「京都」と一致するもの

ichidomo-tolk-550-2.JPG 石橋蓮司、阪本順治監督 登壇!

豪華キャストが生電話でサプライズ参加!

祝!初日 『一度も撃ってません』 公開記念トークショー

 
 
4月の公開延期から2か月半、ついに7月3日に初日を迎える映画『一度も撃ってません』。日本映画界に欠かすことの出来ないスーパーバイプレーヤーの石橋蓮司(いしばしれんじ)が、『大鹿村騒動記』『半世界』などを手掛けた阪本順治(さかもとじゅんじ)監督の熱いラブコールを受けて18年ぶりの主演を務めたことが大きな話題に。
 
石橋演じる噂の【伝説のヒットマン】は、“殺し”の依頼を受けては、実は本当は“ハードボイルド小説”のネタ集めをしているだけの、ただの売れない小説家。そんな夫の秘密も知らず真面目に日々暮らしている妻役に大楠道代(おおくすみちよ)、主人公の怪しい旧友:元ヤメケン役の岸部一徳(きしべいっとく)、元ミュージカル界の歌姫役に桃井かおり(ももいかおり)と、レジェンド達の共演実現に多くの反響が寄せられた。
 
次世代の日本映画界を背負う豪華共演陣も出演する事で話題。佐藤浩市(さとうこういち)、豊川悦司(とよかわえつし)、江口洋介(えぐちようすけ)、妻夫木聡(つまぶきさとし)、井上真央(いのうえまお)など主演級の俳優陣に加え、「令和」を担う役者として柄本佑(えもとたすく)といった若手の出演にも注目だ。脚本は、『探偵物語』『野獣死すべし』などのハードボイルド作品でアウトロー主人公を描かせたら右に出る者の居ない丸山昇一(まるやましょういち)が、阪本監督とは『行きずりの街』以来4作品目のタッグとなる。
 

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このたび、本作の全国42館での公開を記念し、劇場での初日舞台挨拶ではなく、「公開記念トークショー」の形で、主演の石橋蓮司と阪本順治監督が登壇、さらに大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、佐藤浩市、柄本佑の豪華共演者が、生電話でサプライズ参加いたしました。冗談を交えた電話先のキャストたちとの会話に、終始笑顔の石橋だったが、初日の喜びとともに時折涙を見せて、喜びを噛み締めた。
 

【トークショー概要】
◇日時 :7月3日(金) 15:45~16:15
◇登壇者:石橋蓮司、阪本順治監督
◇生電話の登場:大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、佐藤浩市、柄本佑
◇場所:キノフィルムズ試写室 (住所:東京都港区六本木7丁目8-6 AXALL六本木3F)
 

 
壇上には石橋蓮司(以下、石橋)と阪本順治監督(以下、阪本)を囲むように、一緒に初日舞台挨拶に登壇する予定だったキャストたちから多くの花が送られ、会場にいる二人は十分な距離を保ちながら、登壇できないキャストたちと電話を繋ぎ、トークを実施した。
 

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阪本監督は「今は撮影するのも、公開するのも戦いで、延期していた映画が公開されていく中、こういう“大人な映画”が先陣を切るべきだと思っていました。石橋蓮司さんが先頭を走り、他の映画も導かれていけばいいなと思っています。」と映画業界への想いを語り、石橋は「ここまで来るのに長い時間がかかりました。このような状況でも、この作品を観に劇場へ足を運んでくださるお客さんへは頭が上がらないです。」と映画ファンへの感謝の気持ちを語った。
 
電話でのトークのトップバッターを務めたのは、桃井かおり(以下、桃井)は、「こちらL.A.の桃井かおりです。元気なの?みんな会いたいわ。今こっちは深夜ですよ。」と明るく挨拶し、石橋が「かおりと久しぶりに仕事ができて本当に楽しかった。」と話すと、桃井も「現場がすごく楽しくて、蓮司の底力をまた見せてもらいました。蓮司にお願いしたいのは、ただ長生きしてほしいということだけ!」と石橋へ想いを寄せ、阪本監督には「(劇場へ入れる)人数が限られているから、上映期間を延ばしてと、劇場に言っておいてね(笑)」と桃井節で締めくくった。
 

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また柄本佑(以下、柄本)も電話にて公開を祝福し、「通行人役でいいから出演したい!」と名乗り出て出演した本作だったが、石橋から「アクション俳優のように動けると思っていなくてびっくりした。」と言われ、柄本は嬉しそうに「本当ですか?ありがとうございます!」と返事をした。佐藤浩市(以下、佐藤)との電話は、終始リラックスして行われ、佐藤が「石橋蓮司さんを褒めればいいんですよね!」とからかいつつ、「蓮司さんはこの40年間佇まいが全く変わらないのがすごい。俺たちに対する接し方もずっと最初から一緒なことが本当に素晴らしいと思う。」と絶賛し、石橋も「(佐藤が)デビューした頃から素晴らしい俳優が出てきたと雑誌の取材などで話しちゃってさ…見られたら恥ずかしい。」と褒め返し、さらに「今回息子(寛 一 郎)とも共演して、役者としてびっくりした。君たち三世代(父・三國連太郎、息子・寛 一 郎)には本当に驚かされているよ。」と褒めたたえていた。
 

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大楠道代と岸部一徳も電話にて本作の公開を喜び、「落ち着いたら早く集まりましょう!」と石橋へ投げかけた。キャストとの電話トークが終わり、阪本は、「今日は皆さんに電話かけましたけど、やっぱりくせ者が多く出演してる映画だな、と。それがこの映画の特徴でありますけどね。」と語り、石橋は「出演してる皆が主役を務めることが出来る役者ばかりで、今回はどの場面を見ても、だてに歴史を重ねてないなと。体に染みついたものを出すことを無意識に出来る人たちがたくさん集まったなと思い、楽しい映画にしてくれて、ありがたいです。」と共演したキャストへ思いを話した。
 
最後に石橋は「映画はお客さんに観られて初めて成立するので、この状況でも劇場へ観に行って下さることは、作品を作る側として、さらに自分も作品に対して情熱を持たないと、お客さんに見放されてしまうなと。今日この作品を観に行っている方は、僕らよりずっと映画を愛していると思うので、そのことを忘れずにこれからも精進したいと思います。本当にありがとうございました。」と話し、トークショーは終了した。
 

ichidomo-550.jpg【STORY】
市川進(いちかわすすむ/石橋蓮司)、御年74歳。タバコ、トレンチコートにブラックハット…
大都会のバー「Y」で、旧友のヤメ検エリート・石田(岸部一徳)や元ミュージカル界の歌姫・ひかる(桃井かおり)と共に夜な夜な酒を交わし、情報交換をする。そう、彼は巷で噂の“伝説のヒットマン”だ。今日も“殺し”の依頼がやってきた――。
 
がしかし、本当の姿は…ただハードボイルド小説を書きたい作家、ペンネームは御前零児(オマエレイジ)。ちなみに原稿は“時代遅れ”で全く売れてない。おまけに妻・弥生(大楠道代)の年金暮らし、なんとも情けない始末。担当編集者:児玉(佐藤浩市)も、市川の“伝説のヒットマン”という噂を信じればこそ長年付き合ってきたが…実は、リアリティにこだわり過ぎた市川は“理想のハードボイルド小説”を極めるために、“殺し”の依頼を受けては、その暗殺の状況を取材しているのだった。エセ投資セミナーで金を巻き上げる守山(江口洋介)の暗殺など、過去多くの事件に関わったと噂される“なんちゃって”ヒットマン市川に、ついにツケが回ってきた。
 
本当は“一度も人を殺したことがない“市川は、敵のヒットマン(豊川悦司)に命を狙われ、妻には浮気まで疑われることに!
人生最大のピンチにばたつく”ハードボイルド気取りな小説家“の顛末を、世代を超えた豪華キャスト達で描き出す、かつてないオトナの良質エンターテイメントが誕生!
 

 
出演:石橋蓮司 大楠道代 岸部一徳 桃井かおり
佐藤浩市 豊川悦司 江口洋介 妻夫木聡 新崎人生 井上真央
柄本明 寛 一 郎 前田亜季 渋川清彦 小野武彦 柄本佑 濱田マリ 堀部圭亮 原田麻由
脚本/丸山昇一  監督/阪本順治
製作:木下グループ 配給・制作:キノフィルムズ ©︎2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ
 

TOHOシネマズ日比谷、新宿蔵野館他、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ(なんば、二条、西宮OS)、神戸国際松竹他 絶賛公開中!


(オフィシャル・レポートより)
 

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『ワイルド・ローズ』オリジナル クリアファイル プレゼント!

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本作の公開を記念して、歌手としての成功を夢見るローズのパワフルな姿を表現したポスタービジュアルのクリア ファイルをご用意させていただきました。

 

 

◆提供:ショウゲート

◆プレゼント数:名様

◆締め切り:2020年6月30(火)

◆公式HP:https://cinerack.jp/wildrose/

2020年6月26日(金)~シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、7月3日(金)~シネ・リーブル神戸全国公開

 


 

夢と家族の間でもがくシングルマザー

彼女の歌声に あなたはきっと涙する


このたび、ショウゲート配給の映画『ワイルド・ローズ』が 6 月 26 日(金)よりシネ・リーブル梅田他にて全国公開いたします。
イギリスの新進気鋭女優!ジェシー・バックリーが賞レースを席巻!アカデミー賞®ショートリストにも残った主題歌「GLASGOW」が、本年度の賞レースで音楽賞を総ナメし、ナショ ナル・ボード・オブ・レビュー<インディペンデント映画 TOP10>を始めとする世界中のインディペンデント映画賞で作品賞・主演女優賞を受賞。Rotten Tomatoes では 93%FRESH と高評価を獲得。
実在の人物をモデルに生ま れた本作で、全曲を自ら歌う主演ローズ役に挑むのは、『ジュディ 虹の彼方に』(19)での好演が光った、英国の新 鋭ジェシー・バックリー。彼女の母親役には、『リトル・ダンサー』(00)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたジュリー・ウォルターズ。ローズに手を差し伸べる資産家のスザンナ役には、『ホテル・ルワンダ』(04)でアカデミー賞助演女優賞にノミネート、『プーと大人になった僕』(18)ではカンガ役を演じた実力派ソフィー・オコネドーなど、豪華キャストが顔を揃え、英国からまた 1 本の名作が誕生いたしました!
 

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【STORY】
カリスマ的な歌声を持つシングルマザーのローズは、故郷のスコットランドから、アメリ カに渡り歌手としての成功を夢見ていた。だが、不器用にしか生きられない彼女は、 夢を追い求めるあまり、愛する母親や幼い 2 人の子供たちを時に傷つけてしまう。夢か家族か、若さと才能を兼ね備え、ついにつかんだチャンスを前に、葛藤する彼女がたどり着いた答えとは?
書き下ろした初のオリジナルソング、ラスト 5 分、彼女の歌声にあ なたはきっと涙する――! 
 
■監督:トム・ハーパー  脚本:ニコール・テイラー
■出演:ジェシー・バックリー、ソフィー・オコネドー、ジュリー・ウォルターズ
■原題:WILD ROSE   
■公式サイト:https://cinerack.jp/wildrose/
■2018/イギリス/102 分/PG-12 
■© Three Chords Production Ltd/The British Film Institute 2018
■配給:ショウゲート

◆公式HP:https://cinerack.jp/wildrose/

2020年6月26日(金)~シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、7月3日(金)~シネ・リーブル神戸全国公開


(オフィシャル・リリースより)

ピカソやダリも愛したプラド美術館開館200周年記念作品!
スペイン王室が慈しんだ美の結晶の数々が!

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コロナの影響下で4月10日(金)の公開が延期となっておりました、2019年に開館200周年を迎え、世界最高峰と言われるスペインのプラド美術館の全貌に迫るドキュメンタリー『プラド美術館 驚異のコレクション』が7月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーが決定致しました。
 

スペイン王室が愛した美と情熱の至宝。世界最高峰のプラド美術館。創立200年の今も輝き続ける、美の殿堂の歴史と未来に迫る——


世界最高峰の美術館の一つとされ、スペイン黄金期を後世に伝えるプラド美術館は2019年11月19日に200周年を迎えた。15世紀から17世紀にかけて太陽の沈まぬ国とも呼ばれたスペイン王国では、歴代の王族が圧倒的な経済力と美への情熱を背景に美術品を収集していた。

ナビゲーターを務めるのは『運命の逆転』(90)でアカデミー賞主演男優賞に輝いた名優ジェレミー・アイアンズ。プラド美術館全面協力のもと、栄光の時が刻まれた美術ドキュメンタリーが今、幕を開ける!

 



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改めて公開が決まった本作の日本語吹替版ナビゲーターを務めた今井翼さんからメッセージも到着致しました。

 

「歴史あるスペインの風景と美術が広がり、実際にプラド美術館に訪れたような気持ちにさせてくれる充実の映画になっています。当初よりも公開が遅れていますが、この作品を通して異国情緒をお楽しみいただける平穏な日常が戻ることを祈っております。」

 

 


[STORY]
広大な敷地に膨大なコレクションが収められたプラド美術館を案内するのは、アカデミー賞主演男優賞に輝いた俳優のジェレミー・アイアンズ。歴史物からファンタジー、サスペンスと幅広い作品で活躍する名優であり、プライベートでは400年間放棄されていたアイルランドの城を修復して暮らすという、歴史とアートを愛する知識人の一面も持つ。毎年約300万人が訪れるプラド美術館は、スペイン黄金時代に生きた王と王女が、自らの意志と審美眼で収集した唯一無二の美の殿堂。他の美術館とは明らかに趣向の異なる美の世界がここにある。


ナビゲーター:ジェレミー・アイアンズ
監督・脚本:ヴァレリア・パリシ 
脚本:サビーナ・フェディーリ 
2019年|イタリア・スペイン|英語・スペイン語|92分|カラー |
原題:THE PRADO MUSEUM. A COLLECTION OF WONDERS
配給・提供:東京テアトル/シンカ   © 2019 – 3D Produzioni and Nexo Digital – All rights reserved
公式サイト: http://www.prado-museum.com/

2020年7月24日(金)~ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次公開


 

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ブルース・リー生誕80周年記念

世界は今も、彼を中心に回っている。

最高の映像と最強の音声で更新された無敵の絶対聖典、

待望のリバイバル!

《ブルース・リー4Kリマスター復活祭2020》

7/3(金)~に公開延期、予告篇解禁!


   『ドラゴン危機一発』(1971)             『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972) 

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   『ドラゴンへの道』(1972)              『ドラゴン死亡遊戯』(1978) 

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全世界が新型コロナウィルスとの死闘を続け、映画業界全体が悲鳴をあげるなか、人類に勇気と希望を与えるためにも生誕80周年となる記念すべき今年、ブルース・リーは必ずスクリーンに帰って来ます。


公開まで3ヶ月。待ちきれないというファンの声に応え、この度本上映企画の予告篇が完成いたしました。上映される4作品の名場面を、マイク・レメディオスの主題歌をバックに4Kリマスターの最高映像を使用した従来にないクリアな映像で収録してブルース・リーの本物のアクションの迫力を凝縮、さらにブルース・リーが“4K修復”という看板を持つカットや旧マスターと4Kマスターの違いが一目で分かる比較映像も加え、熱い期待をさらに盛り上げる仕上がりとなっております。


「ブルース・リー 4Kリマスター復活祭2020」上映作品は、リーが香港凱旋後に主演した「ドラゴン危機一発」(71)、「ドラゴン怒りの鉄拳」(72)、「ドラゴンへの道」(72)、そして、死から5年後 に完成した「死亡遊戯」(78)のゴールデン・ハーベスト作品4本。ブルース・リー神話の原点ともいうべきこの傑作群が4Kリマスターの最高映像でスクリーンに蘇えります


また、音声も海外ですでに発売されている4KUHDの英語版音声をそのまま使用するのではなく、4Kリマスター国際版映像にマイク・レメディオスの英語版主題歌やブルース・リーの怪鳥音など、世界最強といわれた日本初公開時の英語版を極力再現すべく、最良の音声を厳選し、アタッチしてDCP化した<世界初・日本限定バージョン>での上映となります。これはまさに最高の映像と最強の音声で更新された全映画ファン必見無敵の絶対聖典です。



★予告編は公式サイトでご覧ください: http://brucelee4k.com/ 

2020年7月3日(金)より、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、なんばパークスシネマ、アップリング京都、ほかにて興奮のロードショー!

(近日~塚口サンサン劇場、元町映画館)

◆4作品共通コピーライト:© 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.


 

 

阪急うめだ本店フランスフェア 2020 「フランスの国旗」の画像検索結果フランス映画の魅力トークショー実施! 

 
3月18日(水)~24日(火)に阪急うめだ本店で開催される《フラ ンスフェア 2020》。会期中の3月 20 日(金・祝)は、映画トークショーを実施いたします。 フェアのテーマであるノルマンディーを舞台にしたフランス映画と、昨年のカンヌ国際映画祭審査員賞受賞、 本年度アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた最新作『レ・ミゼラブル』について、ライター・編集者・ 翻訳者・フランス語講師でもある小柳帝さんに語っていただきます。   
 

《フランス映画の魅力 トークショー》 

【実施日程】3月 20 日(金)16 時~
【場所】阪急うめだ本店 9 階 祝祭広場
【登壇者】小柳帝〔ライター・編集者・翻訳者・フランス語講師〕

※イベントは事情により中止・変更する場合がございます。


◆【トーク内容】◆
フランスフェアのテーマに合わせ、ノルマンディーを舞台にしたフランス映画を、シェルブール(『シェルブール の雨傘』)やドーヴィル(『男と女』)など、ノルマンディーの海岸線を辿りながらご紹介します。また、最新のフ ランス映画として、今年のアカデミー賞の国際長編映画賞にもノミネートされている『レ・ミゼラブル』(3/13 よりシネ・リーブル梅田ほかにて公開)についてご紹介します。 
 

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『レ・ミゼラブル』
3/13(金)~シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸 3/14(土)~京都シネマにて公開 
© SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS 
 
 
 
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    『シェルブールの雨傘』
      3/13(金)~テアトル梅田
    《ミシェル・ルグランとヌーヴェルヴァーグの監督たち》
      内で上映 
       ©ciné tamaris 1993  

 

◆【小柳帝 プロフィール】◆
映画・音楽・デザイン・知育玩具・絵本などの分野を中心に、さまざまな媒体で執筆活動を行なってきた。主要 な編・著書に、『モンド・ミュージック』、『ひとり』、『EDU-TOY』、『グラフィックデザイナーのブックデザイン』、 『ROVA のフレンチカルチャー A to Z』、『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書 1・2』、また、翻訳書 に『ぼくの伯父さんの休暇』、『サヴィニャック ポスター A-Z』などがある。その他、CD や DVD の解説、映画 パンフレットの執筆等多数。
 

 
 

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上の写真、左から、
①川崎 僚 (KAWASAKI Ryo)(33)     『あなたみたいに、なりたくない。』 
②島田欣征(SHIMADA Yoshiyuki)(33) 『Le Cerveau - セルヴォ -』
③山中瑶子(YAMANAKA Yoko)(22)     『魚座どうし』


日本映画の次世代を担う新たな才能3人の監督作品とコメント紹介

 
《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》とは? 
次世代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的とした《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》は、文化庁からNPO法人 映像産業振興機構(略称:VIPO)が委託を受けて2006年からスタート。今回も、学校や映画祭や映像関連団体などから推薦された中から3人の監督が厳選され、最終課題である35ミリフィルムでの短編映画(約30分)に挑戦した。日本映画の次世代を担う新たな才能3人の監督に作品に込めた意図や作風についてお話を伺った。
 


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■監督:川崎 僚(KAWASAKI Ryo)
■作品:『あなたみたいに、なりたくない。』
■作家推薦:シナリオ・センター 
■制作プロダクション:ダブ 
■出演:阿部純子、小島 聖、鳥谷宏之、吉倉あおい、藤田真澄
(2020年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2020 VIPO)


【あらすじ】
ndjc2019-「あなたみたいに、なりたくない。」-sub3.jpg30歳までに結婚しようと結婚相談所に入会したOLの鈴木恵(28)は、職場の小山先輩(42)のように、「婚期を逃した孤独な女性」にはなりたくないと思っていた。だが、何人かとお見合いするも適合する相手には巡り合えず。ようやく優しく誠実そうな相手に出会えたかと思ったのだが、先々まで決めてしまう相手の積極性に臆して連絡を絶ってしまう。少しトラブルになりかけたところを小山先輩に助けられ、初めて彼女の自宅に招かれる。そこで小山先輩の意外な一面を知り、結婚について相談していく内に、自分自身について考え始める。

 
【感想】
川崎僚監督はプロット作成やシナリオライターの経験者だけあって、安定感のある構成や心を掴むセリフに、特徴を捉えたキャラクター描写に優れ、完成度の高い作品に仕上げている。タイトルの「あなたのように、なりたくない。」をキーワードにして、エッジの効いたユーモアを生み出して爽快。久しぶりにスクリーンで見た小島聖の包容力のある自然体の演技が、作品により説得力を持たせていた。誰もが共感し勇気付けられるような作風で、川崎監督の他の作品も観たくなった。
 

【インタビュー】
ndjc2019-kawasaki-1-1.jpg川崎僚監督は、自身が28歳の時に結婚相談所やアプリなどを利用して婚活していた経験を基に脚本を書いたそうだ。「いま頑張らないと!女性は20代でないと選ばれないから!と言われ焦っていたが、中々相手を選べなかった」。そして「自分はどう生きたいのか?と自分自身を見つめ直し、性別や世間の常識から解放されたい」という想いを作品に込めたという。

また、こだわった点は「足元のカット。この作品は“現代のシンデレラ”。理想の相手と巡り合うまでは慣れないヒールを履いて見栄を張っていたが、最後はラフな格好でスニーカーを履いている。様々なシーンで主人公の気持ちを足元で表現したかった」。

演出については、「ガラス細工のような阿部純子さんには、一緒に主人公を演じるような気持ちでずっと寄り添っていた。小島聖さんは、私が思っている以上の心情をセリフに込めてくれた。表現したいことを“どう伝えるか”が難しかった」。好きな映画は伊丹十三監督の『マルサの女』。「知らない世界を教えてくれるのが映画だと思っている。複雑な人間同士が意外な展開や結末を迎えるのが面白い。外連味のあるものも好き」。周囲の意見も尊重しつつ、自分の世界観を創れる監督になりそうだ。
 
【プロフィール】
1986年大分県生まれ。
早稲田大学第二文学部卒業。シナリオライターとして映画・ドラマの企画開発に携わる傍ら、ニューシネマワークショップにて映画製作を学ぶ。その後「笑女クラブ」「彼女のひまわり」等の短編映画を製作し、数々の国内映画祭に参加。2018年に初長編映画「wasted eggs」を監督し、タリン・ブラックナイツ映画祭に正式招待、イタリアのレッジョ・エミリア アジア映画祭でも上映された。
 


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■監督:島田欣征(SHIMADA Yoshiyuki)
■作品:『Le Cerveau - セルヴォ -』
■作家推薦:デジタルハリウッド大学
■制作プロダクション:東映京都撮影所
■出演:田中沙依、藤崎絢己、南 岐佐、八田浩司、上瀧昇一郎
(2020年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2020 VIPO)
 
【あらすじ】

ndjc2019-「セルヴォ」-sub1.jpgシングルマザーの前川早弥の息子・蒼太はネオン症という奇病にかかっていた。蒼太を救うための生体移植に早弥自身の身体が適合することが分かって喜んでいた矢先、交通事故に遭う。目覚めると、見知らぬ研究所のような部屋に拘束された上に、奇妙な子供博士とボディガードが立っていた。早弥は蒼太の手術のことが心配になり脱走して病院に向かうが、自分が全くの別人に入れ替わっていることに気付き、さらに蒼太の傍には早弥そっくりの女が居てパニックになる。蒼太の病気はどうなるのか?別人になってしまった早弥は蒼太を取り戻すことができるのか?

【感想】
最愛の息子を救うため、母の強い想いが最後に選択するものとは?――島田欣征監督の専門であるデジタル技術を活かしたSFサスペンスは、突如別人になってしまった恐怖と焦りと息子を想う母の強い愛を描くことによって、人間とロボットとの相違点を浮き彫りにする。さらに、「子供のためなら他者を犠牲にしてまでも」という母親のダークな面の表現に挑戦し、人間性の本質に迫ろうとする意図が伺える。緊迫感を出すためか、全体的にぎこちない感じがした。できれば作品の中で生きるキャラクターの情景(演技や背景)に少し柔軟性を持たせてもよかったのではと思った。

【インタビュー】
ndjc2019-shimada-1.jpg「『マトリックス』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『E.T.』も好きだけど、いろんなジャンルの映画が好き。SFやビジュアルや機械ものとかでサスペンスを作りたい。観終わって、“踊らされたな”という感じで観客を巻き込めるようなもの」。テーマに関しては「暗めのものが好きなので、モヤモヤを抱えた生き方や他者を犠牲にせざるを得ないキャラクターがいてもいいのではと思っている。自己犠牲が美徳という捉え方とは対照的な嫌な気分にさせるダーク路線も表現していきたい」。

撮影中苦心した点については、「未経験のことばかりで、しかも設定は空想でしかないので、そこにリアリティを持たせるのに苦労した。機械なのに人間らしい、アンドロイド系はドライという考え方ではなく人間らしく描きたかった」。作風について「技術は日々進歩するので最重要という訳ではない。時代の先を行く描写で、子供心をくすぐるような誰が見ても面白いストーリー性のあるものを作っていきたい」。人間のダークな面にも注視するユニークさといい、子供の頃に感じたわくわくドキドキ感を忘れない感性は貴重だ。

【プロフィール】
1986年 東京都生まれ。
大学時代に実写の撮影、編集、3DCGを専攻。イギリス留学中にファインアート、写真、VFX、グラフィックを学ぶ。CG制作会社、デザイン会社を数社経て2013年に独立。監督として広告映像やMVを企画・演出、CGデザイナーとしても映画やCMの制作に携わる。また一方で、CGを教える大学の非常勤講師も務める。初監督作品の短編映画『宵の棒鱈』(2016) が海外や国内の映画祭に選出・招待上映。
 


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■監督:山中瑶子(YAMANAKA Yoko)
■作品:『魚座どうし』
■作家推薦:PFF
■制作プロダクション:オフィス・シロウズ
■出演:根本真陽、外川 燎、山田キヌヲ、伊東沙保、カトウシンスケ
(2020年/カラー/ビスタサイズ/30分/©2020 VIPO)ふたりが出会う、わかってしまう。
 
【あらすじ】
ndjc2019-「魚座どうし」-sub2.jpgみどりと風太は、川を隔てた別々の町の小学校に通う4年生。なんの接点もないふたりだが、あえて言えばふたりとも大人の事情に振り回されて、子供らしく生きられないでいること。みどりの家庭は、外国へ行ったきりで帰って来ない父親のせいで笑顔が絶えてしまった母親と二人暮らし。みどりが熱を出しても、嫌々病院へ連れて行って「あなたのために生きてるんじゃないから」と吐き捨てる冷たい母親。一方、風太は、新興宗教の布教活動に余念のない柔和な表情の母親と、反抗期の姉との3人暮らし。母の活動を手伝う風太は時々怖い目に遭うこともある。そんな風太の唯一の慰めは優しい理髪店の主人だったが……。みどりの学校では異様にテンションの高い担任が何やら事件の犯人捜しを始めて……。
 
【感想】
大人になると忘れてしまうことがあれば妙に記憶に残っていることもある。子供の頃、大人の心無い言動に傷つき、それがトラウマになることもある。二人の小4の子供を通して、大人の子供への無関心や勝手な振舞いによって子供が孤独になったり抑圧されたりして、子供らしく生きられないことを映像で訴えようとする意欲作である。ただ、子供の自然な表情を捉えようとする意図は理解できるが、映像が暗くてその表情が分かりにくい。昨年公開の『存在のない子供たち』(レバノン)のように強い意志で大人に訴える訳ではなく、振り回されている状況を描くだけでは感情移入しにくいように思った
 

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【インタビュー】
山中瑶子監督は、「子供の時の学校と家の中の世界が全てだった頃、人間関係が日々変わってしまう小学校って結構残酷だなと思っていた。親や先生たち大人を1人の人間と気付き始めたのが小4か小5の頃で、その時の大人の見え方を作品に盛り込んだ」。学校のシーンでは、「子供たちの自然な表情から物語りたかったので、子供たちはコントロールしてはいけない存在だと思っていた。エキストラの扱いはかなり大変で、拘束時間も午後4時まで。スタッフともどうする?どうする?と言いながら、一番最後の学級会のシーンは10分しかない状態で1テイクで撮った。子供たちの“何が起こったの?”という感じの表情が撮れたのは良かった」。

また、山中監督は、「人間の複雑さを描いた、音がなくても観られる映画が好き」だそうで、ドラマと映画の違いについても常に考えていて、「人間性を重視しているのか?何を求めているのか?内容にこだわった、“画で見せる”作品を撮りたい」。山名監督の22歳という若い感性と吸収力で、さらなる成長が期待される
 
【プロフィール】
1997年長野県生まれ。
日本大学芸術学部中退。独学で制作した初監督作品『あみこ』がPFFアワード2017に入選。翌年のベルリン国際映画祭に史上最年少で招待され、香港、NYをはじめ10カ国以上で上映される。監督作に、オムニバス映画『21世紀の女の子』(2019)の『回転てん子とどりーむ母ちゃん』。
 


《ndjc:若手映画作家育成プロジェクト》

このプロジェクトからは、『湯を沸かすほどの熱い愛』で数々の賞に輝いた中野量太監督や、『トイレのピエタ』の松永大司監督、『ちょき』の金井純一監督、『話す犬を、放す』の熊谷まどか監督、さらに『嘘を愛する女』の中江和仁監督や、『パパはわるものチャンピオン』の藤村享平監督、『花は咲く』『ANIMAを撃て!』などオリジナル脚本で活躍中の堀江貴大監督、そして今年も活躍が期待される『おいしい家族』のふくだももこ監督などを輩出している。
 


ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2019「合評上映会」のお知らせ
<大阪> 
期間▶3月13日(金)~19日(木) 連日18:30~ 
場所▶シネ・リーブル梅田
舞台挨拶▶3月14日(土):映画パーソナリティの津田なおみさんと、ndjc2019監督3人とのトークセッション
公式サイト▶ http://www.vipo-ndjc.jp/
 

(河田 真喜子)

 
 
 
 
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渋川清彦、松本穂香の現場での過ごし方を賞賛!
『酔うと化け物になる父がつらい』舞台挨拶付き先行上映会
(2020.2.21 シネ・リーブル梅田)
登壇者:松本穂香、渋川清彦、久馬 歩(脚本)
 
 アルコールに溺れる父を持った作者・菊池真理子の実体験に基づくコミックエッセイを、『ルームロンダリング』片桐健滋が映画化。松本穂香と渋川清彦のW主演で描く家族ドラマ『酔うと化け物になる父がつらい』が、3月13日(金)よりシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、Tジョイ京都、3月20日(金)よりシネ・リーブル神戸他全国ロードショーされる。
 
 
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 アルコール依存症で、仲間たちとついつい飲みすぎてしまう父を渋川清彦が見事な酔っ払い演技で表現すれば、母を苦しめる父に反感を覚える一方、漫画で酔っ払い父を書いたことがきっかけで、自分の新たな道を切り開いていく娘を松本穂香が説得力のある演技で魅せる。新興宗教に救いを見出す母をともさかりえが演じる他、妹を元欅坂46の今泉佑唯が熱演。また、自宅やスナックで集合する野球仲間兼飲み友達には、宇野祥平、森下能幸、星田英利らが扮し、昔こういう親父たちがいたなという凝視感が満載だ。一歩間違えれば非常にシリアスな物語だが、コメディとシリアスの間を絶妙なバランスで引っ張る異色のドラマだ。
 
 
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 2月21日にシネ・リーブル梅田で行われた舞台挨拶付き先行上映会では、主演の松本穂香、渋川清彦に加え、本作の脚本を担当した久馬 歩(お笑いユニット「ザ・プラン9」)も登壇した。大阪は松本の地元だけあり、客席にはご家族や友人の姿も。いつになくリラックスした雰囲気の松本は、「サキは、モヤモヤをずっと抱えて行きている人。重い空気を自分の中に抱え、あとは監督に任せました」と役作りを回想。一方、シラフより酔っ払った状態のシーンの方が多かった渋川は、「片桐監督は長年知り合いなので、セリフも多くないし、飲みながらやってもいいかと提案しました。でもやはり緊張するし、セリフも言わなくてはいけないしで、半分も酔えなかったですね」と見事な酔っ払い演技の舞台裏を明かした。
 
 
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 一方、最初脚本を書くのに苦労をしたという久馬は、「タイトルはポップですが、実話なので、書くときはとういう風にするべきか考えました。あまり嘘をつけないですし。自分の親父も岸和田のプチ化け物で玄関でもよく寝ていたので、その様子を思い出しながら書きました」と自身の体験を重ねながら、執筆の様子を語った。
 

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 松本と渋川は初共演だが、現場ではほとんどしゃべらなかったという。「やはり役のことを意識して、あまり話さない方がいいだろうなと思いました」と当時を振り返る松本に、「(つらいシーンが多いので)ほとんど笑ってなかったね。僕は現場の様子をよく見ているのだけど、今はスマホを見ている人が多い中、松本さんはスマホを見ないで、現場にいたので、いい居方だなと思いました」と渋川が賞賛。「ぼうっとしてました」という自然体の松本が一番印象に残るシーンは、後半サキが父に気持ちをぶつけるシーンだという。

「ピリッとしてましたね。ワンカットで気持ちがつながり、松本さんの気持ちが爆発したのが良かった。監督も撮りながら泣いていましたよ」と渋川が評すると、松本も感激しきりだった。
 
 
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 そんな撮影現場に訪れたことがあるという久馬は、「手土産に551の豚まんを持参しましたが、551があって、こんな暗い日があるのかというぐらい暗かった」とシリアスなシーンの撮影に驚いた様子。「父が“嫌い”ではなく、父が“つらい”というところが切ないですね」とタイトルからサキの気持ちを代弁した。
 
 最後に
「この映画が、いろんなことに挑んでいる人へ役に立てばうれしい」(久馬)
「いい映画なので、今は色々なことがありますが、見ている間は楽しんでいただきたいです」(渋川)
「難しい親子関係や人間関係に悩んでいる人にも、ぜひ見ていただきたいです」(松本)と結んだ舞台挨拶。待機作や出演作の多い松本だが、渋川とがっつり組んで臨んだ家族ドラマへの思いが静かに伝わってきた。お酒につい依存してしまう人も、そんな家族がいる人も、そしてお酒を飲まない人もぜひ見てほしい、異色の家族ドラマだ。
(江口由美)
 

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<作品情報>
『酔うと化け物になる父がつらい』
(2019年 日本 95分)
監督:片桐健滋 
原作:菊池真理子著「酔うと化け物になる父がつらい」秋田書店
出演:松本穂香、渋川清彦、今泉佑唯、恒松祐里、濱正悟、安藤玉恵、宇野祥平、森下能幸、星田英利、オダギリジョー、浜野謙太、ともさかりえ他
3月13日(金)よりシネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、Tジョイ京都、3月20日(金)よりシネ・リーブル神戸、全国ロードショー
公式サイト → https://youbake.official-movie.com/
(C) 菊池真理子/秋田書店 (C) 2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会
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どう生きたいかは「何を見たいか、そこから何を選ぶのか」
『Red』三島有紀子監督インタビュー
 
 直木賞作家・島本理生の人気長編小説を三島有紀子監督(『幼な子われらに生まれ』)が映画化した『Red』が、2月21日(金)より梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、T・ジョイ京都他全国ロードショーされる。
 何不自由ない結婚生活を送っているように見える子持ちの専業主婦・村主塔子。かつて愛した男・鞍田と再会し、少しずつ本当の自分に気づいていき…。
 塔子を演じるのは、若手実力派女優の夏帆。自分の中に積み重なる違和感や、孤独感を余すことなく表現する。ある覚悟を持ち、塔子を全身で愛そうとする鞍田を妻夫木聡が演じる他、また塔子に興味を持つ同僚・小鷹を柄本佑、エリートサラリーマンの夫・真を間宮祥太朗が演じている。籠の中の鳥が飛び立つように、社会とのつながりを経て、人生には他の選択肢があることを実感した塔子。映画オリジナルのラストをどう受け取るのかも含め、小説とは違う世界観を味わえる大人のラブストーリーだ。
 本作の三島有紀子監督にお話を伺った。
 

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■現代的なヒロイン、塔子が、自分の中にきちんと尺度を持ち、自分の人生を生きる話になれば、価値のある映画になるのではないか。

――――原作とは設定や構成を大胆に変え、映画らしい表現が光る三島版『Red』になっていますが、三島監督が最初、原作を読んで抱いた感想は?
三島:『Red』の主人公・塔子は専業主婦で、幸せに生きていると思っている。だけど、自分の希望ややりたいことを少しずつ抑え込んで生きている事に気がついていない。自分のやりたいことを考える前に、皆が喜ぶことや気に入ることをやってしまい、世間の多くの人がいいと思うものをいいと思うようになっている。それを私は「尺度が外にある」と言うのですが、そういう日々を重ねると、だんだん自分が本当はどう生きたかったのかを忘れ、自分を見失ってしまう。今はそういう人が多い時代になっていると普段から怖いなと思っていたので、『Red』の主人公・塔子が非常に現代的に感じましたし、100年以上前に書かれたヘンリック・イプセンの戯曲「人形の家」のノラみたいだと感じたのです。大体、いつも原作を読むときは、自分がこの原作の何に反応するのかを面白がりながら読むのですが、そんな塔子が自分の中にきちんとした尺度を持てるようになり、自分の人生を生きることができるようになるという物語にすれば、きっと今を生きる皆さんに観ていただける、価値のある映画になるのではないかと思いました。自分の中に尺度があると、きちんと対話が生まれると思いますしね
 
 
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■覚悟を持って生きる人の傍らにいると、自分にも問いかけざるをえない。

――――かつて愛し合っていた鞍田との再会が、ある意味自分の尺度を取り戻すきっかけになりますね。
三島:興味深かったのは鞍田には秘密があり、それゆえ、自分の人生で何が大事か、非常に明確に見えている訳です。そういう人が10年前に深く愛した塔子と再会し、ぶつかり、「君は何を愛し、どう生きたいか」と問いかけてくる。言葉ではなく、そういう覚悟を持って生きている人が傍にいると、自分にも問いかけざるをえないですよね。そういう化学反応にとても惹かれます。
物語の後半、出張で大雪のため帰れなくなってしまった塔子を鞍田が車で迎えに来るくだりがありますが、それを読んだ時、これだ、と。非常に映像的だし、大雪という舞台が男と女を描くのに説得力があり、この雪の中の一夜を描きたいと思ったのです。夜から朝を迎えるまでを主軸として描きながら、二人が再会してから何があったのかという過去を入れ込む形にしたいという構想が、読み終わってすぐに思い浮かびました。
 
 
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■鞍田のテーマ曲・ジェフ・バックリィの「Hallelujah」が蘇らせる二人の思い出

――――一番描きたいと思われた雪の中の一夜、二人が乗る車の中で流れるジェフ・バックリィの「Hallelujah」が、雪とこだまするような余韻があり、非常に印象的でした。選曲の理由は?
三島:「Hallelujah」という曲の存在は、いつも自分に寄り添ってくれるものの一つでした。歌い方もある種エロスを感じつつ、哲学者的な深遠で美しい声で、いつも問いかけてくるものがある。そんな曲なのです。鞍田も塔子にとっては生き方を問いかけてくる存在でもあるし、鞍田のテーマとして使いたいと思っていました。一方で、鞍田のキャラクターを考えた時、建築家という職業で、古い型のボルボに乗っている…、そしたらおそらくジェフ・バックリィの「Hallelujah」が好きな人だろう。そして10年前、塔子と車の中で一緒に聴いていただろうと想像したのです。歌は歴史を一瞬にして感じさせるもので、二人が「Hallelujah」を車で聞いた時、一瞬にして10年前の思い出が蘇ってくる。そして、今どんな気持ちで二人は聴くのかを撮りたいと思ったのです。
 
――――「Hallelujah」にある種のエロスも感じるように、塔子と鞍田の情愛をどう表現するかもこの作品の大きな見どころです。
三島:最初二人が交わる時は、「鞍田が塔子を」慈しみ、塔子の存在を感じながら抱くわけです。塔子の心と体がだんだん開いていく過程を見せていくため、彼女が少し声を出せるようになる過程や、心の扉を開いていく表情の変化をつぶさに捉えていくことを心がけました。上り詰める顔ではなく、達した後にどういう顔をするかで塔子がどれだけ満たされているのか分かる。少しずつ撮るのではなく、キスして脱ぎ始めてから達した後、夏帆さん演じる塔子が観音様のような神々しい顔になるまでをワンテイクで一連の流れとして撮っていきました。そして、ラストのラブシーンは、塔子が全細胞を使って鞍田のすべてを記憶するように、「塔子が鞍田を」抱くシーンにしたいと考えました。
 

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■二人の気持ちを体感するような、体内に届く音作り。

――――吐息や二人が触れ合う音など、繊細な音が2人の体温までも感じさせるようでしたが、音作りについて教えてください。
三島:今回は2人の気持ちを体感してもらいたかったので、音を付けるときに、2人が感じている音を付けてほしいと依頼しました。2人がどんな音を聞いているのか。相手の心臓の音や、実際には鳴っていないけれど、その人には聞こえているような音など。波の音にもぜひ注目していただきたいですし、映画館でなければ体感できないような、体内に届くような声になっています。おそらく、塔子や鞍田が隣にいるような気分になれるのではないでしょうか。
 
――――塔子の夫・真は精神的に母親に依存気味のエリートサラリーマンですが、日頃はトンがった役の多かった間宮祥太朗さんの新たな一面が見えました。
三島:バラエティー番組での間宮さんを見て、単語の選び方が非常に上品だと感じていました。悪びれた野性的な役をやりたいお気持ちが大きいかもしれませんが、今回はクレバーで品のある間宮祥太朗を出してほしいとお願いしました。
 
――――一方、柄本佑さんが演じる鞍田の同僚・小鷹の身のこなしや細かい気遣いが、抜群に魅力的でした。何かアドバイスしたことはありましたか?
三島:佑さんはそもそも達観した自由さを持っているので、彼が演じれば間違いないと思って、小鷹役をお願いしました。ただ一つだけ、佑さんが「小鷹は塔子のことが好きで、でも最終的にはフラれるということでいいですよね」と聞いてきたのです。小鷹は塔子を好きだけれど、鞍田のことも尊敬していて、好きなのです。つまり塔子も鞍田も、うまくやれない不器用さや孤独さを持っており、そんな二人のことを憎めない。むしろ2人のことを一番理解していて、愛しているのが小鷹だという話をしましたね。
 

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■難しい塔子役を演じた夏帆さんを、万全の態勢で受け止める。

――――夫である真、鞍田、そして小鷹と3人の男の前で、それぞれ別の表情を見せる塔子に、女の多面性を見た思いがしました。塔子を演じた夏帆さんの目の表情が、どれも印象的でしたが、難しい表現も必要だったこの役について、どのような演出をしたのですか?
三島:みなさん、お芝居が上手な俳優ですから、環境さえきちんと整っていれば、芝居が自然と生まれると信じています。こんな空間にこういう小道具を用意しておけばこんな芝居が引き出せるとか、灰皿を向こうに用意しておけば、ここから周って行くだろう等、制作部と空間を選び、美術部と一緒にお芝居できる環境をまず整えます。そこで感じ取っていただいて、自然とお芝居になるというのが、理想ですね。
 
今回は塔子が住む豪邸で、本当は大きな窓があったのを、美術部と相談して窓を塞ぎました。そうすると、塔子はそこに立っていると自然と息苦しい気分になっていくので、自宅でのシーンはそこから演出していきました。また雪の夜、鞍田が主張先の塔子を迎えに行くシーンで、塔子が信じられないという表情で鞍田の頬を触るのですが、彼女に指示を出すのではなく、妻夫木さんに「亡霊のように立っていてほしい」とお願いしました。そうすると自然と夏帆さんが、本当にここにいるのかと思い、自然と手が出る。そういうことの積み重ねで、夏帆さんがそれらに反応していけば、自然と相手によって表情も変わり、見えている側面が変わっていったと思います。そこを目指して皆で頑張っていました。
 
――――監督の演出を受けた相手役の俳優の動きにその場で反応しながら、夏帆さんは塔子としてそこにいるような自然な演技になったのですね。
三島:それぞれの相手役に対してとても自然に反応してくれたのがよかったなと思います。ただ子持ちの専業主婦という役は夏帆さんも初めてだったので、相当悩み、もがいていました。でも主役は自分の殻を破り、新しいものを掴むために、もがく方がいいと思っているんです。理屈で分かることだけやっていても、新しいことは生まれませんから。我々キャスト・スタッフ全員で夏帆さんを受け止めるつもりでいたので、頭でわからないことでも思い切ってやってみてくれと伝えました。
 
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■どう生きたいかは「何を見たいか、そこから何を選ぶのか」

――――最後に、二人が作った家の模型の窓から見える風景や、鞍田の車のフロントガラスから見える風景など、フレーム越しの風景が象徴的に使われています。その狙いを教えてください。
三島:建築家の方と話していると、家を建てる時には、ご家族が何を見て過ごしたいかを聞くそうです。それによって、窓の方向や場所が決まるのだとか。その話に感銘を受け、鞍田を建築士に設定しました。どう生きたいかは、何を見たいか、そしてそこから何を選ぶかではないかと思うのです。『Red』は、窓越しに二人が何を見たかったのかを辿っていく映画とも言えますね。
(江口由美)
 

<作品情報>
『Red』
(2020年 日本 123分)
監督:三島有紀子
原作:島本理生「Red」中央公論新社
出演:夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗、片岡礼子、酒向芳、山本郁子、浅野和之、余貴美子ほか
2月21日(金)より梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、T・ジョイ京都他全国ロードショー
公式サイト → https://redmovie.jp/
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「一歩踏み出したから成長できる、それが人生」
『37セカンズ』HIKARI監督、佳山明、大東駿介インタビュー
 
 脳性麻痺で体が不自由な女性、ユマが、母の束縛や親友に依存される環境から抜け出し、新しい可能性に向かって歩み出す姿を描き、第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門にて日本人初の観客賞と国際アートシネマ連盟賞パノラマ部門をW受賞した感動のヒューマンドラマ『37セカンズ』が、2月7日(金)より大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショーされる。
 
 

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  母(神野三鈴)の束縛を振り切り、新しい世界へ踏み入れる中、介護士の俊哉(大東俊介)や舞(渡辺真紀子)と出会い、諦めの人生を、前向きな人生に変えていくユマ。一人の女性の成長物語として、ポジティブなメッセージがたくさん込められているヒューマンドラマだ。
本作のHIKARI監督、演技初体験で主演のユマを演じた佳山明さん、ユマの自立を助ける介護士、俊哉役の大東駿介さんにお話を伺った。
 

 
――――日本では女性自身の性や、障害者のリアルな生活や葛藤など、なかなかリアルに描かれない中、本作はその両方を取り入れ、とてもエネルギッシュに描いており、感動しました。この作品の企画のアイデアはどこから生まれたのですか?
HIKARI:熊篠慶彦さん(映画『パーフェクト・レボリューション』のモデル、原作者)から男性障害者の性についてお話を伺う機会があり、その時にふと、女性の障害者はどうなのかと思ったのです。当時今とは違う内容の、障害者の性に関する脚本を書いていたのですが、1年後、熊篠さんと訪問し、インタビューしたセックス・セラピストの方から「下半身不随の女性も、セックスで達することができるし、自然分娩もできる」と聞いたのです。他にも下半身不随で自然分娩をした方にインタビューし、本来ならおしっこもカテーテルを入れなければならないぐらいなのに、赤ちゃんが出てこようとする命の素晴らしさに感動しました。また以前から漫画家に興味を持っており、アダルトものは女性漫画家が多いそうなのです。しかも、性体験がない人も実際に書いておられ、人間の想像力や性と脳の働きなど、様々なことが入り混じり、この脚本に結実していきました。
 
 

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■「嘘はつきたくない」ぶれない思いが、スタッフ、キャストを一つに。(HIKARI監督)

――――ユマを描くリアリティについて教えてください。
HIKARI:映画は長い時間とお金をかけ、スタッフやキャストが一つになって作るわけですから、パッションがなければ作れない。今回、皆が一つになれたのは、嘘はつきたくないという思いに、全員が気持ちを一つにしてくれたからです。やはり障害者の人に主役を演じてもらうには、撮影日程を2週間延ばしてもらう必要がありましたが、最初からそこはブレませんでした。
 
――――佳山明さんの魅力とは?
HIKARI:初々しさ、ピュアさにすごく惹かれました。演技をするというより、目の前にあることを真っ直ぐに受け止め、それに対してリアクションをしてくれる。そういう姿勢がすごく良かったです。
 
 
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■障害者視点からくるセリフに感情移入(佳山)

 「一瞬一瞬に心を動かし、一瞬一瞬に詰め込む」明さんの演技や監督の演出が自分の糧に(大東)

――――ユマ役に共感した部分や、演じるのが難しかった部分はありますか?
佳山:ヒロインも障害当事者なので、障害者視点からくるセリフが色々あり、そこは感情移入できるなと思いました。色々なことが思い浮かびますが、ラブホテルのシーンだったり、やはり初めてのことなので、難しいことが多かったです。
 
大東:僕らは仕事として色々な作品を経験していますが、明ちゃんは初めての現場ですから。よく明ちゃんが演じるユマの生き生きした表情が良かったという声をいただくので、それを伝えると「私は用意スタート!からカット!まで、監督から言われたことを演じるのに必死で、カメラが回っていることを精一杯生きることに必死だったんです」と答えてくれました。その一瞬一瞬に答えていくというのが、明ちゃんの作品との向き合い方であり、この作品がすごく生命力豊かになったのも、その姿勢からきているのではないか。それは、今回僕が明ちゃんからすごく教わったことでもあります。
また、HIKARIさんの演出は、日本で生まれ育った自分の価値観をすごく広げてくれました。一瞬一瞬に心を動かし、一瞬一瞬に詰め込む。僕への演出だけでなく、明ちゃんに演出しているHIKARIさんも含めて、全てがメッセージとして自分の糧になったと思います。
 
――――なるほど。撮影現場の熱気が伝わってきました。
HIKARI:うれしいですね。大東さんは、舞台の経験もありますし、まじめで一緒に仕事をしていてすごく安心できます。あとは役者さん同士や、監督の私とのキャッチボールでした。映画自体を良くするために彼も私に意見を言ってくれるし、明ちゃんも「これはちょっと、違うと思います」と教えてくれました。とにかく、駿介さんと明ちゃんは、現場でも一緒に演技をすることが多かったですから、二人にこちらも教えられましたね。
 
大東:HIKARIさんは、誰に対しても分け隔てなく、ものすごく人間っぽい方です。コミュニケーション能力が高くて、親戚ぐらいの身近な距離感で接してくれるので、すぐ仲良くなれる。以前、トーク番組の司会をされている先輩に「人から何かを引き出す時には、まず自分からさらけ出すこと」と言われたことがありますが、HIKARIさんがまさにそうです。打ち解けた人と仕事をする時、親しいからこその妥協点を見出そうとしてしまいがちなのですが、HIKARIさんは仕事に対して、非常に厳しかったですね。
 
 
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■演出は彫刻のようなもの。大東さんはいかに削いでいくか、明さんは少し付け加えてユマを見出す。(HIKARI監督)

――――具体的に監督からどんな指摘を受けたのですか?
大東:「この瞬間のことだけでなく、あなたがこの先役者をやって行く上で、絶対に苦しむから、今のうちに絶対考えて、直した方がいい」と。言葉としてはストレートすぎて、すごくダメージを食らうのですが、結果的にはすごく薬になる。インフルエンザの予防接種みたいに、注射されると翌日は熱を出したりするけれど、免疫がついて強くなるみたいな効果がありました(笑)
 
HIKARI:基本的に自然体で演じてもらうスタンスです。日本に限らず、役者さんはすごく勉強をして撮影に臨んでくれますから、今回も大東さんの中にすでにあるものをいかに削いでいくかを考え、俊哉を作り出していきました。明ちゃんは、彼女自身がピュアな状態ですから、少し付け加えたり、変えることでユマを見出していきました。
 
――――役者としての大東さんに期待を込めたアドバイスだったのですね。
HIKARI:オーディションの1年ほど前に、園子温監督に誘われた会でご一緒したのが初対面でしたが、大東さん自身も非常にオープンな方ですし、お互い大阪出身ということで意気投合し、その時から心を許し、言いたいことが言える関係ができていました。ただ撮影現場で俊哉を作りあげながら、今まで苦労してやっとここまで来たのだから、もっと高いところに行ってほしいという気持ちがありましたね。
 
 
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■平気で人を傷つける暴力的な生き方を選んでしまうのは、心の障害。(大東)

――――脚本を読んでの感想は?
佳山:当事者の方にたくさんインタビューをして書かれた脚本なので、リアリティがありますし、私としてはそのリアリティにぐっと来ました。
 
大東:人間は知らない人に対しては暴力的になれるので、知るということは救いになりますし、知らないことは他人を傷つける可能性を孕んでいます。平気で人を傷つける暴力的な生き方を選んでしまうのは、心の障害に近づくのではないでしょうか。映画バージョンでは描かれていないのですが、俊哉は過去に家族を失い、その原因が自分にあったかもしれないとずっと自分を責めている男です。考えても仕方がないので、人のために生きる道を選ぶべく介護士になった訳ですが、それでも前に進めずにいる。未来を知ろうとしないので、心の障害のように前に進めなくなってしまうのは、今の日本のムードでもあるし、自分にも刺さる気がしました。
 
この映画に参加し、試写で作品を見たことで、知らないという自分を肯定でき、ものすごく外の世界に興味を持つようになりました。世界が興味に溢れたような気分です。僕はこの映画を色々な人に届けたいし、映画は娯楽ではあるけれど、時にものすごいサプリメントのような力があると感じています。
 
――――渡辺真起子さんが演じた、ユマが自立するのをバックアップする障害者専門のデリヘル嬢、舞はとてもカッコよかったです。
HIKARI:私自身、日本人でありながら、人生の半分以上はアメリカにいるのですが、日本はすごく素敵だと思うのです。古くからの文化があり、食べ物は美味しいし、綺麗し、平和だし、安全だし、素晴らしいと思う一方、どうしても「きちんとしなければ」と思う人たちもたくさんいます。舞さんのようなデリヘル嬢も、世間的には軽んじられるような存在ですが、私は他人のことなど構う必要はないと思うのです。日本では大概の人が、他人が気になって仕方がないし、メディアも書き立ててしまう。舞の常連客である障害者にとって彼女は女神のような存在ですから、舞をカッコよく描きたかったですし、他人をジャッジすること自体間違っていると伝えたかったのです。
 
――――障害者を題材にした映画は、自己犠牲的な展開に陥りがちですが、本作は非常にポジティブなメッセージが込められています。
HIKARI:小さい頃から大人の嫌な部分もたくさん見て、「絶対こんな大人にならない!」という体験もしてきましたし、一方母子家庭でしたが祖父母をはじめ多くの周りの人に育ててもらう体験もしました。また家族が経営する鉄工所で体が不自由な従業員の方達もたくさんいたので、私も普通に接していました。障害者だからという隔たりを感じることがなかったのです。今回は障害者というだけでなく、女性や性のことを色々な人に理解していただければという思いがあります。
 
 
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■一歩踏み出したから成長できる、それが人生。(HIKARI監督)

――――18歳で渡米してからの体験も、映画に反映されているのですか?
HIKARI:20代はとても苦労し、嫌な目にも遭いましたが、そんな中でもまずは自分を愛し、他人に優しくなることを心がけていると、周りはそのエネルギーを感じ取ります。社会的な問題が世界中に渦巻く中、どうすれば愛に満ちた幸せな世界になるかと考えた時、映画を見て、ふっとポジティブな、明日は頑張ろうと思える作品に出会えると、私は嬉しいと思うのです。人を通して環境を良くし、この世の中を良くしていけるポジティブな作品を届けたいですね。
 
あとは、人生は選択で、こちらの道を選んだがために失敗をすることもありますが、ピンチは100%チャンスだと思うし、それを取って上に登るかどうかは自分次第なのです。自ら一歩を踏み出したユマがいるからこそ、俊哉に出会い、舞に出会い、全然違う場所にいて、精神的にも大きく成長している。凝縮していますが、それが人生であり、描きたかったことなんです。
 

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■「私の幸せ」から「色々な人の幸せ」にどんどん波動を広げてほしい。(HIKARI監督)

――――本作に取り組んで、障害者に対する見方は変わりましたか?
大東:僕も障害者の人が周りにいる環境だったので昔は意識していなかったけれど、大人になり、どう接していいか分からないという感覚がありました。でもこの映画に参加し、自分も当事者だと感じます。90年代終わりからゼロ年代にかけて、今の社会は良くないとSNSも拍車をかけ、自己否定や社会否定に走っていきましたが、令和前後の今は面白い現象が起きています。流行っているYoutuberも究極の自己肯定ですし、「社会が黒と白で闘っているなら、私は黄色でいい」というような人が出てきて、次世代は自分を認めるムードがある、すごくいい時代になってきていると思います。皆、他人のことを否定することに疲れているんですよ。自分だけの考えで動く時代に、実はなってきているのではないかと、僕なりに捉えています。
 
HIKARI:ワガママでいいし、謙虚が美徳なのは問題です。実際に「私なんて」と言う女子が多いのですが、いつかきっと「私が!」と爆発する時がくる。それが怖いのです。言霊と言いますが、響き、波動、言葉はとても大事で、自分から発することが大事です。言いたいことを言い、やりたいことをやる。自分が幸せなら、周りを絶対幸せにできます。「私なんて」と言わず、私のことを一番に考えてもいいぐらいです。私の幸せから、色々な人の幸せに、どんどん波動を広げてほしいですね。
(江口由美)
 
 

<作品情報>

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『37セカンズ』
(2019年 日本 115分)
監督:HIKARI
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、
宇野祥平、芋生悠、渋川清彦、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり、板谷由夏 
2月7日(金)より大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト → http://37seconds.jp/

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本国イギリスで動員 100 万人を超える大ヒット!コーンウォールの美しい港町を舞台に贈る心温まる感動のサクセスストーリー!

漁師バンドがイギリス中を席巻する奇跡の実話『フィッシャーマンズソング コーンウォールから愛をこめて』(公開中)について、より 詳しくわかるトークイベントを開催!

映画やイギリス・ケルト文化の書籍を多数執筆しているエッセイストの武部好伸さんが、同作の舞台となったコーンウォールについて丁寧に 解説していただきます。

作品を観ていても観る前でも楽しめる、スペシャルトーク! 開催場所は、映画に関する書籍やパンフレットなどが多数取り揃えられているブックカフェバー【 ワイルドバンチ 】にて! 


●日時:2 月 7 日(金)20 時開場 / 20 時 30 分スタート(22 時終了予定)
●料金:予約 1,500 円、当日 2,000 円
★入り口で「映画を観た」と言っていただければ 500 円引き ※定員 40 名、予約先着順に締め切ります
●予約 http://www.cinepre.biz/archives/25674
上記キネプレ HP 内、該当ページのフォームより「開催日(2/7)」「お名前」「メールアドレス」「人数」を記載の上、送信してく ださい。キネプレ編集部からの返信をもって予約完了となります。 
 

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武部好伸(たけべよしのぶ) プロフィール エッセイスト。 1954 年生まれ。元読売新聞大阪本社記者。関西大学社会学部非常勤講師。日本ペンクラブ会員。 主な執筆テーマは映画、ケルト文化、洋酒。日本経済新聞、その他のメディアに映画評、映画エッセイ を寄稿。著書に『大阪「映画」事始め』(彩流社)、『ウイスキー アンド シネマ 琥珀色の名脇役たち』 『ウイスキー アンド シネマ 2 心も酔わせる名優たち』(淡交社)、『シネマティーニ銀幕のなかの洋酒た ち』(同)、『ぜんぶ大阪の映画やねん』(平凡社)、「ケルト」紀行シリーズ全 10 巻(彩流社)など多数。 


 
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【ビールフェアも同時開催】 

CH_shop1.jpg映画公開を記念し同店にてエールビールフェアを同時開催! 劇場にて『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』ご鑑賞済みの映画半券をお店にご持参いただくと、エールビールを特別に 200 円割引にてお召し上がりいただけます! 
 
映画冒頭、主人公ダニーがパブで「ラガー4杯!」と注文すると、バーテンダーは「ラ ガー?この時期需要がないから(取り扱ってない)」と返し、エールビールを勧めると いうやり取りがあります。 え!?季節で飲むビールが変わるの??という疑問も解決♪
お店オリジナル《ラガー とエールビールについての説明資料》のご用意あり!!
口頭での直接レクチャーも! 
 
◆ビールフェア期間:2 月 8 日(土)~2月 20 日(木)※定休日など除く     ワイルドバンチ  
住所:大阪市北区長柄中 1-4-7 ロイヤルグレース 1F 電話:06-7710-2177 HP:http://www.cinepre.biz/wildbunch twitter:@bc_wildbunch 定休日:月曜 ※営業時間は HP をご覧ください ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』  
https://fishermans-song.com/ 
 
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本国イギリスで動員 100 万人を超える大ヒット! 漁師バンドがイギリス中を席巻する奇跡の実話! コーンウォールの美しい港町を舞台に贈る心温まる感動のサクセスストーリー! 
 
人生には歌とビールとちょっぴりのユーモアが欠かせない イギリスのコーンウォール地方にある港町ポート・アイザックを旅行していた音楽マネージャーのダニーは、偶 然フィッシャーマンズ・フレンズの浜辺ライブを見かける。上司達に彼らとの契約を命じられたダニーは小さな 港町に居残るハメに。民宿の経営者でシングルマザーのオーウェンはダニーの失言に敵意をむき出しにしていた が、彼が見せた音楽への情熱に心を動かされる。契約できたものの、はたしてフィッシャーマンズ・フレンズは 生き馬の目を抜く音楽業界でメジャーデビューできるのか?

『輝ける人生』(17)の製作チームと実力派俳優が贈る本作は、イギリスで活躍しているバンド“フィッシャーマ ンズ・フレンズ”の実話を基に映画化。公開直後から本国イギリスであれよあれよという間に 10 億円を稼ぎだし、 異例のロングランヒットを記録した。 人生には歌とビールとちょっぴりのユーモアが欠かせない。本物の音楽に価値観をひっくり返された男の成長と、 海の男たちの熱い絆が爽快な人生賛歌! 
 
【監督】クリス・フォギン(『キッズ・イン・ラブ』) 
【製作・脚本】メグ・レナード&ニック・モアクロフト(『輝ける人生』)
【出演】ダニエル・メイズ(『シンクロ・ダンディーズ!』)、ジェームズ・ピュアフォイ、デヴィッド・ヘイマン(『輝ける人生』) デイヴ・ジョーンズ(『わたしは、ダニエル・ブレイク』)、サム・スウェインズベリー、タペンス・ミドルトン、ノエル・クラーク 【音楽】ルパート・クリスティー(『マンマ・ミーア!』『コントロール』) 
2019 年/イギリス/英語/112 分/日本語字幕:浅野倫子/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
© FISHERMAN FILMS LIMITED2019

テアトル梅田、京都シネマ 他 にて 絶賛上映中! 

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