今回は樹木希林さん、永瀬正敏さんと大物俳優を主演に迎え、また初めて原作ものに挑戦されています。他にも何か今回初めて取り組んだことはありましたか? 
河瀬監督:撮影監督はコマーシャルを撮ってきた方に初めてお願いしました。そういう意味では、慣れ親しんだ自分のやり方を白紙に戻して、映画を初めて撮るときのように、撮影監督や役者さんとコミュニケーションをとりながら、映画に昇華させていきました。いわばトリプルで新しいことに挑んだので、スタッフ間でもディスカッションを重ねなければいけませんでした。 
 
私はリアリティーを追求する撮り方をするので、いつスタートがかかり、いつカットがかかるのか分からない点も戸惑われました。また、こちらで撮影の準備をしていても、俳優の方がいい動きをしていたら、私はいい動きをしている方を選んで撮ろうとするのです。コマーシャルを撮っていると、準備にかける時間が大事なので、俳優はそこに合わせる感じになってしまいます。私は俳優の心模様が大事なので、そこで現場の混乱が起こることもありました。でも話し合って、改善を重ねていきました。
 
 

■撮影準備期間に、町の人たちと、ずっとその町に住んでいるような関係性を作る。

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―――撮影の準備も時間をかけたのでしょうか? 
河瀬監督:準備としては撮影の1、2ヶ月前から助監督が町に入り、町の人たちとコミュニケーションを取り、まるで自分たちがずっとその町で住んでいるかのような関係性を作りました。エキストラの方は町の人たちを起用しました。どら焼き屋も、美術部が先行して入って作り上げたお店に、千太郎演じる永瀬さんが撮影前に何日か入ってもらって過ごしながら、自然と買いに来られる一般の方にどら焼き屋として応対してもらいました。本当に接客してカンを掴むだけでなく、お昼もスタッフルームに戻るのではなく、コンビニに行って、午前中の売り上げをシミュレーションしてその範囲で買えるお弁当を買っていました。永瀬正敏の金銭感覚ではなく、千太郎の金銭感覚を体感してもらった感じです。 
 
―――オーディションでワカナ役を射止めた内田伽羅さんですが、一番惹かれた点は? 
河瀬監督:物怖じしないところですね。希林さんも、「伽羅は小さい頃から大舞台でも物怖じしなかった」とおっしゃっていました。撮影中もスタッフルームに誰もいなくなってからやってきて、黙々とお弁当を食べたり、誰ともしゃべらず静かに帰っていくので、緊張しているのかと思っていました。でも役が決まる前、私がパリにいたときに留学先のイギリスから家族で訪ねてくれたことがあったのですが、そのときも全く同じ様子で、ほとんど話さないけれど、目で弟の様子をみて世話をしていたのです。多弁ではないけれど、色々なことを見ている点も、まさにワカナにピッタリでした。 
 
 

■ずっと隔離された人生を送ってこられたにもかかわらず、前向きな方が非常に多かった療養所訪問体験。病んでいるのは私たちの方。

―――実際にハンセン病患者の皆さんと交流をされ、改めてこの作品に込めた思いが強まりましたか?

河瀬監督:『二つ目の窓』撮影中に、本作のお話をいただいていたので、奄美にある療養所に訪れ、元患者の方とお会いしました。最初お会いする前はずいぶん緊張しましたが、逆にお会いして、学ぶことがとても多かったのです。 ずっと隔離された人生を送ってこられたにもかかわらず、前向きな方が非常に多かったのです。施設はとても清潔ですし、多摩全生園では桜、奄美の療養所ではガジュマルの樹があり、それらがイキイキしていました。入所されている方が毎日きちんと掃除をされているので療養所の中はゴミひとつ落ちていませんし、製菓部や美容院、学校など必要なものは全てこの場所にあり、入所者がその仕事に従事しています。そういう情景を見ていると、もしかしたら私たちの方が病んでいるのかもしれないと思い、丁寧な生活ができていないと感じました。

 
 

■差別については知ることが大事、何が偏見なのか自分自身にも問い直す。

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―――劇中でも、風評被害で千太郎のどら焼き屋が窮地に追い込まれますが、撮影の準備段階で何か取り組まれたことはありますか?
河瀬監督:差別については、スタッフともだいぶん話し合いました。深く知らずに浅く知っている人たちが一番問題ではないかと。ですから、知ることが大事だと思い、今回は伽羅さんや大賀さんも撮影前に実際にハンセン病資料館に一日行って、全部勉強してもらってから現場に来てもらいました。全員で知ることから始め、何が偏見なのかを自分自身にも問い直しました。知らないうちに、誰かに言ってしまっていることが、偏見や差別につながっているのかもしれませんから。
 
実際、今でもハンセン病患者の方への差別は根強く、自分の村からハンセン病患者を出したと地域ぐるみの差別もあれば、実家にとっても消してしまいたい事実であることが多いのです。死んでもなお遺骨を引き取ってもらえないのは、国の責任だけでなく、私たちの感覚の中に差別が存在しているのでしょう。
 
 

■かけがえないからこそ美しい桜の花に、徳江の思いを託す。

―――河瀬監督はいつも「命」にこだわった作品づくりをされていますが、桜で始まり、桜で終わるのは命の生まれ変わりの象徴に思えます。
河瀬監督:桜は日本が世界に誇れる美の象徴です。なぜ日本人が桜の花に魅せられて集うのかといううと、一年を通してほんの少しの時間しか咲かないところに美しさを見出しているのです。永遠にあるものに対して、人はあまり心を向けません。かけがえがないからこそ、美しいと思えるのです。特に、徳江さんは二度と故郷の桜を見ることができませんでしたから、桜に託した一つ一つのセリフも、きっと故郷の桜を思いながら言っていたでしょうし、なぜ千太郎にそんなことを言ったのかも映画が進むにつれ分かってくるはずです。そこで感じてもらえることが、たくさんあるのではないかと思っています。
 
 

■かつて私たちが経験したようなリアリティーに連れ去る音にこだわり。

―――徳江さんは小豆の音や、自然の音を聞く人でしたが、徳江さんが聞いていた自然な音がスクリーンを通して伝わってきたのが印象的でした。
河瀬監督:音にはとてもこだわっています。小豆の音や春、夏、秋や冬に差し掛かる時の音、電車の音がどこで聞こえているのか、多摩全生園に入ったときの音など、細かいところまで音のデザインをしていきました。そのおかげで、かつて私たちが経験したようなリアリティーに連れ去ってくれると思うのです。この音響デザインをしたのはフランス人で、逆に言語が分からないからこそ、音を認識するかもしれません。言語ではないのだなと思いました。
 
―――カンヌで公開する際のタイトルは?
河瀬監督:1週間前ぐらいまで、悩み抜きました。最終的には「an」にしました。フランス語だと、「アン・ドゥ・トワ(1・2・3)」の「アン」になるのですが、ひらがなの最初の文字「あ」と最後の文字「ん」という意味で最初から最後につながるイメージと説明すると、納得していただけるのではないかと思っています。
(江口由美)
 

<作品情報>
『あん』
(2015年 日本・フランス・ドイツ 1時間53分)
監督・脚本:河瀨直美 
原作:ドリアン助川『あん』ポプラ社刊
出演:樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、水野美紀、大賀、兼松若人、浅田美代子他
主題歌: 秦基博
2015年5月30日(土)~新宿武蔵野館、Tジョイ 梅田ブルク、シネマート心斎橋、OSシネマズ神戸ハーバーランド、イオンシネマ京都桂川他全国公開
※第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門オープニング作品
公式サイト⇒http://an-movie.com/
(C) 2015 映画『あん』製作委員会 / COMME DES CINEMAS / TWENTY TWENTY VISION / ZDF-ARTE
 

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~心の原風景を探す母の秘めた決意とは?~

 
息子にある決意を告げると決めた戦中世代の母が、幼き頃の原風景を探す旅。それは淡い恋心を思い起こす旅になるのだった。故岡本喜八監督の妻であり、長年、岡本作品のプロデューサーを務めてきた中みね子さんが76歳で監督デビューを果たした。シナリオライターを目指していた初心に戻り、時間をかけてオリジナルシナリオを書き上げ、シニア世代の原風景や、子世代につなぐ思いを詩情豊かに綴り上げた『ゆずり葉の頃』。八千草薫×仲代達矢のゴールデンコンビの演技に、この上ない深みと温かさを感じることだろう。
 

<ストーリー>
海外駐在中の進(風間トオル)は、一時帰国の際に女手一つで育ててくれた母、市子(八千草薫)を訪れたが、母の姿はなく、画家、宮謙一郎(仲代達矢)の新聞切り抜きが残されていた。市子は、幼い頃に心の支えとなった絵を探し、一人で軽井沢を訪れていたが、探していた絵に出会えず、しばらく軽井沢に滞在することを決める。軽井沢で様々な人と出会ううちに、宮謙一郎が軽井沢に滞在していることを知るのだったが・・・。

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市子を演じる八千草薫の、おっとりとした物腰に潜む強い決意が、彼女が今まで過ごしてきた人生の辛苦を静かに物語る。人生の終いを迎えつつある中、戦中の貧しい中に希望を見出した青春時代の淡い思い出に触れるラストチャンスと突き動かされる市子の姿は、周りの人を動かしていく。市子と謙一郎が出会い、二人だけの時間を過ごすシーンは、積年の思いが優しく溢れ出し、胸を打つ。
 
大阪で行われた記者会見では中監督が登壇し、冒頭に、市子がお世話になった軽井沢の人々に手渡す飴や飴が入った布袋のエピソードを披露した。私たち記者陣も飴玉をいただき、「NGなことは何もありませんから、何でも聞いてください。映画公開時にも参りますので、ぜひまたお会いしましょう」と、本当に飾らない姿で接してくださった中監督。ゼロからのスタートとなった本作制作の経緯や、監督をしたことで体得したことなど、岡本喜八監督のエピソードも交えながら話してくださった記者会見の模様を、ご紹介したい。
 

 

■岡本喜八(監督)の語り部を卒業し、ゼロに戻ってはじめたシナリオ書き。八千草さんに「今までで一番すっと入ってきたわ」と言われ、映画にしなくてはとの思いが強まる。

―――『ゆずり葉の頃』制作の経緯、中みね子として監督デビューした理由についてお聞かせください。
中監督:学生時代にシナリオライターとしてデビューし、岡本喜八(以降喜八)と結婚してからもテレビの仕事等コツコツとシナリオを書いていましたが、才能のある人のそばにいると、自分の才能のなさが分かってくるのです。プロデューサー、子育てをしながらシナリオを書くのはやはり難しく、シナリオを書くことを断念しました。ただ、喜八の最後の作品『幻燈辻馬車』(映画化には至らず)で、アクションはもう撮れないからとシナリオを書き直す作業を喜八と一緒にしたことがありました。シナリオを読みながら直すという日活のやり方ですが、今思えば、最後に私にシナリオの書き方を思い出させるためにしてくれた気がします。
 

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喜八の七回忌を終え、もう喜八の語り部は卒業するときだと思い、ゼロに戻って何かをはじめようと旧姓の「中みね子」の名前でシナリオを書き始めました。八千草さんのご主人の谷口千吉監督は喜八の師匠なのですが、谷口さんは八千草さんを主演にした映画をいつか撮ろうと思っておられたようで、よく喜八とその話で言い合っていたのを八千草さんと横で聞きながら、「(あの二人より)私たちで撮った方がいいわよね」と話していたのです。そんなことを思い出しながら、八千草さんを主役にしたシナリオを2、3本書いたのですが、どうしても気に入らず、脚本家の青木研次さんにご指導を仰ぎました。「主食が少し増えるのはいいけれど、おかずの多い映画は面白くならない」と最終的には完全に一人で書くように勧められ、ようやくオリジナルの脚本が書きあがったのです。
 
早速八千草さんに読んでいただくと「今までで一番すっと入ってきたわ」と言ってくださり、もう本当にうれしくて。あんな美人に言われたら、なんとか映画にしなくてはとの思いがさらに強まり、喜八とのつながりや、目に見えない皆さんの励ましをいただき、長い歴史の中から生まれた作品となりました。
 
 

■八千草さんを中心に、風が吹いて止まることのないリズムを大事に。

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―――初めての演出はいかがでしたか?
中監督:撮影に入る前に、役者さんとは徹底的に話をしました。八千草さんには気持ちを全部お話し、準備の時間を取れたのですが、仲代さんからは「芝居中にこんなにセリフが覚えられるか」と言われたりもしました。仲代さんがお忙しいので、こちらの気持ちを全て書いたことをお話し、仲代さんからはセリフを削ったシナリオが戻ってきました。そこでまた八千草さんのセリフと調整したりといった作業を繰り返しました。演出部は私を入れて3人だけとコンパクトでしたが、その分やりやすくて良かったと思います。特にカメラマンには「八千草さんの所作や仕草など、全て彼女を中心に、風が吹いているような止まることのないリズムで撮ってほしい」とお願いしました。映画には映画のリズムがありますから、そこはまず大事にしたところです。
 
 

■映画監督の孤独さや陰の部分を、体で理解する。

―――初めての監督業に臨み、一番感じたことは?
中監督:よく喜八が「映画はEndがつかないとゴミにもならない」と言っていましたが、きっと上の方から「最後までできてよかったね」と言いながら見てくれていると思います。
作品が出来た後、自分の中でもっとこうすればよかったという思いが、どんな監督でもよぎるのでしょうが、喜八は自分以外立ち入り禁止の書斎に何分か籠って、私でも声をかけることができない時がありました。「孤独のカプセル」に入ってしまうのです。映画監督は他人のせいにはできない仕事で、総合芸術の長である映画監督の孤独や演出家という仕事の本質を、今回自分が監督することで少し覗かせてもらった気がします。仕事は頭で理解することと、体で理解することとは全然違います。そういう映画監督の陰の部分や孤独の部分を知ることができました。
 
―――ご自身で監督をされて、改めて岡本喜八監督を惚れ直したのでは?
中監督:喜八はいい意味で才能があり、大変厳しい人でした。よく、結婚した方がいいかと若い方に聞かれるのですが、一人ぐらいお互いの生き様を分かってもらう人がいてもいいのではないかとお話しています。子どもは縦のつながりなので、言わずともつながりがありますが、夫婦は横のつながりなので、お互いつなげようと思わないとつながりませんから。
 
 

■親の介護や家庭、会社で頑張っている息子世代にもぜひ見てほしい。

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―――『ゆずり葉の頃』はどのような世代に見てほしいですか?
中監督:最初は「善人ばかりの映画で大丈夫か」と言われたりもしましたが、私は、人を傷つけるために生まれてきた人はいないと思っています。どの人の中にもある優しさが出てきたらいいなと思い、シナリオを書きました。
 
『ゆずり葉の頃』は、知性が残っている間に、自分の終わり方を家族に伝える物語です。私は『楢山節考』が大好きで、あの中に老後が一番描かれていると思っています。この作品は、主人公の同世代はもちろんですが、世の中に出て、親の介護や家庭、会社で頑張っている息子世代にもぜひ見ていただきたいですね。
 
 

■人間の愛情表現はそれぞれ。ベッドシーン以上に心が揺れ動くようなラブシーンと思ってもらえたら、とてもうれしい。

―――八千草薫演じる市子と仲代達矢演じる謙一郎がダンスするシーンが非常に印象的かつ、心に残るラブシーンとなっていますが、どのように作り上げていったのですか?
中監督:八千草さんと仲代さんが手を合わせて踊るのは、バロック音楽のダンスを取り入れています。私はバロック音楽が大好きで、パリでロケをするシナリオを書いていたときにこのアイデアを思いつきました。実際は軽井沢ロケのストーリーになったので、音楽担当の山下洋輔さんに、日本の誰もが知っている「あかとんぼ」のように世界中の人が知っているような曲で八千草さんのテーマとなるメロディーを作ってほしいとお願いしたところ、「キラキラ星」を選んで、編曲してくださったのです。バロック音楽ではありませんが、二人とも子どもだった時代に戻してあげたいと思い、手を合わせて無邪気に踊っていただきました。このシーンは、仲代さん演じる謙一郎が抱えている心の原風景をイメージしています。10数分をワンカットで撮影しました。
 
私を知っている人たちからすれば、男みたいな私がラブシーンを撮るなんて想像できないみたいですが、人間の愛情表現は人それぞれです。ベッドシーン以上に心が揺れ動くようなラブシーンが撮れていたら、またそう思っていただけたら本当にうれしいです。
 
―――岡本喜八監督は、この作品をご覧になったらどうおっしゃると思いますか?
中監督:喜八は他人の作品の良し悪しは絶対言いませんし、作り手としていかに映画監督が辛いかを知っている人ですから、「途中でおかしくならずに、ちゃんと皆さんに観ていただける作品が出来てよかったね」と、上から言ってくれているでしょうね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『ゆずり葉の頃』(2014年 日本 1時間42分)
監督・脚本:中みね子
出演:八千草薫、仲代達矢、風間トオル、竹下景子、六平直政、嶋田久作、本田博太郎、岸部一徳他
5月23日(土)~岩波ホール、6月20日(土)~シネ・リーブル梅田、7月18日(土)~元町映画館、7月25日(土)~京都シネマ、今夏、シネ・ピピア他全国順次公開
※第36回モスクワ国際映画祭特別招待作品
公式サイト⇒http://yuzurihanokoro.com/
(C) 岡本みね子事務所
 
 
 
 
 

aono-ran-b-550.jpg“風雲児“天海祐希参上!『ゲキ×シネ「蒼の乱」』満場の女性ファンを前に舞台挨拶

(2015年5月12日(火)18:00~梅田ブルク7にて)


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・(2015年 日本 2時間48分)
・演出:いのうえひでのり  脚本:中島かずき
・出演:天海祐希、松山ケンイチ、早乙女太一、梶原善、森奈みはる
・2015年5月9日(土)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、T・ジョイ京都、MOVIX京都、神戸国際松竹、MOVIXあまがさき ほか全国ロードショー
・公式サイト⇒ http://www.aonoran.com/
・(C)2015 ゲキ×シネ「蒼の乱」/ヴィレッヂ・劇団☆新感線

 


 

★ゲキ×シネ『蒼の乱』天海祐希に女性客殺到

 

《劇団☆新感線》の舞台を映画で見せるゲキ×シネ最新作『蒼の乱』(中島かずき作、いのうえひでのり演出)で主演を務めた天海祐希が12日、公開中の大阪・梅田ブルク7で舞台挨拶を行い、女性ファンで満杯の客席から熱い声援を受けた。

aono-ran-500-1.jpg『蒼の乱』は35周年を迎えた《劇団☆新感線》が“驚愕のスペクタクル”と銘打って昨年春、大阪、東京で上演された。天海祐希のゲキ×シネ出演は4年ぶり3度目。“将門の乱”で有名な伝説の武将・平将門(たいらのまさかど)の激動の一生を描いた壮大な歴史ファンタジー。将門に新感線初参加の松山ケンイチ、大王に大ベテラン平幹二朗。天海は将門と結ばれる蒼真役で、強くて凛々しい鮮烈なヒロインを演じた。


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――― お待たせしました。天海祐希さんです! (花柄の赤いレオナールのワンピース姿で登場)

天海:『蒼の乱』を見て頂けるのは本当に幸せです。舞台を見て頂いた方も、ゲキ×シネで見て頂く方も、両方楽しんで頂けると思います。

――― 今日のお客様で昨年の舞台を見た方はどれぐらいいらっしゃいますか?
(挙手多数)天海さん、去年の公演、覚えていますか?
天海:去年の思い出…ウーン、一生懸命だった!(笑)。あとは…いか焼きをどうしても食べたくなって、1枚から届けてくれるところがあって、終演後に食べましたね。

――― それが舞台公演の楽しみ?
天海:ええ、何回か頼みました。舞台は、とにかく頑張りましたね。ゲキ×シネの映像でも、ダイレクトに(お客様に)届いてくれるでしょう。

―――「劇団☆新感線」の舞台はいかがですか?
天海:新感線の魅力は、引きで見ると、もの凄いプロ集団だけど、ちょっと近寄ると、放っといてくれない、愛すべきおせっかいな人たちです。客席で新感線見ると悔しくなります。出演していると、みんなとても頼もしいです。古田(新太)先輩は早い段階で見て下さって、“良かったよ”って言って下さいました。

aono-ran-b-3.jpg――― 相手役が“新感線”初参加の松山ケンイチさんでしたが?
天海:とてもいい意味での田舎っぽさが出ている(笑)。ほんと、いい意味なんですよ(笑)。あんなに牧歌的な大きさを感じさせてくれる、風や空の匂いを表現できる人は他にいません。それでいて、笑うと心を締め付けられるように愛おしく感じさせるんです。彼のおかげで自分の役を自然に演じられました。

――― 蒼真役と天海さんの共通点は?
天海:ありません(笑)。そんなこと考えたことありません。反乱なんかしたことありませんし。

aono-ran-b-2.jpg――― 舞台は同世代の高田聖子、森奈みはるらも一緒だったが?
天海:同い年の女の子の会話をしていましたね。最近何食べてる?とか肌の調子はどう?だとか、終わった後3人で人間ドックに入りました。みんなで“行こうか”ということで。

――― 改めて見どころというと?
天海:全部です!誇りを持って完璧だと思ってやってますから。敢えて言うと、開演からしばらくして3人で逃げるシーンがあって、そこに流れ星が流れるんです。そこは何回やっても泣きそうでした。ケンちゃんは最初、センターが分からなかったんですよ。“どういう人や!?”と思ってたけど(彼は)忘れちゃうんですよね~。

aono-ran-b-4.jpg―――ゲキ×シネの魅力とは?
天海:何でそういうこと聞くんだろう? どこ行っても聞かれる。1年前の私には、これが精いっぱいだったなあと思えたのですが、1年後に見てみると“まだまだ行ける”と。それがあるから“まだやれる”と思えるのです。完璧と思ってしまったら、それでおしまいじゃないですか。マスコミの皆さんもそうじゃないですか。
私たちの仕事が、皆さん方の潤いになるなら嬉しいですね。歌あり、踊りあり、笑いも涙もあるので、楽しんで頂けたらと思います。新感線はお稽古中で、今日は初の通し稽古だそうです。私が代表して“元気ですよ!”とお伝えに参りました。皆さんに楽しんで頂いて、また新感線と一緒に仕事出来ることを祈っています。また大阪の舞台でお会いしたいですね。

 


 【ゲキ×シネ『蒼の乱』】
aono-ran-500-2.jpg強く美しい女戦士・蒼真(天海祐希)と、坂東の草原の匂いを放つ純粋で無垢な青年・将門小次郎(松山ケンイチ)は、自由への憧憬と渇望を抱き、手を取り合って激動の時代へと飛び込んでいく。だが、国家を揺るがす大乱はすでに西海で起こりつつあった。

瀬戸内の大海賊・伊予純友(粟根まこと)は、西海と東国の二つの辺縁の地で蜂起し、都の政(まつりごと)を揺るがそうと考えていた。無垢な小次郎に惹かれる蒼真には、不安がよぎっていた。

一方、都の朝廷から海賊討伐の命を受けた弾正淑人(梶原善)は瀬戸内に向かう。東国の草原に戻った小次郎が見たのは、飢えに苦しむ民の姿。国司の妻・邦香(森奈みはる)と小次郎の叔父たちは私腹を肥やすことに精を出していた…。


 (安永 五郎)

 

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戸田恵梨香「幅広い女性に共感いただける映画」、大泉洋は「離婚したい人の後押しに」で大爆笑『駈込み女と駆出し男』舞台挨拶@大阪ステーションシティシネマ(2015.4.24)
登壇者:原田眞人監督、大泉洋、戸田恵梨香
 

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今より2倍もの離婚があったという江戸時代に、離婚を望む女たちが駈込む寺があった。政府公認の縁切り寺を舞台に繰り広げられる、新しい人生を夢見る女たちとそうはおかない男たちの運命は?井上ひさし原作の『東慶寺花だより』を『わが母の記』の原田眞人監督が映画化。原田監督が俳優として出演した『ラスト サムライ』の舞台にもなった姫路・円教寺の厳粛な佇まいや、日本の四季を織り交ぜながら、ユーモアや艶っぽさのある人情時代劇に仕立て上げた。
 
大阪ステーションシネマで行われた先行上映会の舞台挨拶には、原田眞人監督をはじめ、
主役の戯作者志望医者見習い・信次郎を演じた大泉洋と、鉄ねりのじょごを演じた戸田恵梨香が登壇。姿を現した途端、会場からは「洋ちゃん」コールが巻き起こる人気ぶりで、最初から会場に熱気があふれた。最後まで笑いっぱなしだった舞台挨拶の模様をご紹介したい。
 

 
<最初のご挨拶>

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大泉:こんにちは。大阪の皆さんのじわじわと盛り上がってくる感じがいいじゃないですか。ありがとうございます。まず皆さんに観ていただいて、大いに宣伝していただければと思います。この後、アホみたいにしゃべろうと思っていますので、どうぞ楽しんでいってください。
 
戸田:この作品は幅広い女性たちに共感していただける作品だと思います。きっと男性は「こんなことをしてはいけないんだな」とか「女性にはこうした方がいいんだな」ということが分かるし、もう少し女性が(一人で)立っていけるような時代になればいいなとこの作品を観て思いました。楽しんでいただければと思います。
 
原田監督:素晴らしいキャストとスタッフに恵まれて、初めての時代劇を本当に思い存分撮ることができました。主役の大泉さんと戸田さんに感謝、感謝です。今日は皆さんに十分に楽しんでいただきたいと思います。
 
 

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―――初めての時代劇ですか?
原田監督:出演する方では12年前に『ラスト サムライ』で悪役を演じましたが、姫路の円教寺と巡り合い、今回、東慶寺のメインの舞台として使わせていただいています。
 
―――関西を中心に撮影されたそうですね。
大泉:京都、滋賀、奈良のあたりですね。京都で撮ると聞いていたので、京都のホテルに詰めていたのですが、京都と言ってもほとんど滋賀か奈良でしたね。毎日毎日ものすごい移動でした。
 
原田監督:伸次郎の出番は奈良が多かったですね。奈良の柳生街道を歩いてもらったり。
 
大泉:あの山の中ですか?寒くて、寒くてね。京都の松竹撮影所でカツラを被って、そこから車で移動すると、だんだんズレてくるんですよ。また直さなくてはいけなくて。
 
戸田:ホテル変えてほしかったですね。
 
―――戸田さんは兵庫のご出身ですが、姫路の円教寺の撮影はいかがでしたか?
戸田:行ったことがあるかもしれませんが、記憶になくて。でも神戸にこんな素晴らしいところがあるんだと、誇らしい気持ちになりました。
 

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―――原田監督は今回大泉さんとお仕事をするのは初めてだったそうですが、実際に仕事をしてみていかがでしたか?

原田監督:今日はサービス精神が旺盛ですが、すごく真面目で天才的な俳優、芝居はすごいです。僕が彼を初めて観たとき(舞台『ドレッサー』)、楽屋へ行って、時代劇の主役を是非してほしいと伝えて、脚本を送ったのです。

大泉:びっくりしましたね。観に来ていただいてすぐに、脚本と主演のオファーをいただいたので、「私で大丈夫かしら」と。ワクワクするような江戸時代の活気に溢れた脚本で、アホみたいな長ゼリフがあって、よほど断ろうかと思いましたが(笑)。やってみると楽しくて。
 
原田監督:全てが絵になって。大泉さんの場合、NGを出すとそれが絵になって、脚本よりも良くなるんですよ。
 
大泉:それを言うと、どこがNGか分かるじゃないですか!NGを使うんですよ、この人(会場大爆笑)。堤真一さんに「(原田)監督はNG使うからな。気を付けた方がいいよ」と言われていたのですが、バッチリ使われました。ですから、どこかな?と楽しみながら観ていただければ。
 
―――戸田さんとも初めてだそうですが、原田監督から見てどんな女優さんですか?
原田監督:今回は二人の全く性格も育ちも違うヒロインがいます。もう一人の満島ひかりの方はコテコテに作っているのですが、戸田さんの場合はそのまんまの自然児で出てねとお願いしました。戸田さんは舞台『寿歌(ほぎうた)』の演技が素晴らしかった。その時の堤真一、橋本じゅんと全員が本作に出演しています。撮影している最中に、すごい目力だなと思いました。彼女の見た目で作品を作っていけるなという感覚が、途中からどんどん出てきましたね。
 
―――撮影中辛いことはなかったですか?
戸田:いやあ、寒さとの闘いでしたね。2月から4月まで撮影させてもらいましたが、着物で、しかも素足だったので、素足で冬を過ごすのは辛かったです。
 
<最後のご挨拶>

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原田監督:僕自身映画を作っていく中で、逆境を生き抜くという、辛い思いや悲しい思いをした人が生きていくドラマにすごく惹かれます。時代劇の場合は、女性は生きているだけで虐げられていた部分があります。今回大泉さんが演じる主人公は戯作者見習いとして弾圧されており、今の時代とどこか通じるところがあります。戸田さんや満島さんが演じた役も、駈込み女は本当に辛い思いをしながら、いかに自分の道を開くために努力し、女たちの連帯でそれを勝ち取っていくという話です。ですから、今を闘う女性たちや、家庭で虐げられた男性たちに共通する部分があると思います。この映画を観た後清々しい気持ちになって劇場を出て、それが自分の生きていく明日につながるような作品になってくれればと思います。是非、応援してください。
 
戸田:今日は久しぶりに家族や親せきが見に来ていて、ずっとソワソワしています。久しぶりに照れくさいなと思ってこの場に立っているのですが、時代劇といえば堅いなとか難しいというイメージがあるかもしれません。そうではなくて、もっと新しい時代劇になっていますし、楽しんでいただけると思います。今日はありがとうございました。
 
大泉:そうですか・・・。戸田さんのご家族がいると思うと、少し緊張してまいりました。おかしなことを言えないなと(会場笑)。私は大阪のことが大好きでして、今日も大阪のテレビにいっぱい出ました。「ミヤネ屋」にも出まして、「何回くるねん」と言われました。前回は1分でしたが、今回はビシッと40分も出ました。離婚特集で、夫婦離婚度チェックもやらされ、結局妻への不満を書く羽目になりましたが、宮根さんも、かなり気に入ってくださいました。先ほどは戸田さんと「マルコポロリ」に出て、ポロリバスにここまで送ってもらいました。このように、大阪では何でも出たいと頑張っております。
 
本当に見どころ満載の映画となっておりまして、今まさに、会場の中に家庭が上手くいっていない方、離婚したい方が多いでしょう(会場大爆笑)。そんな方のちょっとした後押しになればと思っております。どんどんみなさん離婚していただいて、新しい人生を目指していただければと思います。この映画を観て、たくさん宣伝してください。今日はみなさん、ありがとうございました!ありがとう!また会おう!僕のNGシーンを観て、ここだ、ここだと言わないように!
(江口由美)

 
<作品情報>

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『駈込み女と駆出し男』
(2015年 日本 2時間23分)
監督:原田眞人 
原作:井上ひさし『東慶寺花だより』新潮文庫刊
出演:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、樹木希林、山崎努、堤真一、武田真治、キムラ緑子、内山理名、陽月華他
2015年5月16日(土)~丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、OSシネマズ神戸ハーバーランド、MOVIXあまがさき、TOHOシネマズ西宮OS、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト⇒http://kakekomi-movie.jp/
(C) 2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会
 
<ストーリー>
江戸時代、縁切り寺として名高い東慶寺には、様々な事情で離縁を求める女たちが、駆け込んでくる。顔に火ぶくれを持つじょご(戸田恵梨香)や、堀切屋(堤真一)の囲われ女だったお吟(満島ひかり)は、聞き取りをする柏屋で戯作者志望の医者見習い・信次郎(大泉洋)に出会う。信次郎は、さまざまなトラブルに巻き込まれながら、訳あり女たちの人生の再出発を後押ししていくのだったが・・・。
 
 

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「めっちゃ面白いから、見てな!」永作博美が関西弁でアピール~『夫婦フーフー日記』舞台挨拶
@大阪ステーションシティシネマ(2015.4.21)
登壇者:佐々木蔵之介、永作博美
 

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17年間友だち、1年ちょっと夫婦、そして9ヶ月だけ母親だった病死のヨメが、突然現れる!?闘病ブログから生まれた清水浩司の「がんフーフー日記」(小学館刊)を、『婚前特急』の前田弘二監督が映画化。死んだはずのヨメが現れ、残されたダンナと夫婦の軌跡を振り返る設定にし、ブログでは書かれなかった夫婦の想いが溢れる、ファンタスティックかつコミカルな感動物語が誕生した。
 
 

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ヨメ亡き後、息子・ペーの子育てと仕事に一人奮闘するダンナ演じる佐々木蔵之介と、妊娠後に発覚した悪性腫瘍と闘いながら、最後まで明るく前向きに生きたヨメ演じる永作博美の掛け合いもピッタリ、アラフォー夫婦ならではの新婚なのにしっくりくる感じがいい。幻影として現れたヨメと、二人の出会いから結婚、出産までを見つめなおす過程は、思わぬ真実が明らかになったり、言えなかった想いが溢れてくる。
 
 

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そばにいるパートナーを大事にしたくなる『夫婦フーフー日記』の先行上映舞台挨拶が大阪ステーションシティシネマで行われ、ダンナ・コウタ役の佐々木蔵之介とヨメ・ユウコ役の永作博美の“フーフー”が揃って登壇。関西出身の佐々木は「大阪の観客は反応がすごく早いので、舞台をするのが楽しい。これだけ払ったから、元をとってやろうと思っているので、楽しい反面シビアだなと思う」と早速観客から笑いを誘うと、2月に大阪で舞台を行ったばかりの永作は「みんなで楽しもうと来てくださっていることが分かるので、安心してお芝居や映画を紹介できる。私もお客さんと交流できて、うれしい」と笑顔で応えた。

大阪つながりで、グルメの話題になると、突然佐々木から「IKY食べた?」と振られ、永作がキョトンとする場面も。大阪名物いか焼き(IKY)のことだと分かると、永作は「いか焼きも、たこ焼きも食べましたね。ごちそうさまでした!」と粉ものグルメを楽しんだことを明かした。

 
 
 

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闘病ブログから生まれた本作については、「闘病ブログだが、割と楽しく話が進み、落ち込むのではなく、落ちたりあがったりしながら、どんどん続いていく。日常を生きていくことを頑張ろうと思える映画」(佐々木)、「脚本を見て、泣きながら笑っていた。過去の自分に、自分たちがツッコむのも新しいし、感情のひだがたくさん隠れている」(永作)と、涙あり、笑いありの物語について語った。
 
 
 
 
 
 
 

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10年前にも夫婦役で共演したという佐々木と永作は、今回の撮影では打合せもせずに、ぶっつけ本番でお互い相手の出方を楽しんだことを明かし、佐々木は「はたから見ればどうでもいいことを、二人で一生懸命話していたところも見てもらえれば」と、長年友達として共に生きてきたコウタとユウコの絶妙な掛け合いの舞台裏話を披露。
 
一方、見どころを聞かれた永作は、「二人とも20歳から演じている。撮影当日は(佐々木を)直視しないようにし、私も鏡を見ないようにした。若い時から、最後までやりきった」と夫婦の長年の歴史を演じ抜いたことを挙げ、「めっちゃ面白いから、みてな!」と観客にアピールし、会場から大きな拍手が沸き起こった。
 
 

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最後に、「闘病日記だが、それぞれがしんどい時でも、人を思い合う気持ちが入っている作品。明日からがんばろうという気持ちになってくれたらうれしい」(永作)、「とても希望にあふれた映画。周りの人、家族、パートナーを大事にし、今を大切に生きようと思える、本当に力が湧いてくる映画」(佐々木)と挨拶し、舞台挨拶を締めくくった。
 
 
大きな目をくるくる動かし、身振り手振りを交えて関西弁で大阪ステーションシティシネマのビル屋上の話をする佐々木と、落ち着いた声で、「絶対に楽しめる」と自信をもって作品のことを語る永作を見ていると、本当にコウタ・ユウコ夫妻が目の前にいるようで清々しい気持ちになった。映画ならではの仕掛けで涙あり、笑いありの夫婦の日々は、大事な人を失って、それでも前に進む勇気を教えてくれることだろう。(江口由美)
 
 
 

 
<作品情報>
『夫婦フーフー日記』(2014年 日本 1時間37分)
監督:前田弘二 
脚本:林民夫・前田弘二
原作:川崎フーフ「がんフーフー日記」(小学館刊) 
出演:佐々木蔵之介 永作博美 佐藤仁美 高橋周平 / 並樹史朗 梅沢昌代 大石吾朗 吉本選江 宇野祥平 小市慢太郎 / 杉本哲太
5月30日(土)より 大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸ほか全国公開
公式サイト:fu-fu-nikki.com  
(C)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
 
<ストーリー>

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作家志望のダンナ・コウタ(佐々木蔵之介)は、本好きなヨメ・ユウコ(永作博美)と出会って17年目にしてついに結婚。だが幸せだったのは束の間で、妊娠とガンが発覚し、新婚生活はあっという間に闘病生活へ変わった。ヨメの病状を報告するブログを書き続けたダンナだが、入籍からわずか493日後、ヨメは息を引き取る。悲しみに暮れるダンナにブログ書籍化の話が舞い込み、念願の作家デビューへまい進するかに見えたダンナの前に、なんと死んだはずのヨメが現れて・・・。
 

bardman-pos.jpg『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
オリジナルクリアファイル プレゼント!


■ 20世紀フォックス 提供

■ 募集人員: 5 名様

■ 締切:2015年4月30日(木)

2015年4月10日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)、MOVIX京都、ほか全国ロードショー
 
★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://www.foxmovies-jp.com/birdman

 


 
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』


本年度アカデミー賞 作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞 最多4部門受賞!!
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督・脚本・製作、マイケル・キートン主演の傑作コメディ映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が
いよいよ公開!


bardman-550.jpgかつて世界的大ヒット作『バードマン』シリーズの主演ヒーロー役で一世を風靡したリーガン(マイケル・キートン)だったが、シリーズ4作目の出演を断ってから役者としても私生活でも低迷を続けていた。そこで役者としての再起をかけたブロードウェイ公演に挑戦! その大事な公演前のナーバスな状態の中、リーガンはいつしか自分に鋭く問いかける〈バードマン〉の幻影につきまとわれる。才能ある共演者の身勝手な振る舞いや、思うように集まらない製作費や離婚した妻と暮らす娘との関わりなど、追い詰められた彼の心情をバードマンが代弁しているのか、次第に幻覚か現実か区別がつかなくなる。

このリーガンを演じるのは、かつて『バットマン』シリーズで活躍したマイケル・キートン。彼自身と重なる部分も多く、ドラマの中のキャラクターなのかマイケル自身なのか、これまた区別がつかなくなる。さらに、ハリウッドスターたちの実名がポンポン飛び出すスキャンダラスな会話や業界内のマジックなど、舞台裏をリアルタイムで見ているような迫力で惹きつける。こんな危うい主人公を実体験に基づいて演じているのか、マイケル・キートンの一世一代の役者ぶりは必見だ。

息遣いや体温までも伝わってくるような求心力で人間を描出するアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の傑作が、またしても生まれた。


BiRDMAN OR (THE UNEXPECTED ViRTUE OF iGNORANCE) 
2014年 アメリカ 2時間

監督・脚本・製作:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ 
撮影:エマニュエル・ルベツキ
音楽:ドラム・スコア:アントニオ・サンチェス
出演:
マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズブロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ、リンゼイ・ダンカン他

2015年4月10日(金)~TOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)、MOVIX京都、ほか全国ロードショー

 

 

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『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第八番』龍村仁監督インタビュー
 

~「樹の聖霊」の声を聴く日本人のマイスターたちに迫る、深遠なドキュメンタリー~

人間の命は長い歴史の中でほんの一瞬だが、樹は何百年も、いやそれ以上に生きているものもある。「樹」の精霊の声に耳を傾けるという『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第八番』のコンセプトは、今まで一度も『地球交響曲』シリーズを観たことがない私も躊躇することなく見たいと思わせる魅力があった。
 

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今までのシリーズでは外国人3人、日本人1人にフォーカスしてきたという構成だったそうだが、今回は樹の精霊の声に耳を傾ける日本人のマイスター3人を取り上げ、東日本大震災後、彼らが樹と共に復活の一歩を踏み出すまでが描かれる。まずは、600年間眠り続けてきた能面「阿古父尉(あこぶじょう)」を復活させる『樹の精霊に出会う』。能面打、見市泰男さんが、一刃一刃精霊と向き合いながら甦らせていく様や、奈良県吉野山中の天河神社で行われる様々な神事を通して、日本人は古来から目には見えない大事なものといかに対話を重ねてきたか実感する。

 

また、『樹の精霊の声を聴く』では、ストラディヴァリウスをまるで生き物のように扱いながら修復していく様子や、東日本大震災後、震災で倒れた樹からヴァイオリン製作者の中澤宗幸さんが「津波ヴァイオリン」を制作し、奉納演奏が行われるまでも密着。樹の精霊との対話から作り出されるヴァイオリンが、さらに奏でられる音を沁みこませ、さらなる名器へと進化を遂げていくのだ。

 
そして、『心に樹を植える』では早くから海の汚れの原因が森の荒廃にあると気づいた牡蠣養殖業者・畠山重篤さんの植林運動が、東日本大震災後の気仙沼を見事に復活させていく様子を綴る。一見関係のないように見える樹が生命の循環に大きな影響を与えていることに、改めて感謝の意を表したくなる。日本人が古来から持ち続けている精神に触れるドキュメンタリー。92年の第一番から、まさにライフワークとして『地球交響曲』を世に出し続け、東日本大震災後の作品として、「復活」につながる物語を提示した龍村仁監督に、『地球交響曲』誕生のきっかけや、初公開までのエピソード、そして、「樹」にスポットを当てようとした理由について、お話を伺った。
 

■前売り券3000枚を手売りして劇場公開にこぎ着けた、『地球交響曲』公開秘話

―――今やライフワークとなっておられる『地球交響曲』ができたきっかけは?
続けようと思って続けた訳ではありません。毎回「これで終わりだ」と思って作っているので、結果として続いているのは観てくださるお客様のおかげです。第一番を作った頃は、「こんな映画にお客さんが観に来るわけがない」と映画館は一切上映してくれませんでした。結局「3000枚の前売り券をさばいたら2週間上映してあげる」という映画館が出てきたのです。映画は観られてこそ映画です。作る人と観る人との一対一の双方向の関係の中で、映像を観ながら観客が自分の中のクリエイティブな部分を動かすことによって映画は「生まれた」と言えるのです。ですから、観られる場がなければ映画とは呼べません。
 
―――では、その3000枚を監督ご自身で売り歩いたのですか?
無理だと思うでしょうが、売ることも映画作りと頑張って売ってまわりました。初めて同窓会に顔を出して、過去を振り返るのが恥ずかしいと思う自分を克服していきました。なんとか3000枚を売りきって、はじめて映画館で上映してもらったのが92年です。1年間販売活動をしました。初日、2日目以降は一度観客が減ったのですが、次第に当日券を買う人が増えてきたのです。
 
―――口コミで作品の評判が広がっていったのでしょうか?
『地球交響曲』はどういう映画と聞かれたら、説明しにくい作品です。有名な女優もでていないし、物語もないし、トマトや象がでるぐらいです。でもなぜ売れたかというと、観た人が自分で伝えにくい感覚を、この映画を観たら分かってもらえるのではないかという思いがあるからです。「あなた(友人)が観てほしいと思っているのなら」と、チケットを買ってくれたようです。あとは感動してくれるかどうかですが、ここに描かれていることは、実は日本人として生まれ、自身の深い部分では知っていることが呼び覚まされているのです。
 

■80年代に作った3分間ドキュメンタリーシリーズで、世間のニーズを確信。自発的に映画というメディアで世に問う。

―――なるほど、まず映画館で上映され、映画として成立するまでにも一つのストーリーがあったのですね。では、自然のことを考える先駆けとなったドキュメンタリー映画を制作し始めたのはなぜですか?
高尚なことではなく、私が80年代に手がけた仕事の経験からきています。当時セゾングループが一番勢いのある頃で、女性をテーマにした単発のスペシャルドラマを1社提供していました。経営者だった堤清二さんは詩人でもありましたから、ドラマを妨げてしまうような商品CMはやりたくなかったのです。セゾングループのコンセプトだった「お手本は、自然界。」が感じられるようなものを作ってほしいというご依頼がありました。低予算でという注文だったので、ドキュメンタリーの手法で世界中の人たちを取材した3分映像を88年まで全部で52本作りました。このCMは当時非常に評判となりましたが、そこで僕が確信したのは、世間はこのような手法の映像を求めているにもかかわらず、それに値する映像がないということでした。
 
―――では、全く初めての試みではなく、ある程度観客の支持を得る自信はあったのですね。
その後、セゾングループの経営が傾いたため、CMの仕事は終わってしまいましたが、映像の仕事を続けていくなら、この延長線上で何かできないかと考えました。通常、テレビドラマや映画の仕事は、会社が企画し、こちらに発注されて作ります。映像の仕事は受け身の仕事だったのです。でもこういうドキュメンタリーの内容ですから、作り上げてから世に問うという形がとれる唯一のメディアが映画だったのです。
 
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■東日本大震災からの復活に、日本人の奥底にある樹の文化からにじみ出るものが大切。

―――そうやって続いてきた『地球交響曲第八番』では、なぜ「樹」に焦点を当てようと思ったのですか?
生命体が地球という惑星に生まれて何億年も生き続けているのは、樹のおかげだということが科学的に証明されています。地球の大気圏を作っているのも植物ですし、大気中の21%が酸素であることを人口が増えてもなお保っているのは、樹を中心とした植物のおかげなのです。この『地球交響曲』シリーズは、まず人にフォーカスして、その方の生き方と、その方でなければしゃべれない言葉で綴っていきます。1本の中に外国人が3人、日本人が1人という割合でやってきたのですが、今回は東日本大震災が起こった事が非常に大きな影響を与えています。
 
―――第八番の本作では古くから「樹」の声を聴いてきた日本人のマイスターたちに密着しています。日本の「樹の声を聴く」文化を知る、貴重な体験ができました。
地球という惑星と生命体との間で一番大切なことを、日本の宮大工さんは樹に対する畏敬の念として、自分の経験の言葉でしゃべっています。もともと日本は樹の文化ですから、樹が単なる建築材料ではないという見方が強くあるわけです。樹に潜む精霊としか言いようがないのですが、それを感じ取っていろいろな文化の原点にしていく。それが日本文化の特徴です。
 
―――東日本大震災の影響を受けたとおっしゃいましたが、震災からの復活を感じさせる様々な試みが映し出されていますね。
震災後のあれだけ大きな津波は、誰かが制御できるものではありません。東日本大震災後、日本人はこんなにひどい目に遭っているのに恨むのではなく、いい方向に協力していくことができると支援をしてくれた海外の方から評価されました。本当は宇宙的スケールの中で我々が生かされているという体感が一番重要で、日本人はそれを樹との関係において、文化として持っているのです。震災以降の苦しみは、悪い奴はあいつだから、あいつをやっつければいいという浅はかな考え方では抜けられません。人知を遙かに超えた宇宙的タイムスケールで起こっていることに気付き、そういう悲劇を乗り越えるために、樹の文化の中から、何か滲み出てくるのではないかという思いがありました。
 

■制約こそクリエイションの母、少なくとも映画を作っていれば元気。

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―――樹と会話できるヴァイオリン製作者の中澤さんや、能面「阿古父尉」の復活までの様々な神事など、まさに樹に宿る神の声を、スクリーンを通して聞いているようでした。
コンセプトとしては、目に見えない、実在することは証明できないけれど木の精霊があり、それが日本の危機の時に復活し、一番大切なことに気づかせてくれる。そう思い、木にまつわる日本人の文化を表現できる人を探しました。気仙沼の漁師でありながら、樹を植える活動を続けてきた畠山さん。ヴァイオリンの名器、ストラディヴァリウスを修理するのに、樹の精霊の声をきちんと甦らせてあげようという文化的な考え方ができる中澤さん。そこから魂や音の蘇りが生まれてくることを、素直に受け止めることができる、日本人の精神的なバックグラウンド。最後にマルティン・ルターの「りんご」の言葉、「もしも明日世界が終わるなら、私は今日リンゴの木を植えるだろう」に到達できればいいなと思って、八番を作りました。一つのシーンがあるから、次のシーンが生まれる。だから編集がものすごく重要です。
 
―――編集はどれぐらいかかったのですか?
1年ぐらいですね。制約こそクリエイションの母である。それがないと、どんどん変化するだけで完成がない。なぜ『地球交響曲』を続けたのと聞かれますが、一つ終わる度に完成がないなと思うからです。もう75歳になりますが、少なくとも映画を作っていれば元気です。
(江口由美)
 

<作品情報>
『地球交響曲(ガイアシンフォニー)第八番』
(2015年 日本 1時間55分)
監督・脚本:龍村仁
出演:梅若玄祥、柿坂神酒之祐、見市泰男、中澤宗幸、中澤きみ子、畠山重篤、畠山信
2015年3月21日(土)~シネ・リーブル梅田、近日~元町映画館、京都みなみ会館他全国順次公開
公式サイト⇒http://gaiasymphony8.com/
(C) Jin Tatsumura Office Inc.

jinu-500.jpgコメディっぽくない!? 松田龍平主演のコメディ映画『ジヌよさらば~かむろば村へ~』舞台挨拶

2015年3月13日(金)18:00~大阪ステーションシティシネマにて
ゲスト:松尾スズキ(52歳)、松田龍平(31歳)
 

(2015年 日本 2時間01分)
・原作/いがらしみきお「かむろば村へ」(小学館ビッグコミックスペシャル刊)
・監督・脚本・出演:松尾スズキ
・出演:松田龍平、阿部サダヲ、松たか子、二階堂ふみ、片桐はいり、中村優子、村杉蝉之介、伊勢志摩、オクイシュージ、モロ師岡、荒川良々、皆川猿時、松尾スズキ、西田敏行
★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ 
www.jinuyo-saraba.com  
・©2015 いがらしみきお・小学館/『ジヌよさらば~かむろば村へ~』製作委員会

2015年4月4日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー

 


 

~かむろば村へようこそ!金(ジヌ)捨ててこそ掴める運もある~

 

jinu-550.jpgのサムネイル画像「あまちゃん」が舞台を山村に移して再来か!? な~んて「あまちゃん」みたいなのどかでアットホームなドラマではない。監督・脚本を手掛けた松尾スズキを筆頭に、ムッツリ松田龍平を主演に、阿部サダヲ、松たか子、二階堂ふみ、西田敏行、片桐はいり、そして「あまちゃん」で人気が全国区となった劇団「大人計画」のメンバー等々、ひと癖もふた癖もあるような面々が勢ぞろい! 銀行員なのにお金アレルギーという変な恐怖症を抱えた主人公を取り巻く、東北にあるとある山村の、これまた不思議な人々の爆笑奇天烈物語である。
 

何せ予測不能の動きを見せる超個性派揃いなので、自称「神様」というじい様が現れても全く違和感がない。そこへ東京からお金を使わない自給自足の生活を求めて山村へやって来た高見武晴(松田龍平)のズレぶりが笑いを誘う。敢えて「コメディっぽくない松田龍平を起用する方がギャップがあって面白いかな」と思った監督。その計算は見事にアタリ!
 

jinu-3.jpg原作は、松尾スズキ監督が4コマ漫画家を目指していた若かりし頃、「残酷でシュール」な作風に憧れていたという〈いがらしみきお〉の「かむろば村へ」。〈赤べこ〉伝説のある奥会津の柳津(やないず)町をロケ地に選び、〈お金恐怖症〉の主人公が不思議な雰囲気の中、あれよあれよと村人の騒動に巻き込まれながら変化していく様子を活写している。役者の特徴を十二分に理解している松尾監督ならではの演出が功を奏したのだろう。


4月4日の公開を前に開催された特別上映会の舞台挨拶に、松尾スズキ監督と松田龍平が登壇。その異色コンビによる舞台挨拶も、どことなくファンタジーっぽい奇怪さで会場を沸かせていた。

以下は、舞台挨拶の詳細です。 (敬称略)


jinu-b-550-2.jpg   【最初のご挨拶】    
松田:沢山の方にお出で頂いて嬉しいです。ありがとうございます。
松尾:8年ぶりに豪華キャストで新作が撮れて幸せです。こうしたキャンペーンも頑張って行かなければと思っています。

――― 原作がコミックと言うことですが、いがらしさんのファンなんですか?
松尾:学生の頃4コマ漫画を描いていた頃からファンです。残酷だったりシュールだったりするアナーキーなところがカッコイイなと思ってました。

――― 映画化されることになってどんなお気持ちでしたか?
松尾:私が4コマ漫画家を目指していた時期に出版社をまわると、「いがらしみきおのようなマンガは要らないんだ」と言われ、挫折した思い出があります。それが巡り巡って私が映画化することになり、感慨深いものがありました。

jinu-b-di.jpg――― 主人公を松田龍平さんに決めた理由は?
松尾:いかにもコメディっぽい人を使うのは安っぽくなると思ったので、龍平君のようなコメディっぽくない人の方が落差があっておもしろいかなと。丁度その頃『舟を編む』で評価が高まっていた龍平君に出演して欲しいなと思い、コネを頼ってお願いしました。

――― 10年前の『恋の門』以来ですか?
松尾:そうです。まだその頃二十歳くらいでしたね。

――― 松田さんはどんな風に感じてこの役を演じたのですか?
松田:お金恐怖症という役は前例がなく、ファンタジーっぽい、お金が使えないなんて大変だろうなとか、後に引けないギリギリの状態を感じて演じました。

――― 松尾監督から具体的なオーダーはあったのですか?
松田:お金恐怖症という症状について測り知れないものがあったので、監督にご指導頂いて完成しました。
(それを聞いて、居心地悪そうな松尾監督)
――― 監督どうされたんですか?
松尾:今ちょっと差し歯が割れそうでした(笑)。
――― どんな指導をされたのですか?
松尾:二人で共有するイメージというものを実感として持つために、「自分の中でのイメージをこういう風にして」と言いました。

――― 大人計画のメンバーが沢山出演されていますが、最初から予定されていたのですか?
松尾:あまり若い人が出てこない映画なので、20年来のメンバーがTVや映画で活躍し丁度いい使い処になってきて、共通認識を持ってひとつの世界観を作るのに有効かなと思いました。

jinu-b-ryu.jpg――― 大人計画の皆さんとの共演は如何でしたか?
(またもや松尾監督が不測の動きをして松田龍平を笑わす)
松田:現場ですか?どうでしたっけ?
松尾:忘れないで下さい。
松田:笑いが絶えない温かい感じでした。個性的で面白く、「素」のような感じで、ホント面白い!

――― 場所は?
松尾:ファンタジックな感じもリアルに思えるような場所は、奥会津の柳津(やないづ)町です。有名な「赤べこ」発祥の地です。赤いべこが何かを助けたという伝説があって…
松田:長くなりそうですか?「べこ」って何ですか?
松尾:牛だよ!有名な「赤べこ」だよ!伝説の「赤べこ」がいたとか、いなかったとか?

――― 町の皆さんはとても協力的だったのでは?
松尾:様々なお年寄りが分け隔てなく出てくる映画でして、お年寄りをいっぱい見られるのがポイントです。集めるのも大変なのですが、そもそもそこにいっぱい居るということがラッキーでした。

――― 大阪のイメージは?
松尾:大阪公演の際には大体京橋界隈に出掛けるのですが、朝から飲んでいるおじさんと、朝から飲んでいるおねえさんと、出勤する人々が行きかう風景を見ていて「いいな」と思いました。
――― 大阪の人はお金について細かいですからね。大阪の人にはぴったりの映画だと思いますが?
松尾:そうですね。でも、ラストには「何すんねん!」と言われそうですが!?

jinu-b-ryu-2.jpg――― 松田さんは如何ですか?
松田:大阪に来ると、無駄に緊張してしまいます。笑いに厳しいというイメージがあって、余計なことをすると「シーン」となるのでは?と。
(手拍子をする松尾監督)(笑)
――― なんですか、それ?
松尾: “ラッスンゴレライ”やってくんないかなと思って。
松田:やらないですよ!(笑) 今は楽しい雰囲気で映画を見て帰って頂けたらいいなと思います。

【最後のご挨拶】
松田:ギリギリの武晴と、個性的で面白い村人を、声を出して楽しく笑って帰って頂けたら嬉しいです。今日はどうもありがとうございました。
松尾:キャスト・スタッフの甚大な努力のお陰で、ステキな映画に仕上がったと自負しております。4月4日から公開されます。ご家族、ご親戚、卒業生、どんな卒業か分かりませんが(笑)、「面白かったよ!」と薦めて頂けたら有難いです。本日はどうもありがとうございました。

 


 う~ん、どことなく異次元にいるような松尾スズキ監督にノせられて、いつになくにこやかな松田龍平さん。大阪に来ても緊張することはないですよ。大阪の人は飾らない人を快く受け入れますよ。もっと大阪を楽しんでくださいね。     (河田 真喜子)

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~戦後70年の今、戦場にいるかのような衝撃を体感する塚本晋也監督入魂作~

 
第二次世界大戦末期、フィリピンのレイテ島での日本軍の惨劇を描いた大岡昇平の傑作戦争小説『野火』。59年に市川崑監督により映画化された『野火』が、戦後70年を迎えた今、塚本晋也監督により新たな体感型戦争映画としてよみがえる。
 
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長年同作の映画化構想を練っていた塚本監督が自主映画という形で完成にこぎ着けた、まさに入魂作だ。自ら監督・脚本・編集・撮影・製作を担当するだけでなく、日に日にやせ衰え、飢えと闘いながら原野を彷徨う主人公田村を全身全霊で演じている。また、リリー・フランキー、中村達也といったベテラン勢の中で、豹変していく青年兵、永松を演じる森優作の存在が光る。
 
オーディションで永松役を射止め、本作で本格映画デビューを果たした大阪出身の森優作さんに、塚本監督や塚本組の現場でのエピソード、『野火』撮影を通じて得たこと、同世代に伝えたいことについてお話を伺った。
 

―――森さんが、大阪出身とは知りませんでした。初インタビューをさせていただけて、うれしいです。
がっつり関西ですよ。もともと関西弁は強くないので、たまに地元に帰って友達と飯食べていると「(関東に)カブレてる」といじられます。シネ・ヌーヴォも九条もはじめてです。昔はよくアポロシネマに行っていました。定番の『ターミネーター』シリーズとか、当時は映画イコール洋画というイメージがあり、洋画ばかり観ていました。
 
―――どういう経緯でオーディションを受けたのですか?
22歳のときに古厩(智之)監督のワークショップに参加して映画『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』(13)に出演したのが、映画と関わるきっかけになりました。事務所に所属せず、フリーで次にチャンレジする機会を探していた状態がしばらく続いたときに、ワークショップで知り合った友人が『野火』のオーディションを教えてくれたのです。それまで塚本監督の作品を観たことはありませんでしたが、実は僕と同じ古厩監督の作品で役者として出演されていたことを後から知りました。戦争という題材も興味があり、オーディションを受けることに決めた感じです。
 

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―――オーディションでの塚本監督の印象は?
緊張感をなくしてくれているのか、すごく柔らかいイメージの方でした。でもそのイメージの中に真逆の強い意志を持った目だけがありました。「この目、すげえ」と思って、とにかく監督の目だけを見て帰ろうと、ずっと目を見ていました。
 
―――オーディションを受かったときはどんな気持ちでしたか?
もちろん「やった!」という気持ちはありましたが、それ以上にオーディションの時に(森さん演じる)永松が自分に近いものがあるなとずっと思っていたので、自分が演じたいという気持ちがあり、この役をできるという喜びが大きかったですね。
 
―――永松のどういう部分が、森さんご自身に似ていると感じたのですか?
すごく孤独を抱えた人物ですし、永松の純粋さが逆に危うい部分を持っています。関わる人によっては、どんな道にも振られるし、無知な部分も多い。でも孤独だから誰かに頼りたいという思いがすごくある人物で、僕自身に似ていると思います。
 
―――オーディションに受かってから、クランクインまでに、塚本監督から役作りの準備で言われたことはありますか?
「痩せろ、日焼けしろ」と言われました。元々はすごく白いので、日焼けサロンに行ったりしました。あとは葉っぱをちぎって紙で巻くような昔の煙草の吸い方ですね。塚本監督からはレイテ島の闘いに関する資料が送られてきたので、それを読みましたが、自分から調べたりはしませんでした。まず自分が戦地に行ったらどうなるのかということをずっと頭に置いて、その上で永松の役を演じました。
 

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―――塚本監督をはじめ、共演者がリリー・フランキーさんと少人数の撮影ながら、ベテランぞろいで緊張はしなかったですか?
田村を演じているときはもちろんですが、現場にいてカメラを撮っているときの塚本監督も、日ごろとは全く違う感じでした。やはり、目が凄かったです。
リリー・フランキーさんは、とてもフラットな方ですね。リリーさんと話したことを思い出すと、クスッと笑えることが多いです。前半は埼玉の深谷で撮影したのですが、待ち時間にリリーさんと竹とんぼをしたときに、リリーさんはめちゃくちゃ上手なのに、僕はうまく飛ばせなくて「森君、めっちゃヘタクソだねー」と言われたのがすごく印象にあります。そこから1か月後の沖縄ロケまでに、僕はさらに役作りのため痩せなくてはいけなかったのですが、痩せてくると色々なことに敏感になって、すぐにイライラしたりしていると、リリーさんが「森君、めっちゃ疲れてるねー」と声をかけてくれたり。これも思い出すとクスッときますね。
 
―――塚本監督からはどんな演出をされましたか?
僕を理解した上で演出してくださったのだと思います。「それもいいですね。でも次はこっちをやってみましょうか」といった感じで、いきなりダメと言うのではなく、柔らかく演出してくれました。怒鳴られたりはしませんでした。
 
―――少人数で製作された自主映画ですが、現場では演じる以外にも何か手伝ったりしましたか?
空き時間に死体造詣を一緒に作りました。死体を黒く塗るのですが、スタッフさんに「森君、それ少し薄い」と言われながら、塗っていましたね。皆が試行錯誤で、手が空いている人は分からなくても自分で考えてやる現場でした。前の現場は小規模でしたが、周りに制作会社の方など、映画に関わるスタッフ以外の人も大勢現場にいました。『野火』はそうではありませんでしたが、作っているのは同じ映画ですし、前の現場よりは自分がみんなと一緒に作っているという感覚が強かったです。
 

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―――一番難しかったシーンは?
一番最初、リリー・フランキーさん演じる安田に煙草を売ってこいと言われ、塚本監督演じる田村に「煙草を買ってくれ」と迫るシーンがあるのですが、一番できなかったですね。塚本監督が求めるものと、自分が演じるものとの差が大きかったと思います。
 
―――逆に一番最後の恐ろしい形相のシーンは、順撮りなので魂が入った感じですか?
あのシーンは、特に「こうしてやろう」と考えてはいませんでしたが、田村演じる監督の目とばっちり合ってました。撮影が終わった後、ご飯を食べに行ったときに監督から「今日は疲れたね」と言われたことを覚えています。
 
―――出来上がった作品をご覧になっての感想は?
観るたびに悔しさが増していきますね。より見えてくるところがありますし、演じていたときにどんな気持ちなのか思い出して「もっとできたな」と思うことがすごくあります。
 
―――ベネチア国際映画祭でワールドプレミア上映されましたが、お客様の反応は?
「これは、戦争を描いているけれど、本当のリアルじゃないでしょ?」と海外の方がおっしゃっていたのが、印象的でした。色々な見方があると思いますが、この見方が世界のスタンダードなのかなと。僕も『野火』に出演したから戦争のことを考えるようになりましたが、そうでなければ、そのお客様と同じような印象を持つのではないかと感じました。
 
―――塚本監督に『KOTOKO』のインタビューをさせていただいた時から、『野火』の構想を少し話されていたのを覚えているのですが、ずっと温めてきてようやくという意気込みや、その意気込みをこえるぐらいの想いを現場で感じることはありましたか?
並々ならぬ想いをお持ちなのは重々承知していますが、それを周りに見せることは変にプレッシャーになることを分かっていらっしゃるので、あえてそれを前面に出さずに、周りの人に居心地の悪くならないように接していらっしゃいました。多分、塚本監督ご自身は、すごく疲れたのではないでしょうか。
 

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―――初めての本格的な映画出演が、塚本組での仕事だった森さんですが、仕事をしてみての感想は?
友達にもどうだったのかと聞かれるのですが、僕自身の中では言葉にしたくない、そっと取っておきたいという気持ちがあります。今の自分が言葉で表すのはすごく難しいのですが、絶対にかけがえのないものですし、映画というものへの関わり方や、芸術の一部である映画の本質的な部分を体験させていただいたので、幸せ者以外の何者でもないですね。
 
―――森さんから、同世代の皆さんにメッセージをお願いします。
戦争という題材は結構重たいイメージがあるので、観るのに勇気がいるかもしれません。僕も戦争を知らない世代ですが、この映画に関わらせていただき、戦争が起こったらどうなるかと考えたので、若い世代の皆さんも『野火』を観て、自由に捉えてもらいたいです。そして何でもいいので、観終わって心に残ったものを書き起こしたり、吐き出したりしてもらいたいです。映画のスタッフのほとんどは僕と同世代で、全く知らない戦争を試行錯誤しながら作りました。そういう部分も含めて、観ていただければと思います。
 
(江口由美)
 

<作品情報>
 
『野火』
(2014年 日本 1時間27分)
監督・脚本・編集・撮影・製作:塚本晋也
原作:大岡昇平『野火』新潮文庫
出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作
2015年7月25日(土)よりユーロスペース、今夏シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ、豊岡劇場他全国順次公開。
※第71回ベネチア国際映画祭コンペティション部門入選作
※第15回東京フィルメックス特別招待作品
※第10回大阪アジアン映画祭特別招待作品
公式サイト⇒http://nobi-movie.com/
(c)Shinya Tsukamoto/KAIJYU THEATER
 
第10回大阪アジアン映画祭期間中は、3/8(日)21:10~※終了、3/11(水)21:10~ シネ・ヌーヴォにて上映。
 
第10回大阪アジアン映画祭 公式HP http://www.oaff.jp/2015/ja/index.html
 

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