「AI」と一致するもの
大阪の春の風物詩となったアジア最新映画が一挙大阪に集う大阪アジアン映画祭。今年は3月8日(金)~17日(日)の期間、梅田ブルク7をメイン会場に市内各劇場で開催。アジア各地から多彩なゲストを迎えて、コンペティション部門、特別招待作品部門、特集企画、インディ・フォーラム部門の作品を上映する。
また、本映画祭に先立ち、プレイベントとして、3月3日(日)大阪歴史博物館講堂にて「おおさかシネマフェスティバル2013」を開催。
そして、プレオープニングはABCホールを会場に、3月4日(月)は前回の大阪アジアン映画祭で見事「観客賞」を受賞した『セデック・バレ』の公開に先駆け、2部作のうちの第1部『セデック・バレ 太陽旗』を特別上映。また3 月5 日(火)は、乙武洋匡が実体験をもとに描いた自伝的小説の映画化で、乙武洋匡自身がモデルの赤尾先生を演じ、俳優に初挑戦した『だいじょうぶ3 組』を招待制試写会として上映することが決まった。今年の上映作品全ラインナップが2月6日(水)に発表されるのに先がけ、第8回大阪アジアン映画祭の概要をご紹介したい。
第8回大阪アジアン映画祭(OSAKA ASIAN FILM FESTIVAL 2013)
■会期:2013年3月8日(金)~17日(日)
■会場:梅田ブルク7、梅田ガーデンシネマ、シネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場、プラネット・スタジオ・プラス・ワン、大阪歴史博物館、ABC ホール
■チケット発売:2月9日(土) ※チケットぴあにて発売。(プレイベント、プレオープニングも含む)
■公式ホームページ:http://www.oaff.jp
【コンペティション部門】
国際審査委員による厳正な審査を経て、日本未公開のアジア映画最新作がグランプリ(賞金50万円)、来るべき才能賞(賞金20万円)などの各賞を競います。発表と表彰式は、3月17日(日)のクロージング・セレモニーにて行う。
【特別招待作品部門】
日本を含むアジア各国から、選りすぐりの最新話題作を上映。
【特集企画】
≪Special Focus on Hong Kong≫
経済・観光・文化と、ますます進化し、活況を呈する国際都市・香港。香港特別行政区政府 駐東京経済貿易代表部(香港経済貿易代表部)、香港政府観光局にご協力いただき、香港と日本の間のパートナーシップの促進を目的として、話題の香港映画をゲストを迎えて上映。
≪GTHの7年ちょい~タイ映画の新たな奇跡≫
トニー・ジャー、ジージャーらの“粗暴”なアクション映画で世界に知られるタイ映画だが、タイGTH社の作品は都会的で洗練された作風で知られている。世界で初めて同社に焦点を当てる本特集では、創立わずか7年ちょいにしてタイ最大のメジャー映画会社に成長したGTH社の歩みを、同社結成のきっかけとなった『フェーン・チャン ぼくの恋人』から未公開新作までの秀作によって振り返る。
≪Director in Focus:リー・ユーの電影世界≫
OAFF2011 の深田晃司特集に続く監督特集。中国の新世代代表格として急速に評価を上げているリー・ユー(李玉)監督。近年は常に中国のトップ女優ファン・ビンビンとコンビを組んでいます。本特集では、同監督にフォーカスを当て、日本未公開作を含むこれまでの作品を上映。
≪日本映画人のニュー・フロンティア≫
メジャー映画業界が安全な題材と手堅い仕組みに逃避するなか、映画界の裾野では果敢に新しい表現、新しいフィールドに挑戦する日本映画人が一斉に芽を出しはじめました。本特集ではそうした最前線の映画人をクローズアップし、その存在を広く世界にアピールしていく。
≪東北大震災から2年「メモリアル3.11」≫
未曾有の大震災から2年。いまなお復興の道筋が見えてこない現地への思いを込めて、2012 年に製作された震災をテーマとする多くの作品の中から3本を選び上映、またトークショーも同時開催。
【インディ・フォーラム部門】
大阪発の自主制作映画の祭典として関西のクリエイティブシーンをリードする「シネアスト・オーガニゼーション・大阪(CO2)」。昨年のCO2 助成作品の1つ『蒼白者』では『息もできない』のキム・コッビが主演するなど話題となった。当部門では、今年度のCO2 助成作品の初お披露目や、CO2 選考委員とゲストとのトークショーを実施。
【プレイベント】
おおさかシネマフェスティバル2013~映画ファンのための映画まつり~
例年、大阪にゆかりの深い作品を中心に、優れた国内映画の紹介を行っている「おおさかシネマフェスティバル」。今年も大阪の映画関係者&映画ファンが選んだ「ベストテン&個人賞」の表彰式を中心に、受賞作品の上映も行う。
【プレオープニング】
特別上映『セデック・バレ 太陽旗』
日時:3/4(月) 上映18:30~
会場:ABC ホール
★ウェイ・ダーション監督舞台あいさつ(予定)
2011 年/台湾/144 分
提供:マクザム、太秦 配給:太秦
監督:ウェイ・ダーション(魏徳聖)
出演:リン・チンタイ、ダーチン、安藤政信、ビビアン・スー木村祐一 2013 年GW全国ロードショー
(C)Copyright 201 Central Motion Picture Corporation & ARS Film Production AL RIGHTS RESERVED.
昨年、大阪アジアン映画祭で日本初上映され、全国の熱い注目を浴びた歴史大作が再び本映画祭のスクリーンに! 舞台は1930 年、日本統治下にあった台湾。先住民セデック族らによる抗日蜂起「霧社(むしゃ)事件」を激烈に描く。『海角七号/君想う、国境の南』のウェイ・ダーション監督が10 年以上の構想を経て完成させ、台湾映画史上空前の大ヒットを記録した。本作『セデック・バレ 太陽旗』は2部構成完全版の第1部。
試写会『だいじょうぶ3組』
日時:3/5(火) 上映18:30~
会場:ABC ホール
2013 年/日本/118 分/配給:東宝
監督:廣木隆一
出演:国分太一、乙武洋匡、榮倉奈々/
田口トモロヲ、余 貴美子 他
3 月23 日(土)全国東宝系ロードショー
(C)2013「だいじょうぶ3組」製作委員会
新学期を迎えた5年3組にやってきたのは手も足もない先生だった……。国分太一が6年ぶりの主役で補助教員役を熱演、自伝的小説の映画化となる乙武洋匡が自ら新任教師役で体当たりの演技を見せる。子どもたちのイキイキした表情をドキュメンタリーさながらのリアルなタッチでとらえながら、人と違う個性を認める先生との一年を詩情豊かに綴る、感動がつまった奇跡の学園ドラマ。
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2008年、横浜トリエンナーレで話題の的となったインスタレーション作品『廊下』や、外国文学としては異例の人気作となった短編小説集『いちばんここに似合う人』(刊行:新潮社)など、多方面で着実な活動を展開するマルチアーティストのミランダ ジュライ。2/16(土)には梅田ガーデンシネマにて新作長編映画『ザ・フューチャー』も公開される。
今回、ミランダ・ジュライ新作『the Future』公開を記念して、2月11日(月・祝)大阪のdigmeout ART &DINERにてミランダ ジュライの短編映画を上映するイベントが開催される。世界中の映画祭で上映されながら、大阪では初上映となる短編映像作品に触れることのできる貴重な機会だ。また、当日はコラムニストの山崎まどかさんと執筆家の野中モモさんによるミランダの魅力を語るトークショーを開催。digmeout ART &DINERにて『the Future』をイメージしたメニューも登場予定と、ミランダ・ジュライの世界を存分に楽しめるオトナ女子にオススメの上映会だ。
【イベント概要】
◆日時:2月11日(月・祝) オープン:17:00/スタート:18:00
◆内容:短編上映+トークショー
◆会場:digmeout ART & DINER
◆ゲスト:山崎まどかさん / 野中モモさん / MC:土井コマキさん
◆料金:1500円(入場時にドリンク代別途500要)
※限定人数のみメール予約優先
(2/1より受付 ※メール予約方法等、詳細は後日、ぴあ関西版WEBにて発表)
◆お問合せ:ぴあ関西版WEB 映画担当 ℡:06-6345-9055
◆イベント特設ブログ http://esjaesjaesja.blogspot.jp/ (随時、情報を更新中)
【プロフィール】ミランダ・ジュライ
1974年米国カリフォルニア州バークリー生まれ、現在ロサンゼルス在住。脚本、監督、主演を担当した最初の長編映画『君とボクの虹色の世界』で、サンダンス映画祭審査員特別賞、カンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を含む4部門を受賞し、一気に世界に知られることになった。コンテンポラリー・アーティストとしては、ビデオ作品、パフォーマンス、ウェブでのプロジェクトがニューヨーク近代美術館、グッゲンハイム美術館、ホイットニー・ビエンナーレなどで紹介されている。またアーティストのハレル・フレッチャーと共同で参加型ウェブサイト Learningtoloveyoumoreを 立ち上げ、2007年に同サイトの書籍版(プレステル社)も刊行。作品は現在、サンフランシスコ現代美術館のアーカイブに所蔵されている。2009年のベネチアビエンナーレのために制作したインタラクティブ・スカルプチャー・ガーデン【インタラクティブなオブジェの庭】"Eleven Heavy【11の重たいもの】"は、2010年夏にニューヨークでも発表された。作家としては、短編小説集「いちばんここに似合う人」(新潮社/岸本佐知子訳)が、フランク・オコナー国際短篇賞を受賞し、20カ国で出版され、次作の 「It ChoosesYou」が新潮社より邦訳(岸本佐知子訳)発行予定。私生活では『人生はビギナーズ』(2010年)の監督でマルチ・アーティスト のマイク・ミルズとの間に子供がひとりいる。
【上映作品】(配給:ダゲレオ出版)
『アトランタ』(10分/1996)/『アマチュア』(18分/1998)/『ネスト・オブ・テンズ』(27分/2000年)/『毎日つよくなる』(7分/2001年)/『HAYSHA ROYKO』(4分/2003年)(5作品合計66分、日本語字幕付き)
※画像はミランダ・ジュライ新作『the Future』より
『マリー・アントワネットに別れをつげて』ブノワ・ジャコー監督トークショー
(2012年12月1日 京都文化博物館にて)
原題:Les adieux a la reine
(2012年 フランス-スペイン 1時間40分)
監督;ブノワ・ジャコー
出演:レア・セドゥ、ダイアン・クルーガー、ヴィルジニー・ルドワイヤン、グザヴィエ・ボーヴォワ、ノエミ・ルボフスキー、ミシェル・ロバン他
2012年12月15日(土)~TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ、大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、OSシネマズミント神戸 他全国ロードショー
★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://myqueen.gaga.ne.jp/
© 2012 GMT PRODUCTIONS – LES FILMS DU LENDEMAIN – MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – EURO MEDIA FRANCE – INVEST IMAGE
~ブノワ・ジャコー流 ルポルタージュ フランス革命~
12月1日~9(日)までの京都の各所(京都シネマ、京都文化博物館、東映京都撮影所、松竹撮影所)にて開催された『第4回京都ヒストリカ国際映画祭』は、世界の時代劇だけを集めた映画祭です。時代劇製作の本場である京都で、こうした国際映画祭を開催することは、今後の京都の映画産業を支える上でもその意義は大きい。初日に『大奥~永遠~右衛門佐・綱吉篇』と『マリー・アントワネットに別れをつげて』が上映され、それぞれ上映後にゲストによるトークショーが開催されました。
30年ほど前に来日して日本にひと目惚れ…「こんなに日本を好きになったのも日本映画の影響」と語るフランスのブノワ・ジャコー監督。新作『マリー・アントワネットに別れをつげて』の上映後トークショーに登壇。独特の作風と新作について語ってくれました。NHKから京都の雅楽奏者のドキュメンタリー撮影を依頼されたのが、日本という国に想いを寄せるキッカケだったといいます。
――― 特に京都でオススメの所は?
一言でどことは言えない。季節によって、気候によって、その日の気分によって変わりますから。
――― 時代劇を撮る魅力は?
どの映画でも、各々の時代を捉えたものは時代劇と言えます。時には時代を再現した作品の方が、現代を鏡のように反映していることが多い。本作でも、私が撮ったもので、宮廷人が撮ったものではない。今日は、宮廷人の恰好をして登場すればよかったですね~(笑)
――― マリー・アントワネットについて?
他国の見方より低いと思います。彼女の処刑については罪悪感があり、彼女を殺さなくても革命は成し遂げられたのではと。客観的に見て、人民が飢えているのにベルサイユをミュージックホールのようにしたのは罪深いと思います。私自身が彼女に興味を持ったのは、バスティーユ襲撃後の4日間だけに注目して、“悲劇の王妃”というそれまでの彼女のイメージが変化していく瞬間だったのです。
――― 歴史上登場しないシドニーについて?
誰もが知っている歴史ドラマを、シドニーという朗読係を主人公にすることによって、彼女の目を通して、今まさに起こっている事件をルポルタージュとして撮ろうとしました。シドニーを証言者として、当時のベルサイユ宮殿の中をガイドされているような感じでね。シドニーという想像上の人物を若い女性にしたのは、瑞々しい感性とイノセンスが必要だったからです。映画は彼女が目覚めるシーンから始まり、夜の闇に消えるシーンで終わっています。シドニー以外は歴史上の人物ですが、彼女だけは映画の中でしか存在していない人物なのです。
――― ベルサイユ宮殿について?
歴史の舞台であり、正に歴史の証人でもあります。ですが、宮殿の威容さを中心に据えず、召使たちがこそこそ噂話をしたり、貴族たちが革命の恐怖に狼狽する廊下とか、普段注目されない場所を選んで撮影しています。そう、タイタニック号が沈没するように、ベルサイユ宮殿を象徴とする貴族社会が徐々に崩壊していく様子を撮りたかったのです。
――― 若い女性を使うことについて?
カメラを通して彼女の視線を感じる。私自身は思い入れをもって追いかけていて、それをまた後から見ているのが観客という訳です。
――― 監督の視線に愛情を感じるのですが、女優の演出法は?
映画の対照とするのは、思い入れや惹きつけるものが必要です。私の場合は、それが女性なんです。溝口健二監督の偉大さに比べれば、私など虫みたいな存在ですが(笑)
――― ドキュメンタリーっぽく撮る意味は?
映画の本質そのものを描き出すため。現実を取り入れて何かを語るとフィクションが生じます。女性というリアルな存在を、人物を演じることでフィクションが生じ、意外なものを創り出しているのです。
――― 若い女優とベテラン女優へのアプローチの違いは?
どちらにも共通していることもあります。若い女優へは、彼女が進むべき方向へと導きます。ベテラン女優へは、今までやったことのないところへ導くのです。イザベル・ユペールとは特殊な関係で、はじめは20代だった彼女とは5本も撮っています。仕事が終わると、暗黙の了解で「また会おうね」という感じです。
――― カトリーヌ・ドヌーヴやイザベル・アジャーニなどは、彼女ら自身の素の部分に触れているように感じることがあるが、それは意図的?
おそらく、彼女たちが全幅の信頼を寄せてくれているので、今までとは違う非凡なものが映像に表れているのかもしれません。勿論、彼女たちもそれを承知しています。
――― 本能を解き放つという意味ですか?
そうですね。私との仕事の時はそういうことだと思います。そうならなければ、彼女たちはガッカリするでしょうねぇ。こうした話を皆さんの前でするのは、慎みがないと言われそうです。時として、深い関係になることもありますし、もう少し複雑かもしれません。
私が求めているのは、女としての境界線上をまたぐ様子を撮るのが好きです。抑圧というより、自分自身を解放し、限界を踏み越えることが核心になっていることが多いです。どの年齢の人も、大人になるという通過時期は、私にとっては進歩ではなく、失うものが多いという風に考えています。
今年の京都ヒストリカ国際映画祭では、〈ブノワ・ジャコー監督特集〉として、『肉体の森』『イザベル・アジャーニの惑い』『トスカ』『発禁本-SADE』が京都シネマで上映されました。フランス映画界のミューズたちをスクリーンに開花させてきたブノワ・ジャコー監督の世界観や感性、美学について堪能できるプログラムとなっていました。
溝口健二は勿論、小津安二郎、成瀬巳喜男、黒澤明などの巨匠から北野武と、予想以上に日本映画を見て影響を受けているようでした。特に、京都を舞台にした作品がお好きだとか。新作『マリー・アントワネットに別れをつげて』では、今まで見たことのないマリー・アントワネット像を目撃することになるでしょう。また、ベルサイユ宮殿とは別のトリアノン離宮での撮影にも注目して見て頂きたい。(河田 真喜子)