原題 | Der ganz groBe Traum |
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制作年・国 | 2011年 ドイツ |
上映時間 | 1時間54分 |
監督 | セバスチャン・グロブラー |
出演 | ダニエル・ブリュール、ブルクハルト・クラウスナー、カトリン・フォン・シュタインブルク、ユストゥス・フォン・ドーナニー |
公開日、上映劇場 | 2012年9月15日~TOHOシネマズ シャンテ、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次ロードショー |
~ドイツ・サッカーの基礎を築いた情熱と不屈の意志~
1874年のこと、帝政ドイツの地方都市ブラウンシュヴァイクに、一人の青年がやって来た。彼の名はコンラート・コッホ。留学していたイギリスのオックスフォードから招かれ、ドイツで初めての英語教師として母校で教鞭を取ることになったのだ。授業を始めてすぐに気づいたのは、生徒や教師が抱いている強い反英感情、そして階級的な差別意識。彼は、授業にサッカーを取り入れることで、それらを払拭しようとする…。
いわば熱血教師が周囲を変えていく学園ものだが、コッホ先生は“ドイツ・サッカーの父”と呼ばれる実在の人物。多少設定を変えながらも、彼の苦闘の道のりをドラマティックに描いている。このお話の中にも、いじめが存在し、地元の名士を父に持つ級長のフェリックスが、労働者階級のヨストを徹底的に排除しようとする。ヨストの母親の、自分の息子にはこの階級から抜け出して成功するための教育を与えたいという願いが切なくなるほどに。さらに、変革を嫌う保守的な有力者たちは、進歩的な教育を皆に平等に施そうとするコッホをクビにしようと画策し始める。
だが、サッカーという新しい球技は、大人たちの思惑を超えて少年たちを夢中にさせ、いつの間にかコッホへの親密感と、生徒同士の団結心まで与えてしまうのだ。恐るべし、スポーツの力!それだけでなく、やはりコッホ先生の粘り強さや、生徒を見つめる眼の優しさがあってこそ生み出された奇跡なのだ。現代劇よりもクラシックな物語が似合うようなダニエル・ブリュールが、いい表情をしているなと思った。
いつの世も、どんなジャンルでも、新しいことは人々の目に奇異に映り、偏見の心で扱われ、時には追い払われる。たとえ、受け入れられたとしても、それが浸透していくにはとてつもなく時間がかかるものだ。人物のわかりやすい対立構図によって、そういう法則をじっくり見せてくれる作品だ。
(宮田 彩未)
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