原題 | WIN WIN |
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制作年・国 | 2011年 アメリカ |
上映時間 | 1時間46分 |
監督 | トム・マッカーシー |
出演 | ポール・ジアマッティ、エイミー・ライアン、ボビー・カナヴェイル、ジェフリー・タンバー、バート・ヤング、メラニー・リンスキー、アレックス・シェイファー |
公開日、上映劇場 | 2012年8月18日(土)~シネマート新宿、9月22日(土)~シネマート心斎橋、順次~神戸元町映画館にて公開 |
~ちょっとした出来心が招いた騒動記~
『扉をたたく人』で人間関係の温かみを打ち出したトム・マッカーシー監督が、ダメ男を演じさせたらピカイチのポール・ジアマッティとタッグを組み、愛すべき物語を創りだした。タイトルの『WIN WIN』は、自分も勝ち、相手も勝つ、つまり、双方ともにメリットのある状況を表す言葉から来ている。ただ、この映画を見ているうちに、そういう状況というのは100%永久保存されることなどなく、実は非常に危ない綱渡りをしているようなもので、いつ、そのバランスが崩れるかわからないもんだなと感じていた。
弁護士のマイクは、家族や友人への思いやりも、さりげないユーモアも持った、いわゆるええ人なんだけど、最近の不況のせいで、仕事はイマイチ。ちょっと冴えない日々を送っている。ひょんなことから、ある下心もあって、認知症のお年寄りの後見人を引き受けたところ、その孫だと名乗る少年カイルが現れ、そこからマイクの喜怒哀楽に満ちた“すったもんだ”がスタートする…。
このカイルという少年は無表情だが、心に傷を持ち、どこか放っておけないタイプで、マイクの家族にすぐに溶け込み、居候の生活を始める。マイクもマイクの妻もそれをすんなり受け入れ、他者への不信感が強く世知辛い現代では、奇特と言えるほどだ。仕事の合間に、高校レスリング部のコーチを務めているマイクは、何気なくカイルをレスリングの練習に誘い、そこで発見したのが、彼の並外れた才能。ここからしばらくは、青春スポーツものの色合いを帯びる展開だ。
マッカーシー監督は、人が再生する力や、人と人との間に生まれるきずなの深さを信頼しているのだなと改めて思う。他者から突っ込まれた時、体面を保つためにごまかし通そうとするのでなく、きちんと非を認めることの大切さや、相手を思う気持ちの細やかさなど、説教臭さなしで語っている。マイクの笑顔が爽やかに映るエンディングだ。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒http://video.foxjapan.com/win2-movie/
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