「京都」と一致するもの

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母からどんなに辛い仕打ちを受けても、母との絆を取り戻すべく、勇気を出して向き合った青年の実話を元にした映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』が、11 月16日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹他全国ロードショーされる。
 
歌川たいじが自身の過去を振り返り、壮絶な母子関係を綴ったコミックエッセイを、『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』の御法川修監督が映画化。社会人になったタイジを演じる太賀と、母を演じる吉田羊の確執を超えて向き合うようになるまでの日々に加え、タイジを支えた友人たちや、幼い頃タイジが慕っていた婆ちゃんと過ごした日々も描かれ、辛い描写だけでなく、愛や友情にも満ちた物語になっている。幼い頃、母や周りから植え付けられたトラウマを乗り越え、心の闇を抱えた母と向き合う主人公タイジを演じた本作の主演、太賀さんにお話を伺った。
 

 
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――――最初脚本や原作を読んだ時の感想は?
太賀:脚本だけ読むと悲しいことの連続なのですが、マンガの原作は歌川さんの描く絵のタッチが柔らかく、とても可愛らしい。コミカルで、優しさや温かさがある物語でした。ただ悲しいだけではなく、それを乗り越える力や、人と人とが寄り添っていくことの方がより濃く描き出されていたのです。様々な困難を乗り越えた歌川さんの実人生を演じるのに、生半可なことはできないと思っていたので、これなら演じる上での糸口があるなと感じました。
 
 

■歌川さんに直接聞かず、自分なりに想像し、考えて望んだタイジ役

――――幼いころ親に虐待を受けたタイジを演じるにあたり、どんな役作りをしたのですか?
太賀:見た目のアプローチより、精神面のアプローチ、つまり歌川さんがその時どう感じていたのかを自分なりに掘り下げていく作業でした。歌川さんは撮影現場に、映画でも登場する手作りの混ぜご飯をスタッフ分差し入れして下さったり、撮影がしんどくなった時は手作りのお菓子を差し入れたり、声をかけたりして支えてくれていました。歌川さんに「この時どう思っていたんですか?」と聞く機会はいっぱいあったのです。でも、あえて聞かなかった。歌川さんの話を聞いて、その時の気持ちを知った気にはなりたくなかったし、このシーンのタイジはどんなことを考えていたのかを自分なりに想像し、考えていかなければ、歌川たいじが経験してきたことを僕が体感できないと思っていました。想像力との勝負で、そんな僕を歌川さんは見守ってくれました。ただ、佇まいを取り入れられたらいいなと思って歌川さんの様子はめちゃくちゃ観察していましたし、「今日寒いですね」というたわいもない会話もたくさんして、コミュニケーションはすごくとっていましたね。
 
 
 
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■役作りは、「お互いが影響し合う中で生まれるいびつさ」が理想形

――――タイジ役は、ご自身の想像力との勝負だったということですが、他の作品でも太賀さんが演じるキャラクターは、とても自然に見え、かつすごく説得力があります。日頃、演じる上で心がけていることはありますか?
太賀:撮影に臨む前は、こういうキャラクターで、こういう思いを持っていて、こういう目的でこの場所にいるという根底にある部分を自分の中に作って行きます。現場に入ると、目の前にいる役者さんとのやりとりや、監督の演出が加わり、自分が元々描いていた輪を色々な所から引っ張ってもらい、いびつな形になる。それが役としての自然な形なのかなと思っています。お互いが影響し合う中で生まれるいびつさが、僕の理想の形ですね。
 
 
 
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■木野さん演じる婆ちゃんは「僕が思い描いたものより、はるかに温かく、優しかった」

――――木野花さん演じる婆ちゃんは、小さい頃からタイジの実のお婆ちゃんのような存在でタイジの心の拠り所でした。長い別れを経て、余命少ない婆ちゃんと再会するシーンは映画の最初のクライマックスでもありますが、撮影のエピソードを教えてください。

太賀:タイジの幼少期を演じた小山春朋君と木野さん演じる婆ちゃんのシーンは多いのですが、青年になったタイジ役の僕と婆ちゃんとのシーンは1日で撮影し、まさにその日が本作で木野さんとの初顔合わせで、どんな感じになるのか想像がつかなかったのです。本当に外せないシーンで、どうにかしなくてはという気持ちで現場に臨んだのですが、木野さんは本当に素晴らしかったです。本番までに言葉を交わすことはほとんどなかったのですが、いざ本番が始まると、僕が家で脚本を読みながら描いていた婆ちゃんの芝居よりもはるかに温かく、はるかに優しい婆ちゃんがそこにいました。僕一人で考えて、現場に持ち寄ったものが、いい意味で変化していく。木野さんにはすごくいい方向に引っ張っていただき、一緒に演じている瞬間、僕をすっと「タイジ」にしてくれました。

 
――――婆ちゃんとの再会以降も様々な転機がタイジに訪れますが、作品を通して、タイジの気持ちの変化をどのように表現したのですか?
太賀:物語の中で、何度かタイジの節目になるようなところがあります。例えば友達4人の海辺のシーンで「こんなに嬉しかったことはなかったかも」というセリフがあるのですが、自分自身の感動を更新する瞬間の表情は、意識的に自分なりの表現を目指しました。
 
 
 
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■底抜けの明るさと真面目で繊細という二面性のあるキミツ役の森崎ウィンは「バチはまり」

――――正反対のように見えて、お互いの本性を瞬時に見抜き、あっという間に親友となるキミツ役の森崎ウィンさんとのコンビが楽しく、また、タイジを支える重要な役でしたが、共演した印象は?
太賀:森崎ウィン君とは同じ事務所で、以前ミュージカルで共演したことはあったのですが、映画では初共演です。僕は役者畑で、彼は同じ役者向けのレッスンを受けていたのですが、途中からダンスボーカルユニットPrizmaXに加入し、アーティスト活動を頑張り、最近は再び役者の方でも頑張っています。10年以上お互いに違う道で切磋琢磨をしてきた訳で、このタイミングで共演できるのはすごく嬉しかったですね。キミツという難しい役を誰がやるのかと思っていたら、ウィン君に決まったと聞き、彼なら絶対にできると思いました。彼の持っている底抜けの明るさと、根は本当に真面目で繊細な所であったり、人のことをよく観察している。そういう二面性がキミツにはあるので、バチはまりだなと。
 
――――太賀さんも森崎ウィンさんも、今回難しい役を演じていますが、お互いに相談をしあうことはあったのですか?
太賀:今回ダンスシーンがあるのですが、僕はダンスが苦手なので、ウィン君が手取り足取りして振り付けを教えてくれました。撮影の合間のダンス練習も付き合ってくれましたし、とても感謝していますね。
 
 
 
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■母役、吉田羊とのシーンは「とてもいい緊張感」。最終的には様々な起伏を経て溶け合うイメージに。

――――大人になったタイジは、体罰を加えた母の心の闇を知り、追い詰められていた母と向き合い、彼女を救います。それに到るまでの壮絶な母と息子の物語を演じた吉田羊さんとの撮影について教えてください。
太賀:母から拒絶されている役なので、現場では僕の気持ち的に、どのようにコミュニケーションを取ったらいいのか分からない。現場を離れても羊さんのことばかり考えているのですが、いざお会いすると、何を話したらいいか分からないのです。おそらく羊さんもそのような母役なので、必要以上にコミュニケーションを取ろうとされなかったです。いざ本番が始まると壮絶なバトルが始まる訳ですが、演じる上ではとてもいい緊張感で、とても濃密な時間でした。罵声や虐待が重なっていく中で、「どうして分かってくれないんだ。もっと自分のことを分かってほしい」という思いが膨らんできましたし、そういうテンションを維持しながら、ラストの土手のシーンに持っていけたらいいなという気持ちで演じていきました。そして、ラストでは溶け合いたいという気持ちがありました。今まで張り詰めていたものが、色々な起伏を経て、最終的には溶け合っていく。そんなイメージでした。
 

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――――最後に、かなりいびつではあっても「息子から母への全力のラブレター」のような母と息子の物語に主演しての感想や、これからご覧になる方へのメッセージをお願いします。

太賀:誰かを救うとまでは言えなくても、タイジが母と向き合う姿はとても勇気をもらえるのではないかと思います。悲しみを乗り越える勇気のある物語ですし、観終わった後に、お母さんのことを思ってもらいたい。誰しもが愛される権利を持っています。この作品をぜひ劇場で見て、何かを感じ、持ち帰ってもらえると嬉しいですね。

(江口由美)
 

<作品情報>
『母さんがどんなに僕を嫌いでも』(2018年 日本 104分) 
監督:御法川修
原作:歌川たいじ「母さんがどんなに僕を嫌いでも」KADOKAWA刊
出演:太賀、吉田羊、森崎ウィン、白石隼也、秋月三佳、小山春朋、斉藤陽一郎、おかやまはじめ、木野花他
2018年11 月16日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹他全国ロードショー
公式サイト⇒http://hahaboku-movie.jp/
(C) 2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会
 
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250年間平和な世が続いた後、開国を前に揺れる幕末期を舞台に、池松壮亮、蒼井優を迎えて描く塚本晋也監督初のオリジナル時代劇『斬、』が、11月24日(土)よりユーロスペース、12月1日(土)よりシネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマほか全国順次公開される。
 
農家の手伝いをしながら、日々剣の稽古を怠らない実直な浪人、杢之進(池松壮亮)が、通りすがりの剣の達人、澤村(塚本晋也)と出会い、武士の本分を果たす決意を固めるところから始まる物語は、人が超えてはいけない一線を超えてしまう瞬間を捉えた物語でもある。池松壮亮がどんどん精神的に追い詰められていき、ある決断に及ぶ杢之進を全身全霊で演じ、今年の主演男優賞と呼んでも過言ではない凄みのある演技を見せている。杢之進に想いを寄せるゆうを演じる蒼井優の存在感も見逃せない。舞台は幕末だが『野火』に通じる、とても普遍的なテーマが根底にある作品だ。
20年間温めていたアイデアを一気に映画化したという塚本晋也監督に、お話を伺った。
 

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■ベテランなのに新人のような初々しさを保ち続けている池松さんの出演決定で動き出した『斬、』。

――――20年間「一本の刀を過剰に見つめる若い浪人」というアイデアが頭にあったそうですが、いよいよ映画化すると決めた時に、主演の杢之進は最初から池松さんを想定していたのですか?
塚本:『野火』の後に何を撮ろうかと考え、この時代劇を撮ろうと決めた時から、池松さんに杢之進を演じてほしいと思っていました。ここ数年の池松さんの作品を何本か拝見し、とても自然な感じの演技をなさるので、素晴らしい新人さんが現れたのかと思っていたのです。初々しいアンテナの塊のような感じがする池松さんを見て、初々しい今の池松さんに僕の時代劇へぜひ出てほしいと思ったところ、実は子役時代から活躍しているベテランであることを後になって思い出しました。ベテランなのにこなれず、こんなに新人のような初々しさを保ち続けていらっしゃる。それは池松さんの素養であり、実力で、なおさら出演してほしいと思ったのです。
 
――――今回は忙しいスケジュールを空けて、オファーを快諾されたそうですね。
塚本:オファーをする前に、池松さんの方からマネージャーさんを通して僕の作品に興味があると連絡を下さいました。まだ内容も定まっていない時でしたが、それなら時代劇をやるしかない!と、思いました。最初お会いしたのが春で、物語は夏を想定していたので、あまりにも時間がなさすぎるし、夏は池松さんのスケジュールも詰まっていたのでいったんは諦めました。でもその後、夏のスケジュールが空いたと池松さんサイドからご連絡を頂いて、さらに時間はなくなっていましたが、このタイミングを逃したらずっと先になってしまうと思い、すごい勢いで準備、撮影を駆け抜けました。夏恒例の『野火』全国行脚がすでに決まっていたので、さらに過酷な日々になりました。
 
 

■過去を通して描くことで今や、これから起こりうることを考える。

――――時代劇の時代設定を幕末にした理由は?
塚本:以前から幕末ものは興味がありましたが、今回は時代考証の先生に今自分がやりたいことを伝えたところ、幕末がちょうどいいと。250年平和に過ごし、ペリーの黒船来航の後、開国か否かを巡り、だんだん国内が血生臭くなっていきます。時代の変わり目で、次の時代には大戦争に突入していく訳ですが、その時代と今の時代は似ています。70年以上戦争がなかったものの、だんだんと戦争ができる状態になってきていますし、そのまま次の時代に行くと恐ろしいことになってしまう。過去を通して描くことで、今に照り返して感じることができるのではないかという狙いを込めました。
 
――――農家の手伝いや用心棒、市助の稽古をする等、杢之進の本当に質素な武士の暮らしが描かれているのが新鮮でした。
塚本:いざという時には戦に臨む準備は出来ているつもりなのですが、本当に戦が起きたらどうなるのか。それこそ、今の若い人たちが戦争に行ったらどうなるだろうという気持ちで杢之進を設定しています。
 
 

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■身体能力と演技が一体となった池松さん。相当な集中力なのにさりげないのが素晴らしい。

――――杢之進を演じる池松さんの殺陣の動きが見事でしたが、本格的な殺陣は初経験だそうですね。
塚本:池松さんは、身体能力と演技は一体であると信じて演技をしていらっしゃり、僕はそういう俳優さんが大好きです。顔だけではなく、全身から出るオーラが演技だと思っているので強く共感しました。殺陣は本格的にはこの映画で初めてやったそうですが、すごく覚えが早い。殺陣のシーンも挑み方がすごくて、下に石がある場所でも勢いよく転がるのです。僕が心配になって「大丈夫ですか?」と声をかけると、「大丈夫です!」とケロッというのですが、後で腕を見ると傷の上にまた新しい傷があって、大丈夫の基準が僕と違う!と驚きました。洞窟の中の壊れた小屋に飛び込んでいくシーンも、池松さんが「目だけカバーすれば大丈夫ですから!」と言ってどんどん前に進んでくださったんです。相当な集中力で演じて下さったと思います。それでも現場をピリピリさせることはなくて、さりげない。それが本当に素晴らしかったですね。

 

■もう一つの主役、刀に人と暴力との関係や、道具との関係を収束させる。

――――映画は刀ができるところから始まり、刀の音で終わります。刀が重要な役割を果たす作品ですが、どんな思いを込めているのでしょうか? 
塚本:もう一つの主役は刀です。刀が生まれてからどのような変遷を経て、どう使われるのかという話です。人が最初に出会うシンプルな道具は、鉄の塊です。農耕など食を得るために使われますが、叩いて動物を殺したりと、暴力の道具としても使われるようになります。『野火』では鉄が恐ろしい戦車になったり、数々の武器になりましたが、戦争の時代から時を遡り、この映画では刀一本に凝縮させました。人と暴力との関係や、道具との関係をぎゅっと収束させ、シンプルにそのことを見つめられないか。そういうテーマで作っています。
 
――――塚本監督は、杢之進の運命を変える澤村を演じています。杢之進を実戦で通用する刀の達人に育てようとする師匠的役割を果たし、物語の鍵を握っていますね。
塚本:当時では有能な剣の使い手でもあるし、映画を見ている人も拍手喝采を送っているうちに、いつの間にか目の前に刀を向けられる。そういう印象の映画になればいいなと思っています。
 
――――杢之進の人生を変えてしまうぐらい、とことん追い詰める凄みがありました。
塚本:だいたい僕の役は、主人公をストーカーのように追い詰める役なので・・・。杢之進は外交的な手腕があり、村にやってきた無頼漢の浪人たちと対話を試みるのですが、僕の演じる澤村が時代の波とともに杢之進を追い立てていきます。とてもシンプルな映画ですが、自分の言いたいところがすっきり入っています。
 
 
 
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■ゆうは、一般民衆の代表的役割をも内包した役。

――――蒼井優さんが演じる杢之進に想いを寄せるゆうも、杢之進同様、運命が変わってしまう複雑な役を演じていますが、物語でどんな役割を担わせたのですか?
塚本:ゆうには、一般民衆の代表的役割も込めています。弟や好きな人が戦争に行きそうになればその身を案じるのですが、怖い人が村を圧迫していると感じると、シンプルにやっつけてほしいと思う。それを自分の見えない所で退治をしてくれると、「やった!」と喜ぶ訳です。太平洋戦争の時にフィリピンで負けていても、新聞で「勝った」と書かれていると一般の人たちが喜んだのと同じです。実際には血みどろの戦いなのに、それを目の当たりにしない限りは、そういう想像力が働かない。蒼井さんはそういう役を典型的にせず、さまざまな女性の顔で自然と実感がわくよう魅力的に演じてくださいました。蒼井さんには最初に、『野火』という戦争映画に時間を遡って繋がる映画であることをお伝えしました。 
 
――――だんだん血生臭くなっていく物語の中で、杢之進とゆうのミニマムな描写ながらエロチシズムを感じるシーンが印象的でした。
塚本:理屈で考えていたわけではないですが、暴力的なことをするかしないかというジレンマと、エロチシズムは繋がるのではないかと思っていました。実はエロチシズムのない脚本もあり、それも面白かったのですが、いざやろうとすると面白いと思えなかった。やはり本能的な情動が映画にないと面白くないと気づき、エロチシズムのある方を取ったんです。
 
 
 
 
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■様々なシーンを積み重ねた先の最後、どちらを選ぶのかは池松さんにお任せした。

――――終盤は森の中でアクションを交えての撮影でしたが、現場の様子は?
塚本:とにかく時間がなくて、猪突猛進の現場でした。池松さんとはまるでセッションをしているかのように、その瞬間、瞬間でアンテナを立てまくりました。相手がどう出るから、こちらがこう返すという具合に、瞬間的なことを刈り取って行く感じでした。池松さんが様々なシーンを積み重ねた先の最後にどちらを選ぶのかは、その時にならなければ分からない状況でした。最初に一度は通しで基本的なことをやったのですが、後は現場でのお楽しみという感じで池松さんにお任せしました。僕は自分が演じるとき脚本で“泣く”と書かれていると、「泣くかどうかは分かりませんよ」と言いたくなるんです。“感情が高まる”というのなら分かるのですが、物理的なことは自分の脚本に書きたくないと思っていますし、感情の流れの中で自然に演じてくださいと言っています。
 
――――そういう撮影は、塚本組ならではでしょうか?
塚本:いや、僕の映画は割と細かくネチネチとやる方で、いつも撮影期間がとても長いんです。昔は1年間撮っていましたし、30代は4ヶ月、それ以降はスタッフが育ったので2ヶ月ですが、それより短くなることはなかった。3週間は今までにないですが、今回は主役があの二人なので2週間でもいいと思った。照明でお待たせするよりは、テーマをはっきり決めて、照明ではなく二人の温度を撮るんだ!二人さえいれば、昼は自然光、夜はロウソクの灯りで映っていなくても息の揺らぎが入ればと。そう言いながら、実際は照明待ちをさせてしまったこともあったのですが(笑)。
 
――――『野火』も自然の中でしたが、今回も見事な農村地帯で自然に囲まれたロケーションです。
塚本:山形県の庄内で全て撮りました。『野火』以降は、こんなに綺麗な自然の中で人は何をしているのかという気持ちを込めているかもしれません。普遍性と言いますか、その時のしがらみがなければ、自然の中に人と人がいるだけです。映画でも皆が仲良く遊ぶシーンがありますが、しがらみが入ってくると同じ森の中で人と人とが戦わなければいけない。はっと我に帰れば、ただの人と人なのに。
 
 

■石川さんの未公開音源も採用し、対話しながら作り上げた音楽。

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――――今まで塚本監督の作品の音楽を手がけられ、本作にも携わる予定だった故石川忠さんのエピソードをお聞かせいただけますか?
塚本:この映画をやろうと勢い込んでいる時に石川さんと会う機会があり、音楽担当を快諾いただいたのですが、撮影が終わった頃に具合が悪くなられ、編集中に再度「やります」と言っていただいていたものの、12月に亡くなってしまわれました。いつも編集を見た後で打ち合わせをするので、今回は残念ながら編集途中だったので映像を見ていただくことはできなかったんです。ただ石川さん以外の人に頼む気にはどうしてもなれず、石川さんとの長いお付き合いを振り返るつもりで、今まで僕の映画につけていただいた音楽を全部聞いて、それを映画につけました。最初はCDの曲でと考えていたのですが、それでは足りなくて。さらに映画に使ったものでCD化されていないものも探しましたし、それでも足りなかったので、石川さんの奧さんにお願いし、石川さんの自宅にあり、まだ世に出ていない音源を聞かせてもらい、ようやく形になりました。 
 
――――今回の音楽は石川さんの集大成になりましたね。
塚本:生きている石川さんの意思は入っていませんが、石川さんがこうするとどういう返事をするかは、石川さんの声の調子まで僕の中に入っているので、ごく普通に「どうっすかね〜」「いいんじゃなすか〜」みたいな感じで貼っていきました。
ヴェネチア映画祭の公式上映の前に、1400人ぐらいが入るシアターでプレス上映があり、エンディングの前に様子を見に行ったのですが、驚くほど賑わっていて、エンドロールで石川さんの名前が出ると拍手喝采が起こっていたので、そこは感動してしまいました。
 
 

■みんなが戦争は正しいと動いてしまうと、抗うのは難しい。その前に何とかしておかなければ、もはや頑張る美談すら作れない。

――――人間が追い詰められるとどうなるか。『野火』に通じる普遍的なテーマです。
塚本:みんなが戦争は正しいと動いてしまうと、それに抗うのは難しい。その前になんとかしておかなければいけないと思います。映画の中でしたらそこで若い人ががんばって違う道を達成する姿を描きますが、みんなが同じ方向に向いてしまうとー。そういう時代に少しでも近づかないようにするのは大人の責任と思います。日本で優しいお父さんだった人が戦争に行き、上官に捕虜を銃剣で突き刺せと命令され、いやだけど断ると自分が上官に殺されるので捕虜を突き刺したところ、ドンと腹が据わり充足感を味わったそうです。そこからは上官に求められる人に変わってしまった。つまりそういう状況を作り出すというのが、大人が一番やってはいけないことです。その中で「僕は殺さなかった」という美談を作り出すことなんて、もはやできません。
 
 
 
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■塚本組に初参加の池松さんと蒼井さんは、夜、星を見ながら「幸せだ」

――――ヴェネチアにもご一緒された池松さんと蒼井さんは初めての塚本組での撮影にどんな感想を持たれていたのでしょうか?
塚本:結構喜んで下さったみたいなので安心しました。今回はプロに入ってもらいましたが、たいへんにミニマムな現場ですし、お二人は大作でも活躍されているので申し訳ないと思っていたのですが、かえって現場の純粋性を喜んで下さり、手を貸してくださいました。蒼井さんの周りの草を濡れた状態にしたかった時、蒼井さんがジョウロで水を撒いて下さったこともありました。通常、俳優さんは段取りが整うまで別の場所で待っているのですが、最初から近くにいてすぐ参加できるように様子を見てくれていました。
 
――――お二人も今までにない撮影で、充実感を覚えていらっしゃったんでしょうね。
塚本:庄内は夜、星がとてもたくさん出るのですが、二人で夜撮影が終わって星を見ながら「幸せだ」と言っていたんですと蒼井さんが教えてくれました。本当に少人数で、何かの軋轢もなく、ただシンプルに映画を作ることに邁進していたのが良かったのだと思います。
 
――――『野火』の時は、若い方に見てもらいたいとおっしゃっていましたが、この作品はどんな方に見ていただきたいですか?
塚本:時代劇なので色々な層の方に見ていただきたいですが、映画のテーマ的にはやはり若い人に見て、感じていただきたいですね。ただ面白かったというのではない、居心地の悪さを含めて、いろいろ考えてもらいたい。カタルシスの得られなさや、取り残された感じを、ぜひ味わってほしいです。
(江口由美)
 

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<作品情報>
『斬、』(2018年 日本 80分) 
監督・脚本・撮影・編集・製作:塚本晋也 
出演:池松壮亮、蒼井優、中村達也、前田隆成、塚本晋也他
2018年11月24日(土)~ユーロスペース、12月1日(土)〜シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマほか全国順次公開
※第75回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品
公式サイト⇒ http://zan-movie.com/
(C) SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

 

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《第10回京都ヒストリカ国際映画祭》スペシャルトーク
中村扇雀、“美しさは武器!”『恋や恋なすな恋』

(2018年10月27日(土)京都歴史博物館にて)
ゲスト:中村扇雀 聞き手:飯星景子  (敬称略)



histrica-恋や恋なすな恋-500.jpg今年9月のベネチア国際映画祭でプレミア上映され世界を驚かせた『恋や恋なすな恋』(1962)4Kデジタルリマスター版が、《第10回京都ヒストリカ国際映画祭》のオープニングを飾った。内田吐夢監督が歌舞伎の様式美と芝居を融合させ、さらにアニメーションや義太夫や清元など当時の名人たちを贅沢に配した極彩色豊かでファンタジックな平安絵巻。


ご存知、陰陽師・安倍晴明の伝説を物語った、陰陽師と狐の異類婚姻譚の浄瑠璃『葛の葉』と清元『保名』を基に依田義賢が脚本化。56年経った今でも、その優美さと斬新な映像美に圧倒され、また名場面「子別れ」のシーンでは、白狐の哀切極まりない姿に涙なくしては見られない名場面となっている。

『恋や恋なすな恋』
 

主演の安倍保名を演じるのは「銭形平次」で有名な大川橋蔵。六代目菊五郎の養子でもある大川橋蔵は、歌舞伎の舞台に立ちつつ映画界でも大活躍。生真面目ゆえに正気を失う保名の悲哀を全身全霊で表現し、清元『保名』の踊りもさすがである。そして、榊・葛の葉・白狐のおこんの三役を見事に演じきったのは、山田五十鈴の娘である瑳峨三智子。気品ある姫・榊、可憐で優しい葛の葉、そして葛の葉に化けた白狐役では妖艶さと母性愛あふれる演技で他を圧倒。
 



「恋しくば 尋ね来て見よ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉」

中村扇雀、歌舞伎と映画の深い結びつきを語る

 

上映後のスペシャルトークに中村扇雀さんが登壇。10月27日は京都南座新開場記念のお練りが祇園界隈で開催され、扇雀さんも参加されていましたが、終了後当映画祭に駆けつけて下さいました。


histrica-恋や恋なすな恋-tolk-240-1.jpg映画を観た感想は?
「大川橋蔵さんの舞台をそのまま映像にするとは歌舞伎をよく理解してないと撮れないと思います。内田吐夢監督ならではの演出ですね。タイトルも清元の謡(うたい)から付けられたということで、とても驚きました。」


歌舞伎の女形について?
「独特な雰囲気の歌舞伎の女形を女優が演じることに興味津々でした。逆に歌舞伎の良さを気付かせてくれたように思います。」


大川橋蔵さんの『保名』について?
「私も早く『保名』を演じたいです。その時には七代目中村芝翫さんとこの映画の大川橋蔵さんをお手本にしたいと思います。阿倍保名の狂乱後の舞は、せつなさと色気が必要ですが、元々歌舞伎役者の橋蔵さん(六代目菊五郎の養子)だからできた役ですね。橋蔵さんは映画に出られるようになってからも舞台に立っておられ、歌舞伎と縁を切りたくなかったのでしょうねえ。大川橋蔵さんご自身が、演技力を発揮できる作品をと望んでおられたようです。」


histrica-恋や恋なすな恋-tolk-240-3.jpg歌舞伎役者と映画俳優について?
「大正10年前後だと思いますが、二代目鴈治郎の青年歌舞伎では、初代鴈治郎の弟子たちの中に、市川歌右衛門さんや嵐寛十郎さんや長谷川一夫さんがおられまして、皆さん腰元として鴈治郎の後ろに座っていたそうです。錚々たる名優が腰元の格好で並んでおられたのですから、今思うと信じられない舞台ですよね。

関西では、父親の舞台を観て習おうとすると、「真似ばかりせんと、自分で工夫しろ!」とよく怒られます。江戸歌舞伎では、父の芸風に似てくると皆さんに褒められるのですが…。『藤十郎の恋』の長谷川一夫さんの舞台を観て、鳥肌が立ちました。衣装をお借りして、真似しました。


内田吐夢監督は歌舞伎ベースの映画を4本撮っておられ、アニメーションを使ったりして描写がとてもユニークですよね?
「映画はよく観ているのですが、「このために作ったのでは?」というようなセリフやシーンを見つけるのが楽しみなんです。でも、本作は全体にそれが散りばめられているようで、見所が多いですね。特に安名の描写が繊細で、発想も凄いし、斬新ですよね。


histrica-恋や恋なすな恋-tolk-240-2.jpg見所について?
文語体のセリフは、普通リアリティがなく分かりにくいのですが、本作では役者の演技力でリアルな感情を感じられます。よく、演じるにあたって、「その役の性根(お腹)が一番大事」と教えられました。心情がリアルに感じられる部分を参考にしております。

歌舞伎では『葛の葉の段』を演じられることが多いのですが、白狐の子別れのシーンが有名ですね。義太夫も清元も当時の名人が担当されていて、内田監督は盛り込みたい事をすべて叶えておられたように感じます。」


口筆書きについて?
「白狐が口に筆をくわえて障子に書くシーンがありますが、舞台でもよくやります。墨が流れないよう、紙を選んだり、いい墨汁に松脂を混ぜて作ったものを使ったりと工夫します。赤子が泣くので抱きかかえながら口にくわえて書かなければならないのです。」


山田五十鈴さんの娘の嵯峨三智子さんについて?
「美しいことは武器だなと思いました。山田五十鈴とはよくお食事をご一緒させて頂きました。私のことを「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん」って呼ばれるものですから、「僕、男です!」といつも言い返していました(笑)。山田五十鈴さんは、お芝居も殺陣も踊りも和楽器演奏も何でもお出来になる方で、私は「山田五十鈴になりたい!」と思っていました。嵯峨三智子さんも母親に近づきたかったのはないのでしょうか。ところどころ、山田五十鈴さんを感じました。」
 


『恋や恋なすな恋』

『恋や恋なすな恋』

【あらすじ】
平安時代、月を射抜くような白矢雲がかかり、東国では平将門の乱が勃発、富士の山が火を噴き、都は騒然とした空気に包まれていた。そこで宮廷陰陽師の加茂保憲が急ぎ参内しようとするが暗殺されてしまう。保憲には安倍保名と芦屋道満という二人の弟子がいて、後継者には自らの名「保」を与え、また娘の榊と恋仲の保名をと考えていた。ところが、それを妬んだ道満と保憲の妻が共謀して保憲と榊を死に追いやり、秘伝の「金烏玉兎集」を奪おうとするが、怒りと悲しみのあまり正気を無くした保名に逆襲されてしまう。


一連の罪を着せられた保名は、「金烏玉兎集」を懐に面影を求めて野谷をさまよい、和泉の国で榊の妹の葛の葉に出会う。榊に瓜二つの葛の葉を見て「榊は生きていた!」と喜ぶ保名。ある日、狐狩りに遭遇した保名と葛の葉は、矢を射られた老婆を助ける。実はその老婆は信太森に住む白狐だった。白狐は助けられたことを恩義に感じ、孫娘のおこんに保名の保護を命じる。「決して、人間と情を交わすことなかれ」という狐の掟を伝えて…。その後、おこんは役人に襲われた保名を助け、葛の葉に化けて傷を癒し、子まで成す仲となる。狐の掟を破ってまでも保名を愛し、子供を慈しむおこん。親子三人幸せに暮らしていたところに、和泉の庄司夫妻と葛の葉が訪ね来て……。

おこんは、身を切られる思いで、「恋しくば 尋ね来てみよ 和泉なる 信太の森の 恨み葛の葉」と障子に書き置きして姿を消す。
 



1962(昭和37)年東映京都作品/109分・カラー
製作:大川博 企画:玉木潤一郎 脚本:依田義賢 
監督:内田吐夢 
出演:大川橋蔵(阿倍保名)、瑳峨三智子(榊の前・葛の葉・狐葛の葉)、宇佐美淳也(加茂保憲)、河原崎長一郎(櫻木の宮)、加藤嘉(庄司)、原健策(藤原仲平)、柳永二郎(藤原忠平)、日高澄子(後室)、毛利菊枝(狐の老婆)、松浦築枝(庄司の妻)、天野新二(芦屋道満)、山本麟一(悪右ヱ門)、明石潮(勅使)、高松錦之助(治部卿)、小沢栄太郎(岩倉治部大輔)、薄田研二(狐の老爺)、月形竜之介(小野好古)

©1962 TOEI COMPANY, LTD.

http://historica-kyoto.com/films/special/the-mad-fox/


(文・写真:河田 真喜子)

 


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『暁に祈れ
プレスシート&オリジナルステッカー プレゼント!

 

 

■提供:トランスフォーマー

■プレゼント数: 3名様

■締切:2018年12月8日(土)

公式サイト: http://transformer.co.jp/m/APBD/

 

公開日:2018年12月、シネ・リーブル梅田、12/8~MOVIX京都、順次シネ・リーブル神戸にて公開

 



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2017年カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門正式出品作品

ロッテントマト驚異の96%フレッシュ!(8/1付)

“地獄”と呼ばれた刑務所をムエタイで生き抜け 魂を揺さぶる真実の物語

 

本作は汚職・レイプ・殺人が蔓延する実在のタイの刑務所に服役し、ムエタイでのし上がっていったイギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝ベストセラー小説がベースとなっており、ジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督により映画化された。極限状態の中、孤立奮戦する主人公ビリーを演じたのは、ジェレミー・ソルニエ監督の『グリーンルーム』で注目され、映画祭を席巻したラブストーリー『きみへの距離、1万キロ』で主演を務めるなど演技とアクション、両方の才能を兼ね備えた新星、ジョー・コール。彼はボクサー役を務めるため何か月も肉体改造に励み、過酷な30日間の撮影に挑んだ。


役者の大半は現地タイ人の元囚人たちが起用されており、彼らの体験に基づいた迫真の演技により、観客はあたかもその場にいるような感覚に陥ってしまう。地獄に堕ちたアウトローが人間性をはく奪されながらも、ムエタイを通じて光を見出していく、監獄版「あしたのジョー」とも言うべき『暁に祈れ』は、ただのジャンル映画の枠には納まらない、パワフルな人間ドラマとして昇華している。


【STORY】
ボクサーのビリー・ムーアは、タイで自堕落な生活を過ごすうちに麻薬中毒者になってしまう。ある日、警察から家宅捜索を受けたビリーは逮捕され、タイで最も悪名高い刑務所に収容される。そこは殺人、レイプ、汚職が横行する、この世の地獄のような場所だった。死と隣り合わせの日々を過ごすビリーだったが、所内に設立されたムエタイ・クラブとの出会いが彼を変えていく。
 



監督・脚本:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール『ジョニー・マッド・ドッグ』 
原作:ビリー・ムーア「A Prayer Before Dawn: My Nightmare in Thailand's Prisons」
出演:ジョー・コール『グリーンルーム』「ピーキー・ブラインダーズ」、ポンチャノック・マブラン、ヴィタヤ・パンスリンガム『オンリー・ゴッド』 
2017年/イギリス・フランス/英語、タイ語/シネスコ/117分/原題:A Prayer Before Dawn /日本語字幕:ブレインウッズ
提供:ハピネット+トランスフォーマー
配給:トランスフォーマー R15+
© 2017 - Meridian Entertainment - Senorita Films SAS
公式サイト: http://transformer.co.jp/m/APBD/

2018年12月、シネ・リーブル梅田、12/8~MOVIX京都、順次シネ・リーブル神戸にて公開
 


(オフィシャル・リリースより)

 

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「歴史映画で”今”を見つめ、未来を築く。」

歴史映画ファン必見の映画祭、京都歴史博物館にて開催

 

世界で唯一「歴史」をテーマにした映画祭、≪京都ヒストリカ国際映画祭2018≫が10月27日(土)に開幕した。今年は前日祭として、昨年と今年公開され大ヒットしたインド映画『バーフバリ 伝説誕生 <完全版>』『バーフバリ 王の凱旋 <完全版>』が26日(金)に上映され、リピーターファンでにぎわった。


histrica-恋や恋なすな恋-500.jpgオープニングには、19世紀のハンガリー大平原を舞台にブタペスト目指して旅を続ける芸人一座を描いた『旅芸人』(2017)と、今年9月のベネチア国際映画祭でプレミア上映され世界を驚かせた『恋や恋なすな恋』(1962)4Kデジタルリマスター版が上映された。内田吐夢監督が、歌舞伎の様式美と芝居を融合させ、さらにアニメーションや義太夫や清元など当時の名人たちを贅沢に配置した、極彩色豊かな平安絵巻に改めて圧倒される。

 

上映後、当映画祭ナビゲーターの飯星景子さんの司会によるオープニングセレモニーが開催された。当映画祭委員長の阿部勉氏によると、「世界では、歴史を題材にした映画が新しい人材や技術によって次々と作られ、選定に困るほど」だったとか。さらに、ベルリン国際映画祭ディレクターのピーター・コスビック氏の「映画祭は、世界が抱える問題を見過ごすことはできない」というコメントを紹介し、今年で10周年を迎えた京都ヒストリカ国際映画祭の意義深さを語った。


histrica18-open-500-1.jpg今年のスペシャルゲストである『恋や恋なすな恋』のトークゲストの中村扇雀さんをはじめ、『欲望にさそわれて』のクレマン・シュナイダー監督や、『乙女たちの秘めごと』のマリーヌ・フランセン監督『Beautiful things』のジョルジョ・フェレロ監督などが登壇。11月4日(日)まで、歴史をテーマにした新作や名作の上映会や、新人クリエイター発掘・育成のための〈京都フィルムメーカーズラボ〉の連携企画の上映会も予定されている。

★詳細は、公式サイトをご覧ください。⇒ http://historica-kyoto.com/
 


(河田 真喜子)

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赤毛のアン 卒業』B6クリアファイル プレゼント!

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■提供:シナジー

■プレゼント数: 3名様

■締切:2018年11月10日(土)

公式サイト:  http://anne-movie.jp/
 

公開日:2018年11月2日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸、ほか全国ロードショー!

 

 

 



anne-550.jpg将来への夢ふくらむアンに突然の悲しい別れ……16 歳の決断!


14 歳の秋、新学期から長いスカートをはき始めたアンは、少し大人びて見える。でも、ギルバートはアンを無視。筏で溺れかけたアンを救助した一件で、アンの一言に傷つき、もう口をきかない決心をしたのだ。 ステイシー先生は、シャーロットタウンにあるクイーン学院を受験したい生徒たちを集めて課外授業をすることにし、アンにも声をかけた。一生懸命勉強すれば教師になれると言われ、興奮して教師への夢を語るアン。マシュウとマリラは、アンに良い教育を受けさせるつもりでいたので喜んで賛成した。

しかし、腹心の友ダイアナは両親に進学を反対され、参加できなかった。アンは、ギルバートや意地悪なジョシーを含む数人と2 カ月課外授業を受け、クイーン学院を受験。ギルバートと同点の1 番の成績で合格した。マシュウとマリラは寂しさをこらえながらアンをシャーロットタウンへ送り出す。
 


映画『赤毛のアン 卒業』

【製作総指揮】:ケイト・マクドナルド・バトラー
【監督】: ジョン・ケント・ハリソン
【原作】: L.M.モンゴメリ「赤毛のアン」

【脚本】:スーザン・コイン
【出演】: エラ・バレンタイン、サラ・ボッツフォード、マーティン・シーン
【配給】:シナジー/2017/カナダ/90分
【公式サイト】:
  http://anne-movie.jp/


2018年11月2日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、109 シネマズHAT神戸 ほか全国公開!
 


(オフィシャル・リリースより)

 

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METライブビューイング2018-19 

ヴェルディ『アイーダ』ペア招待券プレゼント!!!


◆提供:松竹

◆プレゼント数:3組6名様

◆上映期間:11月2日(土)~11月8日(金)(3時間36分)  

◆上映会場:大阪ステーションシティシネマ(9:50~)
      なんばパークスシネマ(10:00/18:30の1日2回)
      MOVIX京都(10:00~)
      神戸国際松竹(12:00~)
 

◆締切:2018年10月25日(木)

 


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これぞMET!究極の壮大さを誇る舞台と
A・ネトレプコら豪華スターの競演で魅せる「オペラのなかのオペラ」!


世界最高峰のメトロポリタン・オペラ(通称:MET(メト))の最新公演を映画館で上映する「METライブビューイング」。2018-19シーズンの第1作 ヴェルディ《アイーダ》が11月2日(金)~8日(木)に全国の映画館で公開となります!

戦乱の古代エジプトを舞台に、禁じられた恋の物語を、世界のプリマ A・ネトレプコと次世代の大スター A・ラチヴェリシュヴィリの豪華競演で贈ります!サッカーの応援曲で知られる〈凱旋行進曲〉が鳴り響く「凱旋の場」など、これぞMET!と言わしめる壮大な舞台は圧巻!
 



ヴェルディ《アイーダ》
指揮:ニコラ・ルイゾッティ
演出:ソニヤ・フリゼル
出演:アンナ・ネトレプコ、アニータ・ラチヴェリシュヴィリ、
アレクサンドルス・アントネンコ、クイン・ケルシー、 ディミトリ・ベロセルスキー、
ライアン・スピード・グリーン※キャストは余儀なく変更されることがございます。

あらすじ〉
囚われ、奴隷となったエチオピア王女の禁じられた恋!戦乱の古代エジプトを舞台に、世界のプリマA・ネトレプコと次世代の大スターA・ラチヴェリシュヴィリが宿命の恋敵を演じる!サッカーの応援曲で知られる〈凱旋行進曲〉が鳴り響く「凱旋の場」、幕切れの二重舞台などスペクタクル満点のS・フリゼル演出はMETの代名詞。〈清きアイーダ〉〈勝ちて帰れ〉など情熱的なアリアも心に刺さる。「オペラのなかのオペラ」、ここにあり。
 


【料金】一般:3,600円 学生:2,500円 (税込) 
【特別鑑賞券】ムビチケカード3枚セット: 9,300円 (税込)
【リピーター割引】劇場窓口購入に限り、2018-19 ご鑑賞済み座席指定券の提示で300円引き。(学生対象外)

◆関西上映の詳細はこちら⇒ 
https://www.shochiku.co.jp/met/theater/


◎世界最高峰のオペラの感動をお近くの映画館で!


MET2017-18-MET-240.jpgニューヨークのリンカーン・センターに位置する世界屈指のオペラハウス、メトロポリタン歌劇場。その最新公演を映画館で上映する「METライブビューイング」は、世界のトップ歌手たちの夢の競演、最高のオーケストラ、刺激的な演出の数々を、リーズナブルな価格でお楽しみいただける画期的なオペラ・エンターテインメント!初心者からオペラ通までを虜にする選りすぐりの名演の数々をお楽しみください!
 


(プレスリリースより)

 

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被災地の皆さまへのエールになれば嬉しい!『恋のしずく』 舞台挨拶

(2018年10月5日(金)大阪商工会議所国際会議ホールにて)
登壇者:瀬木直貴監督(55)、乃神完爾役/小野塚勇人(25)、石川達也(広島杜氏組合長・日本酒造り監修)

 

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川栄李奈初主演映画!
神の舌を持つリケジョの恋のせつなさと、
日本酒作りの伝統継承の意気込みを感じさせる感動作。

 

本作は、京都の伏見、神戸の灘と並んで日本三大酒処として有名な東広島市の西条を舞台にした、川栄李奈演じる農大生のリケジョ・詩織の恋と成長を描いた物語。『ラーメン侍』や『カラアゲ★USA』を撮った瀬木直貴監督が、和食を掘り下げた結果、日本酒の映画に辿り着いたという作品。また、今年の2月に急逝した大杉連の遺作でもあり、幻の酒造りに命をかけた一途な蔵元を、優しくも悲哀漂う存在感で印象深く演じている。その息子役には劇団EXILEの小野塚勇人、杜氏役には小市慢太郎など、女優として瞬発力のある川栄李奈の初主演作を盛り上げている。また、豊かな自然に清らかな水と米造りの里の美しい風景、酒造りの里の豊かな風情に心癒される作品でもある。


10月20日(土)の公開を前に、瀬木直貴監督と小野塚勇人さん、そして、広島杜氏組合長であり本作の日本酒造りの監修を務められた石川達也さんが舞台挨拶に登場。以下にその詳細をご紹介いたします。
 


(敬称略)

――最初のご挨拶。

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小野塚:ひと足先に大阪で上映されることを幸せに思います。

瀬木監督:ざっと見ると8割方女性のお客様でしょうか。これも小野塚君効果でしょうか(笑)。この映画はお酒を飲めない皆さんにもご覧になれる映画です。ごゆっくりお楽しみ下さい。

石川:私はこの映画の舞台となった西条生まれの西条育ちで、この映画が作られると聞いた時にはとてもびっくりして、感激しました。こうして映画が完成して皆さんに観て頂けるだけで感無量です。


――製作のキッカケは?
瀬木監督:今や完全な和食となっているカラアゲやラーメンの映画を作ってきて、もっと和食の世界を掘り下げようと思い、二千年前に麹とお水が出会って神様に捧げられてきたお酒に辿り着いたのです。冠婚葬祭、喜怒哀楽の場にはいつもお酒がありますので、それを描いてみたいと思ったのです。


――酒蔵の息子・莞爾という役のオファーがあった時の感想は?
小野塚:酒蔵にも行ったことがなければ日本酒についてもあまり詳しくなくて、知らないことばかりでした。石川さんに日本酒について詳しく教えて頂いて、クランクインするまでにとてもいい役作りができたと、とても感謝しております。

瀬木監督:とても勉強熱心でしたよ!


――石川さんが小野塚さんに教えたこととは?
koinosizuku-bu-ishikawa-240-1.jpg石川:ありがたいことに、撮影前から日々飲む機会がありまして、この映画のエンドロールには私は「酒監修」となってますが、どちらかというと「夜の監修」の方が多かったような(笑)。一緒に飲むことでお酒の話題も出ますし、わいわい飲んでる中で何か伝わったのなら、それで良かったのかなと思っています。

小野塚:石川さんは凄いんですよ!石川さんがすすめて下さったお酒の銘柄や飲み方をすると、全く二日酔いをしないんですよ!スッキリと気持ちよく飲めました。


――二日酔いしないコツは?
石川:いいお酒を飲むというのが第一。そして、楽しく飲むこと。気持ち良く飲まないと体もお酒を受け付けません。この映画をご覧になって、ぜひ皆さんでわいわい楽しくお酒を酌み交わして頂きたいと思います。


――演じる上でご苦労されたことは?
小野塚:この映画は、主演の川栄李奈さん演じる詩織が西条の酒蔵にやってきて人間として成長する物語ですが、僕が演じた莞爾も酒蔵の息子としての立場や、大杉連さん演じる父親との関係性などで苦悩しながら成長する物語なので、心境の変化を感じ取ってもらえるように演じました。


――小野塚さんはどんな俳優さんだと思いましたか?
koinosizuku-bu-segi-240-1.jpg瀬木監督:まず出会いが衝撃的でした。台本を読んでいるのかどうか分からない段階で、小野塚君は完全に乃神莞爾になってワークショップに現れたんですよ!役に向かい合う真剣さを感じました。

小野塚:役者なので役に寄っていくのは当然ですが、僕が抱いていた莞爾に対するイメージが監督がイメージされていたのと合っていたのかなと思います。せっかく選んで頂いたので期待に応えたいという気持ちで、しっかりやっていこうと思いました。

瀬木監督:莞爾の役は感情のアップダウンが大きいので、それを小野塚君が上手く演じ分けているところをご覧頂きたいと思います。


――2月に亡くなられた大杉連さんが出演されてますが……?
瀬木監督:映画としては遺作になります。このまま公開していいものかどうかと悩みましたが、大杉連さんの事務所の社長である奥様から、「この映画がヒットすることが大杉の供養になりますので」と言って頂いたので、肩の荷がおりました。


――大杉連さんと一緒にお仕事されて如何でしたか?
石川:撮影中は蔵人として少しお話する機会はありましたが、撮影後のパーティで色々とお話させて頂きました。撮影直後の疲れも見せず、とてもハツラツとして若々しいなと思いました。

小野塚:父親役の大杉さんとは撮影中あまりお話することがありませんでした。他の人には声を掛けておられたのに僕にはなく、何か失礼なことをしてしまったのかなと心配しましが、小市慢太郎さんに「役柄通り、確執のある親子の関係性を保つためだよ」と教えて頂いて、ホッとしました。役に厳しい“俳優の鑑”のような方だと思いました。


koinosizuku-500-1.jpg――杜氏を演じた小市慢太郎さんは石川さんがモデルなんですよね?
石川:だいぶ容貌が違いますが(笑)。

瀬木監督:杜氏をはじめ蔵人は半年間一緒に寝泊まりして酒造りをするんです。その距離感を縮めるために、“自主トレ”と称して毎晩のように飲みに行ってましたよ(笑)。

小野塚:あくまで役作りのための自主トレですから(笑)。石川さんと小市さんが並んで飲んでいる姿がとても微笑ましくて、次第に小市さんが石川さんに見えてきました。酒造りの時に歌う「もと摺り唄」を石川さんに歌ってもらおうとしたら、石川さんが酔って歌詞を忘れちゃって、その時一所懸命歌詞を教えていたのが小市さんでした(笑)。どっちが杜氏か分からなくなっちゃいました(笑)。

石川:杜氏のことを“おやじさん”と呼ぶのですが、映画の中では小市さんが、実際には私が“おやじさん”でしたので、お互い「小市おやじさん」とか「石川おやじさん」と呼び合って酒を酌み交わしてました。
 



――ここで、主演の川栄李奈さんからのビデオメッセージ。

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川栄:大阪の皆さんこんにちは。この度『恋のしずく』の主演を務めさせて頂きました川栄李奈です。東広島市を舞台にした恋と日本酒の映画で、私はいろんな人との出会いを通じて成長していくリケジョを演じております。ステキな共演者やスタッフと地元の方々に支えられて出来上がったとてもステキな映画ですので、是非お楽しみください。

皆さんには、この映画を観たあと、恋をしてみたくなったり、日本酒を飲んでみたくなったり、酒蔵のある東広島市へ行ってみたくなったりして頂きたいなと思っています。私も少し日本酒が飲めるようになりました。

最後になりますが、1か月滞在した東広島市が西日本豪雨で被災され、胸が詰まる思いでおります。この映画で東広島市の魅力を精一杯伝えることができたら幸いです。『恋のしずく』をごゆっくりお楽しみ下さい。

 



――石川さん、西日本豪雨からの復興の度合いは如何ですか?
石川:JRの呉線はまだ復旧しておりませんが、他の線は復旧し、物流もほぼ元の状態に戻っております。まだまだ爪痕は残ったままですが、「大変だ、大変だ」と言ってばかりはおられませんので、「前を向いて、上を向いていこう」と言って頑張っております。


――この映画がひとつのエールになればいいですね?
瀬木監督:8月初めに、この映画のためにご縁を頂いた所にスタッフやエキストラの40数名でボランティア活動をさせて頂きました。大杉連さんのシーンで使わせて頂いた酒蔵の母屋も床上浸水の被害を受けて大変な状態だったんです。昨日蔵元とお会いしたら、年明けから酒造りを再開すると仰ってました。

石川:それは良かったですね!柄(つか)酒造さんは平屋が多く、酒蔵にも泥水が入ってしまい、麹室まで浸水して、酒蔵を作り直さなければならない程のとてもとても大変な被害でした。酒造りを再開されると聞いて本当に嬉しくて心強い気持ちでいっぱいです。


koinosizuku-bu-ono-240-2.jpg――川栄李奈さんとの共演は如何でしたか?
小野塚:自然体の方。人見知りのところもあるようですが、心を開いてもらえるととても面白い方です。笑い声が凄くて、妖怪のような(笑)、外にいても聞こえてくるような明るい笑い方をされる人です。決断力があって肝の据わったところもあり、飾らない、本当に自然体のステキな女優さんです。


――最後のご挨拶。
小野塚:『恋のしずく』は1年前にオールロケで撮影した映画です。東広島市の組合の方や地域の方やいろんな方々に支えられて完成しました。西日本豪雨で被災された方々にもこの映画をご覧頂いて、少しでも前向きな気持ちで笑顔になって頂けたら嬉しいです。主演の川栄李奈さんの覚悟や熱い気持ちなど、ひとりひとりの想いが詰まった映画です。どうぞ最後までごゆっくりお楽しみ下さい。

 



『恋のしずく』

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【STORY
東京の農業大学に通う三回生の詩織(川栄李奈)は、ワインソムリエを目指してフランス留学を希望していたが、よりによって苦手な日本酒の老舗酒蔵へ実習に行くことになる。稼業を継がず蔵元(大杉連)と衝突ばかりしている息子の莞爾(小野塚勇人)、厳格な杜氏(小市慢太郎)、何かと面倒をみてくれる優しい美咲。老舗ならではの伝統としきたりを学びながら、様々な人々との出会いによって詩織も人間として成長していく。神の舌を持つ詩織の利き酒シーンも可愛い、せつなくも幸せな気持ちになれる心に沁みる感動作。


・監督:瀬木直貴(『ラーメン侍』『カラアゲ★USA』)  脚本:鴨義信
・出演:川栄李奈 小野塚勇人 宮地真緒 中村優一 蕨野友也 西田篤史 東ちづる 津田寛治 小市慢太郎 大杉漣
・配給:ブロードメディア・スタジオ ©2018 「恋のしずく」製作委員会

公式サイト: http://koinoshizuku.com/

2018年10月20日(土)~第七藝術劇場他全国公開!!
(10月13日広島先行上映開始)



(取材・撮影:河田 真喜子)

 
 
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2018年10月26日(金)から11月4日(日)まで京都文化博物館(3Fフィルムシアター/別館)で開催される世界で唯一の「歴史」をテーマにした映画祭、京都ヒストリカ国際映画祭の30本29プログラムに及ぶ全ラインナップが発表された。
 
第10回を迎える今年は、「日本に時代劇を新しい視点で世界に問う」(高橋剣プログラムディレクター)ことを念頭に、10周年ならではの特別企画も多数用意されたラインナップとなっている。
 
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オープニングを飾るヒストリカスペシャルには、今回初となる前夜祭は、『バーフバリ<完全版>連続上映』を絶叫応援チームが来場しての京都初となる絶叫上映を開催。バーフバリを日本で初めて紹介したヒストリカの10周年を華々しく飾る。
 
 
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そして、オープニング作品は、今年のヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映され、絶賛された内田吐夢監督の人間浄瑠璃を題材にした人気作『恋よ恋なすな恋』4Kデジタル修復版を日本初上映する。ゲストには、歌舞伎俳優の中村扇雀氏を迎えてのトークが開催される予定だ。ヒストリカ・ナビゲーターの飯星景子さんも「主演大川橋蔵さんは歌舞伎役者なので、踊りの美しさは本当に見とれてしまうほど。黄色いすすきの穂や、平安時代ならではの色鮮やかさも見事」と絶賛の平安絵巻だ。
 
世界の最新歴史映画を紹介するヒストリカワールドは、ヨーロッパ映画5本がラインナップされている。飯星さんのコメントと共に紹介したい。
 
『欲望にさそわれて』(18フランス)※来日ゲストあり
フランス革命時、プロヴァンスの修道院にいた若き修道士が革命軍と出会うことで、やがて新しい思想に目覚め、革命軍に参加するまでを描いた作品。
飯星:パティ・スミスの曲を使い、クラッシックな香りの中にエッジが利いたフランスらしい作品です。
 
『乙女たちの秘めごと』(17フランス=ベルギー)※来日ゲストあり
1850年代のフランスの田舎。ナポレオン政権下、レジスタンス活動を疑われて男たちは逮捕され、女ばかりになった村に一人の男が現れる・・・。
飯星:一人の男を女性たちが共有する様を描いた作品。女性監督ならではの眼差しが生きています。
 
『旅芸人』(17ハンガリー)
小さな旅芸人一座に、ある事情で軍に戻れない兵士が加わり旅が続くロードムービー。
飯星:今年のヒストリカワールドではベテラン監督の作品、気持ち良いカメラワークで、四季折々の映像も楽しめます。登場人物それぞれの個性がきめ細かく描かれているのはさすが。
 
『アイスマン』(17ドイツ=イタリア=オーストリア)
ヒストリカワールドの中で一番古い時代を舞台に描いた作品。1990年代にイタリアとオーストリアの国境の氷河で男性のミーラが発見されたことに発想を得た作品は、劇中に古代語が登場する。普遍的な人間の感情、愛情を体感できる野心作。
飯星:過酷なロケがうかがえる、新石器時代のロマン溢れる一作。
 
『ノベンバー』(17エストニア=オランダ=ポーランド)
19世紀のエストニアを舞台にしたベストセラー作品の映画化。モノクロ映像がスタイリッシュで幻想的なファンタジー。
飯星:出てくる俳優さん皆、味わい深い顔つき。主演のレア・レストの瞳が印象に残る作品です。
 
他にも、<ヒストリカ・フォーカス>では、東映時代劇の両極端「軽さの沢島忠、重さの内田吐夢」を並べるという試みで、ヒストリカでは初となる沢島忠監督の作品を英語字幕付きで上映する。昭和の歌姫、美空ひばり出演のミュージカルコメディー、『ひばり・チエミの弥次喜多道中』『白馬城の花嫁』『殿さま弥次喜多』の3本と、内田吐夢監督からは、戦後復帰作『血槍富士』、歌舞伎を題材とした『妖刀物語 花の吉原百人斬り』の2本をラインナップ。ゲストに『孤狼の血』の白石和彌監督、『引っ越し大名!』が公開予定の犬童一心監督、西尾孔志監督、ミルクマン斉藤さんを迎え、それぞれの作品の魅力を、現代の目線から再検証するトークも予定されている。それぞれの上映&トークには、同時開催されるフィルムメーカーズラボ(京都の撮影所で、ベテランスタッフと共に時代劇を撮るワークショップ)に参加する世界の40人の若手たちも観客席に加わり、国際色豊かなトークセッションになること間違いなし!
 
10周年記念プログラムでは、【京都映画巨匠生誕120年記念上映~内田吐夢・溝口健二・伊藤大輔~】と銘打ち、京都映画の土台を作った3巨匠の20〜30代に作られたサイレント作品から、現存する貴重なものを選りすぐって全7本上映する。ピアノ伴奏によるカツベン上映が行われるのは重要文化財となっている別館。日本映画の最高峰と言われる伊藤大輔の『忠次旅日記』、現存する溝口健二最古の作品『ふるさとの歌』、内田吐夢の昭和初期ホームコメディ代表作『汗』など、貴重な作品をお見逃しなく。また、18歳の山田五十鈴が主演し、女性を描く溝口健二のスタート地点の一作と呼ばれる『折鶴お千』も、連携企画<明治150年事業・京都府デジタルリマスター人材育成事業>で上映される。
 
<ヒストリカ・ディケイド>(過去10年で紹介した作品から選りすぐりの作品を紹介)、今年からスタートしたヴェネチア国際映画祭連携企画(『Beautiful things』、無料上映のVR短編『Chromatica』)、京都フィルムメーカーズラボスクリーニング(『十年 Ten Years Japan』)などさらにパワーアップしたラインナップとなっている。
 
10月6日(土)から<チケットぴあ>にてチケット発売開始。
詳細は公式サイトまで http://www.historica-kyoto.com/
 
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今年の2月に急逝した名バイプレイヤー、大杉漣が初めてエグゼクティブプロデューサーを務め、最後の主演作となったヒューマンドラマ『教誨師』が、10月6日(土)~テアトル梅田、シネマート心斎橋、イオンシネマ京都桂川、10月20日(土)~元町映画館、今冬 シネピピア他全国順次公開される。
 
教誨師(きょうかいし)とは、受刑者の道徳心の育成や心の救済を行う民間の宗教家。今回大杉が演じるのは教誨師、佐伯保だ。死刑囚と面会する拘置所を舞台に、一癖も二癖もある6人の死刑囚と対話を続ける中での佐伯の苦悩や、自身の過去との対峙を描く。死刑囚役には映画初出演となる玉置玲央をはじめ、光石研、烏丸せつこ、古舘寛治ら個性派俳優が顔を揃え、大杉演じる佐伯と、1対1の対話によって内面の変化が訪れる様子を、多様に映し出す。シンプルなセットの中、待ち構えるのは死しかない人間の心の内をあぶり出す一方、なんとか彼らに寄り添おうとする佐伯の真摯な姿が胸を打つ。改めて死刑制度についても考えてみたくなる作品だ。
 
大杉さんと二人三脚で本作を作り上げた佐向大監督に、お話を伺った。
 

 
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■大杉さんに誘われて事務所入り、映画化できる企画を考える。

―――企画が立ち上がってからの映画化するまでの経緯は?
佐向:元々、大杉さんからの依頼で、大杉さんの所属役者の皆さんとワークショップを開催していたのですが、そのうち一緒に映画を作らないかと誘っていただき、大杉さんの事務所に所属しながら映画化できる企画を考えていたのです。教誨師と死刑囚が対話を重ねていく話を考え、大杉漣さんに映画化を念頭に置いた相談をしたのは3年前ぐらいです。大杉さんも「いいじゃない」とすぐに乗ってくださいました。
 
―――死刑囚という、命に期限が決められている相手に対して接するというのが、この物語で重要な意味を持ちます。
佐向:基本的に教誨師の方は、道徳心を育成したり、真っ当な道を歩ませるために受刑者に対話をするわけですが、死刑囚の場合はもう刑務所の外に出ることはないのに、教誨師の方は何を話せばいいのか。僕自身も知りたかったですし、そこから企画を立ち上げ、教誨師の方にもどういう気持ちで対話をされているのか取材をさせていただきました。「社会では許されないことをした人だが、神は罪を赦す」という教えのもと、とにかくしっかりと死刑囚の話を聞き、まずは彼らの人生をそのまま受け入れてあげること。そんなことが重要だと伺い、その考え方を中心に据え、佐伯保というキャラクターを描いていきました。
 
―――様々な事件を想起させるような6人の死刑囚が登場しますが、どのようにキャラクターを作り上げていったのですか?
佐向:死刑囚ではあるけれど、基本的には事件を起こしていない我々と変わらないのではないかという考えでキャラクターを作っていきました。どうしても死刑囚となると、関係ないと思ってしまいがちですが、罪は犯しているけれど、実は気が優しい人であったり、烏丸せつ子さんが演じるようなどこにでもいるおばちゃんだったりするのかもしれない。でもどこか内面が壊れていびつな部分が垣間見えるキャラクターにしたいと思いました。5,6人を想定して、それぞれのバックボーンを肉付けしていきました。
 
 
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■死刑囚と対話することで、佐伯自身も変わっていくべきだと思った。

―――ずっと教誨師と死刑囚の面会部屋だけで物語が展開している中、後半に子どもの頃の佐伯の回想シーンが挟まれ、物語のアクセントになっています。ナレーションで済ますこともできたと思いますが、そのシーンを入れた趣旨は?
佐向:最初は佐伯が鏡のような存在で、死刑囚たちがその鏡を通して自分自身を語るという展開を考えていましたが、途中で「佐伯保という男はどういう人間なのだろうか」と考えたのです。佐伯自身も死刑囚と対話することで変わっていくべきだと思ったものの、彼の日常生活は見せたくなかったので、説明的になるのを防ぐ意味も込めて、回想シーンで、彼が体験した生涯忘れられない出来事を描きました。
 
―――6人の死刑囚の中でも一番若い死刑囚、高宮は常に佐伯に反抗的な態度を取り続けます。他の死刑囚と比べても、かなり異色の存在でした。
佐向:6人の中でも、一番中心となるのは高宮と佐伯の関係で、その関係性を軸に物語を展開させたいと考えていました。大杉さんとも話していたことですが、高宮の発言は独りよがりではあるけれど、そんなに間違ったことは言っていないつもりです。世の中を変えたいと思っている、ある意味、一番現状に満足していないキャラクターです。そんな高宮が佐伯と通じ合うまではいかなくても、何か分かりあえるところがあればいいなと思い、描きました。
 
―――7月にオウム真理教事件の死刑囚全員の刑が執行された後、教誨師と死刑囚を描いた本作が公開される訳ですが、佐向監督はどのように捉えておられますか?
佐向:13人も一斉に死刑執行されるというのは、異常なことです。以前脚本を手掛けた『休暇』は刑務官の話でしたが、そこには死刑を執行する側の人がいます。もちろん死刑囚の犯した犯罪により、多くの罪なき方が亡くなっている訳ですから、その必要性はあるのかもしれませんが、死刑執行を指示する人はその場にはいない訳で、実際に今回の場合は一日に何人も刑を執行する側の方の辛さを思うと、想像を絶します。
 
 
 

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■死刑囚たちのキャラクター、キャスティング、リハーサル、そして現場ですぐにカメラを回す。大杉さんのこだわりが作品の緊張感を産む。

―――今回、大杉さんは主演でありかつ、エグゼクティブプロデューサーとして関わられ、本作に非常に思い入れが強かったと思いますが、特にこだわっていた点は?
佐向:まず、キャストが重要だとおっしゃっていました。脚本段階では、自分の役より、死刑囚のキャラクターを個性的にしようとアドバイスをいただきましたし、キャスティングでは大杉さんの意見を聞きながら行いました。後は、とにかくリハーサルをやろうとおっしゃって下さり、僕もとてもありがたかったです。全員の死刑囚役のキャストと事前にリハーサルをしてある程度のイメージをつくったのですが、現場に入ってからは大杉さんの意向で「(セットの教誨師がすわるテーブルの)席についたら、すぐにカメラを回して」とおっしゃったのです。通常はカメラテストやリハーサルを行い、撮影が始まるのですが、裏で共演の方とセリフだけ合わせて、あとは席についたらすぐにカメラを回していました。スタッフ、特に撮影の山田達也さんは、キャストがどう動くか分からないので大変だったでしょう。共演者の方も相当緊張感があったと思いますが、それが良い方向に作用し、この作品のピンと張り詰めたような基調ができあがったのだと思います。カメラ2台で撮りましたが、一発撮りも多くて、セリフが長いので撮影が押すかと思っていたら、光石研さんの時は5時間巻きで終わり、その後何をしていいか分からないということもありました(笑)
 
―――皆さん、緊張感たっぷりの中、撮影に臨まれたのですね。
佐向:大杉さんがすごいと思ったのは、基本的にアドリブなしで台本通りなので、こちらも大体のイメージができている中で撮影を行うわけですが、いざカメラが回ると、こちらが想像していたものとも、リハーサルとも全然違う表情を見せたり、言い方をしたりされるのです。本当に今、この場所で佐伯保という人間が怯えたり、考えたりしながら、死刑囚と対話をしているのだなという感じや佐伯の気持ちがヒシヒシと伝わってきました。
 
―――カメラが回ると、佐伯になるスイッチがぐっと入る感じでしょうか。
佐向:本当に休憩中は冗談ばかり言っているのですが、いざ撮影が始まると、テンションを高める集中力をもっておられた。大杉さんは運動神経が良かったので、ある種アスリートのような集中力があったのかもしれません。終わった途端にまたいつもの調子に戻って、その切り替えには驚くばかりでした。
 
 
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■大杉さんは、少人数でも一丸となり、皆でいいものを作ろうと頑張る現場が好きだった。

―――やはり大杉さんの中で、教誨師に対する思い入れがあったのでしょうね。
佐向:セリフも生死という根源的な問題に触れますし、覚悟のようなものが見えました。12月に初号を見た時、この作品のことを何というのかと思ったら、「次は何にしよう」と、既に気持ちは次回作に向かっていたようで、大杉さんが亡くなる直前まで、そんな話をよくしていました。今回はスタッフもキャストも少なかったですが、一丸になって皆でいいものを作ろうと頑張った現場で、大杉さんはそういう現場がお好きでしたし、大杉さん自身も皆を盛り上げるのがとてもうまい方でした。打ち上げではまた同じスタッフ、キャストで映画を撮ろうとおっしゃってました。
 
―――最後に、大杉さんの一番好きだったところを教えてください。
佐向:大杉さんは、これだけキャリアがある方なのに、「どうやりたいのか言ってみて」とか、「とりあえず脚本を書いてみて」とまずはこちらの意見を聞いてくださり、こうだと決めつけるような言い方は絶対しません。何か座右の銘になるようなことを今言えたらいいのですが、冗談ばかりおっしゃっていたので、全く思い起こせなくて。そこが、大杉さんの大好きなところですね。皆をどう盛り上げていくか、全体のバランスを常に考えて、本気で楽しむことを知っていらした方だと思います。この作品のテーマでもありますが、これからも大杉さんと「共に生きて」いきたいと感じています。
(江口由美)
 

<作品情報>

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『教誨師』(2018年 日本 1時間54分)
監督・脚本:佐向大 
出演:大杉漣、玉置玲央、烏丸せつこ、五頭岳夫、小川登、古舘寛治、光石研
2018年10月6日(土)~テアトル梅田、シネマート心斎橋、イオンシネマ京都桂川、10月20日(土)~元町映画館、今冬 シネピピア他全国順次公開
公式サイト:http://kyoukaishi-movie.com/
(C) 「教誨師」members
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