「京都」と一致するもの

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~時代劇の聖地・京都で開催する“京都発、歴史映画の祭典”~ 

 
映画祭で「京アニ」追悼…。《第11回京都ヒストリカ国際映画祭》の概要が1日、京都市中京区の京都文化博物館で発表された。歴史にちなんだ京都にふさわしい映画祭、今年は10月26日(土)から11月4日(月・祝)まで。様々なセクションに分かれて全26本を上映する。会場は京都文化博物館

中でも今年は、京都独自のアニメ文化をテーマに先ごろ、凄惨な事件があった京都アニメーション作品『涼宮ハルヒの消失』など4本をはじめ、アニメ草創期の『煙突屋ぺろー』(1930年)など3本。「時代劇文化がTVアニメを変えた」と題して『アンデルセン童話 人魚姫』(75年)など3本を特集上映する。

「京アニ」作品は事件後、同博物館がオファーしたが、事件直後で実現しなかった。「京都アニメーション作品の魅力」と題して『涼宮ハルヒ』のほか、『映画 けいおん!』『たまこラブストーリー』の4作品上映は追悼の意味と、未だに募金が途

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絶えることなく続く海外からの反響も呼びそうだ。

「時代劇文化」~では『白蛇伝』『少年猿飛佐助』『わんわん忠臣蔵』『太陽の王子 ホルスの大冒険』『長靴をはいた猫』などカルト的な名作ぞろい。

historika2019-katuben.jpg①【ヒストリカ・スペシャル】 オープニング上映は周防正行監督の最新作、成田凌主演の『カツベン!』。サイレント時代のメロドラマ『祇園小唄絵日傘 舞の袖』現役の現役の活動弁士を招き、トークショーもある。

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②【ヒストリカ・ワールド】 世界の最新歴史映画で米映画『ダムゼル とらわれのお嬢さん』、フィリピン映画『ミステリー・オブ・ザ・ナイト』、英映画『カーミラー 魔性の客人』、インド映画『トゥンバード』。4作品とも日本初上映。
 
 
 
 

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③【「子連れ狼」まつり】
「劇画から妄想する時代劇」 として大映映画のヒット作「子連れ狼」シリーズを4作品、特集する。

④ヴェネチア国際映画祭提携企画
『薄氷の上のゼン』、『IN THE CVE』。どちらも監督が来場する予定。

⑤京都フィルムメーカーズラボ スクリーニング
仏映画『シャトー・イン・パリ』セドリック・イド監督が来場予定。1983年今村昌平監督作品『楢山節考』デジタルリマスター版。
 
公式サイト⇒ https://historica-kyoto.com/
 
 
 
 
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「自分の思いを言葉で伝える勇気が出る映画になれば」
『WALKING MAN』ANARCHY監督インタビュー
 
 関西出身の人気ラッパーANARCHYが、自身の体験を盛り込みながら、吃音症でうまく話せない青年の成長を描いた初監督作『WALKING MAN』。ラップバトルを交えながら、少しずつ、でも確実に、声をあげたくてもそれができなかった主人公アトムが変わっていく様子を、丁寧に描写。川崎市を舞台に、日常にある差別にも目を向けながら、殺伐とした現代社会に希望の灯をともす感動作だ。不用品回収業のアルバイトで生計を立てる主人公アトムをANARCHYと親交のある野村周平が演じる他、アトムの妹ウランを優希美青が演じ、柏原収史、伊藤ゆみ、冨樫真、星田英利、渡辺真起子、石橋蓮司と多彩な俳優陣が脇を固めている。自分が伝えたいことは何なのか、どうやってそれを伝えるのか。変わらない日常生活の中、時間を見つけて言葉を探し、アルバイトで手にした通行量調査のカウンターでリズムを自分に刻み込むアトムの、少しずつ、でも確実に手ごたえを掴んでいく表情にも注目したい。
 
 
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<物語>
 極貧な母子家庭で育ったアトムは、うまく言葉が喋れないことで、自分の思いや怒りを伝えられず、周りとうまくコミュニケーションが取れない。入院している母の保険料が払えないと、ソーシャルワーカーから「自己責任」と言われ、誰も救いの手を差し伸べてくれない中、彼はラッパーの遺品から、ラップが吹き込まれたウォークマンと、言葉がびっしりと書かれたノートを見つける。一方、兄の真意が読み取れず、学校のお金も払えないウランは、友達の家に行ったきり帰ってこなくなってしまう。
 
10月11日(金)から梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランド、T・ジョイ京都他で全国ロードショーされる本作のANARCHY監督に、作品に込めた思いを伺った。
 

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■言いたいことが溜まり、音楽で伝えたいことがいっぱいあった中学生時代

――――最初に、ANARCHYさんがラッパーになった動機を教えていただけますか。
ANARCHY:父がミュージシャンだったので、音楽の近くにいることができたのは、自分にとっていい環境で育ったと思いますし、どこか音楽をやるだろうなという気持ちはありました。父子家庭でしたし、育った街の環境が必ずしもいいとは言えず、言いたいことが溜まっていて、音楽で伝えたいことがいっぱいあったんです。また、当時見たラッパーがとても格好良かった。Zeebraさん、RHYMESTERさん、KING GIDDRAさん、SHAKKAZOMBIEさんなど、僕は全てのラッパーさんが好きで、ラッパーが一番カッコいい職業だと思う中学生でした。サッカーを始める子が、いつの間にかボールを蹴っているように、僕もいつの間にかラップを始めていましたね。
 
――――映画も昔から観るのがお好きだったそうですね。
ANARCHY:子どもの頃はずっと家で一人だったので、『ホーム・アローン2』が大好きでした。何回も観た作品ですね。「一人でも楽しめるやん」と結構勇気付けられたのです。
 
 

■コンプレックスは、僕が好きなラップやブルースにとって一番重要なこと。

――――初監督作品ですが、ご自身の経験も反映されているのですか?
ANARCHY:逆境やコンプレックス、例えば良いとは言えない家庭環境や貧困もそうですし、この主人公アトムで言えば吃音症で他人とうまく話せないということが全て武器になるのが、ヒップホップという音楽なんです。僕が子どもの頃、母親がいないことで寂しかったり、強がったりしていたことを武器にできたのはラップで、母子家庭のアトムにも同じ部分があると思います。「なんで俺だけ辛い思いをしなければいけないんだ」とアトムは思っていますが、そのコンプレックスはラップやブルースなど、僕が好きな音楽にとっては一番重要なことです。その、一見マイナスに捉えてしまうものを武器にしてほしいという思いをアトムに込めていますね。
 
――――主人公のアトムとその妹ウランという名前は『鉄腕アトム』と同じで、一度聞いたら忘れられないインパクトがありますね。
ANARCHY:これは漫画家の高橋ツトム先生(本作の企画・プロデュース)の案で、名前でイジられてしまうという設定にも生かされています。
 
 
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■上手く喋ることができないアトムが、言いたいことがありあまりすぎて、ようやく口から絞り出た言葉、それ自体がラップ。

――――ヒップホップと映画の融合という点で、特に心がけた点は?
ANARCHY:自分の人生やライフスタイルを何かの形で表現するというのが、僕の中でのヒップホップです。例えばアトムがウォークマンを見つけたり、言いたいことが見つかる。それ自体がヒップホップなので、その部分をきちんと保ったままストーリーをつなげていきました。最初、アトムが可哀想に見えますが、その彼が成長していく様をきちんと描きたいと思って作ったので、ANARCHYが映画を作るということで、例えば銃が出てきたりするようなもっと派手なものを想像される方がいるかもしれませんが(笑)、できるだけ余分なものを省いています。上手く喋ることができないアトムが、言いたいことがありあまりすぎて、ようやく口から絞り出た言葉、それ自体がラップなんです。アトムが喋る一言一言が、歌う前からラップであるという映画にしたかったのです。
 
――――アトムがウォークマンと同時に見つけた、びっしりと書き込みされているノートも、その後のアトムが自分のラップを紡ぎ出す大きな手助けとなります。ANARCHYさんの自筆ですか?
ANARCHY:僕が書きました。(ラッパーの歌詞ノートは)自分でしか読めないような書き込みノートになるんですよ。今は携帯で思いついた歌詞を書く子もいますが、アトムのルーツは三角という中年ラッパーで、アトムは三角のノートを真似し、自分もノートに言葉を書き始めたわけです。言いたいことがない人なんていないですから。僕の若い時も、誰にも読めないような、字の上に字が重なっているようなノートでしたね。
 
――――ラップは基本、自分で書いた言葉とリズム、曲で歌うのでしょうか?
ANARCHY:いわゆる一般的な歌とは違い、ラッパーはどんな奴が、どんなことを経験して、どんなことを歌うかが一番大事なんです。それが大げさだったり、嘘だったりすると、絶対相手に響かない。僕がラップで好きなところはそこで、言葉はすごく大事です。
 

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■アトムの成長を、ラップで、彼の言葉で表現できなければ、ラッパーの僕が作った意味がない。

――――今回、アトムが歌ったラップをANARCHYさんが作ったそうですが、自分が歌うのではない曲を作ることは難しかったですか?
ANARCHY:難しいなとも思いましたが、脚本を書いているときから、アトムの気持ちになって梶原阿貴さん(脚本)や高橋ツトム先生と作ったつもりなので、自然とアトムの気持ちは僕の中に入っていました。あとはアトムになって書くことに専念しました。今まで何もしゃべれなかった分、アトムが人生で体験したこと全てを書きましたし、僕が今まで経験したことも全て込めようと思いました。ラッパーが作った映画でそこをきちんと表現できなければ、僕が作った意味がない。そこを失敗したら、この映画は失敗してしまう。それぐらいの意気込みでしたね。
 
 
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――――アトムを演じたのは、ANARCHYさんがプライベートでも懇意にされているという野村周平さんですが、俳優としての野村さんの魅力は?
ANARCHY:野村さんは俳優としても有名ですし、人気者です。でも普通の、その辺のスケーターと変わらない部分、ピュアに自分の好きなことをして楽しむという感覚が僕たちと一緒で、そういう部分がとても好きですね。今回僕が映画を撮ると話すと、会社の制約など様々なことがある中でも「僕にやらせてください」と言ってくれ、その人間味や男気にも惚れました。撮影に入ってからは、アトムという喋る言葉が少ない役の中で、表情や歩き方ひとつで変わるアトムを自分の中にしっかりと入れて、現場に来て、演じてくれました。そういう彼を見ていると、リスペクトと感謝、あとカッコいいなと思いましたね。
 
――――ANARCHYさんが作ったラップをアトムが歌うクライマックスシーンを撮るために、だいぶん準備をされたのでしょうね。
ANARCHY:実際には1日でライブシーン全てを撮らなければならなかったので、野村さんにも3テイクぐらいしか歌ってもらっていません。クランクインする前に、クラブを借し切って二人で練習しましたが、もともと彼はヒップホップが好きで、やれるポテンシャルは持っていたので、後はステージの上で、お客さん役のエキストラがいる中で、立って歌う。そこはさすがにやりきってくれました。アトムが堂々と歌うことで、それを見守る家族の中に思いが込み上げた。それを見せることができただけで、もう成功だと思っています。
 
 

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■言わなければ伝わらないし、相手の思いも分からない。自分の思いを言葉で伝える勇気が出る映画になれば。

――――なかなか思う言葉を発することができないアトムの葛藤が最後までじっくりと描かれる中、中華料理店でアルバイトする韓国女性が罵声を浴びせられた時、彼女に告げようと絞り出した言葉にアトムの優しさを感じました。
ANARCHY:アトムは優しすぎて言いたいことが言えない。僕の目の前にアトムがいたら、「おまえ、言いたいことがあるなら言えよ。歯がゆい奴だ」と思うかもしれません。でも一番そう思っているのはアトム自身です。「ありがとう」とか「愛している」とか、妹に対する気持ちとか、どれだけ表情で表しても、言わなければ伝わらない。自分の気持ちだけでなく、他人の気持ちも分からないですから、そんな思いが言葉で伝えられたり、伝える勇気が出る映画になればというのが、この映画に込めたメッセージの一番大事なところだと思っています。
 
 
 

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■自分がやると決めたこと、言葉には責任を持つという「自己責任」が一つのメッセージ。

――――映画では何度か「自己責任」という言葉が登場します。家庭環境に関係なく自己責任で済まされ、厳しい状況でも誰も手を差し伸べない現在社会がリアルに描かれていますね。
ANARCHY:映画に出てくるような、自己責任論を振りかざす人たちは、現実社会ではそこまで多くないでしょう。そこは映画的な表現なのですが、「自己責任」について伝えたかったのは、自分がやると決めたことに対して、自分が歌うことや発する言葉に自己責任を持てということ。それが最後に分かればいいと思いました。途中まで映画で言及されている自己責任は、アトムのせいではないことばかりです。それは様々な状況に置き換えられると思うのですが、後半に同僚の山本が「ラップで歌ったり、自分がこれをやると決めたなら、それは自己責任だ」というのは、若者に限らず、全ての人に対するメッセージを込めています。
 
――――現代の若者に向けた応援歌のような映画だと思いますが、ANARCHYさんからみて彼らはどのように映っているのでしょうか。
ANARCHY:若いから何にでもなれるし、何でもできるということに気づいていない人が多いような気がします。ラッパーは今増えて、面白くなってきているのですが、一般的に選択肢が多くなりすぎた分、何になりたいのか迷っているのかもしれません。失敗した時のことを考えるよりも、自分の直感を信じてやってみて、転んでも経験を積み、魅力的な人間になることは誰でもできると思います。そういう勇気が出るきっかけになるような映画になればと思っているので、この映画を観てもらい、お客さんの反応を僕も確かめたいですね。僕自身もこの作品を撮って、音楽に対して、人生に対して初心に帰れたという気がしましたし、これから音楽を作るにしても映画を作るにしても、この作品やアトムが僕に影響を与えてくれると思っています。
(江口由美)
 

 
『WALKING MAN』(2019年 日本 95分)
監督:ANARCHY 
出演:野村周平、優希美青、柏原収史、伊藤ゆみ、冨樫真、星田英利、渡辺真起子、石橋蓮司
2019年10月11日(金)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランド、T・ジョイ京都他全国ロードショー
(C) 2019 映画「WALKING MAN」製作委員会
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9月27日(金)より、シネ・リーブル梅田でドキュメンタリー映画『アートのお値段』が公開されるのを記念し、 9月28日(土)に公開記念トークショーが開催される。ゲストとして登壇するのは、TEZUKAYAYAMA GALLERY ディレクターの松尾良一氏と、802メディアワークス プロデューサーの谷口純弘氏。誰もが抱く、アートとお金の関係に迫るドキュメンタリーとトークで、アート市場の舞台裏を覗けること間違いなしだ。
 
■日程: 9月28日(土) 14:00の回上映後 15:45(上映後)~16:15 
■場所: シネ・リーブル梅田 
 梅田スカイビルタワーイスト3F・4F 
※映画をご覧いただいた方がご参加いただけます。
※9/20(金)より先売り座席指定が可能です。
 
<トークショー登壇者> 
 
松尾良一 (TEZUKAYAYAMA GALLERY ディレクター)
1992年より大阪帝塚山を拠点にウォーホル、ジャスパー・ジョーンズなど国内外の現代美術を紹介するギャラリを運営。2008年より日本の若手アーティストのプライマリーギャラリーとしての運営も行い、2010年に現在の南堀江に移転後も積極的に海外のフェアに出展して日本現代美術を紹介。
 
谷口純弘 (802メディアワークス プロデューサー)
802Mediaworks/digmeout プロデューサー。若手アーティストの発掘プロジェクト「digmeout」プロデューサー。FM802のビジュアルにアーティストを起用し、ソニー、日産、りそな銀行、ナイキなどの企業プロモーション、アートブックの発行、国内・海外での展覧会を手掛けるなど「街」と「アート」と「人」をつなぐ活動を進める。2011年5月アートギャラリー「DMO ARTS」をオープン。2015年よりアートフェア「UNKNNOWN ASIA」を企画・主催。10月26日、27日には5回目となる「UNKNOWN/ASIA」がグランフロント大阪で開催される。
 

<作品情報>
『アートのお値段』 
(原題: THE PRICE OF EVERYTHING)
 
監督:ナサニエル・カーン
出演:ラリー・プーンズ、ジェフ・クーンズ、エイミー・カペラッツォ、ステファン・エドリス、ジェリー・サルツ、シモン・デ・プリ、ジョージ・コンド、ジデカ・アクーニーリ・クロスビー、マリリン・ミンター、ゲルハルト・リヒター他
2018年/アメリカ/98分/英語/DCP/カラー/英語題:THE PRICE OF EVERYTHING/配給:ユーロスペース
 
9月27日(金)~シネ・リーブル梅田、10月5日(土)~京都シネマ、10月19日(土)~元町映画館にて順次公開
 

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(2019年9月15日(日) @大阪ステーションシティシネマ )

ゲスト:小栗旬、蜷川実花監督


ningensikkaku-550.jpg“蜷川実花”マジックで蘇る、才気あふれる太宰治の色男ぶり!

小栗旬だから成立する、女たちを魅了し、そして小説の糧にした作家の生き様

 

生涯で4度の自殺未遂、5度目に愛人と心中して果てた太宰治。映画は21歳の時に起こした2度目の心中事件から始まる。相手の女性だけが亡くなって、自殺ほう助罪に問われている。後に心中未遂事件の顛末を酒席で面白おかしく語っては喝采を浴びる太宰。彼の周辺には常に出版業界人がたむろし、当代きっての売れっ子作家の新作が期待されていた。だが、苦心の小説は売れても当時の文豪たちには認められず、流行作家に甘んじていたのだ。妻の美知子(宮沢りえ)は夫の女性関係は小説を書くためのものと耐え、時に叱咤激励。太宰に憧れて近寄る女たちは、太宰が発する言葉に酔いしれ、究極の恋愛対象として、優柔不断でダメな男に溺れていく。

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ハリウッド進出で大注目の小栗旬は、大幅な減量で陰のあるセクシーさを、持ち前のチャーミングさで才気あふれるモテ男・太宰治を熱演。「“あれほどセクシーでカッコ良かったら、仕方ないよね”と誰しもが納得できる存在でなければ、この映画は成立しない。それが重要なキーだった」と語る蜷川実花監督の期待に、見事に応えている。太宰が発するセリフも、太田静子(沢尻エリカ)の書簡や最後に太宰と心中する山﨑富栄(二階堂ふみ)の日記から抜粋したものだという。「口にするのも勇気が要るようなセリフばかりで、自分が発する言葉によって身動きが取れなくなるようだった」という小栗の感想に対し、「言葉が秀逸だから心に刺さることが多い」と蜷川監督。

 

 


dazai-bu-N-240-2.jpgさらに、太宰に恋する女性たちの恋愛観について蜷川監督は、「昔の人の話だが今の私達にも共通するところがある。実際に人を好きになってしまうとのめり込むあまり盲目的になって、富栄と同じように、結婚もしていないのに夫婦気取りで男の総てを把握し管理しないと気が済まなくなってしまう」と分析。さらに、「富栄の日記を読んで、“自分の気持ちと地続き”と感じて、これは絶対イケる!と思った」。構想7年、本作を撮りあげた監督の思い入れの強さを感じた。


ラブシーンについて蜷川監督は、「小栗君は初めはぎこちなかった。冒頭の海辺のシーンは最後の撮影だったが、もう慣れてきて初対面の女優さんとでもすんなりキスシーンを演じていた」。小栗も、「相手の女優さんが全開で来てくれたので助かった」と振り返り、「回を重ねるごとに普通になっていく小栗君を見るのは面白かった。モニターの前で最初に観る観客としてニコニコ・ウフフしていた」と告白した監督。

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大阪について――今回の来阪はキャンペーンのためゆっくりできないようで、大阪の後名古屋へ移動。大阪には仕事でよく来ているという小栗旬は、「先日も『罪の声』の撮影で2週間ほど滞在し、好きな串カツ屋さんへ行った」という。蜷川監督は「子供連れでユニバーサルスタジオへよく行っている。この秋にも行く予定」。前日の東京での舞台挨拶後、沢尻エリカと二階堂ふみと小栗旬と蜷川監督の4人で食事した際、「このまま大阪行っちゃう?」の監督の誘いに、二人の女優も大いに乗り気だったとか。「でも衣装がない!」の返事に監督は、「ドンキで買ってあげるよ。ナースとか婦人警官の衣装をね(笑)」。小栗も「本当に来たそうだった。もう一押しでしたね」と、大阪の人気が高いことを披露。

 

 


dazai-bu-O-240-5.jpg他に観客からの質問で、結核が悪化する太宰が咳き込むシーンについて、「大変でした。吐血シーンもあり咳しすぎて吐きそうになった」と。また、どうしたら色気が出せるようになるかについては、「まず痩せることが重要かも。シャープな方が色っぽく見られるのでは?」という小栗の返答に、「あと、人生経験も重要だよね」と蜷川監督がフォロー。


発表する作品毎に進化を遂げる蜷川実花監督。今までの日本映画にはない異次元の世界観で圧倒する。本作で真骨頂を発揮した小栗旬の今後のワールドワイドな活躍に期待したい。

 



■監督:蜷川実花
■出演:小栗旬、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ、成田凌、千葉雄大、瀬戸康史、高良健吾、藤原竜也他
■配給:松竹 アスミック・エース (2019年 日本 2時間 <R-15>)
■コピーライト: © 2019 「人間失格」製作委員会  
公式サイト: http://ningenshikkaku-movie.com/

 

2019年9月13日(金)~丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、あべのアポロシネマ、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、OSシネマ神戸ハーバーランドほか全国ロードショー


(河田 真喜子)

 

 
 
 
 
 

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すべての人にエンディング・ドラマが待っている。

 

病院で最後を迎えるか、在宅で終えるか、人それぞれだが、カメラでその様子を捉えたドキュメンタリーがNHK地上波とBSで放送され、好評を博した。


もっぱら阪神や東日本など大震災報道を手がけ「命」をテーマにしてきた下村幸子監督は次に“終末医療”を取り上げた。「NHKスペシャルで放送された素材を映画にしたのはより多くの人に見てもらいたいから」にほかならなかった。「私のライフワーク。映画館で見てもらって、観客に問いかけたい」と語る言葉には説得力があった。


jinseisimau-550.jpg自ら現場に泊まり込んで監督、撮影もこなした「人生をしまう時間(とき)」(NHKエンタープライズ)は、カメラが臨終の場に付き添い、寄り添って見届けた稀有な作品。厳粛な死を身近に捉えながらも、生活の中にある“死ぬということ”を明るく見つめた。こんな映画は見たことない。何千本と映画を見てきた身にはお芝居の死は慣れている。だが、人が目の前(画面の中)で「息絶える実録もの」を見るのは初めての経験。これには驚いた。


jinseisimau-500-3.jpg超高齢化が進む日本、国は終末医療の場を病院から自宅へ移す政策を取った。家族に看取られ、穏やかに亡くなる「自宅死」に関心が高まる。だが“理想の最期”には厳しい現実も立ちはだかる。下村監督の前に現れたのが埼玉県新座市の「堀之内病院」の小堀鷗一郎医師80歳。文豪・森鴎外の孫で東大病院の外科医で手術の名人だったが、たどり着いたのが在宅の終末期医療だった。


jinseisimau-500-5.jpg型破りな小堀医師が一方の主役でもある。ざっくばらんで経験豊富。患者への気配りを忘れず去り際には「また来るからね」と付け加える。そんな小堀医師の特徴を下村監督はひと言で「人間力」という。ズバリ「小堀医師と在宅医療チームに密着した200日の記録」である。患者と家族とともに様々な難問に向き合い、奔走する医師や看護師、ケアマネジャーたちは“一人の人生の終わり”に何が出来るのか。映画はまさに命の現場からの“生中継”でもある。


jinseisimau-500-4.jpg映画は9つのエピソードで綴られる。いずれも身近な問題として「いつか通る道」と背筋が伸びる思いだ。すべてが近しいテーマなのだがとりわけ、70代の夫婦が103歳の母親を介護する(第1章)、78歳の母親が53歳の子を看取る(第2章)は切実。中でも、胸に響いたのは末期の肺がんを患う父親と、見守る全盲の娘のくだり。父親は妻が脳梗塞で倒れた後、娘のことを思って在宅での闘病を希望した。「このまま(病状が)持ち直してくれれば」という娘に小堀医師は「今が持ち直している状態。今みたいな日が1日でも長く続けばけっこう」と釘を刺す。父が死に向かっていることを娘は本当に分かっているのか、と疑問に感じている。


jinseisimau-500-2.jpg医師は父親に「庭になる百目柿を取りに来た」といい、父親は「まだ青いよ。もう少し匂ってから」という。いよいよ臨終の場、娘は父親の息を確かめ、文字通り息絶えるまで「喉仏が動かなくなって」死んだことを娘が確かめる。小堀医師が「死亡時間」を記入して彼の終末医療が終わった。


そこには日本人がいつしか忘れてしまった家族ならではの温かい絆があった。名匠・小津安二郎監督が晩年、繰り返し描いた宝物“日本の家族”は最後の「東京物語」では崩壊の兆しも予感させたが、この臨終の場面に引き継がれたようだった。ラスト、百目柿がいくつもなっているアップの場面は命は終わっても家族の思いは終わらない、という象徴ではないか。
 


2019年 日本 1時間50分
監督・撮影:下村幸子
小堀鷗一郎、堀越洋一
コピーライト:©NHK
公式サイト: https://jinsei-toki.jp/

2019年10月5日(土)~第七藝術劇場、10月12日(土)~京都シネマ、11月9日(土)~元町映画館 他全国順次公開。


(安永 五郎)

 

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(2019年9月9日(月)@梅田ブルク7)

ゲスト:池松壮亮(29)


 

「新しい時代を迎えた今だからこそ贈りたい、

宮本の熱い生き様を。」

池松壮亮、29歳。むき出しの愛に全力投球!

 

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「痛すぎるだろう、そんな愛は…」と思わず引いてしまいそうになる宮本と靖子のラブストーリー。平成に入って間もないバブル崩壊直前の1990年に連載がスタートした新井英樹原作『宮本から君へ』は、昭和の熱血サラリーマンを引きずるキャラクターが、社会に底流する理不尽な試練にもめげず、七転八倒しながら生き抜く姿を圧倒的パワーで描写。昨年TV放送されたドラマで宮本を演じた池松壮亮は、22歳の時にこの原作に出会い、それ以来宮本は歴史上のどの人物よりヒーローとなったという。


ドラマでは“サラリーマン篇”が描かれたが、映画では“宮本と靖子の愛”に焦点が当てられ、その容赦ない描写にただならぬ熱量を感じとることができる。それと同時に、傷付くことを極端に避ける緩みきった現代人に“喝っ!”を入れるような痛快さで圧倒する。共演は蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、佐藤二朗、松山ケンイチ、柄本時生など、宮本を翻弄する面々も豪華版だ。


台風15号で交通がマヒする中来阪した池松壮亮が、先行上映会の舞台挨拶に単独で登壇。本作への想いや撮影秘話など、慎重に言葉を選びながらも正直に語ってくれた。単独ということもあり、映画『宮本から君へ』が持つパワフルな魅力は勿論、池松壮亮の思慮深さと奥深い人間性に魅了される内容の濃い舞台挨拶となった。

以下はその詳細を紹介しています。
 


 

――池松さんにとって思い入れの強い作品の公開を前にした今の心境は?

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他の作品より時間がかかってしまい、ようやくここまで辿り着くことができました。公開されるのが楽しみな反面、ドキドキしています。個人的にも平成最後にこの作品に取り組み、こうして令和元年に公開されて、自分が辿ってきたひとつの20代最後の集大成として、皆様に届けられればいいなと思っています。


――ドラマから映画まで1年間空きましたが、宮本を演じる難しさは?

やることは確定していましたので、精神的には繋がっていました。とはいえ、そう簡単にはできないハードな役ですので、それなりの心構えや覚悟は必要でした。


――ドラマから変わった点は?

映画は2時間勝負で作られており、映画だけでも成立していますので、ドラマを見ておられない人でも大丈夫です。この前段階にドラマ(宮本のサラリーマン篇)があるのですが、あまり関係ないです。


miyamoto-bu-240-4.jpg――自分にとって宮本はヒーローだと仰ってましたが?

僕はこのように真っ直ぐに自我を持って目の前の正しさに向き合わずにきました。社会に順応しようと処世術を身に付けると同時に、自分の心も殺してきたような気がします。でも、宮本は目の前に何があろうとリスクを恐れず、清く正しい美しさを獲りにいける人です。バカでどうしようもない人ではありますが、僕にはできないことをやれる“ヒーロー”として僕は掲げているのです。


――冷静な池松さんですが最近“熱く”なったことは?

今熱いです。「何かを届けたい!」という熱い気持ちでいっぱいです。


――熱量が凄い作品ですが、現場の雰囲気は?

平成最後に取り組んだ仕事だったのですが、私だけでなく監督やプロデューサーや他の老若男女が平成を生きて来た中で、新時代への期待や不安もあり、やり残したことや罪や償い祈りのようなものを全部宮本に託したからだと思います。いろんな人たちが「最後に詰め込め!」という気持ちで作っていますので、新たな時代への大きなプレゼントになればいいなと思っています。


miyamoto-bu-240-1.jpg――青春の縮図、熱い想いは関西にも通じるものがあると思いますが、関西はいつ以来ですか?

年に1回ぐらいは来ていますよ。前回は日帰りであっという間に帰ってしまったので、今回は1泊します。この後友人と食べに行く予定なんですが、「何食べたい?大阪のうまいもんは肉か粉もん」と言われ、その二択しかないの?「肉か粉もん」以外の物を教えて下さい。

(会場から「串カツ」という声があがり)

いいですね~串カツは大好きです!


――蒼井優さんとの共演は?どんな女優さんですか?

ご存知のように凄く力のある女優さんです。とてもストレートな方で、清々しく分かりやすい方で、僕より「宮本」みたいな人です。同じ福岡出身ですが、僕なんかよりよっぽど男らしい!共演者としても仕事しやすく、何度共演しても新鮮に感じられる女優さんです。本作でもその新鮮さが出ていると思います。


――蒼井優さんとの共演は、「頼もしくもあり、救われた」と仰ってましたが、どんなところでしょう?

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宮本と靖子はお互い着火し合いながら相乗効果を生み出しています。時々とんでもない方向へいくような関係ですが、蒼井さんはもの凄くパワーのある人ですので、彼女が投げたボールをそれ以上のパワーで投げ返さなきゃならなくて、共演するのはとても大変です(笑)。でも、結果的には映画のためになっています。お互いプッシュし合ってできたシーンも沢山ありますので、どうかお見逃しなく。


――これからご覧になる皆様へのメッセージを。

2時間、宮本の生き様をたっぷり堪能して頂ければ嬉しいです。自分の生き恥も含め、宮本の力を借りて、新しい時代を迎えた皆様へのプレゼント、もしくはラブレターになれればいいなと思っております。本日はどうもありがとうございました。

串カツを食べて帰ります!(笑)。

 


 

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【STORY】
文具メーカー「マルキタ」で働く営業マン宮本浩(池松壮亮)は、ある喧嘩で負傷して上司に叱られている。愛想良くできない上に気の利いたお世辞も言えず、手柄を同僚に奪われるなど、営業マンとして四苦八苦していたが、なぜかこの日の宮本は晴々しい顔をしていた。それは中野靖子(蒼井優)との愛を不器用ながらも貫けた、初めて感じる男としての自信だった。そこには、語るもせつない宮本の悪戦苦闘の日々があったのだ。


痛々しい程の究極の愛に挑む宮本。「靖子は俺が守る!」と宣言したものの靖子を襲った悲劇に無力な自分を責め、そして絶対敵わない障害に挑戦する!……リスクを恐れず真っ向勝負に挑む宮本の情熱と誠意は、観る者を奮い立たせ、人を愛する覚悟を教えてくれているようだ。

 

(2019年 日本 2時間9分)
■出演: 池松壮亮、蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、柄本時生、 星田英利、古舘寛治、佐藤二朗、ピエール瀧、松山ケンイチ
■原作: 新井英樹『宮本から君へ』(百万年書房/太田出版刊)
■監督:真利子哲也 脚本:真利子哲也/港岳彦
■配給: スターサンズ/KADOKAWA   【R15+】 
■コピーライト:(C)2019「宮本から君へ」製作委員会

■公式サイト: https://miyamotomovie.jp/

2019年9 月 27 日(金) ~梅田ブルク 7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、神戸国際松竹 他 全国ロードショー


(河田 真喜子)

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(2019年9月8日(日)@なんばパークスシネマ)

ゲスト:加藤雅也(56)、中村ゆり(37)、松本利夫(44)、中山こころ(26)、和泉聖治監督(72)、中野英雄プロデューサー(54)



ありったけの愛を込めた刺青がせつない、

悲哀と影のフレンチノアールのような映画

 

9月6日(金)から全国公開されている映画『影に抱かれて眠れ』は、今どき珍しく知的なクールさに魅了される作品である。横浜の街を舞台にヤクザな闇世界を描きつつ、弟分の難儀を助け、惚れた女の最期に光を灯した純愛と粋な生き様の男の物語。ハードボイルド作家・北方謙三原作、講談社創業100周年記念出版作品「抱影」が映画化されたもの。その影の中には、街の兄貴分として慕われる画家の、優しさに裏打ちされた熱くて強い想いが潜んでいる。ハードボイルドというよりフレンチノアールのような悲哀に満ちた余韻が印象的な映画だ。


kagedaka-500-1.jpg9月8日(日)、なんばパークスシネマの舞台挨拶に主演の画家役の加藤雅也に、弟分にEXILEのメンバー・松本利夫と、密かに想いを寄せる女医役の中村ゆり、『相棒』シリーズの代表監督の和泉聖治監督、今回プロデューサー業に徹した俳優の中野英雄、そして急遽指名された「金髪のちんちくりん」役の中山こころが登壇。映画を観終えた観客の前で撮影秘話や作品に込めた想いを語った。
 



台風15号の接近で戦々恐々としている関東方面からやってきたゲストたちは、暑い大阪にやってきて、まずは大勢の観客にお礼のご挨拶。


kagedaka-bu-240-katou-2.jpg――ハードボイルドについて?

加藤:ハードボイルドは日本では作りにくい状況の中、一所懸命に作った作品です。一人でも多くの方に観て頂いて、これからも作り続けたいと思っておりますので、応援の程宜しくお願い致します。

中村:不器用ながら肩を寄せ合って生きているような、ちょっとノスタルジックな雰囲気の素敵な作品です。公開できて本当に嬉しく思っております。

松本:今回ハードボイルド映画ということで、辞書などで調べてみたのですがピンと来ませんでした。でも、加藤雅也さん演じる主人公の生き様を見ていると、抽象的な捉え方なのかな?と思いました。今日は皆さんが観終えた後のトークなので話しやすいと思います。映画の中では僕だけが生き残っていますので、今日も僕だけが生き残って帰ろうかなと思っております。(笑)

中山:すみません、急遽登壇させて頂きました。緊張して何言っていいか分かりませんが、よろしくお願いします。

和泉監督:静かな流れの中で始まる映画なのですが、その中で少しでも熱いものを感じ取って頂けたら嬉しいです。

中野プロデューサー(以降、中野P):若旦那が演じた役は僕がやりたかったんです。でも、監督が“若い方がいい”と仰って若旦那になったんです。

 

――昨日の東京・横浜の舞台挨拶と本日の大阪との熱気の違いは?

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中野P:東京と変わらぬ熱気です。

加藤:(急に関西弁で)僕はバリバリの関西人ですんで…

松本:あれ?昨日と話し方が変わってません?

加藤:いや、いつもこうやで!何言うてんねん、あれは仮の姿や!(笑)

中村:今日は私も関西弁で喋ります。関西での舞台挨拶にはよく友達が来てくれるんですけど、いつも「よう猫被ってんな~」と言われ、結構プレッシャーを感じてます。

松本:昨日はお二人とも標準語でしたよ。

加藤:俺にとっては関西弁が標準語やで(笑)、昨日のは方言や!


――大阪に来られるのは久しぶりですか?

加藤:しょっちゅう来てますよ。TVドラマの撮影や、それと去年から奈良の観光大使になったしね、関西へはよく来てます。最近大阪での舞台挨拶があまりないので、もっと増えたらいいなと思ってます。関西弁で喋るとノリが違うじゃないですか?楽屋の弁当も「551」やったしな!?あれびっくりしたな?

中村:「551」はお土産によく買って帰るので、実はよく食べてるんです。

 

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――皆さん息ぴったりな感じですが、撮影中は?

和泉監督:遠くから見てると子供が喋ってるように楽しそうにしていました。でも、現場に入ると顔が変わっちゃいますけどね。

――兄貴分の加藤さんと弟分の松本さんは今回が初めての共演だそうですが?

加藤:会ってすぐに距離は縮まりました。松本君がよく話しかけてくれるんで。

松本:いえいえ、逆なんです!加藤さんの印象はダンディな人というか、いつも家ではガウンを着てワイン片手に暗い部屋の中でクラシック音楽を聴いているような…。

加藤:そんな奴おらんやろ~、往生しまっせ!(笑)

松本:3人の関係性の中で慕う立場の男としては、裏で親しみのコミュニケーションをどうやってとろうかなと思っていたのですが、逆に気軽に話しかけて下さって、すぐに仲良くして下さいました。結構雅也さんはEXILEの他のメンバーたちとも共演されていますので、その話題から話しかけて下さったんです。

加藤:「MATSUぼっち」(TV番組)見てるよ~!とかね。

松本:ありがとうございます!

 

――撮影中のトーンと違うと思うのですが、切り替えはどのように?

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加藤:人間関係を埋めたら芝居はしやすい。プロの俳優となると腹の探り合いになるのですが、話ができたら後は自然と演技を進められました。

――中村さんは加藤さんとの共演で印象に残ったことは?

中村:加藤さんに抱いていたイメージが崩れてしまって…

加藤:えっ、崩れたん?

中村:いえいえ、いい意味で! だって、こんなローマ彫刻みたいな顔の人はクールなのかなと思ってたら、同じ関西の人ということもあって、失礼かもしれませんが「近所のお兄ちゃん」みたいな感じでした。申し訳ないけど全く緊張せずに演じられました。

――ホテルで二人だけのシーンでは緊張感がありましたが?

中村:あのシーンは、好きな人に触れてもらえず、やっと二人きりになれたというのに気持ちを抑えるシーンでした。

加藤:周りにはいっぱい人おったけどな(笑)、裸にならなあかんし、大変やったな。


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――北方謙三さん原作の映画化でしたが?

和泉監督:北方先生とは同世代なので、昔から尊敬と憧れを抱いていました。実際の先生はとてもダンディな方で、先生の原作本なんですが「映画は映画で好きに撮って」と仰って下さり、とても楽な気分になりました。

――お気に入りのシーンは?

和泉監督:最初台本にはなかったのですが、信治がアルバイト中に信治を捨てたお姉さんを見つけて追いかけるシーンです。あの街にいたらそんなシーンを撮りたくなったんです。そんな事言うと、他の俳優さん達に怒られちゃいますけど(笑)。

 


 

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――仲のいい皆さんですが、キャスティングについては?

中野P:皆さん一流の俳優さんですが、それに音楽畑の人をプラスして、さらに和泉監督が撮るとなるとどうなっていくんだろうと思ったんです。僕的にはドンピシャのキャスティングとなりました。

――音楽畑の人の感性とは?

中野:いい俳優さんて歌手もされている人が多いので、歌う時の感情の作り方が上手いような気がします。若旦那もAK-69も初めての映画出演でしたし、松本さんも演技を勉強されていたんで、とてもいい味を出してくれました。


 

――喫茶店のシーンはアドリブだったとか?

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松本:はい、ほぼほぼアドリブで演じました。カトウシンスケさんとは初対面だったのですが、それがいい意味でやりやすかったです。お互い仕掛けてきてましたね~。

 

――そこに中山さんが「ずっと見てる人」を演じてましたね?

中山:はい、監督に「ガラスに鼻を付けてずっと見てるように」と言われました。あの時、「金髪のちんちくりん」と松本さんに言ってもらえたんです。

松本:中山さんとも初対面でコミュニケーションをとれてない状態で撮影インしたからこそ、正直に思ったことを言えたんだと思います。

中山:余計ひどいじゃないですか!?(笑)



――苦労されたシーンは?

加藤:若旦那との対決シーンです。「これ芝居なんやけど、この人本気で刺してくるんちゃうか?」と怖くなるほどの迫力でした。

和泉監督:あのシーンの撮影は夜中に終わったのですが、僕としては朝まで撮りたかった。

加藤:本番になったらスイッチが入る人もいるので、若旦那はどっちかなと分からなかったんで、特に怖かったです。


――最後に?

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松本:6日から公開になりましたが、これから全国順次公開となりますので、皆様からのお力を頂けたらと思います。

中村:楽しい舞台挨拶になりました。男気のある映画ですが、女性の方にもぜひ観に来てほしいと思っております。

中山:人前で喋るのは初めてなんですが、「漫才」が見られて楽しかったです。ありがとうございました。

加藤:男くさい作品が少なくなってきておりますが、引き続き作っていけるように願っております。皆さん、宣伝の程お願い致します。

中野P:今日は本当にありがとうございました。

和泉監督:ノアールの作品を今後も作っていきたいので、皆さんよろしくお願い致します。

 

映画の中の加藤雅也は、白髪の目立つ老けメイクで喜怒哀楽を最小限に抑えたクールな表情が深い人間性を感じさせていた。だが、大阪の舞台挨拶では漫才のような掛け合いで、劇場全体を笑いで包んでくれた。さすが、関西のノリを熟知した関西人ならではの舞台挨拶となった。和泉聖治監督も、『相棒』シリーズの代表監督として有名だが、映画にTVと制作本数を見ると驚くような数である。そんな大ベテランが丁寧な職人技で手掛けた「ノワール映画」は、男女を問わず誰の心にも響くヒューマンドラマとして楽しめる感動作です。
 



★作品紹介はこちら⇒ http://cineref.com/review/2019/09/post-989.html
 

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(2019年 日本 1時間48分)
■原作:北方謙三(「抱影」講談社文庫刊)
■監督:和泉聖治 脚本:小澤和義 プロデューサー:中野英雄
■出演:加藤雅也、中村ゆり、松本利夫、カトウシンスケ、若旦那、熊切あさ美、余貴美子、火野正平、AK-69 他
■主題歌:クレイジーケンバンド「場末の天使」(ダブルジョイ インターナショナル/ユニバーサル シグマ)
■配給:BS-TBS
■コピーライト:(C)BUGSY

公式サイト: http://kagedaka.jp/index.html

 

 

 

2019年9月6日(金)~なんばパークスシネマ、イオンシネマ大日、T・ジョイ京都、MOVIXあまがさき、他全国ロードショー



(河田 真喜子)

 

 
 
 
 
 
 

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『英雄は嘘がお好き』プレスシート プレゼント!

 

 

 

◆ 提供:松竹

◆プレゼント数:3名様

◆ 締め切り:2019年10月20日(日)

◆公式サイト: http://eiyu-uso.jp/
 

 

 

 


 

嘘の手紙から生まれた偉大なる英雄が、

目の前に本当に現れてしまったら…・・・!? 

 

この度、『アーティスト』のプロデューサーが贈る、豪華絢爛なロマンティック・コメディ、『英雄は嘘がお好き』が、10 月 11 日(金)より大阪ステーションシティシネマにて公開いたします。1809 年のフラン ス、ブルゴーニュを舞台に、『おとなの恋の測り方』に続いてローラン・ティラ ール監督との再タッグを果たしたオスカー俳優ジャン・デュジャルダンと、コメ ディ初挑戦のメラニー・ロラン、二大スターの夢の共演となった本作。

 

eiyuuso-500-1.jpg【STORY】1809 年、フランスのブルゴーニュ。裕福なボーグラン家の長女・エリザベットに は、戦地から還らない婚約者を待つ健気な妹・ポリーヌがいた。気の毒に思ったエ リザベットは差出人を彼と偽り自分で書いた手紙を妹に届け続ける。その婚約者・ ヌヴィル大尉を第一線で大活躍の末に戦死したことにして 3 年が経ったある日。 エリザベットは街で偶然ヌヴィルに遭遇し、大慌て! 家族を騙したことを隠したい 姉、恋人の再登場にときめく妹、伝説の英雄の帰還に沸く街の人々。心中穏やかで ないエリザベットの心配をよそに、ヌヴィルはこの偉大なる「嘘」を利用して一儲 けしようと目論む。偽の英雄が巻き起こす、ロマンスと騒動の結末はいかに…? 

 

監督:ローラン・ティラール『おとなの恋の測り方』『プチ・ニコラ』
出演:ジャン・デュジャルダン『アーティスト』『おとなの恋の測り方』、メラニー・ロラン『イングロリアス・バスターズ』『オーケストラ!』、ノエミ・メル ラン『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』『パリの家族たち』 ほか
配給:松竹 
上映時間:91 分
(c)JD PROD - LES FILMS SUR MESURE - STUDIOCANAL - FRANCE 3 CINEMA - GV PROD 
 

2019年10月11日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、MOVIXあまがさき 他全国ロードショー!!

 


(オフィシャル・リリースより)

 

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『人間失格 太宰治と三人の女たち』

オリジナルクリアファイル プレゼント!

 

 

◆ 提供:松竹&アスミック・エース

◆プレゼント数:5名様

◆ 締め切り:2019年9月30日(月)

◆公式サイト: http://ningenshikkaku-movie.com/
 

 

 


 

「禁断の恋」が世界的ベストセラーを生んだ-ヤバすぎる実話!

今、日本中を騒がせるセンセーショナルなスキャンダルが幕を明ける!

 

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来る9月13日(金)、いよいよ話題作『人間失格 太宰治と三人の女たち』が全国ロードショーとなります。  太宰治の遺作となった「人間失格」は、日本文学史上最高の傑作にして、累計1200万部以上を売り上げ、現在もな お単一書籍として歴代ベストセラーランキングのトップを争う、“世界で最も売れている日本の小説”です。その「人間 失格」という原作小説の映画化ではなく、「人間失格」の誕生秘話を太宰自身と彼を愛した3人の女たちの目線から、 事実をもとにしたフィクションとして初めて映画化するのが、本作 『人間失格 太宰治と3人の女たち』です。 


監督は、世界で活躍する写真家であり、衝撃的な成功を収めた映画『さくらん』 『ヘルタースケルター』に続き、今年 は『Dinerダイナー』も公開しましたトップクリエイター、蜷川実花。主人公・太宰治を演じるのは、ハリウッド版『ゴジラVS コング(邦題未定、原題GODZILLA VS. KONG)』でついに世界進出を果たす、今や日本を代表する俳優、小栗 旬。夫・太宰を献身的に支える正妻・津島美知子役に宮沢りえ、太宰の愛人であり弟子でもある太田静子を沢尻エリ カ、太宰の愛人で最後の女・山崎富栄を二階堂ふみが演じるなど、各世代を代表する超豪華女優陣が一堂に会し、 体当たりの演技を披露しております。



【STORY】 天才トップスター作家、太宰治。彼は、身重の妻・美知子とふたりの子どもがいながら、恋の噂が絶えず、さ らには自殺未遂を繰り返すという破天荒な生活を送っている。弟子でもある作家志望の静子と、未亡人の富栄。ふた りの愛人と正妻をめぐり、日本中を騒がせた“文学史上最大のスキャンダル”が幕を開けようとしていたー。   


監督:蜷川実花         
出演:小栗旬  宮沢りえ 沢尻エリカ 二階堂ふみ       
脚本:早船歌江子  音楽:三宅純  
製作:2019「人間失格」製作委員会     企画:松竹  配給:松竹 アスミック・エース  
© 2019 「人間失格」製作委員会   <R-15>

 

2019年9月13日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、MOVIXあまがさき 他全国ロードショー!!

 


(オフィシャル・リリースより)

 

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来る9月13日(金)、いよいよ話題作『人間失格 太宰治と三人の女たち』が全国ロードショーとなります。太宰治の遺作となった「人間失格」は、日本文学史上最高の傑作にして、累計1200万部以上を売り上げ、現在もなお 単一書籍として歴代ベストセラーランキングのトップを争う、“世界で最も売れている日本の小説”です。その「人間失格」という原作小説の映画化ではなく、「人間失格」の誕生秘話を太宰自身と彼を愛した3人の女たちの目線から、事実をもとにしたフィクションとして初めて映画化するのが、本作『人間失格 太宰治と3人の女たち』です。 


監督は、世界で活躍する写真家であり、衝撃的な成功を収めた映画『さくらん』 『ヘルタースケルター』に続き、今年は『Dinerダイナー』も公開しましたトップクリエイターの 蜷川実花。主人公・太宰治を演じるのは、ハリウッド版『ゴジラVSコング (邦題未定、原題GODZILLA VS.KONG)』でついに世界進出を果たす、今や日本を代表する俳優、小栗旬。夫・太 宰を献身的に支える正妻・津島美知子役に宮沢りえ、太宰の愛人であり弟子でもある太田静子を沢尻エリカ、太宰の愛人で最後の女・山崎富栄を二階堂ふみが演じるなど、各世代を代表する超豪華女優陣が一堂に会し、体当たりの演技を 披露しております。 


ningensikkaku-densha-500-2.jpgその『人間失格 太宰治と三人の女たち』の公開を記念し、Osaka Metro御堂筋線にて、女性専用車両内を全面的に映画のビジュアルやコピーでジャックした、映画公開記念レディースライナーの運行をスタートいたしました。  車内は、主演の小栗旬が演じる太宰治を始め、女優陣たちの美しくも刺激的なビジュアルで埋め尽くされ、また劇中で各登場人物たちから発せられる、挑発的で印象的なセリフなども掲出。また床面には赤い花が敷き詰められたような装飾 がされています。文字通り車内のあらゆるポイントが、映画の持つ美しい映像カットと、時代を打ち抜く言霊の力であふれており、まさに映画の世界と魅力を存分に体感できるジャック車両となっております。  本ジャック車両はOsaka Metro御堂筋線にて、9月29日(日)まで3編成(3車両)にて運行しております。 
 


★映画『人間失格 太宰治と三人の女たち』公開記念  御堂筋レディースライナー                             

【運行期間】 9月2日(月)~9月29日(日)

【運行車両】 Osaka Metro御堂筋線 女性専用車両(3編成/3車両) 


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【STORY】
天才トップスター作家、太宰治。彼は、身重の妻・美知子とふたりの子どもがいながら、恋の噂が絶えず、さらには自殺未遂 を繰り返すという破天荒な生活を送っている。弟子でもある作家志望の静子と、未亡人の富栄。ふたりの愛人と正妻をめぐり、日本中 を騒がせた“文学史上最大のスキャンダル”が幕を開けようとしていたー。 

監督:蜷川実花         
出演:小栗旬  宮沢りえ 沢尻エリカ 二階堂ふみ       
脚本:早船歌江子  音楽:三宅純   
製作:2019「人間失格」製作委員会     
企画:松竹  配給:松竹 アスミック・エース   
© 2019 「人間失格」製作委員会   <R-15> 

2019年9月13日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、 他 全国ロードショー 


(オフィシャル・リリースより)
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