原題 | MARLEY |
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制作年・国 | 2012年 アメリカ・イギリス |
上映時間 | 2時間24分 |
監督 | ケヴィン・マクドナルド |
出演 | ボブ・マーリー、リタ・マーリー、ジギー・マーリー、セデラ・マーリー、バニー・ウェイラー、ピーター・トッシュ、リー・ペリー、ジミー・クリフ、クリス・ブラックウェル |
公開日、上映劇場 | 2012年9月1日(土)~角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、吉祥寺バウスシアター、大阪ステーションシティシネマ他にて3週限定ロードショー! |
~人間ドキュメンタリーとして描く音楽巨人伝~
若い方にどこまで分かってもらえるかは未知数だが、ボブ・マーリーといえばレゲエである。彼はレゲエの創始者だと、パブリック・イメージとしては、みなされているものの定かではない。「ロックの殿堂」入りもしているし、その音楽イメージからはジャマイカの民族音楽と思われそうだが、本編ではファンク・R&B・ソウル・ジャズなどのブラック・ミュージック(黒人が創出した音楽)だと、本編の前半において、案内人役的にインタビューを受けるバニー・ウェイラー(ボブとは元バンド・メンバーの盟友)は語っている。
但し、本作はボブ・マーリーを捉えているにしても、音楽ドキュメンタリーとしての位置付けはできない。なぜなら、ドラマ映画『ラストキング・オブ・スコットランド』(2006年)で、アミン大統領を取り上げた本作の監督ケヴィン・マクドナルドは、人間ドキュメンタリーを目指したらしいからだ。
既に逝去しているセレブ・ドキュとなれば、過去の映像と現在生きている関係者へのインタビューなどを絡めて、その人物像に迫るスタイルになるだろう。しかし、本作は大きく違っていた。洋楽を日本人が聞く場合は、その歌詞内容は余程英語にたけてる人でないと分からない。だから、歌われる歌の歌詞内容を字幕で示しながら、歌詞内容と合わせて彼の生き方を描いていくという、画期的な描き方をしているのである。そうして、年代順に彼のエピソードが綴られていく。ジャマイカ、アメリカ、ロンドン、ドイツなどと、1960年代から1980年までの話が描かれる。
7人と浮気して11人の子供を儲けたエピソードや、2派に分かれたジャマイカの政党を音楽を通して束ねた話など、ドキュなりのドラマティック手法に見ごたえがある。さらに、彼の妻・息子・娘の談話がタイトに挿入されて、リアリスティック感を増していく仕掛けだ。「愛は一つ、心は一つ」「闘い続けろ、諦めるな」などと歌われる歌が、これもまたタイトに挿入されて重厚感を増す。彼の歌はフル・バージョンでは流れないが、それでも印象的で心に残る歌詞が感動的だ。ジョン・レノンやボブ・ディランなどのドキュメンタリーと比べても、遜色のない仕上がりとなった傑作。(宮城 正樹)
公式サイト⇒http://www.bobmarley-movie.jp
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