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『黄金』@第6回京都ヒストリカ国際映画祭

 
       

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作品データ
原題 GOLD
制作年・国 2013年 ドイツ
上映時間 1時間53分
監督 トーマス・アルスラン
出演 ニーナ・ホス、マルコ・マンディク、ラルス・ルドルフ、ウーヴェ・ボーム、ピーター・クルト、ローザ・エンスカート、ヴォルフガング・パックホイザー
公開日、上映劇場 2014年12月6日(土)17:30~京都文化博物館、12月14日(土)18:00~京都みなみ会館

 

~何事にも揺るがぬヒロインに驚愕!黄金を目指すサバイバルロードムービー~

 
「黄金を目指して旅に出る」まさにウエスタンの世界と言いたいところだが、旅をするのは荒々しい男たちではなく、ゴールドラッシュに沸く19世紀末、夢を抱いて全財産を投げ打ってツアーに参加し、一括千金を夢見た市井の人たち。黄金を目指す旅路で彼らを待ち受けるものは?大自然の中、野心を抱いた彼らの行く手を拒むのは外敵なのか、はたまた己の弱さなのか。ツーリスト気分で見ていると、あっという間に足元をすくわれるようなサバイバルなロードムービーだ。カナダ・コロンビア州の大自然の中、次々起こる出来事を冷静に捉え、ブルース調のギターの音色が乾いた大地をなぞるかのように響く。ドイツの名匠、トーマス・アルスラン監督最新作にして、第63回ベルリン国際映画祭 コンペティション部門でワールドプレミア上映された話題作だ。
 
 1989年、カナダ。北部の新たに発見された金鉱、ドーソンへ向かうため、エミリー(ニーナ・ホス)は案内人に大金を渡し、ドイツ人入植者やアメリカからの参加者たちと計7人で6週間、2500キロに渡る旅路を辿りはじめる。何の目印もない荒野を、馬に乗ってひたすら黄金のために北上していくエミリーたちだが、思わぬ盗難騒ぎや原住民との遭遇、悪路で怪我をした馬の脱落と、予想外の出来事が次々に降りかかる。
 
 7人いた旅のメンバーが、様々なトラブルにより次々に脱落していく様子から、黄金に魅せられた人々の人生をかけた旅路がどれだけ過酷なものであったかが浮かび上がる。その一方で、どんな状況でも冷静さを失わず、強い精神力と理性で生き残っていくヒロイン、エミリーの凛とした強さが、淡々と描かれる物語の中で際立つのだ。
 
 なぜ、そこまでエミリーは揺らがず、前だけを見据え続けることができるのか。そして、女一人で果敢にドーソン行きの旅に参加したのは何故なのか。彼女の生きてきた背景や、黄金を目指す動機は一切語られない。そこがミステリアスであり、この物語に何とも言えない余韻を与える。エミリーをはじめ、荒野の過酷な旅で追い詰められていく登場人物たちそれぞれの決断や最期に、彼らの生きてきた人生が集約されていた。
(江口由美)
 
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