(写真:第2回記者会見ゲスト 左より『ほとりの朔子』深田晃司監督、主演二階堂ふみ、フェスティバル・ミューズ栗山千明、『捨てがたき人々』榊英雄監督)
今やアジア最大級の国際映画祭へと成長した東京国際映画祭(TIFF)。昨年25回を迎え、今年は次の25年に向けて、部門構成を刷新し、さらに若く新しい才能を世界に送り出す機能を備えた映画祭として、新しい一歩を踏み出す。フェスティバル・ミューズに女優栗山千明さんを迎え、コンペティション部門の審査委員長にチェン・カイコー監督、国際審査委員に寺島しのぶさんが就任と、映画祭開催前から話題を集めている。
■コンペティション部門
TIFFの看板ともいえるコンペティション部門では、「東京 サクラ グランプリ」受賞作品である一昨年の『最強のふたり』、昨年の『もうひとりの息子』が劇場公開で観客から大きな支持を得ているように、注目作のワールドプレミア、アジアプレミア上映を目撃できる貴重な機会だ。今年も魅力的なラインナップが出揃った。日本からは『歓待』でTIFF2010「日本映画・ある視点」部門作品賞に輝いた深田晃司監督と杉野希妃プロデューサーコンビが、二階堂ふみ、鶴田真由、太賀、古舘寛治等を迎えて贈る社会派青春夏物語『ほとりの朔子』、ジョージ秋山の原作を主演に大森南朋を迎えて榊英雄監督が撮りあげた人間の本質と欲望を描く『捨てがたき人々』の2本が選出されている。
イギリスからは、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグ主演、文豪ドストエフスキーの原作を近未来的設定に置き換えた、シュールで哲学的な新感覚スリラー『ザ・ダブル/分身』が登場。スウェーデンからは青春映画に定評のあるルーカス・ムーディソン監督が、80年代初頭を舞台に、思春期の衝動に駆られてパンクバンドを始める女子中学生の弾けるような日々を活写した『ウィ・アー・ザ・ベスト!』。
そして、フィリピンから選出されたのは、フィリピン版『マンマ・ミーア』の『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』(OAFF2013上映)で下町の母をパワフルに演じたユージン・ドミンゴ主演のワールドプレミア作品『ある理髪師の物語』。昨年「アジアの風」部門で上映された『ブワカウ』のジュン・ロブレス・ラナ監督がユージン・ドミンゴと組んで時代の荒波と闘う女性たちの姿を描く注目作だ。
■ワールドシネマ部門
昨年までの「ワールドシネマ」部門をリニューアルした「ワールドフォーカス」部門では、世界各国の映画祭受賞作や話題作、あるいは有名監督の日本で紹介されていない新作にフォーカスを当て、従来の欧米作品だけではなくアジアの有力作品もこの部門にてラインナップされている。
現在劇場公開中の『わたしはロランス』で高い評価を得ているグザヴィエ・ドラン監督が、自身主演で初のスリラーにチャレンジ。本年のヴェネチア映画祭国際批評家連盟賞を受賞したカナダ、フランス合作の最新作『トム・アット・ザ・ファーム』がいち早く上映される。
また、香港からは、『密告・者』のダンデ・ラム監督が放つ総合格闘技アクション・ドラマ『激戦』が登場。ニック・チョン、エディ・ポンの若手人気俳優による熱い男たちの闘いを堪能したい。
更に、【台湾電影ルネッサンス2013 】と題して近年活況が著しい台湾映画より、久々の新作で復活を果たしたベテラン監督から注目すべきニューウェーブまで、台湾映画の今が垣間見える作品を特集上映する。今年の台北映画祭でグランプリを獲得した、『四枚目の似顔絵』チョン・モンハン監督の最新作『失魂』をはじめ、『27℃ ― 世界一のパン』、『高雄ダンサー』、『Together』がラインナップ。さらに台湾ニューウェーブの記念碑的オムニバス『坊やの人形』(ホウ・シャオセン監督、ワン・レン監督、ツォン・チュアンシアン監督)のデジタルリストア版も上映される。
■アジアの未来部門
昨年まで数々の秀作を特集上映と共に紹介してきた「アジアの風部門」を発展させ、今年から新部門「アジアの未来」部門が誕生。長編映画2本目までのアジア新鋭監督の作品を一挙紹介するコンペティション部門となった。ワールド・プレミアとなるヤン・フィロン監督(中国)の『今日から明日へ』をはじめ、アジア映画の新潮流をいち早く発見できる機会となるだろう。
■特別招待部門
「日本映画・ある視点」部門がリニューアルした「日本映画・スプラッシュ」部門では海外進出を狙う日本のインディペンデント作品を、監督のキャリアを問わずに紹介。そしておなじみの「特別招待作品」では、オープニングにトム・ハンクス最新作『キャプテン・フィリップス』、クロージングに三谷幸喜の最新作『清州会議』と話題性十分の作品が勢揃いし、映画祭を大いに盛り上げる。中でも、テオ・アンゲロプロス監督の遺作となった『エレニの帰郷』をいち早くスクリーンで観ることができるのは、映画祭ならではの楽しみだろう。東京が映画色に染まる9日間。日頃劇場でなかなか触れる機会のない、国際色豊かな世界の最新映画をぜひ楽しんで!
第26回東京国際映画祭公式サイト http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/
『夜明け前、朝焼け中』馬場良馬 平田裕一郎 高崎翔太、窪田将治監督インタビュー
(2013年 日本 1時間30分)
監督は、前作『僕の中のオトコの娘』で、女装を楽しむ男子、女装娘(じょそこ)をテーマにマイノリティーの世界で自分らしさを取り戻す異色青春ストーリーを描いた窪田将治。今作では結成10年をなんとしても成功させたい、売れない劇団「フラッシュバック」のメンバーのすれ違いや葛藤をリアルに盛り込みながら、とんでもない事件に巻き込まれ、一世一代の大芝居を打つ様子をオール若手キャストで描いている。
『CRAZY-ISM クレイジズム』(11)に続き、窪田作品二度目の主演を務める馬場良馬をはじめ、八神蓮、平田裕一郎、高崎翔太とミュージカル『テニスの王子様』で女性に大人気の若手俳優陣が分裂寸前の劇団員をそれぞれの持ち味で熱演。窪田組常連俳優の草野康太、川野直輝が『僕の中のオトコの娘』とは全く違う、意外性のある役どころで物語に独特の間やユーモアを加えている。
━━━この脚本を初めて読まれたときの感想は?
高崎:
━━━馬場さんは、ずっとストレスを抱えて葛藤する、笑うシーンのほどんどない役でしたが、そういう役は珍しいのでは?
━━━高崎さんは、男性キャラクターの中で一番年下でありながら、一番成長していく役でしたが、役作りはどのようにされましたか?


『あの頃、君を追いかけた』
自由の女神が熱烈歓迎!『謝罪の王様』舞台挨拶
世の中不祥事を起こしても悪いという自覚もなく謝罪するケースが多い。いくら美辞麗句を並べようと、自らの非を認めない限り謝罪の意は伝わらない。そんな光景を他人事のように見ている自分も、形骸化した謝罪しかできないのでは? な~んて思っている誠意の枯渇した現代人に「喝っ!」を入れてくれる映画『謝罪の王様』が公開される。
9月28日(金)からの全国公開を前にキャンペーンのためこの3人が来阪。TOHOシネマズ梅田で開催された試写会では観客に王冠を被ってもらい、、映画の重要なアイテムである「自由の女神」450体で、舞台挨拶に登壇したゲストを熱烈に歓迎した。
【最初のご挨拶】
――― 大阪のイメージは?
――― 阿部サダヲさん主演映画を監督するのは3回目ですが、水田監督から見た阿部サダヲさんはどんな俳優?
――― 謝罪をテーマにした理由は?
――― ええ?どんなことがあったんですか?
阿部:ニューヨークでも試写会をしたのですが、ニューヨークと大阪は客席の感じが似ているところがありますね。ワオー!とかエーイ!とか楽しみ方が同じ。そんな楽しみ方を全国に広げて頂きたいです。どうぞ自由に見てお楽しみ下さい。今日は皆さんは残念ながらお金を払えなかったらしいですが(笑)、28日からお金を払える上映が始まりますので、お友達やご家族をお誘いあわせの上お越し頂きたいと思います。
パワー全開! 謝罪師にかかると、問題を根本から解決してくれます。 さあ、何かお悩みのあなた! “謝罪の王様”にご相談下さい。劇場に居ますよ。《ドゲザイル》と共にお待ちしております。

豪華舞台挨拶!『許されざる者』主演3人&監督に浪花っ子も大感激!!!
明治維新後、かつて官軍の討伐隊を皆殺しにして“人斬り十兵衛”と恐れられた男(渡辺 謙)が、アイヌの女性と出会って「別な生き方がある」と改心、妻亡き後も幼い2人の子供を育てながら、貧困の中人里離れた荒野を耕していた。そこへ、かつての仲間の金吾(柄本 明)が賞金稼ぎの話を持ち込んでくる。子供たちのために妻との誓いを破り、再び剣を持つ十兵衛。金吾と途中加わった若者・五郎(柳樂優弥)との三人で、女郎を切り刻んだ開拓民を打つべく鷲路の宿場へと向かう。宿場では暴力で絶対的な支配を誇る一蔵(佐藤浩市)が賞金稼ぎたちの前に立ちはだかる。
特に、“人斬り十兵衛”を演じた渡辺謙は、表情だけで周囲に物語を伝えられるほどの存在感だ。さらに、十兵衛を追い詰める冷血な一蔵を演じた佐藤浩市も、狂気を秘めた表情に凄みを感じさせる。「本当はお前が恐かった」と朴訥と語る金吾役の柄本明は、孤独と弱さを内包した男の哀しみを滲ませる。その他、柳樂優弥や忽名汐里などの若手も、ベテラン勢の重厚な演技に新風を吹き込んでいた。
渡辺:前の晩から並んで下さった方もおられるとか。また本日残暑厳しい折、並んでお出で下さった方々にこの作品を届けることができて、本当に嬉しく思います。
渡辺:阪神3連敗しちゃったのですが、(笑)…この映画とても強い映画です。ある種の圧力もって息詰まるような映画ですので、今の内に深呼吸して下さい。
佐藤:(一蔵になりきって)「そんなものはねえ!」(笑)。単純に正義や暴力とは何かを自分自身に問い掛けながら演じてました。ひたすら痛覚を鈍感にさせないと生きることができなかった。「人斬り十兵衛」という人間の対極にあるような人物です。暴力でもって自分の存在をより大きく強く見せようと、どんどん暴力に敏感になっていったような感じです。
柄本:そうですね…李監督が名作をリメイクする勇気があって、こうして出演させて頂きました。また、上半身裸になって、零下10℃以下の所で吊り下げられ、李監督には心から感謝しております(笑)。
――― 李監督のロケ地のこだわりは?
李監督:今ここで聞いたことは全て忘れて下さい(笑)。すみません、勝手なことを言って。ヒットする映画がいい映画と見られる中で、この映画はどちらかというと、ヒットすることより、映画の世界でしか生きていけない我々が、映画で思いを伝えたい、発信していきたいと思って作った映画です。既にタイトルを聞いてお気付きだとは思いますが、優しい映画ではありません。厳しい映画ですが、とても切ない映画だと思います。どうか最後まで全身で受け止めて下さい。本日はどうもありがとうございました。
佐藤:クリント・イーストウッドのオリジナル版を見られた方はどれ位いらっしゃいますか?(客席からパラパラと手が挙がる)よく「オリジナルとは別物と思って見て下さい」と言われると思いますが、(大きな声で)「堂々と見比べて下さい!」(笑)。そして、なるほど!ちょっとしか変わってないのに、こんなにも日本的なオリジナリティが出せるのか!と感じて頂けるはずです。我々は自信を持って皆様にお届けします!あれ?これは監督が言うセリフだ?!(笑)俺が言うことじゃないな(笑)。どうか今日はお楽しみ下さい。
渡辺:高い高い山を前にして登山をしようと決めました。しかも、李相日監督という難しいルートを選んで。今やっと9合目までやってきました。これから皆様のお力を借りて更に頂上を目指して行こうと思います。険しく高い山なので途中で息苦しくなるかもしれません。でも、最後には今までに見たことがない世界を見られると思います。どうか最後までお楽しみ下さい。本日はどうもありがとうございました。
『私が愛した大統領』


