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『劇場版 神戸在住』

 
       

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作品データ
制作年・国 2014年 日本
上映時間 1時間37分
原作 木村紺『神戸在住』講談社刊
監督 白羽弥仁
出演 藤本泉、菅原永二、浦浜アリサ、松永渚、柳田小百合、松尾貴史、田中美里(友情出演)、仁科貴、愛華みれ、竹下景子
公開日、上映劇場 2015年1月17日(土)~ヒューマントラスト渋谷、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸、立誠シネマ、1月31日(土)~神戸映画資料館、シアターセブン
 

~震災を知らない世代が触れる人と街の記憶、そして未来へ~

 
先日、阪神・淡路大震災の年に生まれた娘と、震災特集のテレビを見ながら話していると、まさに本作で主人公の学友たちが口にしたような言葉が飛び出してきて驚いた。「ぶっちゃけ、生まれる前のことやから知らんしな」。ただ学校で震災時の映像は何度となく見たという。彼女たち若者にとって、今や阪神・淡路大震災は教科書に書かれ、学校で習う歴史なのだ。でも神戸の街を歩いてみたら、どうだろう。すっかり観光都市としての顔を取り戻し、復興を遂げた街の中に、そしてそこに生きる人の中に、震災の記憶は決して消えることはなく残っているのだ。
 
 
阪神・淡路大震災から20年の節目となる年に、地元テレビ局サンテレビジョンによって制作された『劇場版 神戸在住』。震災が起きた1月17日に公開される本作と合わせて、テレビでは放送版がオンエアされるという映画とテレビが同時発信の新しい手法を導入、東京からかつて震災があった街にやってきた女子大生の目線で、神戸やそこに住む人々を描いた青春物語に仕上がっている。
 

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主人公、辰木桂を演じるのは『小川町セレナーデ』でハツラツとした演技が印象的だった藤本泉。引っ込み思案で関西のノリに馴染めない女子大生の桂を好演している。そんな桂といつのまにかイツメン(いつもいるメンバー)になっていく学友を演じるのは関西出身の浦浜アリサ、松永渚、柳田小百合。親が震災を経験している世代である彼女たちが語るエピソードや、震災に対する感想はとてもリアル。テンポの良い兵庫弁でのイツメントークや女子大生らしい神戸散策を見ていると、20云年前、憧れていた神戸で友達とケーキを食べておしゃべりしたり、「女子大生らしい」日々を過ごした思い出が、街の記憶と共によみがえってきた。
 

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徐々に心を開くきっかけとなったイラストレーター日野(菅原永二)との出会いや、東遊園地(神戸市役所南、震災の記憶をとどめるモニュメントや希望の灯りが設置されている)で出会った中年主婦(竹下景子)から聞く震災の傷跡など神戸に住む人たちから、桂は知らなかった事実や新しい世界を垣間見る。憧れの神戸から、第二の故郷へ。桂の歩む未来は、阪神・淡路大震災から20年という節目を迎えた神戸の未来をも映し出しているような気がした。
(江口由美)
 
(C) 2014 木村紺・講談社/サンテレビジョン