「AI」と一致するもの

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《第7回京都ヒストリカ国際映画祭》を終えて

2015年10月31日(土)~11月8日(日)、京都歴史博物館と京都みなみ会館で開催されていた《第7回京都ヒストリカ国際映画祭》は、最終日に『NINJA THE MONSTER』(日本初上映)と『ラスト・ナイツ』(11/14公開)の上映で幕を閉じた。毎年、時代劇のメッカ・京都にふさわしい作品を世界中から集めた映画祭は、時代劇ファンにとっては大変貴重な映画祭である。特に、日本初上映を含む新作だけを集めた【HISTORICA WORLD】は毎年楽しみにしている。今年は全部は見られなかったものの、『フェンサー』『吸血セラピー』『大河の抱擁』『NINJA THE MONSTER』を見る機会を頂いたので少しご紹介したい。
 


his-fencer-500.jpg★自由のない暗い時代でも、生きる希望が人を強くする
第二次世界大戦後のエストニアを舞台にした『フェンサー』 (2015年)は、戦後ソ連の領土となったエストニアの田舎の子供たちと、フェンシングを通して夢と生きる力を育んだ実在の教師エンデル・ネリスの勇気ある行動を精緻な映像で描いた感動作である。政治犯としてソ連の秘密警察に追われる身のエンデルは、息を潜めてエストニアの田舎で教師生活を送っていたが、戦争で父親を失った子供たちに慕われ、特技のフェンシングを教えるようになる。子供たちに支えられ自らも居場所を見出すエンデルの様子や、戦後の困窮生活の中にも柔らかな光が差し込んでいく描写は胸を熱くする。フェンシングの全国大会でのエンデルや子供たちの表情がいい。シンプルな構成ながら、次第に色味を増していく映像から希望がわいてくるのが実感できる、そんな映画だ。
 
 


 his-kyuuketu-550.jpg★悩めるドラキュラ伯爵のセラピー治療とは!?
20世初頭のウィーンを舞台にした『吸血セラピー』 (2014年)は、500年も連れ添った妻の愚痴に悩むドラキュラ伯爵がフロイトのセラピーを受けに来るという、ドラキュラとはいえ人間的な悩みを持つことに親しみがわいてくる映画だ。影がなく鏡にも写真にも映らない。自分がどんな顔なのか見たことがなく、美しいかどうかさえ分からない。他人の意見を聞くしかないので、毎日夫に自分についての感想を言わせる妻。それが500年も続けば、そりゃストレスも溜まるだろう。フロイトがドラキュラ伯爵夫妻に紹介した若い画家とその恋人をめぐる愛と血を追い求めるホラーコメディが、思いのほか面白かった。

◎『吸血セラピー』トークショーの模様はこちら
 


his-taiga-500.jpg★大河が見つめてきた、西洋文化の功罪
アマゾンの奥深く、西洋文化が如何に自然を破壊し原住民たちの生活を踏みにじっていったかがよくわかる『大河の抱擁』 (2015年)。部族で最後の生き残りとなったシャーマン(呪術師)カラマテの記憶を辿りながら行くアマゾン探検の旅である。20世紀初頭、カラマテが若い頃随行した探検家の日記を基にアマゾンを遡上したいとアメリカ人のエヴァンがカラマテを頼りにやってくる。アマゾン流域の豊かな自然がゴム資源を求める白人たちに破壊され、流域で暮らす人々の暮らしも残酷なほど一変させてしまう。それは、資源を求めてやってくる山師であり、無理やりキリスト教を押し付ける宗教家である。自然の息吹を感じながら、畏怖の念をもって逞しく生きて来た人々の変化をモノクロ映像で捉えた世界は、失われた文明を再発見する旅でもある。

 


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★忍者本来の姿を描く時代劇スリラー
松竹株式会社の若手レーベルが海外向けに制作した『NINJA THE MONSTER』は、朝の連ドラ「あさが来た」で五代友厚を演じて人気急上昇中のDEAN FUJIOKA主演の忍者映画。江戸中期の浅間山噴火と天明の飢饉を背景に、困窮する長野藩のお家存亡の危機と正体不明の化け物騒ぎを絡ませたストーリー展開は、斬新。自然界のパワーバランスに敏感な山伏のような忍者像は、黒覆面の超人という従来のイメージを一新させる。お家の困窮を救おうと人身御供にされるお姫様と忍者・伝蔵との微妙な関係性も興味深い。イケメンすぎるDEAN FUJIOKAの甘いマスクがキリリと光る忍者ぶりに魅了される一篇だ。

 



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この上映会は、京都ヒストリカ国際映画祭のいつもの客層とは違い、観客は女性ばかり!映画祭ナビゲーター・飯星景子さん司会による上映後のトークショーでは、黄色い歓声に迎えられてDEAN FUJIOKAと落合賢監督が登場。本作についていろいろ語ってくれた。

■今までの忍者のイメージを一新するアクションと忍者像
国際的に活躍するスタッフやキャストが集結して完成した作品とあって、ブルーレーベル海外向け第1作として自信を持って売り出したいと力強く語る落合監督。5年前に出会って意気投合したDEAN FUJIOKAとは、いつか一緒に映画を作りたいと、東京にあるジャマイカ料理を食べながら語り合ったそうだ。その後、『NINJA THE MONSTER』の企画書がDEAN FUJIOKAの元に届き、スカイプで連絡を取り合い、忍者についての資料を勉強するよう宿題が出されたという。かねてより中華武術をやってきたDEAN FUJIOKAは、今までの忍者像を一新するようなアクションを学ぶように言われ、フィリピンの「カリテ」という接近戦に強い武術を練習。劇中では、一番の見せ場となる山小屋の薄暗い中でのアクションに活用され、忍者・伝蔵の独特の殺陣が生まれた。

 

his-ninja-t-di-1.jpg ■神秘性を出すためにデザインされた液状の化け物
アニメ『もののけ姫』や『プレデター』などからイメージして、CGで創り上げているが、あまり知性的な化け物にはしたくなかったという。そのため目をひとつにして、予測不可能な動きと正体不明な不気味さを出している。具体的なビジュアルが完成する前に実写部分の撮影が進んだので、DEAN FUJIOKAは見えない敵との演技に苦労したようだ。落合監督のゾウのような声を合図に、それに向かってアクションを起こしたという。DEAN FUJIOKAは、『風の谷のナウシカ』のオウムのようなものを想像していたので、完成した作品を見て驚いたという。

 
■京都での撮影と日本武術の様式美
京都の松竹撮影所を中心に行われた撮影は真冬に行われ、劇中降っている雪は本物だそうだ。年末の撮影所では餅つきをしていて、お餅をご馳走してもらって嬉しかったというDEAN FUJIOKA。日本武術の様式美を教えてもらい、別のクルーの人たちと一緒に素振りもしたと懐かしそうに語る。そこで、DEAN FUJIOKA自前の武器を持ち出し、この日来場していたアクション俳優と殺陣を披露。DEAN FUJIOKAの生アクションを近くで見られて、観客も興奮気味。

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■他人とは思えぬ“もののけ”と忍者に親近感
DEAN FUJIOKAは、“もののけ”も忍者も陰の存在で、世の中に認められず孤独に生きている覚悟が心に沁みると振り返り、伝蔵役をまた演じたいと希望。落合監督も、伝蔵が自分の居場所を求めているのに対し、藩のために人身御供になろうとしているお姫様もモンスターも忍者も、同じ立ち位置にいるという。DEAN FUJIOKAと落合監督は海外で長く暮らしてきて、こうしたキャラクターたちと共通するものを感じたようだ。DEAN FUJIOKAも、「5年前、なぜ落合監督に声をかけたのか今分かった。他人とは思えぬ何か共感するものを感じたからだ」と振り返った。


日本公開は、海外での映画祭のスケジュールによるので未定。細かな歴史的考察とファンタジックなシーンをミックスさせた新しい忍者映画に、乞うご期待下さい。

(河田 真喜子)

raintree-550.jpgキスマイ玉森裕太が完璧大阪弁でご挨拶!『レインツリーの国』舞台挨拶

(2015年11月5日(木)TOHOシネマズ梅田にて)
ゲスト:玉森裕太(Kis-My-Ft2)(25歳)、西内まりや(21歳)、三宅喜重監督(49歳)


『レインツリーの国』
raintree-500-3.jpg・(2015年 日本 1時間48分)
・原作:有川 浩『レインツリーの国』
・監督:三宅喜重
・脚本:渡辺千穂 
・音楽:菅野祐悟 
・主題歌:「最後もやっぱり君」Kis-My-Ft2(avex trax)(つんく♂作曲)
・出演:玉森裕太(Kis-My-Ft2) 西内まりや 森 カンナ 阿部丈二 山崎樹範 片岡愛之助(特別出演) 矢島健一 麻生祐未 大杉漣 高畑淳子
・コピーライト:(C)2015「レインツリーの国」製作委員会
・公式サイト⇒ http://raintree-movie.jp/

・公開:2015年11月21日(土)~TOHOシネマズ梅田、 ほか全国ロードショー


 

~愛よ届け!素直な気持ちいっぱいの玉森裕太の関西弁が心地いい~

 

raintree-500-1.jpg丁寧に体を拭いてくれた実の息子(玉森裕太)をヘルパーと間違えてお礼を言う病気の父親(大杉蓮)。自分の子供も分からなくなった父親を寂しく思いながらも優しく応える息子。そのシーンだけでも、この息子の優しさが伝わってくる。この物語は、その優しい息子・伸が、大阪の実家を出て東京でサラリーマン勤務をしながら、本当に自分の価値観を共有できるパートナー・ひとみ(西内まりや)と出会い、内気な彼女の信頼を得ながら愛を育んでいく。イマドキ珍しいくらいのストレートさで気持ちをぶつけてくる素直なラブストーリーである。


原作は、有川浩の大ヒット作「図書館戦争」シリーズ第2弾(「図書館内乱」角川文庫刊)に登場する架空の小説を、実際に有川浩が作品化したもの。『阪急電車』や『県庁おもてなし課』と有川浩原作の作品を映画化してきた三宅喜重監督が、再びメガホンをとる。主人公・伸(しん)には、テレビドラマでも大活躍のKis-My-Ft2の演技派・玉森裕太が映画初主演。事故で感音性難聴になり、長い髪で補聴器を隠し、自分の殻に閉じこもって生きてきたヒロイン・ひとみを演じるのは、モデル・歌手・女優と幅広く活躍し、本作が映画デビューとなる西内まりや。つんく♂氏が書き下ろした珠玉のバラードをKis-My-Ft2が歌う主題歌「最後もやっぱり君」も感動のラブストーリーを盛り上げる
  


11月21日の公開を前に開催された先行上映会の舞台挨拶に、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、 西内まりやのフレッシュコンビと、大阪出身の三宅喜重監督が舞台挨拶のため大阪の劇場に登壇した。


――― 玉森さんは初めての主演作ですが?
玉森:不安とか緊張とか関西弁とか高い壁はありましたが、こうして皆さんに見てもらえることになってとても嬉しいです。

raintree-bu-ni-3.jpg――― スクリーンデビューですが?
西内:この映画を通して、人として言葉の大切さや、人と人が思い遣る気持ちとか、本当に沢山のことを得ることができました。皆さんにも何か感じて頂けたら嬉しいです。

――― 大阪出身の監督ですが?
三宅監督:僕自身が大阪出身ということもあり、今日こうして大阪の皆さんに見てもらえて、とても嬉しく思っております。

――― 主人公・伸の地元での舞台挨拶ですが?
玉森:緊張しますね!大阪出身のサラリーマン役です。ちょっと恥ずかしい気がしますけど、今日見て頂けて本当に嬉しいです。

――― 西内さんはこういう場では緊張すると仰ってましたが、もう慣れましたか?
西内:まだまだ緊張します。この映画を大きなスクリーンではまだ見たことがないので、難聴という難しい役の中の細やかな心情がちゃんと伝わっていればいいなと思います。

――― 大阪駅前や通天閣が見せる場所や道頓堀など誰でも知っている大阪が出てましたが、大阪での撮影は如何でしたか?
玉森:大阪は2~3日の撮影でしたが、大阪の人はフランクに絡んで来られて嬉しかったですね。撮影本番中でも「なに撮影してるんや?」と大きな声で言うし、大阪のノリを感じました。

raintree-bu-di-1.jpg――― 監督も撮影中は大変だったのでは?
三宅監督:撮っている時は気付かないのですが、「カット」をかけて周りを見回すと、大勢の人だかりができていて、凄い人気者なんだなと思いました。

――― 玉森さんはとても流暢な関西弁でしたが?
玉森:25年間標準語で生きて来ましたから、メッチャ難しかったです。関西弁指導の方と三宅監督に教えてもらいながら演じました。ちょっとでも間違うと、最初からやり直しで、徹底的に関西弁を叩き込まれました。

――― 特に難しかった言い回しとかはありましたか?
玉森:単語というより、長いセリフで最後の方で間違えると最初からやり直しでしたから、フ~ってため息が出ましたね。

三宅監督:関西の人は、ちょっとでも違う言い方をされると嫌でしょう?ですから、結構厳しく指導してました。

――― 関西への印象は変わりましたか?

玉森:関西の人は何でもテキパキとやる印象でしたが、いつも「たま(・・)ちゃん」と呼ばれていたのを、関西では「たま(・●)ちゃん」と違うイントネーションで呼ばれて、とても親しみを感じました。

raintree-bu-ni-1.jpg――― 西内さんは関西弁を喋る男性をどう思いますか?
西内:関西弁だと、より男らしく、胸にグサッと来やすいように感じました。映画の中で「髪切ってみぃひん?」って言われた時はドキッとしましたね。その前の「野暮ったいから」は要りませんけどね(笑)。

――― 劇中本当に髪を切られたんですよね?
西内:はい、切りました。何だか自分自身と向き合えるキッカケになって、一歩踏み出せるような気がしたので、迷った時には髪を切ってみるのもいいのではないかと思います。

――― 女性が言って感じのいい関西弁とは?
玉森: 「メッチャ好きやねん!」と、超全力の甘えた感じで言われたいです。

――― (会場に向かって)それでは皆さん全員で!
観客: 「メッチャ好きやねん!!!」
玉森:ホ~、イイッスね~ずっと聞いていたい関西弁ですね。

――― せっかく覚えた関西弁で何か喋って下さい。
玉森: 「そやな~、オレもメッチャ好きやねん!」

――― これで皆さんと玉森さんと相思相愛になれましたね。
玉森:アツい~!(笑)

raintree-bu-ni-4.jpg――― 11月21日に公開されますが、今日来られたお客様がもう一回見る時のポイントを教えて下さい。
玉森:上司役の阿部丈二さんの芝居の細かさは1回だけでは分かりにくいかも知れませんので、もう1回見てほしいです。
西内:ラストのクライマックスシーンだけ撮影終了から1か月経ってから撮ったのですが、とても寒い日で、玉森さんがチワワみたいに震えているのが分かるかも?(笑)

玉森:真冬ですから縮みあがってました。お尻にホッカイロ入れてたくらいです!

――― 撮影中、どこかご苦労されたことは?
三宅監督:苦労という苦労はありませんでした。それより個人的に好きなシーンは、玉森君が電車の中で壁ドンするシーンで、本当に嫌がっていて、とても気に入っています。そのシーンは何回やっても上手くいかなくて、エキストラの人にこっそりと玉森君の背中を押してくれるよう頼んだんです。すると、マジで嫌がってました(笑)。

――― 最後のご挨拶を。
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三宅監督:今までの大阪弁史上、一番素敵なラブストーリーだと思います。年齢を問わずいろんな方に楽しんで頂ける映画になっていると思いますので、また違う方と見に来て下さい。よろしくお願いいたします。

西内:今の時代らしく、メールを通じて出会う二人ですので、メールのシーンが多かったと思います。今失いつつある言葉のひとつひとつを大切にするというメッセージを思い出して頂いて、明日からちょっと変わって来たなと感じてもらえたら嬉しいです。ブログやツイッターなどを通して、どうか素直な感想やご意見などをお聞かせ下さい。よろしくお願いいたします。

玉森:人として学べることの多い心温まるラブストーリーだと思いますので、沢山の方に見て頂きたいです。(関西弁で)「また見たい人と見てな!」(笑)、また劇場に足を運んで下さい。よろしくお願いいたします。


 (河田 真喜子)

『レインツリーの国』 映画公開記念
オリジナル ミラー プレゼント!

  

raintree-pre.jpg■  提供:ショウゲート

■  募集人員: 2 名様

■ 締切:2015年11月30日(月)


2015年11月21日(土)~ TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条)、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、イオンシネマ京都桂川、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー!! 

★公式サイト⇒  http://www.raintree-movie.jp

『阪急電車』『図書館戦争』シリーズの有川浩が贈るロングセラー恋愛小説、ついに映画化!
玉森裕太(Kis-My-Ft2)×西内まりや  今年最高に心ときめく感動のラブストーリー

 


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それでも好きと伝えたかった――
玉森裕太(Kis-My-Ft2)×西内まりや フレッシュなふたりと豪華キャストの共演
まっすぐな「想い」と「言葉」が紡ぐ、珠玉のラブストーリー


<STORY>
raintree-550.jpgまだ会ったことのない君に、恋をした。きっかけは伸が高校時代に好きだった「忘れられない本」。そこから「レインツリーの国」というブログの管理人であるひとみとメールで繋がり、彼女に惹かれていくー。「直接会いたい」という伸。「会えない」というひとみ。頑なに会うことを拒む彼女には、言い出せない「秘密」があった…。「秘密=感音性難聴」を抱え、自分の殻に閉じこもっていたひとみ。パソコンの中に作ったブログ「レインツリーの国」は、唯一「秘密」を気にせず、活き活きと「言葉」を綴れる場所。そこに伸が現われ、ひとみに変化が訪れる。想い合うあまり、恋に傷つき迷う2人。本当の〝障害″を乗り越えたとき、現実の世界に2人の「レインツリーの国=ときめきの国」を見つけることができるのかー。

 


■出演:玉森裕太(Kis-My-Ft2)、西内まりや、森カンナ、阿部丈二、山崎樹範、片岡愛之助(特別出演)、矢島健一、麻生祐未、大杉漣、高畑淳子
■原作:有川 浩『レインツリーの国』(角川文庫刊) 
■監督:三宅喜重『阪急電車 片道15分の奇跡』『県庁おもてなし課』  ■脚本:渡辺千穂  ■音楽:菅野祐悟
■主題歌:Kis-My-Ft2「最後もやっぱり君」(avex trax) 
 2015/日本/108分/ショウゲート (C)2015「レインツリーの国」製作委員会

2015年11月21日(土)~ TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条)、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、イオンシネマ京都桂川、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸 ほか全国ロードショー!! 

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大企業に立ち向かう母子の物語から垣間見る、メキシコの脆弱性『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』(メキシコ)記者会見@TIFF2015
登壇者:ロドリゴ・プラ氏(監督)、サンディーノ・サラヴィア・ヴィナイ氏(プロデューサー) 
 

~映画全体に漂っている考え方は、「自分たちも他の人たちに映っている映像なのだ」~

 
10月22日より開催中の第28回東京国際映画祭でコンペティション部門作品として上映されたメキシコ映画『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』。主人公ソニアは、寝たきりの夫により良い治療を受けさせるため奔走するものの、腐敗と怠慢に満ちた保険会社に話も聞いてもらえず、責任の追及に乗り出していく。息子を引き連れての追及劇は、冒頭から裁判の証人として、登場人物たちのモノローグが挿入され、ソニアが法廷で裁きを受ける立場になっていることが分かりながら、記憶の断片のような映像を組み合わせ、「何が起こったか」が明らかになっていく。非常にテンポよく、そして巧妙に練られた語り口で、大企業の餌食になり行き場のない庶民の怒りとその行動を描写。気持ちが抑えらない母の様子をドキドキしながら見ていた息子が、警察相手にたじろぎもしない変貌ぶりを見せ、自己主張するまでを描く母子物語でもある。
 
10月28日に行われた記者会見では、監督のロドリゴ・プラ氏、プロデューサーのサンディーノ・サラヴィア・ヴィナイ氏が登壇。大企業に猛然と立ち向かう主婦と息子の物語の背景にある現在メキシコ社会に漂う空気や、ストーリーを語る上で客観性を維持するための持論をたっぷりと語って下さった。熱気にあふれた記者会見の内容をご紹介したい。
 

―――社会の弱者に寄り添った作品を作っていますが、今回は同じ視点ながら、サスペンスタッチになっています。この発想のもとはどこからきたのですか?
ロドリゴ・プラ監督(以下プラ監督):いくつか前の作品から、小説家である妻のラウラ・サントゥーマと一緒に仕事をしています。この作品は彼女の散文をベースにして作っており、複数の主人公が、それぞれの主観でモノローグ的に語るプロットにしました。スクリーンに登場する人たちの動きに集中しストーリーを作っていきましたが、私のキャリアからも、やはり社会的視点に注目することになりました。というのも、私と妻は38年前、ウルグアイからメキシコに逃れた人間で、二人とも社会的な要素に関心を持っているからです。
 
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■色々な人の視点でストーリーを書くことにより、複数の主観的見方がまとまって、客観性を生み出す。

―――母、ソニオ・ボネットと息子ダリオが75分で警察、権力に立ち向かいます。後半1シーンで登場するドアマンの名前はミランダ・サンティアゴというカトリック系の名前です。権力に立ち向かう息子を描くことの意味や、カトリックに対する監督の考え方について教えてください。
プラ監督息子はティーンエイジャーで、最初は母の言いなりになっていますが、最後は抵抗する力を身につけます。ティーンエイジャーが現実に対面し、どのように成長するかを表したかったのです。子どもについては、どの作品でも、できるだけ作品の中で成長を遂げるキャラクターを作ろうとしています。
 
ドアマンですが、この映画ででてくるその他の人物は裁判で証人の一人になっている人で、「私はカトリックです」と語ったのは、その後出てくるものを予兆しています。
 
この作品の構成について説明しましょう。僕たちはソニアと息子が夫の死に直面しつつ、どんなことをしたかを中心に描こうとしましたが、主人公だけに焦点を当てて描くとバランスを欠き、自分たちの意見を観客に押し付けることになるのではないかと思いました。複数の視点でストーリーを語る方法を選択したので、主人公の気持ちをすぐに共感するわけではないと思います。現に主人公は銃を撃つ訳で、それを受け入れられない人もいるでしょう。色々な人の視点でストーリーを書くことにより、複数の主観的見方がまとまって、客観性を生み出すと考えています。
 
ここで実際見ているものは、実際に起きていることそのものではなく、その人の記憶をベースに再生されたものなのです。だからこそ、ピンとのボケたような撮り方をし、イメージが若干ぶれたような見え方にしています。それは現実ではなく、記憶が作った事実だからです。ですから、ミラーや反射の使い方で画像をゆがませ、記憶であることを表現しています。映画全体に漂っている考え方は、「自分たちも他の人たちに映っている映像なのだ」ということです。
 

■ミスを犯すキャラクターが好き。豊かなキャラクターの女性を描きたかった。

―――女性が犯罪を図らずも起こしてしまう作品は他にもありますが、途中でどこか弱みを付かれることがあります。この作品は、最初から最後まで女性が強かったです。日本では、実際の平均的な女性よりもあくの強い女性像が人気を博すことがありますが、主人公ソニアはメキシコの女性をさらに強調したものですか?メキシコの女性は皆、これぐらい強いのですか?
プラ監督女性はこうだと決めつけるのはよくないですから、色々なタイプの女性がいると思います。妻と私は共通して、豊かなキャラクターの女性を書きたいと思いました。人口の半分は女性ですから、女性が主人公の映画でいいじゃないかと。また、キャラクターとしてミスを犯す人が好きです。彼女はミドルクラスの人間で、今後進む道を考えたとき、選択をミスすることは自然だと思います。もちろん銃で成敗することはいけませんが。
 
ソニアは夫が死ぬかもしれない可能性に直面し、自分の殻に閉じこもってしまいます。夫の死をみとった後のことが考えられなくなり、大きな保険会社に立ち向かう行動をとるのです。
 

■このストーリーが示しているのは“脆弱性”。国は何も統制していない。

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―――妻の夫に対する究極の愛を描いているように見えますが、監督ご自身の夫婦愛が反映されているのですか?また、劇中でサッカー中継などのシーンが登場しますが、サッカーの意味するところは?
プラ監督もちろん妻を愛しています。できるだけ家族の関係性を描くのが好きです。父と息子や家族、そして愛を描くのに加え、愛していたものがなくなることで心が壊れ、ミスをすることを描いています。サッカーですが、時間的な感覚を感じていただくために使っています。最後にサッカーゲームを中継するコメンテイターが出てきますが、審判について話す際に、審判はいつも正義がなく皆を怒らせていると言っていますが、審判を正義に例えて使っています。
 
このストーリーについては、脆弱性を示しています。メキシコのミドルクラスで生活をしているとかなり複雑で、国は何も統制しておらず、何もやっていないことを実感します。保険会社の不正という小さいことに対しても国家権力は何もしません。そういう国のバイオレンスを描いています。
 
複雑なのでタイトルについてもお話すると、妻の書いた小説ではタイトル「A Monster with a Thousand Heads(千の頭を持つ怪物)」の後に「No Brain(脳みそがない)」とついています。この小説は企業について書かれていますが、大企業は縦割りで、隣にいる人は自分には全く関係のない、倫理的な判断をすることもありません。そういった官僚制にソニアは直面している訳です。
 
―――裁判の場面が最初から出てくるにも関わらず、最後まで辿りつきません。書類もなくなり、ソニアは大きな企業の不正が決して裁かれないことが分かるのですが、国家的法システムの正義は信じていないと感じているのでしょうか?また、息子と母の最後のシーンのように個人の関係からは希望が見えるとお考えなのでしょうか?
プラ監督作品の中でご覧いただいているのは色々な人の主観的な表現で、最終的な目的はラストシーンを見せることです。そこで何があったのか一度立ち止まり、観客の皆さんが裁判官の立場で何があったのか判断していただきたいのです。
 
私自身、政府に対しての不信感は確かにあります。この10年の間に16万件の残虐な殺害事件、2万件の失踪事件があり、それだけ暴力が横行するにも関わらず政府は何もしていません。麻薬の犯罪組織などが暴力を加速させおり、その全体的な雰囲気がこの映画の中にも反映されています。
(江口由美)

 
『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』
(2015年 メキシコ 1時間27分)
監督: ロドリゴ・プラ
出演: ジャナ・ラルイ、セバスティアン・アギーレ・ボエダ
 
第28回東京国際映画祭は10月31日(土)までTOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ新宿、新宿バルト9、新宿ピカデリー他で開催中。
 
第28回東京国際映画祭公式サイトはコチラ 
 

air-di-550.jpg『エール!』エリック・ラルティゴ監督インタビュー

 (2015年6月26日 東京パレスホテルにて 《フランス映画祭2015》)
 

・(“La Famille Bélier” 2014年 フランス 1時間45分)
・監督:エリック・ラルティゴ
・出演:ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン、エリック・エルモスニーノ
・配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム
公式サイト⇒ http://air-cinema.net/

・コピーライト:La Famille Bélier © 2014 – Jerico – Mars Films – France 2 Cinéma – Quarante 12 Films – Vendôme Production – Nexus Factory – Umedia

公開情報:2015年10月31日(土)~新宿バルト9、ヒューマントラスト有楽町、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、京都シネマ、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OS ほか全国ロードショー


 

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~巣立ちの時を迎えた子供を愛情深く見送る両親と、
家族思いの健気な少女の物語~


《フランス映画祭2015》で観客賞を受賞した『エール!』。本国フランスでも大ヒットを飛ばし、新星ルアンヌ・エメラをセザール賞とリュミエール賞の両方で最優秀新人女優賞に、母親役のカリン・ヴィアールをリュミエール賞最優秀主演女優賞に輝かせた。いよいよ日本でも10月31日より全国公開される。両親と弟が聴覚障がい者で唯一健常者のポーラが、世間と家族の橋渡しという役割と自分の夢との狭間で悩み、さらにポーラの歌の才能を理解し応援する人々の物語は、映画祭でも大きな感動の渦を巻き起こした。フランス映画は今まで、『コーラス』(04)『モンテーニュ通りのカフェ』(06)『オーケストラ!』(09)と、音楽を主軸にした感動的なヒューマンドラマを送り出してきたが、本作でもハンディキャップを抱える家族と歌の才能を見出された少女との家族愛を、緑豊かな農村を舞台に、ユーモアあふれる明るい演出で魅了する。

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テレビのオーディション番組で注目されたルアンヌ・エメラを起用したエリック・ラルティゴ監督は、歌唱力と演技力の他に、健康的な美しさと優雅さを備えたルアンヌの魅力に着目したという。彼女の魅力が大きな存在となって映画を牽引したことは言うまでもない。また、聴覚障がい者の立場になってポーラの歌を聴くという離れ業で、自分たちだけがポーラの歌を聴けない悲しみを体感させている。両親の心の痛みと寂しさがひしひしと伝わり、胸が張り裂けそうになった。
 


【STORY】
酪農家のベリエ家の長女ポーラ(ルアンヌ・エメラ)は高校1年生。両親も弟も聴覚に障がいがあり、世間との通訳はポーラが担っていた。飼料業者への連絡や市場で売るチーズの説明や、はてまた両親の性習慣を医者に説明するのもポーラの仕事。元ミスの明るく社交的な美人の母親ジジ(カリン・ヴィアール)に、ぶっきら棒で無口だが家族思いの父親ロドルフ(フランソア・ダミアン)、おませな思春期真っ盛りの弟カンタン(ルカ・ジェルベール)と、ポーラを中心にした仲良し家族だった。


air-500-1.jpg気になる男の子ガブリエル(イリアン・ベルガラ)を追ってコーラス部に入ったポーラは、音楽教師のファビアン(エリック・エルモスニーノ)に歌の才能を見出され、パリの音楽学校の受験を勧められる。だが、歌うことの歓びを全身で感じながらも、耳の聴こえない家族をどう説得すればいいのか悩むポーラ。一方、娘の特別な才能である歌声を聴くことができない寂しさと家を離れようとする娘に落胆する両親。お互いを思い遣ればこそ苦悩は深まるが、日頃大人しい父親がとった行動とは?
 



巣立ちの時を迎えた子供を愛情深く見送る両親と家族思いの健気な少女の物語という、笑って泣ける感動作を撮ったエリック・ラルティゴ監督に、映画製作の過程や出演者についてお話を伺った。


――― テレビのオーディション番組で芸能界入りしたルアンヌ・エメラさんは、とても瑞々しい魅力を発揮していましたが、彼女を見てこの脚本を書いたのですか?
air-500-2.jpgいえ、映画製作は先に決まっていて、ポーラを演じられる女優を捜していました。ルアンヌはTVに一度しか出たことなかったのですが、彼女を見た瞬間に「彼女だ!」と感じました。オーディションでの即興劇の中のたった一言を聞いて、「ルアンヌでいける!」と思わせてくれました。ルアンヌが持つ美しさや優美さで長編映画を作ることができる!とね。彼女も私を信頼してくれましたが、それからが大変な思いをすることになるのですが(笑)。

――― 重いテーマを明るく感動的に作られていましたが、製作の経緯と演出で気を付けたことは?
確かにフランスでもこのような題材は重く落ち込みがちですが、私はそのハンディキャップを逆手にとってこの映画を作りました。ただ笑っているだけではなく、他の見方をすることもできます。元々この話は、ヴィクトリア・ヴドスという人の父親のアシスタントをしていた人にインスピレーションを得て、この話を書きました。フランス語でコダスといって、両親が聴覚障がい者の子供のことを指します。私はその話をもっと掘り下げて、家族に焦点をあてて、聴覚障がい者の両親の元からコダスが独立する物語としてシナリオを書き上げました。さらに、体の成長に心が追い付かない思春期特有の問題などを盛り込みました。

――― 両親役のカリン・ヴィアールとフランソア・ダミアンについて?
air-di-240-1.jpgカリン・ヴィアールには、お喋りで外交的で常に興奮状態にあるような、子供をとても可愛がって家庭を切り盛りする役を望みました。一方フランソア・ダミアンの方は、ぶっきら棒で内向的で、母親に比べれば控え目な役です。そのコントラストが面白いと思いました。聴覚障がい者は手話で話すと同時に顔でも語ろうとするので、そこが過剰演技に見えたかもしれませんが、健常者と同じようにお喋りな人と大人しい人がいることは確かです。

そんなベテラン二人が両親役を演じたことは、ルアンヌにとって大きな支えになったと思います。彼女自身、若いせいもありますが集中力が途切れることもありました。でも、ルアンヌの役は、手話をしながら話さなくてはなりません。この短い期間にそれをマスターしたことは快挙だと思います。特に、フランス語と手話は主語・述語の順番が逆で、構文が違うのです。手話とセリフを同時に言うことは二重に困難なことだったのです。それを遣り遂げたことはルアンヌにとってかなりのチャレンジだったと思います。

――― ポーラがパリに出たいと言った時両親と揉めましたが、フランスでも地方からパリに出るのに親と揉めるものなんですか?
どこでも子供が大都会に出たいと言ったときの問題は同じだと思います。いろんなカテゴリーの子がいます。ポーラの場合は歌で成功したいと思いましたが、パリや東京へ行きたいと夢見るような子はどこにでもいます。ただ、ポーラの場合は、聴覚障がい者の両親にしてみれば健常者との通訳という大きな橋渡しの役割を担っていた訳ですから、それは大問題です。それでも、それまでとは違う人生を歩むためにも家から出なければなりません。様々な問題を克服していくことこそ人生の醍醐味だと思います。

――― 劇中、ハッとするようなシーンがいくつかありました。コーラスの発表会のクライマックスのシーンや、ポーラを見送るシーンの演出について?
air-di-240-3.jpgあのシーンで音を切ったのは、観客の方に聴覚障がい者の世界を知ってもらいたいという意図からです。聴こえるはずの音が聞こえないと健常者はそこで欲求不満を感じるはずです。歌から受ける感情を一気にカットすることによって、その感情を他に持っていくことができたはずです。耳の聴こえない人の立場に立つ体験をしてもらいたかったのです。

ポーラが出発するシーンでは、聴覚障がい者はとても慎み深い人たちでして、一度目ではきちんとお別れできなかったので、ポーラは戻ってきたのです。二度目は家族みんなで抱き合っていましたが、彼らは耳が聴こえない分他の感覚に優れていますので、母親がポーラの髪を触ったり匂いを嗅いだり、体に触ったりしたのです。日本ではあまり他人を触ったりしないと聞いていますが、私はこういうシーンは好きです。聴覚に障がいがあると、視覚・嗅覚・触覚といった3つの感覚でコミュニケーションをとっているのです。

――― フランスで大ヒットしましたが、完成版を見た時、「これはいける!ルアンヌは女優賞を獲れる!」という確信は持てましたか?
いえ、確信は持てませんでした(笑)。映画はとても面白いものですが、もろいものでもあります。この映画を撮って2年半経ちますが、今でもこれでいいのだろうかと疑問が沸いて不安になる事もあります。映画を撮っている時は、白髪が増えるし眠れなくなるし、とても怖く感じることがあります。そんな時は、「ただの映画じゃないか」と自分に言い聞かせています。映画はとても不思議なものです。

 



劇中、ミシェル・サルドゥの曲が多く使われているが、特に、ポーラそのものを歌っているような「Je Vole(青春の翼)」が素晴らしく、見終えてからも頭の中でぐるぐるとリピートされていた。監督は脚本の段階からミシェル・サルドゥの曲を使おうと決めていたそうだが、フランスでは懐メロのようで、コーラス部の学生たちから「え~っ!?」とブーイングが起こっていた。だが、歌詞の内容は若い世代の心情と重なる部分が多く、まるで描き下ろし曲のように思えた。音楽にも注目して何回でも見たくなる、そんな映画です。

(日本のものが大好き!というエリック・ラルティゴ監督は、おかきを美味しそうにポリポリ食べておられました。)

 (河田 真喜子)

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