原題 | The Fault In Our Stars |
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制作年・国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 2時間6分 |
原作 | ジョン・グリーン |
監督 | ジョシュ・ブーン |
出演 | シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、ローラ・ダーン、サム・トラメル、ナット・ウルフ、ウィレム・デフォー他 |
公開日、上映劇場 | 2015年2月20日(金)~TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、OSシネマズ神戸ハーバーランド、他全国ロードショー |
~病気が連れてきたのは、大切なひととのかけがえのない日々~
難病ものは苦手だという人は多い。どうしたって涙腺を刺激する。泣いても、泣けなくても、自己欺瞞を感じる自分自身を意識させられる。お涙ちょうだい式の安っぽい構造の物語は嫌だしなあ…とかね。ところが、である。この映画の主人公はふたりともガンを患い、ヒロインと同じく私も好きになれないのだが、患者同士が慰め合い励まし合う “サポートグループ”でめぐりあい、そして恋をするのだ。その恋の展開と結末は、なんと爽やかなことか!
末期ガン患者で、いつも酸素ボンベが手放せない17歳の少女ヘイゼルと、骨肉腫で片脚をなくした18歳のオーガスタス。病気が縁で始まったふたりの関係だが、自分に残された時間のことを考えるヘイゼルは、彼とは一定の距離を置く。それでも、ヘイゼルの毎日に今までとは異なる光が射してくるのがわかる。男女の友情という枠を越えないふたりだが、オーガスタスは思わぬスペシャルプレゼントをヘイゼルに贈る。病気の子どもの願いに一つだけ応えてくれるジーニー財団の“ウィッシュ”(願い)を使って、ヘイゼルが愛読する本の著者に会うためのアムステルダム旅行が実現したのだが…。
昨年6月の全米公開以降、facebookなどネットで大きな話題となり、世界的に大ヒットしているという。それはたぶん、冒頭に記したように、病気というネガティヴな要素を超えるくらいのポジティヴな色彩がこの映画に満ちあふれているからだろうと思う。一瞬、一瞬がたまらなく愛しい、いつか失われてしまうからこそ、大事だと思うものをぎゅっと抱きしめていたい。そんなふうに体の奥底から心のすみずみから感じられるなんて、誰にも起きることではないのだ。
そこで、邦題と原題の違いだ。邦題の『きっと、星のせいじゃない』というのは、彼らは星回りや運が悪かったわけじゃない、こんなに輝いているのだからという意味なのだろうが、原題は『The Fault In Our Stars』である。Faultには、誤り、過失などのほか、地質学的な断層という意味もある。首をひねるのは、Their(彼らの)でなくOur(私たちの)になっていること。Starには単なる星のほかに、星回り、運勢の意味がある。直訳すれば、「私たちの星回りの過失」となるから、邦題とは真逆である。あるいは、星回りまたは運勢の断層として、主人公がめぐりあうごく稀な瞬間を指しているのだろうか。
ともあれ、ヘイゼル役のシャイリーン・ウッドリーが抜きんでて素晴らしい。人生をシニカルな目で見ているのだけど、オーガスタスへの気持ちを次第に高めていく過程でキラキラしてくる。エンディングの彼女の表情は、忘れられないくらいすがすがしい。
(宮田 彩未)
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