「AI」と一致するもの

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写真後列左から永田守プロデューサー、富森星元さん、近藤龍人キャメラマン、石井裕也監督、周防義和さん、大野裕之プロデューサー、原田佳則さん、浜村淳さん
写真前列左から呉美保監督、真飛聖さん、坂田利夫さん、池脇千鶴さん、綾野剛さん、菅田将暉さん、原田美枝子さん、野村周平さん、藤本泉さん
 
 
シネルフレ協賛の「おおさかシネマフェスティバル2015」が3月1日(日)、昨年までの大阪歴史博物館から場所を移し、大阪北区のホテル エルセラーン大阪、エルセラーンホールで満席の416人を集めて行われました。ハイライトの表彰式では主演男優賞・綾野剛さん、主演女優賞・池脇千鶴さんら豪華ゲストの顔ぶれの登場に歓声とため息、そして大爆笑が巻き起こり、まさに大盛況のうちに幕を閉じました。
 

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同フェスティバルは、今年から大阪アジアン映画祭から独立し、自主運営による開催となりましたが、サポーター制度導入など多くの観客の支援を受け、一般チケットも、発売から50分で完売する人気ぶりとなりました。午前の部は、高橋聰同委員長により新出発となった「おおさかシネマフェスティバル」の挨拶の後、午前10時10分から特別上映『劇場版 神戸在住』を上映。上映後には、神戸市灘区出身の白羽弥仁監督と藤本泉(新人女優賞)をゲストに迎えたトークショーが行われ、神戸を舞台にした同作の裏話が披露されました。


昼食休憩後、午後1時からの表彰式では、同映画祭の創立メンバーでもある大森一樹監督が「『おおさかシネマフェスティバル』は約30年前にぼくと高橋さんがはじめた映画祭。始めたときは20代。今、新作を撮影しているので、来年は受賞者で出席したい」と挨拶。総合司会の浜村淳が、スペシャルサポーターによる花束贈呈の際も、登壇する度に盛り上げ、ゲストも観客も笑いっぱなしの1時間半。手作り映画祭ならではの一体感で、満席の観客からも大きな拍手が送られました。様々な角度から受賞者に切り込む浜村トークで、受賞者の思わぬ素顔を垣間見ることができた表彰式の模様を、ハイライトでご紹介します!

  

<表彰式ハイライト>

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【主演男優賞】綾野剛『そこのみにて光輝く』『白雪姫殺人事件』

「台本の最初の3行だけで(これはという)匂いがした。池脇さんは何があっても大丈夫なので、安心して演じた。(『新宿スワン』で金髪スカウトマンを演じることについて聞かれ)やりたくない役を探す方が難しい」

 

 
 
 
 
 
 

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【主演女優賞】池脇千鶴『そこのみにて光輝く』

「(かなりハードなシーンが多かったのではという問いに)台本がすばらしかったので、このシーンがイヤとか、この描写イヤというのはいっさいなかった。呉監督と相談しながら、(千夏が着用する)下着の生地などを決めていった」
 
 
 
 
 
 
 
 

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【助演男優賞】坂田利夫『0.5ミリ』
 
「あ~りがとさん~吉本入ってから存在感を出さなければと思っていたら、相方がたまたま『おいアホ!』といったので、僕は怒らずに『アホや』と答えたら舞台でウケた。それで家を建てました。サクラちゃんはすばらしい演技者。台詞の練習をしようと言ってくれた。悲しい場面でも本当に泣いてくれと(安藤桃子監督が)言うので、人にだまされたことを思い出して(泣かずに)余計に怒ってしまった」
 
 
 
 
 

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【助演男優賞】菅田将暉『そこのみにて光輝く』『闇金ウシジマくん Part2』『海月姫』
 
「今の日本にはないようなちょっと場末に生きる人たちなので、まずは煙草を吸う練習をした。(呉監督は)すごく楽しくて、はじめて監督をミポリンと呼んだ。シリアスなシーンで明るくしてくれた。監督(ご結婚)おめでとう。」
 
 
 
 
 
 

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【助演女優賞】原田美枝子『ぼくたちの家族』『蜩ノ記』
 
「(演技について)昔は自分がほめられたいという気持ちが強かったけれど、今は役の人の気持ちをみんなに伝えてあげるねという気持ちで演じている」
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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【新人女優賞】真飛聖『柘榴坂の仇討』
 
「宝塚歌劇時代に、侍役は演じたことはあったが、女性役で時代劇に出演するのははじめて。歩き方が侍っぽかったので、所作から監督に指導いただいた。人生半分以上を男役として生きたので、女役としては3年目、これから女子として生きたい」
 
 
 
 
 
 
 
 

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【新人女優賞】藤本泉『アオハライド』『小川町セレナーデ』
 
「『劇場版 神戸在住』ヒロインの桂は、私の性格とは全然違う内気でナイーブな女の子なので、演じるのに苦労した。現場の撮影でも関西弁が飛び交い、関西トークがとても楽しかった」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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【新人男優賞】野村周平『日々ロック』
 
「結構裸になるシーンも多かったが、歌うときはアホになってました」
 
 
 
 
 
【監督賞】呉美保監督『そこのみにて光輝く』
「呉さんには性の匂いがしないと言われ、私が撮ったらどれだけ男と女のエロスが撮れるのかと思っていたときにこの話をいただいた。(絡みのシーンの演出は)内心はドキドキだが、綾野さんと池脇さんがとても情熱を込めてくださったので、おまかせだった」
 
【脚本賞】石井裕也監督『ぼくたちの家族』
「いろいろなジャンルの映画を企画している。(次回作は満島ひかるを起用するか?との浜村の問いに照れ笑いをしながら)前向きに検討する」
 
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【撮影賞】近藤龍人『そこのみにて光輝く』『私の男』
「(司会の浜村から、男前なので俳優をしてみてはと聞かれ)レンズより前にはでられない。2作とも同じ北海道が舞台だが、内容的にもテーマ的にも違う。それぞれどうやったら、そこに出てくる人たちが、見ている人たちによく伝わるのか考えた」
 
【音楽賞】周防義和『舞妓はレディ』
「現代だが、京都のお茶屋の話。大阪弁や京都弁のアクセントを気にして作った。作詞で京都出身の種ともこさんに、アクセントのところで印をつけてもらった。こんな作曲は初めてだった」
 
【新人監督賞】杉野希妃監督『欲望』
欠席のため、実弟で『欲望』音楽担当の富森星元氏が登壇
杉野希妃監督のメッセージ:このたびは新人監督賞をいただきありがとうございます。3年前、新人女優賞をいただいた時のことを思い出します。そのときに第二の故郷のような大阪で貰えて嬉しいと申し上げましたが、今も同じような気持ちです。『欲動』は、日本、オランダ、タイ、インドネシアと様々な文化背景を持つスタッフ・キャストが集まり、私を支えてくださいました。この作品に関わった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。この度は授賞式に参加できず、残念でなりません。1月末にオランダで交通事故に遭い、現在は国内で入院しております。『欲動』の内容と同様に生と死に向き合う経験をし、今後の人生、映画づくりも少し変わっていきそうな予感がしています。
 
【特別賞】『太秦ライムライト』
脚本・プロデューサーの大野裕之氏が登壇。
「チャップリンのライムライトを日本に置き換えて作ってみたいと打診があり、(チャップリンの)娘さんに聞いてみたら、あなたが脚本をかくのならいいと言われた。演技経験もあるので、内側から取材をして脚本を書いた」
 
 
【日本映画作品賞】『そこのみにて光輝く』(永田守プロデューサー:TCエンタテイメント株式会社)
「この映画が最初のプロデュース作品。(日本アカデミー賞で8冠を受賞した)『永遠の0』は素晴らしいと思うが、多くの興行館を持ち、広く大人から子どもまで感動させるジャンルの年間50本ぐらいの中から選ばれた作品。『そこのみにて光輝く』は昨年日本で製作された600本の中の1位で、非常に光栄に思う」
 
【外国映画作品賞】『6才のボクが、大人になるまで。』(原田佳則氏:東宝東和支社関西営業所長)
リチャード・リンクレイター監督のメッセージ:おおさかシネマフェスティバル外国語映画部門で『6才のボクが、大人になるまで。』が作品賞に選ばれたと聞き、非常にうれしく思います。最高のキャストとスタッフに代わりまして、皆さまに感謝いたします。ありがとうございます。
 
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 「そして、ボランティアスタッフの皆さま、ご協力下さいまして誠にありがとうございました。」

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役作りのために6日間の断食も。NAOTO、仁科貴が登壇『マンゴーと赤い車椅子』舞台挨拶@シネ・リーブル梅田(2015.2.15)
登壇者:NAOTO(EXILE╱三代目 J Soul Brothers)、仁科貴
 

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仲倉重郎監督の実体験を元に、突然の事故により車椅子生活を余儀なくされた女性が再び希望を持って歩み始めるまでを描いた『マンゴーと赤い車椅子』が、現在、シネ・リーブル梅田で絶賛上映中だ。様々な原因で車椅子で生活するためのリハビリを送っている病院のシーンでは、老若男女問わず社会復帰を目指して前向きな気持ちで生きている姿がリアルに伝わってくる。絶望と不安で周りに八つ当たりしていた彩香が、愛する祖母や、病院の仲間、リハビリの先生らと触れ合ううちに、少しずつ変化していき、初めての自分の赤い車椅子を前に目を輝かせる。元AKB48の秋元才加が、挫折を繰り返しながらも、前向きに生きるヒロイン彩夏を熱演したヒューマンドラマだ。
 

彩夏の病院仲間で、ラストライブに全てを懸けて闘う車椅子のボーカリスト・五十嵐翔太を演じたNAOTO(EXILE╱三代目 J Soul Brothers)と、彩夏のリハビリを担当し、精神的な支えとなる理学療法士のキクタクこと菊地を演じた仁科貴が上映後の舞台挨拶に登壇、会場からは拍手が沸き起こった。
 
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身体が動かなくなる進行性の脊髄腫瘍を患いながらも、ラストライブに全力を尽くす五十嵐翔太を演じたNAOTOは、「自分の引き出しの中にない経験をさせてもらいました。仲倉監督の実体験をもとに役作りをし、普段車椅子生活をされている方が、どういう視線で世の中が見えているのか、少しの段差がどれだけストレスになっているのかが理解できました」と、難役を演じた感想を語った。また、本作でしか見ることができない特別なパフォーマンスについて質問が及ぶと「普段はグループでパフォーマーという立場ですが、いつもボーカルはいいなと思っていたので、ようやく溜まっていたボーカルへの想いをマイクにぶつけることができました」と念願が叶った様子。三代目 J Soul Brothersのメンバーでよくカラオケに行くときも、「パフォーマーの5人でひたすらマイクを回すのが決まり。ボーカル2人には歌わせません。(持ち歌は)乾杯をするときに長渕剛さんの『乾杯』。2番になるとメンバーみんなへの思いを替え歌で入れながら歌います」と、歌が大好きな一面を披露した。
 

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秋元才加演じる彩夏のリハビリ担当理学療法士を演じた仁科貴は、「(役柄が)関西人にしてはお笑い度低めな療法士ですよね」と笑わせながら、「秋元さんを介助するときはドキドキしました。特に現場で初対面ながら、足のマッサージをするシーンをするときは、俳優なので緊張していないフリをしていました」とにこやかに秋元とのシーンを振り返った。

 

撮影現場スタッフからの情報と、台本を開いているところを見たことがないことを指摘されたNAOTOは、「僕は心配性で石橋を叩きすぎて割ってしまうぐらいの男なので、台本を読み、五十嵐という役にどうアプローチしていけばいいのか考えました。身体は弱っていくけれど、気持ちは強くて、まるでロウソクが消える瞬間に燃え上がるような状態ではないかと思い、現場で迷いがないように、事前にしっかり叩き込みました。役作りのために6日間断食し、体重を6、7キロ減らして臨みました」と事前の準備を徹底的に行ったエピソードを明かした。

 

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「秋元才加さんとNAOTO君のチャレンジ精神が、映画のキャラクターたちにマッチし、それ以上のことが映画に映り込んでいると思います。この映画をご覧になった方が、これから何か新しいことをするときにチャレンジするとき、肩を押してくれるような、一歩踏み出すお手伝いができるような映画になっていると思います。今後ともこの映画を応援してください。よろしくお願いします」(仁科)
「今日は劇場に足を運んでいただき、ありがとうございます。この映画のテーマは『一歩踏み出す勇気』ですが、誰しもが人生の中で経験する挫折や苦悩に出会ったとき、一歩踏み出すことの大切さや難しさが描かれていると思います。自分だけではなく、周りを見渡したら、本当に多くの人が支えてくれている。そんなとてもシンプルなことを改めて感じさせてくれる映画になっています。今、悩まれている方々に、少しでもこの映画を観ていただいて『元気をもらった』とか、『パワーをもらった』と言ってもらえるとうれしいです。」(NAOTO)と、心のこもった言葉で舞台挨拶を締めくくった。
 
ハンディキャップを背負った状況でも、決して卑下することなく、前向きに生きていく主人公たちと、彼らを支える周りの人たちの表情や努力を真っ直ぐに見つめた作品。是非、彼らの苦闘だけでなく、車椅子を華麗に乗り回す元気な姿を観に来てほしい。
 
(江口由美)
 

<作品情報>
『マンゴーと赤い車椅子』(2014年 日本 1時間33分)
監督:仲倉重郎  脚本:福島敏朗、山室有紀子、仲倉重郎
出演:秋元才加、NAOTO(EXILE/ 三代目J Soul Brothers)、石井貴就、吉岡里帆、榎木孝明、愛華みれ、杉田かおる、松金よね子、ベンガル、森宮隆・仁科貴・折井あゆみ・REDRICE(湘南乃風)・ドン小西・三田佳子 他
主題歌「Truth」歌 米良美一(ユニバーサルミュージック)
挿入歌「名前のない空」歌 辛島美登里(ユニバーサルミュージック)
公式サイト http://akaikurumaisu.com/
2月7日(土)よりシネ・リーブル梅田、イオンシネマ京都桂川ほか全国ロードショー
 
<ストーリー>

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看護師の宮園彩夏(秋元才加)は、転落事故を起こし脊髄を損傷、車椅子生活を余儀なくされる。リハビリの病院に転院しても、周りにストレスをぶつけていた彩夏だったが、自称「キムタク」の理学療法士をはじめ、車椅子の元気な女子高生や、同室の女性たちと触れ合い、次第に心を開いていく。初めての車椅子に、大好きな祖母(三田佳子)が育ててくれる大好きな赤いマンゴーを思い起こすような真っ赤な車椅子をオーダー。「大事にしろよ、赤い戦車!」。ぶっきらぼうのNAOTOも、進行性の脊髄腫瘍を患い、次第に動かなくなる身体と闘いながら、ラストライブに全てを懸けているのだった。
 
 

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『台湾人生』『台湾アイデンティティー』と台湾の日本統治下に生きてきた日本語世代に取材を重ねてきた酒井充子監督。最新作『ふたつの祖国、ひとつの愛 イ・ジュンソプの妻』は、韓国では知らない者はいないという名画家ジュンソプとその妻、方子(まさこ)との愛を丹念に映し出したドキュメンタリーだ。

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第二次世界大戦のさなか、日本の美術学校でジュンソプと財閥令嬢の山本方子は出会い恋に落ちる。方子は戦争が激しさを増した45年に命がけで韓国に渡り、ジュンソプと結婚するが、その後の朝鮮戦争の戦火と貧困が二人を引き裂き、ジュンソプは二度と方子たちに会うこともなく若くしてこの世を去ってしまう。日本と韓国、引き裂かれた二人を結んだのは200通にも及ぶ手紙で、真っ直ぐな愛が記された文面や、隅っこに書かれたイラストからジュンソプの人柄や深い愛が偲ばれる。
 
撮影当時92歳だった方子さんは、ジュンソプとの間にできた息子・泰成さんと暮らし、泰成さんが用意した朝食をたっぷり食べ、美容院でパーマを当て、苦労を重ねてきたであろう人生を今は穏やかに生きている。そんな方子さんがにこりと笑って話した一言「再婚もしないで、あなた一筋」を聞いて、こんなに深い愛の言葉があるだろうかと胸が熱くなった。
 
来阪した酒井充子監督に、本作のことだけでなく、台湾でドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけや、台湾と韓国の日本統治下で生きた世代を取材した反応の違いなど、今までの創作活動にも触れるお話を伺った。
 

■台湾で日本語をしゃべるおじいさんとの出会いから、デビュー作『台湾人生』ができるまで。

―――監督が台湾に興味を持つようになったきっかけは?
はじめて台湾と出会ったのは98年でした。ツァイ・ミンリャン監督の『愛情萬歳』が私の生涯ベストワンなのですが、この映画の舞台になっている台北に行ってみたいという、本当にミーハーな一映画ファンの気持ちで台湾旅行をしました。『愛情萬歳』のロケ地や、今や一大観光地となっている『非情城市』のロケ地、九份にも行きました。夕方台北に戻ろうとバスを待っていたら、あるおじいさんがわざわざ近くの自宅からバス停まで出て、「日本の方ですか?」と日本語で話しかけてこられたのです。そのおじいさんは、子どもの頃日本人の先生にとても可愛がってもらったという話をしてくださり、戦争が終わってから53年経っていたのですが、「戦争が終わって日本に引き揚げてから連絡がとれなくなってしまったけれど、もしまだ先生がお元気なら僕は会いたい」とおっしゃったんです。バスが来て別れた後、そんな風に今でも日本人の先生のことを思っている人が台湾にいるということが、じわじわと私に衝撃を与えたのです。
 

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―――そのおじいさんとの出会いは監督にどんな衝撃を与えたのですか?
昔の台湾と日本の歴史について、私は本当に何の知識もなく、教科書で一行で書かれていたことぐらいでした。でも日本統治下の台湾で生きていた人が、その時代の想い出を大事にしたまま98年の台湾で生きていることを直接知ったのです。そこから台湾と日本のことを知りたいと思い、台湾から戻って色々な本を読んだりしながら、勉強を始めました。あまりにも台湾のことを知らないことが驚きでもあり、知らなかったことに怒りすら湧いてきました。自分に対する怒りであったり、何も教えてくれなかった日本という国に対する怒りなど、色々な怒りですね。そこから、台湾のことを伝える仕事をしようと思いました。
 
―――デビュー作『台湾人生』は、完成まで足かけ7年もかかったそうですね。
08年に完成し、09年に映画館で上映していただきました。途中辞めようかと心が折れそうになったこともありましたが、彼らが「日本人に話したい」という気持ちが取材を通してヒシヒシ伝わってきたので踏みとどまった感じです。台湾では87年にようやく戒厳令が解除され、私が本格的に取材を始めた02年でも「今こんなことをお話して、後で家族にどんな迷惑がかかるか分からないから・・・」とおっしゃる方もいたぐらい、やっと口を開いてくださるようになった時期が、私が取材し始めた時期と重なったのです。せっかく私に話してくれたことを届けないで終わっていいのかという思いもありましたし、彼らに対する責任感が、映画を完成させることができた原動力だったと思います。
 

■韓国の国民的画家、イ・ジュンソプさんとその妻方子さんの「愛」を撮る。

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―――台湾を題材にその後2作品制作したあと、今回は韓国の国民的画家、イ・ジュンソプさんとその妻方子(まさこ)さんを取り上げていますが、このお二人の作品を作ろうと思ったきっかけは?
今回は『台湾アイデンティティー』を作ったチームの方からお話をいただきました。台湾を取材していると、同時期に日本の植民地だった場所である韓国は切っても切り離せません。『台湾人生』の上映後のQ&Aでは「台湾の人はこのように捉えているけれど、韓国の人は違う反応の気がする。なぜだと思いますか?」と必ず聞かれましたから。今回はイ・ジュンソプの劇映画を日韓合作でという話があった中、奥様の方子さんがお元気なうちに撮影しておきたいということでした。韓国で取材ができるというのはいい機会をいただいたなと思いましたね。ただ『台湾人生』などのアプローチとは違い、今回は完全に夫婦の愛に焦点を絞ろうと思っていました。方子さんの人生を追っていけばおのずと植民地時代のことも感じ取っていただけるだろうと、淡々と撮っていきました。
 

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―――「再婚もしないで、あなた一筋」という方子さんの言葉は本当に重みがありました。
あまり多くお話される方ではないので、あの言葉を言ってくださるまで、本当に時間がかかりました。おととしの5月から昨年の1月まで撮影しましたが、1回お話を聞きに行っても、1時間たつとお疲れになってしまうので、本当に時間との闘いでした。東京にいらっしゃるので、カメラを回さなくても会いに行くことを続けて、「再婚もしないで、あなた一筋」という言葉を聞けたのは、本当に最後のインタビューのときだったのです。「よし!」と思いました。
 
―――方子さんは90歳を超えているとは思えないぐらい、お元気でオシャレな女性ですね。
週に一度は美容院に通っていらっしゃいますし、やはりたくさん食べることが長生きの秘訣ですね。朝ご飯のシーンも挿入されていますが、朝からあれだけの量を召し上がる訳ですから、本当に健啖家ですよね。毎朝息子さんがあの量の朝食を作っていらっしゃるわけですから。やめてオーラがすごくて、カメラマンは「いつやめて!と言われるかとドキドキしながらカメラを回していた」そうです。本当によく頑張ってくださったと思います。
 

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―――イ・ジュンソプさんの絵力と、封筒の宛名一つとってもとても味があり、手紙の文面も妻に対する愛がストレートに綴られていて印象的でした。ジュンソプさんの人生を語るにあたって、これらの作品や残された絵をどのように入れていこうと思ったのですか?

方子さんに最初に取材したとき、手紙を拝見し、この熱烈なラブレターをもらっていた女性はどういう人なのだろうかという興味がありました。私自身は手紙をフューチャーしたい気持ちはありました。ただ、最初にプロデューサーからは「(ジュンソプさんが遺した)手紙に頼るのは絶対ダメだ」と釘を刺され、結果的にはそれでよかったと思います。手紙に頼らずに手紙の魅力を伝えるという部分で、編集は苦労しました。でも、あの文字や、手紙の端に描かれているイラストをご覧いただくだけで、ジュンソプさんの愛が伝わりますよね。
 
 
―――日本と韓国で離れ離れになってしまったままという家族や夫婦は他でもあったのだろうなと痛切に感じました。
方子さんと最後の時を過ごした日本での1週間が経った後、私だったら首に縄をつけてでも、ジュンソプさんを韓国に返さずに日本に留めおくと思います。本作が完成した後に在日二世の方から聞いた話なのですが、ご両親のお父様が亡くなったとき、国交がないが故に実家に帰ることすらできなかったそうです。だから、そう簡単に留めおくなどできず、実の親子なのに、会うことすら難しい時代が確実にあったのです。切ないですね。
 
 
―――方子さんが帰国前に避難されていた済州島の住まいも、ジュンソプさんの絵が掲げられ、保存されていました。ジュンソプさんが韓国でどれだけ大きな評価を受けているかが伺えます。
西帰浦市が当時と同じものを復元していて、当時大家だったおばあさんは、あの場所に今でもお住まいです。彼らが住んでいた狭いスペースは観光名所になっていたので方子さんは色々なことを思い出されたはずですが、絶対に愚痴っぽいことをおっしゃらないのです。東京のインタビューでも「東京の空襲で自分の家が焼けないので残っていたのがどれだけ幸運だったか。だから戻ってくることができた」とおっしゃっています。焼けた東京もご覧になっているでしょうし、大変なのは自分たちだけではないという、あの時代の人だから言えるのでしょう。方子さんが特別な人というよりは、こういう人がたくさんいた時代があったということでしょうね。
 
 

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―――方子さんは車いすで韓国に行かれ、美術館でジュンソプさんの絵と対面を果たしましたが、どんな様子でしたか?
ソウルの美術館では、牛の絵を初めて見たそうで、ずっと真剣な眼差しでご覧になっていました。その絵を見たときの目や表情は、いつもとは何か違った気がします。本当に凄かったのは、韓国の美術館で、どれだけ他の取材が来ても絶対に撮影させないという絵を今回撮らせていただいたことです。「イ・ジュンソプさんの奥様の映画だったら協力します」ということでした。他にも同じような理由で協力いただいたことが多々あり、イ・ジュンソプさんの存在の大きさは私たちでは計り知れないという印象を受けましたね。
 
 
―――それだけ韓国で絶大な影響を与えているイ・ジュンソプさんに、離れ離れになってしまった日本人の妻や子どもがいたことを、韓国の皆さんはご存知なのでしょうか?
おそらく妻が日本人ということは知られていますが、これまでの方子さんに対する韓国での見方は「押しかけ女房」。すごくわがままで一方的な悪い女という言われ方をずっとしてきたそうです。この映画を韓国で上映していただくと、そうではないことは一目瞭然で、方子さんが生きていらっしゃる間に、韓国の方の誤解が解かれればいいなと思います。
 

■台湾、韓国の日本語世代取材を通じて感じた、それぞれの今とこれから。

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―――台湾、韓国共に日本統治時代を生きてきた世代にインタビューをされた訳ですが、その中で国による違いを感じることはありましたか?
決定的な違いは、日本に対する評価ですね。一つの要素として、台湾と韓国は全く歩んできた歴史が違います。韓国は14世紀かずっと李王朝が統治していたところ、日本の統治下に置かれることになった訳ですが、台湾は清の領土ではありましたが原住民は原住民族の言葉を話し、漢民族系の人は中国語を話したりと言語がバラバラな中、日本統治下に置かれることとなり、日本語が初めて台湾で共通語の役割を果たしました。また、台湾は日本が引き揚げた後、国民党の大変な時代がありましたが、韓国はまた自分たち朝鮮人の国を持つことができた訳です。
 
台湾は戦後国民党時代との比較で「日本統治時代の方がよかった」と、比較論の評価があり、それが親日と言われることにも繋がっています。韓国では、日本をプラスに評価しなければならない要素は何もないのです。単純に日本統治時代をどう評価するかという際の土台が台湾と韓国では違いますね。台湾では、日本語を話すことは「おじいちゃん、日本語を話せるの?すごい!」という反応が相対的にありますが、韓国はそうではありません。
 
 
―――確かに、本作では日本語を話す韓国の方はほとんど登場しませんね。
あるおばあさんに話を聞いたとき、彼女は日本統治下で大阪の女学校に2年間在学していたそうです。戦後日本人と話す機会はなかったそうで、約70年ぶりに私たちが通訳を伴って訪ねて行ったときは、簡単な単語を日本語で話すぐらいでした。でも別の機会にカメラを回しながら取材をすると、私の日本語の質問にいきなり日本語で答えてくださり、通訳がいらないぐらいでした。
 
そのインタビューをした夜に、彼女の娘さんから電話が入り、「今日母が日本語を話したそうですが、日帝(大日本帝国)協力者と疑われては困るので、韓国語で全部撮り直してください」という依頼があったのです。今だにそういうことを言わなければいけない空気のあることがとても残念で、「日本人に会って、日本語が自然に出てきたのが彼女の人生の証なのだから、そこに蓋をすることは私にはできません」と伝え、結局映画には使いませんでした。韓国語でインタビューを再度撮ることもできましたが、それをすることは何か違うと思ったのです。日本語を話す行為一つとっても、台湾での捉えられ方と韓国での捉えられ方はこんなにも違うのかと、驚きました。普通に取材をしている段階では、台湾と韓国で全く違いはなく、皆さん協力的ですし、反日的なところを感じることはありませんが、少し踏み越えたところに、そういう感情がありますね。
 
 
―――台湾、韓国と両国でドキュメンタリーのための取材を重ねている酒井監督だからこそ、感じられる体験です。
今回はとにかく「愛」に徹しようと思っていたので、逆に背筋が伸びるような経験でした。今は大変な時期とは言われていますが、それは日本政府や大マスコミが過剰に反応しているだけだと思っていますから。そういうことがあることをきちんと踏まえた上で、昔のジュンソプさんと方子さんのように、私たちも韓国の人たちと付き合っていけばいいなという思いを強くしました。
 
 
―――人の交流を絶やしてはいけませんね。
やはり、韓国は近いですから、日本人はどんどん行くべきですよ。映画を撮ることもそうですが、人が往来し、直接やりとりをすることがとても大事だと感じたので、そういうすごくシンプルなことをお伝えしていければいいなと思っています。この映画を観て、済州島に行きたいと思っていただけたらうれしいですね。 (江口由美)
 

<作品情報>
『ふたつの祖国、ひとつの愛 ~イ・ジュンソプの妻~』
(2014年 日本 1時間20分)
監督:酒井充子
出演:山本方子、山本泰成、キム・インホ、ペク・ヨンス、チョン・ウンザ他
2015年2月7日(土)~第七藝術劇場、近日公開~京都シネマ、元町映画館
公式サイト → http://www.u-picc.com/Joongseopswife
(C) 2013 天空/アジア映画社/太秦
 
 

mortdecai-ive-550.jpg『チャーリー・モルデカイ華麗なる名画の秘密』イベントレポート

(MORTDECAI 2015年 アメリカ  1時間47分) 
mortdecai-1.jpg原作:キリル・ボンフィリオリ「チャーリー・モルデカイ1 英国紳士の名画大作戦」(角川文庫刊)
監督:デヴィッド・コープ
出演:ジョニー・デップ、グウィネス・パルトロー、ユアン・マクレガー、オリヴィア・マン、ジェフ・ゴールドブラム、ポール・ベタニー

公式サイト⇒ http://www.mortdecai.jp/
 (c) 2015 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

2015年2月6日(金)~TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)ほか全国超拡大ロードショー

 


 
たむけん !華麗なる秘密を大暴露!

「“ちゃー”リー・モルデカイ」ビリケンさんに大ヒット祈願@通天閣

 
ジョニー・デップ最新作『チャーリー・モルデカイ華麗なる名画の秘密』は、インチキアートディーラーが名画盗難事件に絡む捜査に協力して、世界を股にかけて大活躍する痛快アクションコメディ。その公開を前に来日したジョニー・デップではなくて!?、お笑い芸人たむらけんじさんを迎え、通天閣のビリケンさんに映画の大ヒット祈願を行いました。 

◆公開記念イベント◆
・実施日:2月4日(水)12:30~(約20分)
・ゲスト:たむらけんじ
・場所:通天閣(地下イベント会場)

◆イベント詳細◆
新装オープンした通天閣地下のイベント会場に颯爽と登場したお笑い芸人たむらけんじさんは、主人公チャーリー・モルデカイの衣装に身を包み、ビリケンさんに本作の大ヒット祈願をしました。MCの鋭いツッコミにたじたじになりながらも、厳しい芸能界で生き残る秘訣や自身の自虐ネタなどを披露し、会場は爆笑の渦が巻き起こりました!

 


mortdecai-ive-5.jpgMC:チャーリー・モルデカイに扮していただいたたむらけんじさんです!

たむらけんじ: (金髪のドレスの女性と共にたむらけんじ登場)今日は体調悪いので休もかなと思いました(東京の記者会見を体調不良でドタキャンしたジョニー・デップ)。この“ちょびヒゲ”めちゃめちゃかゆいです!

MC:映画をご覧いただいて感想はいかがでしたか?

たむら:アメリカのコメディーがめちゃめちゃ苦手で不安やったんですが、ボケが上品!カーアクション・謎解きもあって意外な裏切りとかあって面白かったです!

MC:チャーリー・モルデカイは貴族ですが、インチキアートディーラー、スパイというキャラですね。たむけんさんもいろんなお仕事をお持ちですが?

たむら:はい、僕もインチキ焼肉屋、インチキカレー屋と…誰がや!? あそこだけは真面目にやらせて頂いてます!

MC:『チャーリー・モルデカイ』の副題が“華麗なる名画の秘密”ですが、“華麗なるたむけんの秘密”は?関西で10本のレギュラーを持っておられる秘訣は?

たむら:これっという秘訣はないのですが……ゴマ擦りから始まって、飲みの誘いは断らない、呼ばれたらすぐ行く、長いものには上手に巻かれる、これです!

MC:ところでチャーリーはビックマウスで破産もしておりまして、焼肉たむらは~?

たむら:すぐそっちの方にいきますね!昔ほどじゃないですが、ウチは全然大丈夫です!! この前もこれで(スポーツ紙に)“滞納は否定“て書かれて怖い思いをしました。書き方が悪い!もう何も喋りません()

mortdecai-ive-2.jpgMC:今日は隣に女性がいますが、ジョニー・デップさんは来日の際、婚約者のアンバー・ハードさんを連れてましたが~?

たむら:えっ!? アンバー・ハードさんでしたっけ?君はハンバーガールかいな!? 淡路島を応援するハンバーガールなんかーい!! はいっ!

MC:最近女性と言えば、鈴木紗理奈さんとの復縁が噂されてますが~?

たむら:復縁は絶対ないです!! ないですけど、この前ウチに来ました!

MC何しに?

たむら:友人たちと(鈴木紗理奈含む)ご飯を食べに行って2軒目に行ったらべろべろになって。気づいたらみんなで家にいました。先日その中にいた後輩が僕にお礼を言ってきまして、写真を見せてきたんですが、それがその時に鈴木紗理奈と寄り添ってとった写真なんですよ。鈴木紗理奈のこと叱らなアカンのですよ!俺の後輩とそんな写真取って!もう浮気したからないです!(復縁は)200%ないです!ないない!終わり!

mortdecai-ive-3.jpgMC:ビリケンさんが後にいらっしゃいますが、足の裏をかいて笑うと願いが叶うとされています。神の像ビリケンさんにご協力いただいて、映画のキャンペーンを行っていただけることになりました。ビリケンさんはしゃべれないので、代理で通天閣の西上雅章社長登場にご登場いただきます!

西上社長:(チャップリンの恰好で登場)僕もこの映画が好きで期待しています!今日は、“チャーリー”にちなんで、チャーリー・チャップリンの恰好をしてみました。

MC:ビリケンさんでどういった協力をしていただくかと言いますと、たむけんさんからビリケンさんにチャーリー・モルデカイの象徴“ちょびヒゲ”を授与していただいて、映画のヒットをお願いしようというものです!

mortdecai-ive-4.jpg(“ちょびヒゲ”を持った西日本ハンバーガールZ登場し、たむけんに“ちょびヒゲ”を渡し、ビリケンさんにヒゲをつける)

たむら:ビリケン・モルデカイになりました!

たむら: (足をなでながら)チャーリー・モルデカイ大ヒットしますように!よろしくお願いいたします!!

MC:それではこのイベントがお開きになりますが、たむけんさん最後にコメントをお願いします。

mortdecai-ive-6.jpgたむら:僕がなぜこの映画の宣伝隊長に指名されたのか、秘密を暴きたいと思います。

“ちゃ~”りー・モルデカイは、痛快アドベン“ちゃ~”です! みなさん“ちゃ~”んと映画館に足を運んでくだ“ちゃ~”い!

MC:みなさんぜひ映画館で観てください!よろしくお願いいたします!
 


 【たむらけんじプロフィール】
1973年5月4日生まれ(41才)
大阪府阪南市出身
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属


 【ストーリー】
mortdecai-3.jpg英国でゴヤの名画が盗まれ修復師が殺されるという事件が起きた。名画には世界を揺るがす財宝の秘密が隠されていた!そこで、英国諜報機関MI5のマートランド(ユアン・マクレガー)は、美術界の裏事情に詳しいインチキアートディーラーの
チャーリー・モルデカイ(ジョニー・デップ)に捜査を依頼する。実は、マートランドとチャーリーは大学の同級生で、チャーリーの妻となったジョアンナ(グウィネス・パルトロー)をめぐる恋敵でもあった。チャーリーは貴族だが破産寸前で、家宝の美術品を少しずつ売却してはしのいでいたが一向にらちが開かない。そんな状況に業を煮やす妻のジョアンナに頭が上がらない。しかも、最近蓄えた髭をジョアンナが嫌がりキスさえさせてもらえない。そこで、チャーリーは頼りになる召使のジョック(ポール・ベタニー)と共に名画を追って、世界を股にかけた華麗なる大冒険へと繰り出す!

 (河田 真喜子)

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映画ファンのための映画まつりとして、前身のおおさか映画祭時代(1976~2000年)から親しまれてきた「おおさかシネマフェスティバル」。大阪アジアン映画祭の一部門として過去5年間開催してきましたが、今年度からは独立し、有志による実行委員会を立ち上げ準備を進めてきました。シネルフレも協賛かつ実行委員会のメンバーとして、おおさかシネマフェスティバル2015を支援しています。
 
3月1日(日)に開催される「おおさかシネマフェスティバル2015<第10回>」のメインイベントとなるベストテンと個人賞が発表され、『そこのみにて光輝く』が作品賞をはじめ、監督賞・呉美保監督、主演男優賞・綾野剛さん、主演女優賞・池脇千鶴さん、助演男優賞・菅田将暉さん、撮影賞・近藤龍人さんの6冠を達成しました。
 
助演女優賞には、『蜩ノ記』『ぼくたちの家族』で素晴らしい存在感をみせた原田美枝子さん、
助演男優賞は『0.5ミリ』でベテラン俳優陣に負けない魅力を放った関西お笑い界のレジェンド、坂田利夫さんが、菅田将暉さんとW受賞になりました。
 

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新人女優賞は、元宝塚歌劇団トップスターで映画は初出演となる真飛聖さんが『柘榴坂の仇討』で受賞。また、『アオハライド』『小川町セレナーデ』と話題作に出演した藤本泉さんも受賞されました。尚、藤本泉さんは、主演作である『劇場版 神戸在住』上映後のトークショーにも白羽弥仁監督と共に登壇いただく予定です。
新人男優賞は、『日々ロック』でロック少年を全身全霊で演じた野村周平さんが受賞されました。
 
 
脚本賞には『ぼくたちの家族』の石井裕也監督、音楽賞には和製ミュージカルで楽しませてくれた『舞妓はレディ』の周防義和さん。そして『歓待』で新人女優賞を受賞した杉野希妃さんが、全編バリ島ロケの意欲作『欲動』で見事新人監督賞を受賞されました。
 

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特別賞は、斬られ役一筋55年の福本清三さんの人生を反映させたような初主演映画『太秦ライムライト』が受賞。表彰式後に受賞記念上映と、プロデューサー/脚本の大野裕之さんによるミニトークが開催されます。
 
「おおさかシネマフェスティバル2015」の表彰式には受賞者が勢ぞろいする予定です。大阪ならではの手づくり映画まつり。チケット一般発売は、2月7日(土)10:00~ チケットぴあにて。
 
チケット発売詳細、チラシダウンロードはコチラ
 

◆日本映画 個人賞
主演男優賞 綾野剛  (『白ゆき姫殺人事件』『そこのみにて光輝く』)
主演女優賞 池脇千鶴 (『そこのみにて光輝く』)
助演男優賞 坂田利夫 (『0.5ミリ』)
      菅田将暉 (『海月姫』『そこのみにて光輝く』『闇金ウシジマくん Part2』)
助演女優賞 原田美枝子(『蜩ノ記』『ぼくたちの家族』)
新人男優賞 野村周平 (『クジラのいた夏』『日々ロック』)
新人女優賞 藤本泉  (『アオハライド』『小川町セレナーデ』)
              真飛聖  (『柘榴坂の仇討』)
監督賞   呉美保  (『そこのみにて光輝く』)
脚本賞   石井裕也 (『ぼくたちの家族』)
撮影賞   近藤龍人 (『そこのみにて光輝く』『私の男』)
音楽賞   周防義和 (『舞妓はレディ』)
新人監督賞 杉野希妃 (『欲動』)
特別賞   『太秦ライムライト』
 
◆外国映画 個人賞
監督賞   クリント・イーストウッド(『ジャージー・ボーイズ』)
主演男優賞 マシュー・マコノヒー    (『インターステラー』『ダラス・バイヤーズクラブ』)
主演女優賞 ケイト・ブランシェット (『ブルージャスミン』)
助演男優賞 ジャレッド・レト    (『ダラス・バイヤーズクラブ』)
助演女優賞 ジェニファー・ローレンス(『アメリカン・ハッスル』)
 
 
 
2014年度ベストテン
◆日本映画
1位  そこのみにて光輝く(作品賞)
2位  紙の月
3位 0.5ミリ
4位  ぼくたちの家族
5位 私の男
6位  小さいおうち
7位  蜩ノ記
8位  柘榴坂の仇討
9位  WOOD JOB! 神去なあなあ日常
9位  太秦ライムライト
 
◆外国映画
1位  6才のボクが、大人になるまで。(作品賞)
2位  ジャージー・ボーイズ
3位  アデル、ブルーは熱い色
4位  チョコレートドーナツ
5位  罪の手ざわり
6位  インターステラー 
7位  ゴーン・ガール
8位  ブルージャスミン
9位  ネブラスカ  ふたつの心をつなぐ旅
10位  her/世界にひとつの彼女
 

trevi-di-1.jpg『トレヴィの泉で二度目の恋を』マイケル・ラドフォード監督インタビュー

シャーリー・マクレーン&クリストファー・プラマーという2大アカデミー賞俳優が贈る、

最高にチャーミングなラブストーリー『トレヴィの泉で二度目の恋を』2015年1月31日㈯からBunkamuraル・シネマほかにて全国順次ロードショーいたします!

公開に先立ちまして先日、マイケル・ラドフォード監督のインタビューを行いました!

撮影の舞台裏や現場でのシャーリー・マクレーン&クリストファー・プラマーの様子、さらには村上春樹さんとの意外なエピソードなど、貴重なお話を伺うことが出来ました。

★作品紹介は⇒ こちら
★公式サイト⇒  www.torevinoizumide.com 



trevi-550-2.jpgQ:主演のエルサを演じるシャーリー・マクレーンについて?
彼女はとてもタフな女性だ。映画ではやわらかさみたいなものを演じて欲しいと伝えた。彼女は驚いた、ケンカになったし口論もした。しかし真剣に役に向き合ってくれた。
シャーリーはムービースターのカリスマ性、スター性がある。

Q:フレッドを演じるクリストファー・プラマーについて?
彼はとても才能がある。85歳の今でも一人舞台をしているんだ!

Q:クリストファー・プラマー、シャリー・マクレーンの魅力はなんですか?
二人の間にはケミストリーがあった。それはとても運が良かったよ!
クリストファー・プラマーはとても若い。そして若い女性にモテるんだ!古典的な作品にでる俳優さんだね!シャーリー・マクレーンは真のムービースター!直観的、本能的に演じていて、自分がどう映っているか知っている。タイプは真逆の二人だよ。 

Q:脚本はなぜまた「イルポスティーノ」のアンナ・パヴィニャーノなんですか?
最適だった。彼女は文化的にイタリア的なんだ。脚本はまず、スペイン語をイタリア語にそれを僕が英語にしたんだ!

Q:リメイクにあたって意識したことは?
(リメイク)とても難しかった。正直もうリメイクはしない。
自分の気に入っている部分はキープした。南米ではヒットしたのに世界的にはダメだった、そこを考えた。オリジナルに比べフレッドのキャラクターを掘り下げた。自分なりにユーモアを付与した。

Q:オリジナルのどこに惹かれたのですか?
とても人間的でユーモアがあり感動的、センチメンタルなとこもいい!自分が好きなタイプの映画。名優たちと仕事ができるのも嬉しかった。ユーモア、ロマンス、感動を伝えられると思ったんだ!

Q:オリジナルとの違いは?
核になるアイディアは同じ。オリジナルに比べ、フレッドを掘り下げた。

Q:この作品を撮ってて一番楽しかったことは?
助演も含めて最高のキャストを集められた!主演二人のカリスマ性は凄かった!

Q:奇跡的だと思ったシーンは?
二人がはじめて夜を過ごすシーンが心配だった、シニアのSEXを匂わすからね!そんなの見たくないと思う人がいるかもしれない!でもいざ撮影してみると凄いなと思った。

Q:イタリアに思い入れは?
息子も生まれたし、結婚もした。なぜか逃れられない運命。イタリアが大好きだし、人生の一部。深いところでイタリアが好き。映画を作るにあたっては深く文化に入り込まなくてはいけない。イタリアが舞台だと作りやすい。 

Q:映画の中で、なぜあんなにもアニタ・エクバーグ(フェリーニ監督作品『甘い生活』のヒロイン)にエルサ(シャーリ・マクレーン)は思い入れがあったのですか?
セリフでもあるが、エルサは若いころにアニタに似ているといわれていた。エルサはずっとニューオリンズにいたから、(「甘い生活」の中のアニタは)エルサの中で異国情緒あふれる夢になった。

Q:フェリーニを意識しましたか?
映画のスタイルについては色々あるがフェリーニ風にはできなかった。フェリーニの作品とは逆で親密な小さい世界観にした。役者がいいので、長回しをやった。

Q:「甘い生活」のアニタの死について?
ロンドンのテレビで知った。ローマのホスピスで亡くなったと聞いた。とても悲しい。撮影中にホスピスにいると知っていて悲しかった。元旦那はアニタにベタぼれだったんだよ。シャーリー・マクレーンが22,23歳くらいの頃にアニタと撮った写真を見せてくれた。どこかのシーンで使おうかと思ったよ。シャーリー・マクレーンがトレヴィの泉でコスプレするシーンはシャーリー・マクレーンの提案だったんだ。

Q:アニタとの面識は?
会ったことはない。

Q:アニタへの追悼のメッセージなどはしましたか?
やっていない。アニタのニュースはイギリスではあまり放送されなかったんだ

Q:アニタを一言で言うと?
アイコンである。彼女はイメージなんだ、映画的なイメージ!フェリーニは彼女の資質を捉えたんだ。演技はイマイチだったけど!

Q:シニアにむけて作ったのですか?
時間もお金もあるから、今は世界的にシニア向けの作品が増えている。観ててフィールグッドな作品があってもいいんじゃないかと思ってね!

Q:日本にはシニアの恋の映画はありません。それについてどうですか?
すごく残念(5回くらい)!アメリカ、イギリスではシニアの恋の映画は増えています

trevi-550.jpgのサムネイル画像Q:若い読者に向けて
若い人のリアクションよかった。実際にトレヴィの泉に行ったと、映画を見てくれた若いカップルが言ってくれた。恋する気持ちはいくつになっても変わらない。人生は常にサプライズなんだ。(この作品は)リアルなラブストーリーなんだ。
年を重ねたら人生楽しくないというのは違う。それを伝えたい。年齢を重ねても恋をするってことをみてもらえたら

Q:日本について、そして今後日本の原作の映画化は考えていますか?
村上春樹とは親交があり「国境の南、太陽の西」の映画化の話があった。
村上春樹は「アメリカで撮ってくれ」と言ったが、僕は日本的な映画で日本的なフィーリングがあると思った、いろいろあって実現はしなかったんだ。日本の小説も文化も好き。吉本バナナも好き!いい本があれば映画化したい!
黒澤明、溝口健二、小津安二郎、大島渚などの作品が好き。最近のものよりは昔の作品が好き。宮崎駿の作品は好き。残念だけど(邦画)の公開本数は減っている。ぜひ作りたい、日本で撮影したい。日本的な要素に惹かれている。
 

 


 監督:マイケル・ラドフォード 
出演:シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー、マーシャ・ゲイ・ハーデン、クリス・ノース 
2014年/アメリカ/英語/STEREO/シネスコ/97分/
原題:ELSA&FRED (C)2014 CUATRO PLUS FILMS, LLC
提供:リヴァーサイド・エンターテインメント・ジャパン 
配給:アルバトロス・フィルム www.torevinoizumide.com

2015年1月31日(土)~Bunkamuraル・シネマ、2月7日(土)~テアトル梅田、京都シネマ、2月14日(土)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開

(プレスリリースより)

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