「京都」と一致するもの


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(左から、 南沙良、馬場ふみか、本田望結、基俊介、井樫彩監督 


「響け!ユーフォニアム」で知られる武田綾乃の同名小説が原作の映画『愛されなくても別に』が、日本最年少でカンヌ国際映画祭への出品を果たした井樫彩監督の最新作が、絶賛公開中である。毒親、虐待、性暴力など家族間で生じる問題から社会のひずみに切り込みつつ、その世界をサバイブする女性たちの清々しさと、「不幸中毒」からの脱却までを鮮やかに描いた本作。

浪費家の母親に依存される主人公・宮田陽彩(みやた・ひいろ)役南沙良、過酷な家庭で育つ過去を持ち、陽彩と徐々に心を通わせていく江永雅(えなが・みやび)役馬場ふみか。そして過干渉の母親から逃れるため、宗教にのめり込む木村水宝石(きむら・あくあ)役本田望結、三人が働くコンビニの同僚・堀口順平(ほりぐち・じゅんぺい)役をIMP.の基俊介が演じた。


本日75日(土)に南沙良、馬場ふみか、本田望結、基俊介、井樫彩監督が登壇する公開記念舞台挨拶を行った。イベントでは、撮影エピソードやキャスト&監督の「抜け出せない」ことを披露した。


◆日程:7月5日(土)

◆会場:新宿ピカデリー スクリーン1(新宿区新宿3丁目15−15)

◆登壇者:南沙良、馬場ふみか、本田望結、基俊介、井樫彩監督(計5名)(敬称略)


<以下、レポート全文>

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毒親のもとで生まれ育ち、人生を奪われてきた3人の大学生の姿を描き出した本作だが、主人公・陽彩を演じた南は、最初に脚本を読んだ時について「脚本を読む前に原作を読ませていただいたんですが、悲壮感がなくて。登場人物が抱えているものって重たいものではあるんですが、ちゃんとその先に救いがある物語だなと思って。意外とポップな感じがしました」と述懐。


過酷な家庭で育った雅を演じた馬場は「わたしは自分が雅を演じるという視点で読んだので、これは大変だぞと思ったのですが、一見、ドライで冷たそうに見える雅も、実はやさしさとか愛がたくさんあるところがすごくかわいいなと思いました」とコメント。さらに過干渉の母親から逃れるため、宗教にのめり込む水宝石(あくあ)を演じた本田は「役としては水宝石に本田望結を連想してくださったのがなんでなんだろうというのがすごく気になっていたんですが、監督からは家族とか愛とかに(悩んでいる)イメージがない人にこそ演じてほしいと言われたので。それならわたしがやらせていただく意味があるのかな、と思いました」とコメント。さらに「これだけ本田望結を封印した役ははじめて。素直に言いますが、私生活から何のヒントも得られないというか。本田望結として経験したことを生かせるのは、役者として大事だと思うんですが、なかなかそう思える部分がなくて。でもそれが監督の狙いなんじゃないかなと思ったので、本当に監督には助けてもらいました」と明かした。


aisarenakutemobetuni-bu7.5-馬場ふみか様.JPGそんな本田に対して、なぜかクスクス笑いが止まらない南。「沙良さん、今日ずっとわたしの顔を見て笑っているんですよ!」という本田に対して、「1年間くらい、ずっと聞きたいなと思っていたことがあるんですよ」と告白した南。「撮影当時に、わたしがその時ハマっていたゲームを入れてくださったんです。友だちの島にも遊びに行けるゲームなんですけど、そこに遊びに行ったら、本田さんのペットの名前が『沙良』だったんですよ。もうビックリしちゃって。『どういうこと?』って。でもわたしの『沙良』じゃないかもしれないし……なんでペットの名前が『沙良』なんだろう?ってすごく気になっていました」と語ると、本田も「それは沙良さんに教えていただいたゲームだから。しかも沙良さんの漢字で『沙良』です」と説明。本田の律儀な行動に南も思わず「やばい!やばいですね!」と興奮気味。そんなふたりを笑いながら見ていた馬場は「わたしはそんなやり取りがあったなんて知らなくて。ふたりが仲よさそうにしゃべっているなと微笑ましく見てました」と振り返った。


aisarenakutemobetuni-bu7.5-基修介様.JPGまた宮田と江永が働くコンビニの同僚・堀口を演じた基は「僕自身は撮影が短かったんで。皆さんとほとんどお話もできていないんですよ。だから今、その話を聞いて、そんなことがあったのかとビックリしています」と語ると、「実は今日ビックリしたことがあって。控え室に座っていて、今日は何をしゃべろうかなと考えていたら、『どうもー!』という声があって。IMP.のメンバーの影山拓也と松井奏が、白Tとデニムに野球帽という、双子コーデでいきなりカメラ回しながら入ってきて。一瞬、迷惑系YouTuberかなと思ってビックリしましたけど、わざわざ朝早くに準備して、カメラを持って突撃してきてくれて。メンバーってすごくいいなと思いました」と述懐。その様子を井樫監督も「微笑ましい光景でした」と見ていたというが、「でも本当はたぶん監督にあいさつするのが目的だったと思うんで。もう、そうなんじゃないかなと思うくらい、僕の方にはヘラヘラしてて。監督の前ではすごい丁寧に頭を下げていましたから」と冗談めかして会場を沸かせた。

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そんなキャスト陣について井樫監督は「ふたりは、原作から想像していたイメージをさらに乗せて表現してくれたなという印象があるので、本当に感謝しております。本田さんに関しては、さっきも言いましたけど、あまり見たことがない本田さんを出してくださって。たぶん大変だったと思うんですけど、陽彩と雅とはまた違った、キーになる人物としてすごく印象的になったんじゃないかなと思います。そして作品を観るとそうだと思うんですが、結構しんどいシーンが続く中で、基さんが出てくるとちょっとホッとするというか。そこがすごくいいなと思いました」と語った。


 

 


aisarenakutemobetuni-bu7.5-本田望結様.JPG今まで生きてきた生活や、毒親からなかなか抜け出せないキャラクターたちが多い本作にちなみ、イベントでは登壇者たちの「抜け出せない」エピソードについての質問も。まずは基が「僕は観に来てくださってる皆さんの顔を見ちゃうんですよ。ライブでも結構、皆さんの顔見てるんです。今日も、映画館なのに双眼鏡で観ている人がいたりして。僕も舞台挨拶がはじめてなんで、新鮮ですね。皆さんを見ると「キュンです」とやってくれたり。なんかおもしろいですよね。ついつい見ちゃいます」と語ると、本田も「わたしは沙良さんの観察が抜け出せないですね。撮影の時からもうずっと、なんか沙良さんのことが気になってて。それもあってゲームされていた時も気になっちゃったんですよ」と語ると、「それで(ゲームの名前が)沙良に」と返した南は、「そんなことはじめて言われました!」と笑ってみせた。


aisarenakutemobetuni-pos.jpg続く馬場は「わたしは寝るのが信じられないぐらい遅くて。絶対にはやく寝たほうがいいに決まってるじゃないですか。撮影も朝早くて、4時とか5時とかに起きたりするんですけど、基本寝る時間が変わらないんですよ。今日も4時ぐらいまで起きてて、寝れないですよね。寝れるようになりたいなと思っています」と明かす。そして南は「わたしは最近、ガチャガチャにハマっていて。“めじるしアクセサリー”というのがあるんですけど、狙いのものが出るまで回したいんですよ。だから出るまで何十回もやっちゃうんです」とハマっているものについて告白した。


そして最後のコメントを求められた南は「わたしは本当に、日々生きづらいなと思って生きているんですけど、そう思っている方って、わたし以外にもきっとたくさんいらっしゃって。こうやって陽彩みたいな環境に置かれている方もたくさんいらっしゃると思うし。そういう方に寄り添えるような映画になっているんじゃないかなと思うので、たくさん見ていただけると嬉しいです」とメッセージ。井樫監督も「毒親っていう、ちょっと重たいワードから始まる映画ではあるんですけれども、自分の人生を確かに生きていこうとする、力強い二人の物語だと思っておりますので。その物語を見ていただいて、何か見ていただいた方の心に引っかかるものがあればいいなと思っております。公開は始まったばかりですので、ぜひ口コミ等々よろしくお願いいたします」と会場に呼びかけた。
 


【Story】

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宮田陽彩(みやた・ひいろ)(19)は、“クソ”のような大学生活を送っていた。
大学に通い、それ以外の時間のほとんどを浪費家の母に変わっての家事とコンビニでのアルバイトに費やし、その中から学費と母と2人暮らしの家計8万を収める日々。遊ぶ時間も、金もない。
何かに期待して生きてきたことがない。親にも、友人にも・・・。
いつものように早朝にバイトを終えた宮田は、母のために朝ご飯を作り、家事をした後に大学に登校していた。そこで大学の同級生であり、バイト先の同僚でもある 江永雅(えなが・みやび)(24)のひょんな噂を耳にする。威圧的な髪色、メイク、ピアス──バイト先ではイヤホンをつけながら接客する、地味な宮田とは正反対の彼女の噂。
「江永さんのお父さんって殺人犯なんだって」
他の誰かと普通の関係を築けないと思っていたふたり。ふたりの出会いが人生を変えていくー。

【クレジット】

出演:南沙良  馬場ふみか 本田望結  基俊介 (IMP.)  伊島空  池津祥子  河井青葉
監督:井樫彩 
原作:武田綾乃『愛されなくても別に』(講談社文庫)
脚本:井樫彩/イ・ナウォン
主題歌:hockrockb「プレゼント交換」(TOY'S FACTORY)
企画・プロデュース:佐藤慎太朗
製作幹事・制作プロダクション:murmur
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
Ⓒ武田綾乃/講談社 Ⓒ2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会
公式HP:aisare-betsuni.com  
公式X&Instagram:@aisare_betsuni

2025年7月4日(金)~ 新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX(八尾、堺、京都、あまがさき)、kino cinema神戸国際 ほか全国ロードショー!


(オフィシャル・レポートより)

 
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『夜明けまでバス停で』の脚本家、梶原阿貴と再タッグを組み、東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡の半生を映画化した高橋伴明監督最新作『「桐島です」』が、2025年7月4日(金)よりなんばパークスシネマ、MOVIX京都、MOVIXあまがさき、イオンシネマ和歌山、京都シネマ、7月5日(土)より第七藝術劇場、元町映画館にて公開される。
 本作で半世紀に渡る桐島の逃亡人生を一人で演じきった主演、毎熊克哉さんにお話を伺った。
 
 
1毎熊克哉、伊藤佳範、奥野瑛太スクリーンショット 2024-11-30 000109.png

 

■ピースを少しずつ集めて埋めていくイメージの役作り

――――キャスティングの経緯について教えてください。
毎熊:2024年1月に桐島聡と名乗った男性の死亡を伝えるニュースが流れ、その数ヶ月後には脚本ができたぐらい、撮影まですごくスピード感があった企画でした。桐島役で声をかけていただき、迷わず「やらせてください」と伝えました。
 
――――大役ですが、役作りをはどのようにされたのですか?
毎熊:役作りは無限にある。つまり正解がないものだし、どこに突破口があるのかと、どの役でも毎回試行錯誤しています。桐島の場合、「さそり」として活動していたのがどんな時代だったのかを調べました。「ウチダヒロシ」として生きていた時代は情報も少なく、また人によってウチダに対する印象も変わるわけです。自宅にギターがあり、音楽が好きだったという証言もあったので、ギターの練習をするのも役作りの一つでした。そういう風に、今回はピースを少しずつ集めて埋めていくようなイメージの役作りになっていました。
 
――――ちなみに、桐島のニュースを聞いたときの印象は?
毎熊:みんながずっと気になっていた人物がやっと捕まったというより、昔埋めたタイムカプセルがやっと見つかったという感覚でした。リアルタイムにその事件を目の当たりにしたわけではないので、何をやったのか詳細はわかっていなかったけれど、指名手配写真によって桐島のことが頭の中に勝手に刷り込まれていたのでしょう。ニュースを見た時も「まだ桐島は生きていた、しかも(自分の)近くで」と思いましたね。
 
――――しかも桐島は毎熊さんと同じ広島出身ですね。
毎熊:ちょうど地元も同じで、桐島が登場する20代最初のころは、まだ方言の名残があってもいいのではないか。より地方出身者の雰囲気が出ればと思い、伴明監督に相談して序盤は備後弁という広島市内の安芸弁とは少し違う方言を取り入れました。
 
――――広島弁も場所によって違いがあるんですね。
毎熊:僕も出身が岡山のすぐ隣の福山市だったので、岡山弁が少し混じっているんですよ。後半にウチダが出身地の話で桃太郎に言及するシーンがありましたが、広島の福山とは言わず、岡山を代表する桃太郎を持ってくるあたりがなんだか可愛らしいし、序盤の備後弁が効いてくるんですよ。
 
――――台本を読んで、桐島の印象は変わりましたか?
毎熊:ものすごく淡々と出来事が起きていくのに、桐島の優しさや、時代に取り残されていく寂しさ。さらに、ウチダとして約50年生きてきたからこそ、現代に対するやり場のない怒りも感じましたね。
 
 
2北香那、毎熊克哉スクリーンショット 2024-12-03 005829.png

 

■桐島役の醍醐味とは?

――――無口なキャラクターなので、動きや歩き方など、全身で桐島がウチダとして生きた人生を表現されていましたね。後ろ姿も儚い感じがしました。
毎熊:俳優として、セリフで何かを伝えるために声に意識を向けてトレーニングをすることもあります。一方、映画はスクリーンで観ることを前提にしていると思っていますから、スクリーンで鑑賞をすると圧倒的にセリフよりも表情や姿の方が強烈に情報として入ってくるのです。例えば高倉健さんは、出演作でそんなにしゃべらないけれど、その姿をスクリーンで観る側が自然とその演技から情報を受け取るわけです。
 
今回の場合、セリフよりも人の話に対するリアクションで心情の変化を見せるところが、この役の醍醐味だと思いました。外でウチダとして仕事をしたり、音楽バーにいる姿と、ひとりで家にいる姿は全然違います。家では淡々とルーティーンが繰り返されるだけですが、その中でも毎朝、窓を開けて外を眺めるときの心情の変化は一番大事にしていましたね。
 
――――特に最晩年の桐島は演じるのが難しかったのでは?
毎熊:伴明監督は75歳ですが、その後ろ姿に生きてきた長さだけではない色々なもの、雰囲気を感じ取るところがありました。この桐島聡が生きてきた70年という長さを、歩く足取りの重さでちゃんと表現できれば、セリフよりもその哀愁を感じていただけるのではないかと思っていました。
 
――――桐島を演じてみて、彼に共感を覚える部分はありましたか?
毎熊:ふと闘争の道に足を踏み入れてしまった人のような気がするのです。元々過激な思想を持ち、自らが先頭に立ってというタイプではなく、たまたまそういう仲間と出会い、爆弾闘争の道に入ってしまったというイメージがあります。僕はずっと映画をやりたいと思い、気づいたら20年近く俳優をやっていますが、このまま続けて70代になったとき、「他の人生があったかも」と思うかもしれない。だからやり続けるという気持ちと、どこかで足を止めるという気持ちが桐島には両方あったのではないでしょうか。僕も他に趣味があるわけでもなくて、毎朝、今日も(俳優を)やるか…という感じなので、そこは共感する部分かもしれません。
 
 
6毎熊克哉_指名手配スクリーンショット 2024-12-03 004829.png

 

■ “名乗り出るシーン”に込めた想い

――――高橋伴明監督とは撮影前や撮影中にどんな話をしたのですか?
毎熊:撮影前はオファーを受けるかどうかで、わざわざ監督が時間を作ってくださり、桐島ら「さそり」のメンバーが爆破事件を起こした当時、どう思っていたのかなど1時間ぐらいお話をしました。ただ桐島をどのように演じてほしいというような具体的な指示は現場に入ってもほとんどなかったです。
 
特に病棟で看護師に「桐島です」と名乗るところは、撮影の旅の間、どういう感じで言えばいいのかとずっと考えていました。中盤で撮影メンバーが晩御飯を一緒に食べる機会があり、伴明監督にそのことを相談してみたのです。桐島のそれまでの人生を踏まえ、いろいろな考えがある中で「闘いに勝った」という気持ちや、最後ぐらい自分の名前を公にしたいなど、さまざまな気持ちがあったはずです。でも、あまりどれかに寄らない方がいいとその段階では思っていることを伝えました。すると伴明監督も「俺もそう思っているんだよね」と。
 
――――ある意味、ご自身で自由に桐島像を作り上げていかれたと?
毎熊:演じる環境はきちんと用意されていますから。しかも伴明監督は場合によってはリハーサルもしないぐらい、撮るのが速いんです。特に問題がなければ、大体ほぼ一発撮りでした。まさに、さらっと撮る感じですね。「桐島です」と名乗るところは、お客さまからすれば肩透かしになるかもしれませんが、映画としてはいろいろなものを受け取ってほしいと思って演じました。感情を煽るような形でウエットな言い方は嫌だなとか、逃げ切ったという気持ちの強さを出すとウエットな部分が弱くなってしまうなとか。あくまでもいろいろなことがあった上で、桐島が意識朦朧の中で、ただ「さそりの桐島です」と言ったように聞こえてくると、お客さまが映画の中で見た光景の中から、それぞれ感じ取ってもらえるのではないかと思っています。
 
 

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■高橋伴明監督自身の想いでもある「やさしさを組織せよ」

――――劇中の桐島の信念は50年間変わらなかったけれど、その間世の中は大きく変化し、人々の価値観や行動倫理も変わってしまいました。だからこそ桐島にはそういう世の中に対する怒りもあったのではと思ったのですが。
毎熊:若い頃は搾取に対する正義感があったし、もっと他のやり方があったはずですが、彼らはあのときは爆弾しか思いつかなかった。そこからどんどん時代が進み、自分たちが具体的に活動していた頃より、さらにダメな世界になっていないかというすごく残念な気持ちを抱いていた気がします。後半、人種差別の言葉を吐く若い同僚に対して怒るシーンがありますが、彼に怒っているのではなく、彼のような青年がいる現実に対して、なぜなんだ!という気持ちが渦巻いていた。映画でも「やさしさを組織せよ」という言葉が登場しますが、なぜやさしい世界はないのかと、より感じていた気がします。そして、それは前作の『夜明けまでバス停で』と同様に伴明監督自身の想いでもあると思います。
 
――――最後に、本作は第20回大阪アジアン映画祭のクロージング上映作品となりましたが、暉峻プログラミングディレクターはインタビューで、この作品が毎熊さんの代表作になるのは間違いないと太鼓判を押しておられましたが、毎熊さんにとってどんな作品になりそうですか?
毎熊:僕も20代は俳優の仕事がなく、アルバイトで食いつなぐ生活でそれでも辞めずに続けてきた結果、30代直前に自主映画『ケンとカズ』で人に自分の名前を知ってもらえるような名刺代わりの作品ができました。そこからいろいろな役を演じ、いろいろな経験を積み重ねてきました。その上で演じた『「桐島です」』は、僕自身がまた違う何かになる可能性を秘めた作品だと思っています。それがいいのか、悪いのか、どれぐらいの大きさのものなのかはわからないけれど、僕自身は伴明監督が撮る映画で、最初から最後までずっと出演している大当たりの役をいただいたと思っています。
(江口由美)
 

<作品情報>
『「桐島です」』
2025年 日本 105分 
監督:高橋伴明 脚本:梶原阿貴、⾼橋伴明
出演:毎熊克哉
奥野瑛太 北⾹那 原⽥喧太 ⼭中聡 影⼭祐⼦ テイ龍進 嶺豪⼀ 和⽥庵
伊藤佳範 宇乃徹 ⻑村航希 海空 安藤瞳 咲耶 ⻑尾和宏
趙珉和 松本勝 秋庭賢二 佐藤寿保 ダーティ⼯藤
⽩川和⼦ 下元史朗 甲本雅裕
⾼橋惠⼦
2025年7月4日(金)よりなんばパークスシネマ、MOVIX京都、MOVIXあまがさき、イオンシネマ和歌山、京都シネマ、7月5日(土)より第七藝術劇場、元町映画館にて公開
 
公式サイト→https://kirishimadesu.com/
©北の丸プロダクション
 

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ゴニョゴニョ版」秘話から堀監督の寺修行まで!

笑いあり、驚きありのエピソード満載の堀貴秀監督の約3年間の軌跡

 

独学でストップモーションアニメ制作に挑んだ堀貴秀監督の情熱と才能が結実したSFストップモーションアニメ映画『JUNK HEAD』。この作品は、2017年にカナダ・モントリオールで開催されたファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を受賞し、数々の国際映画祭で高い評価を得ました。2021年3月には待望の国内公開を果たし、口コミを通じて熱狂的な支持を集め、ミニシアターランキングで2週連続1位を獲得。興行収入は1.4億円を突破し、カルト的人気を博しました。


そして、2025年6月12日、待ちに待った『JUNK WORLD』の公開日を目前に控えたカウントダウン上映の日を迎えました。深夜にもかかわらず、会場は熱気に包まれ、観客の皆さんの期待がひしひしと伝わってくると共に、3年間の堀監督やスタッフ陣の情熱と努力を感じられる素晴らしい時間となったカウントダウン舞台挨拶の様子を、堀貴秀監督と鳥羽洋典プロデューサーのトーク内容を振り返るオフィシャルレポートをご紹介いたします。
 



いよいよ公開!『JUNK WORLD』への熱い想い

222A0027.JPG舞台挨拶の冒頭、進行役で本作のプロデューサーを務める鳥羽が「堀監督が約3年間、ひたすら作り続けた作品がついに完成しました!」と感慨深げに語り、堀貴秀監督も登場!観客の大きな拍手に迎えられながら、晴れやかな笑顔で登壇した堀監督。約3年間という長い道のりを振り返りつつ、「この作品が皆さんにどう受け取られるか、とても楽しみです」と期待と不安の入り混じった率直な思いを語った。


「日本語吹替版」と「ゴニョゴニョ版(日本語字幕)」制作の裏側

『JUNK HEAD』では独特な造語「ゴニョゴニョ版」が話題となったが、今回『JUNK WORLD』では日本語吹替版とゴニョゴニョ版(日本語字幕)の2種類を上映する。堀監督曰く「今回は最初から日本語版だけで進めるつもりだったんですが、鳥羽Pの要望で急遽ゴニョゴニョ版も作ることになったんです」とのこと。鳥羽Pは「てっきり最初から2パターン作るんだって思ってたら、『ゴニョゴニョ版なんかやらないでしょ』と堀監督が言い出したので、『いやいやいや』と驚いた」と言う。堀監督は「今回ストーリーが4幕構成でちょっと複雑な感じなんで、それを字幕にするとやはり厳しいなと思って。でも、結果として両方やって良かった」と打ち明けた。ゴニョゴニョ版という命名については、「最初は『ジャンク語』にしようと思ったんだけど、なんか硬いなとか思って」と堀監督が話すと、鳥羽Pも「いいんじゃないですか?ゴニョゴニョ版で。少しふざけた感じもいいですし。そもそも(邦画の)アニメ映画で吹き替え版と字幕版があるなんて、他にディズニー映画以外ないですからね」と語った。さらに、吹き替え版についてはプロの声優を起用せず、監督とスタッフだけで声を担当しているとのこと。鳥羽Pは「ザッツ・ハンドメイド感」が満載で、このこだわりが作品に独自の魅力を与えていると感じるとも語った。


制作秘話:お寺で絵コンテ修正?!

話題は『JUNK WORLD』の成り立ちの話に。堀監督は「物語を練り直すためにお寺にこもった」という。ネットも繋がらない山奥のお寺で、1週間以上断食しながら絵コンテを修正したそう。「最初は断られたけど、少し世間でバズった映画監督だと分かった途端に泊めてくれました」と笑いながら話す堀監督。その結果、物語はさらに深みを増し、よりスケール感を増した続編『JUNK WORLD』が誕生したのだ。


プレハブ改造から3Dプリンター導入まで!制作現場の裏側

222A0046.JPG『JUNK HEAD』から『JUNK WORLD』への進化は目覚ましいものがある。今回は3DプリンターやCG技術を導入し、映像の密度やクオリティが格段に向上した。それでも制作チームはわずか6人という少人数体制!さらに、CGパートについてチーム内に経験者はゼロというところから「やりながら覚える」という超アグレッシブなスタイルで挑んだとのこと。
今回の制作ではアトリエまで改造。元々平屋だったプレハブを無理やり2階建てにしてしまうというDIY力も発揮。『JUNK HEAD』の時は住居スペースも兼ねていたが、『JUNK WORLD』では完全に作業スペース化したとのこと。また3DプリンターやCGの導入も、あらゆる世界事情の影響で材料が届かず制作が遅れる事態もあったという。

撮影用のカメラ選びでは、最初はフルサイズの一眼レフ高級カメラを使っていたけど、「これじゃダメだ!」と安いカメラに買い直したとのこと。普通、「高ければいい」と思いがちなところを、逆行してしまうあたり、堀監督の美学を感じさせるエピソードだ。セットについても、カメラで引きを撮れば済みそうなところを、わざわざ造形物のほうを巨大化させるというこだわりっぷり。鳥羽Pも「いやいや、それ必要?ってツッコミたくなりますが、その無駄にも見える情熱こそが作品を特別なものにしているんでしょうね」と語った。また、堀監督は「物理的な造形物にもこだわり続けた」と語り、乗り物やキャラクターのセットを画面には映らないものの、実際に動かせるよう作り込んでいることも明かした。その結果、映像からリアルな質感や重厚感が伝わってくる。堀監督のこだわりについて、鳥羽Pは「普通なら『ここだけ撮れればいいや』と部分的に作るところを、ちゃんと乗れる&変形する機構まで作っちゃうんです。しかも、その変形シーンが映像で使われるわけでもないという…。それ作る必要あった?でも、やはりその「無駄」にこそ監督の魂が宿っている気がします」と感心しきりだった。


最後に:観客へのメッセージ
舞台挨拶の最後には、観客への感謝と公開への期待が語られた。「皆さんの感想や口コミが、この映画の未来を左右します。ぜひSNSで感想をシェアしてください!」という鳥羽Pに続き、堀監督も「3作目もさらに面白いものを作りますので、引き続き応援よろしくお願いします!」

と力強く宣言した。そして、まもなく日付が変わる午前0時を迎えるタイミングで、場内の観客とともにカウントダウン!0時になり『JUNK WORLD』が無事に公開された。

※ゴニョゴニョ版とは、堀監督が作った独自のゴニョゴニョした言語でキャラクター達が話す

 


<堀貴秀監督経歴>
1990年 大分県立芸術緑丘高等学校卒。
2000年 アートワーク専門の仕事で独立。
2009年12月 短編『JUNK HEAD 1』(30分版)を自主製作として制作開始。
2013年10月 短編『JUNK HEAD 』(30分版)完成。
2013年11月 渋谷アップリンクにて一日だけ自主上映を行う。
2014年1月 『JUNK HEAD1』をYouTubeに無料公開。クラウドファンディングで続編の制作費募集をするが失敗。
2014年2月 クレルモンフェラン国際映画祭(フランス)アニメーション賞受賞。
2014年3月 ゆうばりファンタスティック映画祭(北海道)短編部門グランプリ受賞。
2015年1月 株式会社やみけん設立。長編『JUNK HEAD』制作開始。
2017年4月 長編「JUNK HEAD」完成。海外国際映画祭で入賞入選多数。
2021年3月26日 『JUNK HEAD』劇場公開
2022年6月 「JUNK」シリーズ第2弾『JUNK WORLD』制作開始。


『JUNK WORLD』

<INTRODUCTION>
ファンタジア国際映画祭最優秀長編アニメーション賞受賞等、様々な映画祭で 高く評価され、更には『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞(R)を受賞した ギレルモ・デル・トロ監督

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に大絶賛された前作『JUNK HEAD』。

日本国内でも注目を浴び、多くの観客が劇場に足を運び興行的にも成功を収めた。 最新作『JUNK WORLD』は、前作の世界観をさらに深化させ、1042年前の壮大で複雑な地下世界を舞台にした失われた未来の物語。ダークでありながらユーモアと温かみを感じさせる新たなキャラクター達も登場し、その独創的なデザインと緻密な手作業による驚愕の映像美でストーリーが展開する。一コマ毎に撮影し、3年の制作期間を経て完成した SFストップモーションアニメ映画の傑作が誕生する。

<STORY>
遥か昔、人類は地上の生息域減少により地下開発を進めた。その労働力として人間に似せた人工生命体のマリガンを創造。しかしマリガンは自らのクローンを増やして勢力を広め人類に反乱。
第3次停戦協定から230年後の世界。人類は地上に留まり地球規模に広がった地下世界をマリガンが支配していた。

地下世界に異変が-
急遽、人間とマリガンによる地下世界の異変を探る調査チームが結成された。
女性隊長トリス率いる人間チームと、クローンのオリジナルであるダンテ率いるマリガンチームは共に目的地である地下都市カープバールを目指すが、マリガンのカルト教団「ギュラ教」に襲撃されてしまう。彼らの標的は希少種とされる人間の女性=トリス。しかしトリスにはロボットのロビンが護衛として帯同していた。

「トリス様をお守りする」
「ギュラ教」と戦い、調査を進めるが、圧倒的な戦力の差に苦戦を強いられる調査チーム。その激しい攻防の中で彼らは次元の<歪み>を発見する。そしてロビンはトリスを守るため次元を超えた作戦を計画するが-。
地下世界に隠された謎と異変の正体とは?そして次元を超えた戦いの末にロビンが下す決断とは?


◆ 監督/脚本/撮影/照明/編集:堀貴秀

2025年/日本/日本語/104分/PG12
配給:アニプレックス
クレジット:(c)YAMIKEN

公式HP:https://junkworld-movie.com/
公式X:https://x.com/JUNKWORLD_movie

2025年6月13日(金)~新宿バルト9、T・ジョイ梅田、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド、TOHOsイネマズ西宮OS ほか全国公開


(オフィシャル・レポートより)

 
 

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『ハルビン』

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◆提  供: KADOKAWA

◆募集人数: 2 名様

◆締め切り:2025年7月11日(金) 

◆公式サイト:https://harbin-movie.jp/
 
 
 
 

2025年7月4日(金)~新宿ピカデリー、kino cinema心斎橋、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX(堺、八尾、京都、あまがさき)、kino cinema神戸国際、ほか全国公開
 


 

韓国観客動員数4週連続第1位!

アジアを震撼させた歴史的な事件の裏側を壮大なスケールで描く

極限サスペンス・エンターテイメント
 

【STORY】
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1908 年、咸鏡北道(ハムギョンブクト)シナ山で、安重根アン・ジュングン(ヒョンビン)率いる大韓義軍は劣勢にもかかわらず勇敢に戦い、日本軍に勝利を収める。万国公法に従って戦争捕虜たちを解放すると主張するアン・ジュングンに対し、イ・チャンソプ(イ・ドンウク)は激しく反論。結局、自らの兵を率いてその場を去ってしまう。
その後、逃した捕虜たちから情報を得た日本軍の急襲を受け、部下たちを失ってしまったアン・ジュングンは、なんとかロシア・クラスキノの隠れ家に帰り着く。しかし、彼を迎えた同志たちの視線は厳しかった。
1909年10月、日本の政治家である伊藤博文(リリー・フランキー)が大連からハルビンに向かうとの情報を得たアン・ジュングン。祖国の独立を踏みにじる「年老いた狼」を抹殺することこそが、亡くなった同志たちのために自分ができることだと確信した彼は、ウ・ドクスン(パク・ジョンミン)、キム・サンヒョン(チョ・ウジン)とともに大連行きの列車に乗るが、日本軍に察知されてしまう―――。

監督: ウ・ミンホ(『KCIA 南山の部長たち』『インサイダーズ/内部者たち』)
脚本:キム・キョンチャン、ウ・ミンホ
撮影:ホン・ギョンピョ『パラサイト 半地下の家族』
出演: ヒョンビン「愛の不時着」『コンフィデンシャル:国際共助捜査』
パク・ジョンミン『密輸 1970』 チョ・ウジン『インサイダーズ/内部者たち』
チョン・ヨビン「ヴィンチェンツォ」 パク・フン『ソウルの春』
ユ・ジェミョン「梨泰院クラス」 イ・ドンウク「トッケビ ~君がくれた愛しい日々~」
リリー・フランキー『万引き家族』 チョン・ウソン(特別出演)『ソウルの春』
2024 年/韓国/114分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/映倫G/字幕翻訳:根本理恵
原題/하얼빈 HARBIN 韓国公開日 2024年12月24日
ⓒ 2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
提供:KADOKAWA Kプラス MOVIE WALKER PRESS KOREA
配給:KADOKAWA、KADOKAWA K プラス
公式サイト:https://harbin-movie.jp/
公式X:https://x.com/harbin_movie


2025年7月4日(金)~新宿ピカデリー、kino cinema心斎橋、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX(堺、八尾、京都、あまがさき)、kino cinema神戸国際、ほか全国公開



(オフィシャル・リリースより)
 


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aisarenakutemobetuni-pos.jpg「響け!ユーフォニアム」で知られる武田綾乃の同名小説が原作の映画『愛されなくても別に』が、日本最年少でカンヌ国際映画祭への出品を果たした井樫彩監督の最新作が、2025年7月4日(金)公開となる。毒親、虐待、性暴力など家族間で生じる問題から社会のひずみに切り込みつつ、その世界をサバイブする女性たちの清々しさと、「不幸中毒」からの脱却までを鮮やかに描いた本作。

浪費家の母親に依存される主人公・宮田陽彩(みやた・ひいろ)役南沙良、過酷な家庭で育つ過去を持ち、陽彩と徐々に心を通わせていく江永雅(えなが・みやび)役馬場ふみかが演じた。


公開に先駆けて本日6月8日(日)に南沙良、馬場ふみか、井樫彩監督が登壇する完成披露舞台挨拶を行った。イベントでは、アクティングコーチの指導のもとで行ったレッスンについてや撮影中の印象的なエピソードを語った。そして6月に誕生日を迎える南と馬場に向けて、井樫監督からサプライズで花束が贈られる一幕もあり、会場は温かい拍手に包まれた。
 


◆日程:2025年6月8日(日)

◆会場:丸の内ピカデリー2(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン9F)

◆登壇者:南沙良、馬場ふみか、井樫彩監督(計3名)


<以下、レポート全文>

映画上映後、満員の観客の前に立った登壇者たちには大きな拍手が送られた。この日初めて一般に向けての上映であり、SNSでは「2人が共に過ごす日常がとても愛おしかった」「日々感じている不安やしんどさが、少し晴れた気がします」といった高評価の声が次々と寄せられていた。


劇中で南が演じる陽彩、そして馬場が演じた雅ともども、親子関係に何らかの事情を抱えたキャラクターだったが、この役を演じるにあたり、「監督とも、現場でそれほど話すことはなかった」というふたりだが、「でも井樫監督が、クランクインする前に(キャラクターの背景などが詳しく記された)資料のようなものをつくっていただいて。それがお芝居に役に立ちましたね」と南が語ると、馬場も「そこには小学何年生の夏休みに家族と出かけたとか。学生時代、クラスの中でどういう存在だったとか。そういうことが書かれていたんです」と補足する。


aisarenakutemobetuni-bu-南沙良様.JPG南と馬場のふたりは、本作のクランクイン前にはアクティングコーチのもとに通い、レッスンを受けたという。その時のことを馬場は「その際に、本編では描かれていなかった母親とのシーンを実際にレッスンでやらせていただいて。それ自体は、(劇中で)陽彩(ひいろ)に話している内容のことだったんですけど、クランクインの前にそれを一度(芝居で)やっていたことで、そのシーンを演じることに対してもそうですし、雅(みやび)という人物を理解するという点でも役に立った」と述懐。その意図について井樫監督も「彼女たちにとって、役をやる上で手助けになることは何だろうと思って。シーンに描かれてないこととか、そういうことが本編に影響するんじゃないかなと思い、やってもらったという感じですね」と明かす。


そうやってあらためて演技について学ぶというのも、ふたりにとって非常に刺激的だったようで、南が「今までお芝居について学ぶ機会があまりなかったので。これまでワークショップに行ったことはあったんですけど、座学で学ぶという機会が本当になかった。だからすごく新鮮でしたし、勉強になりました」と語ると、馬場も「台本をいただいてから、カメラの前に立つまでに、どういう順番で、どういう風に役をつくって準備していくか、ということを、机と椅子に座って話を聞いて勉強したんですけど、今まで本当にこういう機会がなくて。現場でなんとかするという感じだったので、これからお芝居を続けていくにあたっても、すごく助けになるなと」と晴れやかな顔を見せた。


aisarenakutemobetuni-bu-馬場ふみか様.JPG実際に原作を読んでみた時のことを南が「3人が抱えているものは決して明るいものではないけど、でも悲観的じゃないというか。わたしは原作でも、わりとずっとトゲのある悪口が出てくるんですけど、それを読んでほほえましい気持ちにもなりましたし、それがちゃんと一歩前に進む物語になっていて。すてきだなと思いました」と振り返ると、馬場も「わたしもすごくグッサリときたシーンがあって。陽彩が、雅のことを人間扱いしてくれるのが好きだというところなんですが、(それまで雅は)他人からも自分からも女扱いされてきたということもあって。もちろんそれは駄目なことではないんですけど、それが苦しいなと思ってグッサリときた。そういえば自分でもそういう風に考えた瞬間があったなと思い出しました」と語った。


また南は印象的なシーンとして、池に浮かぶ場面を挙げた。「私、水がそもそも苦手なんです。浸かるのが怖くて。気持ちの面でもそうだし、物理的にもすごく大変でした」と当時を振り返る。撮影時にはなかなか水に浮かぶことができず、監督が横で背中を支えてくれたといい、井樫監督は「外から偉そうに見ているだけじゃダメだなと思って」と語り、現場で監督自ら直接体を張って撮影していたことを語った。一方、馬場が挙げたのは自転車の二人乗りシーン。「結構な山道で、カーブの多い下り坂。南さんを後ろに乗せて、前には軽トラに乗ったカメラがいて、その距離を保ちながら安全に運転して、なおかつセリフも言わなきゃいけない。やることが多すぎて、かなり大変でした」と撮影時の苦労を語った。


また過干渉な親から逃れるべく新興宗教にはまっていく大学生の木村水宝石(あくあ)を演じた本田望結と共演について南は、「本田さんとは年齢が近くて。わたしもわりと人見知りな方ですけど、本田さんもけっこう人見知りなんですよ」と明かす。その言葉に「でも2人で結構楽しくしゃべっているなと思っていましたけど」と馬場がかぶせると、南も「実はその時、わたしがハマっているゲームがあって。それなんですか?と聞いてくださって。それはペットを育てるゲームだったんですけど、ふたりで一緒に育てていました」と明かした。


aisarenakutemobetuni-bu-井樫彩監督.JPG今となっては、南も馬場も和気あいあいとした雰囲気で仲良さげであるが、実は最初のうちは、ふたりとも人見知り同士で、なかなか話せなかったという。馬場が「最初はどうやってしゃべろうかなと思っていたんですけど、毎日撮影で一緒にいることが多かったんで。お互いの存在にどんどん慣れていく感じがあって。それが実際の陽彩と雅の関係性にもすごく反映されて、仲良くなってきたなと感じました」と振り返ると、それを補足するように井樫監督も「撮影中、気付いたらふたりが隣同士で座っていて。ただ無言で座っているのがいいなと。別に社交辞令的な会話もないし、ふたりでボソボソしゃべって、お茶を飲んでいるだけ。その空気感がすてきだなと思いました」と述懐。その言葉を聞いた馬場が「でもそうやって休憩中とか、ふたりで待っている時とかに、気付いたら井樫さんがスッと現れて。わたしたちの写真を撮って、そして去っていく、という感じでした」とコメント。その言葉に井樫監督も照れくさそうに、「けっこうその写真が大量にあります」と笑ってみせた。


くしくも6月11日は南の23歳の、そして6月21日は馬場の30歳の誕生日ということで、井樫監督よりサプライズで花束をプレゼントすることになり、これにはすっかり驚いた様子のふたり。そこで1年の抱負を尋ねられた南は「体調を崩さず健康に。去年1年もそうだったんですが、より新しいことにチャレンジしていける1年になったらいいなと思っています」とコメント。そして馬場も「ちょうど30代に入るということで。先輩方からも30代は楽しいぞとすごく言われるので、楽しみにしています。楽しく、健康な日々を営んでいきたいと思っています」と決意を語った。


そんな和気あいあいとした舞台挨拶も終盤。最後のコメントを求められた馬場が「チラシや予告編を見ると、重くて苦しい作品のように感じられるかもしれないですが、実際に観終えた後は、さわやかさだったり、ちょっとした”光”を感じられるような、そんな作品になっているんじゃないかなと思っておりますので。これから皆さまにも公開までたくさんの方に宣伝をしていただいて。いい初日を迎えられるように頑張っていきたいです」とあいさつすると、南も「本当に、生きるということだけですごく難しいことだなと、わたしは日々思っていて。そしてそう思う方もたくさんいらっしゃると思うんです。だからそういう方に届いたらいいなというか、登場人物たちの悩みや勇気、そういったものに寄り添えたらいいのではないかなと思っています。なので、たくさんの方に観ていただけたらいいなと思います」とメッセージ。


そして最後に井樫監督が「毒親というところからの起点の物語ではあるんですが、陽彩と雅というふたりの女性が、自分の人生を力強く歩んでいこうとする物語になりますので、観てくださった方の心に少しでも引っかかるものがあったら本当にうれしいなと思っております。気に入ったら是非口コミをしてくださるとうれしいです」と呼びかけて、この日のイベントを締めくくった。


【Story】

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宮田陽彩(みやた・ひいろ)(19)は、“クソ”のような大学生活を送っていた。
大学に通い、それ以外の時間のほとんどを浪費家の母に変わっての家事とコンビニでのアルバイトに費やし、その中から学費と母と2人暮らしの家計8万を収める日々。遊ぶ時間も、金もない。
何かに期待して生きてきたことがない。親にも、友人にも・・・。
いつものように早朝にバイトを終えた宮田は、母のために朝ご飯を作り、家事をした後に大学に登校していた。そこで大学の同級生であり、バイト先の同僚でもある 江永雅(えなが・みやび)(24)のひょんな噂を耳にする。威圧的な髪色、メイク、ピアス──バイト先ではイヤホンをつけながら接客する、地味な宮田とは正反対の彼女の噂。
「江永さんのお父さんって殺人犯なんだって」
他の誰かと普通の関係を築けないと思っていたふたり。ふたりの出会いが人生を変えていくー。

【クレジット】

出演:南沙良  馬場ふみか 本田望結  基俊介 (IMP.)  伊島空  池津祥子  河井青葉
監督:井樫彩 
原作:武田綾乃『愛されなくても別に』(講談社文庫)
脚本:井樫彩/イ・ナウォン
主題歌:hockrockb「プレゼント交換」(TOY'S FACTORY)
企画・プロデュース:佐藤慎太朗
製作幹事・制作プロダクション:murmur
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
Ⓒ武田綾乃/講談社 Ⓒ2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会
公式HP:aisare-betsuni.com  
公式X&Instagram:@aisare_betsuni

2025年7月4日(金)~ 新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX(八尾、堺、京都、あまがさき)、kino cinema神戸国際 ほか全国ロードショー!


(オフィシャル・レポートより)

 
 



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『囚人ディリ』、『ヴィクラム』のローケーシュ・カナガラージ監督が、『マスター 先生が来る!』に続き再びヴィジャイとダッグを組んだインドの大ヒットクライム・アクション『レオ:ブラッディ・スウィート』(原題:LEO/配給:SPACEBOX)の特別先行上映会が、埼玉のSKIPシティービジュアルプラザ映像ホールで13時から行われ、上映後にインド文化研究家、本作の字幕監修:小尾淳氏によるトークショーが行われた。


LEO-6.7-500-2.jpg司会から「小尾さんは、本作を含めローケーシュ・カナガラージ監督の「囚人ディリ」、現在公開中の「ヴィクラム」の3作品の字幕監修をご担当されています。まず、『レオ』をご覧になったご感想をお聞かせください」と聞かれると「皆さんご存じのように、本作はローケーシュ監督がデヴィット・クローネンバーグ監督の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」に着想を得て製作されました。比較して見ましたが、ヴィジャイがカリスマ性がすごく、平凡な男と何度も言われているが、全然平凡ではありません。監督のインタビュー映像を探してみてみたのですが、平凡な男パールディバンを8割描いたということです。レオの見分け方、どこでレオになるのかという所ですが、グレーな境界線はあるのですが、レオはチェーンスモーカーというところがポイントだという事です。ワシがいい動き、役割をしています。最後にたばこをふかし交信するシーンがあります。鷲は30年ぐらい生きるので、20年前のレオのことをおぼえている。あらゆる動物と交信できるようなキャラクター設定にしたと話しています。


LEO-6.7-500-1.jpgブチハイエナが大きな存在感を持つのですが、名前がスブラマニと言い、少し神様的な名前かと思いました。スプラマニとかチュプラマニとか、ヴィジャイの発音がセリフによって違ってくる。字幕翻訳家の渡辺はなさんや配給さんと話しました。タミル語はスとチュ、ブとプを同じ文字で表します。渡辺さんがチュプラマニの方がかわいいのではという事でその表記を採用しました。皆さんにかわいいと思って頂ければと思っています。


チュプラマニは、カマル・ハーサンの映画「三つ目の三日月」(原題:Moondram Pirai/ 1982/未)いう作品の中でシュリデヴィが飼っていた犬の名前ではないかというトリビアがあります。


LEO-500-1.jpgヴィジャイの一人二役が印象的でした。「カッティ 刃物と水道管」のカディルとジーヴァ、「ビギル 勝利のホイッスル」のラーヤッパンとマイケル・ラーヤッパンと、非常に巧みに演じ分けられたヴィジャイですが、今回は過去を封印して平凡な男を演じています。家族にも完全に封印している。サティヤに「何で疑うんだ」と泣いていたシーンがあり、最後までどっちなんだ、レオは誰なんだと考えながら見ていました。


LEO-pos.jpgワシに関しては、「ヴィクラム」で置物が出たり、オープニング曲のタイトルにも使われたりしている。ヴィクラムはヴィシュヌ神に関係している部分もあります。「ヴィクラム」と「レオ」の関係性も、そこからワシが関係していると読み取れる。ラスト近くで電話がかかってくるシーンで、その声が誰なのか、ワシだけが知っている。ローケーシュ監督の張り巡らせた謎解きに夢中になりました」と語った。


続いて、小尾さんの後について観客席の皆さんも印象的なセリフをタミル語で話したり、ヴィジャイ演じる主人公のキーになるタバコの銘柄に関するトリビア、作品の中に見るインドの風習の話等で、楽しいトークは終了した。

321席の座席はほぼ満席、主演のヴィジャイ人気の高さを反映してか、8割が女性だった。
 


【ストーリー】

インド北部、ヒマーチャル・プラデーシュ州シムラーに近いテオグの町。カフェを経営し、動物保護活動家でもあるタミル人のパールティバンは、妻と2人の子供とともに平穏な暮らしを営んでいた。しかしある時、シャンムガムが率いる凶悪な強盗団が一帯を荒らしまわり、夜にパールティバンのカフェに侵入する。レジの現金を渡してその場を収めようとするパールティバンだったが、女性スタッフと彼自身の娘に危害が及びそうになり、反撃に出る。驚くべき身体能力で5人の敵をあまりにも手際よく仕留めた彼に、周囲の人々は唖然とする。事件が大きく報道されると、彼を標的として複数の闇の勢力が動き始める。その中には彼を“レオ”と呼んでつけ狙う謎の男たちもいた。“レオ”とはいったい何者なのか?
 

監督:ローケーシュ・カナガラージ
脚本:ローケーシュ・カナガラージ、ラトナ・クマール、ディーラジ・ヴァイディ
撮影:マノージ・パラマハムサー 音楽:アニルド  
出演:ヴィジャイ、トリシャー・クリシュナン、サンジャイ・ダット、アルジュン・サルジャー
原題:LEO/2023年/タミル語/R15+/161分
© Seven Screen Studio
配給:SPACEBOX
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/leo/

2025年6月20日(金)~新宿ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、シアターセブン、アップリンク京都、MOVIXあまがさき、kino cinema神戸国際、塚口サンサン劇場、他にて全国順次公開。


(オフィシャル・レポートより)


bubu-bu6.7-550.JPG(左から、大友律、小野寺ずる、深川麻衣、室井滋、松尾貴史、富永昌敬監督)


【日時】2025年6月7日(土) 11:50~12:20 

【場所】テアトル新宿 (〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目14−20 新宿テアトルビル B1階)

【登壇者】深川麻衣、小野寺ずる、大友律、松尾貴史、室井滋、冨永昌敬監督(敬称略)


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なんでも言葉通りに受けとったらあかんで!豪華キャストで贈る、奇想天外なシニカルコメディ『ぶぶ漬けどうどす』がついに全国公開を迎えた。公開2日目の6月7日(土)には都内映画館で公開記念舞台挨拶が実施され、主演の深川麻衣、共演の小野寺ずる、大友律、松尾貴史、室井滋、そして冨永昌敬監督が登壇。



満員御礼で迎えたこの日、京都の老舗を取材するライターの主人公・澁澤まどかを演じた深川は「映画化までの構想7年、一昨年の11月に3週間の撮影。昨日無事に公開が出来て嬉しく思います」と念願の封切りに喜色満面だった。

 


bubu-bu6.7-室井滋.JPGまどかの義理の母・澁澤環役の室井は「本音と建て前をテーマにした面白い物語。京都と言えばミステリーというイメージがあるけれど、現代劇のこのような映画が珍しい。しかも劇中に登場する扇子屋さんは、実は20年来のお付き合いがあって。まさかの偶然過ぎてホラー!?と怖かった」と笑わせた。

 

 


 

 

 

 

 

bubu-bu6.7-小野寺ずる.JPGまどかと一緒にコミックエッセイを描く漫画家・安西莉子役の小野寺は、劇中漫画の制作もしており「豊原功補さんの脳が半分透けて見えるコマが大好き。個人的にステッカーを作ろうかと思うくらい気に入っています」と明かした。

 

 


 

 

 

 

 

 

bubu-bu6.7-大友律.JPGまどかの夫の澁澤真理央役の大友は、冨永監督が「真理央という名前は任天堂が京都にあるから」と明かすと、「僕も先ほど初めて聞いて…。“マリオ”ってそういうことなのかと思った」と世界的人気のキャラクターにあやかった命名理由に驚いていた。

 


 


 

 

 

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まどかの義理の父で澁澤扇舗13代目店主でもある澁澤達雄役の松尾は、撮影を回想し「自分がイメージした通りにやらせてもらえました。監督からはほとんど注文がなくて、やりやすくて自由で勝手にやったことも採用してもらえた」と述べると、冨永監督は「松尾さんのお芝居を見て瞬時に勉強し、その学びを大友君にぶつける感じでした」と笑わせた。

 

そんな冨永監督はオープニングへのこだわりについて聞かれると「1970年代の映画のようにエンドロールをなくして“終”で終わらせたかった。その代わり、スタッフクレジットをオープニングに出し、その文字込みで映像をデザインしたかった。これは脚本の時点からアサダさんと考えていた事です」と述べた。

 

bubu-bu6.7-冨永昌敬監督.JPG主人公・まどかの京都愛にちなんで、それぞれが偏愛するものを発表。オダギリジョー主演の映画『パビリオン山椒魚』で商業デビューを果たした冨永監督は「オオサンショウウオ」、大友はバンドの「ラモーンズ」、松尾は「カレー」とそれぞれ述べた。


深川は「小さい頃から梅干しが好き」といい「小さい頃に種を割ってその中にある種を食べるという事にハマっていたけれど、噛んでいた時にツルンと喉に入ってしまい呼吸が出来ず、死にそうになった体験があります。自分で背中を叩いたらポロっと出て来て助かりましたが、そういうことがあっても今でも大好きで毎日1日1粒食べています」と明かした。


室井は「相撲」といい「両国で興行がある時は必ず行っています。砂被り席は金額が相当高いので座ったことはないけれど、あそこに座ってテレビに映って私の所に力士が倒れ込んできてくれるが夢」と述べると、松尾から「大ケガしますよ!」と心配されていた。室井には推し力士がいるそうで「テレビ中継を見ながら推しの力士が出る時は一緒にシコを踏むようにしています。推しのタオルが山のようにあって、家のタオルが全部力士名のものになりそうな勢いですと推し活に余念がないようだった。


bubu-bu6.7-500-1.JPG小野寺は「4万5千円の枕」といい「物欲がなくてお金の使いどころがないので、自分の誕生日にオーダーメイド枕を買いました。太った人のお腹くらいの柔らかさで、首の痛みも解消されました。お金の使い道がない方はぜひ枕に投資してみてください」と呼び掛け、笑いを誘っていた。


最後に主演の深川は「昨日から無事に公開されましたので、一人でも多くの方に観て頂きたいと祈るような気持ちです」と大ヒット祈願。冨永監督は「日本国内も心配になるような事が多く、世界でも差別や暴力が蔓延し、このまま放っておいたらどのような事になるのだろうかと、それは誰の目にも明らかです。そんな中でどうやって映画を通じて世界中の人たちと友達になって楽しんでいけるのか。そんな事を撮影中に考えていました。平和を願う気持ちは皆同じだと思いますので、僕も出来る事をやっていけたらと思います」と想いを込めていた。

 以上


【Story】

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京都の老舗扇子店の長男と結婚し、東京からやってきたフリーライターのまどかは、数百年の歴史を誇る老舗の暮らしぶりをコミックエッセイにしようと、義実家や街の女将さんたちの取材を始める。ところが、「本音と建前」の文化を甘く見ていたせいで、気づけば女将さんたちの怒りを買ってしまう。猛省したまどかは、京都の正しき伝道師になるべく努力するが、事態は街中を巻き込んで思わぬ方向に──。
 

出演:深川麻衣 小野寺ずる 片岡礼子 大友律 / 若葉竜也
山下知子 森レイ子 幸野紘子 守屋えみ 尾本貴史 遠藤隆太
松尾貴史 豊原功補 /室井滋
監督:冨永昌敬
企画・脚本:アサダアツシ
音楽:高良久美子/芳垣安洋
製作:清水伸司/太田和宏/勝股英夫/小林栄太朗/佐藤央
撮影:蔦井孝洋
製作幹事:メ~テレ/東京テアトル
制作・配給:東京テアトル 制作プロダクション:さざなみ
©2025「ぶぶ漬けどうどす」製作委員会
公式サイト:https://bubuduke.jp/

公式X: @bubuduke_movie

 2025年6月6日(金)~テアトル新宿、テアトル梅田、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸、MOVIXあまがさき ほか全国順次公開


(オフィシャル・レポートより)


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ミヒャエル・ハネケ、ウルリヒ・ザイドル監督を生み出したオーストリアより新たな鬼才・ダニエル・ヘールス、ユリア・ニーマン両監督作品「Veni Vidi Vici(原題)」が『我来たり、我みたり、我勝利せり』の邦題で6月6日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他全国順次公開が決定。この度、公開に先駆けてダニエル・ヘースル、ユリア・ニーマン両監督が緊急来日!映画評論家の森直人さんをお招きしてトークイベント付き試写会を実施いたしました。


www-pos.jpg本作は、2024年サンダンス映画祭、ミュンヘン映画祭に出品され話題となった。「ユーモアは危険な時にこそ最高に力を発揮する」という信念を持ち、観る者に笑いと怒りを同時に起こさせる『Davos』(未)の監督デュオダニエル・ヘールス、ユリア・ニーマンの日本初公開作品です。製作は、カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界三大映画祭を賑わせた『パラダイス三部作』『サファリ』のウルリヒ・ザイドル。金持ちのアンタッチャブルさを極限まで誇張し、歯止めがないシステムの結末と、人々が自分の行動に責任を持たない世界の危険性を明らかにする。


主人公はエレガントな億万長者であり、愛情深いファミリーマンで、趣味の狩に情熱を注いでいる。しかし、アモンが狩るのは動物ではない。莫大な富を抱えた一家は“何”だって狩ることが許されるのだ。アモンは狩りと称し、無差別に“人間”を狩り続けている。一方娘のパウラはそんな父の傍若無人な姿を目の当たりにしながら“上級国民”としてのふるまいを着実に身につけていく。ある日、ポーラは父に“狩り”に行きたいと言い出す。しかし、“上級国民”である彼を止められるものは何もない。何者も彼らを止めることはできない。他人の言葉でも、ジャーナリズムの証拠でも、民主主義の法律でも。今あるのは自由だけだ。限界も不可能もなく、暴力もない。富を持つ者は自由に好きなように行動し、誰にもどうすることもできない。マキャベリストの家族研究では、金持ちが親切で与えるふりをするのと同じくらい、恐ろしく暴力的になりうるという。恐ろしいほど不快なこの物語は私たちのすぐ隣にある物語なのだ。

この問題作のダニエル・ヘースル、ユリア・ニーマン両監督にたっぷりとお話を伺いました。


日時:5月28日(水)19:56〜20:26

会場:ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区渋谷1-23-16 ココチビル7・8F)

登壇者:ダニエル・ヘールス監督、ユリア・ニーマン監督、森直人(映画評論家)



www-550.jpg“狩り”と称して人間を狙撃するエレガントなヨーロッパの超富裕層の姿を通して、資本主義の堕落をシニカルかつユーモラスに描いたオーストリア映画『我来たり、我見たり、我勝利せり』。公開を直前に控え、ダニエル・ヘースル、ユリア・ニーマン両監督が来日! 5月28日(水)に都内劇場で行われた試写会の上映後の舞台挨拶に登壇し、映画評論家の森直人氏とトークセッションを行なった。


無差別に趣味の“人間狩り”をしながらも、その圧倒的な財力、権力ゆえに罪に問われることなく優雅に暮らす“上級国民”のアモン・マイナートとその家族を描いた本作。ダニエルとユリアが2016年に発表したドキュメンタリー映画『WINWIN』を撮影する際のリサーチで、オーストリアの億万長者の別荘を訪れたことがこの物語の着想のきっかけになったという。


www-bu-240-1.JPGダニエルは「特別なプライベートジェットを持っている金持ちがいるという話を聞いて、この邸宅にお邪魔しました。そこでは子どもたちをベビーシッターが追いかけているんですが、子どもたちはティアラを着けているんです。そして、その後ろを歩いている執事はライフルを抱えていました。その時『そのライフルは何のために?』と尋ねたら『今夜中にプライベートジェットでナミビアまで飛んで、狩りをするんだ』と教えてくれました。猟銃を何のお咎めもなく自由に国外に持ち出すことができてしまうのなら、この人たちは何をやっても許されるんだろうと思いました」と着想の詳細を明かした。そして観客に向けて「かのドナルド・トランプが『私がニューヨークの5番街で誰かを射殺しても、捕まることはない』と言っていました。みなさん、どうぞ帰り道はお気をつけて(笑)」と呼びかけ、会場は笑いに包まれた。


倫理のタガの外れた恐るべき殺人鬼を描いてはいるが、さらに恐ろしいのは、このアモンのキャラクターが、いかにも憎々しい人物として描写されるのではなく、明るく、家族思いの好人物として描かれているところ。この点について、ダニエルは「みなさん、考えてみてください。イーロン・マスクは憧れと羨望の対象ですよね。私たちはみんな、億万長者が大好きなんです。ついさっき、控室で気づいたんですが、この映画のタイトルである『Veni,Vidi,Vici,(ラテン語で“我来たり、我見たり、我勝利せり”)』という言葉は、タバコのマルボロのパッケージにも書かれているんですね。タバコの箱には『死を引き起こす可能性があります』という注意書きがありますが、億万長者も同じです。あまり彼らを支持し過ぎると、私たちが肺ガンになってしまう可能性があります」とユーモアたっぷりに語る。


www-500-2.jpgそして、ユリアはアモンを見事に演じたローレンス・ルップについて言及。「彼は『え? シリアルキラーを演じられるの?』と喜び、楽しみながらこの役に挑んでくれたんですが、私たちは彼に『いや、あなたが演じるのは家族思いの父親であり、人なんか殺さない人なんだ』と説明し、映画を観る人の共感を得るような人物を演じるように伝えました」と明かした。


ちなみに、アモンの妻・ヴィクトリアが人権派の弁護士というのも、かなり風刺の効いた設定だが、その意図を尋ねるとダニエルは「ジョージ・クルーニーの妻であるアマル・クルーニーさん。彼女は人権派の弁護士であり、とても素敵な女性ですよね。彼女の存在にインスパイアされた設定です」と驚きの事実を告白! ユリアはダニエルの言葉を補足し「アモンが求めているのは、彼に対して本当のことを言ってくれる存在、彼に対抗し、立ち向かってくる人を欲しているんです」と語る。


www-500-1.jpgまた、アモンの“帝国”を世襲するであろう娘のパウラも、映画の中でかなり強烈な存在感を放っているが、ダニエルは「彼女がどういう存在かと言うと、この邪悪な循環する社会が生み出した美しい子供であり、資本主義の生んだモンスター。いくらあっても足りずに『もっと!もっと!』と欲しがる象徴であり、カジノを体現するような存在なのです」と説明。(ダニエルとユリアと同じオーストリア出身の)ミヒャエル・ハネケの映画『ファニーゲーム』と共通する部分があると感じています」と明かした。


ちなみに劇中、パウラがカメラ(=観客)に向かってセリフを発するシーンがあるが、これも『ファニーゲーム』と重なる。ユリアは「この映画をつくるにあたって、パウラを演じるオリヴィア・ゴシュラーと一緒に観たのがハネケ監督の『ベニーズ・ビデオ』でした。パウラが酷いことをしても、彼女自身は罪の意識を全く持っていない、そのことをわかってほしかったんです」とその意図を語ってくれた。


www-bu-240-2.JPGそして、改めて現代の資本主義の現状について、ユリアは「皮肉なもので、人々が億万時長者を嫌うべき理由は十分にあるはずなんです。彼らは我々のお金を奪い、民主主義や権利、空間、私たちの声までも奪っているわけですが、それでも人々は彼らを嫌うどころか、彼らに憧れて『自分もそうなりたい』と思っています。アメリカンドリームというのは、ある意味で大衆の麻薬のようなもので『頑張って働けば、いつの日かあの人たちのようになれるかもしれない!』という思いを抱いているわけです。彼らはロックスターや英雄のような憧れの存在であり、『彼らを嫌いになろう!』と呼びかけても、なかなか発想の転換は起こらないんです」と語り、ダニエルは「もし、この映画を見て『さあ、ライフルを持って彼らを撃ち殺せ!』という発想に転換が起きたら嬉しいんですが…(笑)」とブラックユーモアを効かせながら語り、再び会場を笑いに包んだ。


ちなみにダニエルとユリアは、これまでも何度も日本を訪れており「日本の文化が大好きで、日本映画も食も大好き」だという。本作の音楽は、日本の能に影響を受けて制作されており、その点についてユリアは「音楽は編集の段階で加えたものです。というのも、テスト上映を見た人から『この映画をどう解釈したらいいのかわからない。これは風刺なのか…?』といった声が上がったので、映画のトーンを整え、(伝えたいことを)強調するために音楽で演出をすることにしました。本作にヴィタリー医師役で出演している菜穂子・フォート・西上さんが能にインスパイアされた音楽というアイディアを出してくれました」と明かした。


2人は、本作がオーストリアの公共ファンディングで資金を得て制作されたことを明かし、こうして日本で公開されることを改めて感謝。ユリアは「映画を観て、人々に怒りを抱いてほしいと思っています。そのエネルギーが生産的なことに繋がっていくことを願っています」と呼びかけた。
 


<ストーリー>

起業家として億万長者に成り上がり、幸福で充実した人生を送るマイナート家。一家の長であるアモンは、家族思いで趣味の狩りに情熱を注いでいる。ただ、アモンが狩るのは動物ではない。莫大な富を抱えた一家は“何”だって狩ることが許されるのだ。アモンは“狩り”と称し、何カ月も無差別に人を撃ち殺し続けている。“上級国民”である彼を止められるものはもはや何もない。一方、娘のパウラはそんな父親の傍若無人な姿を目の当たりにしながら、“上級国民”としてのふるまいを着実に身につけている。ある日、ついにパウラは父親と“狩り”に行きたいと言い出す。
 

監督:ダニエル・ヘースル、ユリア・ニーマン
製作:ウルリヒ・ザイドル
出演:オリヴィア・ゴシュラー、ウルシーナ・ラルデ、ローレンス・ルップ、マルクス・シュラインツァー、ゾーイ・シュトラウプ
2024年/オーストリア映画/ドイツ語/86分/カラー/5.1ch/スコープサイズ
原題:Veni Vidi Vici 字幕翻訳:吉川美奈子 
後援:オーストリア文化フォーラム東京 映倫PG12 ©2024 Ulrich Seidl Filmproduktion GmbH
配給:ハーク 配給協力:フリック 
公式サイト:www.hark3.com/vvv 

2025年6月6日(金)~ ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか 全国順次公開


(オフィシャル・レポートより)

 


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6 月13 日(金)より全国順次公開となる映画『おばあちゃんと僕の約束』。この度、公開を目前に、公開記念舞台挨拶が 5 月28 日(水)新宿ピカデリーで行われ、上映後にタイより来日したパット・ブーンニティパット監督が登壇しました。


【日時】5月28日(水)18:30の回上映後

【会場】新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3-15-15)

【登壇者(敬称略)】パット・ブーンニティパット(監督)



obaachantoboku-pos.jpg6 月13日(金)より全国順次公開を迎える映画『おばあちゃんと僕の約束』。公開を目前に、公開記念舞台挨拶が5月28日(水)に新宿ピカデリーで行われ、上映後にタイより来日したパット・ブーンニティパット監督が登壇。日本の観客に向けて、本作への思いや制作時のエピソードを語った。


本作は、遺産相続をめぐる家族の物語。大学を中退して無職の青年エムは、祖母のメンジュがステージ 4のガンを患っていることを偶然にも知り、不謹慎にも遺産を得ようと介護人として同居を始める。反発しながらも、絆を深めていく2人。エムはメンジュの家族を想う愛情に触れ、考えを改めていく……。本国タイでは、涙なしには観られないことから、鑑賞後に号泣する観客の様子が、TikTok をはじめとする SNS で若者を中心に大拡散され、社会現象に。その後、世界中でも大ヒットを収め、タイ史上初のアカデミー賞®国際長編映画部門ショートリスト入りの快挙を果たした話題作。


obaachantoboku-bu-240-3.jpg上映後、満席の会場からは拍手が湧き、涙をうかべる観客も。会場が感動の嵐に包まれる中、大きな拍手に迎え入れられ、パット監督は笑顔で登壇。過去に 10 回近く日本に訪れたことがあるといい、「こんばんは。私はパットです。監督です。よろしくお願いします」と日本語で流暢に挨拶した。


TV ドラマを中心にキャリアを積み、本作で長編監督デビューを飾ったパット監督。「最初で最後の作品のつもりで制作しました。タイでは、家族の話は観客にうけない、お金が儲からないと言われていたので、赤字を出さないように次の作品を撮れる程度になればと思っていました」と振り返り、続けて「これまでテレビドラマを作ってきましたが、テレビドラマは毎分毎秒、ずっと注目してもらわなければいけない作り方だったんです。映画とは違うタイプの芸術。この映画では、観客の皆さんに自分の記憶とリンクしていただいて、考えたり、感じる余白を残したいと思っていました」と映画作りへの思いを語った。


obaachantoboku-550.jpg主人公エムを演じたのは、ドラマ「I Told Sunset About You 〜僕の愛を君の心で訳して〜」(20)の出演を機に、タイをはじめアジア全域で大人気スターとして人気を博す俳優・ミュージシャンのプッティポン・アッサラッタナクン、通称ビルキン。パット監督は、彼について「スタッフをからかうのが大好きで、くすぐったり、邪魔したり、マッサージをしたり甘え上手なんです。でも演技にはすごく一生懸命で、好感を持ちました」と述べ、「財産を狙う孫という役なんですけど、観客の皆さんには悪人とは思ってほしくはなかったんです。悪意のない、悪い人には見えないというキャラクターを見事に演じてくれました」と絶賛。


さらに、ビルキンが歌う書き下ろしのエンディング曲「Ever-Forever」については、「最初、(ビルキンに)歌ってもらうことは計画になかったんですが、美しい声の持ち主なので、歌ってもらいたいと思いました。実際に曲を作る過程で、メロディができたよ、歌詞ができたよと逐一報告してくれて。全てがうまくいって、歌を聴いたときは嬉しかったです」と振り返った。


obaachantoboku-500-3.jpg一方、祖母メンジュを演じたのは、78 歳にして本作で映画デビューを果たしたウサー・セームカム。この驚異の新人俳優のキャスティングについて「(本作の)助監督が以前、ウサーさんと小規模のMVを撮影したことがあるんです。MVの中では、ウサーさんは特に何もしてなくて、立ってタバコを吸っているだけ。すごく興味のある外見をしてるし、良さそうだねという話になって、オーディションに来てくれました」と振り返り、「すごく才能を感じました。ウサーさんと出会えて、とてもラッキーだと思いました」と彼女の魅力を明かした。


obaachantoboku-bu-240-1.jpg脚本を完成するにあたって、実際に祖母と一緒に暮らしたというパット監督。「おばあちゃんとの同居を始めて、映画のことは言わないで、騙し討ちのように色々質問をしていったんです。こんな子供や孫がいたらどう思う?など。意見を訊くと、映画がリアルなものに感じました。本当は映画のクレジットにおばあちゃんの名前をのせるべきだったなと思いました」と苦笑い。実際に祖母にも完成披露試写会で映画を見てもらったと話し、「上映が終わった瞬間におばあちゃんの席に走って行って、映画の感想を訊いたんですが、答えは「ふつう」と言って、歩いて帰ってしまいました。リアルなリアクションで、忘れられない思い出となりました」とエピソードを明かすと、会場からはどっと笑いが。続けて、「翌朝、映画はふつうだった。私の人生の方がもっと大変だよと言われ、そういう見方もあるんだと思い、感動しました」と祖母とのエピソードを明かした。


尊敬する監督に、小津安二郎監督や是枝裕和監督、濱口竜介監督の名前を挙げたパット監督。1 番影響を受けた作品について訊かれると、「それぞれ魅力が違います。だから、3 人の監督の作品をしっかりと見て、研究しました。1 本に選ぶのは難しいのですが、小津監督の『東京物語』は、昔の映画ですが、映画のストーリーのパワーというのは、時間や映像制作のテクニックを超えると思いました。すごく丁寧にストーリーを描いています」と明かした。


obaachantoboku-500-1.jpg最後に「この映画は世界中のいろいろな国で上映されてきました。聞いた話によると、5歳ぐらいのお子さんから90歳以上の方まで、映画館で観て、この映画を好きになってくださったと。タイ映画は、もしかすると日本ではまだ目新しいかもしれません。でも、ここまでタイ映画が旅をしてきたということは、日本の皆さんがタイ映画を好きになることは難しくないんじゃないかなと思います。日本の皆さんにもぜひ映画を見ていただきたいと思います」と締めくくり、温かい拍手に包まれ、舞台挨拶は幕を閉じた。


映画『おばあちゃんと僕の約束』は、6月13日(金)~新宿ピカデリーほか全国順次公開


監督・脚本:パット・ブーンニティパット(TV版「バッド・ジーニアス」) 脚本:トッサポン・ティップティンナコーン
製作:ワンルディー・ポンシティサック ジラ・マリクン
音楽:ジャイテープ・ラーロンジャイ
撮影:ブンヤヌット・グライトーン
編集:タマラット・スメートスパチョーク
出演:プッティポン・アッサラッタナクン(ビルキン)、ウサー・セームカム、サンヤー・クナーコン、サリンラット・トーマス(『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』)、ポンサトーン・ジョンウィラート、トンタワン・タンティウェーチャクン
2024 年/126 分/タイ/原題:Lahn Mah/カラー/5.1ch/1.85:1
日本語字幕:小河恵理 後援:タイ国政府観光庁
配給:アンプラグド
©2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:unpfilm.com/lahnmah
X:@lahnmahjp
Instagram:@unplugged_movie
Facebook:@lahnmahjp
TikTok:@unpfilm

2025年6月13日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、京都シネマ、シネ・リーブル神戸、MOVIXあまがさき、ほか全国順次公開


(オフィシャル・レポートより)

 
 



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だらしないところが似てる!?クイーン役の大和悠河、

意外と人情派!?ジョーカー役の加藤和樹、

憧れの声優陣に囲まれて天国だった!?イルマ姫役のCocomi 登壇!
 


◆日時:2025年5月25日(日)11:20〜11:50 ※上映後・舞台挨拶

◆会場:T・ジョイ梅田 シアター3
(大阪市北区梅田1丁目12−6 E-MAビル 7F)

◆登壇者(敬称略): 大和悠河(クイーン役)、加藤和樹(ジョーカー役)、Cocomi(イルマ姫役)



a62e60bceaf093fe.jpg長いブロンドの髪をなびかせ長身で颯爽とした怪盗クイーン! まるでベルばらのオスカルのように美しい! 怪盗クイーンに盗めない物などない。先鋭的で知性派にして変幻自在の変装の名人、どんな敵にもひるむことなく軽やかに身をかわす華麗なる武闘派。クールな反面ワインに目が無く寝ることが大好きなオチャメでだらしない怪盗クイーン。親友(ビジネスパートナー)のジョーカーと最高知能ロボット・RDのアシストを受けながら難攻不落のお宝を鮮やかに奪い取っていく。怪盗クイーンに不可能なことはない!


原作:はやみねかおる・K2商会(講談社青い鳥文庫『怪盗クイーン』シリーズ)で2002年より青い鳥文庫にて刊行されている人気冒険小説「怪盗クイーン」シリーズの劇場アニメ最新作『怪盗クイーンの優雅な休暇(バカンス)』が2025年5月23日(金)に全国公開!


5月25日(日)に本作の公開記念舞台挨拶が開催され、クイーン役の大和悠河をはじめ、 加藤和樹(ジョーカー役)、Cocomi(イルマ役)が登壇!それぞれ違うバックグラウンドで活躍中の3人が本作への想いやアフレコ現場について語った。
 



kaitou-queen-bu-3.jpgkaitou-queen-yamato.jpgクイーンとの共通点を聞かれた大和は、「あんなに色々な技を持ってないので闘えませんが、だらしない部分は似ているかも(笑)。夏休みの宿題を最後になってぎりぎりでやるタイプではないかと」。それに対し加藤が、「そんな風には見えないですけね、何でもしゃしゃって完璧にこなすタイプのように見えますが…」。「そうなんです!そんな風に見られる処が私のいいとこなんです(笑)。でも、ぎりぎりまでやらずに最後に焦るタイプなんですよ。そこはクイーンと似ているかな?」そんな大和に対し加藤もCocomiも同じタイプかもしれないと、3人は似た者同士をアピール。


クイーンの魅力について大和は、「敵と闘ったあと敬意を表するところ。例えば、バーテンダーの刺客と闘うシーンで、最後に彼の作ったカクテルを飲み干し、凶器となった氷の弾丸を置いていくんです。敵とはいえ相手へのリスペクトを忘れないクイーンの美学ですね。それからシスターとの闘いのあと、敢えて相手が大事にしているものを破壊するその意味に感じ入りました」。


kaitou-queen-kanzaki.jpgイルマ姫役のcocomiと共演するシーンが多かった加藤は、「イルマ姫の凛とした成長ぶりが良かったです。Cocomiさんもイルマ姫同様にアフレコの中でどんどん成長していき、最後には本当に堂々とされていました」。それに対し大和は、「ふたりのシーンが沢山あって、どんどん白熱していって、見ていてちょっとうらやましかったです(笑)。クイーンのような気持ちになって、いいな~って思って見てました」。


アフレコ現場についてCocomiは、「今回10人位がブースに入ってアフレコしていたのですが、外から見ている時はアニメオタクの気持ちになって“わぁすご~い!”と感激しながら見ていられるのですが、いざ自分の出番になると、後ろから見られている“圧”が凄くて変に緊張してしまいました」。それでも憧れの声優たちとの共演は、「ご一緒できてとても嬉しかったです。ナレーションの諏訪部順一さんに会った時はもう私の思考が停止してしまいました!私にとっては天国のようで、至福のひと時でした。」と幼い頃からアニメファンだという喜びを語った。


舞台とアフレコとの違いについて大和は、「舞台では動きで気持ちを表現しますが、声だけで表現するのとは大きな違いがあります。闘うときでも、攻撃と受身の時にもっと声を入れなければならず、今回闘う相手は声優の方ばかりだったので、声の入れ方が凄かったんですよ。劇中のバトル漫才のシーンでは本当にテンポ良く技を入れていき、どんどんパワフルにバトルしていって、ホント凄かったですねぇ」。これには加藤も、「あれは凄かった!長回しのシーンですが1発で収録したんですよ」。


今回のアフレコでの雰囲気の違いについて大和は、「“技の出し合い”というか、皆さんご自身の声の持ち味を大事にしながらキャラクターに投入していっているようでした。とてもカッコ良くて素敵だなと思いました」。加藤も、「他の皆さんはセリフの量が多くなかった中で、いかにちゃんと爪痕を残していくか、それぞれの個性を発揮しておられましたねぇ。それが凄いんですよ~」などと声優陣の仕事ぶりに圧倒された様子。


kaitou-queen-cocomi.jpg難しかった点について、音楽家として活躍中のCocomiは、「何か所も「・・・」という部分があるのですが、音楽でいう休符と似ているなと思いました。休符といってもただ休むのではなく、空気感をどう表現するか、繋がるものがありました」。それに対し加藤は、「ジョーカーも「・・・」という部分が多かったですね。僕もいろんな現場を見てきましたが、本当に皆さん多才だなと感心することが多いです。無音でも息の吐き方だったり気持ちのテンションだったりとか、どういう状況なのか考えながら演じるのはいつも難しいと感じています。


本作の見所について加藤は、「イルマ姫の凛とした成長ぶりが良かったです。イルマ姫の表情の変化、素直になること、人としての成長過程で彼女が学んでいくことが見所でもあります。ジョーカーとしても、過去のことや意外な感情が見られたのはイルマ姫と一緒にいたからこそ引き出されたものです。人間らしい温もりを感じさせる部分が見どころかな。今回はイルマ姫を導く立場で責任感もあったと思うが、それまでクイーンに導かれてきたからこその行動かもしれません。」とジョーカーの立場と見どころを語った。


Cocomiもまた、「イルマ自身がどんどん成長していく物語で、クイーンやジョーカーと出会っていろんな経験をしながら変わっていくところは楽しかったです。ジョーカーがいてくれたからこそ成長できたのだと思います」。


メッセージとしてCocomiは、「本作は素晴らしい作品です。はやみね先生が22年前に書かれた作品で私とは2歳違い。もう一度読み直したいです。今の子供たちにも見て欲しい作品です。多くの方に観て頂きたいです。」

続いて加藤は、「今回は2作目ですが、1作目を多くの方に観て頂けたから2作目が出来ました。「怪盗クイーン」はまだまだ続いていく作品ですので、我々もはやみね先生の夢に乗っかって、夢の続きを見てみたいと思っております。応援して頂けると嬉しいです。」

最後に大和は、「私も「怪盗クイーン」のファンの1人として映像化されていくのがとても嬉しくて、ワクワクドキドキしながら明るい世界へ連れてってくれる作品だと思います。はやみね先生や多くのスタッフやキャストの愛がいっぱい詰まった作品です。まだ「怪盗クイーン」を知らない子供たちは勿論多くの方に見て頂いて、何作も続けられるように応援して頂きたいです。どうかよろしくお願いします。」と締めくくった。
 


【あらすじ】

狙った獲物は必ず盗む。それが怪盗クイーン! 性別・年齢・国籍不明。 パートナーのジョーカー、RDとともに飛行船トルバドゥールで世界中を自由に駆け巡る。

ある日、クイーンはサッチモ社の社長サッチモ・ウィルソンから挑戦状を叩きつけられる。サッチモ所有の宝石『インペリアル・サファイア』を盗むとクイーンから予告状が届いたのだ。しかしそれは、過去の因縁からクイーンへの恨みを晴らすためにサッチモが仕掛けた罠。そんなことは百も承知でクイーンはサッチモの誘いに乗り、ジョーカーと共に変装して豪華客船ロイヤルサッチモ号に乗り込む。『優雅な休暇』を過ごすため……ところが、クイーンたちより先に宝石を盗み出そうとするものが現れた!

さらにサッチモの放った刺客たちも次々と現れて……?!前途多難なカリブ海クルーズがはじまる。

 

原作:はやみねかおるK2商会
監督:池田重隆
脚本:國澤真理子
声:大和悠河(クイーン役)、加藤和樹(ジョーカー役)、Cocomi(イルマ役)
2025年製作 日本 88分
配給:ポニーキャニオン
©はやみねかおる・K2商会・講談社/「怪盗クイーン」製作委員会
公式サイト:https://miragequeen.jp/

2025年5月23日(金)~T・ジョイ梅田、TOHOシネマズ(なんば、二条、西宮OS)、T・ジョイ京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド ほか全国公開


(河田 真喜子)

 

 

 
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